JP4865950B2 - ポリカーボネート樹脂共重合体およびプラスチックレンズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、耐衝撃性などの機械的特性に優れ、屈折率とアッベ数のバランスを良好に保ち、低光弾性定数等の光学的特性に優れ、耐熱性の良好なポリカーボネート樹脂共重合体に関するものである。このポリカーボネート樹脂共重合体は、各種分野、例えばレンズ、光ディスク基板などのプラスチック光学材料、殊にレンズに好適に利用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂(以下、PCと称することがある)は、2価フェノールを炭酸エステルにより連結させたポリマーであり、その中でも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)より得られるポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱性に優れ、また耐衝撃性等の機械特性に優れた性質を有することから多くの分野に用いられている。各種レンズ、光ディスク等の光学分野においては、その耐衝撃性、透明性、低吸水性等の特性が注目され、光学用途材料として重要な位置を占めている。
【0003】
特にレンズ分野において、熱可塑性樹脂であるPCはその生産性の良さから注目を浴びており、これまでプラスチックレンズの主流を占めてきたCR−39(ジエチレングリコールビスアリルカーボネート)に代表される熱硬化性樹脂の代替として、その需要が増大してきている。
【0004】
しかしながら、ビスフェノールAにホスゲンやジフェニルカーボネート等のカーボネート前駆体物質を反応させて得られるポリカーボネート樹脂は、屈折率は1.585と高いがアッベ数が30と低いため、色収差の問題が出やすく、屈折率とアッベ数のバランスが悪いという欠点を有する。また光弾性定数が大きく、成形品の複屈折が大きくなってしまう欠点を有する。
【0005】
このようなポリカーボネート樹脂の欠点を解決するために、芳香族ジヒドロ化合物と脂肪族ジオールとの共重合ポリカーボネート樹脂がいくつか提案されている(特開平1−66234号公報、特開平10−120777号公報、特開平11−228683号公報、特開平11−349676号公報、特開2000−63506号公報)。これらの技術では、屈折率、アッベ数が未だ低かったり、光弾性定数が大きく、成形品の複屈折が大きくなったり、成形性、耐熱性等が不十分で満足する成形物が得られなかったり、着色する等の問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透明性、耐衝撃性などの機械的特性に優れ、屈折率とアッベ数のバランスを良好に保ち、低光弾性定数等の光学的特性に優れ、耐熱性の良好なポリカーボネート樹脂共重合体を提供することにある。
【0007】
本発明者らは先に特定の構造を有する脂肪族ジオールと芳香族ビスフェノールとから誘導される構成単位を有する共重合ポリカーボネート樹脂を用いたプラスチックレンズを提案した(特願2000−249440号参照)。本発明は、さらに鋭意研究した結果、上記特定の構造を有する脂肪族ジオールと特定の二種以上の芳香族ビスフェノールとの共重合ポリカーボネート樹脂が、より光学的特性に優れ、耐熱性が良好になることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、(A)下記一般式[1]で表される構成単位(構成単位A)、
【0009】
【化6】
【0010】
(B)下記一般式[2]で表わされる構成単位(構成単位B)および
【0011】
【化7】
【0012】
(C)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンからなる群より選ばれた少なくとも一種から誘導された構成単位(構成単位C)からなり、全構成単位を100モル%として、構成単位A:(構成単位B+構成単位C)の割合が25〜75モル%:75〜25モル%であり、且つ、構成単位Bと構成単位Cとの割合が、モル比で50:50〜90:10であるポリカーボネート樹脂共重合体が提供される。
【0019】
本発明の前記一般式[1]で表わされる構成単位Aを誘導する脂肪族ジオールとしては、シス体、トランス体又はシス/トランス体の混合物でも良く、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。中でも、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。また、これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0020】
本発明の前記一般式[2]で表わされる構成単位Bを誘導する二価フェノールは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。
【0025】
前記構成単位Cとしては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンからなる群より選ばれた少なくとも一種から誘導された構成単位である。
【0026】
本発明のポリカーボネート樹脂共重合体は、その構成単位すべてのモル分率の合計を100モル%とした時に、前記構成単位Aと前記構成単位Bおよび前記構成単位Cとの割合[構成単位A:(構成単位B+構成単位C)]が、25〜75モル%:75〜25モル%である。前記構成単位Aのモル分率75%を超えると耐熱性および屈折率の低下をきたすことがあり、25%未満ではアッベ数が低下し、屈折率とアッベ数のバランスが悪くなり、また流動性も低下し好ましくない。
【0027】
また、前記構成単位Bと構成単位Cとの割合がモル比で50:50〜90:10である。構成単位Bと構成単位Cとの割合が上記範囲内であると、屈折率とアッベ数のバランスが良好で、耐熱性、光学特性に優れたポリカーボネート樹脂共重合体を得ることができる。
【0028】
また、本発明のポリカーボネート樹脂共重合体は、その樹脂の0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し、20℃で測定した比粘度が0.3〜0.7であるのが好ましく、より好ましくは0.35〜0.6、最も好ましくは0.38〜0.55である。
【0029】
本発明のポリカーボネート樹脂共重合体は、アッベ数は32以上が好ましく、より好ましくは34以上である。屈折率は1.540以上が好ましく、より好ましくは1.545以上である。
【0030】
本発明のポリカーボネート樹脂共重合体は、耐熱性を表すガラス転移温度(Tg)は100℃以上が好ましく、より好ましくは105℃以上である。
【0031】
本発明のポリカーボネート樹脂共重合体は、光弾性定数は75×10-8cm2/N以下が好ましく、より好ましくは70×10-8cm2/N以下である。
【0032】
本発明のポリカーボネート樹脂共重合体は、流動性(Q値)は5×10-3cm3/s以上が好ましく、より好ましくは10〜100×10-3cm3/s、最も好ましくは15〜95×10-3cm3/sである。
【0033】
本発明のポリカーボネート樹脂共重合体を製造するには、ピリジン等の酸結合剤の存在下に、前記脂肪族ジオールおよび二価フェノールとホスゲンとの反応を行う方法(溶液法)、又はビスアリールカーボネートを用い、溶融条件下エステル交換反応を行う方法(溶融法)が好ましく採用される。
【0034】
このうち溶液法では、酸結合剤としてピリジン、キノリン、ジメチルアニリン等が好適なものとして挙げられ、殊にピリジンが好適なものとして用いられる。これらは単独でまたは有機溶媒を用い希釈して反応が行われる。該有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられ、特に塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が好ましく、殊に塩化メチレンがもっとも好ましい。該酸結合剤の使用量は、通常ホスゲンに対して2〜100モル当量用いられ、好ましくは2〜50モル当量用いられる。反応温度は、好ましくは0〜40℃で行われる。反応時間は通常数分〜数日間、好ましくは10分間〜5時間行われる。
【0035】
また、末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を使用することができる。
【0036】
これらの末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好ましくは少くとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0037】
また溶融法は、不活性ガスの存在下に脂肪族ジオールおよび二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を1330〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0038】
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0039】
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-9〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-8〜5×10-4当量の範囲で選ばれる。また、必要に応じて分子量調節剤、酸化防止剤等を加えてもよい。
【0040】
本発明で得られたポリカーボネート共重合体に触媒失活剤を添加する事もできる。本発明に使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましく、更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の上記塩類やパラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の上記塩類が好ましい。またスルホン酸のエステルとしてベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられ、その中でもドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
【0041】
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた前記重合触媒1モル当たり0.5〜50モルの割合で、好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用する事ができる。
【0042】
本発明のポリカーボネート樹脂共重合体は、射出成形、圧縮成形、押出成形、射出圧縮成形等各種の成形方法により成形され、レンズ、光ディスク基板、光学フィルム等の用途に好適に用いられる。特に、本発明のポリカーボネート樹脂共重合体は、アッベ数と屈折率とのバランスに優れ、耐熱性も良好であるためレンズ用の成形材料として好適である。
【0043】
レンズとしては、眼鏡レンズ、カメラレンズ、顕微鏡レンズ、プロジェクターレンズ、フレネルレンズ、ピックアップレンズ等の各種レンズに用いることができる。その内特に、屈折率とアッベ数のバランスの良い点から眼鏡レンズが最も好ましい。
【0044】
レンズの成形においては、射出圧縮成形が光学歪みの少ないレンズを成形でき最も好ましい方法である。射出圧縮成形において、シリンダー温度は200〜300℃、金型温度は40〜90℃が好ましい。成形に当たって、必要に応じて離型剤等を配合する事ができる。
【0045】
離型剤としては飽和脂肪酸エステルが一般的であり、例えばステアリン酸モノグリセライド等のモノグリセライド類、ステアリン酸ステアレート等の低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベヘネート等の高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のエリスリトールエステル類が使用される。
【0046】
また、必要に応じて亜リン酸エステル系の熱安定剤を配合してもよい。亜リン酸エステル系の熱安定剤としてはトリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4‘−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(エチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブチルフェニル)ホスファイト及びトリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイト等が好ましい。
【0047】
耐候性の向上及び有害な紫外線をカットする目的で、本発明のポリカーボネート樹脂共重合体には更に紫外線吸収剤を配合する事ができる。かかる紫外線吸収剤としては、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンに代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤;例えば2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2‘−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール及び2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールが例示され、これらは単独で用いても、二種以上併用してもよい。
【0048】
また、本発明のポリカーボネート樹脂共重合体には更にポリカーボネート樹脂共重合体や紫外線吸収剤に基づくレンズの黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤としてはポリカーボネート樹脂に使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。また、各種染料等を添加することにより、各種着色レンズを成形することもできる。
【0049】
また、本発明のポリカーボネート樹脂共重合体を用いて成形、加工したレンズには、その表面にハードコート、反射防止コート、防曇コート等の後加工処理をして用いる事ができる。
【0050】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明する。なお、実施例中の部及び%は重量部及び重量%である。また比粘度、屈折率、アッベ数、ガラス転移温度、光弾性定数及び落球衝撃試験は下記の方法で測定した。
(1)比粘度
塩化メチレンを溶媒として、0.7g/100mlの濃度で測定した。尚、測定温度を20℃とした。
(2)屈折率およびアッベ数
ポリカーボネート樹脂のキャスティングフィルム(厚み100μm)を作成し、アタゴ(株)製アッベ屈折計によりジヨードメタンを接触液として25℃で測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
デュポン社製910型DSCを用いて測定した。
(4)光弾性定数
理研機器(株)製の光弾性測定装置PA−150により厚さ100μmのキャストフィルムを用いて測定した。
(5)落球衝撃試験
7.7mmΦ×1.5mmのレンズにFDA規格に基づき行った。即ち、15.8gの鋼球を高さ127cmの高さよりレンズの中心部に向けて自然落下させて判定した。
【0051】
判定基準は、○:割れ発生ぜず、×:割れ発生 とした。
【0052】
[実施例1]
1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下「CHDM」と略す)18.5重量部、ビスフェノール−A(以下「BPA」と略す)23.4重量部、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下「BCF」と略す)9.7重量部、p−tert−ブチルフェノール0.91重量部を、温度計、撹拌機付き反応器にし込み、窒素置換した後、あらかじめよく乾燥したピリジン207重量部、塩化メチレン575重量部を加え溶解した。撹拌下25℃でホスゲン29.2重量部を100分要して吹込んだ。ホスゲン吹込み終了後、約10分間そのまま撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈し、ピリジンを塩酸で中和除去後、導電率がイオン交換水と殆ど同じになるまで繰り返し水洗し、その後塩化メチレンを蒸発して無色のパウダー39部を得た(収率75%)。また、このパウダーを押出機を用いペレット化した。得られたペレットを眼鏡用凹凸レンズ金型を使用し、射出圧縮成形によりレンズを作成した。このレンズは透明性に優れ外観も良好であった。各種評価の結果を表1に示した。
【0053】
[実施例2]
CHDM18.1重量部、BPA23.0重量部、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下「BP−TMC」と略す)7.8重量部、p−tert−ブチルフェノール0.90重量部を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行いポリカーボネートを43部得た(収率85%)。また、このパウダーを押出機を用いペレット化した。得られたペレットを眼鏡用凹凸レンズ金型を使用し、射出圧縮成形によりレンズを作成した。このレンズは透明性に優れ外観も良好であった。各種評価の結果を表1に示した。
【0054】
[実施例3]
CHDM8.4重量部、BPA8.0重量部、4,4’−スルホニルジフェノール(以下「BPS」と略す)5.9重量部、p−tert−ブチルフェノール0.09重量部、ピリジン95重量部、塩化メチレン263重量部、およびホスゲン14重量部を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行いポリカーボネートを43部得た(収率85%)。また、このパウダーを押出機を用いペレット化した。得られたペレットを眼鏡用凹凸レンズ金型を使用し、射出圧縮成形によりレンズを作成した。このレンズは透明性に優れ外観も良好であった。各種評価の結果を表1に示した。
【0055】
[比較例1]
界面重合法により得られたビスフェノール−A(BPA)タイプのポリカーボネート樹脂パウダーを押出機を用いペレット化した。得られたペレットを眼鏡用凹凸レンズ金型を使用し、射出圧縮成形によりレンズを作成した。各種評価の結果を表1に示した。
【0056】
[比較例2]
CHDM59.0重量部、BPA93.4重量部、p−tert−ブチルフェノール2.08重量部、ピリジン646重量部、塩化メチレン2440重量部、およびホスゲン93.2重量部を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行いポリカーボネートを得た。また、このパウダーを押出機を用いペレット化した。得られたペレットを眼鏡用凹凸レンズ金型を使用し、射出圧縮成形によりレンズを作成した。各種評価の結果を表1に示した。
【0057】
[比較例3]
CHDM35.8重量部、p−tert−ブチルフェノール0.87重量部、ピリジン200重量部、塩化メチレン557重量部、およびホスゲン28.3重量部を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行いポリカーボネートを得た。また、このパウダーを押出機を用いペレット化した。得られたペレットを眼鏡用凹凸レンズ金型を使用し、射出圧縮成形によりレンズを作成した。各種評価の結果を表1に示した。なお、光弾性定数は測定中にフィルムが伸び測定できなかった。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】
本発明のポリカーボネート樹脂共重合体は、透明性、耐衝撃性などの機械的特性に優れ、屈折率とアッベ数のバランスを良好に保ち、低光弾性定数等の光学的特性に優れ、耐熱性の良好なものである。このポリカーボネート樹脂は光学材料として各種分野、特にレンズに好適に利用できうるものである。
Claims (3)
- (A)下記一般式[1]で表される構成単位(構成単位A)、
- 構成単位Aが、1,4−シクロヘキサンジメタノールから誘導された構成単位である請求項1記載のポリカーボネート樹脂共重合体。
- 請求項1記載のポリカーボネート樹脂共重合体より形成されたプラスチックレンズ。
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