JP2004298176A - 植物成長調節剤およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 桂皮酸を高濃度で水系媒体に分散あるいは溶解してなる植物成長調節剤。
【選択図】 なし
Description
本発明で植物成長調節剤として使用される桂皮酸は、天然に存在する植物関連の物質であり、さらに食品添加物でもあるので、極めて安全性が高い物質である。桂皮酸は、抗菌・防黴作用をも有する(特開平5−117125号公報)ことから、本発明の植物成長調節剤は、植物の矮化のみならず、植物周辺の環境衛生の保持にも効果を発揮する。
(1)0.3%および0.5%桂皮酸水溶液の調製
20℃にて蒸留水400mlに水酸化カリウム18.4gを溶解し、この水酸化カリウム溶液に桂皮酸50gを加えて撹拌することにより、溶解し、該溶液を蒸留水にて希釈し全量を500mlとし、濃度10%の桂皮酸水溶液(pH8.8)を作製した。次に、この水溶液を蒸留水にて33.3倍および20倍に希釈して、濃度0.3%および0.5%の桂皮酸水溶液を作製した。
草丈約10cmのポインセチア苗を5号鉢(直径14.5cm、深さ14.5cm)に定植し、栽培を続けた。49日目と78日目に、1鉢当り100mlの上記の0.3%および0.5%の桂皮酸水溶液をそれぞれ30鉢の栽培用土に添加し、それぞれ0.3%桂皮酸水溶液添加区、0.5%桂皮酸水溶液添加区とした。また、通常の水やりのみの鉢を30鉢用意し対照区とした。それぞれの区の鉢の栽培を続け、93日目に、各栽培鉢の用土面からポインセチア苗の頭頂部までの長さを測定し、下記式で矮化率(%)を算出し、桂皮酸水溶液の矮化効果を調べた(以下の他の実施例も同様である)。
矮化率(%)=〔(対照区の草丈−添加区の草丈)/対照区の草丈〕×100 この結果を表1に示す。表1の結果より桂皮酸水溶液はポインセチア苗の矮化に有効であることが明らかになった。
なお、以下の全ての表における「草丈」は、各試験において用いた鉢の用土面から植物の頭頂部までの高さの平均値である。
(1)0.1%および0.01%桂皮酸分散液の調製
桂皮酸160g、分散剤(リグニンスルホン酸ナトリウム)80g、水293gを混合し、さらに1800gのガラスビーズ(直径1〜1.25mm)をこれに加え、これを分散機(アールエム社製 並列6筒式テスト用サンドミル)のベッセルに入れ、回転数120rpmにて3時間分散処理を行い、30%の桂皮酸分散液(桂皮酸の平均粒径は0.3μm)を得た。次に、この分散液を蒸留水にて300倍および3000倍に希釈し、0.1%および0.01%の桂皮酸分散液を得た。
草丈7cm、葉数10〜12枚のゼラニウムの苗30鉢を購入し、25℃の組立式室内用アルミ温室(440×840×1500mm)内に置いた。3日目に上記桂皮酸分散液をゼラニウム鉢に添加した。30鉢の内10鉢を0.01%桂皮酸分散液添加区とし、1鉢当り100mlの上記0.01%桂皮酸分散液を栽培用土に添加した。また、別の10鉢を0.1%桂皮酸分散液添加区とし、1鉢当り100mlの上記0.1%桂皮酸分散液を栽培用土に添加した。残りの10鉢は対照区として桂皮酸分散液の代わりに100mlの水を各鉢に添加した。その後は各区の鉢について通常の条件で栽培を続けた。3つの区のゼラニウム鉢について栽培を続けたところ、24日目に各区の鉢のゼラニウムが開花した。さらに栽培を続け、置床後44日目に各区の鉢のゼラニウムの草丈を測定し、矮化率(%)を算出し、桂皮酸分散液のゼラニウム苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表2に示す。表2の結果より桂皮酸分散液はゼラニウム苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(1)0.1%および0.3%桂皮酸水溶液の調製
20℃にて蒸留水400mlに水酸化カリウム18.4gを溶解し、この水酸化カリウム溶液に桂皮酸50gを加えて撹拌することにより、溶解し、該溶液を蒸留水にて希釈し全量を500mlとし10%の桂皮酸水溶液(pH8.8)を作製した。次に、この水溶液を蒸留水にて100倍および33.3倍に希釈して、0.1%および0.3%の桂皮酸水溶液を作製した。
家庭用培養土をポリエチレン製連結ポット(36セル:45×45×30mm/セル)に充填し、充分に潅水を行った後、ハクサイの種子を播種した。播種後、これらを25℃の前記と同じ温室内に置いて発芽させた。その後4日目に桂皮酸水溶液を連結ポット中の培養土に添加した。
(キャベツ苗の矮化試験)
家庭用培養土を前記と同じポリエチレン製連結ポットに充填し、充分に潅水を行った後、キャベツの種子を播種した。播種後、これらを25℃の前記と同じ温室内に置いて発芽させた。その後、4日目に桂皮酸水溶液を連結ポット中の培養土に添加した。36セルの内12セルを0.1%桂皮酸水溶液添加区とし、1セル当り5mlの実施例3の0.1%桂皮酸水溶液を培養土に添加した。また、別の12セルを0.3%桂皮酸水溶液添加区とし、1セル当り5mlの実施例3の0.3%桂皮酸水溶液を培養土に添加した。残りの12セルは対照区として桂皮酸水溶液の代わりに5mlの水を添加した。その後は各区のキャベツ苗について通常の条件で栽培を続けた。22日目に各区の苗の草丈を測定し、矮化率(%)を算出し、桂皮酸水溶液のキャベツ苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表4に示す。
表4の結果より桂皮酸水溶液はキャベツ苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(1)0.05%および0.2%桂皮酸水溶液の調製
80℃の蒸留水400mlにトリポリリン酸ナトリウム50gを溶解し、このトリポリリン酸ナトリウム溶液に桂皮酸17.5gを加えて攪拌することにより、溶解し、該溶液を蒸留水にて希釈し全量を500mlとし、3.5%の桂皮酸水溶液(pH6.5)を作製した。次に、この水溶液を蒸留水にて70倍および17.5倍に希釈し、0.05%および0.2%の桂皮酸水溶液を作製した。
家庭用培養土を紙製連結ポット(24セル:34×34×50mm/セル)に充填し、充分に潅水を行った後、にんじんの種子を播種した。播種後、これらを20℃の前記と同じ温室内に置いて発芽させた。その後、5日目に桂皮酸水溶液を連結ポット中の培養土に添加した。1つの連結ポット(24セル)を0.05%桂皮酸水溶液添加区とし、1セル当り5mlの上記0.05%桂皮酸水溶液を培養土に添加した。また、別の連結ポット1つを0.2%桂皮酸水溶液添加区とし、1セル当り5mlの上記0.2%桂皮酸水溶液を培養土に添加した。さらに別の連結ポット1つを対照区として桂皮酸水溶液の代わりに5mlの水を添加した。その後は各区のにんじん苗について通常の条件で栽培を続けた。27日目に各区の苗の草丈を測定し、矮化率(%)を算出し、桂皮酸水溶液のにんじん苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表5に示す。表5の結果より0.05%および0.2%桂皮酸水溶液はにんじん苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(ネギ苗の矮化試験)
ネギの種子を播種する以外は実施例5と同様にして、桂皮酸水溶液のネギ苗に対する矮化効果を試験した。この結果を表6に示す。表6の結果より桂皮酸水溶液はネギ苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(玉ネギ苗の矮化試験)
玉ネギの種子を播種する以外は実施例5と同様にして、桂皮酸水溶液の玉ネギ苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表7に示す。表7の結果より桂皮酸水溶液は玉ネギ苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(チンゲンサイ苗の矮化試験)
チンゲンサイの種子を播種し、20日目に草丈を測定すること以外は実施例5と同様にして、桂皮酸水溶液のチンゲンサイ苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表8に示す。表8の結果より桂皮酸水溶液はチンゲンサイ苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(大根苗の矮化試験)
大根の種子を播種する以外は実施例5と同様にして、桂皮酸水溶液の大根苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表9に示す。表9の結果より桂皮酸水溶液は大根苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(レタス苗の矮化試験)
レタスの種子を播種し、20日目に各区の苗の草丈を測定する以外は実施例5と同様にして、桂皮酸水溶液のレタス苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表10に示す。表10の結果より桂皮酸水溶液はレタス苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(さやえんどう苗の矮化試験)
さやえんどうの種子を播種し、実施例3の0.1%および0.3%桂皮酸水溶液を連結ポット中の培養土に添加し、24日目に各区の苗の草丈を測定すること以外は実施例5と同様にして、桂皮酸水溶液のさやえんどう苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表11に示す。表11の結果より桂皮酸水溶液はさやえんどう苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(カリフラワー苗の矮化試験)
カリフラワーの種子を播種し、4日目に桂皮酸水溶液を連結ポット中の培養土に添加し、20日目に各区の苗の草丈を測定すること以外は実施例5と同様にして、桂皮酸水溶液のカリフラワー苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表12に示す。表12の結果より桂皮酸水溶液はカリフラワー苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(ブロッコリー苗の矮化試験)
ブロッコリーの種子を播種すること以外は実施例12と同様にして、桂皮酸水溶液のブロッコリー苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表13に示す。表13の結果より桂皮酸水溶液はブロッコリー苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(ごぼう苗の矮化試験)
ごぼうの種子を播種すること以外は実施例12と同様にして、桂皮酸水溶液のごぼう苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表14に示す。表14の結果より桂皮酸水溶液はごぼう苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(二十日大根苗の矮化試験)
二十日大根の種子を播種すること以外は実施例12と同様にして、桂皮酸水溶液の二十日大根苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表15に示す。表15の結果より桂皮酸水溶液は二十日大根苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(蕪苗の矮化試験)
色蕪の種子を播種すること以外は実施例12と同様にして、桂皮酸水溶液の蕪苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表16に示す。表16の結果より桂皮酸水溶液は蕪苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(トマト苗の矮化試験)
トマトの種子を播種し、7日目に桂皮酸水溶液を連結ポット中の培養土に添加すること以外は実施例12と同様にして、桂皮酸水溶液のトマト苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表17に示す。表17の結果より桂皮酸水溶液はトマト苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(きゅうり苗の矮化試験)
きゅうりの種子を播種すること以外は実施例17と同様にして、桂皮酸水溶液のきゅうり苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表18に示す。表18の結果より桂皮酸水溶液はきゅうり苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(ナス苗の矮化試験)
ナスの種子を播種、25日目に草丈を測定すること以外は実施例17と同様にして、桂皮酸水溶液のナス苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表19に示す。表19の結果より桂皮酸水溶液はナス苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(かぼちゃ苗の矮化試験)
かぼちゃの種子を播種すること以外は実施例17と同様にして、桂皮酸水溶液のかぼちゃ苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表20に示す。表20の結果より桂皮酸水溶液はかぼちゃ苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(スイカ苗の矮化試験)
スイカの種子を播種し、27日目に草丈を測定すること以外は実施例17と同様にして、桂皮酸水溶液のスイカ苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表21に示す。表21の結果より桂皮酸水溶液はスイカ苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(ニューメロン苗の矮化試験)
ニューメロンの種子を播種すること以外は実施例21と同様にして、桂皮酸水溶液のニューメロン苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表22に示す。表22の結果より桂皮酸水溶液はニューメロン苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(まくわうり苗の矮化試験)
まくわうりの種子を播種すること以外は実施例21と同様にして、桂皮酸水溶液のまくわうり苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表23に示す。表23の結果より桂皮酸水溶液はまくわうり苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(プリンスメロン苗の矮化試験)
プリンスメロンの種子を播種すること以外は実施例21と同様にして、桂皮酸水溶液のプリンスメロン苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表24に示す。表24の結果より桂皮酸水溶液はプリンスメロン苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(メロン苗の矮化試験)
メロンの種子を播種し、25日目に草丈を測定すること以外は実施例17と同様にして、桂皮酸水溶液のメロン苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表25に示す。表25の結果より桂皮酸水溶液はメロン苗の矮化に有効であることが明らかになった。
(1)0.2%および0.4%桂皮酸水溶液の調製
20℃にて蒸留水400mlに水酸化ナトリウム18.4gを溶解し、この水酸化ナトリウム溶液に桂皮酸50gを加えて攪拌することにより、溶解し、該溶液を蒸留水にて希釈し全量を500mlとし、10%の桂皮酸水溶液(pH8.8)を作製した。次に、この水溶液を蒸留水にて50倍および25倍に希釈し、0.2%および0.4%の桂皮酸水溶液を作製した。
ハイドランジア(セイヨウアジサイ)の新芽を3.5号鉢(直径10.5cm、深さ8.5cm)中の用土に挿し木した。挿し木後、栽培を続け、42日目に摘芯し、苗木を高さ8cmおよび葉数4枚に整え、これを5号鉢(直径14.5cm、深さ14.5cm)に定植した。この際、1鉢当たり100mlの上記0.2%および0.4%の桂皮酸水溶液を各8鉢の栽培用土に添加し、それぞれ0.2%桂皮酸水溶液添加区、0.4%桂皮酸水溶液添加区とした。また、通常の水やりのみの鉢を8鉢用意し対照区とした。それぞれの区の苗の栽培を続け、72日目に、各区の苗木の高さを測定し、矮化率を算出し、桂皮酸水溶液のハイドランジア苗に対する矮化効果を調べた。この結果を表26に示す。表26の結果より桂皮酸水溶液はハイドランジア苗の矮化に有効であることが明らかになった。
Claims (13)
- 桂皮酸を含有することを特徴とする植物成長調節剤。
- 桂皮酸が、水系媒体中に分散してなる請求項1に記載の植物成長調節剤。
- 分散剤を含有し、該分散剤によって桂皮酸が水系媒体中に分散されている請求項2に記載の植物成長調節剤。
- 前記分散剤が、リグニンスルホン酸塩またはカルボキシメチルセルロースである請求項3に記載の植物成長調節剤。
- 桂皮酸が、その水に対する最大溶解度を超える濃度に、桂皮酸塩として水系媒体中に溶解している請求項1に記載の植物成長調節剤。
- 桂皮酸が、アルカリ性溶解助剤の水溶液に溶解してなる請求項5に記載の植物成長調節剤。
- 前記溶解助剤が、トリポリリン酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムおよび酢酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種である請求項6に記載の植物成長調節剤。
- 桂皮酸濃度が、25質量%以下である請求項1に記載の植物成長調節剤。
- 植物が、ポインセチア、ゼラニウム、ハイドランジア、キク、ユリ、アサガオおよびペチュニアからなる群から選ばれる少なくとも1種の苗である請求項1に記載の植物成長調節剤。
- 植物が、ハクサイ、キャベツ、にんじん、ネギ、玉ネギ、チンゲンサイ、大根、レタス、さやえんどう、カリフラワー、ブロッコリー、ごぼう、二十日大根、蕪、トマト、きゅうり、ナス、かぼちゃ、スイカ、プリンスメロン、まくわうりおよびメロンからなる群から選ばれる少なくとも1種の苗である請求項1に記載の植物成長調節剤。
- 桂皮酸と水系媒体とを分散メディアの存在下に混合分散することを特徴とする植物成長調節剤の製造方法。
- アルカリ性溶解助剤の水溶液に桂皮酸を溶解させることを特徴とする植物成長調節剤の製造方法。
- 請求項1に記載の植物成長調節剤を、植物の苗が栽培されている用土100質量部当たり桂皮酸として0.0001〜0.2質量部の割合で使用することを特徴とする植物苗の矮化方法。
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