JP6142052B2 - シリカガラスルツボの製造方法 - Google Patents
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Description
図1は、本実施形態の装置の動作原理を説明するための概念図である。本実施形態の装置を用いてシリカガラスルツボの製造条件を設定する際には、シリカガラスルツボを三次元CADなどで設計した設計データをまず用意する。この三次元CADの設計データは、二次元CADの設計データを三次元CADの設計データに変換したものであってもよい。
以下、図7〜図10を用いて、上記の実施形態で用いるシリカガラスルツボの三次元形状の測定データを取得するためのシリカガラスルツボの三次元形状測定方法を説明する。
図7は、本実施形態の装置で用いるシリカガラスルツボの測定データをロボットアームおよび測距部を用いて測定する方法について説明するための測定工程図である。測定対象であるシリカガラスルツボ11は、内表面側に透明層13と、外表面側に気泡含有層15を有するものであり、開口部が下向きになるように回転可能な回転台9上に載置されている。シリカガラスルツボ11は、曲率が比較的大きいラウンド部11bと、上面に開口した縁部を有する円筒状の側壁部11aと、直線または曲率が比較的小さい曲線からなるすり鉢状の底部11cを有する。本実施形態において、ラウンド部とは、側壁部11aと底部11cを連接する部分で、ラウンド部の曲線の接線がシリカガラスルツボの側壁部11aと重なる点から、底部11cと共通接線を有する点までの部分のことを意味する。言い換えると、シリカガラスルツボ11の側壁部11aが曲がり始める点が側壁部11aとラウンド部11bの境界である。さらに、ルツボの底の曲率が一定の部分が底部11cであり、ルツボの底の中心からの距離が増したときに曲率が変化し始める点が底部11cとラウンド部11bとの境界である。
ルツボ11に覆われる位置に設けられた基台1上には、内部ロボットアーム5が設置されている。内部ロボットアーム5は、複数のアーム5aと、これらのアーム5aを回転可能に支持する複数のジョイント5bと、本体部5cを備える。本体部5cには図示しない外部端子が設けられており、外部とのデータ交換が可能になっている。内部ロボットアーム5の先端にはルツボ11の内表面形状の測定を行う内部測距部17が設けられている。内部測距部17は、ルツボ11の内表面に対してレーザー光を照射し、内表面からの反射光を検出することによって内部測距部17からルツボ11の内表面までの距離を測定する。本体部5c内には、ジョイント5b及び内部測距部17の制御を行う制御部が設けられている。制御部は、本体部5c設けられたプログラム又は外部入力信号に基づいてジョイント5bを回転させてアーム5を動かすことによって、内部測距部17を任意の三次元位置に移動させる。具体的には、内部測距部17をルツボ内表面に沿って非接触で移動させる。従って、制御部には、ルツボ内表面の大まかな形状データを与え、そのデータに従って、内部測距部17の位置を移動させる。より具体的には、例えば、図7(a)に示すようなルツボ11の開口部近傍に近い位置から測定を開始し、図7(b)に示すように、ルツボ11の底部11cに向かって内部測距部17を移動させ、移動経路上の複数の測定点において測定を行う。測定間隔は、例えば、1〜5mmであり、例えば2mmである。測定は、予め内部測距部17内に記憶されたタイミングで行うか、又は外部トリガに従って行う。測定結果は、内部測距部17内の記憶部に格納されて、測定終了後にまとめて本体部5cに送られるか、又は測定の度に、逐次本体部5cに送られるようにする。内部測距部17は、本体部5cとは別に設けられた制御部によって制御するように構成してもよい。
ルツボ11の外部に設けられた基台3上には、外部ロボットアーム7が設置されている。外部ロボットアーム7は、複数のアーム7aと、これらのアームを回転可能に支持する複数のジョイント7bと、本体部7cを備える。本体部7cには図示しない外部端子が設けられており、外部とのデータ交換が可能になっている。外部ロボットアーム7の先端にはルツボ11の外表面形状の測定を行う外部測距部19が設けられている。外部測距部19は、ルツボ11の外表面に対してレーザー光を照射し、外表面からの反射光を検出することによって外部測距部19からルツボ11の外表面までの距離を測定する。本体部7c内には、ジョイント7b及び外部測距部19の制御を行う制御部が設けられている。制御部は、本体部7c設けられたプログラム又は外部入力信号に基づいてジョイント7bを回転させてアーム7を動かすことによって、外部測距部19を任意の三次元位置に移動させる。具体的には、外部測距部19をルツボ外表面に沿って非接触で移動させる。従って、制御部には、ルツボ外表面の大まかな形状データを与え、そのデータに従って、外部測距部19の位置を移動させる。より具体的には、例えば、図7(a)に示すようなルツボ11の開口部近傍に近い位置から測定を開始し、図7(b)に示すように、ルツボ11の底部11cに向かって外部測距部19を移動させ、移動経路上の複数の測定点において測定を行う。測定間隔は、例えば、1〜5mmであり、例えば2mmである。測定は、予め外部測距部19内に記憶されたタイミングで行うか、又は外部トリガに従って行う。測定結果は、外部測距部19内の記憶部に格納されて、測定終了後にまとめて本体部7cに送られるか、又は測定の度に、逐次本体部7cに送られるようにする。外部測距部19は、本体部7cとは別に設けられた制御部によって制御するように構成してもよい。
次に、図8を用いて、内部測距部17及び外部測距部19による距離測定の詳細を説明する。
図8に示すように、内部測距部17は、ルツボ11の内表面側(透明層13側)に配置され、外部測距部19は、ルツボ11の外表面側(気泡含有層15側)に配置される。内部測距部17は、出射部17a及び検出部17bを備える。外部測距部19は、出射部19a及び検出部19bを備える。また、内部測距部17及び外部測距部19は、図示しない制御部及び外部端子を備える。出射部17a及び19aは、レーザー光を出射するものであり、例えば、半導体レーザーを備えるものである。出射されるレーザー光の波長は、特に限定されないが、例えば、波長600〜700nmの赤色レーザー光である。検出部17b及び19bは、例えばCCDで構成され、光が当たった位置に基づいて三角測量法の原理に基づいてターゲットまでの距離が決定される。
上記の設計データ、上記のシミュレーションデータ、上記の測定データは、いずれも上記のシリカガラスルツボの三次元形状に関連付けられた特性値のデータを含んでいてもよい。この特性値としては、例えば、気泡含有率、表面粗さ、赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルから選ばれる1種以上の特性値を好適に用いることができる。
ルツボの内表面の三次元形状が求まった後は、この三次元形状上の複数の測定点において、各測定点に対応した位置のルツボの壁での気泡分布を測定することによって、気泡分布の三次元分布を決定する。各測定点でのルツボの壁での気泡分布の測定方法は、非接触式であれば特に限定されないが、焦点が合った面からの情報を選択的に取得することができる共焦点顕微鏡を用いれば気泡の位置が明確に分かるクリアな画像が取得できるので、高精度な測定が可能である。また、焦点位置をずらしながら各焦点位置の面において画像を取得して合成することによって気泡の三次元配置が分かり、各気泡のサイズが分かるので、気泡分布を求めることができる。焦点位置を移動させる方法としては、(1)ルツボを移動させたり、(2)プローブを移動させたり、(3)プローブの対物レンズを移動させたりする方法がある。
ルツボの内表面の三次元形状が求まった後は、この三次元形状上の複数の測定点において内表面の表面粗さを測定することによって、その三次元分布を決定する。各測定点での表面粗さの測定方法は、非接触式であれば特に限定されないが、焦点が合った面からの情報を選択的に取得することができる共焦点顕微鏡を用いれば、高精度な測定が可能である。また、共焦点顕微鏡を用いれば、表面の詳細な三次元構造の情報を取得することができるので、この情報を用いて表面粗さを求めることができる。表面粗さには、中心線平均粗さRa、最大高さRmax、十点平均高さRzがあり、これらの何れを採用してもよく、表面の粗さを反映する別のパラメータを採用してもよい。なお、測定点の配置および具体的な測定方法は、上記のルツボの気泡分布の三次元分布の決定方法の場合と同様である。
ルツボの内表面の三次元形状が求まった後は、この三次元形状上の複数の測定点において内表面の赤外吸収スペクトルを測定することによって、その三次元分布を決定する。各測定点での赤外吸収スペクトルの測定方法は、非接触式であれば特に限定されないが、内表面に向けて赤外線を照射してその反射光を検出し、照射光のスペクトルと反射光のスペクトルの差分を求めることによって測定することができる。なお、測定点の配置および具体的な測定方法は、上記のルツボの気泡分布の三次元分布の決定方法の場合と同様である。なお、測定点の配置および具体的な測定方法は、上記のルツボの気泡分布の三次元分布の決定方法の場合と同様である。
ルツボの内表面の三次元形状が求まった後は、この三次元形状上の複数の測定点において内表面のラマンスペクトルを測定することによって、その三次元分布を決定する。各測定点でのラマンスペクトルの測定方法は、非接触式であれば特に限定されないが、内表面に向けてレーザー光を照射してそのラマン散乱光を検出することによって測定することができる。なお、測定点の配置および具体的な測定方法は、上記のルツボの気泡分布の三次元分布の決定方法の場合と同様である。
Claims (3)
- シリカガラスルツボの製造条件の設定を支援する装置を用いたシリカガラスルツボの製造方法であって、
前記装置は、
任意の型式、製造ロット又はシリアルナンバーのシリカガラスルツボの三次元形状の設計データを取得する設計データ取得部と、
前記設計データに基づいてシリカガラスルツボの製造条件データを設定する製造条件データ設定部と、
伝熱計算、流体計算及び構造計算からなる群から選ばれる1種以上の計算が可能な計算エンジンを用いて、前記製造条件によって得られるシリカガラスルツボの三次元形状のシミュレーションデータを得るシミュレーション部と、
前記計算エンジンが用いる物性パラメータを設定する物性パラメータ設定部と、
前記製造条件に基づいて製造されたシリカガラスルツボの三次元形状の測定データを取得する測定データ取得部と、
前記設計データ、前記シミュレーションデータ、前記測定データのうち2種類のデータを比較対照して、両者の三次元形状の一致度を判定する一致度判定部と、
前記シミュレーションデータ又は製造条件データの出力部と、
を備え、
前記物性パラメータ設定部は、当初の物性パラメータに基づいて得られた前記シミュレーションデータおよび前記測定データの三次元形状の一致度が所定の水準を下回っている場合には、前記一致度が所定の水準以上となる改善物性パラメータを設定する改善物性パラメータ設定部を有しており、
前記製造条件データ設定部は、前記設計データとの一致度が所定の水準以上となるシミュレーションデータが得られる製造条件を設定する改善製造条件データ設定部を有し、
前記改善製造条件データ設定部で設定された改善製造条件データを用いた製造プロセスによる、
シリカガラスルツボの製造方法。 - 前記改善製造条件データは、回転モールド法におけるアーク電力、減圧条件およびモールド回転数の少なくともいずれかを含む、請求項1記載のシリカガラスルツボの製造方法。
- 前記物性パラメータは、密度、誘電率、透磁率、磁化率、剛性率、ヤング率、導電率、分極率、硬度、比熱、線膨張率、沸点、融点、ガラス転移点、伝熱係数、ポアソン比の少なくともいずれかを含む、請求項1または2に記載のシリカガラスルツボの製造方法。
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