JP2826085B2 - 単結晶引上炉の液温制御方法 - Google Patents

単結晶引上炉の液温制御方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、チョクラルスキー
法(以下、単に「CZ法」という)による単結晶引上炉
の液温制御方法に関し、さらに詳しくは引上炉内の坩堝
内で溶融される融液の液温を応答性良く制御する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】単結晶の製造方法は種々あるが、なかで
も、シリコン単結晶の引上げ育成に関し、工業的に量産
が可能な方式で広く応用されているものとしてCZ法が
ある。
【0003】この方法においては、引上炉に収納された
坩堝内で溶融された結晶原料の融液の液面から単結晶を
引上げ育成するものであるから、融液の液温を応答性良
く制御することが重要になる。
【0004】例えば、単結晶の引上過程の種結晶を融液
になじませる時、ネッキング工程において細い直径で引
上げる時、さらには直径を漸増させて肩部(ショルダー
部)の形状を成形する肩造り時および直胴部の引上げ時
において、融液の液温制御の応答性が引上げられる単結
晶の生産性や品質に影響を及ぼすことになる。
【0005】このように単結晶の引上過程において融液
の液温を応答性良く制御することが重要になるが、後述
するように、通常、引上炉における坩堝内の結晶原料の
融液の液温変更の応答は比較的遅いものとされていた。
このため、液温変更の応答時間を短縮すべく、従来から
種々の提案がなされている。
【0006】特開昭62−123091号公報では、融液の温度
とこれを加熱するヒータ温度との関係から液面温度を制
御する一般的な方法が提案されている。すなわち、まず
融液温度とヒータ温度の関係を示すデーターから融液温
度の目標値に対応するヒータ温度の目標値を求めてお
き、ヒータ温度を目標値に制御した場合に融液温度の実
績値と目標値に偏差があれば、その偏差に応じて再びヒ
ータ温度を変更して融液温度を制御する方法である。し
かし、提案の方法では、確かにヒータ温度を応答性良く
制御出来るが、坩堝内の融液の液温変化の応答が遅いの
で液面温度の制御として大きな効果が図れない。
【0007】一方、特開平4−325488号公報には、溶融
液面から放射される赤外線の2つの波長の放射エネルギ
ーの比率から液面温度を測定し、設定温度とのずれに応
じて加熱ヒーターの電力を調整することによって液面温
度を制御する方法が提案され、さらに応答時間の短縮を
図るため、液面温度と加熱ヒーターに投入される電力と
の伝達関数を求め、それに含まれる無駄時間の補償をす
るPID 制御系を形成する方法が開示されている。しか
し、開示された方法では操業条件に応じた条件設定が煩
雑であって、実操業への適用が困難であるという問題が
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一般的に、坩堝内の融
液を加熱するヒータの温度若しくはヒータに投入される
電力量を変更することによって融液の温度を制御する場
合、その制御性は坩堝への結晶原料のチャージ量、坩堝
の収納位置、または坩堝の回転速度などの操業条件によ
って大きく影響を受ける。また、上記の操業条件が一定
であっても、引上炉に施されている断熱材や加熱ヒータ
の経時劣化によっても影響を受ける。さらに、このよう
な影響に加え、引上炉に収容される坩堝内の融液温度を
制御する場合には、多層構造の坩堝を介した制御となる
ことから融液の温度変化の応答速度が遅くなる。このた
め、前述の融液温度の制御方法を含む従来方法では、単
結晶の引上過程において融液の液温を応答性良く制御す
ることが困難であった。
【0009】本発明は、上記の問題点を克服して、単結
晶の引上炉において融液の液温を応答性良く制御する方
法を確立することを課題としてなされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、引上炉の上
部に設けられた窓から非接触にて融液表面の温度を計測
する温度計(例えば、放射温度計)を設けることを前提
として、融液液温の制御方法を鋭意検討した結果、下記
の知見を得ることができた。
【0011】通常、坩堝内の融液温度を制御するには融
液を加熱するヒータに投入する電力が調整されるが、熱
平衡状態での融液温度と投入電力との間には一定の関係
が見られる。
【0012】図1は、操業条件等に応じた熱平衡状態で
の融液温度とヒータの投入電力との関係を示す図である
が、融液温度と投入電力との間には一定の関係が存在
し、その関係に基づいてヒータの投入電力を調整するこ
とによって融液温度を制御できることが分かる。しか
し、上記の関係は操業条件、引上炉条件等(以下、単に
「引上条件」という)に依存するものであり、図1中の
関係I(実線で示す)と関係II(点線で示す)とは引上
条件の相違を示している。例えば、図中の関係IIは、関
係Iに対し操業条件が同様であっても、断熱材や加熱ヒ
ータの経時劣化等の引上炉条件の影響を示している。
【0013】引上炉内が熱平衡状態となり坩堝内の融液
温度が安定してのち、図1中の関係Iに基づいて融液を
加熱するヒータに投入する電力をステップ状に変更して
液温を変化させる場合、坩堝内の融液温度は単一の指数
関数状に変化して、いわゆる一次遅れの応答特性を示
す。さらにヒータに投入する電力を複数回にわたりステ
ップ状に変更しても、融液温度の変化はこの一次遅れの
応答特性の組合せになる。
【0014】上記の現象を前提にして液温変化の応答時
間を短縮することができる。すなわち、図1中の関係I
に基づき、融液表面の実測温度(To )と融液温度の目
標値(Ti )とからそれぞれに対応するヒータに投入す
べき電力(P0 およびPi )を一義的に求めることがで
き、さらにP0 およびPi から投入電力の変更量(Δ
P)を決定することができる(すなわち、ΔP=Pi
0 となる)。次に決定された投入電力の変更量(Δ
P)を基準として、最初にヒータに投入する電力を求め
る。最初の投入電力は投入電力の変更量の数倍に対応す
る電力(P0 +N・ΔP)として、液温変化の応答性を
高める。融液温度の変化にともない、融液表面の温度が
実測温度(To )と目標温度(Ti )との温度差(ΔT
=Ti −To)の一定比率に相当する温度だけ変化した
ことを確認したのち、ヒータに投入される電力を適正な
電力(P0 +ΔP)に減じて設定する。このような操作
を繰り返すことによって、坩堝内の融液温度を目標温度
に応答性良く変化させることができる。
【0015】なお、ヒータに投入する電力に対する融液
温度の変化状況を示すために、「一次遅れの応答」また
は「高次遅れの応答」の表現を用いるが、以下の説明に
おいて一次遅れの応答とは、前述の通り、単一の指数関
数状の応答特性をいい、高次遅れの応答とは、それ以外
の高次の指数関数状の応答特性をいう。
【0016】本発明は上記の知見に基づいて完成された
ものであり、下記の単結晶引上炉の液温制御方法を要旨
としている(後述の図2参照)。
【0017】すなわち、坩堝内の結晶融液を加熱するヒ
ータ3と、前記融液表面の温度を検出する温度計5と、
前記融液表面の検出温度と融液温度の目標値との温度差
からヒータに投入すべき電力量を算出し投入電力の変更
量を決定する演算装置と、前記投入電力の変更量に基づ
きヒータに投入される電力を制御する装置とを具備する
単結晶引上炉1において用いられる液温制御方法であっ
て、ヒータに投入される電力の変更量を前記演算装置で
決定された投入電力の変更量のN倍(但し、N=2〜5
とする)とし、融液表面の温度が前記融液表面の検出温
度と融液温度の目標値との温度差の一定比率に相当する
温度だけ変化したのち、前記ヒータに投入される電力の
変更量を前記演算装置で決定された投入電力の変更量に
合致させることを特徴とする単結晶引上炉の液温制御方
法である。
【0018】
【発明の実施の形態】図2は、本発明の液温制御方法を
実施するための単結晶引上炉の概略構成を説明する図で
ある。同図に示すように、対象となる引上炉1には投入
電力に応じて坩堝2内の結晶融液4を加熱するヒータ3
と、引上炉の上部に設けられた窓から非接触にて融液表
面の温度を計測する温度計5(例えば、放射温度計)
と、前記融液表面の検出温度と融液温度の目標値との温
度差からヒータに投入すべき電力を求めて投入電力の変
更量(ΔP)を決定する演算装置と、前記投入電力の変
更量に基づきヒータに投入される電力を制御する装置と
が具備されている。
【0019】通常、単結晶引上炉において融液を加熱す
るヒータに投入する電力をステップ状に変更して液温を
変化させると、黒鉛坩堝と石英坩堝とから構成される多
層構造の坩堝を介して融液の温度制御がなされるもので
あるから、坩堝内の融液温度の変化は高次遅れの応答特
性を示すことが想定される。しかし、最近では、炉内に
収納される黒鉛坩堝および石英坩堝とも厚みが薄く製作
され、しかも気密に構成されるようになったので、融液
温度の応答特性が改善され、また融液自体も対流伝熱を
行っていることから温度変化の応答時間が著しく短縮さ
れていることが明らかとなった。
【0020】後述する図4は、実機の引上炉において投
入電力をステップ状に変更した場合の融液温度の応答状
況を実測した結果の一例を示す図であるが、同図に示す
実測結果から、実際に単結晶の製造に用いられる引上炉
における坩堝内の融液温度の変化は高次遅れの応答を考
慮する必要がなく、ほぼ一次遅れの応答となることが確
認できる。
【0021】そこで、引上炉における投入電力と融液温
度の応答との関係を詳細に検討するため、融液温度の応
答が一次遅れの応答となることを条件として、モデル化
を行い伝熱シミュレータを作成した。このシミュレータ
を用いて投入電力と融液温度の応答との関係を種々検討
して、下記、の点に着眼した。
【0022】融液温度の実測値と目標値とから決定さ
れる投入電力の変更量(ΔP)だけステップ状に投入電
力を変更した場合には、融液温度が目標温度と一定の温
度差以内に到達し、安定するまでに長時間を要する。
【0023】一方、ステップ状の投入電力を、投入電
力の変更量(ΔP)よりも大きな変更量として設定し
て、その後適正なタイミングで投入電力を投入電力の変
更量(ΔP)に一致させれば、融液温度が目標温度に到
達する応答時間を大幅に短縮できる。また、この場合に
難しいのは、投入電力を切り替えるタイミングを操業条
件、引上炉条件等の引上条件に関係なく決めることであ
るが、このタイミングを融液の実測温度と目標温度との
温度差の比率から決定することによって解決される。
【0024】本発明者は、実際に単結晶の製造に用いら
れる引上炉内の融液温度の応答がほぼ一次遅れの応答と
なることを前提として、上記の着眼点を理論的に裏付け
ることとする。
【0025】投入電力の変更量(ΔP)だけステップ状
に投入電力を変更した場合の応答〔h(t)〕は次式で
示される。
【0026】 h(t)=1−e-t/T ・・・ 但し、t:経過時間 T:時定数 ここで、ΔPのN倍の投入電力に変更を行った場合の応
答〔f(t)〕は f(t)=N×(1−e-t/T) ・・・ となり、次にΔPの{−(N−1)}倍の投入電力に変
更を行った場合の応答〔g(t)〕は次式で示される。
【0027】 g(t)=−(N−1)×(1−e-t/T) ・・・ 式で示される応答〔f(t)〕が目標温度と一致する
時間をt0とすると、f(t0)=N×(1−e-to/T )=
1となり、下記の式の関係が得られる。
【0028】 e-t0/T =1−1/N ・・・ 一方、〔f(t)〕を加えたt0時間後に式で示される
応答〔g(t)〕を加えた場合の合成関数の微分値は、
次の式となる。
【0029】 f'(t+t0)+g'(t)=N/T×e-(t+t0)/T −(N−1)/T×e-t/T ・・・ 上記式に、式を代入するとこの値は0(ゼロ)とな
る。
【0030】すなわち、t0時間経過後、融液温度は一定
値を保持することになるので、ヒータに投入する電力に
投入電力の変更量(ΔP)のN倍に相当する電力を加え
てのち、今度はヒータに投入する電力に投入電力の変更
量(ΔP)の{−(N−1)}倍の電力を加えるように
すれば、融液温度の応答時間を大幅に短縮できる。ここ
で、ヒータに投入する電力に加える量をΔPのN倍の投
入電力からΔPの{−(N−1)}倍の投入電力に切り
替えるとは、下記式の関係から、ΔPのN倍の電力量
からΔPの電力量に切り替えることを意味する。
【0031】 〔ΔP・N+ΔP・{−(N−1)}〕=ΔP ・・・ 本発明において投入電力の変更量を決定する演算装置の
具体的な構成を、図3を用いて説明する。
【0032】図3は、本発明方法における投入電力の変
更量を決定する演算構成を示すフローチャートである
が、そのステップ順の構成は下記の通りである。
【0033】(ステップ1)融液温度の変更指令にとも
なって、温度計によって検出された融液表面の実測温度
(To )が入力される。
【0034】(ステップ2)融液温度の目標値(Ti
が指令され、融液の実測温度(To )と融液温度の目標
値(Ti )との温度差(ΔT)が求められる。
【0035】(ステップ3)融液の実測温度(To )、
融液温度の目標値(Ti )および温度差(ΔT)から、
ヒータに投入すべき電力、すなわち融液の実測温度(T
o )を維持するための投入電力(P0 )および融液を目
標温度(Ti )にするための投入電力(Pi )が算出さ
れ、さらに投入電力の差から投入電力の変更量(ΔP=
i −P0 )を決定される。
【0036】(ステップ4)決定された投入電力の変更
量(ΔP)に基づいて、まずヒータに投入する電力をこ
の投入電力の変更量のN倍に対応する電力分(N・Δ
P)増加するように投入電力の設定〔I〕が行われる
(設定電力:P0 +N・ΔP)。
【0037】(ステップ5)。つぎに融液表面の温度が
実測温度(To )と目標温度(Ti )との温度差(Δ
T)の一定比率に相当する温度だけ変化したときを投入
電力を切り替えるタイミングとする。
【0038】(ステップ6)前記の切り替えタイミング
を確認したのち、ヒータに投入される電力が適正な電力
(設定電力:P0 +ΔP)に変更して投入電力の設定
〔II〕が行われ、坩堝内の融液温度を目標温度に応答性
良く変化させることができる。
【0039】本発明において、Nを大きくすると制御精
度が悪化し、オーバーシュート等の発生が予想されるの
で、Nは2〜5の範囲にする。さらに望ましくは、Nは
2〜3の範囲にするのが望ましい。
【0040】投入電力を切り替えるタイミングは、融液
表面の温度が実測温度と目標温度との温度差の一定比率
に相当する温度だけ変化した時点としているが、この比
率は50〜70%の範囲にするのが望ましい。この比率は前
記の伝熱シミュレータを用いたシミュレーション結果に
基づいて検討している。
【0041】融液温度が目標温度に到達する時間(目標
温度との差が2℃以内になる時間)が短縮でき、かつ液
温が目標温度を超えないことを条件とするシミュレーシ
ョン結果によれば、ヒータに投入される電力を投入電力
の変更量の2倍にする場合(Nを2とする場合)には上
記の比率を60〜70%とし、投入電力の変更量の3〜5倍
にする場合(Nを3〜5とする場合)には上記の比率を
50〜60%とするのが望ましいことが明らかとなった。
【0042】本発明の引上炉でヒータに投入される電力
を制御する装置としては、通常用いられているサイリス
タを利用した制御装置であればよい。
【0043】前述の通り、結晶原料のチャージ量、坩堝
の収納位置、または坩堝の回転速度などの操業条件が変
化した場合若しくは操業条件が同様であっても断熱材や
加熱ヒータが経時劣化してホットゾーン特性の悪化等の
引上炉条件が変化する場合でも、本発明方法では対応す
ることができる。すなわち、本発明方法においては、単
結晶の引上条件に応じて熱平衡状態での融液温度とヒー
タの投入電力との関係を修正すればよい。具体的には、
引上条件を変更したその都度若しくは定期的に融液温度
が安定状態(例えば、45分間の液温変化量が± 1.5℃以
内である状態)での融液温度とヒータの投入電力との関
係を実測し、その関係に基づいて前記図3(ステップ
3)におけるヒータに投入すべき電力(P0 および
i )と投入電力の変更量(ΔP=Pi −P0 )が決定
される演算構成を修正する。このような修正を加えるこ
とによって、常時、坩堝内の融液温度を応答性良く制御
することが可能になる。
【0044】
【実施例】本発明の単結晶引上炉の液温制御方法の効果
を実施例に基づいて、具体的に説明する。
【0045】(比較例)引上炉に収納された22″坩堝に
シリコン多結晶を 120Kgチャージし、完全に溶融させて
引上炉内を熱平衡状態にさせた。そののち、熱平衡状態
での融液温度(T0 )が1425℃から目標温度(Ti )が
1435℃になるように、投入電力をステップ状に変更して
融液の液温を上昇させ、融液温度の応答性を確認した。
【0046】実施例の操業条件における融液温度とヒー
タの投入電力との関係から、T0 を維持する電力
(P0 )は53.0KWとなり、T0 およびTi の温度差(Δ
T)から決定される投入電力の変更量(ΔP)は0.6KW
となるので、ステップ状の投入電力(P0 +ΔP)は5
3.6KWとした。
【0047】図4は、比較例における投入電力と融液温
度の変化状況を実測した結果を示す図であり、図中の投
入電力および融液温度の記号は上記で規定したものであ
る。
【0048】実測結果では、融液液温が温度差(ΔT)
に対して63%に到達する時間は 110分程度と長時間を要
し、さらに目標温度との差が2℃以内になるには約 270
分が必要であった。融液温度は坩堝の中心から 100mmの
位置の温度を放射温度計にて測定し、対流の影響による
温度変動を除去するためにスムージングの処理を行っ
た。
【0049】(本発明例)比較例と同条件で融液温度の
応答性を確認した。
【0050】図5は、本発明例における投入電力と融液
温度の変化状況を実測した結果を示す図である。本発明
例においても、T0 およびTi の温度差(ΔT)から決
定される投入電力の変更量(ΔP)は0.6KW であるか
ら、まずヒータに投入する電力をこの投入電力の変更量
の2倍に対応する電力54.2KW(P0 +2・ΔP)とし、
融液液温が温度差(ΔT)の60%に相当する温度だけ変
化した時点で、ヒータに投入する電力を53.6KW(P0
ΔP)に減じて設定した。このときの融液温度の変化状
況は、温度差(ΔT)の63%に達するのに60分の時間を
要し、さらに目標温度との差が2℃以内になるには約90
分が必要であった。比較例との対比から明らかなよう
に、本発明例によれば応答時間を比較例の 1/3程度に短
縮することができ、応答性良く液温制御ができる。
【0051】
【発明の効果】本発明の液温制御方法によれば、単結晶
引上炉に収納される坩堝内の融液温度を応答性良く的確
に制御することができる。しかも、操業条件やホットゾ
ーン特性が変化した場合であっても優れた応答性で液温
制御が可能であるから、育成される単結晶の熱履歴が安
定し、品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】引上条件に応じて求められる熱平衡状態での融
液温度とヒータの投入電力との関係を示す図である
【図2】本発明の液温制御方法を実施するための単結晶
引上炉の概略構成を説明する図である。
【図3】本発明方法における投入電力の変更量を決定す
る演算要領を示すフローチャートである。
【図4】比較例として、引上炉に投入される電力をステ
ップ状に変更した場合の融液温度の応答状況を実測した
結果示す図である。
【図5】本発明方法による投入電力と融液温度の変化状
況を実測した結果を示す図である。
【符号の説明】
1…引上炉、 2…坩堝、 3…ヒータ、 4…融液、
5…温度計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C30B 15/20 - 15/28 C30B 28/00 - 35/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】坩堝内の結晶融液を加熱するヒータと、前
    記融液表面の温度を検出する温度計と、前記融液表面の
    検出温度と融液温度の目標値との温度差からヒータに投
    入すべき電力量を算出し投入電力の変更量を決定する演
    算装置と、前記投入電力の変更量に基づきヒータに投入
    される電力を制御する装置とを具備する単結晶引上炉に
    おいて用いられる液温制御方法であって、ヒータに投入
    される電力の変更量を前記演算装置で決定された投入電
    力の変更量のN倍とし、融液表面の温度が前記融液表面
    の検出温度と融液温度の目標値との温度差の一定比率に
    相当する温度だけ変化したのち、前記ヒータに投入され
    る電力の変更量を前記演算装置で決定された投入電力の
    変更量に合致させることを特徴とする単結晶引上炉の液
    温制御方法。但し、上記Nは2〜5の範囲とする。
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