JP4876600B2 - 交流直接変換器の制御方法 - Google Patents
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Description
上記マトリクスコンバータ10は、9個の双方向スイッチSWをオンオフさせることで、電源20の三相交流電圧を任意の大きさ、周波数の三相交流電圧に直接変換するものであり、その動作については周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
マトリクスコンバータ10において、通流する双方向スイッチSWを切り替える場合、電源の短絡及び負荷端の開放を生じないように、各双方向スイッチSWを構成する単方向スイッチのオンオフタイミングを調整する必要がある。以下、上記オンオフタイミングを調整しつつ通流する双方向スイッチ(単方向スイッチ)を切り替えることを転流と呼ぶ。
このため、後述する非特許文献1では、図5に示すようにマトリクスコンバータ10を仮想整流器11と仮想インバータ12との組み合わせに見立てて制御し(以下、仮想AC/DC/AC変換方式という)、転流により発生する誤差電圧を予め計算して仮想インバータ12の出力電圧指令に加算することにより、仮想インバータ12によって転流誤差電圧を補償している。なお、図5において、S1,S2は単方向スイッチを示す。
以下、この先願発明について略述する。
図6において、1は三相入力電流指令及び仮想直流中間電圧指令が与えられる仮想整流器制御手段、2は三相出力電圧指令が与えられる仮想インバータ制御手段、3は各制御手段1,2から出力されるPWMパルスを合成するパルス合成手段であり、この合成手段2から出力されたPWMパルスによってマトリクスコンバータ10の双方向スイッチをオンオフするように構成されている。なお、仮想整流器制御手段1は図5の仮想整流器11を制御し、仮想インバータ制御手段2は図5の仮想インバータ12を制御するためのものである。
これにより、例えば三相入力電圧に比べて十分に低い電圧を仮想インバータ12から出力させる場合には、その三相出力電圧指令に応じて仮想直流中間電圧指令を積極的に低く設定することにより、低い仮想直流中間電圧を低い三相出力電圧に変換するようにして非特許文献1の制御方法よりも誤差電圧を低減することができる。
図7は、図3のマトリクスコンバータ10の出力側一相(例えばU相)分を符号10’として表した図である。図7において、三相交流電源電圧のうち最大相電圧Vmaxが印加される双方向スイッチをSmax、中間相電圧Vmidが印加される双方向スイッチをSmid、最小相電圧Vminが印加される双方向スイッチをSminとし、これらの双方向スイッチを構成する単方向スイッチをそれぞれ添字1,2を付して表すものとする。
なお、三相交流電源電圧の最大相、中間相、最小相はR,S,T相の間で時々刻々変化するので、例えば双方向スイッチSmaxはR,S,T相の何れにも接続され得る。
[数式1]
(Vmax−Vmin)×Td×{−sign(iL)}
但し、Tdは転流時間、iLは負荷電流である。
また、sign(iL)は符号関数であり、iL<0の時にsign(iL)=−1、iL=0の時にsign(iL)=0、iL>0の時にsign(iL)=1である。
[数式2]
(Vmax−Vmin)×Td×fs×{−sign(iL)}
但し、fsはキャリア周波数である。
例えば、先願発明では、仮想インバータ12の出力電圧のピーク値がE'〔V〕である正弦波電圧にするために、仮想整流器11により仮想直流中間電圧をE〔V〕に調整している。ここで、前記ピーク値E'〔V〕は、仮想直流中間電圧E〔V〕を用いて出力可能な最大の電圧である。
この場合、数式1,2により予め求めた誤差電圧を仮想インバータ12の出力電圧指令に加算すると、元の出力電圧指令が本来的に仮想直流中間電圧によって出力し得る最大の大きさの電圧指令であるため、誤差電圧加算後の出力電圧指令は、その時の仮想直流中間電圧を用いて出力可能な電圧範囲を超えることとなる。すなわち、仮想インバータの出力電圧指令が飽和してしまい、その結果、実際の出力電圧が歪むと共に、転流に起因する誤差電圧を補償できないという問題があった。
前記出力電圧指令に応じた仮想直流中間電圧指令を前記仮想整流器制御手段に与えて、前記仮想整流器と仮想インバータとの間の仮想直流中間電圧の大きさを所定値に制御する制御方法において、
電源電圧検出値、負荷電流極性検出値、PWM制御のキャリア周波数、及び、前記出力電圧指令の変化に応じて通流する双方向スイッチが一つの双方向スイッチから他の双方向スイッチに切り替わる際の、出力電圧指令の変化時点と実際の出力電圧の変化時点との差である転流時間、から、出力電圧の誤差電圧を計算する手段と、
前記誤差電圧により仮想直流中間電圧指令を補正する手段と、を備え、
前記仮想整流器制御手段は、補正後の仮想直流中間電圧指令に従って前記出力電圧を飽和させない大きさの仮想直流中間電圧を出力し、この仮想直流中間電圧のもとで、
前記仮想インバータ制御手段が、前記誤差電圧を補償するようなPWMパルスを演算するものである。
仮想直流中間電圧指令を補正する手段は、元の仮想直流中間電圧指令に前記誤差電圧の最大値を加算した結果を新たな仮想直流中間電圧指令として生成し、この仮想直流中間電圧指令を前記仮想整流器制御手段に与えるものである。
図1は、本発明の実施形態が適用される制御回路の構成図であり、図6と同一の機能を有する構成要素には同一の参照符号を付して説明を省略し、以下では異なる部分を中心に説明する。
一方、上記誤差電圧の最大値(最大誤差電圧)が加算手段5により元の仮想直流中間電圧指令に加算されて仮想直流中間電圧指令が補正され、補正後の仮想直流中間電圧指令が仮想整流器制御手段1に入力されている。
仮想整流器制御手段1では、仮想直流中間電圧指令に従って仮想直流中間電圧を出力すると共に、三相入力電流指令に応じた入力電流を流すように仮想整流器のPWMパルスを生成してパルス合成手段3に出力する。
パルス合成手段3では、仮想整流器のPWMパルス及び仮想インバータのPWMパルスを合成し、図3のマトリクスコンバータ10を構成する双方向スイッチSWに対するPWMパルスを生成して出力する。
本実施形態では、転流による最大電圧誤差を加算した仮想直流中間電圧指令に従って仮想整流器制御手段1が仮想直流中間電圧を出力し、仮想インバータ制御手段2では、上記仮想直流中間電圧に基づいて、誤差電圧を補償しながら三相出力電圧指令に応じた電圧を出力するように仮想インバータのPWMパルスを生成する。
よって、出力電圧を調整するための高価なフィードバック制御装置が不要になり、装置全体の低価格化に寄与することが可能である。
2:仮想インバータ制御手段
3:パルス合成手段
4:三相出力電圧誤差計算手段
5:加算手段
10:マトリクスコンバータ
10’:マトリクスコンバータ(出力側一相分)
20:三相交流電源
30:フィルタ
SW,Smax,Smid,Smin:双方向スイッチ
Sa,Sb,Smax1,Smax2,Smid1,Smid2,Smin1,Smin2,S1,S2:単方向スイッチ
Claims (2)
- エネルギーバッファを用いずに双方向スイッチのオンオフによって多相交流電圧を任意の大きさ及び周波数を有する多相交流電圧に直接変換するために、前記直接変換器を、交流/直流変換を行う仮想整流器とこの仮想整流器の直流側に接続されて直流/交流変換を行う仮想インバータとの組み合わせとして想定し、前記仮想整流器の入力電流を入力電流指令に応じて制御するためのPWMパルスを仮想整流器制御手段により演算すると共に、前記仮想インバータの出力電圧を出力電圧指令に応じて制御するためのPWMパルスを仮想インバータ制御手段により演算し、前記仮想整流器制御手段及び仮想インバータ制御手段により演算された両PWMパルスを合成して前記双方向スイッチに与える交流直接変換器の制御方法であって、
前記出力電圧指令に応じた仮想直流中間電圧指令を前記仮想整流器制御手段に与えて、前記仮想整流器と仮想インバータとの間の仮想直流中間電圧の大きさを所定値に制御する制御方法において、
電源電圧検出値、負荷電流極性検出値、PWM制御のキャリア周波数、及び、前記出力電圧指令の変化に応じて通流する双方向スイッチが一つの双方向スイッチから他の双方向スイッチに切り替わる際の、出力電圧指令の変化時点と実際の出力電圧の変化時点との差である転流時間、から、出力電圧の誤差電圧を計算する手段と、
前記誤差電圧により仮想直流中間電圧指令を補正する手段と、
を備え、
前記仮想整流器制御手段は、補正後の仮想直流中間電圧指令に従って前記出力電圧を飽和させない大きさの仮想直流中間電圧を出力し、この仮想直流中間電圧のもとで、
前記仮想インバータ制御手段が、前記誤差電圧を補償するようなPWMパルスを演算することを特徴とする交流直接変換器の制御方法。 - 請求項1に記載した交流直接変換器の制御方法において、
仮想直流中間電圧指令を補正する手段は、元の仮想直流中間電圧指令に前記誤差電圧の最大値を加算した結果を新たな仮想直流中間電圧指令として生成し、この仮想直流中間電圧指令を前記仮想整流器制御手段に与えることを特徴とする交流直接変換器の制御方法。
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