JP4096499B2 - 単結晶の点欠陥分布のシミュレーション方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チョクラルスキー(以下、CZという。)法にて引上げられるシリコン等の単結晶の点欠陥分布をコンピュータシミュレーションする方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のシミュレーション方法として、図4に示すように、総合伝熱シミュレータを用いてCZ法によるシリコン単結晶4引上げ時の引上げ機1内のホットゾーン構造及びそのシリコン単結晶4の引上げ速度に基づいて、シリコン融液2の熱伝導率を操作することによりシリコン融液2の内部温度分布を予測し、この内部温度分布からシリコン単結晶4のメッシュの座標及び温度をそれぞれ求め、更にシリコン単結晶4内の格子間シリコン及び空孔の拡散係数及び境界条件に基づいて拡散方程式を解くことにより、上記格子間シリコン及び空孔の濃度分布をコンピュータを用いて求める方法が知られている。このシミュレーション方法では、ホットゾーンの各部材がメッシュ分割されてモデル化される。特にシリコン融液2のメッシュは計算時間を短くするために10mm程度と比較的粗く設定される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の格子間シリコン及び空孔の濃度分布のシミュレーション方法では、実際の引上げ機においては発生するシリコン融液の対流を考慮しておらず、またシリコン融液のメッシュが比較的粗いため、格子間シリコン及び空孔の濃度分布(図5(b))が実測値(図5(e))と大幅に相違する不具合があった。
本発明の目的は、単結晶内の点欠陥分布の計算値が実測値と極めて良く一致する、単結晶の点欠陥分布のシミュレーション方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1〜図3に示すように、引上げ機11により単結晶14を所定長さまで引上げた状態における単結晶14の引上げ機11のホットゾーンをメッシュ構造でモデル化する第1ステップと、ホットゾーンの各部材毎にメッシュをまとめかつこのまとめられたメッシュに対する各部材の物性値と単結晶14の引上げ長及びこの引上げ長に対応する単結晶14の引上げ速度をそれぞれコンピュータに入力する第2ステップと、各部材の表面温度分布をヒータの発熱量及び各部材の輻射率に基づいて求める第3ステップと、各部材の表面温度分布及び熱伝導率に基づいて熱伝導方程式を解くことにより各部材の内部温度分布を求めた後に融液12が乱流であると仮定して得られた乱流モデル式及びナビエ・ストークスの方程式を連結して解くことにより対流を考慮した融液12の内部温度分布を更に求める第4ステップと、単結晶14及び融液12の固液界面形状を単結晶の三重点Sを含む等温線に合せて求める第5ステップと、第3ステップから第5ステップを三重点Sが単結晶14の融点になるまで繰返し引上げ機11内の温度分布を計算して単結晶14のメッシュの座標及び温度を求めこれらのデータをそれぞれコンピュータに入力する第6ステップと、単結晶14の引上げ長を段階的に変えて第1ステップから第6ステップまでを繰返し引上げ機11内の温度分布を計算して単結晶14のメッシュの座標及び温度を求めこれらのデータをそれぞれコンピュータに入力する第7ステップと、単結晶14のメッシュの座標及び温度のデータと単結晶14内の空孔及び格子間原子の拡散係数及び境界条件をそれぞれコンピュータに入力する第8ステップと、単結晶14のメッシュの座標及び温度と空孔及び前記格子間原子の拡散係数及び境界条件に基づいて拡散方程式を解くことにより単結晶14の冷却後の空孔及び格子間原子の濃度分布を求める第9ステップとを含むコンピュータを用いて単結晶の点欠陥分布のシミュレーションを行う方法であって、乱流モデル式が次の式(2)で表されるkl−モデル式であり、このモデル式の乱流パラメータCとして0.4〜0.6の範囲内の任意の値が用いられたことを特徴とする。
【数2】
ここで、κ t は融液の乱流熱伝導率であり、cは融液の比熱であり、Pr t はプラントル数であり、ρは融液の密度であり、dは融液を貯留するるつぼ壁からの距離であり、kは融液の平均流速に対する変動成分の二乗和である。
【0005】
この請求項1に記載された単結晶の点欠陥分布のシミュレーション方法では、融液12の対流を考慮して単結晶14の内部温度分布を求め、この単結晶14の内部温度分布に基づきかつ単結晶14内の点欠陥の拡散を考慮して単結晶14内の点欠陥分布を求めたので、単結晶14内の点欠陥分布の計算値が実測値と極めて良く一致する。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図3に示すように、シリコン単結晶引上げ機11のチャンバ内には、シリコン融液12を貯留する石英るつぼ13が設けられる。この石英るつぼ13は図示しないが黒鉛サセプタ及び支軸を介してるつぼ駆動手段に接続され、るつぼ駆動手段は石英るつぼ13を回転させるとともに昇降させるように構成される。また石英るつぼ13の外周面は石英るつぼ13から所定の間隔をあけてヒータ(図示せず)により包囲され、このヒータは保温筒(図示せず)により包囲される。ヒータは石英るつぼ13に投入された高純度のシリコン多結晶体を加熱・溶融してシリコン融液12にする。またチャンバの上端には図示しないが円筒状のケーシングが接続され、このケーシングには引上げ手段が設けられる。引上げ手段はシリコン単結晶14を回転させながら引上げるように構成される。
【0007】
このように構成されたシリコン単結晶引上げ機11におけるシリコン単結晶14の点欠陥分布のシミュレーション方法を図1〜図3に基づいて説明する。
先ず第1ステップとして、シリコン単結晶14を所定長さL1(例えば100mm)まで引上げた状態におけるシリコン単結晶引上げ機11のホットゾーンの各部材、即ちチャンバ,石英るつぼ13,シリコン融液12,シリコン単結晶14,黒鉛サセプタ,保温筒等をメッシュ分割してモデル化する。具体的には上記ホットゾーンの各部材のメッシュ点の座標データをコンピュータに入力する。このときシリコン融液12のメッシュのうちシリコン単結晶14の径方向のメッシュであってかつシリコン融液12のシリコン単結晶14直下の一部又は全部のメッシュ(以下、径方向メッシュという。)を0.01〜5.00mm、好ましくは0.25〜1.00mmに設定する。またシリコン融液12のメッシュのうちシリコン単結晶14の長手方向のメッシュであってかつシリコン融液12の一部又は全部のメッシュ(以下、長手方向メッシュという。)を0.01〜5.00mm、好ましくは0.1〜0.5mmに設定する。
【0008】
径方向メッシュを0.01〜5.00mmの範囲に限定したのは、0.01mm未満では計算時間が極めて長くなり、5.00mmを越えると計算が不安定になり、繰返し計算を行っても固液界面形状が一定に定まらなくなるからである。また長手方向メッシュを0.01〜5.00mmの範囲に限定したのは、0.01mm未満では計算時間が極めて長くなり、5.00mmを越えると固液界面形状の計算値が実測値と一致しなくなるからである。なお、径方向メッシュの一部を0.01〜5.00の範囲に限定する場合には、シリコン単結晶14直下のシリコン融液12のうちシリコン単結晶14外周縁近傍のシリコン融液12を上記範囲に限定することが好ましく、長手方向メッシュの一部を0.01〜5.00の範囲に限定する場合には、シリコン融液12の液面近傍及び底近傍を上記範囲に限定することが好ましい。
【0009】
第2ステップとして上記ホットゾーンの各部材毎にメッシュをまとめ、かつこのまとめられたメッシュに対して各部材の物性値をそれぞれコンピュータに入力する。例えば、チャンバがステンレス鋼にて形成されていれば、そのステンレス鋼の熱伝導率,輻射率,粘性率,体積膨張係数,密度及び比熱がコンピュータに入力される。またシリコン単結晶14の引上げ長及びこの引上げ長に対応するシリコン単結晶14の引上げ速度と、後述する乱流モデル式(2)の乱流パラメータCとをコンピュータに入力する。
【0010】
第3ステップとして、ホットゾーンの各部材の表面温度分布をヒータの発熱量及び各部材の輻射率に基づいてコンピュータを用いて求める。即ち、ヒータの発熱量を任意に設定してコンピュータに入力するとともに、各部材の輻射率から各部材の表面温度分布をコンピュータを用いて求める。次に第4ステップとしてホットゾーンの各部材の表面温度分布及び熱伝導率に基づいて熱伝導方程式(1)をコンピュータを用いて解くことにより各部材の内部温度分布を求める。ここでは、記述を簡単にするためxyz直交座標系を用いたが、実際の計算では円筒座標系を用いる。
【0011】
【数1】
ここで、ρは各部材の密度であり、cは各部材の比熱であり、Tは各部材の各メッシュ点での絶対温度であり、tは時間であり、λx,λy及びλzは各部材の熱伝導率のx,y及びz方向成分であり、qはヒータの発熱量である。
一方、シリコン融液12に関しては、上記熱伝導方程式(1)でシリコン融液12の内部温度分布を求めた後に、このシリコン融液12の内部温度分布に基づき、シリコン融液12が乱流であると仮定して得られた乱流モデル式(2)及びナビエ・ストークスの方程式(3)〜(5)を連結して、シリコン融液12の内部流速分布をコンピュータを用いて求める。
【0012】
【数2】
ここで、κtはシリコン融液12の乱流熱伝導率であり、cはシリコン融液12の比熱であり、Prtはプラントル数であり、ρはシリコン融液12の密度であり、Cは乱流パラメータであり、dはシリコン融液12を貯留する石英るつぼ13壁からの距離であり、kはシリコン融液12の平均流速に対する変動成分の二乗和である。
【0013】
【数3】
【0014】
ここで、u,v及びwはシリコン融液12の各メッシュ点での流速のx,y及びz方向成分であり、νlはシリコン融液12の分子動粘性係数(物性値)であり、νtはシリコン融液12の乱流の効果による動粘性係数であり、Fx,Fy及びFzはシリコン融液12に作用する体積力のx,y及びz方向成分である。
上記乱流モデル式(2)はkl(ケイエル)−モデル式と呼ばれ、このモデル式の乱流パラメータCは0.4〜0.6の範囲内の任意の値が用いられることが好ましい。乱流パラメータCを0.4〜0.6の範囲に限定したのは、0.4未満又は0.6を越えると計算により求めた界面形状が実測値と一致しないという不具合があるからである。また上記ナビエ・ストークスの方程式(3)〜(5)はシリコン融液12が非圧縮性であって粘度が一定である流体としたときの運動方程式である。
上記求められたシリコン融液12の内部流速分布に基づいて熱エネルギ方程式(6)を解くことにより、シリコン融液12の対流を考慮したシリコン融液12の内部温度分布をコンピュータを用いて更に求める。
【0015】
【数4】
ここで、u,v及びwはシリコン融液12の各メッシュ点での流速のx,y及びz方向成分であり、Tはシリコン融液12の各メッシュ点での絶対温度であり、ρはシリコン融液12の密度であり、cはシリコン融液12の比熱であり、κlは分子熱伝導率(物性値)であり、κtは式(2)を用いて計算される乱流熱伝導率である。
【0016】
次いで第5ステップとして、シリコン単結晶14及びシリコン融液12の固液界面形状を図2の点Sで示すシリコンの三重点S(固体と液体と気体の三重点(tri-junction))を含む等温線に合せてコンピュータを用いて求める。第6ステップとして、コンピュータに入力するヒータの発熱量を変更し(次第に増大し)、上記第3ステップから第5ステップを三重点がシリコン単結晶14の融点になるまで繰返した後に、引上げ機11内の温度分布を計算してシリコン単結晶のメッシュの座標及び温度を求め、これらのデータをコンピュータに記憶させる。
【0017】
次に第7ステップとして、シリコン単結晶14の引上げ長L1にδ(例えば50mm)だけ加えて上記第1ステップから第6ステップまでを繰返した後に、引上げ機11内の温度分布を計算してシリコン単結晶14のメッシュの座標及び温度を求め、これらのデータをコンピュータに記憶させる。この第7ステップはシリコン単結晶14の引上げ長L1が長さL2に達するまで行われる。シリコン単結晶14の引上げ長L1が長さL2に達すると、第8ステップに移行して、シリコン単結晶14のメッシュの座標及び温度のデータを、シリコン単結晶14内の格子間シリコン及び空孔の拡散係数及び境界条件とともにそれぞれコンピュータに入力する。更にこれらの格子間シリコン及び空孔の拡散係数及び境界条件に基づいて拡散方程式を解くことによりシリコン単結晶14の冷却後の格子間シリコン及び空孔の濃度分布を求める。
【0018】
具体的には、格子間シリコンの濃度Ciの計算式が次の式(7)で、空孔の濃度Cvの計算式が次の式(8)で示される。式(7)及び式(8)において、濃度Ci及び濃度Cvの経時的進展を計算するために、格子間シリコンと空孔の熱平衡が結晶の側面、上面及び固液界面では維持されると仮定する。
【0019】
【数5】
ここで、K1及びK2は定数、Ei及びEvはそれぞれ格子間シリコン及び空孔の形成エネルギー、肩付き文字eは平衡量、kはボルツマン定数、Tは絶対温度を意味する。
上記平衡式は時間で微分され、格子間シリコン及び空孔に対してそれぞれ次の式(9)及び式(10)になる。
【0020】
【数6】
式(9)及び(10)のそれぞれ右側の第1項のDi及びDvは、次の式(11)及び(12)に示すように拡散係数を有するFickian拡散を表す。
【0021】
【数7】
ここで△Ei及び△Evはそれぞれ格子間シリコン及び空孔の活性化エネルギーであり、di及びdvはそれぞれ定数である。また式(9)及び式(10)のそれぞれ右側の第2項の
【0022】
【数8】
は熱拡散による格子間シリコン及び空孔の活性化エネルギーであり、式(9)及び式(10)のそれぞれ右側の第3項のkivは格子間シリコン及び空孔ペアの再結合定数である。
【0023】
このように計算して得られたシリコン単結晶14の点欠陥分布は実測値とほぼ一致する。この結果、引上げ機11の設計段階でこの引上げ機11にて引上げられるシリコン単結晶14内の点欠陥分布を予測でき、逆に引上げられるシリコン単結晶14内の点欠陥を所望の分布にするために、引上げ機11の設計段階で構造を検討することができる。
なお、この実施の形態では、シリコン単結晶を挙げたが、GaAs単結晶,InP単結晶,ZnS単結晶若しくはZnSe単結晶でもよい。
【0024】
【実施例】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図3に示すように、石英るつぼ13に貯留されたシリコン融液12から直径6インチのシリコン単結晶14を引上げる場合の、シリコン単結晶14内の点欠陥分布を、図1及び図2のフローチャートに基づくシミュレーション方法により求めた。即ち、シリコン単結晶引上げ機11のホットゾーンをメッシュ構造でモデル化した。ここで、シリコン融液12のシリコン単結晶14直下のシリコン単結晶14の径方向のメッシュを0.75mmに設定し、シリコン融液12のシリコン単結晶14直下以外のシリコン単結晶14の径方向のメッシュを1〜5mmに設定した。またシリコン融液12のシリコン単結晶14の長手方向のメッシュを0.25〜5mmに設定し、乱流モデル式の乱流パラメータCとして0.45を用いた。このような条件下で、シリコン融液12の対流を考慮してシリコン単結晶14の内部温度分布を求め、このシリコン単結晶14の内部温度分布に基づきかつシリコン単結晶14内の点欠陥の拡散を考慮してシリコン単結晶14内の点欠陥分布を求めた。
【0025】
<比較例1>
図4に示すように、石英るつぼ3に貯留されたシリコン融液2から直径6インチのシリコン単結晶4を引上げる場合の、シリコン単結晶4内の点欠陥分布を従来のシミュレーション方法により求めた。即ち、シリコン単結晶引上げ機1のホットゾーンをメッシュ構造でモデル化した。ここで、シリコン融液2のシリコン単結晶4の径方向のメッシュを10mmに設定し、シリコン融液2のシリコン単結晶4の長手方向のメッシュを10mmに設定した。またシリコン融液2の対流を考慮しなかった(乱流モデル式及びナビエ・ストークスの方程式を連結した式は用いなかった。)。上記以外は実施例1と同様にコンピュータを用いてシミュレーションを行った。
【0026】
<比較例2>
シリコン融液の対流を考慮したけれども、シリコン単結晶内の点欠陥の拡散を考慮しなかったことを除いて、実施例1と同様にしてコンピュータを用いてシミュレーションを行った。
<比較例3>
シリコン融液の対流及びシリコン単結晶内の点欠陥の拡散のいずれも考慮しなかったことを除いて、実施例1と同様にしてコンピュータを用いてシミュレーションを行った。
【0027】
<比較試験及び評価>
実施例1及び比較例1〜3のシミュレーション方法によりシリコン単結晶の点欠陥分布を求めた。その結果を図5(a)〜(d)にシリコン単結晶の点欠陥分布の実測値(図5(e))とともに示す。
図5から明らかなように、比較例1〜3のシミュレーション方法で得られたシリコン単結晶の点欠陥分布(図5(b)〜(d))は実測値(図5(e))と大幅に相違しているのに対し、実施例1のシミュレーション方法で得られたシリコン単結晶の点欠陥分布(図5(a))は実測値とほぼ一致していることが判った。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、融液の対流を考慮して単結晶の内部温度分布を求め、この単結晶の内部温度分布に基づきかつ単結晶内の点欠陥の拡散を考慮して単結晶内の点欠陥分布を求めたので、単結晶内の点欠陥分布の計算値が実測値と極めて良く一致する。この結果、単結晶引上げ機の設計段階でこの引上げ機にて引上げられる単結晶内の点欠陥分布を予測でき、逆に引上げられる単結晶内の点欠陥を所望の分布にするために、引上げ機の設計段階で構造を検討することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施形態シリコン単結晶の点欠陥分布のシミュレーション方法の前半を示すフローチャート。
【図2】そのシリコン単結晶の点欠陥分布のシミュレーション方法の後半を示すフローチャート。
【図3】本発明のシリコン融液をメッシュ構造としたシリコン単結晶の引上げ機の要部断面図。
【図4】従来例のシリコン融液をメッシュ構造としたシリコン単結晶の引上げ機の要部断面図。
【図5】実施例1、比較例1(従来例)、比較例2、比較例3及び実際に測定したシリコン単結晶内の格子間シリコン及び空孔の分布を示す縦断面図。
【符号の説明】
11 シリコン単結晶引上げ機
12 シリコン融液
14 シリコン単結晶
S シリコンの三重点
Claims (1)
- 引上げ機(11)により単結晶(14)を所定長さまで引上げた状態における前記単結晶(14)の引上げ機(11)のホットゾーンをメッシュ構造でモデル化する第1ステップと、
前記ホットゾーンの各部材毎にメッシュをまとめかつこのまとめられたメッシュに対する前記各部材の物性値とともに前記単結晶(14)の引上げ長及びこの引上げ長に対応する前記単結晶(14)の引上げ速度をそれぞれコンピュータに入力する第2ステップと、
前記各部材の表面温度分布をヒータの発熱量及び前記各部材の輻射率に基づいて求める第3ステップと、
前記各部材の表面温度分布及び熱伝導率に基づいて熱伝導方程式を解くことにより前記各部材の内部温度分布を求めた後に融液(12)が乱流であると仮定して得られた乱流モデル式及びナビエ・ストークスの方程式を連結して解くことにより対流を考慮した前記融液(12)の内部温度分布を更に求める第4ステップと、
前記単結晶(14)及び前記融液(12)の固液界面形状を前記単結晶の三重点(S)を含む等温線に合せて求める第5ステップと、
前記第3ステップから前記第5ステップを前記三重点(S)が前記単結晶(14)の融点になるまで繰返し前記引上げ機(11)内の温度分布を計算して前記単結晶(14)のメッシュの座標及び温度を求めこれらのデータをそれぞれ前記コンピュータに入力する第6ステップと、
前記単結晶(14)の引上げ長を段階的に変えて前記第1ステップから前記第6ステップまでを繰返し前記引上げ機(11)内の温度分布を計算して前記単結晶(14)のメッシュの座標及び温度を求めこれらのデータをそれぞれ前記コンピュータに入力する第7ステップと、
前記単結晶(14)のメッシュの座標及び温度のデータと前記単結晶(14)内の空孔及び格子間原子の拡散係数及び境界条件をそれぞれ前記コンピュータに入力する第8ステップと、
前記単結晶(14)のメッシュの座標及び温度と前記空孔及び前記格子間原子の拡散係数及び境界条件に基づいて拡散方程式を解くことにより前記単結晶(14)の冷却後の前記空孔及び前記格子間原子の濃度分布を求める第9ステップと
を含むコンピュータを用いて単結晶の点欠陥分布のシミュレーションを行う方法であって、
前記乱流モデル式が次の式(2)で表されるkl−モデル式であり、このモデル式の乱流パラメータCとして0.4〜0.6の範囲内の任意の値が用いられた
ことを特徴とする単結晶及び融液の固液界面形状のシミュレーション方法。
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