JP5115833B2 - パネル表面にクロスを貼着する方法 - Google Patents

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Description

本発明は任意の模様や図形などを転写にて形成したクロスを表面に貼り付けクロスの貼着方法に関するものである。
間仕切り装置とは建物の大きな空間を所定の部屋に仕切るもので、近年では各種の間仕切り装置が用いられている。すなわち、建物本体は大きな空間として建設し、その後の内装工事にて適当な大きさの部屋に仕切ることが出来る為に、便利である。又、間仕切り装置にて仕切られた部屋の内部に、さらに打ち合わせ室や更衣室などの空間を仕切る為のローパーティションを据え付ける場合も多い。
ところで、間仕切りパネルには、(a)表面に金属製の表面板を貼着したもの、(b)ケイ酸カルシウム板を貼り付けたもの、(c)シートやフイルムを貼着したもの、(d)表面にクロスを貼り合わせたものが存在している。これらの間仕切りパネルは用途によって使い分けされているが、本発明が対象とするクロス貼りパネルの場合には次のような問題がある。
クロスを表面に貼り合わせたクロス貼りパネルは、表面がクロスであることで仕切られた空間の温かみを感じる。しかし、従来のクロス貼りパネルの殆どは単色カラーのクロスであり、上記金属製の表面板を貼着したパネルにて構成される間仕切り装置と遠くから見た外観は同じである。該空間をよりデザイン性に富んだレイアウトにしたい時など、模様や図形などを形成したクロス貼りパネルが望まれる。
クロスに模様や図形などを形成する方法には、転写シートを用いてクロス面に転写する場合と各種プリンターを用いてクロス面に直接プリントする場合がある。ここで、プリンターにてクロス面に直接プリントする場合には、擦れても脱色しないように昇華性インク(染料)が使用されるが、該昇華性インクは発色装置(熱処理装置)で発色させても発色が安定せず、プリントされた模様や図形の品質にバラ付きが発生する。
その為に、クロス面に形成される模様や図形などの色彩を安定させる為に転写技術が採用されている。この転写とは特別に製作した転写シートに模様や図形などをプリントし、この転写シートをクロス面に重ね合わせた状態で押圧すると共に加熱することで転写シートの模様や図形などがクロス面に転写される。この技術はTシャツなどの衣類に模様や図形を形成する場合に多用されている技術である。
ところで、間仕切り用パネル表面に貼着するクロスにも同じように模様や図形などを転写することは可能である。しかし、このクロスは裏面に接着剤が塗布され、又はパネル表面に接着剤が塗布され、この接着剤を介して貼着している。この場合、上記接着剤がクロスを組成している糸の隙間から表面に滲み出る。従って、クロス貼りパネルの表面にシミが出来てしまい、その外観は大きく損なわれる。従来では、一般に接着剤が滲み出ないようにクロスの裏面に裏処理が施されている。
特開2006−22461号に係る「プリント布帛、プリント布帛粘着材料、プリント布帛積層体、及びこれらの供給方法、及び布帛」は、布帛の手触り感や風合いを損なうことなくプリンターで印刷でき、その後、湿熱処理や洗浄処理などの付加的処理加工を行う必要のない技術である。しかし、上記の通りプリントされた模様や図形には品質のバラツキが発生する。
特開2006−22461号に係る「プリント布帛、プリント布帛粘着材料、プリント布帛積層体、及びこれらの供給方法、及び布帛」
このように、クロスを貼着したパネルには上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、クロスを貼着する場合に使用する接着剤が裏処理をしなくても表面側へ滲み出さないように、パネル表面にクロスを貼着する方法を提供する
本発明に係るクロス貼りパネルに貼着されるクロスは、その表面に模様や図形などが形成されている。ところで、この模様や図形などを形成したクロスをパネル表面に貼着する場合に、接着剤が表面に滲み出て模様や図形などが損なわれないように、各糸間の隙間を小さくしている。該クロスを組成している糸は衣類に比較して太く、太い糸を互いに絡ませて織り成したクロスには無数の穴(隙間)が点在している。
本発明では、この隙間を極力小さくすることで、裏側の接着剤が該隙間を通って表面に滲み出さないようにしている。ところで、糸間の隙間を小さくする手段としては、糸の密度を高くするのではなく、糸を潰すことで隙間を小さくすることが出来る。例えば、クロスの上下面を押圧することで糸は潰れる。押圧する手段は加熱した上下板にて挟み込む方法や、対を成して回転する高温ローラの隙間を通過させる方法がある。
本発明のパネルに貼着されるクロスはその糸が潰されて扁平断面となっていることで、糸間の隙間は小さくなっている。すなわち、糸の密度は同じであっても潰すことで間の隙間は小さくなる。従って、該隙間から接着剤が表面に滲み出すことはなくなり、クロス面に転写された模様や図形などがシミで損なわれることはない。その為に、従来のような接着剤の滲み防止の為に裏処理を施す必要もなくなる。
図1は間仕切り装置を構成する一般的なパネルを示している。同図の1は石こうボード、2は表面材、3はクロスを表し、表面材2は石こうボード面に貼着され、クロス3は表面材2に貼着されている。該パネルは起立するスタッドに連結されるが、スタッドに連結する為の止着片4,4を表面材2をL形に屈曲して両側に設けている。そしてパネル下端は床レールに配置したアジャスターに支えられている巾木に載置し、上端は天井レールに嵌って取付けられる。
本発明が対象とするパネルは天井まで届く間仕切りを構成する場合に限らず、背丈の低いローパーティションを構成するパネルも含まれ、しかも、個々のパネルの形態は限定しない。表面にクロスを貼着するあらゆるパネルが対象となり、該クロスは無地ではなく、表面に模様、図形、文字などが形成されてパネル面に接着剤を介して貼着される。
同図に示すパネルの場合には金属製の表面材2であるが、該表面材は金属板であったり、木板であったりする。クロス3を貼り合わすことが出来る平坦な板状体であれば特に材質を限定しない。図1のパネルに貼着したクロス3には○印5,5・・が縦方向及び横方向に等間隔で配列され、これら○印5,5・・はクロス3に転写にて形成されている。勿論、このような○印5,5・・ではなく、模様をクロス3の表面に形成することも可能である。例えば、風景や建物又は草花を模った模様をクロス面に形成することも出来る。
本発明では上記クロス3に形成する模様や図形などは、プリンターを使用するプリントではなく、転写シートを使用して転写される。転写の方がクロス面に形成される模様や図形が奇麗になり、色ムラなどの問題発生が少ない。すなわち、高品質で安定したカラフルなクロスが製作できる。
図2は転写シート6の断面を示す具体例であり、ベース7には模様層8が形成されている。この転写シート6は模様層8をクロス面に当てた状態で加圧されるならば、模様層8はベース7から剥離してクロス面に固着し、クロス面に模様が形成される。そして、該模様層8がクロス面に固着した状態でベース7を剥がすことが出来る。
図3はクロス面に転写シートに形成した模様層8を転写する場合の断面を表している実施例である。同図の9は上板、10は下板を表し、クロス3の上に転写シート6を敷いて上板9と下板10とで挟み込み加圧する。この場合に加熱した状態で加圧するが、圧力は1気圧程度とし、温度は140℃の場合には10分程度加圧する。この温度で発色し始める。又、圧力は同じく1気圧として温度を180℃〜190℃にすれば加圧時間は60〜90秒に短縮される。
ここで、下板10はエアーが通過しないゴム板を使用し、上板9は加熱できるようにアルミ板が使用される。そして、上板9を上方から押圧してもよいが、上板9と下板10の隙間のエアーを抜くことで1気圧の圧力が作用することになる。大きな上板9を均等圧に成るように加圧することは容易でないが、エアーを抜いて間を真空とする場合には、加圧は均等化して転写シート6及びクロス3を均一に押圧することが出来る。
ところで、このように温度と圧力を加えて転写シートからクロスに転写するならば、クロス3の表面に模様や図形が形成されるのみならず、クロス3を組成している糸が潰れて扁平化する。図4は転写前の糸11aの断面と転写後の糸11bの断面を表している。
転写前の糸11aは概略円形断面であって、隙間12aが存在している。そして、高温下で加圧されることで糸11aは潰れて概略楕円形断面の糸11bとなる。その結果、糸11b,11b間の隙間12bは小さくなる。糸11a,11a・・が縦方向と横方向に絡み合ったクロス3には、上記隙間12a,12a・・が無数に存在している。従来のクロスはこの状態でパネル面に接着剤を介して接着されることで、裏面から塗布された接着剤がクロス表面に滲みだす。
ところが、本発明では転写と同時に各糸11b,11b・・が図4(b)のように潰れて扁平化することで隙間12b,12b・・・は小さくなる為に、この隙間12b,12b・・を通過して接着剤がクロス表面に滲み出ることはなくなる。従って、パネル表面のシミの発生を抑えることが出来る。
クロス3を組成している糸11,11・・を潰して扁平化する方法は転写と同時に行う高温下での加圧に限るものではない。例えば、回転する高温ローラの隙間を通過させることで、糸11,11・・を潰すことができる。そして、糸11,11・・を潰した状態のクロス面に転写することも可能である。この場合には、糸11,11・・が潰れている為に、図3に示したような高温・高圧状態で押圧しなくてもよい。
図5は別形態のパネルを表している実施例である。このパネルは芯材としてペーパーコア13の両面に表面材2,2が貼着され、そしてこの表面材2,2にクロス3,3が貼り合わされている。パネルの両側には概略コ形断面の補強材14,14が取付けられ、この補強材14,14の空間15,15に起立するスタッドが嵌って据え付けられる。
ところで、表面材2,2に貼り合わされるクロス3,3には、前記図1に示したパネルの場合と同じように○印5,5・・が縦方向及び横方向に等間隔で配列され、これら○印5,5・・はクロス3に転写にて形成されている。
クロスを貼着した間仕切りパネルの外観図。 転写シートの断面拡大図。 下板と上板の間にクロスと転写シートを重ね合わせて行う転写工程。 転写前と転写後の糸断面。 クロスを貼着した間仕切りパネルを示す他の実施例。
1 石こうボード
2 表面材
3 クロス
4 止着片
5 O印
6 転写シート
7 ベース
8 模様層
9 上板
10 下板
11 糸
12 隙間
13 ペーパーコア
14 補強材
15 空間

Claims (3)

  1. パネル表面に接着剤を介してクロスを貼着する場合、上記接着剤がクロスを組成している各糸の隙間から表面側へ滲み出さないようにしたクロスの貼着方法において、クロスの上に模様や図形などを形成した転写シートを敷き、これを加熱状態で加圧し、該クロスの表面には転写によって模様や図形などを形成し、同時に転写時の加熱と加圧によって上記クロスを組成する各糸を概略楕円形に潰して扁平化し、そして、このクロスをパネル面に接着剤を介して貼着することを特徴とするクロスの貼着方法。
  2. 上記クロスの上に敷いた転写シートを下板と上板とで挟み込み、下板はエアーが通過しないゴム板とし、上板は加熱出来るようにアルミ板が使用され、そして上板と下板の隙間のエアーを抜くことで1気圧の圧力を作用した請求項1記載のクロスの貼着方法。
  3. パネル表面に接着剤を介してクロスを貼着する場合、上記接着剤がクロスを組成している各糸の隙間から表面側へ滲み出さないようにしたクロスの貼着方法において、上記クロスを高温に加熱したローラの隙間を通過させて各糸を概略楕円形に潰して扁平化し、その後、このクロスの表面には転写によって模様や図形などを形成し、そして、上記クロスをパネル面に接着剤を介して貼着することを特徴とするクロスの貼着方法。
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