JP4875230B2 - ルツボの温度分布計算方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリカ粉成形体を溶融させてシリカガラスルツボ(以下、ルツボ)を成形する際に、欠陥のない高品質のルツボを製作するための最適な製造条件を解析により判定する方法に係り、特に溶融した際のルツボ各部の温度分布を算出し、粉体成形(成型)品各部において溶融状態となる温度分布の変化を評価する計算方法である。
半導体素子製造用の基板としては、主として高純度の単結晶シリコンが使用されている。この単結晶シリコンの製造方法として、一般にチョクラルスキー法(以下CZ法という)が用いられている。CZ法においては、半導体単結晶製造装置内に設置したルツボに原料である塊状の多結晶シリコンを充填し、ルツボの周囲に設けたヒータによって原料である多結晶シリコンを加熱溶解して融液とする。そして、シードチャックに取り付けた種結晶を融液に浸漬し、シードチャック及びシリカガラスルツボを互いに同方向または逆方向に回転しつつシードチャックを引き上げて高精度の単結晶シリコンを成長させる。そのため、上記ルツボは、成長させるインゴットに対し、一定の不純物が混入されるように、一定の不純物量が調整された安定した品質に製造する必要がある。
上記シリカガラスルツボの製造方法として、従来、回転モールド法が知られている。この方法は回転モールドの内表面に堆積したシリカ粉成形体内面を、アーク放電により発生する熱プラズマにより、モールド空間側から加熱してガラス化することによってルツボを製造する方法である。
このルツボを加熱する熱プラズマを発生させる際の、アーク電極に流す放電電流(アーク電流)の電流値、アーク電極の位置(電極の高さ、電極の偏心位置)等のパラメータの調整に関しては、現状において経験や勘により行っている。
したがって、シリカガラスルツボの製造時において、設定されている品質レベルを超えるシリカガラスルツボを製造する際のシリカ粉成形体の内面の温度分布を、シミュレーションによって行うことができれば、実際の製造時におけるパラメータを推定することができる。この熱流体のシミュレーションとしては、有限要素法あるいは差分法などが現在良く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特開平03−252390号公報
しかしながら、上述した特許文献においては、固体内あるいは熱流体における熱伝導による温度分布を求めるものは存在したが、ルツボを溶融する際の、アーク放電により生成されるプラズマ放射と、アーク放電自体の熱輻射とを考慮した、ルツボ内面の温度分布の計算を行うモデルがない。
また、製造時におけるアーク放電におけるプラズマ放射と、アーク放電自体の輻射熱とにより供給される熱量により温度変化するシリカ粉成形体の温度分布を測定することができない。
このため、計算結果の温度分布と実測の温度分布との比較によるアーク放電のモデルの境界条件の調整を行うことができず、製造シーケンスの各ステップ毎の正確な温度分布の計算を行うことができない。
したがって、ルツボの製造において、ルツボに対する気泡の混入割合に影響を与えるシリカ粉成形体の内面におけるシリカの溶融速度などの正確な計算を行うことができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、アーク放電により生成されるプラズマ放射と、アーク放電自体の熱輻射とを考慮し、実測した温度により補正した境界条件により、製造時におけるシリカ粉成形体内面の温度分布の計算を、従来に比較して高精度に行う温度分布計算方法を提供することにある。
本発明の製造時のルツボの温度分布計算方法は、ルツボを製造する型であるモールド内面に形成された所定の厚さのシリカ粉成形体に対し、アーク電極に放電電流を流して発生する熱プラズマを、アーク電極の位置及び前記放電電流を制御シーケンスに従って変化させて照射し、当該シリカ粉成形体を融解、固化させるルツボ製造における前記制御シーケンスの各ステップにおける温度分布を、前記熱プラズマをガス流による熱対流及び輻射によりモデル化し、ガス流の初速度、熱量、温度と、輻射の温度及び熱量とを境界条件として有限要素法により算出する際、温度計算部が、前記アーク電極の位置毎に、前記放電電流と、当該放電電流に対応したガス流及び輻射の境界条件とが記載された対応テーブルから、前記ステップ毎に、当該ステップにおけるアーク電極の位置及び放電電流に対応する前記境界条件を読み出して前記温度分布を計算し、前記対応テーブルが、アーク電極の位置及び放電電流の組み合わせ毎に、前記シリカ粉成形体にプラズマ照射を行った場合の当該シリカ粉成形体において実測した温度分布と、ガス流及び輻射の境界条件から有限要素法を用いて計算した温度分布とを比較し、実測及び計算した温度分布が時系列に同様の温度変化となるよう、前記境界条件を調整して予め生成されていることを特徴とする。
本発明の製造時のルツボの温度分布計算方法は、実測する前記温度分布がシリカ粉成形体内面における温度であることを特徴とする。
本発明の製造時のルツボの温度分布計算方法は、前記温度計算過程が、メッシュ分割部が、前記シリカ粉成形体、シリカ粉成形体内部空間、前記モールド及び当該モールド外周空間を複数の有限要素に分割するメッシュ分割過程と、熱対流算出部が、アーク電極から放出される熱プラズマ流をモデル化した流出源から放出されるガス流の温度、流速及び熱量からなるガス流条件を、アーク電極の位置及び放電電流により前記対応テーブルから読み出し、前記シリカ粉成形体内部空間における熱対流の媒体の物性値を、媒体とこの媒体の物性値とが対応して記憶された記憶部から読み出す熱対流条件読み出し過程と、前記熱対流算出部が、読み出した前記ガス流条件と、前記媒体の物性値と、前記シリカ粉成形体内面の温度とを境界条件とし、前記熱対流から前記シリカ粉成形体表面に入射される熱流束を算出する熱対流算出過程と、輻射熱量算出部が、アーク電極から前記シリカ粉成形体への熱輻射をモデル化した熱源から放射される温度及び熱量からなる輻射条件を、アーク電極の位置及び放電電流により前記対応テーブルから読み出す輻射条件読み出し過程と、前記輻射熱量算出部が、読み出した前記輻射条件と、前記シリカ粉成形体内面温度とを境界条件とし、前記シリカ粉成形体表面に入射される熱流束を算出する輻射熱量算出過程と、前記温度分布算出部が、前記熱対流及び輻射からの熱流束を境界条件とし、前記シリカ粉成形体内部空間と前記シリカ粉成形体とにおける熱伝達解析、当該シリカ粉成形体内における熱伝導解析を行い、前記シリカ粉成形体の温度分布を求める温度分布算出過程と、を有することを特徴とする。
本発明の製造時のルツボの温度分布計算方法は、前記温度分布算出過程において、前記シリカ粉成形体の粉体から融解までの状態変化に対応させるため、シリカ粉成形体の材料であるシリカ粉の温度に対応し、シリカ粉の物性値が記憶されている記憶部から、当該シリカ粉成形体の温度に対応した物性値を読み出し、前記熱対流から前記シリカ粉成形体内面への熱流束を求めることを特徴とする。
本発明の製造時のルツボの温度分布計算方法は、前記温度分布算出過程において、前記シリカ粉成形体の粉体から融解までの状態変化に対応させるため、温度分布に対応して前記メッシュ単位にてシリカ粉成形体の物性値を変更させて、元のメッシュのままでシリカが粉体状態から融解状態までの温度分布の計算を行うことを特徴とする。
本発明の製造時のルツボの温度分布計算方法は、同一のアーク電極の位置及び放電電流の条件において、製造過程において実測したルツボ内面の温度分布と、前記温度分布算出過程において算出されたシリカ粉成形体表面の温度とを比較し、比較結果により、前記対応テーブルにおける境界条件として用いる前記ガス流条件及び前記輻射条件とを補正することを特徴とする。
本発明の製造時のルツボの温度分布計算方法は、前記ガス流による熱対流の熱量が前記アーク電極からの輻射の熱量に比較して大きく設定されていることを特徴とする。
本発明の製造時におけるルツボの温度分布計算装置は、ルツボを製造する型であるモールド内面に形成された所定の厚さのシリカ粉成形体に対し、アーク電極に放電電流を流して発生する熱プラズマを、アーク電極の位置及び前記放電電流を制御シーケンスに従って変化させて照射し、当該シリカ粉成形体を融解、固化させるルツボ製造における前記制御シーケンスの各ステップにおける温度分布を、前記熱プラズマをガス流による熱対流及び輻射によりモデル化し、ガス流の初速度、熱量、温度と、輻射の温度及び熱量とを境界条件として、被計算対象をメッシュ分割し、それぞれのメッシュ毎の数値計算を行い、メッシュ毎の数値計算結果に基づいて被計算対象全体の数値計算を行う数値計算方法により算出する温度計算部を備え、前記温度計算部は、前記アーク電極の位置毎に、前記放電電流と、当該放電電流に対応したガス流及び輻射の境界条件とが記載された対応テーブルから、前記ステップ毎に、当該ステップにおけるアーク電極の位置及び放電電流に対応する前記境界条件を読み出して前記温度分布を計算し、前記対応テーブルは、アーク電極の位置及び放電電流の組み合わせ毎に、前記シリカ粉成形体にプラズマ照射を行った場合の当該シリカ粉成形体において実測した温度分布と、ガス流及び輻射の境界条件から前記数値計算方法を用いて計算した温度分布とを比較し、実測及び計算した温度分布が時系列に同様の温度変化となるよう、前記境界条件を調整して予め生成されていることを特徴とする。
本発明の製造時のルツボの温度分布計算方法は、前記温度計算部が、メッシュ分割部と、熱対流算出部と、輻射熱量算出部と、温度分布算出部とを備え、前記メッシュ分割部が、前記シリカ粉成形体、シリカ粉成形体内部空間、前記モールド及び当該モールド外周空間を複数の有限要素に分割するメッシュ分割過程を実行し、前記熱対流算出部が、アーク電極から放出される熱プラズマ流をモデル化した流出源から放出されるガス流の温度、流速及び熱量からなるガス流条件を、アーク電極の位置及び放電電流により前記対応テーブルから読み出し、前記シリカ粉成形体内部空間における熱対流の媒体の物性値を、媒体とこの媒体の物性値とが対応して記憶された記憶部から読み出す熱対流条件読み出し過程を実行し、前記熱対流算出部が、読み出した前記ガス流条件と、前記媒体の物性値と、前記シリカ粉成形体内面の温度とを境界条件とし、前記熱対流から前記シリカ粉成形体表面に入射される熱流束を算出する熱対流算出過程を実行し、前記輻射熱量算出部が、アーク電極から前記シリカ粉成形体への熱輻射をモデル化した熱源から放射される温度及び熱量からなる輻射条件を、アーク電極の位置及び放電電流により前記対応テーブルから読み出す輻射条件読み出し過程を実行し、前記輻射熱量算出部が、読み出した前記輻射条件と、前記シリカ粉成形体内面温度とを境界条件とし、前記シリカ粉成形体表面に入射される熱流束を算出する輻射熱量算出過程を実行し、前記温度分布算出部が、前記熱対流及び輻射からの熱流束を境界条件とし、前記シリカ粉成形体内部空間と前記シリカ粉成形体とにおける熱伝達解析、当該シリカ粉成形体内における熱伝導解析を行い、前記シリカ粉成形体の温度分布を求める温度分布算出過程を実行することを特徴とする。
この発明によれば、ルツボの製造において用いられるアーク放電によるプラズマ加熱が、アーク電極から放出される熱プラズマ流と、アーク電極から放射される輻射熱とで行われるため、この熱プラズマ流にガス流による熱対流を用い、この輻射熱に熱源から放射される熱量の輻射とを用いてモデル化したため、温度分布の計算が実際のプラズマ加熱に近い環境にて行われるので、計算結果として精度の良い温度分布を得ることができる。すなわち、本発明によれば、アーク電極に流す放電電流に対応させ、アーク放電のモデルであるアーク電極からの熱プラズマ流、及びアーク電極におけるアーク放電の輻射の各々からのシリカ粉成形体内面への熱流束と、シリカ粉成形体内面の温度とを境界条件として、シリカ粉成形体内面への熱伝達の計算を行うことで、実際に近いルツボ内面の表面温度分布の計算を行うことができ、シリカ粉の融解速度を検出することが可能となり、アーク電極における放電電流と電極位置との制御による、ルツボの製造における気泡の含有する度合いの温度調整の指針を得ることができる。
また、発明によれば、計算されたシリカ粉成形体表面の温度分布と、計算に用いたアーク電極の位置及び放電電流に対応した条件におけるシリカ粉成形体内面の温度分布とを、対応する位置毎に比較し、計算に用いるガス流及び輻射の条件を変更し、実測値に合わせ込む調整を行っているため、温度分布の精度を向上させているため、アーク電極の位置を変更する等する際の条件出しにおいて、実際の製造における表面温度分布に近い計算を行うことができ、実験的にルツボを製造するなどの無駄を省き、制御シーケンスの組立を行う際の温度調整の指針を容易に得ることができる。
本発明の一実施形態による製造時のルツボの温度分布計算を行う際の、解析対象であるモールド及びシリカ粉成形体のモデルを示す概念図である。 図1における解析対象を含む温度分布を計算する解析空間を示す概念図である。 本発明の一実施形態による製造時のルツボの温度分布計算を行う温度分布計算装置の構成例を示すブロック図である。 図2における解析空間のメッシュ分割例を説明する概念図である。 本実施形態における有限要素法において用いる、物性値記憶部7に記憶されているシリカ粉、モールドの材料であるカーボン及び大気の物性値のテーブルを示す概念図である。 本実施形態における温度分布計算装置が行う温度分布計算処理の動作例を示すフローチャートである。 3次元空間における熱対流の速度ベクトルの解析結果を、シリカ粉成形体の開口面に対して垂直であり、開口面の中心点を含む平面により切断された断面構成を示す概念図である。 図6のステップS2における熱対流の計算の動作例を示すフローチャートである。 図6のステップS4における熱輻射の計算の動作例を示すフローチャートである。 図6のステップS3及びS5におけるシリカ粉成形体内における熱伝導の計算の動作例を示すフローチャートである。 熱プラズマの熱対流と輻射とのモデルである解析A及び解析Bの2種類の境界条件を示すテーブルである。 シミュレーションにより求めた、シリカ粉成形体の時間経過にともなう温度変化を示すグラフである。 解析Bによる計算結果におけるシリカ粉成形体の底部(B)、コーナー部(R)及び側壁(W1:下部,W2上部)の時間経過による温度変化を示すグラフである。 測定結果(実測)におけるシリカ粉成形体の時間経過による底部(B)の時間経過による温度変化を示すグラフである。 測定結果(実測)コーナー部(R)の時間経過による温度変化を示すグラフである。 測定結果(実測)側壁(W1:下部)の時間経過による温度変化を示すグラフである。 測定結果(実測)側壁(W2:上部)の時間経過による温度変化を示すグラフである。 実測したシリカ粉成形体の内面における底部(B部)、側壁(W1部、W2部)、コーナー部(R部)の各部の温度の時間経過(1分、3分、5分)における変化を示した図である。 解析Bの条件による計算と実測値とによるモールドを含めた厚さ方向の温度分布を示す図である。 アーク電極を水平方向位置を水平方向基準位置のまま変化させずに、アーク電極の垂直方向位置を変化させた場合の速度ベクトルを示す図である。 アーク電極を垂直方向位置を垂直方向基準位置のまま変化させずに、アーク電極の水平方向位置を変化させた場合の速度ベクトルを示す図である。 ルツボの製造工程におけるアーク電極の位置変化を示す概念図である。 ルツボの製造工程における制御シーケンスの一例を示す概念図である。
1.シミュレーションのモデル及び原理の説明
本発明は、製造時のルツボの温度分布を有限要素法を用いて計算するため、解析対象のシミュレーションモデルとして、図1に示すように、カーボンを材質とするルツボを形成する型であるモールドと、このモールド内面のルツボを形成する型部分にルツボとなるシリカ粉を、ルツボに設定された厚さとなるように、このモールド内面のルツボを形成する型部分にシリカ粉をへらで固めて形成したシリカ粉成形体と、シリカ粉成形体の内部空間と、シリカ粉成形体を溶解する熱を供給する熱源となるアーク電極との解析対象からなるシミュレーションモデルを定義する。
そして、図2に示すように、上記シミュレーションモデルを含んで温度分布の解析を行う解析空間を設定する。本実施形態の場合、例えば、製造するルツボのサイズ24インチとすると、ルツボの元となる所定の厚さのシリカ粉成形体が内面に形成されるモールドの直径が900mm、高さが530mmとなり、流出境界の範囲を考慮して縦及び横の寸法が1300mm、高さが1100mmの直方体形状の解析空間とした。
すでに説明したように、アーク電極(カーボン電極)に放電電流を供給して発生させたアーク放電により供給される熱量により、上記モールドに形成されたシリカ粉成形体をアーク融解させることでルツボが製造される。
このアーク電極に放電電流を流すことでアーク放電が発生する際、このアーク電極からルツボ底面方向に対して熱プラズマのガス流の噴出が確認されている。このため、アーク放電による熱放射よる輻射熱のみでなく、ルツボ内における上記熱プラズマのガス流の熱対流による熱移動によっても、シリカ粉成形体に対する熱量の供給が行われることになる。
このため、本実施形態においては、計算に用いる熱環境として、アーク電極からの輻射(放射)と、アーク電極からの熱プラズマの熱対流による対流伝熱との双方を考慮し、熱輻射と熱対流とを連成したシリカ粉成形体の全体的な(メッシュ毎)経時的な温度分布の計算を、有限要素法を用いたシミュレーションにより行っている。
ここで、熱プラズマの放射径は、アーク電極から離れるに従い大きくなっているため、熱プラズマの伝熱モデルとして、その熱プラズマのプラズマ流の形状を近似するガス流を伝熱モデルとして用いている。
本実施形態においては、例えば、3本のアーク電極に3相交流にて放電電流を印加し、各電極間においてアーク放電をさせ、それぞれのアーク電極から独立してガス流が放出される構成を伝熱モデルとした。ここで、プラズマ流の伝熱モデルとしては、それぞれのアーク電極から供給されるガス流に対し、このガス流の流速であるガス流速、ガス流の温度であるガス温度、ガス流の対流熱量(ガス流熱量)をガス流条件として設定している。
本実施形態においては、対流により熱を輸送する媒体の流体として大気が用いられているため、有限要素法の計算においては、シリカ粉成形体内部空間における熱対流の媒体である大気(空気)の物性値が物性値記憶部7に設定されている。この大気の物性値は、流体としての物性値であり、密度、熱伝導率、熱膨張係数、粘性係数、定圧比熱及び気体定数等である。
アーク電極からの輻射としては、アーク放電が発生しているアーク電極の下部を、後に説明する「輻射面の面積を有した」熱量の発生源として伝熱モデルとしてモデル化している。アーク電極からの輻射としては、放射温度(輻射温度)と放射熱量(輻射熱量)とを含む輻射条件を設定している。
ここで、アーク放電の放電電流及び放電電圧に対応したガス流条件及び輻射条件の初期値は、以下の条件式から求められる。
まず、アーク電極から流れるプラズマ流におけるガス流の対流温度の初期値は、以下の式により求める。
Ec=[n×(d/2)π×10−3]×ν×28.8×1×Tc/22.4
上記式において、Ec(W:ワット)はアーク電極からのプラズマ流のガス流の対流熱量、d(m)はアーク電極の電極径、n(本)はアーク電極の本数、ν(m/sec)はガス流の流速、1(J/gK)は空気の比熱(定圧比熱)、Tcはガス温度、28.8(g/mol)は空気の分子量である。ここで、1秒間のガス質量mを[n×(d/2)π×ν×10×28.8/22.4]とし、このガス質量mに対して空気の比熱1とガス温度Tcとを乗じて、ガス流の対流熱量の初期値としている。
次に、アーク電極の輻射における輻射条件の初期値は、以下の式により求める。
Er=n×[πdh+(d/2)π]×5.67×10−8×Tr
上記式において、Er(W:ワット)はアーク電極の輻射熱量、d(m)はアーク電極の電極径、n(本)はアーク電極の本数、Tr(K、ケルビン)はアーク電極の輻射温度である。ここで、[πdh+(d/2)π]が電極の放射面積S(m)であり、放射エネルギを求めるE=SσTrの黒体輻射の式を用いている。σはシュテファン−ボルツマン定数であり、5.67×10−8(Wm−2−4)である。
ここで、本実施形態においては、ルツボの作成におけるアーク電極に与える電圧及び電流が電圧380V(ボルト)、3000A(アンペア)であるため、電力として「3000×380×31/2」であるため、後述するように、Ec+Er=2000kWと設定している。
ここで、EcとErとを加算した値が、アーク電極に与える放電電流及び放電電圧を乗算したワットの値に対応している。本実施形態においては、Ec:Er=4:1として使用している。本実施形態の場合、実際の制御においては、ガス流条件及び輻射条件の調整として、放電電圧を一定として、放電電流を制御して、ガス流条件及び輻射条件の初期値を設定している。
そして、後述するように、実際に熱プラズマが照射されるシリカ粉成形体内面の温度を測定し、この実測した温度分布と計算から求めた温度分布とを比較し、ガス流条件及び輻射条件を補正し、後述する対応テーブルまたは関係式を生成する。
また、本実施形態においては、シミュレーションの確からしさを判定するため、放射温度計を用いて、融解した状態を含めてシリカ粉成形体の内面の温度分布を予め設定した測定周期毎に測定し、この実測した時系列の温度分布と、上述した温度分布計算機の計算結果による時系列の温度分布との比較を行っている。比較結果の各部の時系列の温度差により、上記ガス流条件及び輻射条件の再設定を行っている。ここで、温度を比較するシリカ粉体の位置としては、シリカ粉成形体の内面における温度の測定位置を予め設定しておき、その測定位置に対応したシミュレーションにおけるシリカ粉成型体の座標位置(対応する座標におけるシリカ粉成型体の内面に配置されたメッシュ)の温度を抽出して、実測した温度と比較している。
ここで、温度分布算出部4は、シリカ粉成形体内面におけるいずれかの測定点の温度(実測した温度)と、シリカ粉成形体内面におけるこの測定点に対応する位置の計算結果の温度とを比較し、予め設定した判定時間範囲(例えば、0.5秒)を超えて、実測の温度及び計算結果の温度の温度差と実測の温度差の比率(温度差/実測の温度、例えば2%)が予め設定した閾値以上であると、対応テーブルまたは関係式における上記ガス流条件及び輻射条件の再設定(更新)を行う。
この処理を行うのは、温度分布算出部4である。すなわち、温度分布算出部4は、実測の温度分布と計算値の温度分布との差分が、シリカ粉成形体内面の側壁にて正か負か、またアーク電極に遠い底部が正か負かのいずれの組み合わせであるかにより、予め設定した基準値分だけガス流条件及び輻射条件の各数値を高く、あるいは低くし、温度差と実測の温度差の比率が予め設定した閾値未満となるまで、すなわち実測した温度分布と計算した温度分布とが同様となるまでこの処理を繰り返し、モデル記憶部6に記憶されている対応テーブルまたは関係式の再設定を行うことになる。
例えば、温度分布算出部4は、シリカ粉成形体内面の側壁の温度が低く(温度分布差が)、底部が高い場合、ガス流条件の各数値における全てあるいは対流熱量を予め設定した数値分低下させ、輻射条件の放射熱量を予め設定した数値分増加させる制御を行う。また、温度分布算出部4は、シリカ粉成形体内面の側壁の温度が高く、底部が低い場合、ガス流条件の各数値における全てあるいは対流熱量を予め設定した数値分増加させ、輻射条件の放射熱量を予め設定した数値分低下させる。また、温度分布算出部4は、シリカ粉成形体内面の側壁の温度が低く、底部も低い場合、ガス流条件の各数値における全てあるいは対流熱量を予め設定した数値分増加させ、輻射条件の放射熱量を予め設定した数値分増加させる。また、温度分布算出部4は、シリカ粉成形体内面の側壁の温度が高く、底部も高い場合、ガス流条件の各数値における全てあるいは対流熱量を予め設定した数値分低下させ、輻射条件の放射熱量を予め設定した数値分低下させる。
実際には、図22に示すように、複数の測定点があるため、計算値との比較を行う上述した底部及び側壁の2つの測定点の組み合わせではなく、測定点全ての実測値と計算値との組み合わせにおける比較を行うため、細かなガス条件及び輻射条件における各数値(ガス条件としてガス流速、対流熱量、ガス温度、輻射条件として放射熱量、放射温度)のフィッティングを行うことができるため、より実測値に対応した計算値を得るよう、対応テーブルまたは関係式の調整が行える。
また、本実施形態においては、シリカ粉成形体における開口部平面を垂直方向基準位置とし、また、開口部平面の中心の位置をアーク電極の中心位置である水平方向基準位置とし、ガス流条件及び輻射条件を変えずに、このアーク電極の位置として、上記垂直方向基準位置及び水平方向基準位置から偏差を有する複数点毎に、シリカ粉成形体内面における温度分布を算出し、それぞれ対応するアーク電極の位置にて測定したシリカ粉成形体内面の複数の測定位置における温度とを比較し、上述したようにガス流条件及び輻射条件を調整する。
上述した処理により、実際のアーク放電による温度分布の変化を計算するための境界条件として、アーク電極の位置毎における放電電流及び放電電圧とガス流条件及び輻射条件との実験式あるいは、アーク電極の位置毎における放電電流及び放電電圧とガス流条件及び輻射条件との関係を示す対応テーブルまたは関係式を生成する。この対応テーブルまたは関係式は、アーク電極高さ、中心位置からの偏差の組み合わせに対し、アーク電極に与える放電電流及び放電電圧と、ガス流条件及び輻射条件との対応を示すテーブルまたは式である。
この結果、ガス流条件及び輻射条件と、放電電流及び放電電圧との関係式(あるいは対応テーブル)により、任意の放電電流及び放電電圧により、アーク電極高さ、中心位置からの偏差を変え、シリカ粉成形体の温度分布を計算することが可能となる。
対応テーブルまたは関係式は、例えば放電電圧を一定とし、放電電流と、垂直方向基準位置及び水平方向基準位置からの偏差とのそれぞれの組み合わせに対して、ガス流条件及び輻射条件が記載されている構成となっている。
また、関係式は、ガス流条件及び輻射条件毎に設定されており、放電電圧を一定とし、放電電流値と、垂直方向基準位置及び水平方向基準位置からの偏差とをパラメータとした実験式であり、パラメータの係数をフィッティングすることにより、ガス流条件におけるガス流温度と、輻射条件における輻射温度とを求める。
輻射熱量及びガス流の対流熱量とは、放電電圧と放電電流とから求めたワットの値を、輻射熱量(Er):ガス流の対流熱量(Ec)=1:4として得られた数値をそれぞれ用いる。
これにより、本実施形態によれば、実際にシリカ粉成形体からルツボを作成する制御シーケンスを作成する実験を多く行わなくとも、放電電流、垂直方向基準位置及び水平方向基準位置からの偏差を変えた場合の、シリカ粉成形体の温度分布を計算し、制御シーケンスを生成することができる。
したがって、ルツボの製造において、アーク放電からの熱プラズマの熱対流及び熱輻射による温度分布変化を、精度良く制御するための基礎データを、実際の実験を行うことなく計算により取得することが可能となる。
また、本実施形態においては、上述した結果を踏まえて、シリカ粉成形体における温度分布の計算において、アーク電極の垂直方向基準位置及び水平方向基準位置からの偏差を変えて、温度分布の変化を求めるため、ルツボ製造の制御シーケンスに対応した、温度分布変化の計算も行える構成となっている。
2.ルツボの温度分布計算装置の説明
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図3は、この発明の一実施形態によるルツボ製造のルツボの温度分布計算装置の構成例を示す概略ブロック図である。
一実施形態の温度分布計算装置は、図3に示すように、メッシュ分割部1、熱対流算出部2、輻射熱量算出部3、温度分布算出部4、条件変更部5、モデル記憶部6及び物性値記憶部7を有している。以下、各構成要素について説明する。
2−1.メッシュ分割部1
メッシュ分割部1は、ユーザより入力されるメッシュ条件により、図2における解析空間における各解析対象を、有限要素法を用いた計算を行うため、図4に示すようにそれぞれメッシュ(有限要素)に要素分割したメッシュのデータをモデル記憶部6に書き込んで記憶させる。なお、図2の立方体外周面は、開放境界条件として設定されている。
ここで、ガス流による熱対流が起こるシリカ粉成形体の内部空間は、このシリカ粉成形体の内面に対して垂直方向に3層のレイヤーメッシュ(流体レイヤーメッシュ)に分離し、それぞれメッシュの層の厚さを変化させ、ルツボの内面に近いほどレイヤーメッシュの厚さを薄くしている。
これは、初期状態においては、シリカ粉成形体の温度が室温であり、一方、ガス流の温度が2800℃と室温に比較して非常に高いため、この激烈な温度変化を考慮すると、温度変化が急激な領域の温度分布をlogの関数に近似させる必要があり、かつシリカ粉成形体内部に近づくに従い、熱流束の計算を精度良く行うために、より細かいメッシュにする必要がある。
すなわち、本実施形態においては、対流熱量が支配的のため、モールドと接しているシリカ粉成形体の外部表面からシリカ粉成形体の内面に向かうに従って、メッシュは徐々に細かく形成されている。同様に、シリカ粉成形体の内面に対する熱対流からの熱流束qと、アーク電極からの熱放射による熱流束Pとを、非常に高い温度において高い精度にて計算するため、シリカ粉成形体の内部空間の中心から、シリカ粉成形体の内面に向かい、内部空間のメッシュは徐々に細かく形成されている。すなわち、シリカ粉成形体の内面とこの内面に接する内部空間面とが、非常に高い温度において、熱の授受を行うため、接する部分が最も細かいメッシュにて形成されている。
また、シリカ粉成形体の内部空間を複数の層の解析対象に分離しているのは、上述したように、熱対流における熱対流内部とシリカ粉成形体内面との間の温度分布関数を、T=f(s)をlogの関数に近似させるため、シリカ粉成形体内面に近づく従い順次薄くなる複数の層としている。
すなわち、このレイヤーメッシュの層の数及び各層の厚さは、室温と2800℃との温度差におけるlog関数が精度良く近似できるレイヤーメッシュの層の数及び各レイヤーメッシュの層の厚さに設定されている。ここで、sはルツボ内面との距離である。
また、シリカ粉成形体のメッシュは、シリカ粉成形体の内面近傍部が融解した際、シリカ粉成形体の内面の温度が2000℃であり、シリカ粉成形体の外部表面の温度が500℃であり、シリカ粉成形体の厚さとを考慮すると、すなわち、わずか20mmの幅(シリカ粉成形体の側壁及び底面の厚さ)における1500℃の温度勾配の急峻さを考慮すると、厚さ方向及びルツボの内面に沿った温度分布の計算には温度測定の精度に対応したメッシュ数が必要となる。
2−2.熱対流算出部2
熱対流算出部2は、モデル記憶部6から解析空間をメッシュ化した図4の解析データを読み出し、図示しない処理用の処理メモリに書き込むとともに、モデル記憶部6に記憶されているガス流条件を読み出し、読み出したガス流条件のガス流速、ガス温度、対流熱量により、図4におけるシリカ粉成形体内部空間における熱対流の計算を有限要素法により行う。このとき、熱対流算出部2は、熱を移動する媒体として大気を用いており、質量密度、熱伝導率、熱膨張係数、絶対粘度、低圧比熱及び気体定数を含む大気の物性値を物性値記憶部7から読み込む。
また、熱対流算出部2は、シリカ粉成形体内部空間におけるガス流の速度ベクトルの分布を、例えば、上記物性値を用いて非圧縮のナビエ−ストークス方程式及び質量保存則から導かれる連続の式を用いて計算し、すなわち熱量を媒介する流体(本実施形態においては気体)の対流する熱対流の速度ベクトルの空間分布を求める。
ナビエストークス方程式
(∂u/∂t)+(u・∇)u=−(1/ρ)∇p+ν∇u+f
質量保存則から導かれる連続の式
(∂ρ/∂t)+∇・(ρu)=0
上記式において、uは速度ベクトル、ρは流体の密度、νは動粘性係数、fは単位体積当たりの流体に加わる外力のベクトルである。この2式を連立することにより、数値シミュレーションを行い、速度ベクトルを求める。
ここで、熱対流算出部2は、上記速度ベクトルにより、エネルギー方程式を用いてレイヤーメッシュの層毎の温度分布を求め、シリカ粉成形体の内面と流体との界面と、上述した3層の界面毎における熱伝達率を求め、温度分布の関数T=f(s)を生成し、以下に示す熱伝導の(1)式によりシリカ粉成形体の内面に対する熱流束qを算出する。
(∂T/∂t)+(u・∇)T=λ∇T/ρCp ...(1)
ここで、温度T(K、絶対温度):熱流束、λ(W/m・K):流体の熱伝導率、T(K):定圧比熱Cp(cal/g・K)、s(m):ルツボ内面からの距離を示している。
2−3.輻射熱量算出部3
輻射熱量算出部3は、熱の放射源(アーク放電の伝熱モデル、すなわち輻射モデル)の放射面から、シリカ粉成形体内面までの距離により、輻射面及び被輻射面の対を設定する。また、輻射熱量算出部3は、対となった上記輻射面と被輻射面とのそれぞれの距離、及び対向面の角度から輻射面の面積ds、被輻射面の面積dSを求め、面積dsを通過して面積dSに伝達される熱流束Pを、有限要素法を用いて、例えば以下の一般的な熱輻射の(2)式を用いて得られるエネルギーにより算出する。
P=σ・ds(T −T )/((1/ε)+(ds/dS)α) ...(2)
α=(1/ε)−1
ここで、σは、シュテファン−ボルツマン定数、Tは輻射源であるアークの温度、Tはシリカ粉成形体の温度、εはシリカ粉成形体の放射率、εは輻射源の放射率である。この熱流束の計算において、放射率ε及びεは温度と共に変化するため、それぞれの温度に対応して読み出して用いても良い。また、シリカ粉と融解したシリカとでも放射率が異なるため、融解温度を境に、それぞれに対応した放射率ε及びεに変更して輻射による熱流束を計算しても良い。
2−4.温度分布算出部4
温度分布算出部4は、熱対流算出部2が求めた熱流速qと、輻射熱量算出部3が求めた熱流束Pとが加算された熱流束を境界条件とし、シリカ粉成形体内面から外部表面へ至る内部の温度を算出する。このとき、温度分布算出部4は、物性値記憶部7に記憶されているシリカの質量密度、比熱、熱伝導率を含む物性値と、モールドの質量密度、比熱、熱伝導度を含む物性値とを読み込む。この物性値を読み込むと、温度分布算出部4は、この読み込んだ物性値を用いて、供給される対流及び輻射による熱流束及び上記流体の温度を境界条件とし、シリカ粉成形体、モールドの温度分布を求める。このとき、シリカ粉成形体の初期状態における温度は室温に設定されている。
温度分布算出部4は、上述のように計算した熱流束を用い、熱流束の下記(3)式から、シリカ粉成形体、モールドにおけるシリカ粉成形体の厚さ方向の温度分布を求める。
q+P=−λ(dT/dx) ...(3)
ここで、λは熱伝導率、xはシリカ粉成形体の内面からの距離、Tは温度差(シリカ粉成形体の内面の温度と外部表面との温度差)である。
2−5.モデル記憶部6
モデル記憶部6には、解析空間の情報(図2)、解析空間に対してのメッシュの情報(図4)、プラズマ流の伝熱モデルとしてガス流条件、アーク電極からの輻射の伝熱モデルである輻射条件などが、それぞれ識別情報(例えば、名称)に対応して記憶されている。
2−6.物性値記憶部7
物性値記憶部7には、図5に示すように、シリカ(ここでは、石英)(質量密度、比熱、熱伝導率)、モールド(質量密度、比熱、熱伝導率)、大気(空気:質量密度、熱伝導率、熱膨張係数、絶対粘度、定圧比熱、気体定数)などの解析対象の物性値が、それぞれ識別情報(例えば、名称、番号)に対応して記憶されている。なお、シリカ粉成形体は、粉状のシリカで形成されているので、バルクのシリカとは、物性値は完全には一致しない。また、シリカ粉成形体は、合成シリカ粉からなる内面層と天然シリカ粉からなる外面層を有する場合があり、合成シリカ粉の物性値は天然シリカ粉の物性値とは完全には一致しない。従って、シリカの物性値として、粉体であることやシリカ粉の種類を考慮して得られた値を用いてもよい。なお、合成シリカ粉は、四塩化珪素(SiCl)の気相酸化(乾式合成法)や、シリコンアルコキシド(Si(OR))の加水分解(ゾル・ゲル法)などの化学合成による手法によって得られたシリカ粉であり、非晶質である。また、天然シリカ粉は、α−石英を主成分とする天然鉱物を粉砕して粉状にすることによって得られるシリカ粉であり、結晶質である。
シリカにおいては熱伝導率が所定の温度範囲毎に設定され、モールドにおいては比熱が温度が所定の温度範囲毎に設定され、大気においては、絶対粘度が所定の温度範囲毎に設定されている。このため、温度分布算出部4は、シリカ、モールド、大気の物性値を、各メッシュの直前の計算結果の温度に対応して読み出して、計算を行うことになる。
上述したように、本実施形態においては、シリカ粉成形体への熱対流による熱流速と、シリカ粉成形体への放射による熱流速とを合計した熱流速により連成して、シリカ粉成形体の表面及び内部、またモールド内部の温度分布を、有限要素法により計算している。
また、本実施形態において、熱対流算出部2、輻射熱量算出部3及び温度分布算出部4は、温度分布の算出の際、シリカ粉成形体の粉体から融解までの状態変化による物性値の変化に対応させるため、温度分布に対応して前記メッシュ単位にてシリカ粉成形体のメッシュの物性値を、温度に対応して物性値記憶部7から読み出して変更させ、一方、メッシュの形状を粉体の場合と、融解した場合と、固化した場合とを同様にし、シリカが粉体状態から融解状態、さらに融解状態から固化状態までの温度分布の計算を行っている。
3.温度分布計算装置の動作の説明
次に、図6により、本実施形態による製造時のシリカ粉成形体(ルツボ)の温度分布計算装置の動作を説明する。図6は本実施形態による温度分布計算装置の有限要素法による解析対象の3次元空間における温度分布の算出処理の動作例を示すフローチャートである。
3−1.物性値の初期設定(ステップS1)
図2に示す解析空間における各解析領域のメッシュ分割は、図4に示すようにすでに行われている。すでに述べたように、対応テーブルあるいは関係式を形成するために行う、アーク電極の位置及び放電電流に対応したガス流条件及び輻射条件の調整の際、ガス流条件及び輻射条件の初期値として、以下の条件式から求めた値を境界条件として使用する。
熱対流算出部2は、モデル記憶部6からメッシュに分割された図4に示す解析空間を読み出し、図示しない処理メモリに書き込む。
また、熱対流算出部2は、モデル記憶部6からアーク電極の位置及び放電電流に対応したガス流条件を読み込むとともに、物性値記憶部7から温度に対応した大気の物性値を読み込む(ステップS1)。
3−2.熱対流の計算(ステップS2)
次に、熱対流算出部2は、読み込んだガス流条件及び物性値を用い、上記解析空間において熱対流の計算を有限要素法により行い(ステップS2)、図7に示すように、シリカ粉成形体内部における熱流体の速度ベクトルを求める。図7は、3次元空間における速度ベクトルの解析結果を、シリカ粉成形体の開口面に対して垂直であり、開口面の中心点を含む平面により切断された断面構成を示す概念図である。
そして、熱対流算出部2は、この速度ベクトルと熱量と大気の物性値とから熱流体の各レイヤーメッシュの層の温度分布を算出する。
次に、熱対流算出部2は、求めた温度分布から熱流束を算出し、熱流体とシリカ粉成形体内面との間の熱流束qを(1)式及び(2)式により算出する。
3−3.熱輻射の計算(ステップS3)
次に、輻射熱量算出部3は、モデル記憶部6からアーク電極の位置と、放電電流及び放電電圧(放電の電力)に対応した輻射条件を読み込み、アーク電極と対向するシリカ粉成形体内部の各部分(被輻射面)に対する熱流束Pを、有限要素法により(3)式を用いて算出する(ステップS3)。
3−4.シリカ粉成形体における熱伝導の計算(ステップS4)
熱流束q及び熱流束Pが算出されると、温度分布算出部4は、シリカ及びモールドの物性値を物性値記憶部7から読み出し、読み込まれる上記熱流束q及び熱流束Pの加算した熱流束を境界条件として用い、シリカ粉成形体及びモールドにおける温度分布の計算を行う(ステップS4)。
3−5.温度変化があるかどうかの判定(ステップS5)
温度分布が求まると、温度分布算出部4は、新たに求めた温度分布のデータと、直前の温度分布とのデータとをメッシュのノード毎に差分を取り、取った差分のなかから最も小さな差分を抽出し、この差分が予め設定された範囲内に含まれいるか否かの判定を行う(ステップS5)。
このとき、温度分布算出部4は、全てのノードにおいて上記差分が予め設定された範囲内に含まれている場合、温度分布の計算が収束したと判定し、温度分布を算出する処理を終了し、一方、全てのノードのいずれかの差分が範囲内に含まれていない場合、処理をステップS2へ進める。
また、後述する制御シーケンスに対応し、設定した時間が経過したことを判定し、その時間内における温度分布の計算を終了し、アーク電極の位置を変更する条件変更を行い、再度温度分布の計算を行うように構成しても良い。
差分が範囲内に含まれていない場合、上述したように処理をステップS1へ戻し、ステップS1からステップS5までの処理が繰り返され、熱対流算出部2、輻射熱量算出部3は、シリカ粉成形体内面の温度を境界条件とし、熱の移動による自身の温度変化を含めて、それぞれ新たに熱流束q、熱流束Pを求める。
そして、温度分布算出部4は、新たに求めた熱流束q及び熱流束Pの加算した熱流束を境界条件として、シリカ粉成形体及びモールド内における温度分布を求める。
4.熱対流の計算(ステップS2)の詳細な説明
次に、図8を参照して、図6のステップS2における熱対流の計算の動作を説明する。図8はこのステップS2における熱対流の計算の処理例を示すフローチャートである。
熱対流算出部2は、図4に示すメッシュのデータを含む解析空間の各解析対象のデータを、モデル記憶部6から読み出し、処理メモリに書き込む(ステップS21)。
また、熱対流算出部2は、図5に示す大気の物性値を物性値記憶部7から読み出し(ステップS22)、アーク電極の伝熱モデルの境界条件であるガス流条件をモデル記憶部6から読み出す(ステップS23)。
そして、熱対流算出部2は、上記ガス流条件及び物性値とにより、図7に示すように、有限要素法を用いて解析空間における熱対流の速度ベクトルの分布を求め、この速度分布から温度分布の関数f(s)を求める(ステップS24)。このとき、すでに述べたように、シリカ粉成形体の内面近傍における厚さの異なる3層のレイヤーメッシュにより、熱流体の流れに対応したlog上の変化を示す、シリカ粉成形体の内面に対して垂直方向の温度分布の関数f(s)を生成する。
温度分布の関数が算出されると、熱対流算出部2は、温度分布の関数f(s)から、(1)式を用いて熱流束qを算出する(ステップS25)。
5.熱輻射の計算(ステップS3)の詳細な説明
次に、図9を参照して、図6のステップS3における輻射の計算の動作を説明する。図9はこのステップS3における輻射の計算の処理例を示すフローチャートである。
輻射熱量算出部3は、アーク電極の輻射が行われる輻射面と、この輻射面と対向して熱量を輻射される被輻射面との組を生成する(ステップS31)。
ここで、輻射熱量算出部3は、輻射面を平面とし、この平面の法線の延長線上にあるシリカ粉成形体の内部面のメッシュを含むように、輻射面数に対応させてシリカ粉成形体の内面を分割して被輻射面を生成する。
そして、輻射熱量算出部3は、被輻射面が求められると、各被輻射面の面積を算出する(ステップS32)。
次に、輻射熱量算出部3は、輻射条件をモデル記憶部6から読み込み、(3)式を用いて、この輻射条件と各被輻射面のメッシュのノードの温度とからシリカ粉成形体の各被輻射面に対して、輻射面から輻射される熱量、すなわち熱流束Pを算出する(ステップS33)。
6.シリカ粉成形体における熱伝導の計算(ステップS4)の詳細な説明
次に、図10を参照して、図6のステップS4におけるシリカ粉成形体内における熱伝導の計算の動作を説明する。図10はこのステップS4における熱流束q及び熱流束Pによるシリカ粉成形体及びモールドにおける熱伝導の計算の処理例を示すフローチャートである。
図10におけるフローチャートにおいて、温度分布算出部4は、図5に示すシリカ粉及びモールドの物性値を、モデル記憶部6から読み込む(ステップS41)。
そして、温度分布算出部4は、シリカ粉及びモールドの物性値と、シリカ粉成形体及びモールドの温度分布と、熱流束q及び熱流束Pを加算した熱流束から、(4)式を用いて、シリカ粉成形体内面の一層目におけるメッシュのノードの温度を算出する(ステップS42)。
次に、温度分布算出部4は、熱伝導によるシリカ粉成形体内面からシリカ粉成形体外部表面への熱の移動による温度変化を算出し、またシリカ粉成形体外部表面に接したモールド内面からモールド外部表面への熱の移動による温度変化を算出し、シリカ粉成形体内部及びモールド内部における温度分布を、(4)式により算出して、処理を終了する(ステップS43)。
上述した温度分布の計算を、アーク電極の位置、すなわちガス流の噴き出す位置及び熱を放射する位置として、シリカ粉成形体の開口面の位置を高さ方向の垂直方向基準位置とし、また、シリカ粉成形体の開口面の中心を水平方向基準位置とする。
そして、アーク電極の位置を、上記垂直方向基準位置に対して上下させ、垂直方向位置を変化させ、また上記中心基準位置から偏心させて、水平方向位置を変化させ、それぞれのアーク電極の位置により、シリカ粉成形体及びモールドの温度分布を求める。
7.温度の実測値と計算値との比較による対比テーブルまたは関係式の生成
実際の製造において、アーク電極の位置を上記垂直方向基準位置からずらした場合、上記水平方向基準位置からずらした場合におけるシリカ粉成形体の内面の各部(側壁、底面、及び側壁と底面との境目であるコーナー部)の温度を測定し、温度分布の計算の結果と比較する。
例えば、図11は、熱プラズマの熱対流と輻射とのモデルである解析A及び解析Bの2種類の境界条件を示すテーブルである。
解析Aの条件においては、以下の図12及び図13の比較から判るように、放射熱量がガス流の対流熱量より大きいため、温度が急激に上昇している様子が判る。
一方、電極温度を実際に測定した結果3000℃であったため、輻射熱量の数値が実際より高いことが解り、これに対応するように、解析Bの条件においては、輻射熱量に対してガス流の対流熱量を放射熱量より大きくしたため、温度の上昇の形態が解析Aに比較し、より実測値に近い値となっている。この比較は、図12(解析Aによる計算結果)と図13(解析Bによる計算結果)とにより行った。
ここで、図12は、解析Aによる計算結果におけるシリカ粉成形体の底部(B)、コーナー部(R)及び側壁(W1:下部,W2上部)の時間経過による温度変化を示すグラフであり、横軸が加熱開始からの時間経過を示し、縦軸が温度を示している。
一方、図13は、解析Bによる計算結果におけるシリカ粉成形体の底部(B)、コーナー部(R)及び側壁(W1:下部,W2上部)の時間経過による温度変化を示すグラフであり、横軸が加熱開始からの時間経過を示し、縦軸が温度を示している。
図14は測定結果(実測)におけるシリカ粉成形体の時間経過による底部(B)の時間経過による温度変化を示すグラフであり、横軸が加熱開始からの時間経過を示し、縦軸が温度を示している。
図15は測定結果(実測)コーナー部(R)の時間経過による温度変化を示すグラフであり、横軸が加熱開始からの時間経過を示し、縦軸が温度を示している。
図16は測定結果(実測)側壁(W1:下部)の時間経過による温度変化を示すグラフであり、横軸が加熱開始からの時間経過を示し、縦軸が温度を示している。
図17は測定結果(実測)側壁(W2:上部)の時間経過による温度変化を示すグラフであり、横軸が加熱開始からの時間経過を示し、縦軸が温度を示している。
実測値のシリカ粉成形体内面における各部の最大の上昇温度と、解析Bのシリカ粉成形体内面における各部の最大の上昇温度とが近いことが判り、ガス流の対流熱量がシリカ粉成形体内面の温度変化に対して支配的であることが判る。
上述したように、熱対流と輻射とのモデルの境界条件を、図22に示す温度の各測定点において、計算結果が実測温度に対応するように調整することで、計算値と実測値とを合わせ込み、すでに説明したアーク電極の位置毎にアーク電極の放電電流と、ガス流条件及び輻射条件との関係を示す対応テーブルまたは関係式を生成する。
上述した対応テーブルまたは関係式において、アーク電極が垂直方向基準位置及び水平方向基準位置にあり、このときの放電電流が電力2000kW(電圧380V(ボルト)、3000A(アンペア))の場合、対応テーブルまたは関係式より得られるガス流条件及び輻射条件からなる境界条件は、輻射における放射温度が3450K、放射熱量が400kWであり、一方ガス流の初速は19m/sec、ガス温度が28000K、対流熱量が1600kWである。
この境界条件を用いた有限要素法の計算結果において、解析Bについては、シリカ粉成形体の底部(B部)の温度変化、シリカ粉成形体の側壁(W1部、W2部)の温度変化、シリカ粉成形体の底部と側壁部の境にあるコーナー部(R部)の温度分布について実測値に対して近い数値を得ることができ、温度上昇を再現できている。
図18は、実測したシリカ粉成形体の内面における底部(B部)、側壁(W1部、W2部)、コーナー部(R部)の各部の温度の時間経過(1分、3分、5分)における変化を示しており、横軸が底部(B部)の中心からの距離を示し、縦軸が温度を示している。この図から、底部の温度上昇がアーク電極に距離的に近い側壁部W2より速くより高く上昇していることから、アーク電極からの放射熱量に対して、より対流熱量がシリカ粉成形体の内面の温度上昇に対して支配的であることが実測値の温度上昇の傾向から判り、解析Bのモデルが輻射熱を支配的とした解析Aに比較してより正しいということができる。すなわち、輻射熱が支配的であるならば、側壁W2が最も速い温度上昇を示すこととなるが、ガス流が直接に照射される底部が最も速い温度上昇を示していることから明確である。
図19は、解析Bの条件による計算と実測値とによるモールドを含めた厚さ方向の温度分布を示しており、横軸がシリカ粉成形体の内面からモールドの外部面までの距離を示し、縦軸が温度である。上述したように、シリカ粉成形体内部の表面加熱においては、アーク電極からのブラズマ流による対流熱量が支配的であると考えられ、熱量の比率では、例えば、対流熱量:輻射熱量=4:1の割合となっている。
8.アーク電極の位置を変位させた場合の温度分布
また、ガス流条件及び輻射条件を一定とし、アーク電極の位置を垂直方向基準位置及び推定方向基準位置から変化させ、図20及び図21に示すように熱対流の速度ベクトルを有限要素法により求め、すでに述べたように、熱対流におけるガス流からシリカ粉成形体内面への熱伝達率を求め、シリカ粉成形体における温度分布を求める。
図20は、アーク電極を水平方向基準位置を中心位置のまま変化させずに、アーク電極の垂直方向位置を垂直方向基準位置(図20(a))、垂直方向基準位置から上方向に50mm(図20(b))ずらし、また垂直方向基準位置から下方向に50mm(図20(c))ずらした場合の速度ベクトルを示している
図20(a)を見ると判るように、垂直方向基準位置から上部方向に50mmずらしたアーク電極の位置の場合、シリカ粉成形体の開口部近傍、すなわちシリカ粉成形体内面の上部側壁部分における速度ベクトルが、他のシリカ粉成形体内部に比較して大きいことが判る。また、図20(b)においては、アーク電極を垂直方向基準位置とした場合の、計算結果の速度ベクトルを示しており、開口部近傍より、開口部の下部の位置の速度ベクトルが大きくなっている。この結果溶融する温度となる位置が下部方向に移動したことが推定される。さらに、図20(c)においては、シリカ粉成形体の底部における速度ベクトルが大きくなっていることが判る。
また、電極から放出されるプラズマ流がルツボ上端面を基準として上方への流れが多くなると、同時に冷えた空気がルツボ内に入り込み、ルツボに対する熱流速のエネルギが低下する。
この図20(a)に示す結果は、溶融される温度となるのは熱輻射も考慮すると、開口部近傍の側壁部が速く、実際のルツボの製造における位置と対応している。
すなわち、実際のルツボの製造においても、垂直方向基準位置から上部方向にアーク電極をずらした状態でアーク電極に放電を開始し、開口部から溶融させ、徐々にアーク電極を下げ、ある高さまで下げると、またアーク電極を上昇させる操作を行う。
また、図21は、アーク電極を垂直方向基準位置のまま変化させず、アーク電極の水平方向位置を水平方向基準位置(図21(a))、水平方向基準位置から図の右方向に45mm(図21(b))ずらし、また水平方向基準位置から右方向に90mm(図21(c))ずらした場合の速度ベクトルを示している。
図20の場合と同様に、この図21の速度ベクトルを見てみると、アーク電極がシリカ粉成形体内部の側壁に近づくにつれ、近づいた方の対流の速度ベクトルが、離れた方の速度ベクトルに対して小さくなり、熱流の熱流を運ぶ速度が遅い、すなわち温度が上昇しにくいことが判る。したがって、中央にアーク電極を配置した場合が効率が最もよいと考えられる。
そして、各アーク電極の位置に対応して実測したシリカ粉成形体の内面の温度と、上記算出したシリカ粉成形体の内面の温度とを比較し、上記ガス流条件及び輻射条件を調整し、同様の時間変化における温度の計算結果と実測値とを、例えば、図5における実測した温度の測定点の全てを満足するように合わせ込む。
この結果、プラズマ流を発生させるためにアーク電極に流す放電電流の電流値毎に対応させ、ガス流条件及び輻射条件を合わせ込み、対応テーブルを生成することができる。
これにより、例えば、放電電流及び放電電圧と、ガス流条件及び輻射条件との対応関係を示す対応テーブル(あるいは関係式)を用いることにより、シリカ粉成形体における温度分布を計算する場合、ルツボ製造で用いたい放電電流から計算によって使用するガス流条件及び輻射条件を得ることができる。
このように、ルツボ製造に用いるアーク電極の放電電流の電流値及び放電電圧の電圧値と、この電流値に対応するガス流条件及び輻射条件との対応関係を得ることができる。この対応テーブル(あるいは関係式)は、モデル記憶部6へ格納しておく。
9.ルツボの制御シーケンスを作成する際の温度分布の利用
上述した結果から、実際のルツボの製造工程に対応させ、設定した時間単位にてアーク電極の位置を変化させ、一定の周期にてシリカ粉成形体における温度分布を計算する。
すなわち、図22に示すように、ルツボの製造工程において、アーク電極の垂直方向位置を上下に変化させつつ、ルツボの型であるモールド内面に形成されたシリカ粉成形体を溶融させ、ルツボを製造している。この際、アーク電極に流す放電電流(放電電圧に応じた)も、上記制御シーケンスの各ステップにおいて制御されている。
例えば、ルツボの製造工程のアーク電極の位置の制御シーケンスとして、図23に示す制御が行われる。このため、この制御シーケンスに従い、シリカ粉成形体の開口面の中心を通り、この開口面に対して垂直な軸を回転軸として、シリカ粉成形体を回転させた状態において、制御シーケンスの時間経過毎にアーク電極の位置を変化させつつ、かつ放電電流に対応させてガス流条件及び輻射条件を変化させる。そして、シリカ粉成形体の温度分布の時系列な変化を、有限要素法により計算することにより、各シーケンスのステップ毎のシリカ粉成形体の時間経過に従う温度分布変化を得ることができ、シリカ粉の状態、溶融した状態及び溶融して固化した状態、及びその状態に変化する速度を推定する。
これにより、シリカ粉成形体の温度分布の変化により、シリカ粉成形体の溶融速度を検出することができ、製造されるルツボの形状(底部、コーナー部及び側壁の厚さなど)さらにはルツボに導入される気泡の度合いを推定することができる。
したがって、新たなルツボ製造の制御シーケンスを組むとき、アーク電極に流す放電電流、印加する放電電圧を変化させた場合に、アーク電極の水平方向あるいは垂直方向の移動、あるいは各アーク電極の位置における加熱時間などをシミュレーションすることができ、従来のように膨大な実験を行う必要が無くなり、実験に伴うルツボの製造コストを削減することができる。
また、実際に対応テーブル(あるいは関係式)を用いて生成した制御シーケンスにより、実際にルツボを製造する際に実測したルツボ内面の温度分布と、前記温度分布算出過程において算出されたシリカ粉成形体表面の温度分布とを、アーク電極の位置と、放電電流及び放電電圧と時間経過とが同一の条件において比較し、この比較結果により、すでに説明したように、対応テーブル(あるいは関係式)における対応するアーク電極の位置及び放電電流に対応する、境界条件として用いるガス流条件及び前記輻射条件とを補正することにより、温度分布の計算の精度を向上させることができる。
10.シーケンス制御におけるアーク電極の移動
このシーケンス制御におけるアーク電極の水平方向あるいは垂直方向の移動については、条件変更部5が行う。すなわち、条件変更部5は、内部に予め設定された図23に示す制御シーケンスに基づいて、シリカ粉成形体の温度分布を計算する際に、アーク電極と解析対象となるモデルの再定義を行うため、各ステップ毎に、アーク電極の位置及び放電電流の数値と、加熱時間とを、条件が変更となったことを示す通知とともに、メッシュ分割部1、熱対流算出部2、輻射熱量算出部3及び温度分布算出部4へそれぞれ出力する。
これにより、メッシュ分割部1は、新たな解析空間のメッシュを形成するが、メッシュの形状の変更を行う領域として予めアーク電極、すなわち、制御シーケンスに従ってガス流を噴出する領域あるいは輻射を行う輻射の熱量の発生源を移動させる範囲をメッシュ変更領域として設定しておき、この部分のみ条件変更部5から入力されるアーク電極の位置に対応したメッシュの生成を行う。
熱対流算出部2は、アーク電極の位置が入力されると、シリカ粉成形体、シリカ粉成形体内部空間において、直前のシーケンス条件における最終的に得られた温度分布を初期状態とし、次に処理する制御シーケンスのアーク電極の位置と、放電電流及び電圧値とに対応して記憶されているガス流条件をモデル記憶部6の対応テーブルから読み出し、これを境界条件として、新たに速度ベクトルを計算し、新たなレイヤーメッシュの温度分布を算出して、熱流のメッシュからシリカ粉成形体内面のメッシュへの熱流速qを算出する。
輻射熱量算出部3による演算は、(3)式における輻射面及び被輻射面の対を再設定し、それぞれの面積ds、面積dSも再計算する。そして、輻射熱量算出部3は、次に処理する制御シーケンスのアーク電極の位置及び放電電流に対応して記憶されている輻射条件をモデル記憶部6の対応テーブルから読み出す。輻射熱量算出部3は、直前のシーケンス条件における最終的に得られた温度分布を初期条件とし、読み出した輻射条件を境界条件としてすでに説明した処理により、熱量の発生源からの熱輻射からシリカ粉成形体内面に対する熱流束Pを、輻射面及び被輻射面のメッシュの対の間にてそれぞれ算出する。
温度分布算出部4は、シリカ粉成形体及びモールドにおいて、直前の制御シーケンスの条件における最終的に得られた温度分布を初期状態とし、熱流束P及び熱流束qを加算した熱流束により、この熱流束からメッシュ一層目の温度を算出し、これを境界条件としてシリカ粉成形体及びモールドにおける断面の厚さ方向に温度分布を算出する。
以降の処理についてはすでに述べた動作と同様である。このように、制御シーケンスに対応させ、設定された時間が経過する毎にアーク電極の位置を変化させつつ、熱対流及び熱輻射によるシリカ粉成形体内面への熱流束を算出する。
上述したように、本実施形態においては、すでに説明したように、アーク電極の位置をルツボの製造の制御シーケンスに対応させ、かつ、ガス流条件及び輻射条件を上記制御シーケンスに対応させる。そして、制御シーケンスにおける所定の時間経過(加熱時間)毎に移動させて、各ステップの加熱時間単位において、上述したように熱流束を求め、シリカ粉成形体における温度分布の変化を算出する。
このため、この温度分布の時系列的な変化から、シリカ粉成形体における溶融する温度の位置の移動を検出することにより、容易に溶融する温度変化の速度である溶融速度等を計算することができ、製造工程におけるルツボの形状(底部、コーナー部及び側壁の各部分の厚さなど)を推定することができる。この結果を用いることにより、従来のように実際にアーク電極の位置を変化させつつ、各条件を振ってルツボを製造することなく、適正な制御シーケンスを検討することができる。
11.モールドの回転の考慮
また、ルツボの製造においてはモールドを回転させつつ、シリカ粉成形体を融解させてルツボを形成している。
したがって、温度分布を求める際に、このモールドの回転を考慮する必要がある。そのため、モールドの回転を本実施形態においては、回転数が比較的遅く(例えば、20RPM(revolution per minute))、粘性による対流への影響が少ないことを考慮し、回転数に対応して設定された時間間隔にて、回転した際の被測定対象のメッシュにおいて、同一円周上に位置するメッシュの温度分布のデータを平均化させて(このとき、厚さ方向を含めて、被測定対象の全メッシュを対象とする)、この平均化された温度分布を初期値として、温度分布の計算を行うように構成している。ここで、回転数が20RPMである場合、1回転する時間としては、50m秒であるため、これより十分小さい時間、例えば5m秒毎に、上述した同一円周上のメッシュの温度分布のデータを平均化させることが考えられる。
これにより、熱対流以外に、回転におけるシリカ粉成形体の内部面における大気の粘性による流体解析を行う必要がないため、シリカ粉成形体における温度分布の計算の時間を短縮し、ルツボの製造過程におけるシリカ粉成形体の内面の温度分布の変化を容易に得ることができる。
また、同一円周上のメッシュのデータは全て対称となるため、シリカ粉成形体の開口面の中心を通り、かつこの開口面に垂直な平面で切断した際の切断線に対応するシリカ粉成形体部分のデータを、それぞれシリカ粉成形体の厚さ方向に記録すれば、シリカ粉成形体が回転軸を通る平面に対して対称系であるため、シリカ粉成形体全体の温度分布を記憶させたことになる。この結果、シリカ粉成形体における温度分布を記憶させるメモリ容量を大幅に削減できるので、計算時におけるメモリへのアクセス回数を削減させ、温度分布の計算の処理速度を高速化させることができる。
また、本実施形態においては、熱流体解析に対して有限要素法を用いて説明したが、有限体積法、有限差分法など、被計算対象をメッシュ分割し、それぞれのメッシュ毎の数値計算を行い、メッシュ毎の数値計算結果に基づいて被計算対象全体の数値計算を行う数値計算(数値解析)方法であれば、いずれを用いても良い。
なお、モデル記憶部6及び物性値記憶部7は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリや、CD−ROM等の読み出しのみが可能な記憶媒体、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成されるものとする。
なお、図3におけるメッシュ分割部1、熱対流算出部2、輻射熱量算出部3、温度分布算出部4及び条件変更部5は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
なお、このメッシュ分割部1、熱対流算出部2、輻射熱量算出部3、温度分布算出部4及び条件変更部5は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、この処理部30はメモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
また、この温度分布計算装置には、周辺機器として入力装置、表示装置等(いずれも図示せず)が接続されるものとする。ここで、入力装置とはキーボード、マウス等の入力デバイスのことをいう。表示装置とはCRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等のことをいう。
また、図1におけるメッシュ分割部1、熱対流算出部2、輻射熱量算出部3、温度分布算出部4及び条件変更部5の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより温度分布の計算処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
1...メッシュ分割部
2...熱対流算出部
3...輻射熱量算出部
4...温度分布算出部
5...条件変更部
6...モデル記憶部
7...物性値記憶部

Claims (9)

  1. ルツボを製造する型であるモールド内面に形成された所定の厚さのシリカ粉成形体に対し、アーク電極に放電電流を流して発生する熱プラズマを、アーク電極の位置及び前記放電電流を制御シーケンスに従って変化させて照射し、当該シリカ粉成形体を融解、固化させるルツボ製造における前記制御シーケンスの各ステップにおける温度分布を数値計算方法により算出する温度計算過程を有し、前記数値計算方法は、ガス流による熱対流及び輻射により前記熱プラズマをモデル化し、ガス流の初速度、熱量、温度と、輻射の温度及び熱量とを境界条件として、被計算対象をメッシュ分割し、それぞれのメッシュ毎の数値計算を行い、メッシュ毎の数値計算結果に基づいて被計算対象全体の数値計算を行い、
    温度計算部が、前記放電電流と、当該放電電流に対応したガス流及び輻射の境界条件とが前記アーク電極の位置毎に記載された対応テーブルから、前記各ステップにおけるアーク電極の位置及び放電電流に対応する前記境界条件を前記ステップ毎に読み出して前記温度分布を計算し、
    前記対応テーブルが、アーク電極の位置及び放電電流の組み合わせ毎に、前記シリカ粉成形体にプラズマ照射を行った場合の当該シリカ粉成形体において実測した温度分布と、ガス流及び輻射の境界条件から前記数値計算方法を用いて計算した温度分布とを比較し、実測及び計算した温度分布が時系列に同様の温度変化となるよう、前記境界条件を調整して予め生成されている
    ことを特徴とする製造時におけるルツボの温度分布計算方法。
  2. 実測する前記温度分布がシリカ粉成形体内面における温度であることを特徴とする請求項1に記載の製造時におけるルツボの温度分布計算方法。
  3. 前記温度計算過程は、
    メッシュ分割部が、前記シリカ粉成形体、シリカ粉成形体内部空間、前記モールド及び当該モールド外周空間を複数の有限要素に分割するメッシュ分割過程と、
    熱対流算出部が、アーク電極から放出される熱プラズマ流をモデル化した流出源から放出されるガス流の温度、流速及び熱量からなるガス流条件を、アーク電極の位置及び放電電流により前記対応テーブルから読み出し、前記シリカ粉成形体内部空間における熱対流の媒体の物性値を、媒体とこの媒体の物性値とが対応して記憶された記憶部から読み出す熱対流条件読み出し過程と、
    前記熱対流算出部が、読み出した前記ガス流条件と、前記媒体の物性値と、前記シリカ粉成形体内面の温度とを境界条件とし、前記熱対流から前記シリカ粉成形体表面に入射される熱流束を算出する熱対流算出過程と、
    輻射熱量算出部が、アーク電極から前記シリカ粉成形体への熱輻射をモデル化した熱源から放射される温度及び熱量からなる輻射条件を、アーク電極の位置及び放電電流により前記対応テーブルから読み出す輻射条件読み出し過程と、
    前記輻射熱量算出部が、読み出した前記輻射条件と、前記シリカ粉成形体内面温度とを境界条件とし、前記シリカ粉成形体表面に入射される熱流束を算出する輻射熱量算出過程と、
    温度分布算出部が、前記熱対流及び輻射からの熱流束を境界条件とし、前記シリカ粉成形体内部空間と前記シリカ粉成形体とにおける熱伝達解析、当該シリカ粉成形体内における熱伝導解析を行い、前記シリカ粉成形体の温度分布を求める温度分布算出過程と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の製造時におけるルツボの温度分布計算方法。
  4. 前記温度分布算出過程において、前記シリカ粉成形体の粉体から融解までの状態変化に対応させるため、シリカ粉成形体の材料であるシリカ粉の温度に対応し、シリカ粉の物性値が記憶されている記憶部から、当該シリカ粉成形体の温度に対応した物性値を読み出し、前記熱対流から前記シリカ粉成形体内面への熱流束を求めることを特徴とする請求項3に記載の製造時におけるルツボの温度分布計算方法。
  5. 前記温度分布算出過程において、前記シリカ粉成形体の粉体から融解までの状態変化に対応させるため、温度分布に対応して前記メッシュ単位にてシリカ粉成形体の物性値を変更させて、元のメッシュのままでシリカが粉体状態から融解状態までの温度分布の計算を行うことを特徴とする請求項3に記載の製造時におけるルツボの温度分布計算方法。
  6. 同一のアーク電極の位置及び放電電流の条件において、製造過程において実測したルツボ内面の温度分布と、前記温度分布算出過程において算出されたシリカ粉成形体表面の温度とを比較し、比較結果により、前記対応テーブルにおける境界条件として用いる前記ガス流条件及び前記輻射条件とを補正することを特徴とする請求項3に記載の製造時におけるルツボの温度分布計算方法。
  7. 前記ガス流による熱対流の熱量が前記アーク電極からの輻射の熱量に比較して大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の製造時のルツボの温度分布計算方法。
  8. ルツボを製造する型であるモールド内面に形成された所定の厚さのシリカ粉成形体に対し、アーク電極に放電電流を流して発生する熱プラズマを、アーク電極の位置及び前記放電電流を制御シーケンスに従って変化させて照射し、当該シリカ粉成形体を融解、固化させるルツボ製造における前記制御シーケンスの各ステップにおける温度分布を数値計算方法により算出する温度計算部を備え前記温度計算部は、ガス流による熱対流及び輻射により前記熱プラズマをモデル化し、ガス流の初速度、熱量、温度と、輻射の温度及び熱量とを境界条件として、被計算対象をメッシュ分割し、それぞれのメッシュ毎の数値計算を行い、メッシュ毎の数値計算結果に基づいて被計算対象全体の数値計算を行い、
    前記温度計算部は、前記放電電流と、当該放電電流に対応したガス流及び輻射の境界条件とが前記アーク電極の位置毎に記載された対応テーブルから、前記各ステップにおけるアーク電極の位置及び放電電流に対応する前記境界条件を前記ステップ毎に読み出して前記温度分布を計算し、
    前記対応テーブルは、アーク電極の位置及び放電電流の組み合わせ毎に、前記シリカ粉成形体にプラズマ照射を行った場合の当該シリカ粉成形体において実測した温度分布と、ガス流及び輻射の境界条件から前記数値計算方法を用いて計算した温度分布とを比較し、実測及び計算した温度分布が時系列に同様の温度変化となるよう、前記境界条件を調整して予め生成されている
    ことを特徴とする製造時におけるルツボの温度分布計算装置。
  9. 前記温度計算部は、メッシュ分割部と、熱対流算出部と、輻射熱量算出部と、温度分布算出部とを備え、
    前記メッシュ分割部が、前記シリカ粉成形体、シリカ粉成形体内部空間、前記モールド及び当該モールド外周空間を複数の有限要素に分割するメッシュ分割過程を実行し、
    前記熱対流算出部が、アーク電極から放出される熱プラズマ流をモデル化した流出源から放出されるガス流の温度、流速及び熱量からなるガス流条件を、アーク電極の位置及び放電電流により前記対応テーブルから読み出し、前記シリカ粉成形体内部空間における熱対流の媒体の物性値を、媒体とこの媒体の物性値とが対応して記憶された記憶部から読み出す熱対流条件読み出し過程を実行し、
    前記熱対流算出部が、読み出した前記ガス流条件と、前記媒体の物性値と、前記シリカ粉成形体内面の温度とを境界条件とし、前記熱対流から前記シリカ粉成形体表面に入射される熱流束を算出する熱対流算出過程を実行し、
    前記輻射熱量算出部が、アーク電極から前記シリカ粉成形体への熱輻射をモデル化した熱源から放射される温度及び熱量からなる輻射条件を、アーク電極の位置及び放電電流により前記対応テーブルから読み出す輻射条件読み出し過程を実行し、
    前記輻射熱量算出部が、読み出した前記輻射条件と、前記シリカ粉成形体内面温度とを境界条件とし、前記シリカ粉成形体表面に入射される熱流束を算出する輻射熱量算出過程を実行し、
    前記温度分布算出部が、前記熱対流及び輻射からの熱流束を境界条件とし、前記シリカ粉成形体内部空間と前記シリカ粉成形体とにおける熱伝達解析、当該シリカ粉成形体内における熱伝導解析を行い、前記シリカ粉成形体の温度分布を求める温度分布算出過程を実行する、
    ことを特徴とする請求項8に記載の製造時におけるルツボの温度分布計算装置。
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