JP5078339B2 - 吸水性フェノール樹脂発泡体 - Google Patents

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本発明は、吸水性フェノール樹脂発泡体(以下、単に「発泡体」という場合がある。)に関し、特に、生花のフラワーアレンジメント(以下、「アレンジ」という。)用、植物栽培用に適した発泡体に関するものである。
従来、吸水性フェノール樹脂発泡体は、レゾール型液状フェノール樹脂、界面活性剤、湿潤剤、発泡剤、硬化剤からなる樹脂組成物を、高速攪拌して、30〜80℃の温度で発泡硬化させることにより製造されている。この発泡体は、アレンジにおいて、切花等の生花を挿して保持・給水する剣山として使用される他、各種植物の栽培に際して、所定の寸法(例えば0.5〜4cm角)に裁断して培養土として使用される。
発泡体は、その機能として、吸水性と吸水後の保水性が重要視され、また、アレンジの場合はこれに付け加えて生花の保持機能が要求されている。発泡体のアレンジ用途は、従来業務用が多く、パーティー、ブライダル、葬儀等に主に使用されている。これら業務用用途では、発泡体の継続的使用期間は短く、通常は1〜3日で生花と共に廃棄される。
しかしながら、近年、発泡体は、一般の花屋において、従来のいわゆる花束に代わる独自のアレンジ商品に使われるケースが増加しており、これらのアレンジは、個人顧客に購入され、個人宅で観賞されることになる。このような観賞用のアレンジ商品に要求される機能として、アレンジされた生花が長持ちすること、アレンジ自体が清潔に保たれること、廃棄が簡単なこと等が考えられる。
また、植物栽培用に発泡体を培養土として使う場合は、長期的な使用になるので、培養土中のカビをはじめとする植物に有害な微生物の発生を極力抑える必要があることは、長年認識されて来た。
しかしながら、発泡体の従来技術では、もっぱら吸水性、保水性、生花保持力に重点が置かれ、発泡体が使用される生花、植物の寿命に焦点を絞った技術開発が見かけられない。従来の技術の一端は以下の文献で示されている。
特開平7−207058号公報 特開平10−139916号公報 特開2001−26649号公報
本発明の目的は、アレンジされた生花の寿命を延ばし、アレンジが長期間カビ等の発生がなく清潔で、培養土として使用された場合に有害な微生物の発生を抑える発泡体を提供することにある。
本発明者らは、アレンジおよび培養土に要求されるこれらの事項については、発泡体の使用に関して、共通の課題である発泡体での有害微生物の発生を極力抑えることを達成することで解決することに着目した。
本発明は、従来の課題を下記の基本構成によって解決することができた。
(1)抗菌剤を含有することを特徴とする、吸水性フェノール樹脂発泡体。
(2)抗菌剤として、硫酸アルミニウム、8−ヒドロキシキノリン硫酸塩、8−ヒドロキシキノリンクエン酸塩、チアゾリン系抗菌剤、イソチアゾリン系抗菌剤のいずれか1種またはこれらの2種以上を組み合わせて使用することを特徴とする、上記(1)記載の吸水性フェノール樹脂発泡体。
(3)抗菌剤として、水存在下、銀イオンまたは銅イオンを生成する有機または無機の化合物のいずれか1種またはこれらの2種以上を組み合わせて使用することを特徴とする、上記(1)記載の吸水性フェノール樹脂発泡体。
(4)抗菌剤として、硫酸アルミニウム、8−ヒドロキシキノリン硫酸塩、8−ヒドロキシキノリンクエン酸塩、チアゾリン系抗菌剤、イソチアゾリン系抗菌剤の少なくともいずれか1種と、水存在下、銀イオンまたは銅イオンを生成する有機または無機の化合物の少なくともいずれか1種とを組み合わせて使用することを特徴とする、上記(1)の吸水性フェノール樹脂発泡体。
(5)追加成分として、エチレン阻害剤、糖類、植物ホルモンのいずれか1種またはこれらの2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のフェノール樹脂発泡体。
(6)予め抗菌剤が添加されたフェノール樹脂発泡体用組成物を発泡硬化させることにより形成されていることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の吸水性フェノール樹脂発泡体。
(7)フェノール樹脂発泡体用組成物が、レゾール型フェノール樹脂、界面活性剤、湿潤剤、発泡剤および硬化剤を含んでなることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の吸水性フェノール樹脂発泡体。
(8)抗菌剤の含有量が0.0002質量%以上であることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の吸水性フェノール樹脂発泡体。
本発明で得られた抗菌剤を含有する発泡体をアレンジに使用することにより、通常の発泡体を使った場合に比較して、バラ、ガーベラ、カーネーション等の切花の寿命が最低でも2倍以上に長持ちすることが分かった。また、アレンジに使用されている発泡体にカビ等の発生もなく、清潔に観賞することができた。
また、本発明による発泡体を所定の寸法に裁断してチューリップ等の培養土として使った場合、通常の土を使った場合と比較して、大きさが1.5倍以上、開花時期が概ね1週間早くなり、成長が促進された。また、通常の土を使った場合、鉢の一部にカビが発生していたが、本発明の発泡体を培養土として使った鉢にはカビの発生は見られなかった。
アレンジで生花を使う場合は、一般的には切花として使用する。切花の寿命は十分な水揚げと糖分の補給が必須のものとされている。また、花の種類によっては、エチレンガスの存在が寿命を短くする場合もある。水揚げの阻害因子として、導管の気泡による閉塞および微生物による導管の閉塞が挙げられる。特に延命のために糖分を補給する場合に、通常の状態では微生物の増殖が避けられない。
本発明では、予め発泡体に抗菌剤を含有させることにより、抗菌剤を後添加することなく、植物(特に花き)および人にとって有害な微生物の発生を防止することができ、アレンジした切花の寿命を延ばすことができる。
本発明に使用される抗菌剤としては、発泡体の製造に支障がなく、花き等の植物に有害でなく、かつ微生物の増殖を抑える性能を持つものに限定される。その為には、抗菌剤は、水溶性である必要があり、また、農作物に実績があるものが必要になる。
このような条件に適合する抗菌剤の一例を挙げれば、ダウ・アグロサイエンス社のダイセンステンレス(アンバム)、北興化学工業のマネージ(イミベンコナゾール)、シンジェンタジャパン社のアルト(シプロコナゾール)、バイエルクロップサイエンス社のプレビクールN液剤(プロパモカルブ塩酸塩)、硫酸アルミニウム、8−ヒドロキシキノリン硫酸塩(8−HQS)、8−ヒドロキシキノリンクエン酸塩(8−HQC)、チアゾリン系抗菌剤、イソチアゾリン系抗菌剤、および水存在下、銀イオンまたは銅イオンを生成する有機または無機の化合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。
水存在下、銀イオンまたは銅イオンを生成する有機または無機の化合物の一例をあげれば、硝酸銀、酢酸銀、サリチル酸銀、メタンスルホン酸銀等の有機スルホン酸銀、硫酸銀、グルコン酸銀、クエン酸銀、乳酸銀、メタンスルホン酸銅等の有機スルホン酸銅、硫酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、リン酸銅、ピロリン酸銅、酢酸銅、クエン酸銅、グルコン酸銅、酒石酸銅、乳酸銅、コハク酸銅、スルファミン酸銅、ホウフッ化銅、ギ酸銅、ケイフッ化銅等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
フェノール樹脂は、分子構造として水酸基を多く保持していることから、銀イオン、銅イオンと容易にキレート構造をとって該イオンを保持すると考えられる。その為、発泡体からこれら金属イオンが容易に溶出しないので、抗菌効果が持続する。そのため、抗菌性をもったこれらイオンは、発泡体には特に好適な抗菌剤と言える。
チアゾリン系殺菌剤の一例としては、2−(4−チアシアノメチルチオ)ベンツチアゾール(TCMTB)が代表的なものとして挙げられる。また、イソチアゾリン系殺菌剤の一例としては、2−nオクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(OIT)、5−クロロ−2−メチル−イソチアゾリン−3−オン(CMI)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MI)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
抗菌剤の配合量は吸水された水の量に対して、一般的には0.1〜600ppmが必要とされる。発泡体の密度は通常10〜50kg/mの範囲で変化させられる。50kg/mの発泡体を製造する場合、吸水後の水中の抗菌剤の含有量を0.1ppmにするには、発泡体中の抗菌剤の含有量は0.0002質量%とする必要がある。同様に、10kg/mの発泡体で考えると、発泡体中の抗菌剤の含有量は6質量%までは増加させることができる。
本発明による抗菌剤を含有する発泡体は、抗菌剤以外に切花、植物の寿命を延ばす他の薬剤との併用を妨げる訳ではなく、むしろ併用を奨励するものである。
そのような薬剤の代表的なものとして、エチレン阻害剤がある。特にエチレンにより促進される切花の老化を防ぐ目的で使用される。特に効果がある切花として、カーネーション、スイートピー、デルフィニウム、カスミソウ、キンギョソウ、ストック、トルコギキョウが挙げられ、鉢花であるアフリカホウセンカ、ベコニア、ゼラニウム、シャコバサボテン等の落花防止にも役立つとされている。
エチレン阻害剤の代表的なものとしては、チオ硫酸銀錯塩(STS)が古くから使用されているが、その他にも、アミノオキシ酢酸(AOA)、アミノエトキシビニルグリシン、α−アミノイソ酪酸(AIB)、(+)−(1R,2S)−アロコロナミン酸、1−アミノシクロブタンカルボン酸、1,1−ジフェニル−4−フェニルスルホニルセミカルバジド等が、効果があるとされている。
切花は室内等の光合成には向かない環境で観賞されるため、通常炭素源が不足がちになることが分かっている。これに有効な手段として、スクロース、グルコースをはじめとする糖類が、効果があるとされている。
植物ホルモンとしては、ジベレリン(GA)、アブシジン酸(ABA)、ベンジルアミノプリン(BA)等が、花の黄化に効果があるとされている。
通常、発泡体は、レゾール型フェノール樹脂、界面活性剤、湿潤剤、発泡剤、硬化剤からなる組成物を発泡させることにより得られる。
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類を、アルデヒドを当モル比以上でアルカリ触媒の存在下によって製造される。フェノール類としては、特に制限されないが、例えばフェノール、クレゾール、ビスフェノールA等が挙げられ、これらは単独又は併用しても構わない。アルデヒド類としては、特に制限されないが、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール等が挙げられ、これらは単独又は併用しても構わない。また、アルカリ性触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属水酸化物、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等のアルカリ酸化物、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等のアミン類が挙げられ、これらは単独又は併用しても構わない。
発泡剤としては、炭化水素系とフッ素系が通常使われる。炭化水素系の例としては、イソペンタン、ノルマルペンタン、シクロペンタン、イソヘキサン、ノルマルヘキサン、石油エーテルが挙げられる。フッ素系としては、従来から使われているフッ素化合物、例えばHCFC−141b、HCFC−22等の塩素を含むフッ素化合物はオゾン層破壊物質として現在使用が制限されているので、現状では、HCFC−114b、HFC−245fa、HFC-365mfcが推奨されている。これら化合物を単独で使用しても、2種以上を混合して使用しても良い。その使用量は、レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して3〜30質量部が好ましい。
界面活性剤は、発泡剤の種類により使用するものが異なるが、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤の併用またはそれぞれの単独使用で行われる。これらの界面活性剤は、炭化水素系はもとより、シリコーン系のものも使われる。その使用量は、レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
発泡剤が炭化水素系の場合は、油脂エトキシ化物及び/又は長鎖脂肪酸のエトキシ化物類からなる非イオン界面活性剤、油脂エトキシ化物及び/又は長鎖脂肪酸のエトキシ化物類の硫酸エステル塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、脂肪族アミン塩等)のアニオン系界面活性剤、変性シリコーンオイル(通常シリコーン製泡剤と称される)の中から1種以上が選択される。また、発泡剤がフッ素系の場合は、変性シリコーンオイル(通常シリコーン製泡剤と称される)の中から1種以上が選択される。
油脂エトキシ化物及び長鎖脂肪酸エトキシ化物としては、大豆油、ヤシ油、アマニ油、ナタネ油、キリ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、牛脂等油脂類のエトキシ化物、及びラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等脂肪酸類のエトキシ化物が挙げられる。特にヒマシ油エトキシ化物の使用が、吸水性、保水性の点で好ましい。これらは、単独または2種以上混合して使用しても構わない。
変性シリコーンオイルとしては、ポリオキシエチレン−ポリアルキルシロキサン、ポリオキシプロピレン−ポリアルキルシロキサン等のシリコーン系製泡剤、例えば東レ・ダウコーニング株式会社のSH−193、SRX295が挙げられるが、限定される訳ではない。
湿潤剤としては、通常「石鹸」として使用される化合物が使用できる。このような化合物として、脂肪酸塩、アルファスルホ脂肪酸エステル塩(α−SFE)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキル硫酸塩(AS)、アルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)、アルキル硫酸トリエタノールアミン、非イオン系脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(APE)等が挙げられる。
これらの化合物の内、塩類化合物は、具体的にはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、脂肪族アミン塩等である。
これら化合物の内、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)が環境対策上望ましい。アルキル基としては、例えばヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等が挙げられる。これらのうち、アルキル基がドデシル基であるドデシルベンゼンスルホン酸塩が、吸水性、保水性の点で好ましい。その使用量は、レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して0.2〜10質量部が好ましい。
硬化剤としては、公知慣用なものが使用でき、パラトルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、キシレンスルホン酸等の有機酸、硫酸、リン酸等の無機酸等が挙げられる。その使用量はレゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、有効成分で3〜20質量部が好ましい。
界面活性剤の添加量が上記範囲より少ない場合は、セルが大きくなり不均一になり易く、潰れ等の発泡不良も生じやすくなり、また、湿潤剤の添加量が上記範囲より少ない場合は、吸水時間が極端に長くなり、吸水性能に劣るので、上記範囲での使用が好ましい。
上記のレゾール型フェノール樹脂、各種界面活性剤、湿潤剤、抗菌剤、エチレン阻害剤、糖類、植物ホルモン等を所定の割合で混合し、レゾール型フェノール樹脂予備混合液を調製し、この混合液と発泡剤、硬化剤を同時に混合高速撹拌して、30〜80℃で発泡硬化させることにより、フェノール樹脂発泡体を得ることができる。発泡の方法は、特に制限されず、連続スラブ発泡、モールド発泡、スプレー発泡等が挙げられる。
得られたフェノール樹脂発泡体は、優れた吸水性及び保水性を有し、且つ均質なセル構造を有しており、生花用剣山用、植物栽培用等の用途に使用することができる。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明を説明する。なお、例中の部および%は、全て質量基準とする。
(実施例1)
まず、攪拌機、コンデンサー、温度計及び滴下ロートを備えた4つ口3リットルフラスコを用意し、このフラスコにフェノール940部、42%ホルマリン1000部及び、触媒として48%苛性ソーダを9.4部加え、90℃で3時間反応させ、その後蟻酸で中和し、pHを6〜7に調節して、減圧脱水することにより、粘度4000cps、不揮発分70%のレゾール型フェノール樹脂を得た。
次に、レゾール型フェノール樹脂100部、界面活性剤としてヒマシ油エトキシ化物0.5部およびオレイルアルコールエトキシ化スルファネート化物0.5部、湿潤剤としてドデシルベンゼンスルホン酸のナトリュウム塩3部、抗菌剤として5−クロロ−2−メチル−イソチアゾリン−3−オン(CMI)0.003部、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MI)0.001部を添加し、予め空気泡を内包することなく良く混合した。その後、発泡剤としてペンタン9部を添加して、高速撹拌でペンタンをレゾール樹脂の中に均一に分散させ、その後に硬化剤として65%パラトルエンスルホン酸7.5部を加え、直ちに高速撹拌混合し、混合物をダンボール容器に入れて、50℃にて発泡硬化させ、均一なセル構造の発泡体を得た。
(実施例2)
100部の水に硝酸銀(固形)を10部加えて、硝酸銀溶液を調製した。そして、抗菌剤として、CMI0.003部、MI0.001部に代えて、硝酸銀溶液0.005部を加えること以外は全て実施例1と同じ方法で、発泡体を作製した。
(実施例3)
100部の水に硫酸銅(粉末)を10部加えて、硫酸銅溶液を調製した。そして、抗菌剤として、CMI0.003部、MI0.001部に代えて、硫酸銅溶液0.08部および8−ヒドロキシキノリン硫酸塩0.05部を加えること以外は全て実施例1と同じ方法で、発泡体を作製した。
(実施例4)
更に、エチレン阻害剤として、チオ硫酸銀0.6部、ショ糖5部およびジベレリン0.25部を加えること以外は全て実施例2と同じ方法で、発泡体を作製した。
(比較例1)
抗菌剤の配合を省略した以外は全て実施例1と同じ方法で、発泡体を作製した。
実施例1〜4および比較例1の発泡体について、密度、吸水時間および吸水量を測定した。なお、吸水時間および吸水量については、幅230mm、奥行110mm、高さ80mmに裁断した各発泡体を、20℃の水に浮かべて、自重で沈ませた場合のものである。測定結果は、以下の表1に示す通りである。
実施例1〜4および比較例1の発泡体を、水道水を用いて、定法に従って吸水させ、これらを使って生花のアレンジを行った。生花には、バラ、ガーベラ、カーネーションを使用した。これらのアレンジを、温度25℃、相対湿度50−70%の室内で、蛍光灯を使用してアレンジの照度が800〜1200ルクスになるように設定し、時間の経過によるアレンジした生花の状態を観察した。その間、水道水は、発泡体を入れた容器に発泡体が底面から1センチメートル程度浸かるように補充した。
観察点として、花びらについては、花弁の垂れ下がり、先端の変色・壊死、花首の折れ曲がり、カビの大斑点(直径10ミリメートル)、また、茎および葉については、がく片の黄変・壊死、茎の黄変・折れ・壊死、葉の乾燥・黄変、カビの大斑点(直径10ミリメートル)のいずれかもしくは複合した症状が現れた時点を花の寿命とした。結果を以下の表1に示す。
実施例1〜4および比較例1の発泡体について、人に影響のある菌を使った抗菌試験を、抗菌製品技術協議会(SIAA=Society of Industrial-technology for Antimicrobial Articles)が制定した所謂「シェーク法」に規定する方法で行った。試験片は、予め50℃で16時間乾燥を行うことにより残留ホルムアルデヒドのない状態にし、これに一旦エチルアルコールを浸み込ませ、ついで50℃で8時間乾燥してから試料として使った。試験の結果は、以下の表1に記載の通り、実施例1〜4について、比較例1を対照とする抗菌活性値として示した。
Figure 0005078339
表1に示す通り、吸水性については、実施例1〜4と比較例1との間で実質的な差は見られなかった。
次に、バラ、ガーベラおよびカーネーションの寿命は、いずれも比較例1と比べて実施例1〜4の方が約2〜4倍に延びている。
また、抗菌活性値については、実施例1〜4では、抗菌性の尺度とされる2以上を示しており、人に影響のある菌に対しても優れた抗菌効果を発揮することがわかった。
(実施例5)
実施例1で得られた発泡体をカッターで一辺が約1〜2cmの立方体にカットし、培養土とした。得られた培養土を容積にして約8リットル、4号の素焼き鉢に移し、これにトライアンフ系チューリップの品種である「ガンダー」種の球根を3個分散させて培養土表面から約4〜5cmの深さに11月14日に植え、上から同じ培養土をかけた。水を如雨露で培養土全体に注ぎ、底から水が漏れ出すまで十分に水を培養土に含ませた。鉢を屋外の日当たりの良い場所に置き開花を待った。雨がふらず表面が乾いてきたら、随時水を補給した。水の補給に際しては、底から水があまり漏れ出さない程度で止めた。肥料は使わなかった。
本例の開花は4月1日であった。また、培養土にカビ等の発生は確認できなかった。
(実施例6)
実施例2で得られた発泡体を使った以外は実施例5と同じ方法でチューリップを栽培した。
本例の開花は4月5日であった。また、培養土にカビ等の発生は確認できなかった。
(比較例2)
実施例5の培養土の代わりに、赤球細粒:腐葉土:軽石細粒を容量比で6:3:1になるように配合した土を使用した以外は実施例5と同じ方法でチューリップを栽培した。水の補給は実施例5に比較して2倍程度の頻度で行なわないと表面が直ぐに乾燥した。
本例の開花は4月16日であった。この時、土の表面の一部にカビと思われる斑点が数箇所見られた。
実施例5、6および比較例2について、開花したチューリップの一番大きな花弁の長さを比較したところ、実施例1のチューリップは比較例2のチューリップと比較して約1.5倍あった。また、実施例6のチューリップは比較例2のチューリップに比較して約1.4倍あった。
本発明の発泡体を用いれば、従来の発泡体と比較して、アレンジの花の寿命が著しく延びるため、花屋の店頭でアレンジをしても、花の持ちが良くなり、直ぐに販売できなくても、商品価値が落ちない。また、アレンジが個人に買い取られた場合も、家庭等において長期にわたって観賞できるため、価格が少々高くても十分な効果がある。これらのことにより、花き流通の活性化が図られ、ひいては花き生産の活性化にもつながる。

Claims (6)

  1. 抗菌剤を含有する吸水性フェノール樹脂発泡体であって、予め抗菌剤が添加されたフェノール樹脂発泡体用組成物を発泡硬化させることにより形成されており、抗菌剤として、硫酸アルミニウム、8−ヒドロキシキノリン硫酸塩、8−ヒドロキシキノリンクエン酸塩、チアゾリン系抗菌剤、イソチアゾリン系抗菌剤のいずれか1種またはこれらの2種以上を組み合わせて使用することを特徴とする、水性フェノール樹脂発泡体。
  2. 抗菌剤を含有する吸水性フェノール樹脂発泡体であって、予め抗菌剤が添加されたフェノール樹脂発泡体用組成物を発泡硬化させることにより形成されており、抗菌剤として、水存在下、銀イオンまたは銅イオンを生成する有機または無機の化合物のいずれか1種またはこれらの2種以上を組み合わせて使用することを特徴とする、水性フェノール樹脂発泡体。
  3. 抗菌剤を含有する吸水性フェノール樹脂発泡体であって、予め抗菌剤が添加されたフェノール樹脂発泡体用組成物を発泡硬化させることにより形成されており、抗菌剤として、硫酸アルミニウム、8−ヒドロキシキノリン硫酸塩、8−ヒドロキシキノリンクエン酸塩、チアゾリン系抗菌剤、イソチアゾリン系抗菌剤の少なくともいずれか1種と、水存在下、銀イオンまたは銅イオンを生成する有機または無機の化合物の少なくともいずれか1種とを組み合わせて使用することを特徴とする、水性フェノール樹脂発泡体。
  4. 追加成分として、エチレン阻害剤、糖類、植物ホルモンのいずれか1種またはこれらの2種以上を含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項記載の吸水性フェノール樹脂発泡体。
  5. フェノール樹脂発泡体用組成物が、レゾール型フェノール樹脂、界面活性剤、湿潤剤、発泡剤および硬化剤を含んでいることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の吸水性フェノール樹脂発泡体。
  6. 抗菌剤の含有量が0.0002質量%以上であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項記載の吸水性フェノール樹脂発泡体。
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