JP4870032B2 - シフトポジション検出装置 - Google Patents
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このシフトポジション検出装置は、シフトレバー装置のシフトレバー側にマグネットが取り付けられており、ハウジング側に磁界を検出する4個のホールICが取り付けられている。このため、シフトレバーがP、F、D、N、Rの各シフトポジションにあるときに、前記マグネットと4個のホールICとが各シフトポジションに対応する位置関係となる。そして、前記マグネットと4個のホールICとの位置関係に対応してそれらのホールICがオン(1)・オフ(0)する。即ち、各シフトポジションによって4個のホールICがオン(1)・オフ(0)する組み合わせが異なり、それらの組み合わせから各シフトポジションが検出される。
しかし、この方法では、シフトレバーをゆっくり操作することで、次の正規ポジション信号が検出されるまでに時間が掛り、その前にタイマがタイムアップするおそれがある。このため、センサが正常であっても、センサ異常と判定されることがある。
請求項1の発明は、シフトレバー装置のシフトレバーの動作に連動して相対的に移動可能なセンサ動作用部材と複数のセンサとを備え、前記センサ動作用部材と複数のセンサとの位置関係の変化により前記複数のセンサの出力信号組み合わせであるポジション信号が変化する構成で、前記ポジション信号よって前記シフトレバーのシフトポジションを検出する構成のシフトポジション検出装置であって、前記センサ動作用部材と前記複数のセンサとの位置関係に対応したポジション信号を出力するポジション信号出力手段と、前記シフトレバーが互いに隣接するシフトポジション間を移動する遷移状態のときに、前記センサが正常である場合に前記ポジション信号出力手段が出力し得る前記ポジション信号を遷移ポジション信号として記憶する信号記憶手段とを有し、所定のシフトポジションと隣りのシフトポジション間で前記シフトレバーが移動する遷移状態で、前記ポジション信号出力手段により出力されたポジション信号が所定のシフトポジションと隣りのシフトポジション間の前記遷移ポジション信号と一致する場合には、前記遷移状態の開始から異常処理が行われるまでの時間を所定時間とし、前記ポジション信号出力手段により出力されたポジション信号が前記遷移ポジション信号と一致しない場合には、異常処理が行われるまでの時間を短縮することを特徴とする。
また、ポジション信号出力手段により出力されたポジション信号が前記遷移ポジション信号と一致しない場合には、センサ異常と判定されて異常処理が行われるまでの時間が短縮される。即ち、センサ異常時には速やかに異常処理が行われるようになるため、安全性が確保される。
なお、図中の前後左右上下は車両の前後左右上下に対応している。
先ず、シフトポジション検出装置50の説明を行う前にシフトレバー装置10の概要について説明する。
シフトレバー装置10は、例えば、ハイブリッド車に使用されるシフトバイワイヤ式のシフトレバー装置であり、図1〜図3に示すように、側面視略台形状のハウジング12とシフトレバー30とを備えている。ここで、図2は図1のII−II矢視断面図を表している。
前記ハウジング12には、その両側板部14の下部に左右方向に延びるシフト軸16が架設されている。そして、そのシフト軸16に支持部材20がハウジング12内でシフト方向(前後方向)に回動可能に支持されている。支持部材20は、上部が開放された扁平箱形に形成されており、その支持部材20にシフトレバー30のレバー基部32が、図2に示すように、仮想軸線Jを中心にセレクト方向(左右方向)に移動できるように収納されている。前記支持部材20の上部開口は、シフトレバー30等が挿通される貫通孔26を備える蓋部材25によって塞がれている。
即ち、シフトレバー30は、レバー基部32、支持部材20及びシフト軸16の働きでハウジング12に対してシフト方向(前後方向)及びセレクト方向(左右方向)に移動可能になる。
また、レバー基部32には、図2等に示すように、プランジャ34がシフトレバー30と平行に上下動可能なように組み込まれており、そのプランジャ34がプランジャスプリング35によって上方の付勢力を受けている。そして、プランジャ34の先端が、図2に示すように、ゲート部材40(後記する)の傾斜カム面43にプランジャスプリング35の力で押し付けられている。
ゲート孔41において、左側のシフトラインとセレクトラインとの交差部にH(ホーム)ポジションが設定され、右側のシフトラインとセレクトラインとの交差部にN(ニュートラル)ポジションが設定されている。また、左側のシフトラインの前側に+(シフトアップ)ポジションが設定され、左側のシフトラインの後側に−(シフトダウン)ポジションが設定されている。さらに、右側のシフトラインの前側にR(リバース)ポジションが設定され、右側のシフトラインの後側にD(ドライブ)ポジションが設定されている。
ここで、前述のように、ゲート部材40の傾斜カム面43には、図2に示すように、プランジャ34がプランジャスプリング35の力を受けて当接している。このため、シフトレバー30が前記セレクトラインを右方向(H→N)に移動しようとすると、傾斜カム面43の働きでプランジャ34が下方に移動してプランジャスプリング35を押し縮める。これにより、シフトレバー30は、プランジャスプリング35の力と傾斜カム面43の働きで左方向(H方向)の力を受けるようになる。即ち、シフトレバー30の操作力が開放されると、シフトレバー30はプランジャスプリング35の力で基準位置であるHポジションに復帰されるようになる。
シフトポジション検出装置50は、シフトレバー30により選択されたシフトポジションを電気的に検出し、位置検出信号であるポジション信号を出力する装置である。シフトポジション検出装置50は、図1に示すように、ハウジング12の後傾斜板13に形成された検出装置取り付け部13eに装着されている。シフトポジション検出装置50は、図4(A)に示すように、浅い箱状に形成された収容ケース51と、その収容ケース51の開口側に蓋状に嵌め込まれるホルダ部材55とを備えている。そして、収容ケース51とホルダ部材55とが形成する空間内にセンサ基板52とセンサ動作用部材53及び中継部材54とが収納されている。
センサ基板52は、例えば、磁界を検出するホールICからなる位置検出センサ60を複数個(図では7個)備える基板であり、収容ケース51の底面側に固定されている。
センサ基板52には、図4、図6等に示すように、No.1〜No.7の7個の位置検出センサ60(以下、No.1〜No.7センサという)が予め決められた間隔で位置決めされている。No.1〜No.7センサは、所定の方向の磁界のみを検知するように構成されており、磁界を検知したときにオン信号(1)、磁界を検知しないときにオフ信号(0)を出力できるように構成されている。
センサ動作用部材53は、図6(A)に示すように、その表面にセンサ基板52のNo.1〜No.7センサに対応して7つの領域を備えている。例えば、No.1センサに対応するNo.1領域では、4行2列と5行2列と6行1列、2列が反応領域(斜線部)、4行1列と5行1列とが非反応領域(空白部)となっている。ここで、反応領域(斜線部)はセンサが対面したときにオン信号(1)を出力する領域であり、非反応領域(空白部)はセンサが対面したときにオフ信号(0)を出力する領域である。
図6(A)は、シフトレバー30がH(ホーム)ポジションにあるときのセンサ基板52とセンサ動作用部材53との位置関係を表している。このとき、No.1センサは反応領域(斜線部)に対面しているためオン信号(1)を出力する。No.2センサは非反応領域(空白部)に対面しているためオフ信号(0)を出力する。同様に、No.3センサはオン信号(1)、No.4センサはオン信号(1)、No.5センサはオフ信号(0)、No.6センサはオン信号(1)、No.7センサはオフ信号(0)を出力する。したがって、シフトレバー30がH(ホーム)ポジションにあるときのセンサ出力信号の組み合わせ、即ち、センサ基板52の出力であるポジション信号は、図5(B)の表に示すように、「1011010」となる。
シフトレバー30がR(リバース)ポジションにあるときは、センサ動作用部材53は図6(B)の状態から1行分だけ上にずれる。この結果、シフトレバー30がR(リバース)ポジションにあるときのポジション信号は、図5(B)の表に示すように、「1010101」となる。
シフトレバー30がD(ドライブ)ポジションにあるときは、センサ動作用部材53は図6(B)の状態から1行分だけ下にずれる。この結果、シフトレバー30がD(ドライブ)ポジションにあるときのポジション信号は、図5(B)の表に示すように、「0111100」となる。
シフトレバー30が+(シフトアップ)ポジションにあるときは、センサ動作用部材53は図6(A)の状態から1行分だけ上にずれる。この結果、シフトレバー30が+(シフトアップ)ポジションにあるときのポジション信号は、図5(B)の表に示すように、「1101001」となる。
シフトレバー30が−(シフトダウン)ポジションにあるときは、センサ動作用部材53は図6(A)の状態から1行分だけ下にずれる。この結果、シフトレバー30が−(シフトダウン)ポジションにあるときのポジション信号は、図5(B)の表に示すように、「1100110」となる。
このように、上記したNo.1〜No.7センサを備えるセンサ基板52が本発明のポジション信号出力手段に相当する。
ここで、シフトレバー30がH(ホーム)、N(ニュートラル)、+(シフトアップ)、−(シフトダウン)、R(リバース)、及びD(ドライブ)の各ポジションにあるときのポジション信号を、以後、正規ポジション信号と呼ぶことにする。
センサ基板52から出力されたポジション信号は、図4(B)に示すように、制御部100に入力される。制御部100は、センサ基板52から出力されたポジション信号から各センサの正常・異常を判定する部分であり、センサ異常時には異常処理部103を動作可能に構成されている。
以下、図7、図8及び図9のフローチャートに基づいて、シフトポジション検出装置50の動作について説明する。
図7(A)は、No.1〜No.7センサが正常なときに、シフトレバー30がH(ホーム)からN(ニュートラル)まで移動するとき(遷移状態時)にセンサ基板52が出力し得るポジション信号を表している。即ち、シフトレバー30がH(ホーム)にあるときの正規ポジション信号「1011010」からシフトレバー30がN(ニュウートラル)に到達したときの正規ポジション信号「0110011」と間では、センサ基板52は、a行「1011011」、b行「1010010」 … m行「0111011」、n行「0110010」に示すポジション信号の一部を出力することが可能となる。
以後、a行からn行までに示すポジション信号を遷移ポジション信号と呼ぶことにする。
ここで、シフトレバー30がN(ニュートラル)からH(ホーム)まで移動する場合にも、センサ基板52は、a行「1011011」、b行「1010010」 … m行「0111011」、n行「0110010」に示すポジション信号の一部を出力することが可能となる。なお、遷移ポジション信号等における斜線部分は変化したセンサを表している。
図7(C)は、シフトレバー30がH(ホーム)から−(シフトダウン)まで移動するとき(遷移状態)にセンサ基板52が出力し得るポジション信号、即ち、正規ポジション信号及び遷移ポジション信号を表している。
図8(A)は、シフトレバー30がN(ニュートラル)からR(リバース)まで移動するとき(遷移状態)にセンサ基板52が出力し得るポジション信号、即ち、正規ポジション信号及び遷移ポジション信号を表している。
図8(B)は、シフトレバー30がN(ニュートラル)からD(ドライブ)まで移動するとき(遷移状態)にセンサ基板52が出力し得るポジション信号、即ち、正規ポジション信号及び遷移ポジション信号を表している。上記したH(ホーム)、N(ニュートラル)、+(シフトアップ)、−(シフトダウン)、R(リバース)、及びD(ドライブ)の各ポジションの正規ポジション信号と、各々の遷移状態における遷移ポジション信号とは制御部100のメモリ101に記憶されている。
即ち、メモリ101が本発明の信号記憶手段に相当する。
例えば、H(ホーム)にあるシフトレバー30が操作されてセンサ基板52のポジション信号が正規ポジション信号から外れると(ステップS101 YES)、タイマがカウントを開始する(ステップS102)。次に、センサ基板52から出力されるポジション信号が識別され(S103)、そのポジション信号がメモリ101に記憶されている遷移ポジション信号と比較される(S104)。例えば、シフトレバー30がH(ホーム)の位置からN(ニュートラル)に移動する途中の場合には、センサ基板52から出力されるポジション信号が、図7(A)に示す遷移ポジション信号と比較される。そして、センサ基板52から出力されるポジション信号が遷移ポジション信号と一致する場合には(ステップS104 YES)、正常な遷移状態と判別されて、シフトレバー30の操作からT1秒が経過したか否かが判定される(ステップS105)。ここで、T1は比較的長い時間(約5秒程度)に設定されている。
また、シフトレバー30の操作からT1秒が経過しても、センサ基板52から出力されるポジション信号が遷移ポジション信号と一致している場合には(ステップS105 YES)、即ち、シフトレバー30がN(ニュートラル)の位置まで到達しない場合には、センサ異常と判定して異常処理が行われる(ステップS108)。
また、遷移状態において、センサ基板52から出力されるポジション信号が遷移ポジション信号と一致しない場合には(ステップS104 NO、 ステップS106 NO)、センサ異常と判別されて、シフトレバー30の操作からT2秒が経過した場合に異常処理(ステップS108)が行われる。ここで、T2秒はT1秒よりも十分小さな値(100ms程度)に設定されている。このため、センサ異常と判別された場合には速やかに異常処理が行われる。
即ち、図9のステップS102,S105の処理が本発明の第1のタイマに相当し、ステップS102,S107の処理が本発明の第2のタイマに相当する。
ここで、異常処理とは、警報ランプの点滅や警報音による報知の他、スロットルバルブを絞る等して車両を安全な状態に移行させる処理をいう。
本実施形態に係るシフトポジション検出装置50によると、例えば、H(ホーム)ポジションとN(ニュートラル)ポジション間の遷移状態において、センサ基板52から出力されたポジション信号がH(ホーム)ポジションとN(ニュートラル)ポジション間の遷移ポジション信号(図7(A)参照)と一致する場合には、正常な遷移状態と判定されて遷移状態の開始から異常処理が行われるまでの時間がT1(約5秒)とされる。即ち、正常な遷移状態の場合には、遷移状態の開始から終了までの時間をT1(約5秒)確保できるようになり、シフトレバー30をゆっくり操作してもセンサ異常と判定されることはない。
また、センサ基板52から出力されたポジション信号が遷移ポジション信号(図7(A)参照)と一致しない場合には、センサ異常と判定されて異常処理が行われるまでの時間がT2(約100ms程度)に短縮される。即ち、センサ異常時には速やかに異常処理が行われるため、安全性が確保される。
さらに、センサ基板52から出力されたポジション信号が正規ポジション信号から外れる不定領域をある程度の幅まで許容できるようになるため、シフトポジション装置50の製造コストも低下させることができる。
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、遷移状態において、センサ基板52から出力されるポジション信号が遷移ポジション信号と一致しない場合には(ステップS104 NO、ステップS106 NO)、シフトレバー30の操作開始からT2秒が経過した場合に異常処理(ステップS108)を行う例を示した。しかし、遷移状態において、前記ポジション信号が遷移ポジション信号と一致しなくなったタイミングから速やかに異常処理(ステップS108)を行うことも可能である。
また、センサ基板52にNo.1〜No.7の7台のセンサを装着する例を示したがセンサの数は適宜変更可能である。
30・・・・シフトレバー
50・・・・シフトポジション検出装置
52・・・・センサ基板(ポジション信号出力手段)
53・・・・センサ動作用部材
60・・・・位置検出センサ(センサ)
101・・・メモリ(信号記憶手段)
ステップS102,S105・・第1のタイマ
ステップS102,S107・・第2のタイマ
Claims (2)
- シフトレバー装置のシフトレバーの動作に連動して相対的に移動可能なセンサ動作用部材と複数のセンサとを備え、前記センサ動作用部材と複数のセンサとの位置関係の変化により前記複数のセンサの出力信号組み合わせであるポジション信号が変化する構成で、前記ポジション信号よって前記シフトレバーのシフトポジションを検出する構成のシフトポジション検出装置であって、
前記センサ動作用部材と前記複数のセンサとの位置関係に対応したポジション信号を出力するポジション信号出力手段と、
前記シフトレバーが互いに隣接するシフトポジション間を移動する遷移状態のときに、前記センサが正常である場合に前記ポジション信号出力手段が出力し得る前記ポジション信号を遷移ポジション信号として記憶する信号記憶手段とを有し、
所定のシフトポジションと隣りのシフトポジション間で前記シフトレバーが移動する遷移状態で、前記ポジション信号出力手段により出力されたポジション信号が所定のシフトポジションと隣りのシフトポジション間の前記遷移ポジション信号と一致する場合には、前記遷移状態の開始から異常処理が行われるまでの時間を所定時間とし、前記ポジション信号出力手段により出力されたポジション信号が前記遷移ポジション信号と一致しない場合には、異常処理が行われるまでの時間を短縮することを特徴とするシフトポジション検出装置。 - 請求項1に記載されたシフトポジション検出装置であって、
前記遷移状態の開始から所定時間が経過したときに動作して異常処理を実行させる第1のタイマと、前記遷移状態の開始から前記所定時間よりも短い時間が経過したときに動作して異常処理を実行させる第2のタイマとを備えていることを特徴とするシフトポジション検出装置。
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