以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
この実施形態では、画像記録装置として、プリンタ機能(印字機能)、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有する多機能装置(MFD:Multi Function Device)1を例示するが、画像記録装置は、少なくともプリンタ機能を有する装置として実現されていればよい。
図1は、実施形態の多機能装置1の外観斜視図である。多機能装置1は、その合成樹脂製の本体ケース(ハウジング)2(本発明の装置本体に相当)の上部に、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読み取りなどのための画像読取装置(スキャナ部)3が配置されている(図2参照)。画像読取装置3は、原稿を読み取って画像データ(写真データや文書データ等も含む)を作成する(スキャナ機能)。
多機能装置1はそのコピー機能を用いて、画像読取装置3で作成した画像データを、被記録媒体であるシート状の用紙(本発明のシートに相当)に、画像(又は写真)として記録することができる。また多機能装置1はそのファクシミリ機能を用いて、画像読取装置3で作成した画像データを、電話通信網を介して送信することができる。さらに、多機能装置1は、画像読取装置3で作成した画像データを、ケーブル等を介して接続したパーソナルコンピュータ等に送信することもできる。
本実施形態では、画像読取装置3は、所謂フラットベッドスキャナとして構成されている。多機能装置1は、その天板として開閉自在に設けられた原稿カバー4の下側に、静止原稿を読み取るための読取用ガラス5及びイメージセンサ6が設けられている(図3参照)。イメージセンサ6は、X軸方向(図1参照)に長いCIS(Contact Image Sensor)を採用しているが、CCD(Charge Coupled Devise)を用いてもよい。読取用ガラス5に、画像読み取りの行われる原稿が載置され、読取用ガラス5の下方をイメージセンサ6がY軸方向(図1参照)に往復移動して、画像の読み取りを行う。
原稿カバー4には、自動原稿搬送機構であるオート・ドキュメント・フィーダ(ADF;Auto Document Feeder)7が設けられている。ADF7は、原稿トレイ8(図1では閉じた状態を図示)に載置された原稿を1枚ずつ、移動原稿を読み取るための読取用ガラス(不図示)上に搬送し、その読取用ガラスの下方に静置させたイメージセンサ6で原稿の読み取りを行う。読み取られた原稿は、原稿用排出トレイ9に排出される。
多機能装置1の前面上部には、各種動作を指令するために、操作ボタンや液晶表示部を備える操作パネル10が設けられている。また、操作パネル10の下方には、記憶媒体である各種小型メモリカードを装填可能なスロット部11も配置されている。
多機能装置1の内部構成について説明する。図2及び図3に示すように、本体ケース2の中央部に記録部12(本発明の画像記録部に相当)が備えられている。記録部12にはインクジェット式の記録ヘッド13が配置されていて、本体ケース2の内部に収納された図示しないインクカートリッジから、可撓性を有するインク供給管(チューブ)を介して、各色のインクがそれぞれ独立して記録ヘッド13に供給される。
記録部12の後方側には、一対の搬送ローラ63及びピンチローラ64が設けられている。また、記録部12の前方側には、一対の排紙ローラ66及び拍車67(本発明の第2搬送手段に相当)が設けられている。搬送ローラ63及び排紙ローラ66は、図示しないモータから回転駆動力が伝達されて回転される。搬送ローラ63及びピンチローラ64は、上段給紙カセット装置20又は下段給紙カセット装置30のいずれかから搬送された記録用紙を狭持して記録部12へ搬送する。また、排紙ローラ66及び拍車67は、記録部12によって画像が記録された記録済みの用紙を狭持しつつ前方へ向けて搬送して、上段給紙カセット装置20の上面へ排出する。
多機能装置1の前面下部には、図1及び図4に示すように、開口部14(本発明の開口に相当)が設けられている。開口部14に連続して、本体ケース2の内部に収容部16(本発明の収容空間に相当)が設けられている。収容部16は本体ケース2の底部に区画形成された内部空間である。収容部16に対して開口部14から挿抜可能(実質上水平方向に出し入れ可能)なように、上段給紙カセット装置20(本発明のシート保持装置に相当)と下段給紙カセット装置30とが配置されている。以下、合成樹脂製の本体ケース2の開口部14がある側を前(手前)といい、これを基準に装置の後(奥)、左右、という。また、前述したように、多機能装置1の前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向とする。
開口部14の左右の内側面には、上段及び下段給紙カセット装置20,30を適正な位置に挿入するための、レール状の案内部が設けられている。図4に上段給紙カセット装置20用の案内部15の一部を図示している。この案内部15は、後述する排紙トレイ部40(本発明のカバーに相当)の上面と当接する位置に配置されている。
上段及び下段給紙カセット装置20,30は、いずれも被記録媒体である用紙を多数枚、堆積収容できるように形成されている。上段及び下段給紙カセット装置20,30は、収容されている用紙の給送方向と一致するように多機能装置1に対して挿抜され、上段及び下段給紙カセット装置20,30の挿抜方向の奥側が、用紙の給送方向の下流側となる。
上段給紙カセット装置20の奥側(図2及び図3の右側)には、上段分離傾斜板21が設けられている。また、上段給紙カセット装置20の底面の奥側寄りの位置に対向して、上段給紙アーム22の先端に軸支された上段給紙ローラ23(本発明の第1搬送手段に相当)が配置されている。上段給紙アーム22は下向きに付勢されていて、上段給紙カセット20に堆積収容されている用紙の最上面に、上段給紙ローラ23が当接するようになっている。図示しない駆動源から駆動力が上段給紙ローラ23に伝達されて回転すると、上段傾斜分離板21との公知の協働作用によって、最上層の用紙Pが1枚ずつ分離されて、上方に搬送される。
上段用紙搬送路24は、ケース本体2の内部に形成されており、上段分離傾斜板21から上方に向かった後、多機能装置1の前面側へ曲がるUターン形状に形成されている。上段用紙搬送路24に沿って給送された用紙Pは記録部12で画像記録が行われた後に、排紙トレイ部40の上面に排出される。上段給紙アーム22は、上段給紙カセット装置20を挿抜する動作に伴って、昇降動作するように構成されていて、上段給紙ローラ23が上段傾斜分離板21と衝突することを回避できる。なお、排紙トレイ部40の上面が本発明の保持面に相当する。
下段給紙カセット装置30も基本的に上段給紙カセット20と同様に形成されていて、その奥側(図2及び図3の右側)には、下段分離傾斜板31が設けられている。また、下段給紙カセット装置30の底面の奥側寄りの位置に対向して、下段給紙アーム32の先端に軸支された下段給紙ローラ33が配置されている。下段給紙アーム32は下向きに付勢されていて、下段給紙カセット30に収容されている用紙Pの最上面に、下段給紙ローラ33が当接するようになっている。図示しない駆動源から駆動力が下段給紙ローラ33に伝達されて回転すると、下段傾斜分離板31との公知の協働作用によって、最上層の用紙Pが1枚ずつ分離されて、上方に案内される。
下段用紙搬送路34は、上段用紙搬送路24よりも外側に設けられていて、下段分離傾斜板31から上方に向かった後、多機能装置1の前面側へ曲がるUターン形状(上段用紙搬送路24よりも大きな円弧状)に形成されている。下段用紙搬送路34を経て搬送された用紙は記録部12で画像記録が行われた後に、排紙トレイ部40に排出される。下段給紙アーム32は、下段給紙カセット装置30を挿抜する動作に伴って、昇降動作するように構成されていて、下段給紙ローラ33が下段傾斜分離板31と衝突することを回避できる。
上段給紙カセット装置20は、用紙の収納部である上段給紙カセット部25(本発明のシート保持トレイに相当)の上部に、前述した排紙トレイ部40が重なるように設けられている。排紙トレイ部40には、上段給紙カセット装置20から給送された用紙だけでなく、下段給紙カセット装置30から給送された用紙も排出される。用紙は排出された順番に堆積されて排紙トレイ部40上に保持される。
上段給紙カセット装置20の上段給紙カセット部25は、実質的に上面が開放した箱状に形成されていて、排紙トレイ部40は、上段給紙カセット部25に収容される用紙に対する防塵用のカバーも兼ねたものであり、実質的に薄い平板状を呈している。従って、排紙トレイ部40は、上段給紙アーム22と干渉する部分を除く(少なくとも開口部14に近い部分の)上段給紙カセット部25の上部開口を、蓋状に被覆するように形成されている。
上段給紙カセット部25は、挿抜方向(X軸方向)の奥側(図2及び図3の右側)に位置する第1給紙カセット部26(本発明のトレイ本体に相当)と、この第1給紙カセット部26に対して挿抜方向(X軸方向、本発明の第1方向に相当)に沿ってスライドして伸縮可能に設けられた第2給紙カセット部27(本発明の拡張トレイに相当)とを有している。詳細には、図3に示すように、第2給紙カセット部27はその用紙載置板27a(底壁)が、第1給紙カセット部26の用紙載置板26aの下方に重なるように組み付けられている。第2給紙カセット部27の手前側の側面(前面)には、取っ手部25aが設けられている。
図7(a)に示すように、第1給紙カセット部26のY軸方向中央部には挿通部96(本発明のレール挿通部に相当)が設けられている。挿通部96は、用紙載置板26aの手前側端部からX軸方向へ延設されている。挿通部96は、用紙載置板26aの上面から裏面側へ凹んだ凹部と、該凹部の上端縁からY軸方向へ突出する庇部とから構成されている。凹部と庇部とによって囲まれた空間に後述するレール99(本発明のレールに相当)が挿通される。
図7(b)に示すように、第2給紙カセット部27のY軸方向中央部にはレール99が設けられている。レール99は、用紙載置板27aの後方側端部からX軸方向へ延設されている。レール99が挿通部96内に挿通されることにより、第2給紙カセット部27は、その用紙載置板27aが第1給紙カセット部26の用紙載置板26aと重なった状態で、第1給紙カセット部26に組み付けられる。また、第2給紙カセット部27が第1給紙カセット部26に対してレール99を基準に挿抜方向(X軸方向)へスライド可能に支持される。
後述するように、第2給紙カセット部27は、第1給紙カセット部26に対して縮んだ位置と伸びた位置とその中間位置との3段階に保持可能に設けられている。第2給紙カセット部27をスライドさせてX軸方向に最も伸ばしたときには、A3サイズの用紙を収容できる(A3サイズの長手方向がX軸方向に沿うように収容)。第2給紙カセット部27を最も縮めたときには、A4サイズ以下の用紙をその長手方向がY軸方向に沿うように収容できる。
また、上段給紙カセット部25には、用紙のX軸方向に沿う側縁を案内する1対のサイドガイド28(図2参照)が設けられていて、公知の連動機構によりサイドガイド28のY軸方向の間隔の広狭調節を任意に行うことができる。サイドガイド28の間隔を調節することで、収容される用紙は、上段給紙カセット部25に対してセンター合わせされる。サイドガイド28による調整と、第2給紙カセット部27の伸縮による調整により、上段給紙カセット部25に、L判サイズからA3サイズまでの用紙をセットすることができる。
一方、下段給紙カセット装置30も、用紙の収容部である下段給紙カセット部35は、挿抜方向(X軸方向)の奥側(図2及び図3の右側)に位置する下段第1給紙カセット部36と、この下段第1給紙カセット部36に対して挿抜方向に沿ってスライドして伸縮可能に設けられた下段第2給紙カセット部37とを有している。下段第2給紙カセット部37は、下段第1給紙カセット部36に対して縮んだ位置と伸びた位置の2段階に変更可能に設けられている。
下段給紙カセット部35も、上段給紙カセット部25と同様に、サイドガイド38(図2参照)のY軸方向の間隔の広狭調節を任意に行うことができ、収容される用紙を下段給紙カセット部35に対してセンター合わせすることができる。また、下段第2給紙カセット部37の手前側の側面(前面)には、取っ手部35aが設けられている。
排紙トレイ部40は、上段給紙カセット装置20の第1給紙カセット部26の上部に重なる第1排紙トレイ部41(本発明の第1カバーに相当)と、第1排紙トレイ部41に対して挿抜方向に沿ってスライドして伸縮可能に設けられた第2排紙トレイ部42(本発明の第2カバーに相当)とを有している。第1排紙トレイ部41は、第2排紙トレイ部42のスライド位置にかかわらず常に第1給紙カセット部26の上部開口を覆う。図5(a)及び図5(b)に示すように、第1排紙トレイ部41が第2排紙トレイ部42の下方に重なるように組み付けられている。第2排紙トレイ部42の手前側の部位には、取っ手部45が設けられ、第2排紙トレイ部42の上面には、左右一対のリブ46がX軸方向に延びて突設されていて、載置される用紙の手前側の端部を上向きに傾斜させて、用紙の脱落防止を図っている。
排紙トレイ部40は、その奥側に設けられたヒンジ部43によって、上段給紙カセット部25に対して回動可能に軸支している。つまり、排紙トレイ部40は、奥側(開口部14に遠い側)を中心として、手前側(開口部14に近い側)が上方に回動するので、使用者は、排紙トレイ部40の取っ手部45を把持して上方に持ち上げることで、上段給紙カセット部25に用紙をセットする作業を行うことができる。なお、後述するように、排紙トレイ部40の回動は、上段給紙カセット装置20が、多機能装置1から外された状態で可能となる。
図6(a)及び図6(b)に示すように、排紙トレイ部40における第2排紙トレイ部42の挿抜方向の手前側(開口部14に近い側)の左右両端部には、係合凹部44が下向き開口して形成されている。一方、係合凹部44に雌雄嵌合するように、上段給紙カセット部25における第2給紙カセット部27の手前側の左右両端部には、ボス部29が上向きに突設されている。ボス部29と係合凹部44とは雌雄嵌合した状態のまま、第2排紙トレイ部42と第2給紙カセット部27とは伸縮することができる。つまり、第2排紙トレイ部42のスライドは、第2給紙カセット部27のスライドと連動して一体的に行うことができる。したがって、第2排紙トレイ部42は第2給紙カセット部27の上部開口を覆いつつ第2給紙カセット部27と一体的にスライドする。
排紙トレイ部40における第2排紙トレイ部42の上面の左右両端には、多機能装置1の開口部14に設けた案内部15が当接している(図4参照)。従って、第2排紙トレイ部42と第2給紙カセット部27とが一体的にスライドして伸びた第1の状態(図5(b)に示す状態)にあるときには、その上下方向のがたつきが案内部15による拘束で抑制される。また、上段給紙カセット装置20は、開口部14に挿入された状態では、第2排紙トレイ部42をヒンジ部43を中心に回動させる(開く)ことができないので、用紙をセットする際には、開口部14から抜いて作業することになる。
図7(a)、(b)に示されるように、上段給紙カセット部25には、第2給紙カセット部27の第1給紙カセット部26に対する伸縮位置を位置決めして固定(保持)したり、スライドを可能にしたりするためのロック手段50(本発明のロック機構に相当)が設けられている。ロック手段50を設けて、第2給紙カセット部27の位置を確実に保持することで、不用意に第2給紙カセット部27が伸びたり縮んだりすることを防止している。なお、図7(a)は第1給紙カセット部26の下面図であり、図7(b)は第2給紙カセット部27の上面図である。
ロック手段50として、第2給紙カセット部27の用紙載置板27aの上面には、第2給紙カセット部27の一方の側板27b(図1の右側)寄りの位置に、X軸方向(挿抜方向)に延びるロック杆51(本発明のロック部材に相当)が配置されている。ロック杆51は、第2給紙カセット部27の前板27cに近い位置(挿抜方向の手前側)に突設された回動軸56に、水平方向に揺動可能となるように用紙載置板27aに軸支されている。
この実施形態では、ロック杆51に操作部52(本発明の操作部材に相当)が設けられている。操作部52は、L字状に屈曲形成されて、回動軸56の位置から前板27cに沿ってY軸方向に延びている。つまり、操作部52は、第2給紙カセット部27の前板27cの近傍に設けられている。言い換えると、操作部52は、第2給紙カセット部27において、挿抜方向の手前側(第1給紙カセット部26から離れる向き側)の端部近傍に設けられている。なお、操作部52は、回動軸56を中心に軸周りに変位可能であり、突起部53が後述する係合受け部61a〜61cのいずれかに係止可能な位置(第1位置)と、係合受け部61a〜61cから外れる位置(第2位置)との間で変位する。
また、ロック杆51の後方側の先端は、用紙載置板27aの中心線に向かってL字状に屈曲形成されていて、第1給紙カセット部26に係合するための突起部53になっている。
ロック杆51に対応するように、第1給紙カセット部26の用紙載置板26aの下面側には、X軸方向に延びる案内レール60が一体形成されている。案内レール60には、突起部53と引っ掛かり可能な係合受け部が、X軸方向に沿って3箇所(係合受け部61a〜61c)設けられている。係合受け部61a〜61cは、突起部53が係止できるように、側方に向かって開口する凹状に形成されている。ロック杆51は、回動軸56を中心にして、突起部53が係合受け部61a〜61cに係止するロック位置と、突起部53が係合受け部61a〜61cから外れるアンロック位置との間で揺動するよう支持されている。
詳細には、奥側に設けた係合受け部61aにロック杆51の突起部53が係止した状態は、第2給紙カセット部27が第1給紙カセット部26に対して最も縮んだ状態を保持する第1ロック状態である。この状態では、上段給紙カセット部25に、A4サイズの用紙を、その長手方向をY軸方向に沿わせて載置したり、A4サイズより小さい用紙を載置したりするのに好適である。
また、手前側に設けた係合受け部61cにロック杆51の突起部53が係止した状態は、第2給紙カセット部27が第1給紙カセット部26に対して最も伸びた状態を保持する第2ロック状態である。この状態で、A3サイズの用紙を、その長手方向をX軸方向に沿わせて載置するのに好適である。
また、中間に設けた係合受け部61bにロック杆51の突起部53が係止した状態は、第2給紙カセット部27が中途位置まで伸びた状態を保持する第3ロック状態である。この状態では、A4サイズの用紙を、その長手方向をX軸方向に沿わせて載置するのに好適である。
そして、ロック杆53が、係合受け部61a〜61cのいずれにも係止していない状態は、第2給紙カセット部27のスライドを可能とするアンロック状態である。案内レール60における係合受け部間には、各係合受け部61a〜61cへの係脱を滑らかに行うため平面視で左右方向に傾斜する傾斜面を設けている。
この実施形態では、第2給紙カセット部27の第1給紙カセット部26に対する伸縮位置を3段階(3箇所)に切り替えできるようにしているが、伸縮位置はこれに限定するものではなく、最も伸びた位置と最も縮んだ位置の2段階(2箇所)であっても、もっと多段階であってもよい。
一方、第2排紙トレイ部42には、図6(a)に示すように、ロック杆51の操作部52を外部に露出するために、板面の手前右側の部位に人の手指が入る程度の貫通部55(本発明の貫通口に相当)が穿設されている。なお、貫通部55及び操作部52を多機能装置1に向かって右側に設けているのは、使用者が右手で操作するときの利便性を配慮したものである。
これにより、使用者が貫通部55の中に手指を入れると、貫通部55の下方に位置するロック杆51の操作部52に触れることができる。操作部52に入れた指で、操作部52を手前側に引いて第1位置から第2位置へ変位させると、ロック杆51が回動軸56を中心に水平方向(平面視時計周り)に揺動して、先端の突起部53を、係合受け部61a(61b、61c)から外すことができる。これにより、ロックが解除される。
例えば、ロック杆51の突起部53が係合受け部61aに係止している状態(第1ロック状態)で、親指を第2給紙カセット部27または第2排紙トレイ部42の前面側に添えて、使用者が貫通部55に人差し指を入れて操作部52を手前側に引き、そのまま第2排紙トレイ部42を手前側(開口部14の外側)に引っ張る。すると、係合凹部44とボス部29との雌雄嵌合により、第2給紙カセット部27と第2排紙トレイ部42とが一体的に動作して、挿抜方向の手前側に引き出すことができる。そして、アンロック状態で前後に自由に移動させて、第2ロック状態(係合受け部61c)または第3ロック状態(係合受け部61b)に係止させる。
もちろん、第2給紙カセット部27と第2排紙トレイ部42のスライド動作のために、それぞれの取っ手部25a、45を把持して動作させてもよい。また、貫通部55は、第2排紙トレイ部42の手前側に設けられているので、貫通部55を介して上段カセット装置20に収容されている用紙の残量を確認することもできる。
上記構成の多機能装置1で、例えば、あらかじめ、下段給紙カセット装置30にA3サイズの用紙を収容し、上段給紙カセット装置20にA4サイズに用紙をその長手方向をX軸方向に沿わせて収容しているとする。つまり、上段給紙カセット装置20は、ロック杆51の突起部53を、案内レール60の係合受け部61aに係合させた第1ロック状態で使用されている。この場合、図9(a)に示すように、上段給紙カセット装置20では、第2給紙カセット部27が第1給紙カセット部26に対して最も縮んだ状態にあり、第2排紙トレイ部42も第1排紙トレイ部41に対して最も縮んだ状態にある。
このような多機能装置1では、上段給紙カセット装置20を指定して、A4サイズの用紙を給紙して記録を行う場合には、排紙トレイ部40に用紙が排出されてきても、用紙が脱落することなく載置させることができる。
ところが、この状態のままで、下段給紙カセット装置30を指定して、A3サイズの用紙を給紙して記録を行う場合がある。つまり、使用者が、排紙トレイ部40がA3サイズに対応する大きさに引き伸ばされていないことを忘れている場合等である。このような場合に本実施形態では、前述したように、第2排紙トレイ部42の手前側に穿設されている貫通部55に指を入れると、直ちにロック手段50の操作部51に触れることができる。従って、操作部51を手前に引きながら、第2給紙トレイ部27と一体的に第2排紙トレイ部42を引き出して、図9(b)に示すように、その載置面積を広げることができるので、排出された用紙の脱落を未然に防ぐことが可能となるのである。
また、使用者が第2排紙トレイ部42の手前側に穿設されている貫通部55に指を入れて操作部51を手前に引きながら第2排紙トレイ部42を引き出す場合には、第2排紙トレイ部42は、第2給紙カセット部27と一体的に伸びるので、すなわち、第2排紙トレイ部42が第2給紙カセット部27と分かれて単独で延びることがないので、その剛性が確保され、排出された用紙を安定して載置させることができる。
また、排紙トレイ部40は、上段給紙カセット部25に収容された用紙の防塵のためのカバーを兼ねている。そのため、仮に貫通部55を具備しない排紙トレイ部40で密閉状に覆っていると、上段給紙カセット部25の内部にロック手段50の操作部51が設けられていても、上段給紙カセット装置20全体を多機能装置1から引き出して、排紙トレイ部40を開かないと、操作部51に触れることができない。しかしながら、上述したように、操作部51を露出させるための貫通部55を第2排紙トレイ部42に穿設することで、上段給紙カセット装置20を多機能装置1に挿入した状態のままロック手段50を操作することが可能である。そのため、上述したように、記録動作が開始された後でも、速やかに排紙トレイ部40を伸縮することができる。
なお、操作部52に代えて、図8に示すように、ロック手段50の操作部152を、第2給紙トレイ部27の手前側の側板を貫通させて、その外面(前面)に配置し、貫通部を介さなくても、操作部152に触れることができるようにしてもよい。この場合、不用意に手が当たってロック手段50が解除されないように注意が必要となるものの、使用者がロック手段50の操作部152をより一層操作し易いという利点がある。第2実施形態では、操作部152の近傍にとなる第2排紙トレイ部42の位置に、指を掛けるためと、用紙残量の確認のために貫通部155を設けている。
例えば、操作部152を親指で押しながら、人差し指を貫通部155に掛けると、ロック手段50を解除しながら、第2排紙トレイ部42と第2給紙トレイ部27とを一体的にスライド動作させることが可能となる。貫通部155に替えて、手指を引っ掛けることのできるくぼみ状の取っ手部を設けてもよい。この場合には、上段給紙カセット部25の防塵性が高められるという利点がある。
ところで、上述の如く構成された多機能装置1では、貫通部55が設けられているものの、第2排紙トレイ部37で第2給紙カセット部27が覆われているため、上段給紙カセット部25に収容された用紙のサイズを確認することができない場合がある。例えば、第2給紙カセット部27が第1給紙カセット部26に対して最も伸びた状態(図9(b)参照)にあるときは、上段給紙カセット部25内の用紙がA3サイズなのか、A4サイズなのか、或いはB5サイズなのか不明である。また、A4サイズの用紙が収容されているとしても、その用紙が長手方向をX軸方向に合わせて配置されているのか、Y軸方向に合わせて配置されているのか不明である。仮に、上段給紙カセット部25内にA3サイズの用紙、或いは長手方向をX軸方向へ合わせて配置されたA4サイズの用紙が収容されている場合に、操作部52がユーザによって操作されて、第2給紙カセット部27が図9(b)に示す状態から図9(a)に示す状態(第2給紙カセット部27が第1給紙カセット部26に対して最も縮んだ状態)まで押し込まれると、収容されている用紙が押さえつけられて変形或いは損傷することになる。また、用紙が押し込まれて上段用紙搬送路24へ進入して、上段用紙搬送路24内で詰まるおそれがある。
上記した問題に鑑みて、この実施形態の多機能装置1においては、上段給紙カセット装置20が開口部14から内部へ挿入されて給送可能な位置に装着された状態(装着状態)で、第1給紙カセット部26に対して第2給紙カセット部27がX軸方向において後方側へスライドできないように規制する規制機構70(本発明の規制機構に相当)が設けられている。なお、この規制機構70は、上段給紙カセット装置20が装着状態にあるときに第2給紙カセット部27の後方へのスライドを規制するものであり、上段給紙カセット装置20がケース本体2に対して装着されていない状態(未装着状態)では、第1給紙カセット部26に対する第2給紙カセット部27のX軸方向のスライドを許容する。以下、規制機構70について図10及び図11を参照しながら詳細に説明する。
図10に示すように、規制機構70は、第1給紙カセット部26に設けられた弾性部72(本発明の変位部材に相当)及び突起75(本発明の第1突出部に相当)と、第2給紙カセット部27に設けられた第1リブ79及び第2リブ80(いずれも本発明の係合部に相当)とから構成されている。
弾性部72は、第1給紙カセット部26の一方側(図1の紙面右側)の側板71(側壁)に設けられている。側板71は、第1給紙カセット部26の用紙載置板26aのY軸方向端縁に立設された板状部材である。弾性部材72は、この側板71と一体に形成されている。詳細には、側板71の手前側の端部からX軸方向へ延びるスリット73が側板71に形成されており、このスリット73よりも上側部分が弾性部72となっている。このため、弾性部72は、力が加えられていない状態では側板71と同じ姿勢(図11(a)の実線で示す姿勢)を保持するが、側板71に垂直なY軸方向へ力が加えられると、同方向へ撓まされて、図11(a)の破線で示す姿勢に変位する。換言すると、弾性部材はY軸方向へ変位可能に構成されている。
突起75は、弾性部72の外側面71aに設けられている。詳細には、突起75は、外側面71aの手前側の端部であって、その下端に設けられている。突起75は、外側面71aから該外側面71aに垂直な方向へ突出するように設けられている。この突起75は、上段給紙カセット装置20がケース本体2に装着された状態で、収容部16を形成するケース本体2の内側壁77に当接する位置に配置されている。突起75に内側壁77に当接すると、内側壁77によって付勢されて、弾性部72が第1給紙カセット部26の内部側へ撓む。突起75の突出量は、図11(a)に示すように、内側壁77に当接した際に内側壁77から押圧力を受けて、弾性部72の手前側の端部76が第2排紙トレイ部42の側板78(側壁)に当接するまで撓まされる程度に設定されている。
各リブ79,80は、第2排紙トレイ部42の一方側(図1の紙面右側)の側板78に設けられている。側板78は、第2排紙トレイ部42の上面のY軸方向端縁に立設された板状部材であり、各リブ79,80は側板78に一体に形成されている。各リブ79,80は、側板78の外側面78aに設けられている。詳細には、各リブ79,80は、外側面78aから該外側面78aに垂直な方向へ突出するように設けられている。各リブ79,80は、第2排紙トレイ部42の上面に垂直な方向(X軸方向及びY軸方向双方に垂直な鉛直方向)に延出され、同方向に長くX軸方向に細幅の形状を有する。
各リブ79,80は、第1給紙カセット部26に対する第2給紙カセット部27の位置決め固定位置(ロック位置)に応じた位置に配置されている。上述したように、第2給紙カセット部27は伸縮位置を3段階(3箇所)に切り替えできるようにしてある。第1リブ79は、第1給紙カセット部26に対して第2給紙カセット部27が最も伸ばされて上述の第2ロック状態でロックされた際に弾性部72の端部76と係合可能な位置に配置されている。第2リブ80は、第1リブ79よりも手前側へ隔てられており、第1給紙カセット部26に対して第2給紙カセット部27が中途位置まで伸ばされて上述の第3ロック状態でロックされた際に弾性部72の端部76と係合可能な位置に配置されている。
このように規制機構70が構成されているため、例えば、第1給紙カセット部26に対して第2給紙カセット部27が最も伸ばされた状態(図5(b)参照)で上段給紙カセット装置20が収容部16に装着されると、図11(a)に示すように、内側壁77に突起75が当接する。これにより、弾性部72は内側壁77によって付勢されて変位し、その端部76が側板78の外側面78aに当接する。この状態で、ロック手段50によるロックが解除されて第2給紙カセット部27がX軸方向(挿抜方向)の挿入向きへ押し操作されても、第1リブ79が弾性部72の端部76に引っ掛かって、それ以上スライド移動できなくなる。なお、第1給紙カセット部26に対して第2給紙カセット部27が中途位置まで伸ばされた状態で上段給紙カセット装置20が収容部16に挿入された場合も、同じように、第2給紙カセット部27のスライドが規制される。
一方、第1給紙カセット部26に対して第2給紙カセット部27が最も縮められた状態(図5(a)参照)で上段給紙カセット装置20が収容部16に挿入された場合は、X軸方向(挿抜方向)の脱抜向きへの第2給紙カセット部27のスライドは許容される。具体的には、ロック手段50によるロックが解除されて、第2給紙カセット部27が手前側へ引き操作されると、図11(b)に示されるように、突起80が弾性部72の内側面に当接する。この状態から更に引き出されると、図示するように側板78が撓まされて、或いは、図示しないが内側壁77も撓まされて、突起80は、係止されずに弾性部72の内側面を摺動する。そのため、挿入向きへのスライドは規制されるが、脱抜向きへの第2給紙カセット部27のスライドは可能となる。
このような規制機構70が設けられているため、上段給紙カセット20の装着状態においては、第1給紙カセット部26に対する挿入向きへの第2給紙カセット部27のスライドが規制される。これにより、収容されている用紙が変形したり損傷したりすることがなく、また、上段用紙搬送路24内で用紙が詰まることもない。また、第1給紙カセット部26に対する脱抜向きへ第2給紙カセット部27をスライドさせる場合は、収容されている用紙は何ら圧力を受けることがないので、言うまでもなく、用紙が変形したり損傷したりすることはない。
以下、図12から図14を参照して、本発明の規制機構の変形例である規制機構90について説明する。規制機構90は、収容部16内に配置された爪93(本発明の第2突出部に相当)と、第1給紙カセット部26の用紙載置板26aに形成された開口95(本発明の第1挿通口に相当)と、レール99に設けられた第1突部97及び第2突部98(いずれも本発明の第3突出部に相当)とから構成されている。
図12に示すように、爪93は、開口部14の内部、つまり、収容部16内に配置されている。収容部16内には、Y軸方向に延びる支持板92が設けられている。収容部16に上段給紙カセット装置20が装着されたときに、その底部が支持板92で支持される。この支持板92の上面92a(支持面)において、Y軸方向の中央部に爪93が設けられている。爪93は、図14に示すように、上面92aから上方へ延びる基部93aと、基部93aの上端において手前側の端部に設けられた鉤部93b(本発明の当接部に相当)と、基部93aの上端において後方側の端部に設けられた傾斜部93c(本発明の傾斜部に相当)とを有する。
鉤部93bは、基部93aの上端から手前側へ延出され、上面92aに平行な部材である。傾斜部93cは、基部93aの上端から後方側へ下り支持板92の上面92aに至る傾斜面を有する部材である。
開口95は、図13に示すように、挿通部96の裏面に形成されている。この開口95は、爪93が挿通可能なサイズに形成されており、例えば、X軸方向に長い矩形状に形成されている。なお、開口95及び爪93は、上段給紙カセット装置20がケース本体2に装着された状態で、開口95に爪93が挿入可能な位置関係に配置されている。開口95に爪93が挿入されることにより、爪93の基部93a及び鉤部93bが挿通部96の内部に挿通される。
各突部97,98は、レール99の裏面側に突出するように設けられている。換言すると、各突部97,98は、レール99が挿通部96に挿入された際に、開口95と対向する側の面に設けられている。各突部97,98は、レール99に一体に形成されている。各突部97,98は、レール99の幅内においてY軸方向へ延出されたリブ状に形成されている。
各突部97,98は、第1給紙カセット部26に対する第2給紙カセット部27の位置決め固定位置(ロック位置)に応じた位置に配置されている。上述したように、第2給紙カセット部27は伸縮位置を3段階(3箇所)に切り替えできるようにしてある。第1突部97は、第2給紙カセット部27が上述の第2ロック状態でロックされた上段給紙カセット装置20(つまり、第1給紙カセット部26に対して第2給紙カセット部27が最も伸ばされた状態の上段給紙カセット装置20)が装着されたときに、爪93と係合可能な位置に配置されている。また、第2突部98は、第2給紙カセット部27が上述の第3ロック状態でロックされた上段給紙カセット装置20が装着されたときに、爪93と係合可能な位置に配置されている。
このように規制機構90が構成されているため、例えば、第1給紙カセット部26に対して第2給紙カセット部27が最も伸ばされた状態(図5(b)参照)で上段給紙カセット装置20が収容部16に挿入されると、図14に示すように、爪93が開口95に挿通される。このとき、爪93の鉤部93bが開口95の縁部に引っ掛かることにより、上段給紙カセット装置20の挿入がとめられて、用紙の給送が可能な位置に配置される。また、鉤部93bは、第1突部97よりも後方側に配置される。この状態で、ロック手段50によるロックが解除されて第2給紙カセット部27がX軸方向(挿抜方向)の挿入向きへ押し操作されると、第1突部97が鉤部93bに当接するため、第2給紙カセット部27がスライド移動できなくなる。そのため、上段給紙カセット20の装着状態においては、第2給紙カセット部27のスライドが規制されることにより、収容されている用紙の変形や損傷、或いは、上段用紙搬送路24内の用紙詰まりが防止される。なお、第1給紙カセット部26に対して第2給紙カセット部27が中途位置まで伸ばされた状態で上段給紙カセット装置20が収容部16に挿入された場合も、同じように、第2給紙カセット部27のスライドが規制される。
一方、第1給紙カセット部26に対して第2給紙カセット部27が最も縮められた状態(図5(a)参照)で上段給紙カセット装置20が収容部16に挿入された場合は、X軸方向(挿抜方向)の脱抜向きへの第2給紙カセット部27のスライドは許容される。具体的には、ロック手段50によるロックが解除されて、第2給紙カセット部27が手前側へ引き操作されると、第1突部97が傾斜部93cに案内されて爪93を乗り越える。そのため、挿入向きへのスライドは規制されるが、脱抜向きへの第2給紙カセット部27のスライドは可能となる。
以下、図15及び図16を参照して、本発明の規制機構の変形例である規制機構100について説明する。規制機構100は、収容部16内に配置された突起片102(本発明の第4突出部に相当)と、第2給紙カセット部27の用紙載置板27aに形成された第1スリット105、第2スリット106及び第3スリット107(いずれも本発明の第2挿通口に相当)とから構成されている。
図15に示すように、突起片102は、開口部14の内部、つまり、収容部16内に配置されている。突起片102は、支持板92の上面92a(支持面)に設けられている。突起片102は、上面92aから上方へ突出する板状部材である。この突起片102は、X軸方向に延設されている。突起片102の上端におけるX方向の両端部は面取りされている。
図16に示すように、各スリット105〜107は、第2給紙カセット部27の用紙載置板27bに形成されており、上面から裏面に貫通している。各スリット105〜107は、突起片102が挿通可能なサイズに形成されており、突起片102の形状に対応して、X軸方向に長い矩形状に形成されている。各スリット105〜107は、ロック杆51の右側(図1の右側)にX軸方向に沿って配置されている。より詳細には、ロック杆51の揺動範囲であって、突起部53が係合受け部61a〜61cから外れた際にロック杆51が配置される箇所に各スリット105〜107が配置されている。したがって、ロック杆51が係合受け部61a〜61cのいずれかと係止した状態でスリット105〜107のいずれかに突起片102が挿通されると、ロック杆51は突起片102に規制されて、ロック位置からアンロック位置へ揺動することができなくなる。なお、各スリット105〜107及び突起片102は、上段給紙カセット装置20がケース本体2に装着された状態で、各スリット105〜107のいずれかに突起片102が位置関係に配置されている。
各スリット105〜107は、第1給紙カセット部26に対する第2給紙カセット部27の位置決め固定位置(ロック位置)に応じた位置に配置されている。上述したように、第2給紙カセット部27は伸縮位置を3段階(3箇所)に切り替えできるようにしてある。第1スリット105は、第2給紙カセット部27が上述の第2ロック状態でロックされた上段給紙カセット装置20(つまり、第1給紙カセット部26に対して第2給紙カセット部27が最も伸ばされた状態の上段給紙カセット装置20)が装着されたときに、突起片102が挿通可能な位置に配置されている。また、第2スリット106は、第2給紙カセット部27が上述の第3ロック状態でロックされた上段給紙カセット装置20が装着されたときに、突起片102が挿通可能な位置に配置されている。また、第3スリット107は、第2給紙カセット部27が上述の第1ロック状態でロックされた上段給紙カセット装置20が装着されたときに、突起片102が挿通可能な位置に配置されている。
このように規制機構100が構成されているため、例えば、第1給紙カセット部26に対して第2給紙カセット部27が最も伸ばされた状態(図5(b)参照)で上段給紙カセット装置20が収容部16に挿入されると、図16に示すように、突起片102が第1スリット105に挿通される。突起片102は、用紙載置板27aの上面に突出する。この状態で、ユーザが操作部52を手前側に引いて第1位置から第2位置へ変位させようとしても、ロック杆51に突起片102して、アンロック位置へ向かおうとするロック杆51の揺動が突起片102によって阻止される。そのため、ロック手段50はロック状態を維持する。したがって、第2給紙カセット部27はX軸方向(挿抜方向)へスライド移動できない。その結果、上段給紙カセット20の装着状態においては、第2給紙カセット部27のスライドが規制されることにより、収容されている用紙の変形や損傷、或いは、上段用紙搬送路24内の用紙詰まりが防止される。なお、第1給紙カセット部26に対して第2給紙カセット部27が中途位置まで伸ばされた状態、又は、第2給紙カセット部27が最も縮められた状態(図5(a)参照)で上段給紙カセット装置20が収容部16に挿入された場合も、同じように、第2給紙カセット部27のスライドが規制される。
なお、上記実施形態では、多機能装置1の開口部14に、上下2段の給紙カセット装置20,30を挿抜できる構成にしているが、開口部14に上段給紙カセット装置20と同様の構成の給紙カセット装置のみを上下2段に挿抜できる形態にしてもよい。この場合は、上段だけでなく、下段の給紙カセット装置にも規制機構70,90,100を設けるようにしてもよい。