JP3365444B2 - 芳香族ポリカーボネート及びその製造法 - Google Patents
芳香族ポリカーボネート及びその製造法Info
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Description
チックとして知られる芳香族ポリカーボネート及びその
製造法に関するものである。さらに詳しくは、色調に優
れた高品質の芳香族ポリカーボネート及びその製造法に
関するものである。
リングプラスチックとして、その優れた耐衝撃性、寸法
安定性や透明性を生かした用途に幅広く使用されてい
る。工業的な製造方法としては、ビスフェノールなどの
芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを反応させる界
面法やビスフェノールなどの芳香族ジヒドロキシ化合物
とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジアリールエステ
ルとを溶融状態で反応させるエステル交換法(溶融法)
が知られている。
リカーボネートを製造する際には、原料である芳香族ジ
ヒドロキシ化合物と炭酸ジアリールエステルとを、金属
の有機酸塩、無機酸塩、酸化物、水酸化物、水素化物あ
るいはアルコラートなどの触媒を用いて、240〜33
0℃の温度で減圧下に加熱しながら溶融状態でエステル
交換反応を行なう。従って、前述の界面法と比較して溶
媒を使用しないため、安価に芳香族ポリカーボネートを
製造できるという長所を有している。
ル交換法では芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジアリー
ルエステルとを溶融状態で反応させているため、生成す
るポリカーボネートは長時間高温にさらされていること
となり、黄色に着色するという大きな問題があった。例
えば、特開昭63−2101126にはポリカーボネー
トの高温処理(280〜350℃)にあたり、樹脂の変
色と分子量の低下をもたらす不純物をいずれも含有しな
いことが重要であることが記載されている。また、「ポ
リカーボネート樹脂」日刊工業新聞社,1969年,14
5頁にはポリカーボネートの熱分解は、不純物や未反応
ビスフェノールAの存在によって促進されることが記載
されている。しかしながら、これらの方法ではポリカー
ボネートの色調を十分改善することはできなかった。
れた高品質の芳香族ポリカーボネートを開発するべく鋭
意検討した結果、芳香族ポリカーボネートの分解物、分
解縮合物および転位物が100ppm以下であり、粘度
平均分子量が10,000以上である芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を用いることにより、上記問題を解決できる
こと、及びその方法を見出し、本発明に到達したもので
ある。
原料として用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物として
は、一般式(I)で表されるものが用いられる。
水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルケニル基、また
は置換されても良いアリール基を示し、Xは、
炭素数1から12までのアルキル基、または炭素数6か
ら12までのアリール基を示す)、
の整数)、−O−,−CO−,−S−,−SO−等であ
る。特に好ましいものとしては、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペン
タン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メ
チルペンタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3
−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニ
ルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニ
ルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジル
メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シ
クロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスル
フィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェ
ノールフタレイン等があげられる。これらの芳香族ジヒ
ドロキシ化合物は単独で用いても良く、また混合物とし
て用いても差し支えない。これらのうち、好ましくは、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンであ
る。
族ジヒドロキシ化合物の分解物、分解縮合物および転位
物の総量は100ppm以下、好ましくは50ppm以
下、さらに好ましくは30ppm以下、特に好ましくは
20ppm以下である。芳香族ジヒドロキシ化合物の分
解物、分解縮合物および転位物の総量が100ppmよ
り多いと、芳香族ポリカーボネートは黄色に着色する。
物、分解縮合物および転位物とは、通常、芳香族ポリカ
ーボネートの製造時の熱履歴によって芳香族ジヒドロキ
シ化合物が分解、分解縮合あるいは転位して生じる化合
物であり、例えば、ビスフェノール類、トリスフェノー
ル類、クロマン類、インダン類等があげられる。具体例
としては、2−(3−ヒドロキシフェニル)−2−(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−ヒドロキ
シフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン、2−(3−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2
−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,4−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピル)フェノール(以下、化合物1)、2−(2−
(4−ヒドロキシフェニル))プロピル)−2−(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−2,3−ジメチル−1−ブテ
ン(:化合物2)、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−4−メチル−1−ブテン(:化合物3)、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェノキシ
プロパン(:化合物4)、2,4−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチル−1−フェノキシペンタ
ン(:化合物5)、4−ヒドロキシフェニル−2−(4
−ヒドロキシフェニル)プロピル−5−フェノキシ−1
−ペンテン(:化合物6)、1,1,3−トリメチル−
3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシイン
ダン(:化合物7)、1,1,3−トリメチル−3−
(4−ヒドロキシフェニル)−5−ヒドロキシインダン
(:化合物8)、1,1,3−トリメチル−3−(4−
ヒドロキシフェニル)−6−ヒドロキシインダン(:化
合物9)、1,1,3−トリメチル−3−(4−ヒドロ
キシフェニル)−7−ヒドロキシインダン(:化合物1
0)、2,2,4−トリメチル−4−(4−ヒドロキシ
フェニル)クロマン(:化合物11)、2,4,4−ト
リメチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)クロマ
ン(:化合物12)、 2,2,4−トリメチル−4−
(4−ヒドロキシフェニル)−6−(2−(4−ヒドロ
キシフェニル)プロピル)クロマン(:化合物13)等
があげられる。
ロキシフェニル)−2,3−ジメチル−1−ブテン(:
化合物2)、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−4−メチル−1−ブテン(:化合物3)、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェノキシプロパ
ン(:化合物4)、1,1,3−トリメチル−3−(4
−ヒドロキシフェニル)−5−ヒドロキシインダン(:
化合物8)、2,2,4−トリメチル−4−(4−ヒド
ロキシフェニル)クロマン(:化合物11)の含有量を
抑えることが色調改善の上で効果が高い。
に示す。
エステルとしては、ジフェニルカーボネート、ビス(p
−クロロフェニル)カーボネート、ビス(o−クロロフ
ェニル)カーボネート、ビス(2.4−ジクロロフェニ
ル)カーボネート、ビス(p−ニトロフェニル)カーボ
ネート、ビス(o−ニトロフェニル)カーボネート、ビ
スフェノールAのビスアリルカーボネート、末端にフェ
ニルカーボネート基を有するポリカーボネートオリゴマ
ー等があげられる。好ましくは、ジフェニルカーボネー
トである。通常、これら炭酸ジエステルは、上記芳香族
ジヒドロキシ化合物1モルに対して1〜1.7モル、好
ましくは1.05〜1.5モル使用するのがよい。
は保持酸素濃度が100ppm以下であることが好まし
く、さらに好ましくは50ppm以下である。残存酸素
濃度が100ppmを超えると、例えば大気中に長時間
放置した際に、また成形中に、色調が悪化する等の悪影
響を生じる傾向がある。本発明で示される芳香族ポリカ
ーボネートには、必要に応じて末端封鎖基としてのモノ
置換フェノールを添加してもよい。このような目的に使
用される単官能のフェノール類としては、一般式(II)
は、クレゾール、メトキシフェノール、tert-ブチルフ
ェノール、アミルフェノール、ヘキシルフェノール、オ
クチルフェノール、クミルフェノール、フェニルフェノ
ールなどがあげられる。これらの単官能性のフェノール
は、重合の最初に加えても良いし、重合初期のエステル
交換反応が終了後に添加してもよい。
においては、フロログルシンや1,1,1−トリス(4
−ヒドロキシフェニル)−エタン等の3価以上の多官能
性の化合物を添加して分岐ポリカーボネートとすること
も可能である。さらに、テレフタル酸や、イソフタル酸
等のジカルボン酸を添加して芳香族ポリエステルポリカ
ーボネートとすることも可能である。
具体的には、テトラメチルアンモニウム−テトラフェニ
ルボラネート、テトラフェニルホスホニウム−テトラフ
ェニルボラネートなどのアンモニウム、テトラメチルア
ンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒ
ドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキ
シドなどのアンモニウムヒドロキシド、ジメチルフェニ
ルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチ
ルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ト
リエチルアミン、2−メチルイミダゾール、ジメチル−
4−アミノピリジンなどのアミンまたはその塩、イミノ
カルボン酸誘導体又はその塩などの含窒素塩基性化合
物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のフェノラー
ト、炭酸塩、酢酸塩、水酸化物、水素化物などの他、フ
ェニル燐酸、フェニル亜燐酸及びその金属塩などのりん
化合物、ホスホニウムのボラネート塩触媒などがあげら
れる。 なかでもイミノカルボン酸誘導体又はその塩、
あるいはテトラメチルアンモニウム−テトラフェニルボ
ラネート、テトラフェニルホスホニウム−テトラフェニ
ルボラネートなどのアンモニウム、テトラメチルアンモ
ニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロ
キシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド
などのアンモニウムヒドロキシド、ジメチルフェニルベ
ンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルア
ンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩などの含
窒素塩基性化合物が好ましく、特にはイミノカルボン酸
誘導体又はその塩が好ましい。これらは単独で使用して
も、上記の他の触媒と組み合わせて使用してもよい。
式(III)で表される基を有する化合物である。
-メチルイミノジ酢酸、フェニルイミノジ酢酸のような
イミノジカルボン酸型化合物、ニトリロ三酢酸、ニトリ
ロ三プロピオン酸のようなニトリロ三カルボン酸型化合
物、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四プロ
ピオン酸、プロピレンジアミン四酢酸、シクロヘキサン
ジアミン四酢酸、キシリレンジアミン四酢酸、グリコー
ルエーテルジアミン四酢酸のようなジアミン四カルボン
酸型化合物、ジエチレントリアミン五酢酸、トリメチレ
ンテトラミン六酢酸などがあげられ、なかでもニトリロ
三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸のようなニトリロ三カ
ルボン酸型化合物が好ましく、特にはニトリロ三酢酸が
好ましい。
しては、上記イミノカルボン酸誘導体の各種の金属塩が
使用できるが、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム
のようなアルカリ金属、ベリリウム、マグネシウム、カ
ルシウム、バリウムのようなアルカリ土類金属、亜鉛、
カドミウム、銅、錫、鉛、マンガン、コバルト、ニッケ
ルなどの金属塩があげられ、なかでもリチウム、ナトリ
ウム、カリウムのようなアルカリ金属が好ましく、特に
はリチウム、ナトリウムが好ましい。
の使用量は、原料として使用する芳香族ジヒドロキシ化
合物の総量に対して、1×10-9〜1モル%程度であ
り、好ましくは1×10-8〜1×10-2モル%程度であ
る。触媒量があまりにも少量では重合速度が遅くなり着
色の要因となる。又、あまりに多量に用いても着色、熱
安定性及び耐加水分解性等に悪影響を及ぼす要因とな
る。
重合活性を上げるために、N,N,N',N'−テトラメ
チルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチ
ル−1,4−ジアミノブタン、N,N,N',N'−テト
ラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N',
N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,
N,N',N'',N''',N'''−ヘキサメチルトリエチ
レンテトラミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレ
ンテトラミン、N,N',N'',N'''−テトラメチル−
1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン等の
ポリアミン系化合物を助触媒として用いても良い。
においては、槽型反応器を用いて一段階でポリカーボネ
ート樹脂を製造することもできるが、特に高分子量のポ
リカーボネート樹脂を製造する際には、前重縮合工程で
槽型反応装置を用いて溶融粘度の低いプレポリマーを合
成し、後重縮合工程で該プレポリマーを高分子量化させ
ることが好ましい。後重縮合工程では、熱履歴の少ない
製造法が好ましく、このような製造法の例としては、高
粘度リアクターを用いる方法や、固相重合法等が挙げら
れる。なかでも高粘度リアクターを用いる方法が好まし
いが、特には横型の2軸セルフクリーニング式高粘度リ
アクターを用いる方法が好適である。
40℃〜320℃の範囲であり、また圧力は常圧から
0.0001Torrの範囲である。この工程では、粘
度平均分子量で5,000〜20,000であるポリカ
ーボネートプレポリマーを得る。プレポリマーの分子量
が5,000より低い場合は、後重縮合工程での分子量
上昇に長時間を要するため生産性の点で不利である。ま
たプレポリマーの分子量が20,000を越える場合
は、槽型反応装置で製造する際に、溶融粘度が高くなる
のを防ぐために330℃以上の高温で行なう必要があ
り、色調の点で不利となる。
ロキシ化合物の分解物、分解縮合物および転位物の生成
を抑えるためには、芳香族ジヒドロキシ化合物が反応溶
液中3×104ppm以下になった状態で、反応温度を
240℃以上にすることが好ましい。すなわち、芳香族
ジヒドロキシ化合物が分解、分解縮合、転位しないよう
な低い反応温度で原料である芳香族ジヒドロキシ化合物
を十分エステル交換反応させ、この芳香族ジヒドロキシ
化合物の量ができるだけ少ない状態で240℃以上にす
ることが好ましい。さらに好ましくは、芳香族ジヒドロ
キシ化合物が反応液中で1×104ppm以下、より好
ましくは5×103ppm以下、特に好ましくは3×1
03ppm以下の状態で反応温度を240℃以上にする
ことである。 なお、触媒に応じて芳香族ジヒドロキシ
化合物と炭酸ジアリールエステルとの仕込み比率を適切
に設定し、また、温度、減圧度等を適切に設定し、芳香
族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジアリールエステル等との
反応を240℃未満でできるだけ進行させることによ
り、未反応の芳香族ジヒドロキシ化合物の量を少量に制
御することができる。
クリーニング式反応装置等の高粘度リアクターを用いて
さらに高重合度化する。この際、第一段階で得られたプ
レポリマーを直接溶融状態のままでフィードしても良い
し、一旦ペレット化したものを押出機などで再度溶融後
フィードしても構わない。ここで、本発明で用いられる
横型の2軸セルフクリーニング式反応装置とは、例えば
同一方向に回転する2本の水平回転軸と、この水平回転
軸に垂直方向で回転軸と共に回転するように取付けられ
た撹拌板を有するものである。それぞれの撹拌板の位相
がずれており、お互いにわずかの空隙を保ちながら回転
するために撹拌板についた樹脂は滞留することなく撹拌
され、表面が更新される(セルフクリーニング性)。撹
拌板の断面形状は、円板型、中空の円板型、凸レンズ
型、棒型、窓枠型、擬三角形型等が挙げられるが、本発
明においては必ずしも限定されるものではない。
40℃〜350℃、好ましくは、250℃〜300℃で
あり、圧力は10Torr以下、好ましくは2Torr以下であ
る。また本発明で用いられる横型反応装置は、スクリュ
ータイプの2軸押出機と比較して装置の内容積が大き
く、また撹拌板の形状、取付け位置によって樹脂の押し
出し性能をコントロールできるため、反応混合物の滞留
時間を長くとることが可能である。通常滞留時間は5分
〜120分、好ましくは15分〜90分である。この後
重縮合工程で横型反応装置を用いて反応した後に得られ
る芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は10,0
00以上、好ましくは10,000〜60,000、更
に好ましくは13,000〜40,000である。
酸基末端が20%以下であることが好ましく、さらに好
ましくは10%以下である。水酸基末端が20%を超え
ると、耐熱性や耐加水分解性に悪影響を生じる。また、
本発明で得られる芳香族ポリカーボネートは、必要に応
じて公知の熱安定剤を添加してその熱安定性を改良する
ことも可能である。このような熱安定剤としては、亜り
ん酸トリエステル、ベンゼンホスホン酸、酸性りん酸エ
ステル等のりん系熱安定剤、ヒンダードフェノールなど
の坑酸化剤等が挙げられる。
ネートは、必要に応じて他の樹脂による変性を行なった
り、ガラス繊維や炭素繊維などの充填剤、難燃化剤、U
V吸収剤、離型剤や着色剤を添加しても構わない。
明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定される
ものではない。 (1)粘度平均分子量(Mv) 20℃における塩化メチレン溶液の固有粘度[η](dl
/g)をウベローデ粘度管を用いて測定し、次式を用いて
粘度平均分子量を算出した。
(株)製、SMカラーコンピューター、モデルSM-
4)にて反射法により測定したb値で評価した。b値が
大きいほど黄色味は高い事を表しており、色調良好なサ
ンプルとしてはb値1.5以下、好ましくはb値1.0
以下である。 (3)反応溶液中のビスフェノールAの含有量 反応溶液を取り出し、液化窒素で急冷させ凝固物を得
た。その凝固物をゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC)法により、ビスフェノールAの検量線を
用いて定量した。
解物、分解縮合物および転位物の総含有量 ポリマー10gをメチレンクロライド50mlに溶解さ
せ、攪拌しながらアセトン200mlを滴下した。濾過
後、沈殿物にアセトン50mlを加えて抽出し、得られ
た抽出液と先の濾液を合わせて濃縮し、濃縮液とした。
次に、その濃縮液を高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)法により、ビスフェノールAの分解物、分解縮合
物および転位物の検量線を用いて定量した。
よび転位物としては、1,3−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−2,3−ジメチル−1−ブテン(:化合物
2)、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−
メチル−1−ブテン(:化合物3)、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−1−フェノキシプロパン(:
化合物4)、1,1,3−トリメチル−3−(4−ヒド
ロキシフェニル)−5−ヒドロキシインダン(:化合物
8)、2,2,4−トリメチル−4−(4−ヒドロキシ
フェニル)クロマン(:化合物11)を定量に用いた。 (5)水酸基末端濃度13 C‐NMRを用いて末端のOH基を測定し、水酸基末
端濃度は、全末端基濃度に対する割合(%)で計算し
た。
ニルカーボネート4584g(21.4モル)とニトリ
ロ三酢酸三リチウム(一水和物)0.022g(0.0
01モル)を30リットル槽型反応装置(SUS316
L)に仕込み、窒素置換した後、徐々に昇温した。反応
混合物が溶解した後に攪拌を始め、この時点を重合開始
時間とした(槽内温度180℃)。槽内温を210℃に
昇温し、徐々に減圧しながら200Torrで30分間保持
した。その後さらに270℃まで昇温を続けるととも
に、徐々に減圧し、生成したフェノールを留去して反応
を続けた。(槽内温240℃の時点のビスフェノールA
濃度は2,700ppmであった。) 最終的に槽内を1Torr、270℃に保ち、全重合時間4
時間で重合を終了し、槽内を復圧した後にストランド状
に水槽内に押し出しカッターでペレットとした。得られ
たポリマーは無色透明であり、粘度平均分子量は15,
700(水酸基末端濃度は9.0%)であった。また、
色調はb値で0.20であり、このポリマー中のビスフ
ェノールAの分解物、分解縮合物および転位物の総含有
量は30ppmであった。
ニルカーボネート4584g(21.4モル)とニトリ
ロ三酢酸三リチウム(一水和物)0.022g(0.0
01モル)を30リットル槽型反応装置(SUS316
L)に仕込み、窒素置換した後、徐々に昇温した。反応
混合物が溶解した後に攪拌を始め、この時点を重合開始
時間とした(槽内温度180℃)。槽内温を220℃に
昇温し、徐々に減圧しながら200Torrで30分間保持
した。その後さらに270℃まで昇温を続けるととも
に、徐々に減圧し、生成したフェノールを留去して反応
を続けた。(槽内温240℃の時点のビスフェノールA
濃度は2,400ppmであった。) 最終的に槽内を1Torr、270℃に保ち、全重合時間4
時間で重合を終了し、槽内を復圧した後にストランド状
に水槽内に押し出しカッターでペレットとした。得られ
たポリマーは無色透明であり、粘度平均分子量は15,
100(水酸基末端濃度は10.2%)であった。ま
た、色調はb値で0.32であり、このポリマー中のビ
スフェノールAの分解物、分解縮合物および転位物の総
含有量は80ppmであった。
剤としてホスホン酸ジフェニル0.03重量部を添加し
たうえで、270℃で二軸押出機で溶融し、横型の2軸
セルフクリーニング高粘度反応装置(内容積2リット
ル、反応温度270℃、真空度0.2Torr、回転数60
rpm)へ移送し、1.4Kg/hでギヤポンプにて抜
き出した。滞留時間は40分であった。得られたポリマ
ーは無色透明であり、粘度平均分子量は28,800
(水酸基末端濃度は5.0%)であった。また、色調は
b値で0.27であり、このポリマー中のビスフェノー
ルAの分解物、分解縮合物および転位物の総含有量は3
5ppmであった。
例3と同様にして重合を行なった。得られたポリマーは
無色透明であり、粘度平均分子量は27,900(水酸
基末端濃度は6.2%)であった。また、色調はb値で
0.37であり、このポリマー中のビスフェノールAの
分解物、分解縮合物および転位物の総含有量は88pp
mであった。
ニルカーボネート5998g(28.0モル)とニトリ
ロ三酢酸三リチウム(一水和物)0.022g(0.0
01モル)を30リットル槽型反応装置(SUS316
L)に仕込み、窒素置換した後、徐々に昇温した。反応
混合物が溶解した後に攪拌を始め、この時点を重合開始
時間とした(槽内温度180℃)。槽内温を220℃に
昇温し、徐々に減圧しながら200Torrで30分間保持
した。220℃の時点で、ジフェニルカーボネート対ビ
スフェノールAのモル比を1.07になるようにビスフ
ェノールA1415g(6.2モル)を添加した。その
後さらに270℃まで昇温を続けるとともに、徐々に減
圧し、生成したフェノールを留去して反応を続けた。
(槽内温240℃の時点のビスフェノールA濃度は2,
000ppmであった。) 最終的に槽内を1Torr、270℃に保ち、全重合時間4
時間で重合を終了し、槽内を復圧した後にストランド状
に水槽内に押し出しカッターでペレットとした。得られ
たポリマーは無色透明であり、粘度平均分子量は16,
500(水酸基末端濃度は9.6%)であった。また、
色調はb値で0.14であり、このポリマー中のビスフ
ェノールAの分解物、分解縮合物および転位物の総含有
量は20ppmであった。
ニルカーボネート4584g(21.4モル)とニトリ
ロ三酢酸三リチウム(一水和物)0.022g(0.0
01モル)を30リットル槽型反応装置(SUS316
L)に仕込み、窒素置換した後、徐々に昇温した。反応
混合物が溶解した後に攪拌を始め、この時点を重合開始
時間とした(槽内温度180℃)。槽内温を240℃に
昇温し、徐々に減圧しながら240Torrで30分間保持
した。(槽内温240℃の時点のビスフェノールA濃度
は40,000ppmであった。) その後さらに270℃まで昇温を続けるとともに、徐々
に減圧し、生成したフェノールを留去して反応を続け
た。その後さらに270℃まで昇温を続けるとともに、
徐々に減圧し、生成したフェノールを留去して反応を続
けた。最終的に槽内を1Torr、270℃に保ち、全重合
時間4時間で重合を終了し、槽内を復圧した後にストラ
ンド状に水槽内に押し出しカッターでペレットとした。
得られたポリマーは黄色みを帯びており、粘度平均分子
量は14,900(水酸基末端濃度は25.5%)であ
った。また、色調はb値で2.20であり、このポリマ
ー中のビスフェノールAの分解物、分解縮合物および転
位物の総含有量は160ppmであった。
ニルカーボネート4584g(21.4モル)とニトリ
ロ三酢酸三リチウム(一水和物)0.022g(0.0
01モル)を30リットル槽型反応装置(SUS316
L)に仕込み、窒素置換した後、徐々に昇温した。反応
混合物が溶解した後に攪拌を始め、この時点を重合開始
時間とした(槽内温度180℃)。槽内温を250℃に
昇温し、徐々に減圧しながら200Torrで30分間保持
した。(槽内温240℃の時点のビスフェノールA濃度
は45,000ppmであった。) その後さらに270℃まで昇温を続けるとともに、徐々
に減圧し、生成したフェノールを留去して反応を続け
た。その後さらに270℃まで昇温を続けるとともに、
徐々に減圧し、生成したフェノールを留去して反応を続
けた。最終的に槽内を1Torr、270℃に保ち、全重合
時間4時間で重合を終了し、槽内を復圧した後にストラ
ンド状に水槽内に押し出しカッターでペレットとした。
得られたポリマーは黄色みを帯びており、粘度平均分子
量は14,900(水酸基末端濃度は25.5%)であ
った。また、色調はb値で4.70であり、このポリマ
ー中のビスフェノールAの分解物、分解縮合物および転
位物の総含有量は560ppmであった。
9.9モル)とした以外は、実施例1と同様に行った。
(但し、槽内温240℃の時点のビスフェノールA濃度
は150,000ppmであった。) 得られたポリマーは黄色みを帯びており、粘度平均分子
量は12,400(水酸基末端濃度は81.7%)であ
った。また、色調はb値で5.30であり、このポリマ
ー中のビスフェノールAの分解物、分解縮合物および転
位物の総含有量は720ppmであった。
存塩化メチレンによる問題もなく、色調に優れ、広範囲
の用途に使用できるものである。また、本発明方法によ
って製造されたポリカーボネートは、残存塩化メチレン
による問題もなく、色調に優れた高品質の芳香族ポリカ
ーボネート樹脂を製造できる。従って、該ポリカーボネ
ート樹脂は、例えばシートやレンズ、コンパクトディス
クや光ディスクなどの光学部品用用途や自動車などの透
明部品用途、各種機器のハウジングなど一般的なエンジ
ニアリング・プラスチック材料として幅広く使用でき、
工業的にも極めて有利である。
Claims (8)
- 【請求項1】芳香族ジヒドロキシ化合物の分解物、分解
縮合物および転位物の総量が100ppm以下であり、
粘度平均分子量が10,000以上であることを特徴と
する芳香族ポリカーボネート。 - 【請求項2】ポリカーボネートの末端のうち、水酸基末
端が20%以下であることを特徴とする請求項1に記載
の芳香族ポリカーボネート。 - 【請求項3】芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジアリー
ルエステルとからエステル交換反応により製造されるこ
とを特徴とする請求項1または2に記載の芳香族ポリカ
ーボネート。 - 【請求項4】芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジアリー
ルエステルとからエステル交換反応により、請求項1ま
たは2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する
にあたり、該芳香族ジヒドロキシ化合物が反応溶液中で
3×104ppm以下になった段階で、反応温度を24
0℃以上にしてエステル交換反応を行なうことを特徴と
する芳香族ポリカーボネートの製造法。 - 【請求項5】エステル交換反応触媒として含窒素塩基性
化合物を用いてエステル交換反応を行うことを特徴とす
る請求項4記載の芳香族ポリカーボネートの製造法。 - 【請求項6】含窒素塩基性化合物がイミノカルボン酸誘
導体又はその塩であることを特徴とする請求項5記載の
芳香族ポリカーボネートの製造法。 - 【請求項7】芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに
あたり、前重縮合工程で槽型反応装置を用いて粘度平均
分子量5,000〜20,000のプレポリマーを製造
した後、後重縮合工程でさらに高粘度リアクター又は固
相重合によって高分子量化することを特徴とする請求項
4ないし6記載の芳香族ポリカーボネートの製造法。 - 【請求項8】後重縮合工程において、横型の2軸セルフ
クリーニング型高粘度リアクターを用いることを特徴と
する請求項7記載の芳香族ポリカーボネートの製造法。
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---|---|---|---|
JP02980694A JP3365444B2 (ja) | 1994-02-28 | 1994-02-28 | 芳香族ポリカーボネート及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02980694A JP3365444B2 (ja) | 1994-02-28 | 1994-02-28 | 芳香族ポリカーボネート及びその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07238158A JPH07238158A (ja) | 1995-09-12 |
JP3365444B2 true JP3365444B2 (ja) | 2003-01-14 |
Family
ID=12286272
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02980694A Expired - Lifetime JP3365444B2 (ja) | 1994-02-28 | 1994-02-28 | 芳香族ポリカーボネート及びその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JPH11342510A (ja) * | 1998-04-03 | 1999-12-14 | Teijin Chem Ltd | 光学用成形材料 |
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JP2018203971A (ja) * | 2017-06-09 | 2018-12-27 | 三菱ケミカル株式会社 | 芳香族ポリカーボネート樹脂、及びその製造方法、並びに芳香族ジヒドロキシ化合物 |
-
1994
- 1994-02-28 JP JP02980694A patent/JP3365444B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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