JP4879516B2 - オレフィン系樹脂シート−ガラスクロス積層体 - Google Patents

オレフィン系樹脂シート−ガラスクロス積層体 Download PDF

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Description

本発明は、塩酸ガス等の有毒ガス発生による環境の汚染がなく、オレフィン系樹脂シートとガラスクロスとの接着性に優れ、かつ、耐水性、耐候性、難燃性及び強靱性を有するオレフィン系樹脂シート−ガラスクロス積層体に関する。
ポリエステルクロス等の布帛の両面に軟質塩化ビニル樹脂シートが接着されてなる積層体は、柔軟にして強靭で、防水性に優れ、塩化ビニル製ターポリンと呼ばれ、建築用膜材、テント倉庫用膜材、テント、屋外資材の覆い、トラック荷台の幌、フレキシブルコンテナ用膜材等に広く使用されている。
しかし、このような塩化ビニル製ターボリンは、これを廃棄物として焼却処理する際や火災が発生した際に、塩化水素ガスや塩素ガス等の有害ガスを生じるため環境が汚染されるという問題があった。これに対して、オレフィン系樹脂シートは、燃焼しても塩化水素ガスや塩素ガス等の有害ガスの発生による環境汚染の問題がないことから、軟質塩化ビニル樹脂シートからオレフィン系樹脂シートへの転換が試みられている。
このようなオレフィン系樹脂シートを用いた積層体として、例えば、特許文献1にはポリエステルクロスやガラスクロス等の粗目の基布の両面に、特定のオレフィン系樹脂シートが接合されてなるオレフィン系ターポリンが開示されている。また、特許文献2には特定のオレフィン系樹脂シートからなる表面材と裏面材との間に、ポリエステルクロスやガラスクロス等の粗目の基布を積層してなる防水シートが開示されている。このように、基布として特にガラスクロスを用いることによって、得られる積層体の強靭性、耐寒性、耐熱性を向上させることができる。
しかしながら、オレフィン系樹脂シートは、軟質塩化ビニル系シートに比べて接着性が劣るため、軟質塩化ビニル樹脂シートとガラスクロスとの接着に広く用いられているウレタン系の接着剤を、オレフィン系樹脂シートとガラスクロスとの接着に適用しても、接着剤がガラスクロス側にとられ、オレフィン系樹脂シートとガラスクロスとの接着不良による剥離が生じやすいという問題があった。
また、特許文献3には、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)からなるシートと基布とが、水添スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、水添スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の少なくとも1種からなるスチレン系ブロック共重合体と粘着付与剤とを含む粘着剤を介して接合された積層体が開示されている。このような積層体は、シートと基布との接着強度に優れる。
しかしながら、この積層体では、基布として綿等の天然繊維やポリエステル繊維等の合成繊維が用いられた場合には、高い接着強度が得られているが、基布としてガラスクロスを用いた場合には、充分に高い接着強度が得られず、剥離が生じ、特にガラスクロスの糸密度が大きくなるほど剥離が生じやすいという問題があった。
また、基布としてガラスクロスを用いた積層体は、屋外で使用した場合、接着剤が紫外線により劣化し、ガラスクロスから樹脂シートが剥離したり、ガラスクロス繊維の毛細管現象によって雨水が積層体の端部から内部へ浸透し、カビ等が発生して外観を著しく損ねたりするという問題があった。
特開平5−104683号公報 特開2000−334901号公報 特開平6−106682号公報
本発明は、上記現状に鑑み、塩酸ガス等の有毒ガス発生による環境の汚染がなく、オレフィン系樹脂シートとガラスクロスとの接着性に優れ、かつ、耐水性、耐候性、難燃性及び強靱性を有するオレフィン系樹脂シート−ガラスクロス積層体を提供することを目的とする。
本発明は、オレフィン系樹脂シートと、撥水剤及びシランカップリング剤を用いて表面処理されたガラスクロスとが、スチレン系ブロック共重合体100重量部に対して、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.1〜1.0重量部含有する接着剤により接着されてなるオレフィン系樹脂シート−ガラスクロス積層体である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、撥水剤及びシランカップリング剤によって表面処理されたガラスクロスを用い、かつ、オレフィン系樹脂シートとガラスクロスとを接着する際に、スチレン系ブロック共重合体100重量部に対して、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.1〜1.0重量部含有する接着剤を用いることにより、得られるオレフィン系樹脂シート−ガラスクロス積層体の接着性及び耐水性を飛躍的に向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のオレフィン系樹脂シート−ガラスクロス積層体(以下、単に積層体ともいう)は、オレフィン系樹脂シートを有する。
上記オレフィン系樹脂シートを用いることによって、本発明の積層体が燃焼した際に、塩化水素ガス、塩素ガス等の有害ガスが発生することなく、環境汚染の問題が生じることがない。
上記オレフィン系樹脂シートを構成するオレフィン系樹脂としては特に限定されず、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレンとプロピレンとのランダム共重合体又はブロック共重合体、エチレン及び/又はプロピレンとこれらと共重合可能な他のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−スチレン共重合体、ブテン単独重合体、イソプレンやブタジエン等の共役ジエン類の単独重合体又は共重合体等が挙げられる。
なかでも、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン及び/又はプロピレンとこれらと共重合可能な他のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が好適に用いられる。
上記他のα−オレフィンとしては特に限定されず、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、ブタジエン等が挙げられる。
これらのオレフィン系樹脂は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。なお、上記(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味する。
上記オレフィン系樹脂の重量平均分子量の好ましい下限は5000、好ましい上限は500000である。より好ましい下限は20000、より好ましい上限は300000である。
上記オレフィン系樹脂の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)の好ましい下限は1.1、好ましい上限は80である。より好ましい下限は1.5、より好ましい上限は40である。
上記オレフィン系樹脂シートの厚さは、オレフィン系樹脂シートとガラスクロスとの積層体の用途に応じて、適当な厚さのものが採用されるが、一般的に好ましい下限は0.05mm、好ましい上限は0.2mmである。
上記オレフィン系樹脂シートは、難燃剤を含有することが好ましい。
上記難燃剤を含有することにより、本発明の積層体の難燃性を更に向上させることができ、本発明の積層体を難燃材料として好適に用いることができる。
上記難燃剤としては特に限定されず、例えば、金属水酸化物、窒素含有化合物、リン含有化合物、メラミン誘導体、層状珪酸塩、金属酸化物、シリコーンアクリル複合ゴム、シリコーンオイル、フッ素樹脂、カーボンブラック等が挙げられる。なかでも、金属水酸化物、メラミン誘導体、層状珪酸塩等が好適に用いられる。
具体的には、例えば、非ハロゲン系難燃剤である水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物と、二酸化珪素、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、熱膨張黒鉛等の無機粉末とからなる無機系難燃剤、スメクタイト系粘土鉱物、膨潤性マイカ等の層状珪酸塩、メラミン、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレート及びその誘導体等の窒素含有難燃剤等が好適に用いられる。
これらの難燃剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、難燃剤と難燃助剤とを併用してもよい。
上記オレフィン系樹脂シートは、用途に応じて、各種着色剤、ヒンダードフェノール等の酸化防止剤、ヒンダードアミン等の光安定剤、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤等を含有してもよい。なかでも、屋外で使用する用途では、耐候性を向上させるために紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
上記オレフィン系樹脂シートは、上記オレフィン系樹脂を用いて、塩化ビニル系樹脂シートを製造する方法と同様にして、カレンダー成形、Tダイ押出成形等の方法により製造することができる。
本発明の積層体は、ガラスクロスを有する。
上記ガラスクロスを用いることによって、本発明の積層体は、強靭性、耐寒性及び耐熱性に優れたものとなる。
上記ガラスクロスとしては、JIS R 3414に規定された平織り、朱子織り又は綾織り等のものを用いることができ、なかでも、平織りのガラスクロスが好ましい。
上記ガラスクロスは、縦糸密度及び横糸密度の好ましい下限が30本/25mmである。30本/25mm未満であると、強靭な積層体が得られないことがあり、貼り付け加工する際の張力により糸が移動して曲がる、いわゆる目曲がりを生じ、外観不良の原因となることがある。また、ガラスクロス上に接着剤を塗布する際に接着剤が裏側へ接着剤が抜ける、いわゆる裏抜けが生じやすくなり、所定量の接着剤を塗布するのが困難となるばかりでなく、裏抜けした接着剤の後処理に煩雑な作業を要することになりやすい。より好ましい下限は50本/25mmである。
上記ガラスクロスは、撥水剤及びシランカップリング剤を用いて表面処理されたものである。
上記ガラスクロスを撥水剤を用いて表面処理することによって、本発明の積層体に撥水性を付与することができ、屋外使用時の雨水等の浸透を防止することができる。
また、シランカップリング剤を用いて表面処理することによって、ガラスクロスと上記オレフィン系樹脂シートとを、上記接着剤で接着する際に、優れた接着性が得られる。
上記撥水剤としては特に限定されず、例えば、フッ素系撥水剤、シリコーン系撥水剤、エマルション等が挙げられる。
上記フッ素系撥水剤としては、パーフロロアルキル基を有するものであれば特に限定されず、例えば、AG-955(旭硝子社製)、AG-970(旭硝子社製)、ディックガードF-90(大日本インキ社製)等が挙げられる。また、シリコーン系撥水剤としては特に限定されず、例えば、ドライポン600(日華化学社製)、PolonT(信越化学工業社製)等が挙げられる。これらの撥水剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、樹脂シートとガラスクロスとの充分な接着力を確保しつつ、充分な耐水性を得る観点から、上記撥水剤の含有量の好ましい下限は、ガラスクロスの基材重量に対して、固形分で0.01重量%、好ましい上限は10重量%、より好ましい下限は0.03重量%、より好ましい上限は5重量%である。
上記シランカップリング剤としては特に限定されず、例えば、ビニルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトシキシラン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記ガラスクロスを上記撥水剤及び上記シランカップリング剤を用いて表面処理する方法としては特に限定されず、例えば、ガラスクロスを処理溶液に浸漬した後、絞りロールを用いてガラスクロスを圧縮して余分な処理溶液を取り除き、加熱乾燥する方法等が挙げられる。
上記処理溶液は、上記撥水剤と上記シランカップリング剤とを、各々単独で使用してもよく、混合して使用してもよい。上記処理工程を簡素化する場合には、上記撥水剤と上記シランカップリング剤とを混合した処理溶液を用いることが好ましい。
本発明の積層体において、上記オレフィン系樹脂シートと上記ガラスクロスとを接着する接着剤は、スチレン系ブロック共重合体を含有する。
上記スチレン系ブロック共重合体を含有する接着剤と、上記シランカップリング剤を用いて表面処理されたガラスクロスとを用いることによって、架橋構造を生じたり、化学的相互作用が生じたりすると考えられることから、上記オレフィン系樹脂シートとガラスクロスとの接着性を飛躍的に向上させることができる。
上記スチレン系ブロック共重合体としては特に限定されず、例えば、水添スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、水添スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、 スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)等が挙げられる。これらのスチレン系ブロック共重合体は、単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記スチレン系ブロック共重合体におけるスチレン成分含有量の好ましい下限は20重量%、好ましい上限は40重量%である。20重量%未満であると、溶剤への溶解性が低下し、基材へ塗布することが困難となる。40重量%を超えると、スチレンとオレフィン系樹脂シートとの相性が悪いことに起因して、オレフィン系樹脂シートとの接着性能が著しく低下することがある。
上記スチレン系ブロック共重合体を含有する接着剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有する。
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有することによって、本発明の積層体を屋外で使用した場合に、紫外線による接着剤の劣化を効果的に防止することができ、オレフィン系樹脂シートとガラスクロスとの密着力の低下を抑制できる。
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、としては、特に限定されないが、2−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル) −5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル) −5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3",4",5",6"−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミノフェニル) ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記接着剤において、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量は、スチレン系ブロック共重合体100重量部に対して、下限が0.1重量部、上限が1.0重量部である。0.1重量部未満であると、充分な紫外線吸収能が得られず、接着剤が劣化し、接着性が悪化することがある。1.0重量部を超えると、接着剤層が黄色に着色し外観が損なわれることがある。
上記接着剤は、粘着付与樹脂、軟化剤等を含有してもよい。また、用途に応じて、着色剤、酸化防止剤、光安定剤等を含有してもよい。
上記粘着付与樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等のテルペン系樹脂、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、石油樹脂及びこれらの水素添加物等が挙げられる。
上記軟化剤としては、例えば、プロセスオイル等のゴム伸展油、フタル酸エステル系可塑剤、燐酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、液状ゴム、液状樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂及び軟化剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明の積層体は、例えば、上記表面処理をしたガラスクロスの少なくとも片面に、上記接着剤を塗布した後、接着剤中の溶剤を乾燥させ、これに上記オレフィン系樹脂シートを加熱圧着させる方法によって製造することができる。
上記接着剤を上記ガラスクロスに塗布する方法としては、例えば、グラビヤロールコーティング法、バーコーティング法、ドクターナイフコーティング法、リバースロールコーティング法等、一般的に用いられるコーティング方法を採用することができる。
上記塗布工程において、上記接着剤は、例えば、上記スチレン系ブロック共重合体と必要に応じて使用される添加剤とを、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤又はイソプロピルアルコール等のアルコール類等の有機溶剤に溶解して溶液として使用される。
上記接着剤は、乾燥後の塗布量の好ましい下限が5g/m、好ましい上限が50g/mである。5g/m未満であると、オレフィン系樹脂シートとガラスクロスとの接着強度が不充分となることがある。50g/mを超えると、それ以上に接着強度は向上せず、本発明の積層体の風合いが硬くなり、引裂強度が低下することがある。より好ましい下限は10g/m、より好ましい上限は30g/mである。
上記溶剤を乾燥させる方法としては特に限定されず、例えば、自然乾燥又は熱風等による強制的乾燥等を採用することができる。
上記加熱圧着の方法としては特に限定されず、例えば、加熱ロールに搬送されて加熱されたオレフィン系樹脂シートとガラスクロスとを、圧延ロールにより圧着する方法が用いられる。
上記加熱圧着をする際の圧力の好ましい下限は2kg/cm、好ましい上限は5kg/cmである。2kg/cm未満であると、オレフィン系樹脂シートとガラスクロスとの接着強度が不充分となりやすく、5kg/cmを超えると、ガラスクロスと圧延ロールとの摩擦によりガラス繊維の毛羽立ちが発生し、膜材料として外観不良や機械強度の低下につながることがある。
上記加熱圧着をする際の上記オレフィン系樹脂シートの温度の好ましい下限は100℃である。100℃未満であると、ガラスクロスに塗布された接着剤が軟化又は溶融しないため、接着強度が不充分となることがある。
なお、本発明の積層体は、予め接着剤組成物をフィルム状に溶融押出成型しておき、フィルム状接着剤をガラスクロスに重ね合わせ、これに対しオレフィン系樹脂シートを加熱圧着する方法によっても製造することができる。
本発明の積層体の全体の厚みの好ましい下限は0.3mm、好ましい上限は2mmである。0.3mm未満であると、充分な機械強度が得られないため、容易に引き裂けてしまうことがある。2mmを超えると、機械強度が高すぎるため、任意の大きさに切断したり折り曲げたりして施工することが困難になることがある。
本発明の積層体について、JIS L 1096に準拠した方法により測定した、オレフィン系樹脂シートとガラスクロスとの初期剥離強度の好ましい下限は3.0kgf/30mmである。3.0mm未満であると、オレフィン系樹脂シートとガラスクロスとの接着不良による剥離が生じることがある。
本発明の積層体について、耐候促進試験(スーパーUV試験、216h、屋外暴露5年相当)を行い、JIS L 1096に準拠した方法により測定した、オレフィン系樹脂シートとガラスクロスとの経時剥離強度の好ましい下限は3.0kgf/30mmである。3.0mm未満であると、屋外で使用した場合、接着剤が紫外線により劣化し、ガラスクロスから樹脂シートが剥離することがある。
本発明の積層体は、3%の赤インク水溶液中に長さ5mmが浸漬するように固定した際、72時間経過後に、積層体が液面からの赤インクを吸い上げている長さの好ましい上限は20mmである。20mmを超えると、屋外で使用した場合、雨水が内部へ浸透しカビ等が発生することがある。
本発明の積層体は、軟質塩化ビニル樹脂シートとガラスクロスとの積層体と同様の用途に用いることができ、例えば、オレフィン系ターポリンとして、建築用膜材、テント倉庫用膜材、テント、屋外資材の覆い、トラック荷台の幌ファザード、フレキシブルコンテナ用膜材等に好適に使用することができる。また、自動車用内装材にも使用することができる。
本発明により、塩酸ガス等の有毒ガス発生による環境の汚染がなく、オレフィン系樹脂シートとガラスクロスとの接着性に優れ、かつ、耐水性、耐候性、難燃性及び強靱性を有するオレフィン系樹脂シート−ガラスクロス積層体を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
厚さ0.18mmのガラスクロス(JIS R 3414:EP18A、KS2500、カネボウ社製)を、3重量%のシリコーン系撥水剤(PolonT、信越化学工業社製)水溶液中に浸漬し、絞りロールとしてマングルを用い、クロスを引き上げることにより余分な処理溶液を除去した後、170℃の乾燥炉内で乾燥させた。
更に、このガラスクロスを5重量%の酢酸水溶液中で濃度が1重量%となるように希釈したN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−573、信越化学工業社製)の処理溶液中に浸漬した後、上記と同様の方法で、処理溶液の除去、乾燥を行なった。
シリコーン系撥水剤及びN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランにより表面処理を行なったガラスクロスの片面に、コンマコーターを用いて、スキップ66(水添スチレン・ブタジエン・ブタジエン共重合樹脂:ソテック社製)及びチヌビン327(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:チバスペシャリティケミカルズ社製)からなる接着剤を、乾燥後の塗布量が10g/mとなるように塗布した後、雰囲気温度130℃の乾燥炉内で乾燥させて心材に巻き取り、反対面に対しても同様の条件で接着剤の塗布を行った。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(ウルトラセン#643、東ソー社製)100重量部と水酸化マグネシウム(キスマ5P、協和化学工業社製)40重量部とメラミンシアヌレート(MC-610、日産化学工業社性)30重量部とを混合し、得られた混合物をカレンダー機によってシート状に成形して、厚さ0.2mmの難燃剤含有エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートを得た。得られた難燃剤含有エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートと表面処理をしたガラスクロスの両面に、170℃、4kg/cmの条件に設定した圧着ロールにより貼合わせて接着させ、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートとガラスクロスとの積層体を得た。
(実施例2)
厚さ0.18mmのガラスクロス(JIS R 3414:EP18A、KS2500、カネボウ社製)を、5重量%の酢酸水溶液中で濃度が3重量%となるよう希釈されたシリコーン系撥水剤(PolonT、信越化学工業社製)と、濃度が1重量%となるよう希釈されたN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−573、信越化学工業社製)との混合処理溶液中に浸漬し、絞りロールとしてマングルを用い、クロスを引き上げることにより余分な処理溶液を除去した後、170℃の乾燥炉内で乾燥させた以外は、実施例1と同様の方法により、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートとガラスクロスとの積層体を得た。
(比較例1)
チヌビン327(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:チバスペシャリティケミカルズ社製)を含有しない接着剤を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートとガラスクロスとの積層体を得た。
(比較例2)
チヌビン327(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:チバスペシャリティケミカルズ社製)を含有せず、スキップ66(水添スチレン・ブタジエン・ブタジエン共重合樹脂:ソテック社製)の代わりにジョイタックAD450(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、トクシキ社製)を含有する接着剤を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートとガラスクロスとの積層体を得た。
(比較例3)
接着剤としてチヌビン327(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:チバスペシャリティケミカルズ社製)を含有せず、ニッポラン5199(ウレタン系樹脂、日本ポリウレタン社製)のみからなる接着剤を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートとガラスクロスとの積層体を得た。
(比較例4)
ガラスクロスの表面処理として、シリコーン系撥水剤(PolonT、信越化学工業社製)による撥水処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートとガラスクロスとの積層体を得た。
(比較例5)
オレフィン系樹脂シートとして、金属水酸化物と窒素含有難燃剤とからなる難燃剤を全く含有せず、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(ウルトラセン#643、東ソー社製)のみからなるシートを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートとガラスクロスとの積層体を得た。
(評価)
実施例1、2及び比較例1〜5で得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートとガラスクロスとの積層体について、以下の方法により評価を行った。
結果は表1に示した。
(1)初期剥離強度評価
得られた積層体について、JIS L 1096に準拠した方法により、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートとガラスクロスとの初期剥離強度を測定した。
(2)経時剥離強度評価
得られた積層体について、耐候促進試験(スーパーUV試験、216h、屋外暴露5年相当)を行なった後、JIS L 1096に準拠した方法により、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートとガラスクロスとの経時剥離強度を測定した。
(3)吸水長評価
得られた積層体(長さ150mm×幅30mm)を3%の赤インク水溶液中に、長さ5mmが浸漬するように固定した。72時間経過後に、積層体が液面からの赤インクを吸い上げている長さを測定し、以下の基準により評価した。
○:吸水長が20mm以下。
×:吸水長が20mmより長い。
(4)不燃性能評価
得られた積層体(長さ99mm×幅99mm×厚さ0.18mm)を、コーンカロリーメーターを用いて輻射電気ヒーターから積層体の表面に50kW/mの輻射熱を照射した。
加熱開始後20分間の総発熱量及び最高発熱速度の測定および目視にて加熱後の積層体の防火上有害な変形、溶融、亀裂、その他の損傷の確認を行った。評価基準は以下の通りである。
(評価基準)
総発熱量6MJ・m、発熱速度200kW/mの超過時間:10秒以下、
防火上有害な変形、溶融、亀裂、その他の損傷:なし
○ : 上記基準を全て満たす
× : 上記基準を一つでも満たさない
Figure 0004879516
本発明によれば、オレフィン系樹脂シートとガラスクロスとの接着性に優れ、かつ、耐水性、耐候性、難燃性及び強靱性を有するオレフィン系樹脂シート−ガラスクロス積層体を提供することができる。

Claims (6)

  1. オレフィン系樹脂シートと、撥水剤及びシランカップリング剤を用いて表面処理されたガラスクロスとが、スチレン系ブロック共重合体100重量部に対して、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.1〜1.0重量部含有する接着剤により接着されてなることを特徴とするオレフィン系樹脂シート−ガラスクロス積層体。
  2. 撥水剤は、フッ素系撥水剤及びシリコーン系撥水剤からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン系樹脂シート−ガラスクロス積層体。
  3. 撥水剤の含有量が、ガラスクロスの基材重量100重量部に対して、固形分で0.01〜10重量%である請求項1〜2の何れか1項に記載のオレフィン系樹脂シート−ガラスクロス積層体。
  4. 撥水剤がシリコーン系撥水剤であり、かつ、シランカップリング剤がN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする請求項2に記載のオレフィン系樹脂シート−ガラスクロス積層体。
  5. 接着剤の乾燥後の塗布量が5〜50g/m である請求項1〜4の何れか1項に記載のオレフィン系樹脂シート−ガラスクロス積層体。
  6. オレフィン系樹脂シートは、難燃剤を含有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のオレフィン系樹脂シート−ガラスクロス積層体。
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