JP4963919B2 - 発泡性フェノール樹脂組成物及び金属サイディング - Google Patents

発泡性フェノール樹脂組成物及び金属サイディング Download PDF

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Description

本発明は、発泡性フェノール樹脂組成物及び金属サイディングに係り、特に耐クラック性に優れ且つ環境問題を配慮したフェノールフォームが金属面材間に一体的に形成された金属サイディングの製造に適した発泡性フェノール樹脂組成物、並びにそのような金属サイディングに関するものである。
酸硬化型のフェノールフォームは、燃え難く、煙の発生が少なく、しかも断熱性も良好なところから、従前より、例えば金属サイディング等の外壁材、間仕切りパネル等の内壁材の他、天井材、防火扉、雨戸等の建材用途、更には、保冷・保温材として工業プラント用途等に、広く使用されてきている。
特に、建材用途では、2000年の建築基準法改正に伴い、更なる難燃性(耐火性の改善)が要求されるようになった。このため、例えば特開平8−142240号公報(特許文献1)に示されるように、二枚の金属面材を組み付け、その両側面に雄型連結部及び雌型連結部を設けた長尺状の成形金属面材間に、例えばレゾール型フェノール樹脂、発泡剤及び酸性硬化剤、並びに必要に応じて整泡剤、補強材、難燃剤等を混合して得られる酸硬化型の発泡性フェノール樹脂組成物(以下、「発泡性原液」とも呼称する。)を注入充填した後、発泡硬化せしめることにより、金属面材間にフェノールフォームを一体的に形成してなる耐火パネル、所謂金属サイディングが、見直され始めてきている。
しかしながら、かかる金属サイディングの製造においては、一般に、成形金属面材の端部部位(連結部部分)への発泡性フェノール樹脂組成物の充填性を重視するところから、その硬化のタイミングが遅くなるように構成され、そのため、硬化不足が生じ、これによってフェノールフォームにクラックが形成され易いという問題を内在している。そして、この問題を解消すべく、従前より、温度や時間等の成形条件を調節するといった対応策が講じられているのであるが、未だ改善の余地を有するものであった。
また、環境問題の観点から、発泡剤としては、例えば特開2001−11230号公報(特許文献2)に示されるような、炭化水素系発泡剤の採用が見直され始めてきているが、この炭化水素系発泡剤は、レゾール型フェノール樹脂や酸性硬化剤との混合性乃至は相溶性が良いとは言えず、発泡性原液の調製において、均質な混合物が得難く、また混合性乃至は相溶性が悪いために、レゾール型フェノール樹脂と炭化水素系発泡剤を混合して密閉して保存した場合には、炭化水素系発泡剤が分離したり、往々にして金属製保存容器が膨張する等の問題を内在している。このため、炭化水素系発泡剤を使用するには、レゾール型フェノール樹脂や酸性硬化剤との混合性乃至は相溶性を改善することが、急務とされているのである。
特開平8−142240号公報 特開2001−11230号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、発泡剤として環境に配慮した炭化水素系発泡剤を採用するに際し、この炭化水素系発泡剤と、レゾール型フェノール樹脂及び酸性硬化剤との混合性乃至は相溶性を向上せしめると共に、耐クラック性に優れたフェノールフォームを形成し得る発泡性フェノール樹脂組成物を提供すること、並びにそのような発泡性フェノール樹脂組成物を用いてなる金属サイディングを提供することにある。
そして、本発明者等は、そのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の可塑剤及び特定の酸性硬化剤を用いることによって、上述の如き課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、レゾール型フェノール樹脂、フタル酸系可塑剤、炭化水素系発泡剤、並びに、フェノールスルホン酸、キシレンスルホン酸及びレゾルシノールからなる酸性硬化剤を、必須成分として含み、且つ前記フタル酸系可塑剤が、前記レゾール型フェノール樹脂の100質量部に対して、0.1〜5質量部の割合で含まれていることを特徴とする発泡性フェノール樹脂組成物を、その要旨とするものである。
なお、そのような本発明に従う発泡性フェノール樹脂組成物における好ましい態様によれば、前記酸性硬化剤は、前記レゾール型フェノール樹脂の100質量部に対して、10〜30質量部の割合で含有され、また、かかる酸性硬化剤を構成する前記キシレンスルホン酸及び前記レゾルシノールは、前記フェノールスルホン酸の100質量部に対して、それぞれ、10〜60質量部及び0.5〜30質量部の割合で含まれることとなる。
また、本発明に従う発泡性フェノール樹脂組成物における他の好ましい態様によれば、前記炭化水素系発泡剤は、前記レゾール型フェノール樹脂の100質量部に対して、0.5〜10質量部の割合で含有される。
さらに、本発明は、上述せる如き発泡性フェノール樹脂組成物を用い、それを金属面材間に充填及び発泡硬化せしめてなることを特徴とする金属サイディングをも、その要旨とするものである。
このように、本発明に従う発泡性フェノール樹脂組成物にあっては、フタル酸系可塑剤を用いると共に、硬化性の異なるフェノールスルホン酸及びキシレンスルホン酸にレゾルシノールを配合した酸性硬化剤を用いることにより、レゾール型フェノール樹脂と炭化水素系発泡剤との混合性乃至は相溶性が向上し、これにより、発泡性フェノール樹脂組成物の成形金属面材等からなる空間への充填性も向上すると共に、発泡硬化性が改善されて、発泡硬化後のフェノールフォームには硬化不足によるクラックの発生がなくなり、耐クラック性をも効果的に高めることが出来るのである。
また、本発明に従う発泡性フェノール樹脂組成物を用いて得られる金属サイディングにあっては、炭化水素系発泡剤の採用により環境への配慮がなされていると共に、金属面材間の隅々まで、フェノールフォームが一体的に形成され、しかもクラックの発生が有利に防止され得た高品質なものとなるのである。
ところで、かくの如き本発明において主成分として使用されるレゾール型フェノール樹脂は、通常、フェノール類の1モルに対して、アルデヒド類を0.8〜3モルの配合割合において用い、それらを、反応触媒、例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸アルカリ金属塩、酢酸二価金属塩等の存在下において反応させた後、必要に応じてリン酸、硫酸、乳酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の酸で中和処理を行い、その後濃縮して得られる分子中にメチロール基やジメチレンエーテル基を有する液状の熱硬化性樹脂であり、酸性硬化剤の使用により架橋硬化を発現する性質を有するものである。そして、本発明においては、そのような従来より公知のレゾール型フェノール樹脂が、適宜に選択されて用いられることとなるのである。
なお、レゾール型フェノール樹脂の一方の原料となるフェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びこれらフェノール類の精製残渣等を使用することが出来る。一方、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド(通常はホルマリン)、パラホルムアルデヒド、フルフラール等を使用することが出来る。また、反応触媒の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸亜鉛等を使用することが出来る。そして、上記フェノール類、アルデヒド類及び反応触媒は、例示のものに特に限定されるものではなく、また、それぞれを単独で用いてもよく、或いは2種以上を併用しても差し支えない。
また、本発明においては、環境問題の観点から発泡剤として従来から公知の炭化水素系発泡剤が、適宜に選択されて用いられ、これにより、オゾン層破壊の問題が有利に防止される。そして、かかる炭化水素系発泡剤の具体例としては、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ネオヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、シクロペンタン等を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではなく、また、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、消防法(危険性)の観点から、特にシクロペンタンが好適に採用され得る。
ここにおいて、炭化水素系発泡剤の配合割合は、特に制限されるものではなく、通常、レゾール型フェノール樹脂(溶媒不含、以下同じ)の100質量部に対し、0.5〜10質量部となる範囲で、適宜に設定される。より好ましくは、レゾール型フェノール樹脂の100質量部に対し、1.5〜5質量部の割合が採用される。かかる配合割合が上記配合割合よりも少ない場合には、金属面材等からなる空間への発泡性フェノール樹脂組成物の充填が十分ではなく、逆に上記配合割合を超える場合には、発泡硬化性を阻害するおそれがあるからである。なお、本発明においては、発泡剤として炭化水素系発泡剤が採用されるが、炭化水素系発泡剤を主体としておれば、必要に応じて、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC−134a)等の水素化フルオロカーボン類(HFC)が、併用されても差し支えない。
そして、本発明にあっては、可塑剤として、フタル酸系可塑剤が、上記のレゾール型フェノール樹脂と炭化水素系発泡剤を必須成分として含有する組成物に対して混合せしめられて、利用されるところに、大きな特徴を有しているのである。すなわち、そのような特定の可塑剤を用いることにより、混合後における炭化水素系発泡剤のレゾール型フェノール樹脂からの分離が有利に抑制され、炭化水素系発泡剤と、レゾール型フェノール樹脂及び後述の酸性硬化剤との混合性乃至は相溶性を大幅に改善することが出来、更に、そのような必須成分を含み、混合性乃至は相溶性が向上せしめられた発泡性フェノール樹脂組成物を、金属面材等から形成される空間に流し込めば、充填性が有利に改善されて、クラックの発生が効果的に防止されたフェノールフォームが得られるのである。
また、かかるフタル酸系可塑剤の使用により混合性乃至は相溶性が向上するところから、炭化水素系発泡剤が分離することによって生じる品質のバラツキが有利に防止されると共に、レゾール型フェノール樹脂と炭化水素系発泡剤を混合して密閉保存した場合でも、金属製の保存容器が膨張するようなことが防止され、貯蔵安定性が改善されるといった効果も併せて発揮される。更には、混合性乃至は相溶性の向上によって、発泡現場において、発泡剤の混合作業を省力化することが可能となり、以て作業効率の向上に寄与することも可能となるのである。
ここにおいて、上記フタル酸系可塑剤としては、特に制限されるものではなく、従来から公知のものが適宜に選択されて使用され得るのであり、例えばフタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル等を挙げることが出来、これらは、単独で用いられても、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。なお、これら例示のフタル酸系可塑剤の中でも、フタル酸ジオクチル(DOP)にあっては、充填性に優れた発泡性フェノール樹脂組成物が得られるところから、特に好適に使用される。
また、フタル酸系可塑剤の配合割合としては、レゾール型フェノール樹脂の100質量部に対して、0.1〜5質量部となる範囲が好適に採用される。なぜなら、配合割合が0.1質量部未満では、上述の混合性乃至は相溶性の改善効果が十分に発揮されないからであり、逆に5質量部を超えると、発泡性フェノール樹脂組成物の発泡硬化性を阻害するおそれがあるからである。
なお、フタル酸系可塑剤は、その適量が上述したレゾール型フェノール樹脂又はレゾール型フェノール樹脂と炭化水素系発泡剤との混合物に配合されることが望ましい。すなわち、フタル酸系可塑剤は、後述する酸性硬化剤の配合に先立って、レゾール型フェノール樹脂等に配合され、均一に混合されることが望ましく、例えば、フタル酸系可塑剤を用いて、レゾール型フェノール樹脂と炭化水素系発泡剤とを均一に混合せしめたものを、発泡性フェノール樹脂製品(I液)として準備し、これに、後述する酸性硬化剤からなる製品(II液)を配合して、本発明に従う発泡性フェノール樹脂組成物を調製することが可能である。
ところで、本発明においては、酸性硬化剤として、フェノールスルホン酸、キシレンスルホン酸及びレゾルシノールを必須成分とする混合物が用いられるところにも、大きな特徴があり、このような特定の酸性硬化剤の採用により、金属面材等からなる空間への充填性と発泡硬化性とが両立して極めて良好に発揮され、これにより、発泡硬化後のフェノールフォームに硬化不足によるクラックの発生がなくなり、耐クラック性も改善され得るのである。
そして、キシレンスルホン酸は、フェノールスルホン酸の100質量部に対して、10〜60質量部、好ましくは20〜60質量部の割合で使用され、また、レゾルシノールは、フェノールスルホン酸の100質量部に対して、0.5〜30質量部、好ましくは1〜25質量部の割合で使用されることが、望ましい。なぜなら、キシレンスルホン酸の配合割合が上記範囲より少ない場合には、発泡硬化性が十分に改善されず、フェノールフォームにクラックが発生し易くなるおそれがあるからであり、逆に上記範囲を超える場合には、充填性を阻害するおそれがあるからである。また、レゾルシノールの配合割合が上記範囲より少ない場合には、発泡性フェノール樹脂組成物の硬化性が発泡性より優位となるため、充填性を十分に改善することが出来ないおそれがあり、逆に上記範囲を超える場合には、硬化と発泡の良好なバランスが保てなくなって、フェノールフォームにボイドが発生するおそれがあるからである。
そして、硬化性の異なるフェノールスルホン酸及びキシレンスルホン酸にレゾルシノールを配合した本発明の酸性硬化剤の使用量は、適宜に設定されるものの、通常、レゾール型フェノール樹脂の100質量部に対して、それら三成分の合計量で、10〜30質量部、好ましくは10〜25質量部の範囲で適宜に使用されることが望ましい。なぜなら、酸性硬化剤の使用量が上記範囲以外の場合には、上述の有用な効果が十分に発揮され得ないからである。
なお、酸性硬化剤を構成する必須成分は、そのまま、前記したレゾール型フェノール樹脂に対して配合,混合せしめることも可能ではあるものの、一般には、レゾール型フェノール樹脂との混合性乃至は相溶性を更に高めるべく、水を主体とする媒体に溶解されて、水溶液の状態で酸性硬化剤として用いられる。また、この酸性硬化剤には、上記三成分以外の他の公知の硬化剤を、必要に応じて、本発明による効果を阻害しない配合割合において、添加することも可能である。
そして、上記したレゾール型フェノール樹脂、フタル酸系可塑剤、炭化水素系発泡剤及び特定の酸性硬化剤を必須の含有成分とする本発明に従う発泡性フェノール樹脂組成物には、更に必要に応じて、各種の添加剤を、適宜に選択し、本発明の効果を阻害しない量的範囲において、配合することも可能である。これによって、その添加剤に応じた各種の機能を有利に付与することが出来るのである。なお、上記添加剤は、レゾール型フェノール樹脂と酸性硬化剤とを混合するに先立ち、或いは混合した後に添加、混合され得るが、本発明においては、レゾール型フェノール樹脂と酸性硬化剤との混合に伴って発生する内部発熱によって発泡剤が気化して発泡が進行するところから、レゾール型フェノール樹脂と酸性硬化剤との混合時に、又は混合に先立ってレゾール型フェノール樹脂及び酸性硬化剤のうちの何れか一方或いは両方に、配合されることが望ましい。
ここで、上記添加剤としては、整泡剤として機能する界面活性剤、特に非イオン系界面活性剤を例示することが出来、その使用量は、適宜に設定されるものの、添加による効果を十分に得るためには、レゾール型フェノール樹脂の100質量部に対して、0.5〜5質量部の割合が好適に採用される。また、非イオン系界面活性剤としては、例えばポリシロキサン系化合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものでなく、また、これらは単独で用いてもよく、併用してもよい。
また、上記整泡剤の他にも、尿素等のホルムアルデヒド捕捉剤、炭酸バリウム等の中和剤等の添加剤を配合することも可能である。更に、無機充填材等の基材も、必要に応じて、適量において配合される。かかる無機充填材としては、例えば、難燃剤としても機能する水酸化アルミニウム等の水酸化物を例示することが出来る。
ところで、本発明に係る発泡性フェノール樹脂組成物は、上述のように、レゾール型フェノール樹脂、フタル酸系可塑剤、炭化水素系発泡剤及び特定の酸性硬化剤を必須の構成成分として含有すると共に、その他必要に応じて無機充填材等の基材、各種添加剤を含有するものであって、それらを配合し、高速攪拌ミキサーや高圧衝突混合機、低圧衝突混合機等の公知の攪拌・混合機を用いて、均質に混合することにより、調製されるが、この混合方法に何等限定されるものではなく、当該技術分野において目的に応じて選択されてきた種々の混合方法によっても同様に調製することが出来る。なお、この際、各種成分の配合順序は、特に制限されるものではないが、フタル酸系可塑剤は、混合性乃至は相溶性改善作用を十分に発揮できるように、予め、レゾール型フェノール樹脂又はレゾール型フェノール樹脂と炭化水素系発泡剤との混合液に配合されることが望ましい。
そして、上述のように調製された発泡性フェノール樹脂組成物は、レゾール型フェノール樹脂と酸性硬化剤との接触に伴って徐々に生じる発熱により、炭化水素系発泡剤の気化及び硬化反応(架橋反応)が進行するところから、遅滞なく、通常の条件下で、発泡硬化せしめられ、目的とするフェノールフォームが製造されることとなる。
より具体的には、得られた発泡性フェノール樹脂組成物は、例えば、連続発泡法、注入発泡法、スプレー施工法等の公知の工法により、所定の成形型内や空間内に流し込まれたり、或いは、所定の物体表面に吹き付けられ、そして必要に応じて適宜に加熱されることにより、炭化水素系発泡剤が気化して発泡が行なわれると共に、レゾール型フェノール樹脂が硬化せしめられて、フェノールフォームが製造されるのであり、そのようにして製造されたフェノールフォームは、金属サイディング等の外壁材、間仕切りパネル等の内壁材の他、天井材、防火扉、雨戸等の建材用途に有利に用いられるのである。
特に、本発明に従う発泡性フェノール樹脂組成物にあっては、混合性乃至は相溶性や充填性、発泡硬化性が有利に改善されているところから、雄型連結部や雌型連結部等が設けられて複雑な形状とされた金属サイディング用の長尺な金属面材にて形成される空間の隅々にまで充填され、しかもクラックの発生が有利に防止された金属サイディングが得られるのである。
以下に、幾つかの実施例を用いて、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明は、そのような実施例の記載によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。なお、以下の実施例において、「部」及び「%」は全て質量基準となっており、また、得られた発泡性フェノール樹脂組成物及びフェノールフォームの特性は、以下の試験法により、それぞれ測定されたものである。
(1)フェノールフォームの耐クラック性
フェノールフォームの耐クラック性は、55℃に設定した乾燥機内で、鉄板上に設置した長方形の金型(厚み25mm、幅200mm、長さ300mm)を温度調節した後、該金型の中央部に発泡性フェノール樹脂組成物を流し込み、直ちに金型上部に厚み0.3mmの化粧鉄板面材を置いて両鉄板を締付治具で固定した後、該樹脂組成物を発泡硬化させて、化粧鉄板面材付きフォームを作製した。そして、得られた化粧鉄板付きフォームを、直ちに二つに切断した後、これを80℃に設定した乾燥機内の鉄板上で8時間放置し、フォーム切断面に発生するクラックの有無を観察し、目視により評価を行った。
(2)発泡性フェノール樹脂組成物の充填性
発泡性フェノール樹脂組成物の充填性は、55℃に設定した乾燥機内で、図1(a)〜(c)に示されるように、鉄板(10)上にコ字型金型(12)(厚み:25mm、幅:200mm、長さ:300mm)を設置して温度調節した後、該金型の閉塞側に発泡性フェノール樹脂組成物(14)を流し込み、直ちに温度調節した鉄板(16)を設置して、上下の両鉄板(10,16)を締付治具(18)で固定した後、樹脂組成物を発泡硬化させて形成されたフェノールフォーム(20)の金型開放側への伸び長さ(mm)を測定した。なお、充填性は、該樹脂組成物の注入量の影響を受けないように、注入量100g当りの伸び長さ[伸び長さ(mm)÷注入量(g)×100(g)]に換算し、評価を行った。
<試料1>
−レゾール型フェノール樹脂の製造−
フェノール300kgと47%ホルマリン305kgを撹拌機付反応器中に仕込んだ。次いで、20%水酸化ナトリウム水溶液18kgを投入した後、常温から80℃になるまで約60分で昇温させた後、同温度で200分反応を継続させた。その後、得られた反応生成物を40℃に冷却し、10%硫酸水溶液を加えて、pH6.5〜7.0に調整し、8.0×10-3MPa減圧下で濃縮を行い、25℃における粘度:4000mPa・s/25℃、水分(カールフィッシャー法により測定):13%のレゾール型フェノール樹脂液を、450kg得た。
−レゾール型フェノール樹脂を含む樹脂組成物(I液)の調製−
得られたレゾール型フェノール樹脂液(水分13%含有)の100部に、フタル酸系可塑剤としてフタル酸ジオクチル(DOP)を1.0部、整泡剤としてポリシロキサン系界面活性剤(商品名:SH193、東レ・ダウコーニング社製)を1.5部、中和剤として炭酸バリウムを5部、炭化水素系発泡剤としてシクロペンタンを2.2部添加し、攪拌混合して、樹脂組成物(I液)を得た。
−酸性硬化剤(II液)の調製−
一方、62%フェノールスルホン酸水溶液:100部、70%キシレンスルホン酸水溶液:40部、及びレゾルシノール:4部を、十分に攪拌混合して酸性硬化剤(II液)を調製した。
−発泡性フェノール樹脂組成物の製造−
上記で調製されたI液とII液とを、I液/II液=100部/18部の比率で用い、両液を、TKホモディスパー(特殊機化工業社製)で攪拌混合して、発泡性フェノール樹脂組成物を調製した。
そして、得られた発泡性フェノール樹脂組成物を用いて、フェノールフォームの耐クラック性及び発泡性フェノール樹脂組成物の充填性を上記試験法により測定し、その結果を下記表1に示す。
<試料2〜8>
I液におけるDOPの配合割合、II液におけるキシレンスルホン酸、レゾルシノールの配合割合、又はI液とII液との配合割合を下記表1に示すように変更した以外は試料1と同様にして、試料2〜8に係る発泡性フェノール樹脂組成物を得た。そして、耐クラック性及び充填性を、上記試験法に基づいて測定し、得られた結果を下記表1に示す。
<試料9>
I液におけるDOPに代えて、フタル酸ジエチルを添加するように変更した以外は、試料1と同様にして、発泡性フェノール樹脂組成物を得た。そして、耐クラック性及び充填性を、上記試験法に基づいて測定し、得られた結果を下記表1に示す。
<試料10>
I液にDOPを添加しないように変更すること以外は、試料1と同様にして、発泡性フェノール樹脂組成物の調製を試みたが、I液とII液を十分に混合することが出来ず、混合不良が生じた。また、発泡硬化後のフェノールフォームは、均質ではなかった。
<試料11>
I液におけるDOPに代えて、エチレングリコールを添加するように変更した以外は、試料1と同様にして、発泡性フェノール樹脂組成物の調製を試みたが、I液とII液を十分に混合することが出来ず、混合不良が生じた。また、発泡硬化後のフェノールフォームは、均質ではなかった。
<試料12,13>
II液にキシレンスルホン酸又はレゾルシノールを添加しないように変更すること以外は、試料1と同様にして、試料12,13に係る発泡性フェノール樹脂組成物を得た。そして、耐クラック性及び充填性を、上記試験法に基づいて測定し、得られた結果を下記表2に示す。
Figure 0004963919
Figure 0004963919
かかる表1の結果から明らかなように、本発明に従って、フタル酸系可塑剤及び特定の酸性硬化剤を含有せしめてなる試料1〜9にあっては、良好な耐クラック性と充填性とが両立されていることが認められる。また、発泡性フェノール樹脂組成物を調製する際には、混合不良が生じることなく、良好な混合性が実現された。
これに対して、フタル酸系可塑剤を配合しない試料10及び可塑剤としてエチレングリコールを用いた試料11にあっては、混合不良が生じ、均質なフェノールフォームが得られず、また、キシレンスルホン酸を含まない酸性硬化剤(II液)を用いた試料12では、発泡硬化性が改善されず、フェノールフォームにクラックが発生している。更に、レゾルシノールを含まない酸性硬化剤(II液)を用いた試料13では、フォームが伸びず、充填性が良好でないことが認められる。
実施例における「発泡性フェノール樹脂組成物の充填性」の評価方法を説明するものであって、(a)は、発泡性フェノール樹脂組成物を流し込むための成形型を示す斜視説明図であり、(b)は、発泡性フェノール樹脂組成物を成形型に流し込んでいる状態を示す斜視説明図であり、(c)は、発泡硬化後の状態を示す斜視説明図である。
符号の説明
10,16 鉄板 12 コ字型金型
14 発泡性フェノール樹脂組成物 18 締付治具
20 フェノールフォーム

Claims (6)

  1. レゾール型フェノール樹脂、フタル酸系可塑剤、炭化水素系発泡剤、並びに、フェノールスルホン酸、キシレンスルホン酸及びレゾルシノールからなる酸性硬化剤を、必須成分として含み、且つ前記フタル酸系可塑剤が、前記レゾール型フェノール樹脂の100質量部に対して、0.1〜5質量部の割合で含まれていることを特徴とする発泡性フェノール樹脂組成物。
  2. 前記酸性硬化剤が、前記レゾール型フェノール樹脂の100質量部に対して、10〜30質量部の割合で含まれていることを特徴とする請求項1記載の発泡性フェノール樹脂組成物。
  3. 前記キシレンスルホン酸が、前記フェノールスルホン酸の100質量部に対して、10〜60質量部の割合で含まれていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の発泡性フェノール樹脂組成物。
  4. 前記レゾルシノールが、前記フェノールスルホン酸の100質量部に対して、0.5〜30質量部の割合で含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の発泡性フェノール樹脂組成物。
  5. 前記炭化水素系発泡剤が、前記レゾール型フェノール樹脂の100質量部に対して、0.5〜10質量部の割合で含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の発泡性フェノール樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の発泡性フェノール樹脂組成物を用い、それを金属面材間に充填及び発泡硬化せしめてなることを特徴とする金属サイディング。
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