JPH0762074A - 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂の製造法

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JPH0762074A
JPH0762074A JP20970893A JP20970893A JPH0762074A JP H0762074 A JPH0762074 A JP H0762074A JP 20970893 A JP20970893 A JP 20970893A JP 20970893 A JP20970893 A JP 20970893A JP H0762074 A JPH0762074 A JP H0762074A
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JP
Japan
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aromatic polycarbonate
polycarbonate resin
ester
producing
acid
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JP20970893A
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English (en)
Inventor
Masatoshi Kimura
昌敏 木村
Takao Tayama
貴郎 田山
Takeshi Kashiwagi
猛 柏木
Hidekazu Shoji
英和 庄司
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジアリール
エステルとからエステル交換反応により芳香族ポリカー
ボネート樹脂を製造するに当たり、エステル誘導体が1
00ppm以下である炭酸ジアリールエステルを用いる
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。 【効果】 本発明による芳香族ポリカーボネートの製造
法によれば、残存塩化メチレンによる問題もなく、色調
に優れた高品質の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造で
きるため、広範囲の用途に使用できるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエンジニアリングプラス
チックとして知られる芳香族ポリカーボネート樹脂の製
造法に関するものである。さらに詳しくは、色調に優れ
た高品質の芳香族ポリカーボネート樹脂を、エステル交
換法(溶融法)によって製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は、エンジ
ニアリングプラスチックとして、その優れた耐衝撃性、
寸法安定性や透明性を生かした用途に幅広く使用されて
いる。工業的な製造方法としては、ビスフェノールなど
のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応さ
せる界面法や、ビスフェノールなどのジヒドロキシジア
リール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジア
リールエステルとを溶融状態で反応させるエステル交換
法(溶融法)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ジフェニル
カーボネートなどの炭酸ジアリールエステルの製法とし
ては、ジアルキルカーボネートをフェノールの存在下エ
ステル交換する方法も多く研究されているが、特開昭6
1−172852によれば、これらの方法ではジアリー
ルカーボネート中にジアリールカーボネートと沸点の近
い副生不純物が混入することが記載されている。又、特
開平4−100824では、溶融法で芳香族ポリカーボ
ネートを製造するに際して、キサントン含有量が10p
pm以下であるジアリールカーボネートを用いる方法が
記載されている。しかしながら、これらの技術は芳香族
ポリカーボネートの着色に対して充分な技術が確立され
ているとはいい難いものであった。
【0004】また、芳香族ポリカーボネートの着色に関
しては、反応器の材質の影響も示唆されている。米国特
許4,383,092号によれば、反応器の接液部をガラ
スあるいはタンタル、ニッケルまたはクロムによりライ
ニングすることにより、芳香族ポリカーボネートの着色
防止を図ることが提案されている。一方、特開平4−3
32726では、反応器の接液部に鉄成分20%以下の
材料を用いる等が記載されている。しかしながら、これ
らの金属は反応器材質として用いるには高価であること
から、実質的ではなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、色調の優
れた高品質の芳香族ポリカーボネート樹脂を高い生産性
で製造するべく鋭意検討した結果、エステル法で芳香族
ポリカーボネートを重合する際に、エステル誘導体が1
00ppm以下である炭酸ジアリールエステルを用いる
ことにより、上記問題を解決できることを見出し、本発
明に到達したものである。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
原料として用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物として
は、一般式(I)で表されるものが用いられる。
【0007】
【化1】
【0008】一般式(I)中、R1、R2は各々独立に水
素原子、ハロゲン、アルキル基、アルケニル基、置換さ
れていても良いアリール基を示し、Xは、
【0009】
【化2】
【0010】(但し、R3,R4 は各々独立に水素原子、
炭素数1から12までのアルキル基、又は炭素数6から1
2までのアリール基を表す)、
【0011】
【化3】
【0012】(シクロアルキレン基;nは2から4まで
の整数)、−O−,−CO−,−S−,−SO −等で
ある。特に好ましいものとしては、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペン
タン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メ
チルペンタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3
−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニ
ルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニ
ルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジル
メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シ
クロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスル
フィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェ
ノールフタレイン等があげられる。これらの芳香族ジヒ
ドロキシ化合物は単独で用いても良く、また混合物とし
て用いても差し支えない。
【0013】本発明で用いられる炭酸ジアリールエステ
ルとしては、ジフェニルカーボネート、ビス(p−クロ
ロフェニル)カーボネート、ビス(o−クロロフェニ
ル)カーボネート、ビス(2,4−ジクロロフェニル)カ
ーボネート、ビス(p−ニトロフェニル)カーボネー
ト、ビス(o−ニトロフェニル)カーボネート、ビスフ
ェノールAのビスアリルカーボネート、末端にフェニル
カーボネート基を有するポリカーボネートオリゴマー等
があげられる。好ましくは、ジフェニルカーボネートで
ある。通常、これら炭酸ジエステルは、上記芳香族ジヒ
ドロキシ化合物1モルに対して1〜1.7モル、好まし
くは1.05〜1.5モル使用するのがよい。
【0014】本発明において使用される炭酸ジアリール
エステル中のエステル誘導体の好ましい量は100pp
m以下、さらに好ましくは10ppm以下である。エス
テル誘導体の量がこの範囲より多いと、エステル交換後
に得られる芳香族ポリカーボネートは黄色に着色する。
本発明で示される芳香族ポリカーボネートの色調を悪く
する、エステル誘導体としては、一般式(II)で表され
る化合物である。
【0015】
【化4】
【0016】式中、R5〜R14は各々独立に水素原子、
ハロゲン、水酸基、アルキル基、アルケニル基、置換さ
れても良いアリール基、アルキルオキシ基、アルケニル
オキシ基、置換されても良いフェニルオキシ基等を示
す。具体例としては、2−ヒドロキシ安息香酸フェニル
エステル(サリチル酸フェニル)、4−ヒドロキシ安息
香酸フェニルエステル、2−メチル安息香酸フェニルエ
ステル、3−メチル安息香酸フェニルエステル、4−メ
チル安息香酸フェニルエステル、2,4−ジヒドロキシ
安息香酸フェニルエステル、2−メチル安息香酸−2,
4−ジヒドロキシフェニルエステル、2−メトキシ安息
香酸−4−メチルフェニルエステル、2−メトキシ安息
香酸−4−ヒドロキシフェニルエステル、2−ヒドロキ
シ安息香酸−4−ヒドロキシフェニルエステル、2,4
−ジヒドロキシ安息香酸−4−ヒドロキシフェニルエス
テル、3−ヒドロキシ安息香酸−4−ヒドロキシフェニ
ルエステル等があげられ、より除去効果の高いものとし
ては、2−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステル、4−
ヒドロキシ安息香酸フェニルエステル等があげられる。
【0017】又、これらのエステル誘導体は二量化物、
三量化物等であっても良い。本発明において使用され
る、エステル誘導体が100ppm以下の炭酸ジアリー
ルエステルの製造法としては特に制限はなく、ホスゲン
法またはエステル交換法で合成される。合成した炭酸ジ
アリールエステルの精製法としては特に制限はなく、蒸
留法、昇華法、再結晶法、活性炭法等により精製して製
造することができるが、これら精製法の中では、特に蒸
留法が好ましい。
【0018】本発明の芳香族ポリカーボネートには、必
要に応じて末端封鎖基としてのモノ置換フェノールを添
加してもよい。このような目的に使用される単官能のフ
ェノール類としては、一般式(III)
【0019】
【化5】
【0020】で表される化合物がある。具体例として
は、クレゾール、メトキシフェノール、tert-ブチルフ
ェノール、アミルフェノール、ヘキシルフェノール、オ
クチルフェノール、クミルフェノール、フェニルフェノ
ールなどがあげられる。これらの単官能性のフェノール
は、重合の最初に加えても良いし、重合初期のエステル
交換反応が終了後に添加してもよい。
【0021】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の製
造法においては、フロログルシンや1,1,1−トリス
(4−ヒドロキシフェニル)−エタン等の3価以上の多
官能性の化合物を添加して分岐ポリカーボネートとする
ことも可能である。 さらに、テレフタル酸や、イソフ
タル酸等のジカルボン酸を添加して芳香族ポリエステル
ポリカーボネート樹脂とすることも可能である。
【0022】本発明で使用できるエステル交換触媒は、
具体的には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のフ
ェノラート、炭酸塩、酢酸塩、水酸化物、水素化物など
の他、フェニル燐酸、フェニル亜燐酸及びその金属塩な
どのりん化合物や、テトラメチルアンモニウム−テトラ
フェニルボラネート、テトラフェニルホスホニウム−テ
トラフェニルボラネートなどのアンモニウム、ホスホニ
ウムのボラネート塩触媒、テトラメチルアンモニウムヒ
ドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、
トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシドなどのア
ンモニウムヒドロキシド、ジメチルフェニルベンジルア
ンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウ
ムクロライド等の4級アンモニウム塩、トリエチルアミ
ン、2−メチルイミダゾール、ジメチル−4−アミノピ
リジンなどのアミンまたはその塩、イミノカルボン酸誘
導体又はその塩などがあげられる。
【0023】この中で、特にイミノカルボン酸誘導体又
はその塩が好ましく、単独で使用してもよいが、上記の
他の触媒と組み合わせて使用してもよい。イミノカルボ
ン酸誘導体は分子中に一般式(IV)で表される基を有す
る化合物である。
【0024】
【化6】
【0025】(式中nは1から3の整数を示す。)具体
的には、イミノジ酢酸、イミノジプロピオン酸、N-メ
チルイミノジ酢酸、フェニルイミノジ酢酸のようなイミ
ノジカルボン酸型化合物、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三
プロピオン酸のようなニトリロ三カルボン酸型化合物、
エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四プロピオ
ン酸、プロピレンジアミン四酢酸、シクロヘキサンジア
ミン四酢酸、キシリレンジアミン四酢酸、グリコールエ
ーテルジアミン四酢酸のようなジアミン四カルボン酸型
化合物、ジエチレントリアミン五酢酸、トリメチレンテ
トラミン六酢酸、などが挙げられる。
【0026】また、上記イミノカルボン酸誘導体の金属
塩としては、各種の金属の塩が使用できるが、例えばリ
チウム、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属、
ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムのよ
うなアルカリ土類金属、亜鉛、カドミウム、銅、錫、
鉛、マンガン、コバルト、ニッケルなどの金属塩が挙げ
られる。
【0027】イミノカルボン酸誘導体またはその金属塩
の使用量は、原料として使用する芳香族ジヒドロキシ化
合物の総量に対して、1×10-6〜1モル%程度であ
り、好ましくは1×10-5〜1×10-2モル%程度であ
る。触媒量があまりにも少量では重合速度が遅くなり着
色の要因となる。又、あまりに多量に用いても着色、熱
安定性及び耐加水分解性等に悪影響を及ぼす要因とな
る。
【0028】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の製
造法においては、槽型反応器を用いて一段階でポリカー
ボネート樹脂を製造することもできるが、特に高分子量
のポリカーボネート樹脂を製造する際には、前重縮合工
程で槽型反応装置を用いて溶融粘度の低いプレポリマー
を合成し、後重縮合工程で該プレポリマーを高分子量化
させることが好ましい。後重縮合工程では、熱履歴の少
ない製造法が好ましく、このような製造法の例として
は、横型の2軸セルフクリーニング式高粘度リアクター
を用いる方法や、固相重合法等が挙げられる。特に横型
の2軸セルフクリーニング式高粘度リアクターを用いる
方法が好ましい。
【0029】前重縮合工程における反応温度は、通常1
40℃〜320℃の範囲であり、また圧力は常圧から
0.0001Torrの範囲である。この工程では、粘
度平均分子量で5,000〜20,000であるポリカ
ーボネートプレポリマーを得る。プレポリマーの分子量
が5,000より低い場合は、後重縮合工程での分子量
上昇に長時間を要するため生産性の点で不利である。ま
たプレポリマーの分子量が20,000を越える場合
は、槽型反応装置で製造する際に、溶融粘度が高くなる
のを防ぐために330℃以上の高温で行なう必要があ
り、色調の点で不利となる。
【0030】後重縮合工程で横型の2軸セルフクリーニ
ング式反応装置を用いてさらに高重合度化する際、第一
段階で得られたプレポリマーを直接溶融状態のままでフ
ィードしても良いし、一旦ペレット化したものを押出機
などで再度溶融後フィードしても構わない。ここで、本
発明で用いられる横型の2軸セルフクリーニング式反応
装置とは、同一方向に回転する2本の水平回転軸と、こ
の水平回転軸に垂直方向で回転軸と共に回転するように
取付けられた撹拌板を有するものである。それぞれの撹
拌板の位相がずれており、お互いにわずかの空隙を保ち
ながら回転するために撹拌板についた樹脂は滞留するこ
となく撹拌され、表面が更新される(セルフクリーニン
グ性)。撹拌板の断面形状は、円板型、中空の円板型、
凸レンズ型、棒型、窓枠型、擬三角形型等が挙げられる
が、本発明においては必ずしも限定されるものではな
い。
【0031】また、後重縮合工程における反応温度は、
240℃〜350℃、好ましくは、250℃〜300℃
であり、圧力は10Torr以下、好ましくは2Torr以下で
ある。また本発明で用いられる横型反応装置は、スクリ
ュータイプの2軸押出機と比較して装置の内容積が大き
く、また撹拌板の形状、取付け位置によって樹脂の押し
出し性能をコントロールできるため、反応混合物の滞留
時間を長くとることが可能である。通常、滞留時間は1
0分〜90分、好ましくは15分〜60分である。この
後重縮合工程で横型反応装置を用いて反応した後に得ら
れる芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は15,
000〜60,000である。
【0032】また、反応装置としては、反応混合物と接
触する部分の材質が、鉄の含有量が25重量%以上、あ
るいは、ニッケル及び/又は銅の含有量が70重量%以
上の金属または合金であるものが使用される。また、本
発明で得られる芳香族ポリカーボネート樹脂は、必要に
応じて公知の熱安定剤を添加してその熱安定性を改良す
ることも可能である。このような熱安定剤としては、亜
りん酸トリエステル、ベンゼンホスホン酸、酸性りん酸
エステル等のりん系熱安定剤、ヒンダードフェノールな
どの抗酸化剤等が挙げられる。
【0033】また、本発明で得られる芳香族ポリカーボ
ネート樹脂は、また必要に応じて、他の樹脂による変性
を行なったり、ガラス繊維や炭素繊維などの充填剤、難
燃化剤、UV吸収剤、離型剤や着色剤を添加しても構わ
ない。本発明方法によって製造されたポリカーボネート
樹脂は、残存塩化メチレンによる問題もなく、色調に優
れた高品質の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造でき
る。従って、該ポリカーボネート樹脂は、例えばシート
やレンズ、コンパクトディスクや光ディスクなどの光学
部品用用途や自動車などの透明部品用途、各種機器のハ
ウジングなど一般的なエンジニアリング・プラスチック
材料として幅広く使用でき、工業的にも極めて有利であ
る。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定される
ものではない。 (1)粘度平均分子量(Mv) 20℃における塩化メチレン溶液の固有粘度[η](dl
/g)をウベローデ粘度管を用いて測定し、次式を用いて
粘度平均分子量を算出した。
【0035】
【数1】[η]=1.23×10-4(Mv)0.83 (2)ポリマーの色調 ペレットの色調は、カラーコンピューター(スガ試験機
(株)製、SMカラーコンピューター、モデルSM−
4)にて反射法により測定したb値で評価した。b値が
大きいほど黄色味は高いことを表しており、色調良好な
サンプルとしてはb値1.5以下、好ましくはb値1.
0以下である。 (3)ジフェニルカーボネート中のエステル誘導体の含
有量 高速液体クロマトグラフィー法により測定した。
【0036】参考例 (ジフェニルカーボネートの精
製) ジフェニルカーボネート80Kgを100°Cで窒素気
流下、1時間撹拌し溶解させた後、140°C付近まで
昇温した。続いて、3Torrまで減圧し蒸留精製を行
った。この際、3Torrにおける蒸留温度を変化させ
ることにより、2−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステ
ル及び4−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステルの除去
量をそれぞれ調節し、各成分の含有量が実施例及び比較
例に示される量であるジフェニルカーボネートを得た。
例えば、蒸留温度を140°Cに設定した場合には、2
−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステルが10ppm、
4−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステルが1ppm以
下の精製ジフェニルカーボネートが94%の収率で得ら
れた。
【0037】実施例1 ビスフェノールA4566g(20.0モル)、2−ヒ
ドロキシ安息香酸フェニルエステル(サリチル酸フェニ
ル)を10ppmと4−ヒドロキシ安息香酸フェニルエ
ステルを1ppm以下含有するジフェニルカーボネート
4584g(21.4モル)とニトリロ三酢酸三リチウ
ム(一水和物)0.022g(0.001モル)を30
l槽型反応装置(SUS316L)に仕込み、窒素置換
した後、徐々に昇温した。反応混合物が溶解した後に攪
拌を始め、この時点を重合開始時間とした(槽内温度1
80℃)。その後さらに270℃まで昇温を続けるとと
もに、徐々に減圧し、生成したフェノールを留去して反
応を続け、最終的に槽内を1Torrに保ち、全重合時間4
時間で重合を終了し、槽内を復圧した後にストランド状
に水槽内に押し出しカッターでペレットとした。得られ
たポリマーの粘度平均分子量は15,500であった。
またポリマーは無色透明であり、色調はb値で0.22
であった。
【0038】実施例2 2−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステルを60ppm
と4−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステルを1ppm
以下含有するジフェニルカーボネートを使用した以外は
実施例1と同様にして重合を行なった。得られたポリマ
ーの粘度平均分子量は17,100であった。またポリ
マーは無色透明であり、色調はb値で0.40であっ
た。
【0039】実施例3 2−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステルを90ppm
と4−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステルを1ppm
以下含有するジフェニルカーボネートを使用した以外は
実施例1と同様にして重合を行なった。得られたポリマ
ーの粘度平均分子量は17,700であった。またポリ
マーは無色透明であり、色調はb値で0.70であっ
た。
【0040】実施例4 2−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステルを1ppm以
下と4−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステルを10p
pm含有するジフェニルカーボネートを使用した以外は
実施例1と同様にして重合を行なった。得られたポリマ
ーの粘度平均分子量は17,700であった。またポリ
マーは無色透明であり、色調はb値で0.30であっ
た。
【0041】実施例5 触媒としてニトリロ三酢酸三ナトリウム(一水和物)を
0.28g(0.001モル)を用いた以外は、実施例
1と同様にして重合を行なった。得られたポリマーの粘
度平均分子量は15,700であった。またポリマーは
無色透明であり、色調はb値で0.25であった。
【0042】実施例6 触媒としてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(二
水和物)を0.37g(0.001モル)を用いた以外
は、実施例1と同様にして重合を行なった。得られたポ
リマーの粘度平均分子量は16,700であった。また
ポリマーは無色透明であり、b値で0.30であった。
【0043】実施例7 触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを
0.46g(0.005モル)及び水酸化ナトリウム
0.0008(0.00002モル)を用いた以外は、
実施例1と同様にして重合を行なった。得られたポリマ
ーの粘度平均分子量は13,500であった。またポリ
マーは無色透明であり、b値で0.85であった。
【0044】実施例8 触媒として2−メチルイミダゾールを0.33g(0.
004モル)を用いた以外は、実施例1と同様にして重
合を行なった。得られたポリマーの粘度平均分子量は1
5,500であった。またポリマーは無色透明であり、
b値で0.95であった。
【0045】実施例9 反応容器にニッケル200(Ni99.5wt%,C0.0
5wt%)を用いた以外は、実施例1と同様にして重合を
行なった。得られたポリマーの粘度平均分子量は15,
500であった。またポリマーは無色透明であり、b値
で0.25であった。
【0046】実施例10 ビスフェノールA4566g(20.0モル)、2−ヒ
ドロキシ安息香酸フェニルエステル(サリチル酸フェニ
ル)を10ppmと4−ヒドロキシ安息香酸フェニルエ
ステルを1ppm以下含有するジフェニルカーボネート
4584g(21.4モル)とニトリロ三酢酸三リチウ
ム(一水和物)0.022g(0.001モル)を30
l槽型反応装置(SUS316L)に仕込み、窒素置換
した後、徐々に昇温した。反応混合物が溶解した後に攪
拌を始め、この時点を重合開始時間とした(槽内温度1
80℃)。その後さらに270℃まで昇温を続けるとと
もに、徐々に減圧し、生成したフェノールを留去して反
応を続け、最終的に槽内を1Torrに保ち、全重合時間4
時間で重合を終了し、槽内を復圧した後にストランド状
に水槽内に押し出しカッターでペレットとした。
【0047】次にこのプレポリマー100重量部に熱安
定剤としてホスホン酸ジフェニル0.03重量部を添加
したうえで、270℃で二軸押出機で溶融し、横型の2
軸セルフクリーニング高粘度反応装置(内容積2l、反
応温度270℃、真空度0.2Torr、回転数60rp
m)へ移送し、2.5Kg/hでギヤポンプにて抜き出
した。滞留時間は30分であった。得られたポリマーの
粘度平均分子量は26,800であった。得られたポリ
マーは無色透明で、b値で0.32であった。
【0048】実施例11 触媒として酢酸カルシウム(一水和物)0.18g
(0.001モル)を用いた以外は、実施例1と同じ条
件で反応を行なった。得られたポリカーボネートの粘度
平均分子量は15,900であった。また色調は黄色み
を帯びており、b値で2.50であった。
【0049】比較例1 2−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステル(サリチル酸
フェニル)を200ppmと4−ヒドロキシ安息香酸フ
ェニルエステルを1ppm以下含有するジフェニルカー
ボネートを使用した以外は実施例1と同じ条件で反応を
行なった。得られたポリカーボネートの粘度平均分子量
は16,600であった。また色調は黄色みを帯びてお
り、b値で6.70であった。
【0050】比較例2 2−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステルを1ppm以
下と4−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステルを200
ppm含有するジフェニルカーボネートを使用した以外
は実施例1と同じ条件で反応を行なった。得られたポリ
カーボネートの粘度平均分子量は14,600であっ
た。また色調は黄色みを帯びており、b値で6.80で
あった。
【0051】比較例3 触媒としてニトリロ三酢酸三ナトリウム(一水和物)を
0.28g(0.001モル)を用いた以外は、比較例
1と同じ条件で反応を行なった。得られたポリカーボネ
ートの粘度平均分子量は15,400であった。また色
調は黄色みを帯びており、b値で6.70であった。
【0052】
【発明の効果】本発明による芳香族ポリカーボネートの
製造法によれば、残存塩化メチレンによる問題もなく、
色調に優れた高品質の芳香族ポリカーボネート樹脂を製
造できるため、広範囲の用途に使用できるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 庄司 英和 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三 菱化成株式会社総合研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジアリー
    ルエステルとからエステル交換反応により芳香族ポリカ
    ーボネート樹脂を製造するに当たり、エステル誘導体が
    100ppm以下である炭酸ジアリールエステルを用い
    ることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂の製造
    方法。
  2. 【請求項2】触媒としてイミノカルボン酸誘導体又はそ
    の塩を用いることを特徴とする請求項1記載の芳香族ポ
    リカーボネート樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】エステル誘導体がヒドロキシ安息香酸フェ
    ニルエステルである請求項1又は2記載の芳香族ポリカ
    ーボネート樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】反応混合物と接触する部分の材質が、鉄の
    含有量が25重量%以上の金属または合金である反応装
    置を用いて、エステル交換反応を行うことを特徴とする
    請求項1から3記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の製
    造方法。
  5. 【請求項5】反応混合物と接触する部分の材質が、ニッ
    ケル及び/又は銅の含有量が70重量%以上の金属また
    は合金である反応装置を用いて、エステル交換反応を行
    うことを特徴とする請求項1から3記載の芳香族ポリカ
    ーボネート樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに
    当たり、前重縮合工程で槽型反応装置を用いて粘度平均
    分子量5,000〜20,000のプレポリマーを合成
    した後、後重縮合工程でさらに高粘度リアクター又は固
    相重合によって高分子量化することを特徴とする請求項
    1から5記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方
    法。
  7. 【請求項7】後重縮合工程において、横型の2軸セルフ
    クリーニング型高粘度リアクターを用いることを特徴と
    する請求項6記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造
    方法。
JP20970893A 1993-08-24 1993-08-24 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造法 Pending JPH0762074A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997036292A1 (en) * 1996-03-28 1997-10-02 Idemitsu Petrochemical Co., Ltd. Digital video disk substrate
WO1997049752A1 (fr) * 1996-06-26 1997-12-31 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Procedes de production de polycarbonate

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WO1997036292A1 (en) * 1996-03-28 1997-10-02 Idemitsu Petrochemical Co., Ltd. Digital video disk substrate
WO1997049752A1 (fr) * 1996-06-26 1997-12-31 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Procedes de production de polycarbonate

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