JP2007090797A - エンボス化粧シート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明熱可塑性樹脂フィルム1の表側とする表面にエンボスロールを用いたエンボス加工で凹凸模様2を設け、他方の裏面には少なくとも粘着剤層3を設けたエンボス粘着フィルム10を予め作製しておき、このエンボス粘着フィルムを、熱可塑性樹脂からなる基材フィルム6上にインクジェット印刷法で柄印刷層7を設けて作製した印刷フィルム20の柄印刷層側の面に粘着剤層で接着積層して、エンボス化粧シート30を製造する。透明熱可塑性樹脂フィルムと基材フィルムはオレフィン系樹脂のフィルムが良い。透明熱可塑性樹脂フィルムの表面にリコート性の表面樹脂層を設けるのも良い。
【選択図】図1
Description
これらの方法によって得られるエンボス化粧シートの構成を例示すれば、少なくとも、着色熱可塑性樹脂フィルム上に、柄印刷層、透明熱可塑性樹脂フィルムが順次積層され、更に該透明熱可塑性樹脂フィルムの表面に凹凸模様が形成された構成等である。また、エンボス化粧シート表面には、必要に応じて艶調整用等の表面樹脂層を更に塗工等で形成する等、その他の層も更に適宜設ける。
なお、望ましくは、上記透明熱可塑性樹脂フィルム及び基材フィルムが共にオレフィン系樹脂からなるフィルムとする。
また、望ましくは、上記エンボス粘着フィルムとして、更に透明熱可塑性樹脂フィルムの表面にリコート性の表面樹脂層を設けたフィルムを用いる。
なお、望ましくは、上記透明熱可塑性樹脂フィルム及び基材フィルムが共にオレフィン系樹脂からなるフィルムとする構成であり、
また、望ましくは、上記透明熱可塑性樹脂フィルムの表面にはエンボスロールを用いたエンボス加工で形成されて成る凹凸模様と、リコート性の表面樹脂層を有する構成である。
従って、エンボス化粧シート全体としても、プレゼンテーション用、試作用、1品生産用等の少量生産用途でも迅速に効率良く対応でき、しかもドア1枚分等の大きなサイズでも容易に対応できる。
これら図中にて、符号の意味は、1は透明熱可塑性樹脂フィルム、2は凹凸模様、3は粘着剤層、4は表面樹脂層、5は剥離フィルム、6は基材フィルム、7は柄印刷層、10はエンボス粘着フィルム、20は印刷フィルム、30はエンボス化粧シートである。なお、各図共に図面上方が通常は観察者側であり、また、図面上方の面を表面、その反対面を裏面と称することにする。
エンボス粘着フィルム10は、印刷フィルム作製後、直ぐにでもエンボス粘着フィルムを貼り付けてエンボス化粧シートを完成させることができる様に、印刷フィルム作製に先だち予め準備しておくフィルムである。このエンボス粘着フィルム10は、透明熱可塑性樹脂フィルム1の表側とする表面には、エンボス加工、それもエンボス版としてエンボスロールを用いたエンボス加工によって、凹凸模様2を設け、前記透明熱可塑性樹脂フィルムの裏側とする裏面には少なくとも粘着剤層3を設けた透明なフィルムである。なお、エンボス粘着フィルムを透明とするのは、柄印刷層を透視可能とする為であり、着色透明でも良い。但し、異なる意匠に共通使用できる様な汎用性の点では無着色透明として、着色は柄印刷層の側で表現する方が好ましい。また透明は半透明でも良い。
また、エンボス粘着フィルムは少なくともその製造時は、エンボスロールによるエンボス加工を連続して行える点で、通常は連続帯状フィルムの形態であるが、印刷フィルムと積層時は、基本的には連続帯状フィルムでも枚葉状フィルムでも、どちらでも良い。
また、好ましくは、粘着剤層3の裏面には更に、該粘着剤層を使用時まで保護し使用時は剥離する剥離フィルム5を設ける。
この様なエンボス粘着フィルムを構成する各層及び凹凸模様の形成法や材料等は、建材用のエンボス化粧シート、或いは各種粘着フィルム等として従来公知の方法・材料を用途に応じて適宜採用すれば良く、特に制限はない。
なお、透明熱可塑性樹脂フィルムの厚さは用途に応じた厚さとすれば良く、特に制限は無いが、例えば20μm〜500μm程度である。また、透明熱可塑性樹脂フィルム中には、必要に応じ適宜、紫外線吸収剤、着色剤、安定剤等の公知の添加剤が添加される。
また、エンボスロールは、その凹凸模様が利用可能であれば、印刷フィルムを大型グラビア輪転印刷機で製造する場合等に対するエンボスフィルム作成時の本機用のものを用いても良い。そうすれば、エンボスロールは本機用と共通使用できる。
粘着剤層3としては、柄印刷層が透視可能な程度に透明であれば特に制限は無く、従来公知の粘着剤及び公知の形成法を適宜採用して形成すれば良い。例えば、粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。また、粘着剤層の形成は、各種塗工法で形成できるが、粘着剤層3面を剥離フィルム5で保護する構成では、転写法で、例えば、剥離フィルムの剥離面上に一旦塗工等で形成した粘着剤層を、剥離フィルム毎、透明熱可塑性樹脂フィルムの裏側とする面にラミネートする等して形成しても良い。
なお、粘着剤層及び剥離フィルムの積層は、通常は、凹凸模様や表面樹脂層を形成した後に行う。
なお、リコート性は、印刷フィルムと積層後(エンボス化粧シートの状態やこれを被着体に積層後等)、或いは積層前に、凹凸模様側の表面をスプレー塗装等の公知の塗工法によって、表面塗装膜等のさらに別の表面樹脂層等を形成する為である。この様なリコート性の表面樹脂層としては、例えば2液硬化型ウレタン樹脂等を用いる。
また、透明熱可塑性樹脂フィルムの樹脂としてオレフィン系樹脂は好適であるが、接着性が出し難いので、表面に塗装等を施す場合には、上記の様に2液硬化型ウレタン樹脂等によるリコート性の表面樹脂層を設けるのが好ましい。また、透明熱可塑性樹脂フィルムの樹脂がオレフィン系樹脂の場合、該フィルムには通常紫外線吸収剤も添加するが、このブリードアウトも表面樹脂層で防げ、裏面側も粘着剤層で防げ、長期保存性を確保できる。
なお、リコート性の表面樹脂層はプライマー層とも言えるが、この他、接着強化が必要な面や層間等には、適宜、この様なプライマー層等のその他の層を設けても良い。
印刷フィルム20は、熱可塑性樹脂からなる基材フィルム6上のエンボス粘着フィルムとの積層面側に、インクジェット印刷法で柄印刷層7を設けて作製する。柄印刷層7は、基材フィルムが透明であれば、エンボス粘着フィルムの積層面とは反対側の裏面に形成しても良いが、通常は、基材フィルムのエンボス粘着フィルム積層面側の表面側とする。その理由は、基材フィルムとして樹脂フィルム単体では、インクジェットインキを受容し密着良い柄印刷層を設け難いので、印刷面にはインキ受容層を形成するのが普通であり、このインキ受容層は含有させる充填剤で通常は不透明となる為、基材フィルム全体としては不透明となるからである。また、一般的な化粧シートに於ける基材フィルムも、被着体表面色を隠蔽する為に不透明が多いからである。
なお、インクジェット印刷法で柄印刷層を形成する際、基材フィルムは連続帯状フィルムでも枚葉状フィルムでもどちらでも良い。該印刷には、市販の工業用大型インクジェットプリンタを使用しても良く、また、印刷サイズが小さければ、パーソナルコンピュータ用途のインクジェットプリンタの使用も可能である。
また、基材フィルムはインクジェットプリンタに連続帯状フィルムのロールとして装填し、印刷後、連続帯状の印刷フィルムをロールとして巻き取ったり、機上で枚葉状の印刷フィルムに切断したり、する等しても良い。
両フィルム同士をラミネートして接着積層するには、エンボス粘着フィルムの粘着剤層によって接着し積層する。ラミネート方法は特に限定はないが、上記粘着剤層を内側にして重ねた両フィルムに対して、片側からラミネートローラで加圧するか、両側から一対のラミネートローラで加圧する等してラミネートすればよい。この際、ラミネートローラ部分に供給する両フィルムは、両方とも連続帯状フィルム、片方は連続帯状フィルムでもう片方は枚葉状フィルム、両方とも枚葉状フィルム、のいずれでも良い。
なお、インクジェットプリンタ自体にラミネートローラを設置し内在させれば、インクジェット印刷とラミネートを連続してインラインで行える点で好ましい。もろちん、オフラインで印刷とラミネートとを行っても良い。これらは、利用できる設備等を勘案して選択すれば良い。もちろん、ラミネートはラミネータ等の装置でも、手作業でも良い。
本発明では、上記で一部説明したが、従来公知の各種の層及び手順を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、用途に応じて適宜追加しても良い。例えば、プライマー層、表面塗装膜等である。また、表面塗装膜は、エンボス化粧シートを他の被着体に積層後、或いは積層前に、該エンボス化粧シートの表面に、スプレー塗装等の公知の塗工法によって形成することができる。
本発明によるエンボス化粧シートの用途は、建材用途、その他の用途等、特に制限は無いが、特に、プレゼンテーション用、試作用、1品生産用等の少量生産用途が好適である。例えば、ドア、間仕切り等の建具、壁、床、天井等の住宅部材、キッチン扉、クローゼット扉等の家具、什器等であり、なかでも、大サイズが可能の点で、例えばドア等は好適な用途である。
(1)エンボス粘着フィルムの作製:
図2(A)の断面図の様なエンボス粘着フィルム10を予め作製した。透明熱可塑性樹脂フィルム1として厚さ80μmの連続帯状の透明ポリプロピレン系フィルムを用い、この透明熱可塑性樹脂フィルム1を、加熱ドラム上で120℃に加熱後、エンボス直前のフィルム温度をヒーターで160℃迄加熱し、エンボスロールを用いてエンボス後、フィルムを冷却して、その表面に木目導管を表現した凹凸模様2を連続的にエンボス加工した。
更に、凹凸模様を形成した表面をコロナ処理で易接着化後、下記組成の2液硬化型ウレタン樹脂系の表面処理剤をグラビア印刷で全面ベタ印刷して、低艶でリコート性とした表面樹脂層4を設けた。
主剤樹脂:アクリルポリオール 15質量部
硬化剤:HMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート) 5質量部
艶消剤:シリカ 4質量部
ワックス 2質量部
溶剤 89質量部
先ず、連続帯状で熱可塑性樹脂からなる基材フィルム6として、着色剤(酸化チタン)を10質量%添加することで白色不透明に着色した連続帯状のポリプロピレン系樹脂フィルム(厚み80μm)を用意した。この樹脂フィルムの表側とする表面及び裏側とする裏面にコロナ処理を施した後、裏面に2液硬化型ウレタン系樹脂を用いた易接着層を形成し、次いで表面に2液硬化型ウレタン樹脂を用いた易接着層を形成し、次いで下記組成の白色不透明なインク受容層を、希釈溶剤(酢酸エチル/メチルイソブチルケトン=質量比1/1)を用いた塗液をグラビア塗工で全面に塗工して形成して、基材フィルムを作製した。
2液硬化型ウレタン系樹脂 100質量部
硝化綿 20質量部
シリカ(平均粒径2μm) 100質量部
なお、インクジェット印刷は、大型インクジェットプリンタ(ローランド ディー.ジー.株式会社製)を用い、インクジェットインキには水性インキを用いた。
次に、前記エンボス粘着フィルムを、その剥離フィルムを剥がしてその粘着剤層で、上記枚葉状の印刷フィルムの柄印刷層面に、常温でロールプレスラミネートして、最終的に枚葉状のエンボス化粧シートを作製した。作製したエンボス化粧シートは二種類あり、凹凸模様が板目のものと柾目のものであり、柄意匠のサイズは各々縦2m、横1mのサイズである。
上記の様にして製造した所望のエンボス化粧シートを用いて、プレゼンテーション用の縦約2m横約1mサイズのドアを作製した。具体的には、板目の凹凸模様のエンボス化粧シートを合板に接着剤を用いて手貼りして、ドアの鏡板を作製し、柾目の凹凸模様のエンボス化粧シートを合板に接着剤を用いて手貼りして、ドアの枠材を作製した。次に、これら鏡板及び枠材を組み合わせて合体して、実物サイズの実際のドアを作製した。更に表面の艶を高める為に、作製したドアの表面に、透明樹脂塗料をスプレー塗装(リコート)して、高艶の表面樹脂層(表面塗装膜)を形成して、プレゼンテーション用に用いるドア見本とした。
2 凹凸模様
3 粘着剤層
4 表面樹脂層
5 剥離フィルム
6 基材フィルム
7 柄印刷層
10 エンボス粘着フィルム
20 印刷フィルム
30 エンボス化粧シート
Claims (5)
- 予め、透明熱可塑性樹脂フィルムの表側とする表面にエンボスロールを用いたエンボス加工で凹凸模様を設け、他方の裏面には少なくとも粘着剤層を設けたエンボス粘着フィルムを作製しておき、
上記エンボス粘着フィルムを、熱可塑性樹脂からなる基材フィルム上にインクジェット印刷法で柄印刷層を設けて作製した印刷フィルムの該柄印刷層側の面に前記粘着剤層で接着積層する、エンボス化粧シートの製造方法。 - 透明熱可塑性樹脂フィルム及び基材フィルムが共に、オレフィン系樹脂からなる請求項1記載のエンボス化粧シートの製造方法。
- エンボス粘着フィルムとして、更に透明熱可塑性樹脂フィルムの表面にリコート性の表面樹脂層を設けたフィルムを用いる、請求項1又は2記載のエンボス化粧シートの製造方法。
- 請求項1又2記載のエンボス化粧シートの製造方法によって得られる、エンボス化粧シートであって、
少なくとも、熱可塑性樹脂からなる基材フィルム上に、インクジェット印刷法で形成されて成る柄印刷層、粘着剤層、透明熱可塑性樹脂フィルムの各層が積層され、該透明熱可塑性樹脂フィルムの表面にはエンボスロールを用いたエンボス加工で形成されて成る凹凸模様を有する、エンボス化粧シート。 - 請求項3記載のエンボス化粧シートの製造方法によって得られる、エンボス化粧シートであって、
少なくとも、熱可塑性樹脂からなる基材フィルム上に、インクジェット印刷法で形成されて成る柄印刷層、粘着剤層、透明熱可塑性樹脂フィルムの各層が積層され、該透明熱可塑性樹脂フィルムの表面にはエンボスロールを用いたエンボス加工で形成されて成る凹凸模様と、リコート性の表面樹脂層を有する、エンボス化粧シート。
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