JP3632752B2 - 測長器用長尺シート及び測長器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、寸法安定性に優れた測長器用長尺シート及びそれから作製された測長器、例えば巻尺に関するものである。より詳しくは、繊維芯地基材にポリオレフィン系樹脂被覆されたシートの表面に、コロナ放電処理などの前処理工程を必要とせずに寸法目盛などの印刷が可能であり、かつ、常温使用時はもとより、夏場屋外使用時、更には、高温雰囲気下での使用時にも寸法精度の信頼性が高く、測長器製造に適した測長器用長尺シート及びそれから作製された測長器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
柔軟かつ強靱で、耐久性、加工性、コスト性に優れた合成樹脂材料として、軟質ポリ塩化ビニル樹脂が、玩具、文具、雑貨、建材、化粧板、壁紙、床材、テント膜材、防水シートなどの材料として広く使用、普及している。軟質ポリ塩化ビニル樹脂は、印刷性に優れた適性を有しているために、これらの製品は、それに文字、模様、及び/又は絵柄などが印刷によって表面加飾されているものが大多数ある。
【0003】
このうち合成繊維織物を芯地基材として、ポリ塩化ビニル樹脂が芯地基材の両面上を平滑に被覆し、この被覆両面に寸法目盛と数字表示とを後印刷した帯状のシートが、工業用の長尺測長器(メジャー、巻尺など)として使用されている。これらの長尺測長器は汎用的には任意の40〜200mmの幅と、10〜300mの長さのものが使用され、例えば建築物、土木工事、造園などの建造、また機械、設備、航空機、船舶などの各種製造分野を始め、陸上競技、水泳などのスポーツ分野での計測、測長などにも有用されている。特にこれらの測長器に、例えば10cm単位ごとに数字が大きく鮮明に印刷されたもの、さらに10cm単位ごとに基材が交互に色分け印刷され、その上に数字が鮮明に大きく印刷されたものは、測長表示を証拠として必要とする写真撮影、ビデオ撮影などの地上からの、または空中からの記録に効果的に実用されている。
【0004】
これらの工業用長尺測長器(メジャー)は、その測長用途が大型になればなるほど有用性を増す反面、より測長の信頼性を得るためにメジャー本体が弛んだり、自重で垂れ下がったりしない様に測長器本体に常時または一時的に引張による適度の緊張を与え続ける必要があり、そのため徐々に測長器本体の応力緩和によって伸びを生じてしまうという問題点がある。従って、寸法精度の信頼性の面から現場での測長は、数回から数十回の使用で新しい測長器に交換しなければならない。特に夏場の屋外で強い緊張を与え続ける様な高温使用環境、また、季節を問わず常時80℃以上の高温に晒される高温環境における使用時には、より緊張による応力緩和が大きくなるため測長器本体が伸びて寸法に大きな歪みを生じてしまうという問題があり、交換サイクルがさらに早くなる。
【0005】
この様な測長器の応力緩和に対する伸びを少なくするために芯地基材の合成繊維織物をガラス繊維織物に替えたものも一部で使用されているが、ガラス繊維織物を芯地に用いたものは確かに寸法安定性に優れているがその反面、側部スリット断面からスリット時に切断されたガラスフィラメントがほつれて飛び出し、皮膚を刺激し、時には切り傷の原因となることがあるため手袋を装着して作業しなければならない。
【0006】
また、メジャーの印刷面が汚れる用途における測長は、写真撮影の必要性から数回の使用で交換の必要の場合がある。従って工業用測長器は交換サイクルの早い物品であり、すなわち廃棄が常時行われる物品である。しかし最近、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン製品などのように廃棄手段として焼却処理が行われる製品に対しては、ダイオキシンを発生の懸念から多くの場合その焼却が規制されているためこのような測長器の使用は好ましい事ではない。また、廃棄手段としての埋め立て処理が行われる場合、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、及びポリ塩化ビニリデン製品は、それに含まれる可塑剤が地下水系に移行しこれを汚染するなどの環境負荷を生ずる因子として問題視されるようになってきている。このため、廃棄処分に環境的負荷が少ない工業用測長器開発が望まれていた。またそれと同時に工業用測長器の軽量化の観点から軟質ポリ塩化ビニル樹脂から他の軽量合成樹脂への置き換えも切望されている。
【0007】
現在、ポリ塩化ビニル樹脂業界では、ポリ塩化ビニル樹脂の代替合成樹脂として、ハロゲン原子を含有しないポリオレフィン系樹脂が環境負荷の少ない樹脂として取り挙げられ、特に食品分野、包装材分野、文具雑貨などにおいてポリオレフィン系樹脂製品の利用が普及し始めている。一般にポリオレフィン系樹脂は、無極性、高結晶性であるため、難塗装性であるという問題があるが、これらの用途では通常印刷なしで使用されたり、印刷されても印刷部分が少なかったり、あるいは製品自体のライフサイクルの短さから印刷に耐久性が要求されなかったりするためコロナ放電処理を併用して比較的容易に印刷がなされている。
しかし、工業用測長器寸法目盛、数字などを表示する印刷部に、密着耐久性、摩耗耐久性が必要であり、この要件に欠けると測長時の引きずり、測長対象物とメジャー表面の擦れなどの過酷な作業条件によって寸法目盛や数字表示が容易に摩耗、脱落してしまい、写真撮影時に寸法表示が不明確となる問題があることがある。
【0008】
現在使用されている長尺測長器はポリ塩化ビニル樹脂フィルム層が表面に形成されているため、汎用の塩ビ用溶剤インキ、あるいは水性インキなどを使用して容易に耐久性のある寸法目盛や数字表示が印刷可能である。しかしこのフィルム層用樹脂をポリオレフィン系樹脂に置き換えた場合、従来ポリ塩化ビニル樹脂の印刷に使用可能であったインキが全く使用できないか、或は印刷可能であっても耐久性が不足な場合がある。従来ポリオレフィン系樹脂製品に耐久性の印刷を付与する技術として、コロナ放電処理装置による表面改質処理、プライマー剤表面処理の併用、又は特殊なUV硬化塗料の使用などが知られている。
【0009】
例えばコロナ放電処理の場合、その上に耐久性に優れた印刷層を形成するためには、コロナ放電処理直後にプライマー剤を塗布しなければ、その効果が安定して得られないという難点がある。またプライマー剤としては塩素化ポリプロピレン、変性クロロプレンゴム、イソシアネート化合物、ポリヒドロキシポリオレフィンとイソシアネート化合物との付加体、並びに水素基末端ポリブタジエングリコールとポリイソシアネートとの反応生成物などが知られている。上記プライマー剤は、ポリオレフィン樹脂表面との密着性を向上させるための粘着性物質であるか、又は粘着性付与剤の添加を伴う粘着性状物質である。通常このようなプライマー剤の塗布はシート状の製品の片面のみに処理される場合にはあまり大きな問題とはならないが、両面印刷を必要とする工業用長尺測長器に対しては、上記プライマー剤を表裏両面に連続塗布、乾燥して巻き取る製造の中間工程において、プライマー剤塗布面同士がブロッキングしてしまい、無理に剥がすとプライマー剤塗膜層が剥離、脱落するという問題を生じるという欠点がある。またこの様な製造時の中間工程にブロッキングを生じないプライマー剤を用いても、得られた製品の使用時に、特に夏場の高温環境下において巻き状態で保管したときに、熱ブロッキングを生じて問題となる。
【0010】
通常この様なプライマー剤を表裏両面に塗布して使用する場合には、さらにプライマー剤塗布層の表面にブロッキング防止層の形成が必要となる。この様なブロッキング防止層は、熱可塑性樹脂を溶解して含む表面処理剤の塗布、乾燥によって形成可能である。但し、プライマー剤塗布面同士のブロッキングの問題を避けるために表裏両面にプライマー剤層を形成した後、連続してブロッキング防止層を形成させて巻き取らなければならないという制約がある。この様な1パス片面2塗工のコーターで両面に同時に塗布可能な加工機は特殊であるため、通常は、片面2塗工(プライマー剤塗膜層、ブロッキング防止層)の2パス加工、もしくは片面1塗工ずつの4パス加工が可能であるが、この場合には塗工工程が必要以上に煩雑となり加工コストが高騰するため好ましくない。
【0011】
従って工業用測長器の表面被覆用樹脂を、ポリ塩化ビニル樹脂からポリオレフィン系樹脂に置き換えることは可能ではあるが、2次加工による寸法目盛や、数字表示部の印刷工程において印刷が困難であったり、あるいは、印刷を可能とするために煩雑な印刷前処理工程を必要とするなどの問題があり、その結果得られる工業用測長器の被印刷層の耐摩耗性や基材との密着性に劣り、実用性のないものであったり、あるいは、プライマー剤塗膜層や、ブロッキング防止層を設けて被印刷層の耐久性を改良した設計では製造コストが高いものとなってしまうなどの欠点があり、このため、安価に市場提供できるポリオレフィン系樹脂製の工業用測長器は開発されていなかった。
また、油性グラビアインキ、油性スクリーンインキなどによる印刷はもとより、水性グラビアインキ、水性スクリーンインキによる印刷が可能なポリオレフィン系樹脂を用いた工業用測長器は開発されていなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題であったポリオレフィン系樹脂シートの印刷適性を改良し、従来不可欠であったコロナ放電処理、プライマー剤処理、及びブロッキング防止層の形成などの煩雑な前処理工程を必要とせずに、従来の印刷インキによる印刷が可能であり、かつ、常温使用時はもとより、夏季屋外使用時、更には、高温雰囲気下における使用時にも、寸法精度の信頼性が高いポリオレフィン系樹脂製の工業用長尺測長器の製造に適した、すなわち測長器用長尺シート、及びそれから得られる測長器を提供することを課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべき研究、検討を重ねた結果、コロナ放電処理と特別なプライマー剤処理、ブロッキング防止処理などの従来の煩雑な手段を用いることなく、寸法目盛と数字表示が印刷されたポリオレフィン系樹脂製の測長に適したシートを発明するに至った。
より詳しく述べるならば、本発明は繊維布帛、特にほつれ防止したガラス繊維織物を芯地基材として、酢酸ビニル成分と、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、及びメタアクリル酸エステルの1種以上からなる成分の少なくとも1種を特定量含有する共重合ポリオレフィン系樹脂組成物フィルム層を両面に形成したシート状基材の表面に、有機溶剤に可溶化させたポリオレフィン系樹脂組成物からなるコーティング剤を塗布、乾燥させて、酢酸ビニル成分と、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、及びメタアクリル酸エステルの1種以上からなる成分の少なくとも1種を特定量含有する共重合ポリオレフィン系樹脂組成物からなる被印刷層を設け、この被印刷層の表面に寸法目盛と数字表示を印刷したシートの長さ(経糸)方向の引張弾性率が、4000〜40000 kgf/mm2 (39200〜392000N/mm2 )、破断伸度が7%以下であることによって、常温使用時、夏場屋外使用時、高温雰囲気下での使用時にも寸法精度の信頼性が高く、また写真及びビデオ撮影に適した光沢外観を有するポリオレフィン系樹脂製の測長用長尺シート(メジャー)が容易に得られることを見いだして本発明を完成させるに至った。
【0014】
また、本発明は、前記共重合ポリオレフィン系樹脂組成物フィルムと、前記被印刷層を形成する共重合ポリオレフィン系樹脂組成物のコーティング剤のいずれか一方、または両方にスチレン系共重合体樹脂を特定比率で含有したポリオレフィン系樹脂組成物を用いることによって得られるシートの印刷性がさらに向上することを見いだして本発明を完成させるに至った。
【0015】
本発明の測長器用長尺シート(1)は、マルチフィラメント繊維糸条から製織された繊維布帛からなる基材と、この基材の両面上に形成された2層のポリオレフィン系樹脂層と、前記2層のポリオレフィン系樹脂層の少なくとも1層上に設けられた被印刷層とを有するシートであって、
(A)前記ポリオレフィン系樹脂層が、エチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル及びメタアクリル酸エステルから選ばれた少なくとも1員からなる共重合成分とからなる共重合体樹脂(1)を含み、かつ、前記共重合体樹脂(1)に含まれる前記共重合成分の合計含有量が5〜30重量%であり、
(B)前記被印刷層が、エチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル及びメタアクリル酸エステルから選ばれた少なくとも1員からなる共重合成分とからなる共重合体樹脂(2)を含み、かつ、前記共重合体樹脂(2)に含まれる前記共重合成分の合計含有量が25〜60重量%であって、前記共重合体樹脂(2)が有機溶剤可溶性であり、かつ
(C)前記シートの長さ(経糸)方向の引張弾性率(JIS規格K7113)が39200〜392000N/mm2 (4000〜40000 kgf/mm2 )であり、破断伸度(JIS規格K7113)が5%以下である、ことを特徴とするものである。
本発明の測長器用長尺シート用長尺シートにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂層が、
(a)エチレン−酢酸ビニル共重合体、
(b)エチレン−アクリル酸共重合体、
(c)エチレン−メタアクリル酸共重合体、
(d)エチレン−アクリル酸エステル共重合体、及び
(e)エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、から選ばれた少なくとも1種の共重合体樹脂(1)と、少なくとも1種のスチレン系共重合体樹脂とを、重量比100:1〜100:100で含む共重合体混合樹脂(3)により形成され、前記共重合体混合樹脂(3)に含まれる前記共重合体(a),(b),(c),(d)及び(e)の前記共重合成分の合計含有量が、前記共重合体混合樹脂(3)の合計重量の5〜30重量%であることが好ましい。
本発明の測長器用長尺シートにおいて、前記被印刷層が、
(a′)エチレン−酢酸ビニル共重合体、
(b′)エチレン−アクリル酸共重合体、
(c′)エチレン−メタアクリル酸共重合体、
(d′)エチレン−アクリル酸エステル共重合体、及び
(e′)エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、から選ばれた少なくとも1種の前記共重合体樹脂(2)と、さらに少なくとも1種のスチレン系共重合体樹脂とを、重量比100:1〜100:100で含む共重合体混合樹脂(4)により形成され、前記共重合体混合樹脂に含まれる前記共重合体(a′),(b′),(c′),(d′)及び(e′)の前記共重合成分の合計含有量が、前記共重合体混合樹脂(4)の合計重量の25〜60重量%であることが好ましい。
本発明の測長器用長尺シート(2)は、マルチフィラメント繊維糸条から製織された繊維布帛からなる基材と、この基材の両面上に形成された2層のポリオレフィン系樹脂層と、前記2層のポリオレフィン系樹脂層の少なくとも1層上に設けられた被印刷層とを有するシートであって、
(A′)前記ポリオレフィン系樹脂層が、
(a)エチレン−酢酸ビニル共重合体、
(b)エチレン−アクリル酸共重合体、
(c)エチレン−メタアクリル酸共重合体、
(d)エチレン−アクリル酸エステル共重合体、及び
(e)エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、から選ばれた少なくとも1種の共重合体樹脂(1)と、少なくとも1種のスチレン系共重合体樹脂とを、重量比100:1〜100:100で含む共重合体混合樹脂(3)により形成され、前記共重合体混合樹脂(3)に含まれる前記共重合体(a),(b),(c),(d)及び(e)の前記共重合成分の合計含有量が、前記共重合体混合樹脂(3)の合計重量の5〜30重量%であり、
(B′)前記被印刷層が、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリスチレン系樹脂から選ばれた1種以上の有機溶剤溶解性熱可塑性樹脂を含み、
(C′)前記シートの長さ(経糸)方向の引張弾性率(JIS規格K7113)が39200〜392000N/mm2 (4000〜40000 kgf/mm2 )であり、破断伸度(JIS規格K7113)が5%以下である、ことを特徴とするものである。
本発明の測長器用長尺シート(1)又は(2)において、前記ポリオレフィン系樹脂層用共重合体混合樹脂(3)又は前記印刷層用(4)に含まれる前記スチレン系共重合体樹脂が、スチレン重合体ブロック(A)と、ブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック及びビニルイソプレン重合体ブロックから選ばれた1種の重合体ブロック(B)とからなるA−B−A型ブロック共重合体、及びA−B型ブロック共重合体;スチレンとブタジエン、イソプレン及びビニルイソプレンの少なくとも1種とのランダム共重合体;並びに、前記ブロック共重合体及びランダム共重合体中のビニル結合含有(B)成分単位に対し、水素添加を施して得られた水素添加スチレン系共重合体樹脂から選ばれることが好ましい。
本発明の測長器用長尺シート(1)又は(2)において、前記スチレン系共重合体樹脂が、有機系溶剤に可溶性又は膨潤性であることが好ましい。
本発明の測長器用長尺シート(1)又は(2)において、前記被印刷層が1〜25重量%のシリカを含有して形成されていることが好ましい。
本発明の測長器用長尺シート(1)又は(2)において、前記マルチフィラメント繊維糸条が、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、複素環高分子繊維、超高分子量ポリエチレン繊維の1種以上からなることが好ましい。
本発明の測長器用長尺シート(1)又は(2)において、前記シートが、75%以上の遮光率を有することが好ましい。
本発明の測長器用長尺シート(1)又は(2)において、前記繊維布帛基材と前記ポリオレフィン系樹脂層との間に、さらに90%以上の遮光率を有する着色ポリオレフィン系樹脂遮光層が形成されていることが好ましい。
本発明の測長器用長尺シート(1)又は(2)において、前記繊維布帛基布が90%以上の遮光率を有することが好ましい。
本発明の測長器用長尺シート(1)又は(2)において、前記繊維布帛基布が、着色されているか、或は、着色樹脂により含浸されていることが好ましい。
本発明の測長器用長尺シート(1)又は(2)において、前記被印刷層の表面光沢度(JIS規格Z−8741:60度鏡面光沢)が10以下であることが好ましい。
本発明の測長器用長尺シート(1)又は(2)において、前記繊維布帛が熱可塑性樹脂によって、ほつれ防止されていることが好ましい。
本発明の測長器は、前記本発明の測長器用長尺シート(1)又は(2)から作製され、その少なくとも1層の被印刷層面に寸法目盛、又は寸法目盛と数字表示とが印刷されているものである。
本発明の測長器において、前記寸法目盛が0.5cm刻みの最小単位又は1.0cm刻みの小単位と、10cm刻みの中単位及び、100cm刻みの大単位とのいずれか1種以上を有するものであってもよい。
本発明の測長器において、50℃温度雰囲気下における長さ(経糸)方向の引張弾性率が39200〜392000N/mm2 (4000〜40000 kgf/mm2 )であり、かつその破断伸度が7%以下であることが好ましい。
本発明の測長器において、80℃温度雰囲気下における長さ(経糸)方向の引張弾性率が39200〜392000N/mm2 (4000〜40000 kgf/mm2 )であり、かつその破断伸度が9%以下であることが好ましい。
本発明の測長器において、前記被印刷層面上の前記寸法目盛印刷部分の表面光沢度(JIS規格Z−8741:60度鏡面光沢)が10以下であることが好ましい。
本発明の測長器において、その表裏両面に、前記寸法目盛、又は寸法目盛と数字表示とが印刷されている前記被印刷層を有していてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)は、それぞれマルチフィラメント繊維糸状から製織された繊維布帛を基材として、その両面上に形成された2層のポリオレフィン系樹脂層と、この2層の前記ポリオレフィン系樹脂層の少なくとも1層の上に設けられた被印刷層とを有するシートである。
【0017】
本発明の測長器用長尺シート(1)において、
(A)前記ポリオレフィン系樹脂層は、エチレンと、酢酸ビニル成分、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル及びメタアクリル酸エステルから選ばれた少なくとも1員からなる共重合成分からなる共重合体樹脂(1)を含み、かつ、前記共重合体樹脂(1)に含まれる前記共重合成分の合計含有量が5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%であり、
(B)前記被印刷層は、エチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル又はメタアクリル酸エステルから選ばれた少なくとも1員からなる共重合成分からなる共重合体樹脂(2)を含み、かつ、前記共重合体樹脂(2)に含まれる前記共重合成分の合計含有量が25〜60重量%、好ましくは30〜45重量%であって、前記共重合体樹脂(2)が有機溶剤可溶性であり、かつ
(C)前記シートの長さ(経糸)方向の引張弾性率(JIS規格K7113)が39200〜392000N/mm2 (4000〜40000 kgf/mm2 )好ましくは58800〜196000N/mm2 であり、破断伸度(JIS規格K7113)が5%以下好ましくは3%以下である。
【0018】
本発明の測長器用長尺シート(1)において、
その好ましいポリオレフィン系樹脂層は、
(a)エチレン−酢酸ビニル共重合体、
(b)エチレン−アクリル酸共重合体、
(c)エチレン−メタアクリル酸共重合体、
(d)エチレン−アクリル酸エステル共重合体、及び
(e)エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、から選ばれた少なくとも1種の共重合体樹脂(1)と、少なくとも1種のスチレン系共重合体樹脂とを、重量比100:1〜100:100、より好ましくは100:5〜100:50で含む共重合体混合樹脂(3)により形成され、前記共重合体混合樹脂(3)に含まれる前記共重合体(a),(b),(c),(d)及び(e)の前記共重合成分の合計含有量が、前記共重合体混合樹脂(3)の合計重量の5〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%である。
【0019】
本発明の測長器用長尺シート(1)において、
その被印刷層は、好ましくは
(a′)エチレン−酢酸ビニル共重合体、
(b′)エチレン−アクリル酸共重合体、
(c′)エチレン−メタアクリル酸共重合体、
(d′)エチレン−アクリル酸エステル共重合体、及び
(e′)エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、から選ばれた少なくとも1種の前記共重合体樹脂(2)と、さらに少なくとも1種のスチレン系共重合体樹脂とを、重量比100:1〜100:100、より好ましくは100:5〜100:50で含む共重合体混合樹脂(4)により形成され、前記共重合体混合樹脂に含まれる前記共重合体(a′),(b′),(c′),(d′)及び(e′)の前記共重合成分の合計含有量が、前記共重合体混合樹脂(4)の合計重量の25〜60重量%、より好ましくは30〜45重量%である。
【0020】
本発明の測長器用長尺シート(2)において、
(A′)前記ポリオレフィン系樹脂層は、
(a)エチレン−酢酸ビニル共重合体、
(b)エチレン−アクリル酸共重合体、
(c)エチレン−メタアクリル酸共重合体、
(d)エチレン−アクリル酸エステル共重合体、及び
(e)エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、から選ばれた少なくとも1種の共重合体樹脂(1)と、少なくとも1種のスチレン系共重合体樹脂とを、重量比100:1〜100:100、好ましくは100:5〜100:50で含む共重合体混合樹脂(3)により形成され、前記共重合体混合樹脂(3)に含まれる前記共重合体(a),(b),(c),(d)及び(e)の前記共重合成分の合計含有量が、前記共重合体混合樹脂(3)の合計重量の5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%であり、
(B′)前記被印刷層が、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリスチレン系樹脂から選ばれた1種以上の有機溶剤溶解性熱可塑性樹脂を含み、
(C′)前記シートの長さ(経糸)方向の引張弾性率(JIS規格K7113)が39200〜392000N/mm2 (4000〜40000 kgf/mm2 )好ましくは58800〜196000N/mm2 であり、破断伸度(JIS規格K7113)が5%以下好ましくは3%以下である。
【0021】
下記に用いられる用語「(メタ)アクリル酸(エステル)」とは、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルを包含するものである。
【0022】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)のポリオレフィン系樹脂層に使用されるポリオレフィン系樹脂としては、ラジカル重合法又はイオン重合法により製造された物が使用できる。ラジカル重合法で得られるポリエチレン系樹脂は、エチレン単独又はエチレンとラジカル重合し得る単量体と共重合して得られるもので、ラジカル重合し得る単量体としては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和カルボン酸及びそのエステル化物や酸無水物、酢酸ビニルなどのビニルエステル類などが挙げられる。不飽和カルボン酸のエステル化物としては、例えばアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。これらの単量体は、1種のみならず2種以上用いることができる。
【0023】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)のポリオレフィン系樹脂層に使用される共重合体樹脂(1)としては、酢酸ビニル成分含有量が5〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂もしくは、(メタ)アクリル酸(エステル)成分含有量が5〜30重量%のエチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂、または、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂と(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂との重量比100:1〜1:100のブレンド物によって得られる酢酸ビニル成分と(メタ)アクリル酸(エステル)成分の合計量として5〜30重量%を含有するポリオレフィン系樹脂組成物が使用できる。
【0024】
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、エチレンモノマーと酢酸ビニルモノマーとのラジカル重合によって得られるもの、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂としては、エチレンモノマーとアクリル酸モノマーとのラジカル重合によって得られるエチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレンモノマーとアクリル酸エステルモノマーとのラジカル重合によって得られるエチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、エチレンモノマーとメタアクリル酸モノマーとのラジカル重合によって得られるエチレン−メタアクリル酸共重合体樹脂、エチレンモノマーとメタアクリル酸エステルモノマーとのラジカル重合によって得られるエチレン−メタアクリル酸エステル共重合体樹脂など、及びこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。
【0025】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)のポリオレフィン系樹脂層に使用されるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体樹脂などのエチレン系共重合体樹脂は、単独使用又は2種以上のブレンド組成において、そのメルトインデックスが、0.3〜20g/10min のものが本発明に好適である。メルトインデックスが、0.3g/10min 未満であると、本発明の測長器用長尺シートの成形加工が困難になることがあり、またそれが20g/10min よりも高いときは測長器用長尺シートの強度及び耐熱性が不十分になることがある。またこれらのエチレン系共重合体樹脂は、共重合モノマー含有量が5〜30重量%の範囲内にあるものが好ましく使用できる。共重合モノマー含有量が5重量%未満であると、高周波ウエルダー性が不十分になることがあり、また共重合モノマー含有量が30重量%よりも多いと、高周波ウエルダー性は向上するが、加工時の粘着性が増し、成形加工が困難になることがあり、それと同時に、測長器用長尺シートの強度及び耐熱クリープ性が不十分になることがある。
【0026】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)のポリオレフィン系樹脂層には、樹脂強度改善を目的として、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂をブレンドしていてもよい。エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂は、エチレンモノマーと炭素数3〜18のα−オレフィンモノマーとを、遷移金属固体触媒又はメタロセン系均一触媒の存在下にイオン重合することにより得られる。α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、オクタデセン−1などが用いられるが、炭素数4〜10のα−オレフィンを用いることが好ましい。また、これらのα−オレフィンを1種または2種以上用いて共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂を使用してもよい。
【0027】
これらのエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂は、その単独使用又は2種以上を用いて、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂とエチレン−α−オレフィン樹脂との重量比100:1〜100:100のブレンドによって得られ、かつ酢酸ビニル成分5〜30重量%を含有するポリオレフィン系樹脂組成物、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂とエチレン−α−オレフィン樹脂との重量比100:1〜100:100のブレンドによって得られ、かつ(メタ)アクリル酸(エステル)成分5〜30重量%を含有するポリオレフィン系樹脂組成物、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂と(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂との重量比100:1〜1:100のブレンドによって得られるポリオレフィン系樹脂組成物と、エチレン−α−オレフィン樹脂との3種ブレンドによって得られ、酢酸ビニル成分と(メタ)アクリル酸エステル成分の合計量が5〜30重量%のポリオレフィン系樹脂組成物などのブレンドで使用できる。
【0028】
このブレンド組成物のメルトインデックスは、0.3〜20g/10min であることが好ましい。メルトインデックスが、0.3g/10min 未満であると、本発明の測長器用長尺シートの成形加工が困難になることがある。またそれが20g/10min よりも高いと、測長器用長尺シートの強度及び耐熱性が不十分になることがあり、また粘着性を増してブロッキングを生ずることがある。また、本発明の測長器用長尺シートのポリオレフィン系樹脂組成物層に使用されるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸共重合体樹脂、及びエチレン−メタアクリル酸エステル共重合体樹脂などのエチレン系共重合体樹脂は、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂とブレンドされて用いられる場合、その共重合モノマー含有量は最大50重量%までに制限されることが好ましい。
【0029】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)のポリオレフィン系樹脂層には、その風合い改良及び樹脂強度の改善などの目的で、その他のポリオレフィン系樹脂として、ポリプロピレン系樹脂、例えばポリプロピレン、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンゴム(EPRゴム)とのリアクター重合樹脂、もしくはこれらのポリマーアロイ体であるPP−EPR樹脂、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン−共役ジエン系ゴム(EPDMゴム)とのリアクター重合樹脂、もしくはこれらのポリマーアロイ体であるPP−EPDM樹脂などを5〜10重量%程度の少量添加してもよい。
【0030】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)の前記ポリオレフィン系樹脂層形成用共重合体混合樹脂(3)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、及びエチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、から選ばれた少なくとも1種と、重量比100:1〜100:100でブレンドして併用されるスチレン系共重合体樹脂とによって構成される。
【0031】
また、本発明の測長器用長尺シート(1)の前記被印刷層を形成する前記共重合体樹脂(4)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、及びエチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、から選ばれた少なくとも1種と、重量比100:1〜100:100でブレンド併用されるスチレン系共重合体混合樹脂とによって構成される。
【0032】
前記共重合混合樹脂(3)及び(4)に含まれるスチレン系共重合体樹脂としては、A−B−A型スチレンブロック共重合体樹脂(Aはスチレン重合体ブロックを表し、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロックを表す。)、A−B型スチレンブロック共重合体樹脂(AとBは、上記と同義である。)、スチレンランダム共重合体樹脂、およびこれらのスチレン系共重合体樹脂の水素添加樹脂が使用できる。これらのブロック共重合体は、ポリスチレンをハードセグメントとするスチレン系ブロック共重合樹脂である。
【0033】
A−B−A型スチレンブロック共重合体樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体樹脂(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SIS)、スチレン−ビニルイソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SVIS)が用いられ、A−B−A型水素添加スチレンブロック共重合体樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体樹脂(SEBS)、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SEPS)などが用いられ、A−B型スチレン共重合体樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂(SB)、スチレン−イソプレンブロック共重合体樹脂(SI)が用いられ、A−B型水素添加ブロック共重合体樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−ブテンブロック共重合体樹脂(SEB)、及びスチレン−イソプレンブロック共重合体樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−ブテンブロック共重合体樹脂(SEP)などが挙げられる。これらのスチレン系共重合体樹脂に使用できるスチレン重合体ブロックA形成用モノマーとしては芳香族ビニルモノマー、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、1−ビニルナフタレン、1−ビニルアントラセンなどが挙げられるが、スチレンを用いることが好ましい。
【0034】
また、これらのスチレン系共重合体樹脂に使用できる重合体ブロックB形成用モノマーとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられるが、1,3−ブタジエン、イソプレンを用いることが好ましい。これらA−B−A型ブロック共重合体樹脂及び、その水素添加樹脂並びに、A−B型ブロック共重合体樹脂及び、その水素添加樹脂は、そのAブロック部の数平均分子量が2000〜40000であり、Bブロックの数平均分子量が10000〜200000であることが好ましい。また、上記スチレン系共重合体樹脂の数平均分子量は、30000〜250000の範囲内にあることが好ましい。分子量が30000より小さいとブロック共重合体樹脂の機械的強度が不十分になることがあり、ポリオレフィン系樹脂層の強度が不十分になることがある。また分子量が、250000を超えると、溶融粘度が高くなりすぎることがあり、また、他の樹脂成分との溶融混練性が不十分になり成形加工が困難になることがあり、さらにポリオレフィン系樹脂層と被印刷層との接着性が不十分になることがある。
【0035】
これらのスチレン系ブロック共重合体樹脂のBブロック成分のイソプレン重合体ブロックもしくは、イソプレン−ブタジエン重合体ブロックの水素添加樹脂の水素添加率は、70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。水素添加率が70%より低い場合には、耐熱性、耐候性が不十分になることがある。これらのスチレン系ブロック共重合体樹脂の水素添加は、公知の方法によって行われ、例えば、水素添加反応は、水素添加触媒及び、反応に不活性な溶媒にスチレン系ブロック共重合体樹脂を溶解させた状態で公知触媒、例えば、ラネーニッケル、チーグラー系の触媒などを用いて分子状態の水素を反応させる方法を好ましく用いることができる。
【0036】
上記A−B−A型ブロック共重合体樹脂及び、その水素添加樹脂において、ポリスチレンブロック成分の含有量は40重量%以下であることが好ましく、それが40重量%を超えると、ポリオレフィン樹脂との相溶性が不十分になることがある。また、上記A−B型ブロック共重合体樹脂及び、その水素添加樹脂において、ポリスチレンブロック成分の含有量は40重量%以下であることが好ましい。それが40重量%を超えるとポリオレフィン樹脂との相溶性が低下することがある。
上記これらのA−B−A型ブロック共重合体樹脂及び、その水素添加樹脂並びにA−B型ブロック共重合体樹脂及び、その水素添加樹脂などの市販品としては、例えば、シェル.ケミカル社のクレイトンG、旭化成工業(株)のタフテック、(株)クラレのハイブラー、セプトンが挙げられる。また、水素添加スチレン系ランダム共重合樹脂としては、スチレンとブタジエンの水素添加ランダム共重合体樹脂が挙げられ、この水素添加スチレン系ランダム共重合体樹脂の市販品としては、日本合成ゴム(株)のダイナロンが挙げられる。
【0037】
上記スチレン系共重合体樹脂は、有機系溶剤に可溶性または、少なくとも部分可溶性、もしくは膨潤性であることが好ましく、例えば、有機系溶剤として、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、及び酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、その他テトラヒドロフランなどの1種以上から選ばれた混合有機系溶剤に可溶性または、少なくとも部分可溶性、もしくは膨潤性であることが好ましい。
【0038】
本発明における測長器用長尺シート(1)及び(2)のポリオレフィン系樹脂層において、前記スチレン系共重合樹脂は、ポリオレフィン系共重合体樹脂100重量部に対して1〜100重量部の割合でブレンドして用いられる。スチレン系共重合体樹脂の配合量が100重量部を超えると、耐熱性、耐候性が不十分になるだけでなく、ポリオレフィン系樹脂組成物の加工性及び機械的強度も不十分になる。特に、本発明における測長器用長尺シート(1)又は(2)のポリオレフィン系樹脂層において、前のスチレン系共重合体樹脂としては、水素添加スチレンブロック共重合体樹脂、水素添加スチレンランダム共重合体樹脂から選ばれたものを使用するのが耐候性の観点より好ましい。
【0039】
本発明の測長器用長尺シート(1)の被印刷層に用いられるポリオレフィン系樹脂組成物において、前のスチレン系共重合体樹脂は、ポリオレフィン系共重合樹脂100重量部に対して1〜100重量部ブレンドして用いられる。スチレン系共重合体樹脂の配合量が100重量部を超えると耐熱性、耐候性が不十分になり、かつ、被印刷層にブロッキングを生じ、また被印刷層の摩耗強度を悪くするために好ましくない。特に、本発明における測長器用長尺シート(1)の被印刷層において、これらのスチレン系共重合体樹脂としては、水素添加スチレンブロック共重合体樹脂、水素添加スチレンランダム共重合体樹脂から選ばれたものを使用するのが耐候性の観点より好ましい。
【0040】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)のポリオレフィン系樹脂層には、有機系顔料、無機系顔料、金属粉末顔料などによって着色されていて、繊維布帛を含むシート状基材が75%以上の遮光率を有することが好ましく、さらに隠蔽性を有する無機系及び有機系フィラーを配合されていてもよい。有機系顔料としては、従来公知のもの、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、染付けレーキ顔料、アントラキノン系顔料類、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料など、その他ニトロソ顔料、アリザリンレーキ顔料、金属錯塩アゾメチン顔料、アニリン系顔料などが挙げられる。また無機系顔料としては、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型)、三酸化アンチモン、酸化鉄、酸化鉛、酸化クロム、酸化ジルコニウム、スピネル型(XY2 O4 )構造酸化物、ルチル型〔Ti(XY)O2 〕構造酸化物などの金属酸化物、硫化亜鉛と硫酸バリウムの複合物(リトポン)、硫化カルシウム、硫化亜鉛などの金属硫化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛などの金属硫酸化物、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸鉛と水酸化鉛の複合物(鉛白)などの金属炭酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム(アルミナホワイト)、水酸化アルミニウムと硫酸カルシウムの複合物(サチン白)、水酸化アルミニウムと硫酸バリウムの複合物(グロスホワイト)などの金属水酸化物、クロム酸鉛(黄鉛)、クロム酸バリウムなどのクロム酸金属塩、その他カーボンブラック、チタンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、シリカ、ホワイトカーボン、ケイ藻土、タルク、クレー、アルミニウム粉顔料、ブロンズ粉、ニッケル粉、ステンレス粉、金属蒸着粉などの金属粉末顔料、パール顔料などが挙げられる。またこれらの有機系顔料、無機系顔料、金属粉末顔料のカラードペレット、マスターバッチなどの加工顔料を使用することもできる。
【0041】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)の基材の色相に特に制約はないが、印刷の観点から白、赤、黄、青、緑、パステルカラーに着色されていることが好ましく、特に白の無機系顔料をベースに使用することが好ましい。使用される白色無機系顔料としては、酸化チタンが特に好ましい。また、本発明の測長器用長尺シート(1)又は(2)は、その被印刷層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物が白に着色されていてもよい。本発明のポリオレフィン系樹脂層は上記顔料を含有し、繊維布帛を含むシート状基材の遮光率が75%以上であることが好ましい。遮光率が75%未満の場合裏面に印刷した寸法目盛、数字表示が表面に透けて見え、これが表面に印刷した寸法目盛、数字表示と重なり合い、寸法目盛と数字表示が判り難いものとなってしまうことがある。上記顔料の添加量に特に制限はなく、ポリオレフィン系樹脂フィルムの厚さの設定値に応じて、繊維布帛を含むシート状基材の遮光率が75%以上となるように上記顔料の添加量を設定すればよい。特に両面印刷された測長器用長尺シートとしては、その遮光率が90%以上であることが好ましい。
【0042】
被印刷層には、さらに軟化剤、安定剤、滑剤、防炎剤、難燃剤、発泡剤、帯電防止剤、界面活性剤、架橋剤、硬化剤、導電性フィラー、各種フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤などの通常使用される添加剤を補助添加してその遮光率を75%以上に設定してもよい。
【0043】
また、本発明の測長器用長尺シートの繊維布帛を含むシート状基材には、繊維布帛とポリオレフィン系樹脂層との間に、さらに遮光率が90%以上の着色ポリオレフィン系樹脂遮光層を配置した積層体としてもよい。この場合、着色とは白色着色も含み、ポリオレフィン系樹脂層に上記無機系顔料から選ばれた白の無機系顔料、好ましくは酸化チタンが添加され、白に着色されていることが好ましい。このポリオレフィン系樹脂層は白以外に、上記有機系顔料、及び無機系顔料を併用して、赤、黄、青、緑、パステルカラーなどであってもよい。
着色ポリオレフィン系樹脂遮光層に使用できるポリオレフィン系樹脂の種類に制限はないが、前記ポリオレフィン系樹脂層に使用するポリオレフィン系樹脂と同一のポリオレフィン系樹脂を使用することが熱接着性の観点で好ましい。また、着色ポリオレフィン系樹脂遮光層に使用できる着色剤としては、上記有機系顔料、上記無機系顔料、上記金属顔料から選ばれて使用できるが、本発明の着色ポリオレフィン系樹脂遮光層には、特に隠蔽効果の高いカーボンブラック、チタンブラック、アセチレンブラック、黒鉛など、またはアルミニウム粉顔料、ブロンズ粉、ニッケル粉、ステンレス粉、金属蒸着粉などの金属粉末顔料などを用いることが好ましい。
【0044】
本発明の着色ポリオレフィン系樹脂遮光層は上記顔料を含有し、繊維布帛を含むシート状基材の遮光率が75%以上あることが好ましい。遮光率が75%未満の場合、裏面に印刷した寸法目盛、数字表示が表面に透けて、これが表面に印刷した寸法目盛、数字表示と重なり合い、寸法目盛と数字表示が判り難いものとなることがある。上記顔料の添加量に特に制限はなく、ポリオレフィン系樹脂フィルム及び、着色ポリオレフィン系樹脂遮光層の厚さ設計に応じて、繊維布帛を含むシート状基材の遮光率が75%以上となるように上記顔料の添加量を設定すればよい。特に両面印刷された測長器用長尺シートとしては、その遮光率が90%以上であることが好ましい。
【0045】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)のポリオレフィン系樹脂層及び、着色ポリオレフィン系樹脂遮光層は、上記のエチレン系共重合樹脂、または、エチレン系共重合樹脂とスチレン系共重合樹脂とのブレンドなどに上記汎用の添加剤、及び着色剤を配合してなるコンパウンドを、公知の方法、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、二軸混練機などを用いて溶融混練後、単軸押出機、二軸押出機などで溶融混練造粒する方法、さらには、この造粒コンパウンドに単軸押出機、二軸押出機などで有機系顔料、無機系顔料、金属粉末顔料などの着色剤、及び各種添加剤を溶融混合造粒した高濃度のマスターバッチを作製しておき、タンブラーブレンダー、タンブルミキサー、ヘンシェルミキサーのような混合機を用いてドライブレンドし、混合後、更に単軸押出機、二軸押出機などで溶融混練造粒する方法により調製することができる。
【0046】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)のポリオレフィン系樹脂層及び、着色ポリオレフィン系樹脂遮光層を形成するフィルムは、上記コンパウンドを用いてT−ダイ法、インフレーション法、カレンダー法など公知のフィルム、シート加工技術によって製造することができる。特に有機系顔料、無機系顔料、金属系顔料などによって着色されたフィルムの製造には、カレンダー法により100〜250℃の温度範囲にて上記オレフィン系樹脂層のフィルムの成型加工を行う方法がコンパウンドの色替えロスがすくなく製造効率の面で好ましい。
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)のポリオレフィン系樹脂層及び、着色ポリオレフィン系樹脂遮光層に用いるフィルムの厚さは、80〜500μm、特に100〜300μmであることが好ましい。厚さがこの範囲よりも薄いと成型加工が困難な上に繊維布帛とラミネートした時に繊維布帛面の凹凸部との熱圧着によりフィルムの頭切れを起こし、防水性を損なうことがあるため、屋外での使用に適さなくなることがある。また、厚さがこの範囲よりも厚いとカレンダー加工が困難となることがあるだけでなく、測長器用長尺シートの目付が重くなり、測長時の作業性、取り扱い性が不良になることがある。
【0047】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)の基材に使用できる繊維布帛としては、織布、編布があるが、測長器の緊張時にかかる張力に対する伸びを最小限に抑えるためには、織布を用いることが好ましい。本発明の測長器用長尺シートに使用される織布は、経糸及び、緯糸とによって構成され、加工機通過方向に経糸が配置され、加工機幅方向に緯糸が配置される。本発明の測長器用長尺シートは、加工機幅方向を任意の幅で分割して加工機通過方向に平行にスリットされるから、測長器用長尺シートの長さ方向には織布の経糸が配置され、幅方向には織布の緯糸が配置されることになる。織布としては平織、綾織、朱子織、模しゃ織などの織り組織が挙げられるが、特に平織織物が本発明の測長器用長尺シートの緊張時にかかる張力に対する織り構造の立体的な遊び部分の伸びを最小限に抑えるために好ましく使用できる。また平織り繊維布帛の経糸・緯糸は、合成繊維または無機繊維からなるマルチフィラメント繊維糸状であることが好ましく、このようにすると、本発明の測長器用長尺シートの緊張時にかかる張力に対する伸びを最小限に抑えることができる。
【0048】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)に使用する繊維の種類としては、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維などの無機繊維を用いることが好ましく、特にガラス繊維が好ましく使用できる。ガラス繊維としては、E(無アルカリ)ガラス、C(アルカリ含)ガラス、Mガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラスなどの種々のガラス組成の何れでもよいが、最も溶融紡糸性に優れたEガラスを用いてフィラメント直径が3〜9μの範囲内になるように溶融紡糸され、50〜500本収束して得られるストランドに0〜5回/インチの撚りを掛けた単糸、あるいは、ストランド2本、または3本を1〜5回/インチで撚り合わせた合撚糸などのマルチフィラメントヤーンが好ましい。本発明の測長器用長尺シートに使用するガラス繊維ヤーンとしては、55.6〜2222.2dtex(50〜2000)デニール、最適には222.2〜1111.1dtex(200〜1000デニール)のマルチフィラメントヤーンを使用することが好ましい。
【0049】
セラミック繊維としては、シリカ繊維、アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、チタニア繊維、シリカ−チタニア繊維、窒化ホウ素繊維、炭化ホウ素繊維、ジルコニア繊維、窒化ケイ素繊維、炭化ケイ素繊維、シラザン−窒化ケイ素繊維、炭化窒化ケイ素繊維、アルミナ−ポリア−シリカ繊維などが挙げられる。また、炭素繊維としてはPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維が挙げられる。また合成繊維としてはポリ−p−フェニレンテレフタルアミド(PPTA)繊維、ポリ−p−ベンズアミド(PBA)繊維、p−フェニレン−3,4′−オキシジフェニレンテレフタルアミド共重合繊維など液晶紡糸して得られる全芳香族ポリアミド繊維が挙げられる。全芳香族ポリエステル繊維としては、p−ヒドロキシ安息香酸、p,p′−ジオキシジフェニールなどのジフェノール化合物と芳香族ジカルボン酸との重縮合物から溶融紡糸されたものが挙げられる。また複素環高分子繊維としては、ポリ−p−フェニレンベンズビスチアゾール(PBT)繊維、ポリ−p−フェニレンベンズビスオキサゾール(PBO)繊維などが挙げられる。その他、超高分子量ポリエチレン繊維が挙げられる。これらのセラミック繊維及び合成繊維はフィラメント直径が1〜10μの範囲で紡糸され、50〜500本収束して得られるストランドに0〜5回/インチの撚りを掛けた単糸、あるいは、ストランド2本、または3本を1〜5回/インチで撚り合わせた合撚糸などのマルチフィラメントヤーンが好ましい。セラミック繊維ヤーン及び合成繊維ヤーンの繊度は、前記ガラス繊維ヤーンと同様である。
【0050】
また、本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)の基材に使用する繊維としては、上記繊維の2種以上から成る混合繊維であってもよく、さらには、上記繊維と他の繊維との混合繊維であってもよい。他の繊維としては、例えばポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフチレンテレフタレート)、ナイロン繊維(ナイロン−6、ナイロン−6,6)、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリプロピレン繊維などが挙げられる。また、本発明の測長器用長尺シートに使用する繊維布帛は、上記合成繊維及び、上記無機繊維のいずれか1種を用いて製織された織布であることが好ましいが、経糸と緯糸に使用する繊維の種類を違えた織構成であってもよい。特にこの場合、経糸として上記合成繊維及び、上記無機繊維のいずれか1種以上を用い、緯糸として上記他の繊維のいずれか1種以上を用いた織構成であってもよく、例えば、この様な用法としては、経糸にガラス繊維、緯糸にポリエステル(PET)繊維を用いた織布が挙げられる。さらに経糸、及び緯糸に上記合成繊維、上記無機繊維のいずれか1種以上と上記他の繊維のいずれか1種以上とを併用して、各々の繊維を一定の打ち込み間隔で配置した交織物であっても良く、例えば、この様な交織物としてはポリ−p−フェニレンテレフタルアミド(PPTA)繊維とポリエステル(PET)繊維とを用いて、少なくとも経糸組織が{PPTA−(PET)n −}m ,(n=1〜29の整数)を繰り返し単位とする織組織を有するものが挙げられる。
【0051】
本発明の測長器用長尺シートの繊維布帛に使用される上記繊維のマルチフィラメント糸条としては、111.1〜1666.7dtex、(100〜1500デニール)の繊度を有するもの、特に111.1〜1111.1dtex(100〜1000デニール)のマルチフィラメント糸が使用できる。マルチフィラメント糸が111.1dtex(100デニール)未満では得られる測長器用長尺シートの引張強力と引裂強力が不十分になることがあり、またそれが1666.7dtex(1500デニール)を超えると引張強力及び引裂強力は確かに向上するが、糸の径が太くなりそれに伴ってシートが厚くなりかつ重くなると同時に、シートの凹凸も大きくなり印刷性が不十分になることがある。また本発明の測長器用長尺シートに使用できる繊維布帛の経糸及び緯糸の打ち込み本数には特に限定はないが、繊維布帛の空隙率(繊維布帛の面積に対する目抜け部分の面積の比率)が25%以下であることが好ましい。例えば138.9dtex(125デニール)のマルチフィラメント糸条の場合、25.4mm(1インチ)当たり40〜60本の打ち込み本数で得られる平織り織布、277.8dtex(250デニール)のマルチフィラメント糸の場合25.4mm(1インチ)当たり25〜40本、555.6dtex〜1111.1dtex(500〜1000デニール)のマルチフィラメント糸の場合、25.4mm(1インチ)当たり20〜35本の打ち込み本数で得られる平織り織布の空隙率が25%以下であるものが適している。空隙率が25%を越える織組織では、マルチフィラメント繊維配列間の隙間が大きくなり、測長器用長尺シートが測長方向以外の方向からの外力によって変形しやすくなり、その結果、寸法目盛の精度に影響が生じるため好ましくない。また、これらの平織り織布の目付量としては、50〜500g/m2 のものが適している。
【0052】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)の繊維布帛に使用される繊維は、紡糸工程時に有機系顔料、無機系顔料、染料などの着色剤を添加して着色されていてもよく、あるいは繊維布帛が後工程で有機系顔料、無機系顔料、染料などの着色剤とバインダーとを含む着色剤により着色処理されていてもよい。
【0053】
また、本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)に用いられるガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、複素環高分子繊維及び、超高分子量ポリエチレン繊維のマルチフィラメント糸条の1種以上を含む繊維布帛は、樹脂バインダーによって樹脂処理されていることが好ましい。特にガラス繊維織布には、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、エポキシ系樹脂、又フェノール系樹脂などのエマルジョンと、シランカップリング剤とを併用して樹脂処理がなされ、それによってスリット端部断面の繊維ほつれが防止されていることが好ましい。シランカップリング剤としては、クロロシラン、ビニルシラン、アクリルシラン、エポキシシラン、アミノシランなど何れのものを使用してもよい。これらの樹脂処理の繊維布帛に対する付着量は3〜30g/m2 であることが適している。付着量が3g/m2 未満の場合十分なほつれ防止効果が得られないことがあり、また、付着量が30g/m2 を越えると繊維布帛を構成するマルチフィラメント糸条のフィラメント内部に樹脂が入込み、これを含浸するため、得られる測長器用長尺シートが硬くなり、取り扱い性が不良になることがある。
【0054】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)は、上記繊維布帛の両面に、ポリオレフィン系樹脂フィルムが積層され貼着される。貼着の方法としては、繊維布帛とポリオレフィン系樹脂フィルムとの間に接着剤層を設けて貼着してもよいし、接着剤なしで貼着してもよい。本発明の測長器用長尺シートの積層貼着方法としては、ポリオレフィン系樹脂フィルムの成型加工後、直ちに、それを繊維布帛に直接熱ラミネートするカレンダートッピング法、及びT−ダイラミネート法、並びにカレンダー法、T−ダイ法、及びインフレーション法などのように、ポリオレフィン系樹脂フィルムを一度成型加工した後に、別工程のラミネーターによる熱圧着により繊維布帛との積層を行う方法など挙げられるが、本発明の測長器用長尺シートの製造には、カレンダー法によって成型加工された上記ポリオレフィン系樹脂フィルムと、繊維布帛との熱圧着による方法が、効率的かつ経済的であり好ましい。このとき、繊維布帛基材の織組織は、目抜け平織であると、目抜け部分を介して、表及び裏側に積層されたポリオレフィン系樹脂層フィルムが、互いに熱溶融ブリッジするために、特別な接着剤を用いなくても両フィルムを繊維布帛基材の目抜け部を通して互いに結着させることができる。本発明の測長器用長尺シートのシート状基材層の厚さには、特に限定はないが、必要以上に厚くすることは、得られる製品シートを過度に重くすることになり、取り扱い性が不良になることがある。例えば、基材厚さは250〜1000μm程度であることが好ましい。
【0055】
本発明の測長器用長尺シート(1)において、被印刷層の形成に用いられる共重合体樹脂(2)を含有する溶剤系コーティング剤に含まれるポリオレフィン系樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂及びエチレン−メタアクリル酸エステル共重合体樹脂の1種以上から選ばれたものが使用できる。特に、酢酸ビニル成分含有量が25〜60重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、もしくは、(メタ)アクリル酸(エステル)成分含有量が25〜60重量%のエチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂、または、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂と(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂との重量比100:1〜1:100のブレンドによって得られ、かつ酢酸ビニル成分と(メタ)アクリル酸(エステル)成分の合計量として25〜60重量%を含有するポリオレフィン系樹脂組成物が好ましく使用される。
【0056】
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、エチレンモノマーと酢酸ビニルモノマーとのラジカル重合によって得られるものが用いられ、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂としては、エチレンモノマーとアクリル酸モノマーとのラジカル重合によって得られるエチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレンモノマーとアクリル酸エステルモノマーとのラジカル重合によって得られるエチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、エチレンモノマーとメタアクリル酸モノマーとのラジカル重合によって得られるエチレン−メタアクリル酸共重合体樹脂、及びエチレンモノマーとメタアクリル酸エステルモノマーとのラジカル重合によって得られるエチレン−メタアクリル酸エステル共重合体樹脂などが用いられ、またこれらの2種類以上の混合物を用いてもよい。また、被印刷層の形成に用いられる共重合体樹脂(2)には、添加成分として、ニトロセルロース、セルロースエステル類、セルロースエーテル類、硬化ロジン(アビチエン酸との金属塩)、二量化ロジン、ロジンエステル、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ケトン樹脂、テルペン樹脂、環化ゴム、塩化ゴムなどの1種以上が含まれていてもよい。
【0057】
本発明の測長器用長尺シート(1)の被印刷層に使用されるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体樹脂などのエチレン系共重合体樹脂(2)は、その単独使用又は2種以上のブレンド組成においてメルトインデックスが、1.0〜100g/10min のものが本発明に適している。メルトインデックスが、1.0g/10min 未満であると、有機溶剤に難溶となり、被印刷層のコーティング剤として使用が困難なことがあり、またそれが100g/10min を超えると、分子量が低下して有機溶剤に易溶となるが、その代わりに樹脂の強度及び、耐熱性が低下することがあり、このため、本発明の測長器用長尺シートを、例えば、高周波ウエルダー接着する時の接合部の強度及び、耐熱クリープ性が極端に悪化することがあり、さらに、粘着性を増してブロッキングを生じることがある。またこれらのエチレン系共重合体樹脂(2)は、エチレンに対する共重合成分の含有量が25〜60重量%であることが好ましい。共重合成分の含有量が25重量%未満であると、印刷インキとの密着性が不十分になることがあり、また、共重合成分の含有量が60重量%よりも多いと、得られる被印刷層と印刷インキとの密着性は向上するが、しかし、粘着性が増大してブロッキングを生じることがある。共重合体樹脂(2)は、上記エチレン共重合体系樹脂の1種以上を併用して有機系溶剤中に固形分濃度で1〜30重量%溶解させた溶液を被印刷層形成用コーティング液として使用できる。
【0058】
本発明の測長器用長尺シート(1)において、被印刷層の形成には、上記共重合体樹脂(2)に加えて、スチレン系共重合体樹脂を含む共重合体混合樹脂(4)を溶解して含有する溶剤系コーティング剤が使用できる。スチレン系共重合体樹脂としては、スチレンモノマーとラジカル共重合可能なその他のモノマーとの共重合によって得られるスチレン系共重合体樹脂が好ましく使用される。スチレンモノマーに対しラジカル共重合可能なモノマーとしては、例えばアルキル基の炭素数が2〜18のアルキルメタアクリレート、アルキル基の炭素数が1〜18のアルキルアクリレートの他、アクリル酸やメタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれらのアルキルエステル、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド等が挙げられ、これらを単独に、あるいは2種以上を併用して、スチレンモノマーと共重合される。特に本発明の測長器用長尺シートの被印刷層に用いるスチレン系共重合体樹脂としては、A−B−A型スチレンブロック共重合体樹脂(Aはスチレン重合体ブロック、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロックである。)、A−B型スチレンブロック共重合体樹脂(AとBは、上記と同義である。)、スチレンランダム共重合体樹脂、およびこれらのスチレン系共重合体樹脂の水素添加樹脂が使用できる。
【0059】
A−B−A型スチレンブロック共重合体樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体樹脂(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SIS)、及びスチレン−ビニルイソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SVIS)などがあり、A−B−A型水素添加スチレンブロック共重合体樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体樹脂(SEBS)及び、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SEPS)などがあり、A−B型スチレン共重合体樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂(SB)及び、スチレン−イソプレンブロック共重合体樹脂(SI)があり、A−B型水素添加ブロック共重合体樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−ブテンブロック共重合体樹脂(SEB)及び、スチレン−イソプレンブロック共重合体樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−ブテンブロック共重合体樹脂(SEP)などが挙げられる。これらのポリスチレン系共重合体樹脂は、上記エチレン共重合体系樹脂の1種以上と併用して有機系溶剤中に固形分濃度で1〜30重量%溶解させたものが使用できる。
【0060】
これらの上記共重合体樹脂(2)及び上記共重合体混合樹脂(4)を含有する溶剤系コーティング剤に使用される有機系溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、及びテトラヒドロフランなどの1種、又は2種以上から選ばれた有機系溶剤が好ましく用いられる。
【0061】
本発明の測長器用長尺シートにおいて被印刷層の形成に用いられる上記共重合体樹脂(2)及び上記共重合体混合樹脂(4)を含有する溶剤系コーティング剤は、必要に応じて、有機系顔料、無機系顔料によって着色されていてもよく、また更に、可塑剤、軟化剤、安定剤、ワックス、防炎剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、架橋剤、硬化剤、導電性フィラー、各種フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、増粘剤などの通常使用される添加剤を本発明の効果、目的を阻害しない範囲で含有していてもよい。
【0062】
被印刷層を形成する溶剤系コーティング剤の塗布の方法には、特別に限定はないが、これらの溶剤系コーティング剤をポリオレフィン系樹脂組成物層の表面に均一、かつ均質に塗布できる様な塗布、コーティング方式を用いることが望ましく、例えば、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、コンマコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、キスコート法、フローコート法などが好適である。被印刷層の形成には、上記塗布方法の組み合わせ、または、単一方式により、上記共重合樹脂(2)及び上記共重合体混合樹脂(4)を含有する溶剤系コーティング剤を複数回繰り返してコーティングし、乾燥して、被印刷層を形成してもよい。本発明の測長器用長尺シートの被印刷層の厚さは、上記コーティング方法のいずれか、もしくは、組み合わせによって、0.005mm〜0.15mmの範囲内にすることが好ましく、より好ましくは0.01mm〜0.08mmの範囲である。被印刷層の厚さが0.005mm未満であると、本発明の測長器用長尺シートの被印刷層に対する印刷インキの密着性向上効果が十分に得られないことがあり、また、その厚さが0.15mmを超えると、それを得るために必要なコーティング処理回数が増え、工程が煩雑化し、製造コストが高くなり、さらに、高周波ウエルダー接着により得られる接合体の耐熱クリープ性が不十分になることがある。
【0063】
また、被印刷層の形成に用いる上記共重合樹脂(2)及び上記共重合体混合樹脂(4)を含有する溶剤系コーティング剤の樹脂固形分濃度は1〜30重量%であることが好ましい。樹脂固形分濃度が1重量%未満の場合、溶剤系コーティング剤の液粘度が低くなり過ぎて加工が困難となるだけでなく乾燥性が早すぎてシート状基材との密着性が不十分となることがあり、またそれが30重量%を越えると溶剤系コーティング剤の液粘度が増大してコーティング塗膜が均一に得られないことがある。
【0064】
また、上記共重合樹脂(3)を用いた本発明の測長器用長尺シート(2)において、被印刷層の形成にはポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂の1種以上から選ばれた熱可塑性樹脂を用いることができ、これらを溶剤に溶解して得られる溶剤系コーティング剤が被印刷層の形成に使用される。ポリウレタン系樹脂としては、ジイソシアネート化合物と、ヒドロキシル基を分子構造内に2個以上有するポリオール化合物の中から選ばれ1種以上と、イソシアネート基と反応する官能基を含有する化合物と、の付加重合反応によって得られるものが使用できる。ジイソシアネートとしては、芳香族、脂肪族、脂環式(水素添加物を包含する)のジイソシアネート化合物が用いられる。ヒドロキシル基を2個以上有するポリオール化合物としては、分子量300〜10000、好ましくは、500〜5000であり、ジイソシアネート化合物と反応する量を含有するものである。更に、前記ジオールの他に分子鎖長の調節剤として、イソシアネート基と反応する官能基をもつ化合物を使用してもよい。これらの熱可塑性ポリウレタン樹脂は、上記の化合物を用いて公知の方法によって製造されるものが使用できる。この熱可塑性ポリウレタン樹脂を、有機系溶剤中に1〜30重量%の固形分濃度で溶解させたものが、溶剤コーティング剤として使用でき、必要に応じてジイソシアネートまたは、イソシアネート基を分子内に3個以上含有するポリイソシアネート化合物を添加して、その被膜強度及び、耐熱性などを向上、改善させることができる。特に脂肪族、脂環式(水素添加物を包含する)ジイソシアネートより製造される無黄変ポリウレタン樹脂を使用するのが耐光性の面で好ましい。
【0065】
上記共重合樹脂(3)を用いた本発明の測長器用長尺シート(2)において、被印刷層の形成に使用できるアクリル系樹脂としては、(メタ)アクリレートモノマーのラジカル重合によって得られるアクリル共重合体樹脂が好ましく、特に(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合可能なその他のモノマーとの共重合によって得られるアクリル系共重合体樹脂が好ましく使用できる。(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合可能なモノマーとしては、例えばアルキル基の炭素数が2〜18のアルキルメタアクリレート、アルキル基の炭素数が1〜18のアルキルアクリレートの他、アクリル酸やメタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれらのアルキルエステル、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド等が挙げられ、これらは単独、あるいは2種以上を併用してメチル(メタ)アクリレートモノマーと共重合されるものが好ましい。これらのアクリル系樹脂を、有機系溶剤中に1〜30重量%の固形分濃度で溶解させたものが、溶剤コーティング剤として使用できる。
【0066】
上記共重合樹脂(3)を用いた本発明の測長器用長尺シート(2)において、被印刷層の形成に使用できるポリアミド系樹脂としては、炭素数4〜12個のジカルボン酸と、炭素数4〜14個のジアミンとの重縮合から得られるもの、もしくは、炭素数6〜12個の環状ラクタムの開環重合によって得られるものなどが使用できる。また本発明に使用できるポリアミド系樹脂としては、これらの共重合体樹脂であってもよく、更にポリアミド−ポリウレタン共重合体樹脂、ポリアミド−ポリエステルの共重合体樹脂であっても良い。このポリアミド樹脂を、有機系溶剤中に1〜30重量%の固形分濃度で溶解させたものが、溶剤コーティング剤として使用できる。
【0067】
上記共重合樹脂(3)を用いた本発明の測長器用長尺シート(2)において、被印刷層の形成に使用できるポリエステル系樹脂としては、炭素数4〜12のジカルボン酸と、ジオールとの重縮合によって得られる非結晶性の飽和ポリエステル樹脂が使用される。これらの非結晶性の飽和ポリエステル樹脂としては、少なくとも芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の組み合わせから選ばれた2種以上のジカルボン酸及び、そのエステル形成誘導体と、ジオール及び、そのエステル形成誘導体との重縮合によって得られる飽和ポリエステル共重合体樹脂が溶剤系コーティング剤に好ましく使用できる。また、これらのジオールは、2種以上を併用してもよい。また更に、脂肪族ポリエーテルブロック重合体及び/又は脂肪族ポリエステルブロック重合体成分を上記飽和ポリエステル共重合体樹脂に組み込んだ共重合体樹脂なども使用することができ、更にポリエステル−ポリアミド共重合体樹脂、ポリエステル−ポリウレタン共重合体樹脂なども使用することができる。これらのポリエステル樹脂を、有機系溶剤中に1〜30重量%の固形分濃度で溶解させたものが、溶剤コーティング剤として使用できる。
【0068】
上記共重合樹脂(3)を用いた本発明の測長器用長尺シート(2)において、被印刷層の形成に使用できるスチレン系樹脂としては、スチレンモノマーのラジカル重合によって得られるスチレン樹脂が好ましく、特にスチレンモノマーとラジカル共重合可能なその他のモノマーとの共重合によって得られるスチレン系共重合体樹脂が好ましく使用できる。スチレンモノマーとラジカル共重合可能なモノマーとしては、例えばアルキル基の炭素数が2〜18のアルキルメタアクリレート、アルキル基の炭素数が1〜18のアルキルアクリレートの他、アクリル酸やメタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれらのアルキルエステル、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド等が挙げられ、これらは単独、あるいは2種以上を併用してスチレンモノマーと共重合されるものが好ましい。
【0069】
その他のスチレン系共重合体樹脂として、A−B−A型スチレンブロック共重合体樹脂(Aはスチレン重合体ブロック、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もくしはビニルイソプレン重合体ブロックである。)、A−B型スチレンブロック共重合体樹脂(AとBは、上記と同義である。)、スチレンランダム共重合体樹脂、およびこれらのスチレン系共重合樹脂の水素添加樹脂が使用できる。これらのスチレン系共重合体樹脂を、有機系溶剤中に1〜30重量%の固形分濃度で溶解させたものが、溶剤コーティング剤として使用できる。これらの被印刷層の形成に用いられる溶剤系コーティング剤にはシリカが含まれていてもよい。
【0070】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)の被印刷層の形成に用いられる溶剤系コーティング剤にはシリカが含まれていてもよく、被印刷層に1〜25重量%のシリカを含有して形成されることが好ましい。シリカの配合量が1重量%より少ないと、得られる測長器用長尺シートの被印刷性及び、光反射防止効果が十分に得られないことがあり、また、シリカの配合量が25重量%を超えると、溶剤系コーティング剤の流動性を悪くし、また、得られる測長器用長尺シートの耐摩耗性を低下させ印刷目盛の脱落を生ずることがある。
【0071】
被印刷層の形成に用いられる熱可塑性樹脂を含有する溶剤系コーティング剤に配合して用いられるシリカ(二酸化珪素)としては、珪酸ソーダと鉱酸(硫酸)及び塩類を、水溶液中で反応させる湿式法によって得られる合成非晶質シリカを使用することが好ましい。この湿式法によって合成される非晶質シリカは、シリカ表面のシラノール基(≡Si−OH基)に水素結合で結合する水分と、シラノール基自体が含有する水酸基として存在する水分を結合水分として有するため含水シリカとして、シリカの他の乾式合成法やエアロゲル合成法によって得られる水分含有率の極めて少ない無水シリカと区別されるものである。本発明の測長器用長尺シートの被印刷層に用いられる非晶質含水シリカの平均凝集粒径には、特に制約はないが、平均凝集粒径(コールカウンター法)が1〜20μmのもの、好ましくは2〜10μmの非晶質含水シリカを用いることができる。また、非晶質含水シリカの含水率としては、3〜15重量%のもの、好ましくは5〜10重量%の非晶質含水シリカを用いることができる。
【0072】
本発明の測長器用長尺シートの被印刷層の表面光沢度(JIS規格Z−8741:60度鏡面光沢)は10以下、より最適には、5.0以下であることが好ましい。表面光沢度が10を越えると光沢感が大きくなり、晴天時に太陽光を反射して寸法目盛や数字表示部が読み取り難くなるだけでなく、写真撮影やビデオ撮影時にも不都合を生じることがあり、好ましくない。
【0073】
本発明の測長器用長尺シートへの印刷は、上記シート状基材上に、ポリオレフィン系樹脂層を介して形成された被印刷層上に、一度に数本〜数十本分の測長器用長尺シートの寸法目盛、数字表示などを長尺連続印刷し、印刷後の切断工程で、印刷されたシートを規格幅(例えば、60mm、80mm、100mm、120mm、150mm、200mm)のテープ状にスリットしてもよいし、または規格幅にスリットしてから、得られたテープの各々に寸法目盛、数字表示などを長尺連続印刷してもよい。この時、何れの場合においても、表裏に印刷される寸法目盛の位置は、表裏が一致した印刷でなければならない。表裏の寸法目盛が一致していることで、仮に100m以上の長尺使用時に、途中でメジャーが捻れて反転するようなトラブルが発生しても寸法測定のミスを防ぐことが可能となる。
【0074】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)の印刷には、溶剤系印刷インキ及び、水性印刷インキを用いることができる。印刷インキとしては、特にグラビアインキ、スクリーンインキなどが汎用性が高く、種類が豊富であるため好ましく使用することができる。本発明の測長器用長尺シートの印刷には、長尺シートの印刷に適しているグラビア印刷が寸法目盛の印刷精度が得られるため好ましい。特にグラビア印刷機としては両面印刷と多色刷りが可能な機種を用いることが好ましい。グラビアインキ及びスクリーンインキには、特に制限はなく、市販の溶剤系グラビアインキ、または水性グラビアインキが使用できる。また、UV硬化タイプのグラビアインキを使用して印刷することもできる。
【0075】
グラビアインキとしては、その成分組成として、有機系顔料、無機系顔料の着色剤成分と、バインダー樹脂成分と、可塑剤、軟化剤などの被膜柔軟化剤、その他、耐摩擦性向上剤、顔料分散剤、色分れ防止剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、レベリング剤、ツヤ消し剤などの添加剤成分と溶剤成分、もしくは水成分から構成されるものが使用できる。
上記有機系顔料及び無機系顔料としては従来公知の顔料、例えば、不溶性アゾ系、溶性アゾ系、銅フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ系、ベンチジン系、チオインジコ系、ペリノン系、ペリレン系、イソインドリノン系、ポリアゾ系などの有機系顔料、無機系顔料としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カドミウム系、酸化鉄系、カーボンブラック系などが挙げられる。また、特殊仕様の例として、蛍光顔料や蓄光(夜光)顔料などを使用することもできる。
【0076】
また、印刷インキのバインダー樹脂成分としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(ダイマー酸とジアミンの縮合物)、アクリル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂(塩素化度25〜65重量%)、ニトロセルロース、セルロースエステル類、セルロースエーテル類、硬化ロジン(アビチエン酸との金属塩)、二量化ロジン、ロジンエステル、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ケトン樹脂、テルペン樹脂、環化ゴム、塩化ゴムなどが挙げられ、これらの樹脂を併用したものが使用できる。
溶剤系グラビアインキに使用される溶剤としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどの多価アルコール誘導体系溶剤などが挙げられ、これらの溶剤を併用して用いることができる。
【0077】
また、本発明の測長器用長尺シートに使用するグラビア印刷インキとしては、フッ素系樹脂塗料に上記有機系顔料、上記無機系顔料及び、上記バインダー樹脂とさらに上記溶剤などを配合したものが使用できる。このフッ素系樹脂塗料をベースとするグラビアインキを特に使用して印刷することによって本発明の測長器用長尺シートは屋外使用時に付着する汚れなどの除去が極めて容易となり、寸法目盛及び、数字表示部を常時鮮明に維持することが可能となるため有用である。このようなフッ素系樹脂塗料としては、ビニルエーテル−フルオロオレフィンコポリマー、ビニルエステル−フルオロオレフィンコポリマー、アクリル−フッ素系コポリマー、ウレタン−フッ素系コポリマーなどを有機系溶剤中に可溶化されたものが挙げられ、これらのフッ素系樹脂塗料をベースとするグラビアインキは、イソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物などの架橋剤とを併用してグラビアインキ塗膜を硬化させることが、より優れた防汚性を得るために好ましい。
【0078】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)の水性印刷インキによる印刷には、酢酸ビニル成分と(メタ)アクリル酸(エステル)成分の合計量60〜90重量%とエチレンとを共重合して含有する水性ポリオレフィン系樹脂を固形分含有量で5〜50重量%含有する水性印刷インクを用いて印刷することがより好ましい。酢酸ビニル成分を含有する水性ポリオレフィン系樹脂としてはエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン、エチレン−アクリル共重合体樹脂エマルジョンの1種以上から選ばれたものが使用できる。水性印刷インキ組成物中に占める水性ポリオレフィン系樹脂の固形分含有量が5重量%以下だと、ポリオレフィン系樹脂層と水性印刷インキとの密着性が十分に得られず、また印刷部分の高周波ウエルダー接着性が十分に得られない。また、固形分含有量が50重量%を超えると、スクリーン印刷におけるスクリーン孔版の目詰まり、グラビア印刷時における転写不良のトラブルを引き起こす原因となり好ましくない。
【0079】
上記水性ポリオレフィン系樹脂と併用して使用できるバインダー樹脂としては、セラック樹脂、スチレン化セラック樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体樹脂、ロジン−マレイン酸樹脂、アクリル酸エステル又はメタアクリル酸エステルと不飽和カルボン酸との共重合によって得られるカルボキシル基含有アルカリ可溶性のアクリル系共重合体樹脂などのコロイダルディスパージョン、また、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの乳化重合樹脂など、また、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド樹脂、エポキシエステル樹脂、ロジンエステル樹脂などの乳化性樹脂などのエマルジョン、また、スチレン−ブタジエン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂、メチルメタアクリレート−ブタジエン系樹脂、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、塩化ビニリデン系樹脂などのラテックスなどが挙げられる。その他印刷インキに対する添加剤として、可塑剤(DBP,DOP,DOA,DBS,DOS)、軟化剤(ブチルカルビトール、クエン酸トリエチル、p−トルエンスルホンアミド、トール油脂肪酸)などのインキ被膜柔軟化剤、アンモニア、水溶性アミンなどの水溶化剤、その他、耐摩擦性向上剤、顔料分散剤、色分れ防止剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、レベリング剤、ツヤ消し剤などの添加助剤及び、水、アルコール類、グリコール類などの乾燥性調整剤などがある。
【0080】
本発明の測長器用長尺シート(1)及び(2)の被印刷部の表面光沢度(JIS規格Z−8741:60度鏡面光沢)は10以下、より最適には、5.0以下であることが好ましい。表面光沢度が10を越えると光沢感が大きくなり、晴天時に太陽光を反射して寸法目盛や数字表示部が読み取り難くなるだけでなく、写真撮影やビデオ撮影時にも不都合を生じることがある。
【0081】
本発明の測長器に印刷される寸法目盛及び、数字表示の形状、寸法などに対する制限はなく、日本で使用されている寸法単位(センチ、メートル表示)または外国で使用されている寸法単位(例えば、インチ表示)の何れであってもよい。本発明の測長器用長尺シートに印刷される寸法目盛はセンチ(cm)単位表示で、かつ算用数字表示であることが好ましい。
本発明の測長器に印刷されるに好ましい寸法目盛は、0.5cm刻みの最小単位または1.0cm刻みの交互塗りつぶし印刷小単位と、10cm刻みの中単位表示、及び100cm刻みの大単位表示とを有し、10cm単位または20cm単位ごとに色分け印刷、さらには100cm単位ごとに色分け印刷されていることが好ましい。これらの単位ごとの色分けに用いられる色、及び方式に限定はないが、前記ポリオレフィン系樹脂フィルムの色相と印刷インキとの色相とのコンビネーションによって構成されることが最も簡便である。また、数字表示に用いられる算用数字の大きさにも制限はないが、本発明の測長器の幅方向以内、長さ方向10cm以内に納まっていればよい。
【0082】
このような印刷を行うには、少なくとも印刷の繰り返し単位が100cm、すなわちグラビアロールの外周長さが100cmあってこのグラビアロール面に寸法目盛及び、数字表示などの情報が、任意のスクリーン線数、任意のスクリーン線比、任意の版深度で製版されていればよい。例えば白に着色されたポリオレフィン系樹脂基材シート(被印刷層は透明)に黒インキによる寸法目盛と数字表示を印刷して、20cm単位ごとの交互の着色を赤インキを用いて印刷する場合、黒印刷部の原稿版ロールと、赤印刷部の原稿版ロールの2本を必要とする。
【0083】
本発明の測長器長さ(経糸)方向の引張弾性率(JIS規格K7113)は、39200〜392000N/mm2 (4000〜40000 kgf/mm2 )であって、かつ破断伸度(JIS規格K7113)が5%以下であることが好ましい。長さ(経糸)方向の引張弾性率が39200N/mm2 (4000 kgf/mm2 )未満または、破断伸度が5%を越えたものであると得られる測長器用長尺シートの一時的または連続しての緊張時に応力緩和を起こして測長器に伸びを生じ易くなり、測長器を繰り返し使用するのに寸法精度の信頼性が得られない。
本発明の測長器の50℃雰囲気下における、長さ(経糸)方向の引張弾性率(JIS規格K7113準拠)は、39200〜392000N/mm2 (4000〜40000 kgf/mm2 )であって、かつ破断伸度(JIS規格K7113準拠)が5%以下であることが好ましい。長さ(経糸)方向の引張弾性率が39200N/mm2 (4000 kgf/mm2 )未満または、破断伸度が5%を越えたものであると得られる測長器の夏季環境での一時的または連続しての緊張時に応力緩和を起こして測長器に伸びを生じ易くなることがあり、測長器を繰り返し使用するのに寸法精度の信頼性が得られないことがある。
【0084】
また、本発明の測長器の80℃雰囲気下における、長さ(経糸)方向の引張弾性率(JIS規格K7113準拠)は、39200〜392000N/mm2 (4000〜40000 kgf/mm2 )であって、かつ破断伸度(JIS規格K7113準拠)が5%以下であることが好ましい。長さ(経糸)方向の引張弾性率が39200N/mm2 (4000 kgf/mm2 )未満または、破断伸度が5%を越えたものであると得られる測長器の高温環境での一時的または連続しての緊張時に応力緩和を起こして測長器に伸びを生じ易くなることがあり、測長器用長尺シートを繰り返し使用するのに寸法精度の信頼性が得られないことがある。
【0085】
本発明の測長器が部分的に破損した場合の部分交換つなぎ補修接合、及び長尺化のためのつなぎ接合には、高周波ウエルダー接着法を利用することができる。具体的には、2枚以上のシートの一部を寸法目盛が合うように長さ方向に重ね合わせ、2ヶ所の電極(一方の電極は、ウエルドバーである)間に置き、接着する部分にウエルドバーを加圧しながら電極に高周波(1〜200MHz )で発振する電位差を印加して、発生する分子摩擦熱により、これらの重ね合わせ部分を熱融着して接着するものである。高周波ウエルダー融着機としては市販の機種、例えば、山本ビニター(株)のYC−7000FT、YF−7000など、精電舎電子工業(株)のKM−5000TA,KA−7000TEなど、クインライト電子精工(株)のLW−4000W,LW−4060Sなどが使用できる。
【0086】
【実施例】
次ぎに実施例、及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例の範囲に限定されるものではない。下記実施例、及び比較例において本発明の測長器用長尺シートへの印刷インキによる密着性の評価、遮光率測定、及び光沢度測定、印刷した測長器用長尺シートの引長弾性率、及び破断伸び率などの試験方法は下記の通りである。
【0087】
(I)シート基材と印刷インキとの密着性
2色印刷グラビア印刷機を用いて、測長器用長尺シートの基材シートの表面(両面)に、図1に示されている寸法目盛と数字表示を、20cm単位交互の色分けベタ印刷を施し、常温で6時間乾燥してからセロハン粘着テープ(商標:セロテープ:ニチバン(株))を印刷部に貼り、セロハン粘着テープの上から数回強く擦りつけて完全にセロハン粘着テープを印刷部に密着させた後、セロハン粘着テープの一端部分を剥がして把持して、印刷部からセロハン粘着テープを引き剥がして、セロハン粘着テープの粘着面への印刷インキのはぎ取られ度合を、下記の判定基準によって評価した。
寸法目盛と数字表示部の印刷=100メッシュ(スクリーン線100、線比1:3):グラビア印刷インキ(墨)..... 図1
20cm単位交互の色分けベタ部の印刷=100メッシュ(スクリーン線100、線比1:3):グラビア印刷インキ(朱)..... 図1
○:セロハン粘着テープに全く印刷インキの樹脂が取られない。(密着良好である。)
△:セロハン粘着テープに部分的に印刷インキの樹脂が取られている。
×:セロハン粘着テープに印刷インキの樹脂が全て取られている。(密着していない)
【0088】
(II)遮光率の測定:
測長器(印刷なし)の遮光率の判定を下記方法により行った。0〜10000ルクス(Lx)の範囲の照度の計測が可能な市販の照度計(例えばTOPCON(株)製IM−3型)を用いて、遮光率の測定に使用する白色ランプ以外の光源の影響を受けない環境設定された測定ボックスを用いて、測長器用長尺シート(印刷なし)を照度計と白色ランプとの間に介在させた場合と介在させない場合との照度を測定し、測長器用長尺シートの遮光率を、下記式より算出した。
遮光率(%)={[測長器用長尺シートを介在させない場合の照度(2000Lx)]−[測長器用長尺シートを介在させた場合の照度(Lx)]}/[測長器用長尺シートを介在させない場合の照度(2000Lx) ]×100
遮光率の測定条件:
白色ランプ(日立製作所(株)製EFG17EX:100V:17W)から照度計までの距離を30cmに設定し、変圧器を用いてランプの光量を2000Lxに設定した。(測長器用長尺シートを介在させない場合の照度は2000Lxである。) 白色ランプから20cmの位置に測長器用長尺シートをランプ光源方向に対し垂直に設置し、測長器用長尺シート300cmを透過する照度(明るさ)を求めた。
【0089】
(III )反対面印刷画像の透かし重なり度:
両面に印刷した測長器用長尺シートを、前記(II)の試験法により、照度を1000Lxに設定し、照度計設置側から反対面印刷部画像の透け度合いを目視観察した。
○:反対面の印刷画像が全く認知できない、または画像がかすかに認められるが実用上問題ない。
×:反対面の印刷画像が重なって見え、このため、寸法目盛、数字表示の判読が困難である。
【0090】
(IV)光沢度の測定:
変角高度計VG−ID(日本電色工業(株)製)を用い、JIS規格Z−8741(60度鏡面光沢)に従い光沢度(Gs60)を測定した。
【0091】
(V)写真撮影時の反射:
印刷した測長器用長尺シートを3m離れた位置からカメラでフラッシュ撮影し、得られた写真より反射の程度を目視判定した。
○:寸法目盛、数字表示の判読に問題はない。
×:測長器用長尺シートの一部が反射して寸法目盛、数字数字の判読が困難である。
【0092】
(VI)測長器用長尺シートの引張り弾性率(JIS規格K7113)
測長器用長尺シートの長さ方向の1号形試験片(ダンベル)を採取し、東洋精機製作所(株)製の引長試験機(ストログラフV10−C)を用い、速度F(50mm/min )の条件で試料を引っ張り、応力−歪み曲線を描き、曲線の初期立ち上がりの直線部分を用いて引張り弾性率を下記計算式より求めた。
引張り弾性率(N/mm2 )=[直線上の2点間の元の平均断面積による応力の差]/[同じ2点間の歪みの差]
【0093】
(VII )測長器用長尺シートの破断伸び率(JIS規格K7113)
測長器用長尺シートの長さ方向の1号形試験片(ダンベル)を採取し、東洋精機制作所(株)製の引張り試験機(ストログラフV10−C)を用いて速度F(50mm/min )の条件で試料を引張し、応力−歪み曲線を描き、試験片が破断した時の伸び率を求めた。
【0094】
(VIII)スリット断面の繊維のほつれ
JIS規格L−1096(6.17摩耗強さ)B法:スコット形法により評価した。
シートよりスリット端部を縦方向に含む3cm幅×10cmサイズの試験片を採取し、(株)東洋精機製作所製スコット型試験機を用いて、揉み荷重9.80665N(1.0kgf )で100回の屈曲揉み試験を行い、スリット端部断面を目視観察した。
○:繊維のほつれがない。
×:繊維のほつれがある。
【0095】
実施例1
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(1)(商標:エバフレックスP−2505:三井デュポン・ポリケミカル(株):MFR2.0g/10分、酢酸ビニル成分含有量25重量%)100重量部に対し、滑剤(商標:LE−5:川研ファインケミカル(株))1.0重量部と、紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株))0.5重量部と、酸化防止剤(商標:イルガノックス1010:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))0.3重量部と、着色剤(商標:HCM−2060ホワイト:大日精化工業(株))8重量部とを配合し、得られたコンパウンドをバンバリーミキサーで溶融混練した後、150℃に設定した熱ロール(2本ロール)で5分間均一に混練した後、この混練組成物から、厚さ0.3mmのフィルムを150℃の条件にてカレンダー法により圧延成型した。次にこの白フィルムを、下記方法によりほつれ防止処理されたガラス繊維平織基材の両面に、140℃に設定したラミネーターで熱圧着して貼り合わせて、厚さ0.6mm、質量480g/m2 のポリオレフィン系樹脂被覆シートを得た。次ぎにこの被覆シートの両面に、下記組成を有する被印刷層形成用コーティング剤(EVA▲1▼)を80メッシュのグラビアロールコーターを用いて片面3g/m2 の固形分付着量で塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させ溶剤を乾燥し、被印刷層を形成した。得られたシートの性状は、厚さ0.61mm、質量486g/m2 、遮光率88%、光沢度5.3であった。
【0096】
ガラス繊維平織基材のほつれ防止処理
日東紡績(株)製のガラス繊維平織WK3025A104(糸密度:経糸30本/2.54cm×緯糸25本/2.54cm:質量74g/m2 )を下記組成からなる処理剤の液浴中を通過させ、ローラーでニップし、100℃の熱風炉を通過させ乾燥し、固形分付着量10g/m2 のほつれ防止樹脂処理を行った。
【0097】
【0098】
次に、上記シートの両面に設けられた被印刷層面に、2色印刷グラビア印刷機を用いて図1の寸法目盛と数字表示及び、20cm単位交互の色分けベタを印刷し、常温で乾燥した。
溶剤系グラビアインキ
寸法目盛と数字表示部の印刷=VCFL94(墨):東洋インキ製造(株)
20cm単位交互の色分けベタ部の印刷=VCFL521(朱):東洋インキ製造(株)
VCFL94とVCFL521にはマットメジウム:東洋インキ製造(株)を35重量%添加して印刷した。(図1)
【0099】
実施例2
実施例1と同様にして、測長器用長尺シートを作製し、その両面に印刷を施した。但し基材用ガラス繊維平織の代りに下記ほつれ防止処理を施された全芳香族ポリアミド繊維平織を用いた厚さ0.6mm、重量470g/m2 のポリオレフィン系樹脂被覆シートを得た。次ぎにこのシートの両面に下記組成を有する被印刷層形成用コーティング剤(EVA▲2▼)を80メッシュのグラビアロールコーターを用いて片面3g/m2 の固形分付着量で塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させ溶剤を乾燥し被印刷層を形成した。得られた測長器用長尺シートの性状は、厚さ0.61mm、質量476g/m2 、遮光率88%、光沢度5.2であった。
【0100】
全芳香族ポリアミド繊維平織基布のほつれ防止処理
帝人(株)製の全芳香族ポリアミド繊維平織基布テクノーラMF−O200(糸密度:経糸34本/2.54cm×緯糸34本/2.54cm:質量61g/m2 )を実施例1に記載のものと同じ処理剤の液浴中を通過させ、ローラーでニップし、100℃の熱風炉を通過させて乾燥し、固形分付着量10g/m2 の樹脂処理を行った。
【0101】
【0102】
上記長尺シートの両面に設けられた被印刷層面に、下記水系インクを用い、かつ2色印刷グラビア印刷機を用いて、図1の寸法目盛と数字表示及び、20cm単位交互の色分けベタを印刷して常温で乾燥した。
<水系グラビアインキ>
寸法目盛と数字表示部の印刷=ハイドリックPEP794(墨):大日精化工業(株)
20cm単位交互の色分けベタ部の印刷=ハイドリックPEP953(朱):大日精化工業(株)
ハイドリックPEP794(墨)及び953(朱)には、マットメジウム、大日精化工業(株)製、35重量%を添加して印刷した。(図1)
【0103】
実施例3
実施例1と同様にして、測長器用長尺シートを作製し、印刷を施した。但し、基材用ガラス繊維平織を下記ほつれ防止処理を施された全芳香族ポリエステル繊維平織に変更して厚さ0.6mm、重量475g/m2 のポリオレフィン系樹脂被覆シートを作製し、その両面上に下記組成からなる被印刷層形成用コーティング剤(EVA▲3▼)を80メッシュのグラビアロールコーターを用いて片面3g/m2 の固形分付着量で塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させ溶剤を乾燥し被印刷層を形成した。得られたシートの性状は、厚み0.61mm、質量481g/m2 、遮光率88%、光沢度5.3であった。次ぎにこのシートの両面被印刷層上に、下記グラビアインキを用いて寸法目盛と数字表示及び、20cm単位交互の色分けベタを印刷し常温で乾燥した。
【0104】
全芳香族ポリエステル繊維平織基布のほつれ防止処理
(株)クラレ製の全芳香族ポリエステル繊維平織ベクトラン(糸密度:250デニール:経糸30本/2.54cm×緯糸26本/2.54cm:質量73g/m2 )を、実施例1と同じ処理剤の液浴中を通過させ、ローラーでニップし、100℃の熱風炉を通過させ乾燥し、固形分付着量10g/m2 の樹脂処理を行った。
【0105】
【0106】
【0107】
実施例4
実施例1と同様にして測長器用長尺シートを作製し、それに印刷を施した。但し、基材としてのガラス繊維平織の代りに、下記ほつれ防止処理を施された炭素繊維平織を用いて厚さ0.70mm、重量585g/m2 のポリオレフィン系樹脂被覆シートを作製し、次ぎにこのシートの両面に下記組成からなる被印刷層形成用コーティング剤(EVA▲4▼)を80メッシュのグラビアロールコーターを用いて片面3g/m2 の固形分付着量で塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させ溶剤を乾燥し、被印刷層を形成した。得られた測長器用長尺シート状基材の性状は、厚さ:0.71mm、質量:591g/m2 、遮光率:98%、及び光沢度:5.3であった。
【0108】
炭素繊維平織のほつれ防止処理
(株)ペトカ製の炭素繊維平織基布カーボニックPCP1115(糸密度:経糸(1000f)15本/2.54cm×緯糸(1000f)15本/2.54cm:質量186g/m2 )を実施例1と同じ処理剤の液浴中を通過させ、ローラーでニップし、100℃の熱風炉を通過させ乾燥し、固形分付着量10g/m2 の樹脂処理を行った。次ぎに基材シートの両面設けた被印刷層面に、実施例1で使用したグラビアインキを用いて寸法目盛と数字表示及び、20cm単位交互の色分けベタを印刷し常温で乾燥した。
【0109】
【0110】
実施例5
実施例1と同様にして測長器用長尺シートを作製し、それに印刷を施した。但し、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(1)(商標:エバフレックスP−2505:三井デュポン・ポリケミカル(株))100重量部の代りに、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(2)(商標:ウルトラセン631:東ソー(株)、MFR:1.8g/10min :酢酸ビニル共重合成分含有量:20重量%)50重量部と、エチレン−アクリル酸系共重合体樹脂(商標:アクリフトWH−206:住友化学工業(株)、MFR:2.0g/10min 、メチルメタアクリレート共重合成分含有量20重量%)50重量部を用いて、厚さ0.6mm、重量470g/m2 のポリオレフィン系樹脂被覆シートを作製し、次ぎに、このシートの両面に実施例3に記載の被印刷層形成用コーティング剤(EVA▲3▼)を80メッシュのグラビアロールコーターを用いて片面3g/m2 の固形分付着量で塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させ溶剤を乾燥して被印刷層を形成させた。得られた測長器用長尺シートの性状は、厚さ:0.61mm、質量:476g/m2 、遮光率:88%、光沢度:5.2であった。次ぎにこのシートの両面上に設けられた被印刷層面に、実施例1で使用したグラビアインキを用いて寸法目盛と数字表示及び、20cm単位交互の色分けベタを印刷し常温で乾燥した。
【0111】
実施例6
実施例5と同様にして、測長器用長尺シートを作製し、それに印刷を施した。但し、基材として、ガラス繊維平織の代りに下記ほつれ防止処理を施された超高分子量ポリエチレン繊維平織を用いて、厚さ0.68mm、重量470g/m2 のポリオレフィン系樹脂被覆シートを作製し、このシートの両面上に、下記組成の被印刷層形成用コーティング剤(EVA▲4▼)を80メッシュのグラビアロールコーターを用いて片面3g/m2 の固形分付着量で塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させ溶剤を乾燥し被印刷層を形成した。得られた長尺シートの性状は、厚さ:0.69mm、質量:476g/m2 、遮光率:88%、及び光沢度:5.1であった。次ぎにこのシートの両面被印刷層上に、実施例2で使用した水系グラビアインキを用いて、寸法目盛と数字表示及び、20cm単位交互の色分けベタを印刷し常温で乾燥した。
【0112】
超高分子量ポリエチレン繊維平織基布のほつれ防止処理
三井化学(株)製の超高分子量ポリエチレン繊維平織(テクミロンNA225、糸密度:経糸28本/2.54cm×緯糸24本/2.54cm、質量:53g/m2 )を実施例1と同じ処理剤の液浴中を通過させ、ローラーでニップし、100℃の熱風炉を通過させ乾燥し、固形分付着量10g/m2 の樹脂処理を行った。
【0113】
実施例7
実施例5と同様にして測長器用長尺シートを作製し、これに印刷を施した。但し、白に着色されたポリオレフィン系樹脂フィルムの厚さを、0.3mmから0.2mmに変更し、このポリオレフィン系樹脂フィルムに配合の着色剤(HCM−2060ホワイト:大日精化工業(株))8重量部を、黒の着色剤(HCM−1717ブラック:大日精化工業(株))3重量部に変更し、厚さ0.2mmの黒に着色したポリオレフィン系樹脂遮光層フィルムを用い、このフィルムを実施例1と同一のガラス繊維平織の両面に、140℃に設定したラミネーターで熱圧着して貼り合わせ、ガラス繊維布帛の裏面片面に黒に着色したポリオレフィン系樹脂遮光層フィルムを貼着し、さらにその両面上に白に着色したポリオレフィン系樹脂フィルムを貼着して、厚さ:0.6mm、質量:480g/m2 のポリオレフィン系樹脂被覆シートを得た。次ぎにこのシートの両面に下記組成からなる被印刷層形成用コーティング剤(EMMA)を80メッシュのグラビアロールコーターを用いて片面3g/m2 の固形分付着量で塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させ溶剤を乾燥し、被印刷層の形成を行った。得られた測長器用長尺シートの性状は、厚さ:0.61mm、質量:486g/m2 、遮光率:99%、及び光沢度:5.1であった。
この長尺シートの両面被印刷層面に、実施例1で使用したグラビアインキを用いて寸法目盛と数字表示及び、20cm単位交互の色分けベタを印刷し常温で乾燥した。
【0114】
【0115】
実施例8
実施例7と同様にして測長器用長尺シートを作製し、これに印刷を施した。但し、基材として、ガラス繊維平織の代りに、実施例2で使用した全芳香族ポリアミド繊維平織を用いて厚さ:0.6mm、質量:480g/m2 のポリオレフィン系樹脂被覆シートを作製し、このシートの両面に下記組成の被印刷層形成用コーティング剤(EEA)を、80メッシュのグラビアロールコーターを用いて片面3g/m2 の固形分付着量で塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させ溶剤を乾燥し、被印刷層を形成した。得られた長尺シートの性状は、厚さ:0.61mm、質量:486g/m2 、遮光率:99%、及び光沢度:5.3であった。次ぎにシートの両面被印刷層上に、実施例1で使用したグラビアインキを用いて寸法目盛と数字表示及び、20cm単位交互の色分けベタを印刷し常温で乾燥した。
【0116】
【0117】
実施例1〜8の効果
実施例1〜8で得られたそれぞれのシート(メジャー)を上記試験(I)〜(VIII)により評価した。結果を表1に示す。
【0118】
【表1】
【0119】
表1から明らかなように、実施例1〜8のシートにはポリオレフィン系共重合体樹脂(2)からなる被印刷層が強固に密着しており、また、被印刷層面への溶剤系グラビア印刷インキ及び、水性グラビア印刷インキ(実施例2,6)によるグラビア印刷性は良好であった。すなわち、印刷インキは本発明の長尺シートに良く密着していて、セロハン粘着テープによる剥がし試験に耐えた。また、両面印刷した本発明の測長器は互いの反対面に印刷された寸法目盛及び、数字表示部が互いに透けて重なって見えることがなく、また、屋外晴天時の太陽光線の当たり具合、または観察位置によるシートのテカリ反射が制御され、寸法目盛及び、数字表示部の認識が容易で、しかも写真撮影や、ビデオ撮影においても寸法目盛及び、数字表示部の記録が確実に可能であった。
【0120】
さらに6cm幅にスリットされた本発明の測長器(メジャー)を1.1m採取し、両端末の5cmをつかみ部分として、1m標線間に49.03N(5kgf )の吊り下げ荷重を30秒間かけてシートの伸び量を測定(JIS規格B−7522)した結果、本発明のシート(実施例1〜8)の伸び量は全て1mm未満であった。さらに50℃、80℃雰囲気下での引張り弾性率及び、破断伸び率は、20℃におけるそれらの値とほぼ同一であって優れたものであった。従って本発明の測長器(メジャー)は、夏の炎天下や特殊な高温環境下でも使用でき、かつ寸法誤差が少ないものであることが確認された。また本発明の測長器(メジャー)10mを、5回テスト使用した後の寸法の変化は5mm未満であり、その後数十回の使用が可能であった。また、この時スリット断面部からの繊維織物の経糸ほつれは認められなかった。また実施例1〜8の本発明の測長器(メジャー)は高周波ウエルダー接着が可能で、それぞれ融着時間5秒(陽極電流0.8A)の条件でよく溶融し、2枚を凍結したシート(表面−裏面)の接合部は互いに良く融着接合されていた。従ってこれら実施例1〜8の測長器(メジャー)は、塩化ビニル樹脂製ジャーの代替え品として極めて良好な性能を有することが確認された。また参考として、同規格設計の塩化ビニル樹脂製メジャーとの質量(626g/m2 )を比較すると、本発明のシート(メジャー)の質量(486g/m2 )は、それよりも約20%以上も軽量化されていることが確認された。
【0121】
実施例9〜実施例12
実施例9〜12の各々において、それぞれ実施例1〜実施例4のポリオレフィン系樹脂フィルム層の配合組成中に、それぞれスチレン系共重合樹脂(1)として水素添加スチレン−ビニルイソプレン−スチレン共重合体樹脂(商標:ハイブラー7125(HV−3)、(株)クラレ、MFR:0.5g/10分、スチレン成分含有量:20重量%)を25重量部追加して配合したこと以外は、全て実施例1〜実施例4と同様にして測長器用長尺シートを作製し、それに印刷した。
【0122】
実施例13〜実施例16
実施例13〜16の各々において、それぞれ実施例5〜実施例8のポリオレフィン系樹脂フィルム層の配合組成中に、それぞれスチレン系共重合樹脂(2)として水素添加スチレン−イソプレン−スチレン共重合体樹脂(商標:セプトン2007、(株)クラレ、MFR:2.4g/10分、スチレン成分含有量:30重量)を25重量部追加して配合したこと以外は全て実施例5〜実施例8と同様にして、測長器用長尺シートを作製し、それに印刷した。
【0123】
実施例9〜16の効果
実施例9〜16で得られたそれぞれのシート(メジャー)を上記試験(I)〜(VIII)により評価した。その結果を表2に示す。
【0124】
【表2】
【0125】
表2から明らかなように、実施例9〜16のシートにはポリオレフィン系樹脂からなる被印刷層が強固に密着しており、また、被印刷層面への溶剤系グラビア印刷インキ及び、水性グラビア印刷インキ(実施例10,14)によるグラビア印刷性は良好であった。すなわち、印刷インキが本発明のシートに良く密着していて、セロハン粘着テープによる剥がし試験に耐えた。また、両面印刷された本発明の測長器は互いに反対の面に印刷された寸法目盛及び、数字表示部が互いに透けて重なって見えることがなかった。また、屋外晴天時の太陽光線の当たり具合、または観察位置によるシートのテカリ反射が制御され寸法目盛及び、数字表示部の認識が容易で、しかも写真撮影や、ビデオ撮影においても寸法目盛及び、数字表示部の記録が確実に可能であった。
【0126】
さらに6cm幅にスリットされた本発明の測長器(メジャー)を1.1m採取し、両端末の5cmをつかみ部分として、1m標線間に49.03N(5kgf )の吊り下げ荷重を30秒間かけてシートの伸び量を測定(JIS規格B−7522)した結果、本発明の測長器(実施例9〜16)の伸び量は全て1mm未満であった。さらに50℃、80℃雰囲気下での引張り弾性率及び、破断伸び率は、20℃におけるそれらの値とほぼ同一であって優れたものであった。従って本発明の測長器(メジャー)は、夏の炎天下や特殊な高温環境下でも使用でき、かつ寸法誤差が少ないものである。また本発明の測長器(メジャー)10mを5回テスト使用した後の寸法の狂いは5mm未満であり、その後数十回の使用が可能であった。また、この時スリット断面部からの繊維織物の経糸ほつれは認められなかった。また実施例9〜16の本発明の測長器(メジャー)は高周波ウエルダー接着が可能で、それぞれ融着時間5秒(陽極電流0.8A)の条件でよく溶融し、2枚繋げたシート(表面−裏面)の接合部は互いに良く融着接合されていた。従ってこれら実施例9〜16の測長器(メジャー)は、塩化ビニル樹脂製メジャーの代替え品として極めて良好な性能を有するものであった。また参考として同規格設計の塩化ビニル樹脂製メジャーとの質量を比較すると、本発明のシート(メジャー)の質量は約20%以上も軽量化されていた。
【0127】
実施例17
実施例9の被印刷層形成用溶剤系コーティング剤を、EVA▲1▼から下記組成のポリウレタン系コーティング樹脂剤に変更したこと以外は、実施例9と同様にして測長器用長尺シートを作製し、それに印刷した。
【0128】
【0129】
実施例18
実施例10の被印刷層形成用溶剤系コーティング剤を、EVA▲2▼から実施例17のポリウレタン系樹脂コーティング剤に変更したこと以外は、実施例10と同様にして測長器用長尺シートを作製し、それに印刷した。
【0130】
実施例19
実施例11の被印刷層形成用溶剤系コーティング剤を、EVA▲3▼から実施例17のポリウレタン系樹脂コーティング剤に変更したこと以外は、実施例11と同様にして測長器用長尺シートを作製し、それに印刷した。
【0131】
実施例20
実施例12の被印刷層形成用溶剤系コーティング剤を、EVA▲4▼から実施例17のポリウレタン系樹脂コーティング剤に変更したこと以外は、実施例12と同様にして測長器用長尺シートを作製し、それに印刷した。
【0132】
実施例21
実施例13の被印刷層形成用溶剤系コーティング剤を、EVA▲3▼から下記組成のポリエステル系樹脂コーティング剤に変更したこと以外は、実施例13と同様にして測長器用長尺シートを作製し、それに印刷した。
【0133】
【0134】
実施例22
実施例14の被印刷層形成用溶剤系コーティング剤を、EVA▲4▼から下記組成のポリアミド系樹脂コーティング剤に変更し、また、実施例14の基材用繊維布帛を超高分子量ポリエチレン繊維織物から実施例1のガラス繊維織物に変更したこと以外は、実施例14と同様にして測長器用長尺シートを作製し、それに印刷した。
【0135】
【0136】
実施例23
実施例15の被印刷層形成用溶剤系コーティング剤を、EMMAから下記組成のスチレン系樹脂コーティング剤に変更したこと以外は、実施例15と同様にして測長器用長尺シートを作製し、それに印刷した。
【0137】
【0138】
実施例24
実施例16の被印刷層形成用溶剤系コーティング剤を、EEAから下記組成のアクリル系樹脂コーティング剤に変更し、また、実施例16の基材用繊維布帛を、全芳香族ポリアミド繊維織物から実施例1のガラス繊維織物に変更したこと以外は、実施例16と同様にして測長器用長尺シートを作製し、それに印刷した。
【0139】
【0140】
実施例17〜24の効果
実施例17〜24で得られたそれぞれの長尺シートを上記試験(I)〜(VIII)により評価した。その結果を表3に示す。
【0141】
【表3】
【0142】
表3から明らかなように、実施例17〜24の長尺シートにおいて、ポリオレフィン系樹脂からなる被印刷層が強固に密着しており、また、被印刷層面への溶剤系グラビア印刷インキ及び、水性グラビア印刷インキ(実施例18,22)によるグラビア印刷性は良好であった。即ち、印刷インキが本発明のシートに良く密着していてセロハン粘着テープによる剥がし試験に耐えた。また、両面印刷した本発明のシートにおいて、互いの反対面に印刷された寸法目盛及び、数字表示部が互いに透けて重なって見えることがなく、また、屋外晴天時の太陽光線の当たり具合、または観察位置によるシートのテカリ反射が制御され寸法目盛及び、数字表示部の認識が容易で、しかも写真撮影や、ビデオ撮影においても寸法目盛及び、数字表示部の記録が確実に可能であった。
【0143】
さらに6cm幅にスリットされた本発明の測長器(メジャー)を1.1m採取し、両端末の5cmをつかみ部分として、1m標線間に49.03N(5kgf )の吊り下げ荷重を30秒間かけてシートの伸び量を測定(JIS規格B−7522)した結果、本発明のシート(実施例17〜24)の伸び量は全て1mm未満であった。さらに50℃、80℃雰囲気下における引張り弾性率及び、破断伸び率は20℃におけるそれらの値とほぼ同であって優れたものであった。従って本発明の測長器(メジャー)は、夏の炎天下や特殊な高温環境下でも使用でき、かつ寸法誤差が少ないものである。また本発明の測長器(メジャー)10mを5回テスト使用した後の寸法の狂いは5mm未満であり、その後数十回の使用が可能であった。また、この時スリット断面部からの繊維織物の経糸ほつれは認められなかった。また実施例17〜24の本発明の測長器(メジャー)は高周波ウエルダー接着が可能で、それぞれ融着時間5秒(陽極電流0.8A)の条件でく溶融し、その2枚を連結したシート(表面−裏面)の接合部は互いに良く融着接合されていた。従ってこれら実施例17〜24のシート(メジャー)は、塩化ビニル樹脂製メジャーの代替え品として極めて良好な性能を有するものであった。また参考として同規格設計の塩化ビニル樹脂製メジャーとの質量を比較すると、本発明のシート(メジャー)の質量は約20%以上も軽量化されていた。
【0144】
実施例25
実施例1の被印刷層コート剤EVA▲1▼を、EVA▲1▼とスチレン系共重合体樹脂(1)とのブレンド体(共重合体(4))=EVA▲1▼:スチレン系共重合体樹脂(1)/70重量部:30重量部としたこと以外は実施例1と同様にして厚み0.68mm、質量470g/m2 、遮光率88%、光沢度5.2の被印刷層を両面に有する基材シートを得た。次ぎに基材シートの被印刷層面に、実施例1で使用したグラビアインキを用いて寸法目盛と数字表示及び、20cm単位交互の色分けベタを印刷し常温で乾燥した。
【0145】
実施例26
実施例2の被印刷層コート剤EVA▲2▼を、EVA▲2▼とスチレン系共重合体樹脂(1)とのブレンド体(共重合体(4))=EVA▲2▼:スチレン系共重合体樹脂(1)/90重量部:10重量部としたこと以外は実施例2と同様にして厚み0.69mm、質量473g/m2 、遮光率88%、光沢度5.2の被印刷層を両面に有する基材シートを得た。次ぎに基材シートの被印刷層面に、実施例2で使用した水性グラビアインキを用いて寸法目盛と数字表示及び、20cm単位交互の色分けベタを印刷し常温で乾燥した。
【0146】
実施例27
実施例3の被印刷層コート剤EVA▲3▼を、EVA▲3▼とスチレン系共重合体樹脂(2)とのブレンド体(共重合体(4))=EVA▲3▼:スチレン系共重合体樹脂(2)/80重量部:20重量部としたこと以外は実施例3と同様にして厚み0.68mm、質量473g/m2 、遮光率88%、光沢度5.1の被印刷層を両面に有する基材シートを得た。次ぎに基材シートの被印刷層面に、実施例1で使用したグラビアインキを用いて寸法目盛と数字表示及び、20cm単位交互の色分けベタを印刷し常温で乾燥した。
【0147】
実施例28
実施例4の被印刷層コート剤EVA▲4▼を、EVA▲4▼とスチレン系共重合体樹脂(2)とのブレンド体(共重合体(4))=EVA▲4▼:スチレン系共重合体樹脂(2)/60重量部:40重量部としたこと以外は実施例4と同様にして厚み0.68mm、質量475g/m2 、遮光率88%、光沢度5.3の被印刷層を両面に有する基材シートを得た。次ぎに基材シートの被印刷層面に、実施例1で使用したグラビアインキを用いて寸法目盛と数字表示及び、20cm単位交互の色分けベタを印刷し常温で乾燥した。
【0148】
実施例29
実施例1のポリオレフィン系樹脂層フィルムの共重合体組成のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(1)100重量部を、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(1)100重量部とスチレン系共重合体樹脂(1)10重量部からなるブレンド体(共重合体3)に変更し、かつ被印刷層コート剤EVA▲1▼の代りに、EVA▲1▼とスチレン系共重合体樹脂(1)とのブレンド体(共重合体(4))=EVA▲1▼:スチレン系共重合体樹脂(1)/70重量部:30重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして厚み0.68mm、質量468g/m2 、遮光率88%、光沢度5.4の被印刷層を両面に有する基材シートを得た。次ぎに基材シートの被印刷層面に、実施例1で使用したグラビアインキを用いて寸法目盛と数字表示及び、20cm単位交互の色分けベタを印刷し常温で乾燥した。
【0149】
実施例30
実施例2のポリオレフィン系樹脂層フィルムの共重合体組成のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(1)100重量部を、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(1)100重量部とスチレン系共重合体樹脂(1)30重量部からなるブレンド体(共重合体3)に変更し、かつ実施例2の被印刷層コート剤EVA▲2▼の代りに、EVA▲2▼とスチレン系共重合体樹脂(1)とのブレンド体(共重合体(4))=EVA▲2▼:スチレン系共重合体樹脂(1)/90重量部:10重量部を用いたこと以外は実施例2と同様にして厚み0.69mm、質量471g/m2 、遮光率88%、光沢度5.1の被印刷層を両面に有する基材シートを得た。次ぎに基材シートの被印刷層面に、実施例2で使用した水性グラビアインキを用いて寸法目盛と数字表示及び、20cm単位交互の色分けベタを印刷し常温で乾燥した。
【0150】
実施例31
実施例3のポリオレフィン系樹脂層フィルムの共重合体組成のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(1)100重量部を、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(1)100重量部とスチレン系共重合体樹脂(2)20重量部からなるブレンド体(共重合体3)に変更し、かつ、実施例3の被印刷層コート剤EVA▲3▼の代りに、EVA▲3▼とスチレン系共重合体樹脂(2)とのブレンド体(共重合体(4))=EVA▲3▼:スチレン系共重合体樹脂(2)/80重量部:20重量部を用いたこと以外は実施例3と同様にして厚み0.68mm、質量474g/m2 、遮光率88%、光沢度5.4の被印刷層を両面に有する基材シートを得た。次ぎに基材シートの被印刷層面に、実施例1で使用したグラビアインキを用いて寸法目盛と数字表示及び、20cm単位交互の色分けベタを印刷し常温で乾燥した。
【0151】
実施例32
実施例4のポリオレフィン系樹脂層フィルムの共重合体組成のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(1)100重量部を、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(1)100重量部とスチレン系共重合体樹脂(2)20重量部からなるブレンド体(共重合体3)に変更し、かつ実施例4の被印刷層コート剤EVA▲4▼の代りに、EVA▲4▼とスチレン系共重合体樹脂(2)とのブレンド体(共重合体(4))=EVA▲4▼:スチレン系共重合体樹脂(2)/60重量部:40重量部を用いたこと以外は実施例4と同様にして厚み0.69mm、質量477g/m2 、遮光率88%、光沢度5.3の被印刷層を両面に有する基材シートを得た。次ぎに基材シートの被印刷層面に、実施例1で使用したグラビアインキを用いて寸法目盛と数字表示及び、20cm単位交互の色分けベタを印刷し常温で乾燥した。
【0152】
実施例25〜32のそれぞれのシート(メジャー)を上記試験(I)〜(VIII)により評価した。結果を表4に示す。
【表4】
【0153】
実施例25〜32の効果
表4から明らかなように、実施例25〜32のシートにはポリオレフィン系樹脂からなる被印刷層が良く密着しており、また、被印刷層面への溶剤系グラビア印刷インキ及び、水性グラビア印刷インキ(実施例26,30)によるグラビア印刷性は良好で、印刷インキが本発明のシートに良く密着していてセロハン粘着テープによる剥がし試験に耐えた。また、両面印刷した本発明のシートは互いの面に印刷された寸法目盛及び、数字表示部が互いに透けて重なって見えることがなく、また、屋外晴天時の太陽光線の当たり具合、または観察位置によるシートのテカリ反射が制御され寸法目盛及び、数字表示部の認識が容易で、しかも写真撮影や、ビデオ撮影においても寸法目盛及び、数字表示部の記録が確実に可能であった。
【0154】
さらに6cm幅にスリットされた本発明のシート(メジャー)を1.1m採取し、両端末の5cmをつかみ部分として、1m標線間に5kgf の吊り下げ荷重を30秒間かけてシートの伸び量を測定(JIS規格B−7522)した結果、本発明のシート(実施例25〜32)の伸び量は全て1mm以下であった。さらに50℃、80℃雰囲気下での引長弾性率及び、破断伸び率は20℃での値とほぼ変わりのない優れたものであり、従って本発明のシート(メジャー)は夏の炎天下や特殊な高温環境下でも使用でき、かつ寸法誤差が少ないものである。また本発明のシート(メジャー)10mを5回テスト使用した後の寸法の狂いは5mm以下であり、その後数十回の使用が可能であった。また、この時スリット断面部からの繊維織物の経糸ほつれは認められなかった。また実施例25〜32の本発明のシート(メジャー)は高周波ウエルダー接着が可能で、それぞれ融着時間5秒(陽極電流0.8A)の条件でよく溶融し、2枚繋げたシート(表面−裏面)の接合部は互いに良く融着接合されていた。従ってこれら実施例25〜32のシート(メジャー)は、塩化ビニル樹脂製メジャーの代替え品として極めて良好な性能であった。結果を表4の実施例25〜32に示した。また参考として同規格設計の塩化ビニル樹脂製メジャーとの質量を比較すると、本発明のシート(メジャー)の質量は約20%以上も軽量化されていることが確認された。
【0155】
比較例1〜比較例8
実施例1、実施例2、実施例5、実施例6のそれぞれの被印刷層形成用コート剤処理、すなわち被印刷層を省いたこと以外は、全て実施例1、実施例2、実施例5、実施例6と同様としたものを、それぞれ比較例1、比較例2、比較例5、比較例6とした。
また、実施例3、実施例4のポリオレフィン系樹脂層フィルムに使用されたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(1)(商標:エバフレックスP−2505:三井デュポン・ポリケミカル(株):MFR:2.0g/10分、酢酸ビニル成分含有量25重量%)100重量部のうちの85重量部を低密度ポリエチレン樹脂(商標:スミカセンα−FZ201−0:住友化学工業(株):MFR1.8g/10min )に置き換えたこと以外は、実施例3、実施例4と同様としたものを、それぞれ比較例3、比較例4とした。
さらに、実施例7、実施例8のポリオレフィン系樹脂層フィルムに使用されたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(2)(商標:ウルトラセン631、東ソー(株):MFR:1.8g/10分、酢酸ビニル成分含有量2重量%)50重量部の全てを低密度ポリエチレン樹脂(商標:スミカセンα−FZ201−0:住友化学工業(株)、MFR:1.8g/10分)50重量部にに置き換えたこと以外は、実施例7、実施例8と同様としたものを、それぞれ比較例7、比較例8とした。
得られたそれぞれのシートを、上記試験(I)〜(VIII)により評価した。その結果を表5に示す。
【0156】
【表5】
【0157】
表5に示されているように、比較例1、比較例2、比較例5、比較例6では、ポリオレフィン系樹脂からなる被印刷層EVA▲1▼、EVA▲2▼、EVA▲3▼、EVA▲4▼を省いたことにより、印刷インキとポリオレフィン系樹脂フィルムとの密着が不良で、セロハン粘着テープによる剥がし試験において簡単に印刷が剥ぎ取られた。また、比較例3、比較例4、比較例7、比較例8では、ポリオレフィン系樹脂フィルム中に含まれる酢酸ビニル共重合成分と(メタ)アクリル酸(エステル)共重合成分の合計量が5重量%以下であったために、被印刷層とポリオレフィン系樹脂フィルムとの密着が不良になり、セロハン粘着テープによる剥がし試験では印刷インキが被印刷層ごとに簡単に印刷が剥ぎ取られた。すなわちこれらのシートはいずれも実用性のないものであった。
【0158】
比較例9
実施例1と同様にして測長器用長尺シートを作製し、印刷を施した。但し、基材において、ガラス繊維織物の代りに、(株)クラレ製ポリエステル繊維平織基布(250デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度:経糸25本/2.54cm×緯糸24本/2.54cm)を用いた。また、ポリオレフィン系樹脂層フィルム配合の着色剤(商標:HCM−2060ホワイト:大日精化工業(株))の配合量を8重量部から2重量部に変更した。
【0159】
比較例10
実施例2と同様にして測長器用長尺シートを作製し、印刷を施した。但し、基材として全芳香族ポリアミド繊維織物の代りに、三菱レイヨン(株)製ポリプロピレン繊維平織布:MS−3112(340デニールポリプロピレンマルチフィラメント:糸密度:経糸25本/2.54cm×緯糸26本/2.54cm)を用いた。また、被印刷層形成用のコート剤EVA▲2▼を配合するシリカ(商標:ニップシールE−200A:日本シリカ工業(株))10重量部を全て省いた。
【0160】
比較例11
実施例11と同様にして測長器用長尺シートを作製し、印刷を施した。但し、基材として、全芳香族ポリエステル繊維織物の代りに、(株)クラレ製ポリエステル繊維平織(250デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度:経糸25本/2.54cm×緯糸24本/2.54cm)を用いた。また、ポリオレフィン系樹脂層フィルム配合の着色剤(商標:HCM−2060ホワイト:大日精化工業(株))の配合量を8重量部から2重量部に変更した。
【0161】
比較例12
実施例12と同様にして測長器用長尺シートを作製し、印刷を施した。但し、基材として、炭素繊維織物の代りに、三菱レイヨン(株)製ポリプロピレン繊維平織基布:MS−3112(340デニールポリプロピレンマルチフィラメント:糸密度:経糸25本/2.54cm×緯糸26本/2.54cm)を用いた。また、被印刷層形成用のコート剤EVA▲4▼に配合するシリカ(商標:ニップシールE−200A:日本シリカ工業(株))10重量部を全て省いた。
【0162】
比較例13
実施例5と同様にして測長器用長尺シートを作製し、印刷を施した。但し、基材としてガラス繊維織物の代りに、(株)クラレ製ポリエステル繊維平織(250デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度:経糸25本/2.54cm×緯糸24本/2.54cm)を用い、また、ポリオレフィン系樹脂層フィルム配合の着色剤(商標:HCM−2060ホワイト:大日精化工業(株))の配合量を8重量部から2重量部に変更した。
【0163】
比較例14
実施例6と同様にして測長器用長尺シートを作製し、印刷を施した。但し、基材として、超高分子用ポリエチレン繊維織物の代りに、三菱レイヨン(株)製ポリプロピレン繊維平織基布:MS−3112(340デニールポリプロピレンマルチフィラメント:糸密度:経糸25本/2.54cm×緯糸26本/2.54cm)を用いた。また、被印刷層形成用のコート剤EVA▲4▼に配合するシリカ(商標:ニップシールE−200A:日本シリカ工業(株))10重量部を全て省いた。
【0164】
比較例15
実施例15と同様にして測長器用長尺シートを作製し、印刷を施した。但し、基材としてガラス繊維織物の代りに、(株)クラレ製ポリエステル繊維平織基布(250デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度:経糸25本/2.54cm×緯糸24本/2.54cm)を用いた。また、ポリオレフィン系樹脂層フィルム配合の着色剤(商標:HCM−2060ホワイト:大日精化工業(株))の配合量を8重量部から2重量部に変更した。
【0165】
比較例16
実施例16と同様にして測長器用長尺シートを作製し、印刷を施した。但し、基材として、全芳香族ポリアミド繊維織物の代りに、三菱レイヨン(株)製ポリプロピレン繊維平織基布:MS−3112(340デニールポリプロピレンマルチフィラメント:糸密度:経糸25本/2.54cm×緯糸26本/2.54cm)を用いた。また、被印刷層形成用のコート剤EVAを配合するシリカ(商標:ニップシールE−200A:日本シリカ工業(株))10重量部を全て省いた。
【0166】
比較例9〜比較例16の効果
比較例9〜16のテスト結果を表6に示す。
【0167】
【表6】
【0168】
表6から明らかなように、比較例9,11,13,15のシートは印刷性は良いが、芯地基材の繊維織物としてポリエステル繊維織物を用いたことによって緊張時の応力緩和に耐えないシートとなた。具体的には6cm幅にスリットされた比較例のシートを1.1m採取し、両端末の5cmをつかみ部分として、1m標線間に5kgf の吊り下げ荷重を30秒間かけてシートの伸び量を測定(JIS規格B−7522)した結果、上記比較例のシートの伸び量は全て5mmを越えるものであった。また、着色剤の添加量を減らしたことによってシートの遮光率が低下して、その結果、両面の印刷が互いに透けて重なり合い、極めて寸法目盛の読み取りが困難なものであり、実用性がなかった。また、比較例10,12,14,16のシートは印刷性は良いが、芯地基材の繊維織物としてポリプロピレン繊維織物を用いたことによって緊張時の応力緩和に耐えないシートとなった。具体的には6cm幅にスリットされた比較例のシートを1.1m採取し、両端末の5cmをつかみ部分として、1mm標線間に5kgf の吊り下げ荷重を30秒間かけてシートの伸び量を測定(JIS規格B−7522)した結果、これらの比較例のシートの伸び量は全て8mmを越えるものであった。さらに50℃、80℃雰囲気下での引長弾性率は高温になるほど低下し、また破断伸び率は高温になるほど大きくなるなど、これらのシートは夏の炎天下や特殊な高温環境下には寸法伸びが大きくなり過ぎて使用ができなかった。また、被印刷層形成のコート剤に配合するシリカを全て省いたことによって、シート状基材の光沢度が増して、その結果、屋外晴天時の太陽光線の当たり具合、または観察位置によってシートのテカリ反射が著しく寸法目盛及び、数字表示部の認識が困難で、しかも写真撮影や、ビデオ撮影においても寸法目盛及び、数字表示部の記録が不明瞭で実用性がなかった。
【0169】
比較例17〜比較例20
比較例17〜20の各々において、それぞれ実施例1,2,11、及び12と同様にして測長器用長尺シートを作製し、印刷を施した。但し、比較例17においては、実施例1の被印刷層形成用コーティング剤EVA▲1▼を実施例17〜20のポリウレタン系樹脂コート剤に替えた。比較例18においては、実施例2の被印刷層形成用コーティング剤EVA▲2▼を実施例17〜20のポリウレタン系樹脂コーティング剤に替えた。比較例19においては、実施例11の全芳香族ポリエステル繊維織物を(株)クラレ製ポリエステル繊維平織基布(250デニールポリエステルマルチフィラメント、糸密度:経糸25本/2.54cm×緯糸24本/2.54cm)に替え、さらに被印刷層形成用のコート剤EVA▲3▼を、実施例17〜20のポリウレタン系樹脂コート剤に替えた。比較例20においては、実施例12の炭素繊維織物を三菱レイヨン(株)製ポリプロピレン繊維平織基布:MS−3112(340デニールポリプロピレンマルチフィラメント、糸密度:経糸25本/2.54cm×緯糸26本/2.54cm)に替え、さらに被印刷層形成用のコート剤EVA▲4▼を実施例17〜20のポリウレタン系樹脂コート剤に替えた。
【0170】
得られたそれぞれのシートを上記試験(I)〜(VIII)により評価した。その結果を表7に示す。
【0171】
【表7】
【0172】
表7において、比較例17、比較例18は、ポリオレフィン系樹脂からなる被印刷層EVA▲1▼、EVA▲2▼、をポリウレタン系樹脂に替えたことにより被印刷層とポリオレフィン系樹脂フィルムとの密着性が悪くなり、セロハン粘着テープによる剥がし試験で簡単に被印刷層が印刷インキごと剥ぎ取られた。また、比較例19、比較例20は、印刷性は良いが、芯地基材の繊維織物としてポリエステル繊維織物、またはポリプロピレン繊維織物に替えたことによって緊張時の応力緩和に耐えないシートとなった。具体的には6cm幅にスリットされた比較例のシートを1.1m採取し、両端末の5cmをつかみ部分として、1m標線間に5kgf の吊り下げ荷重を30秒間かけてシートの伸び量を測定(JIS規格B−7522)した結果、比較例のシートの伸び量は5mmを越え、ポリプロピレン繊維織物では8mmを越えるものであった。さらに50℃、80℃雰囲気下での引長弾性率は高温になるほど低下し、また破断伸び率は高温になるほど大きくなるなど、これらのシートは夏の炎天下や特殊な高温環境下には寸法伸びが大きくなり過ぎて使用ができなかった。
【0173】
比較例21〜比較例24
比較例21〜24の各々において、それぞれ実施例21〜24と同様にして測長器用長尺シートを作製し、印刷を施した。但し、比較例21〜比較例24は、それぞれ、実施例21〜実施例24のポリオレフィン系樹脂フィルムに使用するスチレン系共重合樹脂(2)水素添加スチレン−イソプレン−スチレン共重合体樹脂、商標:セプトン2007:(株)クラレ、MFR:2.4g/10分、スチレン成分含有量:30重量)25重量部を全て省いた。また、使用するガラス繊維織物のほつれ防止処理も省いた。得られたそれぞれのシートを上記試験(I)〜(VIII)により評価した。その結果を表7に示す。表6から明らかなように、比較例21〜比較例24は、ポリオレフィン系樹脂フィルムに使用するスチレン系共重合樹脂(2)を省いたことによって、ポリウレタン系樹脂からなる被印刷層とポリオレフィン系樹脂フィルムとの密着性が悪くなり、セロハン粘着テープによる剥がし試験で簡単に被印刷層が印刷インキごと剥ぎ取られた。また、シートよりスリット部を縦方向に含む試験片を採取し、試験機を用いて揉み荷重9.81N(1.0kgf )で100回の屈曲揉み試験を行った結果、スリット断面からガラス繊維がほつれて飛び出し、直接手で触れると皮膚刺激性があり、実用性に問題があった。
【0174】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン樹脂シート表面に印刷を施す際に、従来不可欠とされていたコロナ放電処理とプライマー剤処理、及びブロッキング防止層の形成などの煩雑な前処理工程を必要とせずに、ポリオレフィン系樹脂シートの表面への汎用印刷インキによるグラビア印刷を容易に可能とし、かつ、本発明のポリオレフィン系樹脂シートは、常温使用時はもとより、夏場屋外使用時、更には、高温雰囲気下での使用時にも寸法精度の信頼性が高いものである。従って寸法目盛を印刷し、規格幅にスリットした本発明の測長器(メジャー)は、工業用長尺メジャーとして軽量であり極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の測長器(メジャー)表面に印刷される目盛、数字表示の一例を示す説明図。
Claims (20)
- マルチフィラメント繊維糸条から製織された繊維布帛からなる基材と、この基材の両面上に形成された2層のポリオレフィン系樹脂層と、前記2層のポリオレフィン系樹脂層の少なくとも1層上に設けられた被印刷層とを有するシートであって、
(A)前記ポリオレフィン系樹脂層が、エチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル及びメタアクリル酸エステルから選ばれた少なくとも1員からなる共重合成分とからなる共重合体樹脂(1)を含み、かつ、前記共重合体樹脂(1)に含まれる前記共重合成分の合計含有量が5〜30重量%であり、
(B)前記被印刷層が、エチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル及びメタアクリル酸エステルから選ばれた少なくとも1員からなる共重合成分とからなる共重合体樹脂(2)を含み、かつ、前記共重合体樹脂(2)に含まれる前記共重合成分の合計含有量が25〜60重量%であって、前記共重合体樹脂(2)が有機溶剤可溶性であり、かつ
(C)前記シートの長さ(経糸)方向の引張弾性率(JIS規格K7113)が39200〜392000N/mm2 (4000〜40000 kgf/mm2 )であり、破断伸度(JIS規格K7113)が5%以下である、ことを特徴とする測長器用長尺シート。 - 前記ポリオレフィン系樹脂層が、
(a)エチレン−酢酸ビニル共重合体、
(b)エチレン−アクリル酸共重合体、
(c)エチレン−メタアクリル酸共重合体、
(d)エチレン−アクリル酸エステル共重合体、及び
(e)エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、から選ばれた少なくとも1種の共重合体樹脂(1)と、少なくとも1種のスチレン系共重合体樹脂とを、重量比100:1〜100:100で含む共重合体混合樹脂(3)により形成され、前記共重合体混合樹脂(3)に含まれる前記共重合体(a),(b),(c),(d)及び(e)の前記共重合成分の合計含有量が、前記共重合体混合樹脂(3)の合計重量の5〜30重量%である請求項1に記載の測長器用長尺シート。 - 前記被印刷層が、
(a′)エチレン−酢酸ビニル共重合体、
(b′)エチレン−アクリル酸共重合体、
(c′)エチレン−メタアクリル酸共重合体、
(d′)エチレン−アクリル酸エステル共重合体、及び
(e′)エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、から選ばれた少なくとも1種の前記共重合体樹脂(2)と、さらに少なくとも1種のスチレン系共重合体樹脂とを、重量比100:1〜100:100で含む共重合体混合樹脂(4)により形成され、前記共重合体混合樹脂に含まれる前記共重合体(a′),(b′),(c′),(d′)及び(e′)の前記共重合成分の合計含有量が、前記共重合体混合樹脂(4)の合計重量の25〜60重量%である請求項1に記載の測長器用長尺シート。 - マルチフィラメント繊維糸条から製織された繊維布帛からなる基材と、この基材の両面上に形成された2層のポリオレフィン系樹脂層と、前記2層のポリオレフィン系樹脂層の少なくとも1層上に設けられた被印刷層とを有するシートであって、
(A′)前記ポリオレフィン系樹脂層が、
(a)エチレン−酢酸ビニル共重合体、
(b)エチレン−アクリル酸共重合体、
(c)エチレン−メタアクリル酸共重合体、
(d)エチレン−アクリル酸エステル共重合体、及び
(e)エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、から選ばれた少なくとも1種の共重合体樹脂(1)と、少なくとも1種のスチレン系共重合体樹脂とを、重量比100:1〜100:100で含む共重合体混合樹脂(3)により形成され、前記共重合体混合樹脂(3)に含まれる前記共重合体(a),(b),(c),(d)及び(e)の前記共重合成分の合計含有量が、前記共重合体混合樹脂(3)の合計重量の5〜30重量%であり、
(B′)前記被印刷層が、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリスチレン系樹脂から選ばれた1種以上の有機溶剤溶解性熱可塑性樹脂を含み、かつ
(C′)前記シートの長さ(経糸)方向の引張弾性率(JIS規格K7113)が39200〜392000N/mm2 (4000〜40000 kgf/mm2 )であり、破断伸度(JIS規格K7113)が5%以下である、ことを特徴とする測長器用長尺シート。 - 前記ポリオレフィン系樹脂層用共重合体混合樹脂(3)又は前記印刷層用(4)に含まれる前記スチレン系共重合体樹脂が、スチレン重合体ブロック(A)と、ブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック及びビニルイソプレン重合体ブロックから選ばれた1種の重合体ブロック(B)とからなるA−B−A型ブロック共重合体、及びA−B型ブロック共重合体;スチレンとブタジエン、イソプレン及びビニルイソプレンの少なくとも1種とのランダム共重合体;並びに、前記ブロック共重合体及びランダム共重合体中のビニル結合含有(B)成分単位に対し、水素添加を施して得られた水素添加スチレン系共重合体樹脂から選ばれる、請求項2,3及び4のいずれか1項に記載の測長器用長尺シート。
- 前記スチレン系共重合体樹脂が、有機系溶剤に可溶性又は膨潤性である請求項5に記載の測長器用長尺シート。
- 前記被印刷層が1〜25重量%のシリカを含有して形成される請求項1、請求項3又は請求項4に記載の測長器用長尺シート。
- 前記マルチフィラメント繊維糸条が、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、複素環高分子繊維、超高分子量ポリエチレン繊維の1種以上からなる、請求項1又は請求項4に記載の測長器用長尺シート。
- 前記シートが、75%以上の遮光率を有する請求項1又は請求項4に記載の測長器用長尺シート。
- 前記繊維布帛基材と前記ポリオレフィン系樹脂層との間に、さらに90%以上の遮光率を有する着色ポリオレフィン系樹脂遮光層が形成されている、請求項1又は請求項4に記載の測長器用長尺シート。
- 前記繊維布帛基布が90%以上の遮光率を有する、請求項1又は請求項4に記載の測長器用長尺シート。
- 前記繊維布帛基布が、着色されているか、或は、着色樹脂により含浸されている、請求項1,4、及び11のいずれか1項に記載の測長器用長尺シート。
- 前記被印刷層の表面光沢度(JIS規格Z−8741:60度鏡面光沢)が10以下である請求項1,3,4及び7のいずれか1項に記載の測長器用長尺シート。
- 前記繊維布帛が熱可塑性樹脂によって、ほつれ防止されていることを特徴とする請求項1,4,11、及び12のいずれか1項に記載の測長器用長尺シート。
- 請求項1〜14のいずれか1項に記載の測長器用長尺シートから作製され、その少なくとも1層の被印刷層面に寸法目盛、又は寸法目盛と数字表示とが印刷されている測長器。
- 前記寸法目盛が0.5cm刻みの最小単位又は1.0cm刻みの小単位と、10cm刻みの中単位及び、100cm刻みの大単位とのいずれか1種以上を有する請求項15に記載の測長器。
- 50℃温度雰囲気下における長さ(経糸)方向の引張弾性率が39200〜392000N/mm2 (4000〜40000 kgf/mm2 )であり、かつその破断伸度が7%以下である、請求項15又は請求項16に記載の測長器。
- 80℃温度雰囲気下における長さ(経糸)方向の引張弾性率が39200〜392000N/mm2 (4000〜40000 kgf/mm2 )であり、かつその破断伸度が9%以下である、請求項15又は請求項16に記載の測長器。
- 前記被印刷層面上の前記寸法目盛印刷部分の表面光沢度(JIS規格Z−8741:60度鏡面光沢)が10以下である請求項15〜18のいずれか1項に記載の測長器。
- 表裏両面に、前記寸法目盛、又は寸法目盛と数字表示とが印刷されている前記被印刷層を有する、請求項15〜19のいずれか1項に記載の測長器。
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