JP4864524B2 - 加熱調理器 - Google Patents

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Description

本発明は、高速の熱風を被加熱物に衝突させて熱伝達をする噴流衝突熱伝達技術を採用加熱調理器に関する。
従来より、被調理品の解凍から焼き上げまでの調理は、マイクロ波加熱により被調理品を内部から加熱すると同時に、上下方向からもヒータの輻射熱を当てて焼き上げる方法、あるいは調理室の背部に配置したヒータにて発生させた熱風をファンを使って調理室内に吹出し循環させることにより、調理室内全体を高温にして調理する方法などで行なわれてきた。
ところで、コンビニエンスストアなどでは客が買い求めた冷凍食品を60〜90秒の短時間で解凍から焼き上げまでして提供するサービスが行なわれている。上記従来の調理方法ではそのような短時間で調理を行なうことは困難であることから、そうした調理を必要とする場合には、予熱などにより調理室内を常に高温にしておくなどの対策が講じられている。しかし、調理室内を常に高温にしておくことは熱効率の面で好ましくない。
これに対して、近年、被調理品に高温熱風の噴流を衝突させ、熱風の持つ熱エネルギーを効率良く被調理品に伝達する「衝突噴流熱伝達技術」を採用して解凍から焼き上げまでを短時間で調理する技術が開発され、実用化が進んでいる。
その1つとして、特許文献1には、調理室の天井部に設けた熱風吐出口から吹出させた熱風を、全域に多数の孔を有する棚板に載置した被調理品に吹きつけて加熱し、加熱後の熱風を調理室の下部に設けた吸込み口から吸引して循環させる加熱調理器が提案されている。しかし、この加熱調理器では、棚板の、被調理品を載置したことで塞がれた孔以外の多くの孔から熱風が棚板の下方へ抜け、それが被調理品の存在する棚板の加熱にほとんど寄与しないまま、被調理品の存在しない棚板の下方を無駄に加熱してしまって、熱効率が良くなく、従って、被調理品を短時間で焼き上げる所期の効果も所望には得られない欠点を有する。
特表2002−511561号公報
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、噴流衝突熱伝達技術を採用したもので、熱効率を向上させ、被調理品を短時間で焼き上げる所期の効果を所望に得ることのできる加熱調理器を提供するにある。
上記目的を達成するために、本発明の加熱調理器においては、被調理品を収納する調理室と、この調理室内に被調理品を置くための耐熱材から成り、被調理品を載置する部分が無孔状又はほゞ無孔状を成す棚板と、ヒータとブロアを有する熱風生成装置とを具え、前記棚板の左右両側に開口部を有して、前記熱風生成装置で発生させた熱風を前記調理室の天井部に設けた噴出口から高速噴流にして前記棚板に載置した被調理品に衝突させて加熱し、衝突後に前記棚板の左右両側の開口部を通って棚板より下側に流れた熱風を前記調理室の左右両側壁の下部に設けた熱風吸込み口から前記ブロアにより吸込み前記熱風生成装置に戻して循環させるようにすると共に、前記棚板が、前記被調理品を載置する面に、被調理品を下から支える凸部を、前記調理室の左右方向に延びる複数の凸条で有する構成としたことを特徴とする。
上記手段によれば、調理室の天井部に設けた噴出口から噴出した熱風は、棚板に載置した被調理品に衝突してそれを加熱した後、棚板の左右両側の開口部を通って棚板より下側に流れるもので、それ以外、特に棚板の被調理品を載置する部分には孔(開口部)を有しないため、熱風がそこから棚板の下方へ抜けて被調理品の存在しない棚板の下方を無駄に加熱してしまうことが避けられる。かくして、熱効率を良くでき、被調理品を短時間で焼き上げる所期の効果を所望に得ることができる。
又、棚板の被調理品を載置する面にあって、被調理品を下から支える凸部を、調理室の左右方向に延びる複数の凸条としたことで、被調理品と棚板の被調理品を載置した面との間の凸部による隙間に入った熱風が、凸部(凸条)にガイドされて調理室の左右方向にスムーズに流れ、棚板の左右両側の開口部から棚板より下側にもスムーズに流れるので、熱風の乱れを生じないようにできる。特に、熱風吸込み口を調理室の左右両側壁の下部に有する本構成のものの場合、熱風をその熱風吸込み口にガイドできるものでもあり、熱風の乱れを一層生じないようにできる。
以下、本発明の第1実施例(第1の実施形態)につき、図1ないし図18を参照して説明する。
図3は、加熱調理器1の外観を斜視図で示したものである。加熱調理器1の外殻であるキャビネット2には、前面に、前方へ下開きに回動して開く扉3を取付けている。扉3には、前面の上部寄りに取手4を設け、上部に操作パネル5を設けている。操作パネル5は、調理条件を設定する各種の操作スイッチ6と、設定内容や調理の経過状況を表示する表示器7とを有している。
図4は、キャビネット2と扉3を取除いて後側斜め上方から加熱調理器1の内部を見た斜視図であり、図5は、同じ状態を前側斜め下方から見た斜視図である。キャビネット2内のほゞ中央部には、前面が開口して前記扉3により開閉される箱状の調理室10を、底板11の上に据付けている。調理室10は、後述する底部を除いてマイクロ波を遮断する導電性材料で且つ耐熱材により構成している。
調理室10の上には、ヒータ12を収納する熱源ボックス14を取付け、その後方に、熱源ボックス14に循環熱風を送り込むブロア15を、更にその上には、ブロア15を駆動するブロアモータ16を取付けており、これらのヒータ12、熱源ボックス14、ブロア15、ブロアモータ16により熱風生成装置18を構成している。
調理室10の前方から見た左側壁の外側には、調理室10を通過した熱風を熱風生成装置18に帰還させるための熱風帰還左ダクト20を設けており、右側壁の外側には、同じ目的の熱風帰還右ダクト21を設けている。又、調理室10の背面外側の上部でブロア15の下側には、熱風帰還左ダクト20と熱風帰還右ダクト21を通過した熱風を合流させてブロア15に帰還させる熱風帰還合流ダクト22を設けている。
調理室10の背面外側で熱風帰還合流ダクト22の下側には、マイクロ波発生装置であるマグネトロン24と制御手段である制御装置26(図16参照)とを収納する収納箱27を設けている。又、調理室10の下側には、マグネトロン24で発生したマイクロ波を調理室10の底部裏の中央付近に導く導波管28を設けている。
図1、図2は加熱調理器1内の熱風の流れを模式図で表わしたもので、図1は正面から見た断面内の流れを、図2は右側壁から見た断面内の流れを示す。前記ブロア15によって起こされた循環風は前記熱源ボックス14内に水平に吹き込まれる。熱源ボックス14内には、吹き込まれた循環風の流れ方向に前記ヒータ12を複数個並べて配設しており、循環風はそれらのヒータ12と熱交換して熱風となる。
ヒータ12を配設した部分の下側には、循環風の流れをヒータ12の並び方向に規制する仕切板30を設けており、仕切板30の下側で熱源ボックス14の下面に当たる部分は、図6に示すように開口31となっている。図6は熱源ボックス14を下側から見た斜視図である。熱源ボックス14は開口31の周縁に設けたフランジ32を利用して調理室10の天井部33に固定している。熱源ボックス14を固定した状態では、調理室10の天井部33と仕切板30との間に、循環風を通す空間35が形成される。ヒータ12と熱交換を終えた循環風は循環熱風となって空間35に回り込む。
調理室10の天井部33には、図1及び図2に示すように、循環熱風を調理室10内に噴出する複数の噴出口37を設けている。ブロア15により起こされる循環風は風圧の強い流れであり、空間35に回り込んだ循環熱風は噴出口37から高速噴流となって調理室10内に噴出される。
調理室10内には、被調理品38を載置する棚板40を設けている。棚板40の構成と取付け方については後に詳述する。噴出口37から噴出された高速噴流の熱風は被調理品38に衝突し、保有する熱エネルギーを被調理品38に与えて被調理品38を加熱する。既述のように、被調理品38に熱風を吹き当てて加熱する場合、吹き当てる風を高速にすると、熱伝達率が大きく向上することが噴流衝突熱伝達技術として知られており、本実施形態の加熱調理器1はこの噴流衝突熱伝達技術を採用している。
棚板40の左側には左開口部41が存在しており、右側には右開口部42が存在している。又、棚板40の奥側には奥開口部43が存在しており、手前側には手前開口部44が存在している。被調理品38に吹き当たって衝突した熱風は、棚板40の周囲に拡がって上記開口部41〜44を通り、棚板40より下側の空間に流れ込む。調理室10の棚板40より下側の空間に臨む下部、中でもこの場合、左側壁の下部には熱風左吸込み口45を設けており、右側壁の下部には熱風右吸込み口46を設けている。棚板40の下側の空間に流れ込んだ循環熱風は、それらの熱風吸込み口45,46を通って前記左右の熱風帰還ダクト20,21に流れ込む。
左右の熱風帰還ダクト20,21に流れ込んだ循環熱風は、それらのダクト20,21の内部を上昇して熱風帰還合流ダクト22内に流れ込み合流し、合流した循環熱風はブロア15内に吸い込まれる。そして、再びブロア15によって加速され、風圧を増して熱源ボックス14内に吹き込まれるものであり、このような流れを繰返して循環する。その過程で熱風はヒータ12と接触して熱エネルギーを獲得し、被調理品38と衝突した際にその熱エネルギーを被調理品38に与える。被調理品38はこれにより表面から加熱される。
本実施形態の加熱調理器1は、被調理品38を上述の循環熱風により表面から加熱することに加え、マイクロ波加熱を併用して内部からも加熱する。マイクロ波は前記マグネトロン24で発生され、前記導波管28を通って調理室10の底部48裏の中央付近に導かれる(図2参照)。調理室10の底部48は、マイクロ波を透過しやすいセラミックス、ガラス等の誘電体材料で且つ耐熱材により製作している。底部48の下面側にはモータ50により回転駆動される回転アンテナ51を取付けている。マイクロ波は回転アンテナ51により反射攪拌され底部48を透過する。こうして調理室10内にはマイクロ波が広くむらなく照射される。被調理品38はそのマイクロ波を吸収して内部からも加熱される。
なお、棚板40も、底部48を透過して照射されたマイクロ波を棚板40に載置した被調理品38に到達させる必要から、マイクロ波が透過しやすい誘電体材料で且つ耐熱材により製作している。
ここで、棚板40の構成とその取り付け方について説明する。棚板40は図7、図8に示すようにほゞ矩形の浅皿状に形成している。図7は棚板40の被調理品38を載せる側である表面、図8は裏面を示している。棚板40の周縁には表面側に立上げ部53を全周に形成しており、それによって棚板40を上述の浅皿状と成している。
棚板40の被調理品38を載置する面である表面の底部には、凸部54を一体に設けている。この凸部54は棚板40の左右方向に延びる凸条であり、それを前後に複数列(図示例は6列)設けている。この凸部(凸条)54の上端部(尾根部)には、それぞれ複数(図示例は4つ)の凹部55を形成しており、これらの凹部55は左右方向の位置が全ての凸部54で合い、それぞれ前後方向に一列状に並んでいる。
図9は、図7のA−A線に沿う断面で、被調理品38を載置した状態を示している。被調理品38は凸部54の上に載り、凸部54によって下から支えられる。これにより、被調理品38と棚板40の表面の底部との間には隙間Gができ、この隙間Gを前述の調理室10内に噴出された熱風が通り、被調理品38を下から加熱するようになっている。又、この図9に示すように、棚板40の周縁の立上げ部53は、その高さHを凸部54のそれhより大きくしている。
そして、そのほか、棚板40の被調理品38を載置する部分は、孔(開口部)を全く有しておらず、すなわち、この場合の棚板40の被調理品38を載置する部分は全くの無孔状であるが、1つや2つなど極小数ならば、孔(開口部)を有するほゞ無孔状であっても良い。
棚板40は、図10に示す載置枠57に図11に示すように載せた状態で調理室10内に収納される。載置枠57は、耐熱材である金属棒を折り曲げ、その端部を溶接して矩形に形成した外枠58に、渡し棒59,60を左右で2本ずつ溶接して取付けたものである。渡し棒59,60は、それぞれ外枠58の左右の辺部58a,58bと平行で、その左右の辺部58a,58bから等距離の位置に取付けている。そのうち、渡し棒59,60のそれぞれ外側のものには、後に詳述するストッパ61を取付けている。
棚板40を載置枠57に載置した状態では、棚板40の裏側の外底部68(図8参照)が、外枠58の前後の辺部58c,58dと上記渡し棒59,60のそれぞれ内側のものとにより形成された矩形の内枠62の内側に嵌まり、位置決めされる。
棚板40を載せた載置枠57は、調理室10内に前後移動可能に取付けられる。その取付け構造を図12、図13、図14、図15を参照して説明する。なお、図12〜図15は調理室10の右側壁63部分の取付け構造を説明する模式図である。右側壁63の内側で前記熱風右吸込み口46の上方部分には、耐熱材製の支え板64を取付け、その支え板64の調理室10を臨む面には断面矩形で前後に細長の桟65を水平に設けている。加えて、桟65の手前側端部(扉3側の端部)66は、下方にほゞ直角に屈曲する形状にしている。図15に示すように、調理室10の左側壁67部分にも、同様の桟65を有する支え板64を取付けている。
載置枠57は、外枠58の左右辺部58a,58bを上記調理室10の左右両側壁の支え板64の桟65の上面をスライドさせて調理室10内に収納され、調理室10の左右両側壁間に架けられる。図13、図14は載置枠57の収納状態を調理室10の中央側から右側壁63方向に見た図であり、図13は、載置枠57が調理室10内の奥に押込まれ、外枠58の左右辺部58a,58bのほぼ全体が桟65により支持されている状態を示している。被調理品38の加熱は、被調理品38を載せた棚板40を前述の嵌込みにより載置枠57に載せ、この状態の載置枠57を図13に示す位置に押込んだ状態で行なわれる。
被調理品38を載せたり取出したりする際には、棚板40を載せた載置枠57は手前に引出される。図14は、載置枠57を手前に引出した状態の位置関係を示している。引出し過ぎにより載置枠57が落下するのを防ぐため、ストッパ61が桟65の屈曲した手前側端部66に当接してそれ以上の引出しが阻止されるようにしている。
ストッパ61は、図10及び図12に示すように金属棒を「コ」の字状に折り曲げ、更にそれを前から見てL字形となるように折り曲げたもので、渡し棒59,60のそれぞれ外側のものの後寄りの下側に溶接で固着している。
載置枠57が前方に引き出されると、図14及びそれのB−B線に沿う断面図である図15に示すように、載置枠57とストッパ61との間で桟65を挟む。このようにして載置枠57が手前に引出され、重心が桟65の前端を外れて載置枠57が下に傾こうとしても、載置枠57とストッパ61とが桟65を挟み続けて載置枠57の傾きを阻止する。従って、載置枠57の手前部が支持されなくても載置枠57は水平を保つ。
このようにストッパ61は、この載置枠57を引出す際の落下防止と、引出し状態での水平維持との2つの役割を果たす。
如上の記載からも明らかで、且つ、図15にも示すように、棚板40の横幅wは載置枠57の横幅Wよりも小さくしている。このような棚板40が上述のように載置枠57の内枠62に嵌まって載置枠57を介し調理室10に収納セットされることにより、棚板40の左右の両側縁部と調理室10の左右の両側壁67,63との各間には、それぞれ隙間が形成され、その両隙間でもって、前記棚板40左側の左開口部41と右側の右開口部42が形成されている。
又、図11に示すように、棚板40の奥行dは、載置枠57の奥行eと同程度としているものの、図13に示す調理室10の奥行Dよりも小さくしている。このような棚板40が上述のように載置枠57の内枠62に嵌まって載置枠57を介し調理室10に収納セットされることにより、棚板40の後縁部と調理室10の奥壁との間、並びに棚板40の前縁部と調理室10の前面の開口部(扉3の裏面)との間にも、それぞれ隙間が形成され、その両隙間でもって、前記棚板40奥側の奥開口部43と手前側の手前開口部44とが形成されている。
図16は、加熱調理器1の制御装置26の構成を概略的に示したものである。制御装置26は、マイクロ波発生回路部70と、ヒータ回路部71、及びそれらの回路部と前記ブロアモータ16を制御する制御回路部72により構成している。マイクロ波発生回路部70は前記マグネトロン24でマイクロ波を発生させ、同時に前記回転アンテナ51用のモータ50を駆動させる回路部分である。電源は商用電源で供給され、その断続はスイッチ75を開閉して行なわれる。ヒータ回路部71は前記ヒータ12群に電源を供給する回路部分で、商用電源をスイッチ76で開閉することにより電源供給が制御される。
制御回路部72は、制御回路73と、前記操作パネル5の操作スイッチ6、同表示器7、温度検出手段80、異常検出手段81、及びモータ駆動回路82を具えて構成している。制御回路73は加熱調理器1の動作全般を制御する回路で、マイクロコンピュータを用いて構成しており、上記スイッチ75,76の開閉、ブロアモータ16の駆動は、この制御回路73により行なうようにしている。温度検出手段80は前記熱風左吸込み口45付近又は熱風右吸込み口46付近の循環熱風の温度をサーミスタを用いて検出するものであり、異常検出手段81は異常状態を検出するもので、熱源ボックス14内に取付けている。なお、図中のスイッチ77,78は前記扉3の開閉に連動して動作する扉開閉連動スイッチである。
次に、如上の構成のもとでの加熱調理器1の動作と作用について説明する。
被調理品38は前述のように棚板40で調理室10内に置かれる。扉3が閉じられると、扉開閉連動スイッチであるスイッチ77,78がオン状態となり、制御回路73が商用電源の供給を受けて作動を開始する。続いて、操作者により調理時間、熱風温度(調理温度)、被調理品名等が操作スイッチ6を介して制御回路73に入力される。
すると、制御回路73はスイッチ75をオン状態としてマイクロ波発生回路部70を作動させる。これによりマグネトロン24によりマイクロ波の発生が開始される。同時にモータ50にも電源が供給されて回転アンテナ51が回転を始め、発生したマイクロ波が前述のように回転アンテナ51により反射攪拌され、調理室10の底部48を透過して調理室1内に広くむらなく照射される。
制御回路73は同時にスイッチ76をON状態としてヒータ12に電源供給を行なうと共に、ブロアモータ16にもモータ駆動回路82を介して電源を供給して循環風を起こさせる。制御回路73はスイッチ76のオン/オフ周期を調整して温度検出手段80にて検出した温度が操作スイッチ6から入力された設定温度に一致するように制御する。ブロアモータ16は印加電圧により回転速度を可変できる直流モータで構成しており、制御回路73は操作スイッチ6から入力された被調理品名に対応した回転速度にブロアモータ16を調整する。
ヒータ12の温度が上昇するとブロア15により起こされた循環風は循環熱風に変わる。循環熱風は調理室10の天井部33の噴出口37から噴流となって調理室10内に噴出され、被調理品38の表面に衝突して被調理品38を表面から加熱する。被調理品38に衝突した循環熱風は、棚板40の周囲に拡がって棚板40の左右両側と奥側及び手前側の開口部41〜44を通り、棚板40より下側の空間に流れ込む。そして、左右の熱風吸込み口45,46に吸い込まれて左右の帰還ダクト20,21を通った後、熱風帰還合流ダクト22にて合流する。合流後は再びブロア15に入って加速され熱源ボックス14に吹き込まれる。そしてヒータ12より熱補給を受けて高温となり、調理室10内に再び噴出される。これらも前述のとおりである。
このように本構成のものでは、熱風生成装置18で発生させた熱風を調理室10の天井部33に設けた噴出口37から高速噴流にして棚板40に載置した被調理品38に衝突させて加熱する「衝突噴流熱伝達技術」を採用しており、それによって、熱風の持つ熱エネルギーを効率良く被調理品38に伝達し得るから、被調理品38を短時間で焼き上げることができる。
又、本構成のものの場合、調理室10内に噴出された熱風は、棚板40に載置した被調理品38に衝突してそれを加熱した後、棚板40の左右両側の開口部41,42を通って棚板40より下側に流れるもので、それ以外、特に棚板40の被調理品38を載置する部分には従来のもののような孔(開口部)を全くもしくはほとんど有しないため、熱風が棚板40の下方へ抜けて被調理品38の存在しない棚板40の下方を無駄に加熱してしまうことが避けられる。かくして、熱効率を一層良くでき、被調理品をより確実に短時間で焼き上げることができる。
加えて、棚板40の奥側と手前側にも上述の熱風が通る開口部43,44を有している。これは、棚板40の奥側と手前側が塞がれていた場合、それらの部分で熱風が滞留しやすくなって、それらの部分が他の部分に比べて非常に高温となり、それらの部分に近接した被調理品38が黒焦げになるほど焼け過ぎてしまうおそれがあるからであり、それに対して、棚板40の奥側と手前側にも熱風が通る開口部43,44を有することにより、それらの部分に近接した被調理品38も具合良く焼き上げることができる。
なお、上記棚板40の奥側と手前側の開口部43,44は、そのいずれか一方のみを有するものであっても良い。
更に、棚板40が調理室10の左右両側壁間に架ける耐熱材から成る載置枠57に載置して調理室10に収納されるようにしており、棚板40を清掃等のために取外す折り、棚板40は、載置枠57を調理室10の左右両側壁間に架ける支え板64から取外すのではなく、載置枠57から取外せば良いので、その取外しが簡単にできる。
しかも、その場合、載置枠57の横幅Wよりも棚板40の横幅wを小さくすることにより、棚板40の左右両側に上述の開口部41,42を形成しており、それによって、棚板40を小さくでき、取扱い性を良くできると共に、棚板40自体の左右両側部に穴あけ加工をする必要がないので、製造コストを安く抑えることができる。
又、調理室10の奥行Dよりも棚板40の奥行dを小さくすることにより、棚板40の奥側と手前側とに上述の開口部43,44を形成しており、これによっても、棚板40を小さくでき、取扱い性を良くできると共に、棚板40自体の奥側と手前側の両部に穴あけ加工をする必要がないので、製造コストを安く抑えることができる。
そして、棚板40が被調理品38を載せる面に凸部54を有し、その凸部54により被調理品38を下から支えるようにしており、それによって、被調理品38と棚板40の被調理品38を載せた面との間に図9に示した隙間Gができ、この隙間Gを上述の調理室10内に噴出された熱風が通り、被調理品38を下から加熱するから、被調理品38の下面も上面と同じように焼き上げることができ、上面と同じような焦げ目を着けることができる。
又、棚板40の上記凸部54を、調理室10の左右方向に延びる複数の凸条としており、これによって、被調理品38と棚板40の被調理品38を載せた面との間の凸部54による隙間Gに入った熱風が、凸部(凸条)54にガイドされて調理室10の左右方向にスムーズに流れ、棚板40の左右両側の開口部41,41から棚板40より下側にもスムーズに流れるので、熱風の乱れを生じないようにできる。特に、熱風吸込み口45,46を調理室10の左右両側壁の下部に有する本構成のものの場合、熱風をその熱風吸込み口45,46にガイドできるものでもあり、熱風の乱れを一層生じないようにできる。
更に、棚板40の周縁に立上げ部53を設けることにより、棚板40を浅皿状としており、それによって、被調理品38と棚板40の被調理品38を載せた面との間の前記凸部54による隙間Gに入った熱風が、立ち上げ部53に阻害されて一時的に溜まり、被調理品38の下面を確実に加熱することができる。又、被調理品38から滴る水、油等も棚板40に溜まるので、それらが調理室10の底部に落下してそれを汚すことを防止することもできる。
併せて、その場合、立上げ部53の高さHを棚板40の凸部54の高さhより大きくしており、それによって、被調理品38と棚板40の被調理品38を載せた面との間の前記凸部54による隙間Gに入った熱風を立ち上げ部53により一時的に溜めることがより確実にできて、被調理品38の下面を一層確実に加熱することができる。
そのほか、棚板40の凸部54の上端部には凹部55を設けており、この凹部55がなければ、図17及び図18に示すようなフランクフルトやアメリカンドッグなど円柱状の被調理品38は、調理室10内に噴出された熱風の風圧で転がり、棚板40から落下することも考えられるが、凹部55があることで、円柱状の被調理品38もその凹部55に係止されて転がりが防止され、棚板40から落下することが避けられる。よって、被調理品38が調理室10内に噴出された熱風から逃げず、具合良く焼き上げることができる。
なお、凸部54の上端部には凹部55に代えて凸部を設けても良い。このようにしても、被調理品38の転がり、落下を防止することができる。
以上に対して、図19ないし図21は本発明の第2及び第3実施例(第2及び第3の実施形態)を示すもので、それぞれ、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
[第2実施例]
図19及び図20に示す第2実施例においては、前述の浅皿状の棚板40に代えて、平板状の棚板101を用いるようにしている。図19は棚板101の表面、図20は裏面を示している。この棚板101の表面には前述の凸部54を設けており、凸部54の上端部には凹部55を形成している。棚板101の裏面には、四隅にほゞL字形の凸部102を形成しており、この凸部102は前述の棚板40の裏側の外底部68のコーナー部に相当するものであり、棚板101は、この凸部102を前記載置枠57の内枠62の内側に嵌めて位置決めされる。
このようにしても、第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。
[第3実施例]
図21に示す第3実施例においても、前述の浅皿状の棚板40に代えて、平板状の棚板201を用いるようにしている。図21は棚板201の表面を示している。この棚板201の表面には前述の凸部54を設けているが、この場合の凸部54の上端部には凹部55を形成していない。このように凹部55は必ずしも必要なものではない。棚板201の裏面には、図示しないが、上述同様のほゞL字形の凸部102を形成している。そして、この棚板201には、それ自体の左右両側部と奥側部及び手前側部に穴あけ加工をしており、それによって、棚板40の左右両側と奥側及び手前側に、前述の開口部41〜44に代わる開口部202〜205を形成している。
このようにしても、やはり第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。
なお、熱風吸込み口45,46は調理室10の底部、中でもその中央部の下方に回転アンテナ51を設けた関係上、そこを避けた最良の位置として左右両側壁の下部に設けている。
但し、マイクロ波加熱機能も必ずしも必要とはしない。
このほか、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
本発明の第1実施例を示す内部構造の縦断正面図(熱風の流れを示す模式図) 内部構造の縦断側面図(熱風の流れを示す模式図) 全体の外観斜視図 外殻の一部を取除いて内部構造を示す後側からの斜視図 外殻の一部を取除いて内部構造を示す前側からの斜視図 熱源ボックスの下側からの斜視図 棚板の表側からの斜視図 棚板の裏側からの斜視図 被調理品を載置した棚板の図7A−A線に沿う断面図 載置枠の斜視図 棚板とこれを載置した載置枠の斜視図 載置枠とこれを支持する片側部分の斜視図 載置枠とこれを支持する片側部分を載置枠押込み状態で示す側面図 載置枠とこれを支持する片側部分を載置枠引出し状態で示す側面図 棚板を載置した載置枠とこれを支持する両側部分を図14のB−B線に沿う断面で示す図 制御装置の電気的構成図 図9とは異なる被調理品を載置した棚板の図7A−A線に沿う断面図 図9とは異なる被調理品を載置した棚板の図7C−C線に沿う断面図 本発明の第2実施例を示す図7相当図 図8相当図 本発明の第3実施例を示す図7相当図
符号の説明
図面中、1は加熱調理器、10は調理室、12はヒータ、15はブロア、18は熱風生成装置、20は熱風帰還左ダクト、21は熱風帰還右ダクト、26は制御装置、33は調理室の天井部、37は噴出口、38は被調理品、40は棚板、41は左開口部、42は右開口部、43は奥開口部、44は手前開口部、45は熱風左吸込み口、46は熱風右吸込み口、53は立上げ部、54は凸部、57は載置枠、wは棚板の横幅、Wは載置枠の横幅、dは棚板の奥行、Dは調理室の奥行、101,201は棚板、202〜205は開口部を示す。

Claims (1)

  1. 被調理品を収納する調理室と、
    この調理室内に被調理品を置くための耐熱材から成り、被調理品を載置する部分が無孔状又はほゞ無孔状を成す棚板と、
    ヒータとブロアを有する熱風生成装置とを具え、
    前記棚板の左右両側に開口部を有して、前記熱風生成装置で発生させた熱風を前記調理室の天井部に設けた噴出口から高速噴流にして前記棚板に載置した被調理品に衝突させて加熱し、衝突後に前記棚板の左右両側の開口部を通って棚板より下側に流れた熱風を前記調理室の左右両側壁の下部に設けた熱風吸込み口から前記ブロアにより吸込み前記熱風生成装置に戻して循環させるようにすると共に、
    前記棚板が、前記被調理品を載置する面に、被調理品を下から支える凸部を、前記調理室の左右方向に延びる複数の凸条で有する構成としたことを特徴とする加熱調理器。
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