JP4878672B2 - 発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡硬化性が改善され、独立気泡率が高く、かつ耐吸水性に優れるフェノール系レゾール樹脂発泡体を与える発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、酸硬化触媒の存在下、発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物を加熱し、発泡硬化させることにより得られるフェノール系レゾール樹脂発泡体(以下レゾール樹脂発泡体という)は、難燃性や耐熱性などの特性を必要とする断熱建材や断熱保温材などとして汎用されている。
【0003】
しかしながら、独立気泡率の高いレゾール樹脂発泡体は、一般に発泡硬化時に生成した水が揮散しきれずに、発泡体、特に気泡骨格を形成するスケルトンや気泡膜中に残存しやすいことから、得られた発泡体は強度が不十分である上、収縮率が大きいため、寸法変化を生じやすいという欠点を有する。
【0004】
このような欠点を克服するには、通常、発泡硬化時間の延長や発泡体の熱処理が行われているが、これには生産性の低下を伴うため、発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物の発泡硬化時間(以下発泡硬化性という)の改善が強く求められている。一方、レゾール樹脂発泡体の要求特性である耐吸水性についても、いまだ十分とはいえず、その改善が要求されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、発泡硬化性が改善され、強度や寸法上の問題を伴うことがなく、高い独立気泡率や優れた耐吸水性をもつレゾール樹脂発泡体を与える発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物を提供することを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物について鋭意研究を重ねた結果、必須成分として、特定の有機ケイ素化合物やその部分加水分解縮合物を用いることにより、上記の目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(A)フェノール系レゾール樹脂、(B)酸硬化触媒、(C)発泡剤、(D)整泡剤及び(E)シロキサンアルコキシオリゴマー、メチルトリフェノキシシラン、及び、γ‐アミノプロピルトリエトキシシランの中から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物を提供するものである。この発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物は、例えば、前記の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分を均質に混合する際に、該(C)成分と(E)成分とを、あらかじめ十分に混合して用いることにより製造することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明組成物において、(A)成分として用いられるフェノール系レゾール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを反応触媒の存在下、例えば40℃〜還流温度で0.5〜24時間程度反応させたのち、必要に応じて中和し、次いで減圧濃縮することにより製造することができる。
このフェノール系レゾール樹脂としては、固体状のものも用いることができるが、含水率が15質量%以下、特に発泡硬化性や粘度を考慮すると、含水率10〜5質量%の液状のものが好ましい。
【0009】
このようなフェノール系レゾール樹脂の例としては、塩基性pH領域で反応させて得られるレゾール樹脂、弱酸性pH領域で反応させて得られるベンジルエーテル型レゾール樹脂、酸性pH領域でノボラック化反応させたのち塩基性pH領域でレゾール化反応させて得られるノボラック型レゾール樹脂、あるいは、これらの樹脂を製造する過程ないし製造後に任意の化合物、例えばエポキシ樹脂、キシレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン化合物、ベンゾオキサジン型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、高吸水性樹脂、エポキシ系化合物、尿素、メラミンなどと混合又は反応させて得られる変性レゾール樹脂などが挙げられる。中でも、ノボラック型レゾール樹脂、レゾール樹脂及びこれらの変性レゾール樹脂が好ましく、特にノボラック型レゾール樹脂は、レゾール樹脂より低粘性で発泡体特性も優れているので好ましい。これらのフェノール系レゾール樹脂は単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0010】
前記フェノール系レゾール樹脂の原料として用いられるフェノール類としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、p‐tert‐ブチルフェノール、ノニルフェノール、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールF、ビスフェノールA及びこれらの混合物などが挙げられる。一方、アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ポリオキシメチレン、グリオキザール、フルフラール及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0011】
このようなフェノール類とアルデヒド類との使用割合としては、特に制限はないが、一般的にはフェノール類1モルに対し、アルデヒド類を0.8〜3.0モル、特に1.0〜2.0モルの割合で用いるのが好ましい。また、反応触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アンモニア、アミン類などの塩基性触媒や、例えば塩酸、硫酸、リン酸、酢酸亜鉛、酢酸鉛、ホウ酸、シュウ酸、p‐トルエンスルホン酸などの酸性触媒などが用いられる。
【0012】
本発明組成物において、(B)成分の酸硬化触媒としては、(A)成分であるフェノール系レゾール樹脂の硬化反応や、(E)成分であるケイ素原子に結合した加水分解性基を有する有機ケイ素化合物やその加水分解縮合物の加水分解反応などを促進する作用を有する酸性化合物が用いられる。このような酸硬化触媒としては、例えばアリールスルホン酸、アルキルスルホン酸及び無機酸などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。中でもアリールスルホン酸を主成分とする酸硬化触媒が良好な発泡状態及び発泡体特性を与えるという点で有利である。
【0013】
このような酸硬化触媒としては、例えばフェノールスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸、アントラセンスルホン酸、アントラノールスルホン酸、スルホン化フェノール樹脂、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合生成物、スルホン化クレオソート油、スルホン化クレオソート油とホルムアルデヒドとの縮合生成物、メタンスルホン酸、リン酸、ポリリン酸、硫酸などが挙げられる。これらの酸硬化触媒は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0014】
このような酸硬化触媒は、熱伝導率の経時変化抑制及び発泡硬化性を考えて、アリールスルホン酸を主成分とし、かつ含水率を10質量%以下に調整したグリコール系溶剤溶液、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの溶液として用いるのが好ましいが、もちろんこれらに限定されるものではなく、水溶液として使用してもよい。また、酸硬化触媒の配合量としては、特に制限はないが、一般的には(A)成分のフェノール系レゾール樹脂100質量部当り、1〜50質量部の範囲で選ばれる。
【0015】
本発明組成物において、(C)成分として用いられる発泡剤は、(A)成分であるフェノール系レゾール樹脂の膨張泡化(発泡)の作用を有するガスを物理的や化学的に生成する化合物を意味し、このような発泡剤の中でも主体をなす物理的発泡剤としては、例えばブタン、ペンタン、シクロペンタン、イソペンタン、ヘキサンなどの炭化水素、塩化メチレン、塩化プロパンなどのハロゲン化炭化水素、パーフルオロヘキサン、パーフルオロペンタンなどのパーフルオロアルカン、パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルエーテルなどのハイドロフルオロエーテル、ジフルオロメタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタンなどのハイドロフルオロカーボン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロメタン、ジクロロモノフルオロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロプロパンなどのハイドロクロロフルオロカーボン、パーフルオロモルホリン、パーフルオロメチルモルホリンなどのフルオロアミンなどがある。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0016】
一方、化学的発泡剤としては、例えば、酸、水、熱などの作用により二酸化炭素、窒素などを発生する化合物、具体的には炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、過酸化水素、ポリイソシアネート、p‐トルエンスルホニルヒドラジッド、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジッド、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、前記物理的発泡剤と化学的発泡剤とを組み合わせて用いることもできるし、場合によっては、例えば、二酸化炭素、窒素、空気などのガス体を発泡剤として用いることもできる。このような発泡剤の配合量としては、通常の発泡に使用されている範囲内で選ばれ、一般的には(A)成分のフェノール系レゾール樹脂100質量部当り、0.5〜30質量部の範囲で選ばれる。
【0017】
本発明組成物において、(D)成分として用いられる整泡剤は、発泡体形成時において、各成分の混合補助、気泡の発生、成長、安定化などの作用を有する化合物であり、このような性質を有する好ましい整泡剤としては、例えばヒマシ油エチレンオキシド付加物、ポリシロキサン・オキシアルキレン共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル酸エステル、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの整泡剤は単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。このような整泡剤の配合量としては特に制限はないが、一般的には(A)成分のフェノール系レゾール樹脂100質量部当り、0.3〜10質量部の範囲で選定される。
【0018】
本発明組成物において、(E)成分として用いられる、分子中にケイ素原子に結合した加水分解性基を有する有機ケイ素化合物やその部分加水分解縮合物とは、加水分解性基が有する水との反応性に基づいて発泡体組織中の水の消化を速めて発泡硬化性を促進する作用を有する有機ケイ素化合物のことを意味する。そして、取り扱い性や加水分解性を考慮すると、好ましくはオルガノアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物であるシロキサンアルコキシオリゴマーである。中でも発泡体特性を考慮すると、オルガノアルコキシシランよりシロキサンアルコキシオリゴマーが有利である。また、加水分解性基であるアルコキシル基としては、気泡膜の破壊を生じにくいという点で、メトキシ基、エトキシ基及びフェノキシ基が好ましいが、特に水との反応性が高く反応しやすいこと及び発泡体特性に優れることを考慮すると、メトキシ基及びエトキシ基が特に好ましい。これらのアルコキシル基は、分子中に1種のみ存在してもよく、2種以上混在してもよい。
【0019】
このようなオルガノアルコキシシランとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラフェノキシシランなどが挙げられる。また、シロキサンアルコキシオリゴマーとしては、例えば、信越化学工業社から市販されているシロキサンメトキシオリゴマー(商品名「AFP−1」)や若干量のオルガノメトキシシランを含むシロキサンメトキシオリゴマー(商品名「KC89」)などが挙げられる。この加水分解性有機ケイ素化合物の配合量は、加水分解性基の種類及び含有量、フェノール系レゾール樹脂及び酸硬化触媒の含水率などを考慮して決定されるが、一般的には(A)成分のフェノール系レゾール樹脂100質量部当り、0.1質量部以上である。この量が0.1質量部未満では、発泡硬化性の改善効果が十分に発揮されにくい。また、あまり多く配合しても、その量の割には効果の向上があまり認められず、むしろ経済的に不利となるので、該加水分解性有機ケイ素化合物の好ましい配合量は0.1〜20質量部の範囲であり、特に0.3〜5質量部の範囲が好適である。
【0020】
本発明の発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物は、上述した(A)フェノール系レゾール樹脂、(B)酸硬化触媒、(C)発泡剤、(D)整泡剤及び(E)加水分解性有機ケイ素化合物を、例えば高速撹拌混合機、高圧衝突混合機、低圧衝突混合機により均質に混合することにより製造することができる。そして、得られた発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物は、例えば連続発泡法、注入発泡法、現場発泡法などにより、好ましくは加熱下に発泡硬化させることによりレゾール樹脂発泡体に形成される。上記の組成物の製造に際し、(D)成分は(A)成分に混合ないし溶解して配合する方法が好ましい。また、(E)成分の組成物中への導入方法としては、適宜の添加装置による方法でもよいが、形成される発泡体のスケルトン及び気泡膜中の水と(E)成分とを効率よく反応させるため、常温で液体又は固体若しくは液化状態の(C)成分発泡剤と(E)成分とをあらかじめ常圧ないしは加圧下に混合することにより両者が共存する状態で配合する方法が有利である。
【0021】
本発明の発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物には、必要に応じて種々の助剤、例えば硬化促進剤(例えばレゾルシン、アルキルレゾルシンなど)、ホルムアルデヒド捕捉剤(例えば尿素、メラミンなど)、難燃剤(例えば尿素樹脂、メラミン樹脂、含リン系・含ハロゲン系化合物、水酸化アルミニウムなど)、充填剤(例えばシラスバルーン、ガラスバルーン、多孔質骨剤、木粉など)、繊維補強剤(例えばセラミック繊維、ガラス繊維、炭素繊維、フェノール繊維、アラミド繊維など)など、さらには減粘剤、可塑剤、着色剤、消臭剤、抗菌剤などを配合することができる。
【0022】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、得られたレゾール樹脂発泡体については、密度(JIS A−1412)、吸水量(JIS A−1412)、10%歪み圧縮強度(JIS A−1412)、収縮率(JIS A−9515)及び熱伝導率(JIS A−9511)を測定した。
【0023】
参考例1(ノボラック型レゾール樹脂の調製)
還流コンデンサー、温度計、撹拌機を備えた三つ口反応フラスコ内に、フェノール1600g、47質量%ホルマリン869g及びシュウ酸1.6gを仕込んで昇温し、還流温度に保持しながら60分間ノボラック化反応を行って40℃に冷却した。引き続き、47質量%ホルマリン1412gと50質量%水酸化ナトリウム水溶液41.6gを仕込んで昇温し、温度80℃に保持しながら80分間レゾール化反応を行って40℃に冷却した。引き続き、酸でpH6.8(pHメーター)に中和したのち、尿素153.6gを添加し、加熱下に含水率8.0質量%(カールフィッシャー法)まで減圧濃縮して液状のノボラック型レゾール樹脂2880gを得た。次に、このノボラック型レゾール樹脂100質量部に対し、整泡剤(ヒマシ油エチレンオキシド付加物)3質量部を添加して粘度1.35Pa・s/25℃(JIS K−7233)のノボラック型レゾール樹脂組成物Iを調製した。
【0024】
参考例2(レゾール樹脂の調製)
参考例1に記載の三つ口反応フラスコ内に、フェノール1600g、47質量%ホルマリン2282g及び50質量%水酸化ナトリウム水溶液41.6gを仕込んで昇温し、温度80℃に保持しながら80分間レゾール化反応を行って40℃に冷却した。引き続き、酸でpH6.8に中和したのち、尿素153.6gを添加し、加熱下に含水率8.0質量%まで減圧濃縮して液状のレゾール樹脂2830gを得た。次に、このレゾール樹脂100質量部に対し、整泡剤(ヒマシ油エチレンオキシド付加物)3質量部を添加して粘度2.52Pa・s/25℃のレゾール樹脂組成物IIを調製した。
【0025】
実施例1
500mlディスポカップ内に、25℃に調整した参考例1で調製のノボラック型レゾール樹脂組成物I 100質量部と、1,1‐ジクロロ‐1‐フルオロエタン(商品名「アサヒクリーン AK141b」,旭硝子社製)7質量部に、若干量のオルガノメトキシシランを含むシロキサンメトキシオリゴマー(商品名「KC89」,信越化学工業社製)1.0質量部を溶解させて作製した発泡剤組成物8質量部を入れた。次いで、酸硬化触媒(60質量%p‐トルエンスルホン酸ジエチレングリコール溶液)15質量部を添加したのち、直ちに高速撹拌機(商品名「ホモディスパー」,特殊機化工業社製)で10秒間混合して発泡性ノボラック型レゾール樹脂組成物を調製し、これを温度80℃の金型内に注入したのち、設定温度80℃の乾燥機内で5分間発泡硬化させて密度39.5kg/m3のノボラック型レゾール樹脂発泡体を作製した。得られた発泡体については、前記の試験法に準じて独立気泡率、熱伝導率、吸水量、10%歪み圧縮強度及び厚み方向の収縮率を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0026】
実施例2〜10
実施例1において、表1に示す成分配合条件に変更した以外は、実施例1と同様にして8種類のノボラック型レゾール樹脂発泡体と1種類のレゾール樹脂発泡体を作製した。得られた発泡体については、前記の試験法に準じて独立気泡率、熱伝導率、吸水量、10%歪み圧縮強度及び厚み方向の収縮率を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0027】
比較例1
実施例1において、表1に示す成分配合条件及び発泡硬化条件に変更した以外は、実施例1と同様にしてノボラック型レゾール樹脂発泡体を作製した。得られた発泡体については、前記の試験法に準じて独立気泡率、熱伝導率、吸水量、10%歪み圧縮強度及び厚み方向の収縮率を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0028】
実施例11
実施例1において、発泡性ノボラック型レゾール樹脂組成物の調製時に、「KC89」(商品名)を発泡剤に溶解させることなく配合した以外は、実施例1と同様にしてノボラック型レゾール樹脂発泡体を作製した。得られた発泡体については、前記の試験法に準じて独立気泡率、熱伝導率、吸水量、10%歪み圧縮強度及び厚み方向の収縮率を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
(注)
KC89:信越化学工業社製,若干量のオルガノメトキシシランを含むシロキサンメトキシオリゴマーの商品名
AFP−1:信越化学工業社製,シロキサンメトキシオリゴマーの商品名
KPBH−13:信越化学工業社製,メチルトリフェノキシシランの商品名
A−1100:日本ユニカー社製,γ‐アミノプロピルトリエトキシシランの商品名
【0031】
表1から明らかなように、(E)成分の使用により、発泡硬化時間の短縮及び耐吸水性の改善が可能であることが確認された。なお、発泡体特性の観点から、アルコキシル基(実施例1)はフェノキシ基(実施例7)より、シロキサンメトキシオリゴマー(実施例6)はオルガノフェノキシシラン(実施例7)より、及びノボラック型レゾール樹脂(実施例1)はレゾール樹脂(実施例9)より優れていることなどが確認された。また、実施例2の結果から、(E)成分の使用量はフェノール系レゾール樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上であればよいことが確認された。実施例1と実施例11の比較において、実施例11の発泡体特性が劣る原因は、発泡体の気泡写真(KEYENCE社製デジタルHDマイクロスコープVH−7000)により気泡膜の割れに基づくものであることが確認された。
【0032】
【発明の効果】
本発明の発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物は、水との反応性を有する加水分解性有機ケイ素化合物を使用することにより、発泡硬化時間が大幅に短縮され、しかも改善された耐吸水性を有する高独立気泡率のレゾール樹脂発泡体を提供することができる。
また、本発明方法によれば、発泡剤と加水分解性有機ケイ素化合物を、あらかじめ混合してなるものを用い、発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物を調製することにより、得られる発泡体の特性を損なうことなく、発泡硬化性を改善することができる。
Claims (9)
- (A)フェノール系レゾール樹脂、(B)酸硬化触媒、(C)発泡剤、(D)整泡剤及び(E)シロキサンアルコキシオリゴマーを含むことを特徴とする発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物。
- (E)成分として、更にオルガノアルコキシシランを含む請求項1記載の発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物。
- (E)成分のシロキサンアルコキシオリゴマーにおける加水分解性基がメトキシ基、エトキシ基及びフェノキシ基の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物。
- (A)フェノール系レゾール樹脂、(B)酸硬化触媒、(C)発泡剤、(D)整泡剤及び(E)メチルトリフェノキシシラン、及び、γ‐アミノプロピルトリエトキシシランの中から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物。
- (A)成分のフェノール系レゾール樹脂100質量部当り、(E)成分0.1質量部以上を含む請求項1ないし4記載の発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物。
- (A)成分のフェノール系レゾール樹脂がノボラック型レゾール樹脂である請求項1ないし5記載の発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物。
- (B)成分の酸硬化触媒が、アリールスルホン酸を主成分として含み、かつ含水率が0〜10質量%未満のグリコール系溶剤溶液である請求項1ないし6のいずれかに記載の発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物。
- (A)フェノール系レゾール樹脂、(B)酸硬化触媒、(C)液体又は液化状態の発泡剤、(D)整泡剤及び(E)シロキサンアルコキシオリゴマーを均質に混合して発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物を製造するに当り、上記(C)成分と(E)成分とをあらかじめ混合して用いることを特徴とする発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物の製造方法。
- (E)成分として、更にオルガノアルコキシシランを含む請求項8記載の発泡性フェノール系レゾール樹脂組成物の製造方法。
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