ところで、特許文献1のように上下に複数段の給紙カセットを備え、最上段に、特許文献2のようなセカンドトレイ(第2用紙収容体)付きの給紙カセットを配置した場合を想定してみる。この状態で、セカンドトレイ上の用紙に画像を記録しようとすると、セカンドトレイを給紙カセットの上面に対して押し込んだ状態、換言すればセカンドトレイに収容されている用紙が給紙ローラの下方に配置される状態にしなければならない。このセカンドトレイの位置を給紙作用位置とする。すると、セカンドトレイにおける排紙トレイ部の端部と、これを載置している給紙カセットの手前端部との間に上面開放の隙間部分ができる。この状態で上段の給紙カセットより下段の給紙カセットから用紙を給送し記録部で画像を記録したのち、上記最上段のセカンドトレイ付き給紙カセットにおける排紙トレイ部に用紙を排紙したとすると、上記隙間部分に排紙された用紙の先端部分が入り込み、排紙トレイとしての機能が発揮できないおそれがあった。
従って、この不具合を解消するには、上記セカンドトレイを引き出した状態、換言すればセカンドトレイに収容されている用紙が給紙ローラと当接しないように、セカンドトレイを給紙カセットの上面に対して給紙ローラから退避移動させた状態に一旦戻す操作を行う必要がある。すなわち、この操作を行って、給紙カセットの手前端部と排紙トレイ部の端部との間の隙間を無くす必要があるので、その切り換え操作が煩わしいという問題があった。なお、このセカンドトレイの位置を給紙非作用位置とする。
また、上記の上面開放の隙間部分から室内の埃や排紙動作時の紙粉が最上段の給紙カセット(給紙トレイ)に収納した用紙に付着し、画像記録の品質を悪化させたり、紙ジャム発生の原因となったりしていた。
本発明は、上記課題を解消するものであり、上段側の給紙カセットに設けられているセカンドトレイ(第2用紙収容体)の位置の如何に拘らず、複数段の給紙カセットのうち、下段側の給紙カセットから給送され、画像が記録された後に排出される用紙が確実に上段側の給紙カセットの排紙トレイ上に堆積状態にて排出できるようにすると共に、上段側の給紙カセット内に埃や紙紛等の異物が入り込むことのない画像記録装置の提供を目的とするものである。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明における画像記録装置は、筐体の内部に、上下に複数の給紙カセットを収納可能な収納部と、前記収納部の上方に配置された記録部とを有し、前記各給紙カセットは、前記筐体の一方の側面に設けられた開口部から前記収納部へと挿入可能に構成された画像記録装置であって、前記各給紙カセットは、少なくとも前記収納部の最上段に挿抜可能に配置される第1給紙カセットと、この第1給紙カセットの下段に隣接配置される第2給紙カセットとからなり、前記第1給紙カセットには、前記記録部に給送される被記録媒体を堆積状態で収容できる第1用紙収容部と、当該第1用紙収容部の上部に配置され、補助用紙収容部を備えるとともに被記録媒体の前記給送方向に沿って下流側と上流側とに移動可能な第2用紙収容体と、前記第1用紙収容部の上部で且つ前記第2用紙収容体における前記給送方向上流側に配置され、前記記録部から排出された被記録媒体を堆積状態で載置可能な排紙トレイ体とが設けられ、前記補助用紙収容部は、前記第2用紙収容体における前記給送方向下流側に設けられ、前記第2用紙収容体における前記給送方向下流側端部が前記第1給紙カセットに対して摺動可能且つ上下回動可能に構成され、前記排紙トレイ体における前記給送方向下流側端部が前記第1給紙カセットに対して前記第2用紙収容体とは独立して上下回動可能に構成されているものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像記録装置において、前記第2用紙収容体は前記給送方向下流側端部に配置された摺動部に上下回動可能に連結され、前記摺動部は前記第1給紙カセットの上面に沿って移動可能に構成されているものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像記録装置において、前記第2用紙収容体及び前記摺動体には、前記第1給紙カセットに対して前後移動を係止するためのロック手段が設けられているものである。
請求項4に記載の発明の画像記録装置は、筐体の内部に、上下に複数の給紙カセットを収納可能な収納部と、前記収納部の上方に重なって配置された記録部とを有し、前記筐体の一方の側面に設けられた開口部から、前記各給紙カセットが前記収納部に挿抜可能に構成された画像記録装置であって、前記給紙カセットとして、前記収納部の最上段に挿抜される第1給紙カセットと、この第1給紙カセットの下段に隣接配置される第2給紙カセットとが少なくとも設けられ、前記第1給紙カセットには、前記記録部に給送される被記録媒体を堆積状態で収容できる第1用紙収容部と、前記第1用紙収容部の上部に重なり且つ被記録媒体の給送方向に沿って下流側と上流側とに移動可能に構成されて補助用紙収容部が備えられた第2用紙収容体と、この第2用紙収容体における前記給送方向上流側に配置されて前記記録部から排出された被記録媒体を堆積状態で載置できる排紙トレイ体とが配置され、前記第2用紙収容体における前記給送方向下流側端部が前記第1給紙カセットに対して摺動可能且つ上下回動可能に構成され、前記排紙トレイ体は、前記第2用紙収容体に対して前記給送方向に沿って下流側と上流側とに移動可能に構成されているものである。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像記録装置において、前記第2用紙収容体には、前記第1給紙カセット及び前記排紙トレイ体に対して前後方向の移動を係止するためのロック手段が設けられているものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像記録装置において、前記排紙トレイ体における前記給送方向上流側端には、前記給送方向に沿い、且つ排紙トレイ部の下面側にて進退動可能な補助排紙トレイ部が設けられているものである。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像記録装置において、前記補助排紙トレイ部には、排出される被記録媒体の脱落を防止するためのストッパ体が起伏回動可能に設けられ、前記ストッパ体が伏せ姿勢のとき、当該ストッパ体と前記補助排紙トレイ部とが前記排紙トレイ体内に収納されるものである。
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の画像記録装置において、前記第2用紙収容体及び前記排紙トレイ体には、前記収納された前記補助排紙トレイ部を引出し動させるための把手部が露出する切欠き部が設けられているものである。
請求項1に記載の発明によれば、筐体の内部に、上下に複数の給紙カセットを収納可能な収納部と、前記収納部の上方に配置された記録部とを有し、前記各給紙カセットは、前記筐体の一方の側面に設けられた開口部から前記収納部へと挿入可能に構成された画像記録装置であって、前記各給紙カセットは、少なくとも前記収納部の最上段に挿抜可能に配置される第1給紙カセットと、この第1給紙カセットの下段に隣接配置される第2給紙カセットとからなり、前記第1給紙カセットには、前記記録部に給送される被記録媒体を堆積状態で収容できる第1用紙収容部と、当該第1用紙収容部の上部に配置され、補助用紙収容部を備えるとともに被記録媒体の前記給送方向に沿って下流側と上流側とに移動可能な第2用紙収容体と、前記第1用紙収容部の上部で且つ前記第2用紙収容体における前記給送方向上流側に配置され、前記記録部から排出された被記録媒体を堆積状態で載置可能な排紙トレイ体とが設けられ、前記補助用紙収容部は、前記第2用紙収容体における前記給送方向下流側に設けられ、前記第2用紙収容体における前記給送方向下流側端部が前記第1給紙カセットに対して摺動可能且つ上下回動可能に構成され、前記排紙トレイ体における前記給送方向下流側端部が前記第1給紙カセットに対して前記第2用紙収容体とは独立して上下回動可能に構成されている。
上記の構成により、第1給紙カセットの第1用紙収容部にA4サイズなどの標準サイズの被記録媒体(以下、単に用紙という)を堆積収容させる場合、第2用紙収容体の給送方向下流側端部を第1給紙カセットの給送下流側端に近い側(給送作用位置)に位置させるか、給送下流側端から離れた上流側(給送非作用位置)に位置させる一方、排紙トレイ体をその給送方向下流側端部の回動中心廻りに上向き回動させると、第2用紙収容体を上向きに回動させることができる。その結果、第1給紙カセットの第1用紙収容部は開放されるから、その部分に用紙を堆積収容させることができる。
上記と反対側に回動させて、第2用紙収容体と排紙トレイ体とで、第1給紙カセットの第1用紙収容部の上方開放部分を覆うように水平状態にすると、排紙トレイ体の手前側端部(給送方向上流側端部)と第1給紙カセットの手前側端部(給送方向上流側端部)とが重なった状態でこれらの間に隙間ができない。
従って、第2用紙収容体を上記給送作用位置または給送非作用位置のいずれの位置に配置していても、下段の第2給紙カセットから給送され、記録部で画像記録された後に、最上段の第1給紙カセットの方から排紙された用紙は、排紙トレイ体及び第2用紙収容体にて確実に受けることができる。
しかも、第2用紙収容体の一部若しくは全体が排紙トレイ体と重なるようにでき、第1用紙収容部の上方開放部分の全体を大きく覆うことができるから、防塵用カバーとしての効果を確実にすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、前記第2用紙収容体は前記給送方向下流側端部に配置された摺動部に上下回動可能に連結され、前記摺動部は前記第1給紙カセットの上面に沿って移動可能に構成されているものであるから、前記第2用紙収容体が第1給紙カセットの上面から離間した状態であっても、第2用紙収容体を給送方向に沿って前後移動させることが簡単にできる。
請求項3に記載の発明によれば、前記第2用紙収容体及び前記摺動体には、前記第1給紙カセットに対して前後方向の移動を係止するためのロック手段が設けられているものである。従って、第2用紙収容体を上記給送作用位置または給送非作用位置のいずれの位置に配置していても、ロック手段により第2用紙収容体の前後方向の移動を規制でき、その位置を保持することが簡単にできる。
請求項4に記載の発明によれば、筐体の内部に、上下に複数の給紙カセットを収納可能な収納部と、前記収納部の上方に重なって配置された記録部とを有し、前記筐体の一方の側面に設けられた開口部から、前記各給紙カセットが前記収納部に挿抜可能に構成された画像記録装置であって、前記給紙カセットとして、前記収納部の最上段に挿抜される第1給紙カセットと、この第1給紙カセットの下段に隣接配置される第2給紙カセットとが少なくとも設けられ、前記第1給紙カセットには、前記記録部に給送される被記録媒体を堆積状態で収容できる第1用紙収容部と、前記第1用紙収容部の上部に重なり且つ被記録媒体の給送方向に沿って下流側と上流側とに移動可能に構成されて補助用紙収容部が備えられた第2用紙収容体と、この第2用紙収容体における前記給送方向上流側に配置されて前記記録部から排出された被記録媒体を堆積状態で載置できる排紙トレイ体とが配置され、前記第2用紙収容体における前記給送方向下流側端部が前記第1給紙カセットに対して摺動可能且つ上下回動可能に構成され、前記排紙トレイ体は、前記第2用紙収容体に対して前記給送方向に沿って下流側と上流側とに移動可能に構成されているものである。
上記の構成により、第1給紙カセットの第1用紙収容部にA4サイズなどの標準サイズの用紙を堆積収容させる場合、第2用紙収容体の給送方向下流側端部を第1給紙カセットの給送下流側端に近い側(給送作用位置)に位置させるか、給送下流側端から離れた上流側(給送非作用位置)に位置させた状態で、第2用紙収容体をその給送方向下流側端部の回動中心廻りに上向き回動させると、第2用紙収容体と共に排紙トレイ体も上向きに回動させることができる。その結果、第1給紙カセットの第1用紙収容部は開放されるから、その部分に用紙を堆積収容させることができる。
第2用紙収容体を持って排紙トレイ体と共に、上記と反対側に回動させて、第1給紙カセットの第1用紙収容部の上方開放部分を覆うようにすると、排紙トレイ体の手前側端部(給送方向上流側端部)と第1給紙カセットの手前側端部(給送方向上流側端部)とが重なった状態でこれらの間に隙間ができない。
従って、第2用紙収容体を上記給送作用位置または給送非作用位置のいずれの位置に配置していても、下段の第2給紙カセットから給送され、記録部で画像記録された後に、最上段の第1給紙カセットの方から排紙された用紙は、排紙トレイ体及び第2用紙収容体にて確実に受けることができる。
しかも、第2用紙収容体の一部若しくは全体が排紙トレイ体と重なるようにでき、第1用紙収容部の上方開放部分の全体を大きく覆うことができるから、防塵用カバーとしての効果を確実にすることができる。
請求項5に記載の発明によれば、前記第2用紙収容体には、前記第1給紙カセット及び前記排紙トレイ体に対して前後方向の移動を係止するためのロック手段が設けられているものである。従って、第2用紙収容体を上記給送作用位置または給送非作用位置のいずれの位置に配置していても、ロック手段により第2用紙収容体の前後方向の移動を規制でき、その位置を保持することが簡単にできる。
請求項6に記載の発明によれば、前記排紙トレイ体における前記給送方向上流側端には、前記給送方向に沿い、且つ排紙トレイ部の下面側にて進退動可能な補助排紙トレイ部が設けられているものである。従って、わざわざ排紙トレイ体や第2用紙収容体を第2給紙カセットから抜き出さなくても、簡単に補助排紙トレイ部のみを手前に引出して用紙の先端部を支持することができる。
請求項7に記載の発明によれば、前記補助排紙トレイ部には、排出される被記録媒体の脱落を防止するためのストッパ体が起伏回動可能に設けられ、前記ストッパ体が伏せ姿勢のとき、当該ストッパ体と前記補助排紙トレイ部とが前記排紙トレイ体内に収納されるものである。従って、排出された用紙が長くてその排紙方向の先端部がはみ出しそうなときに、ストッパ体を手前側に起立させることで、排紙受け部の長さを簡単に長くでき、起立させたストッパ体で、用紙の前記先端部を支持することができるので、排紙トレイ部からの用紙の脱落防止に効果を奏する。さらに、ストッパ体を伏せ姿勢に戻せば、前記引出した補助排紙トレイ部及び伏せたストッパ体を排紙トレイ体内に収納できるから、画像記録装置の手前側の無駄空間を少なくすることができる。
請求項8に記載の発明によれば、前記第2用紙収容体及び前記排紙トレイ体には、前記収納された前記補助排紙トレイ部を引出し動させるための把手部が露出する切欠き部が設けられているものであるから、収納状態の補助排紙トレイ部の手前側の縁を、第2用紙収容体及び前記排紙トレイ体の手前側の縁と同じ位置まで押し込んでいても、切欠き部を介して、作業者の指を補助排紙トレイ部の把手部に掛けることができる。その結果、補助排紙トレイ部を最大限押し込んで、画像記録装置の手前部分に部品が突出しないようにできる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。この実施形態では、画像記録装置として、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有する多機能装置(MFD:Multi Function Device)1を例示するが、画像記録装置は、スキャナ装置、コピー装置、ファクシミリ装置等の単機能の装置であってもよい。
図1は、実施形態の多機能装置1の外観斜視図である。多機能装置1は、その合成樹脂製の本体ケース(ハウジング)2の上部に、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読み取りなどのための画像読取装置(スキャナ部)3が配置されている(図2参照)。画像読取装置3は、原稿を読み取って画像データ(写真データや文書データ等も含む)を作成する(スキャナ機能)。
多機能装置1はそのコピー機能を用いて、画像読取装置3で作成した画像データを、被記録媒体の一例である用紙に、画像(写真、文書)として記録することができる。また多機能装置1はそのファクシミリ機能を用いて、画像読取装置3で作成した画像データを、電話通信網を介して送信することができる。さらに、多機能装置1は、画像読取装置3で作成した画像データを、ケーブル等を介して接続したパーソナルコンピュータ等に送信することもできる。
本実施形態では、画像読取装置3は、所謂フラットベッドスキャナとして構成されている。多機能装置1は、その天板として開閉自在に設けられた原稿カバー4の下側に、原稿読取用ガラス5及びイメージセンサ6が設けられている(図6参照)。イメージセンサ6は、X軸方向(図1参照)に長いCIS(Contact Image Sensor)を採用しているが、CCD(Charge Coupled Devise)を用いてもよい。読取用ガラス5に、画像を読み取られるべき原稿が載置され、読取用ガラス5の下方をイメージセンサ6がY軸方向(図1参照)に往復移動することにより、画像の読み取りが行なわれる。
原稿カバー4には、自動原稿搬送機構であるオート・ドキュメント・フィーダ(ADF;Auto Document Feeder)7が設けられている。ADF7は、原稿トレイ8(図1では閉じた状態を図示)に載置された原稿を1枚ずつ読取用ガラス5上に搬送し、読取用ガラス5の下方に静置させたイメージセンサ6で原稿の読み取りを行う。読み取られた原稿は、原稿用排出トレイ9に排出される。
多機能装置1の前面上部には、各種動作を指令するために、操作ボタンや液晶表示部を備える操作パネル10が設けられている。
多機能装置1の内部構成について説明する。図2に示すように、本体ケース2の中央部に記録部12が備えられている。記録部12にはインクジェット式の記録ヘッド13が配置されていて、本体ケース2の内部に収納された図示しないインクカートリッジから、可撓性を有するインク供給管(チューブ)を介して、各色のインクがそれぞれ独立して記録ヘッド13に供給される。
多機能装置1の前面下部には、図1及び図2に示すように、開口部14が設けられていて、上段給紙カセット(請求項の第1給紙カセットに相当)20と下段給紙カセット(請求項の第2給紙カセットに相当)30がいずれも、本体ケース2内の記録部12よりも下方に設けられた収容部16に対して、開口部14から挿抜可能(実質上水平方向に出し入れ可能)に配置されている。以下、合成樹脂製の本体ケース2の開口部14がある側を前(手前)といい、これを基準に装置の後(奥)、左右、という。また、前述したように、多機能装置1の前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向とする。
上段及び下段給紙カセット20、30は、いずれも被記録媒体である用紙P、P1を多数枚、堆積状態で収容できるように構成されている。上段及び下段給紙カセット20、30は、収容されている用紙の給送方向と一致するように多機能装置1に対して挿抜され、上段及び下段給紙カセット20、30の挿抜方向の奥側が、用紙の給送方向の下流側となる。なお、下段給紙カセット30は上段給紙カセット20に比べて、収容できる用紙の枚数を多くした、大容量タイプのカセット装置である。換言すれば、上段給紙カセット20は下段給紙カセット30に比べて高さ(厚み)が低く形成されている。
なお、下段の第2給紙カセット30は、収容部部16の奥側の奥半部分30aと前半部分30bとからなり、奥半部分30aに対して前半部分30bが進退動可能に装着されている。前半部分30bをスライドさせてX軸方向に最も延ばした状態では、第2給紙カセット30には、リーガルサイズの用紙を収容できる(リーガルサイズの用紙の長手方向がX軸方向に沿うように収容される)。
上段給紙カセット20の奥側(図2の右側)には、上段傾斜分離板21が設けられている。上段給紙カセット20の手前側(図2の左側、図5の下側)の把手枠20dの両端と、上段傾斜分離板21の両端との間を左右両側板20cにて繋ぎ、上段給紙カセット20は上面開口の箱状に形成されている。また、上段給紙カセット20の底面における奥側寄りの位置に対向して、上段給紙アーム22の先端に軸支された上段給紙ローラ23が配置されている。上段給紙アーム22は下向きに付勢されていて、上段給紙カセット20に堆積収容されている用紙の最上面に、上段給紙ローラ23が当接するようになっている。図示しない駆動源から駆動力が上段給紙ローラ23に伝達されて回転すると、上段傾斜分離板21との公知の協働作用によって、最上層の用紙Pが1枚ずつ分離されて、上方に案内される。
上段用紙搬送路24は、上段傾斜分離板21から上方に向かった後、多機能装置1の前面側へ曲がるUターン形状に形成されていて、用紙Pは記録部12で画像記録が行われた後に、後述する排紙トレイ体40等に排出される。上段給紙アーム22は、上段給紙カセット20を挿抜する動作に伴って、昇降動作するように構成されていて、上段給紙ローラ23が上段傾斜分離板21と衝突することを回避できる。
下段給紙カセット30も基本的に上段給紙カセット20と同様に形成されていて、その奥側(図2の右側)には、下段傾斜分離板31が設けられている。また、下段給紙カセット30の底面における奥側寄りの位置に対向して、下段給紙アーム32の先端に軸支された下段給紙ローラ33が配置されている。下段給紙アーム32は下向きに付勢されていて、下段給紙カセット30に収容されている用紙P1の最上面に、下段給紙ローラ33が当接するようになっている。図示しない駆動源から駆動力が下段給紙ローラ33に伝達されて回転すると、下段傾斜分離板31との公知の協働作用によって、最上層の用紙P1が1枚ずつ分離されて、上方に案内される。
下段用紙搬送路34は、上段用紙搬送路24よりも外側に設けられていて、下段傾斜分離板31から上方に向かった後、多機能装置1の前面側へ曲がるUターン形状(上段用紙搬送路24よりも大きな円弧状)に形成されている。下段用紙搬送路34を経て搬送された用紙P1は記録部12で画像記録が行われた後に、同じく排紙トレイ体40等に排出される。下段給紙アーム32は、下段給紙カセット30を挿抜する動作に伴って、昇降動作するように構成されていて、下段給紙ローラ33が下段傾斜分離板31と衝突することを回避できる。なお、本実施形態においては、下段給紙カセット30も上段給紙カセット20と同様に、本体ケース2に対して挿抜可能、すなわち取り外しが可能に構成されているが、下段給紙カセット30は、本体ケース2に対して進退動可能のみであってもよい。すなわち下段給紙カセット30のほとんどの部分を本体ケース2から引き出せるものの、本体ケース2から取り外すことができない構成であってもよい。
上段給紙カセット20は、用紙Pを堆積状態で収容できる上段用紙収容部(請求項の第1用紙収容部に相当)25と、この上段用紙収容部25の上部に配置され、補助用紙収容部27を備えるとともに用紙Pの給送方向に沿って下流側と上流側とに移動可能な第2用紙収容体26と、上段用紙収容部25の上部で且つ第2用紙収容体26における前記給送方向上流側に配置され、記録部12から排出された用紙Pを堆積状態で載置可能な排紙トレイ体40とが配置されている。
第2用紙収容体26は、前記給送方向下流側に設けられた補助用紙収容部27と、補助助用紙収容部27の給送方向上流側に一体的に形成されている扁平板状の排紙部29とを備えている。実施形態では、補助助用紙収容部27の給送方向下流側には摺動部28が配置されている。この摺動部28は、上段給紙カセット20の左右両側板20c、20cに跨がるように、左右長手に形成され、左右一対のブロック部28aと、この両ブロック部28aを繋ぎ、補助助用紙収容部27の下面に位置する連結片28bと備える(図5及び図6参照)。
摺動部28は、左右両側板20c、20cの内側面に沿ってX軸方向(挿抜方向)に摺動移動自在に構成されている。補助助用紙収容部27の給送方向下流側端部が第1ヒンジ手段41を介して摺動部28のブロック部28aに上下回動可能に枢着されている(図5及び図6参照)。従って、第2用紙収容体26における前記給送方向下流側端部が第1給紙カセット20に対して、給送方向に沿って摺動可能であり、且つ上下回動可能に構成されている。
排紙トレイ体40には、第1給紙カセット20の左右両側板20c、20cに沿って延びる一対のアーム部40aが一体的に形成されている(図8(B)等参照)。各アーム部40aの給送方向下流側端部に、横軸状の一対の枢支軸42が第1給紙カセット20の左右両側板20c、20cに向かって延びるように設けられている。一対の枢支軸42は左右両側板20c、20cに設けられた軸受部43に回動可能に嵌まっている。枢支軸42と軸受部43との構成を第2ヒンジ手段という。従って、排紙トレイ体40は、上段給紙カセット20に対して第2用紙収容体26とは別個独立して上下回動可能に構成されていることになる。
上段給紙カセット20の上段用紙収容部25は、実質的に上面が開放した箱状に形成されている。排紙トレイ体40及び第2用紙収容体26の排紙部29は、上段用紙収容部25に収容される用紙の給送方向上流側部位に対する防塵用のカバーも兼ねたものである。
排紙トレイ体40における給送方向上流側端には、給送方向に沿い、且つ排紙トレイ体の下面側にて進退動可能な補助排紙トレイ部45が設けられている(図3、図4、図7及び図9等参照)。その具体的構成は、平面視において、実質的に矩形状の補助排紙トレイ部45の左右両側面に形成されたガイド突条46が排紙トレイ体40における給送方向上流側の下面側の収納部47に設けられた左右一対のガイドレール47a(但し、図7、図8(A)では一方のみ図示)に摺動移動自在に嵌まっている。また、補助排紙トレイ部45の左右両側面には、当該補助排紙トレイ部45が収納部47から不用意に抜き出し方向に脱落しないようにする弾性的ストッパ48が設けられている(図7参照)。後に詳述するように、排紙トレイ体40には、上段給紙カセット20から給送された用紙Pだけでなく、下段給紙カセット30から給送された用紙P1も排出される。
補助排紙トレイ部45の上面には、排出される用紙P(P1)が外に脱落しないように規制するストッパ体49が略150度程度起伏回動可能に設けられている。図3及び図7では、側面視でほぼL型のストッパ体49が本体ケース2の手前側に起立されて、そのストッパ部49aが上向きとなるのでストッパ作用を実現できる。図4では、ストッパ体49が補助排紙トレイ部45の上面とほぼ平行状で、且つストッパ部49aが下向きとなるのでストッパ作用は実現できない。
上記のように、補助排紙トレイ部45には、排出される用紙の脱落を防止するためのストッパ体49が起伏回動可能に設けられ、ストッパ体49が伏せ姿勢のとき、当該ストッパ体49と補助排紙トレイ部45とが前記排紙トレイ体内に収納されるものである。従って、排出された用紙が長くてその排紙方向の先端部がはみ出しそうなときに、ストッパ体49を手前側に起立させることで、排紙受け部の長さを簡単に長くでき、起立させたストッパ体49で、用紙の先端部を支持することができるので、排紙トレイ部からの用紙の脱落防止に効果を奏する。さらに、ストッパ体49を伏せ姿勢に戻せば、引き出した補助排紙トレイ部45及び伏せたストッパ体49を排紙トレイ体40内に収納できるから、画像記録装置の手前側の無駄空間を少なくすることができる。
ストッパ部49aが下向きとなった状態でのストッパ体49の裏面には、図4に示すように、作業者が指を掛けて引出し操作できる把手凹所50(請求項の把手部に相当)が凹み形成されている。この把手凹所50に関連して、排紙トレイ体40及び第2用紙収容体26における排紙部29の前端には、収納部47に完全に押し込まれたストッパ体49における把手凹所50が露出できるように、第1切欠き部51、第2切欠き部52がそれぞれ形成されている(図4等参照)。
第2用紙収容体26及び排紙トレイ体40には、収納された補助排紙トレイ部45を引き出すための把手部が露出する切欠き部が設けられているものであるから、収納状態の補助排紙トレイ部45の手前側の縁を、第2用紙収容体26及び排紙トレイ体40の手前側の縁と同じ位置まで押し込んでいても、上下に重なった2つの切欠き部51、52を介して、作業者の指を補助排紙トレイ部45の把手部(把手凹所50)に掛けることができる。その結果、補助排紙トレイ部45を最大限押し込んで、画像記録装置の手前部分に部品が突出しないようにできる。
なお、第1給紙カセット20及び第2給紙カセット30には、それぞれ、用紙のX軸方向に沿う側縁を案内する1対のサイドガイド53(但し、第2給紙カセット30については図示せず)が設けられていて、公知の連動機構によりサイドガイド53のY軸方向の間隔の広狭調節を任意に行うことができる(図5など参照)。さらに、第2用紙収容体26にも、用紙のX軸方向に沿う側縁を案内する1対のサイドガイド54が設けられていて、公知の連動機構によりサイドガイド54のY軸方向の間隔の広狭調節を任意に行うことができる(図3及び図4等参照)。サイドガイド53、54の間隔を調節することで、収容される用紙は、センター合わせされる。換言すれば、収容される用紙が矩形の定型紙である場合には、用紙の中心線はそのサイズに拘わらず常に一対のサイドガイドの中央位置に配置される。
次に、第2用紙収容体26の前後スライド位置で、当該第2用紙収容体26を第1給紙カセット20に対して移動不能にロックするためのロック手段55について説明する。実施形態では、操作部55aと、操作部55aに接続された連杆55bと、作用力の方向を変換させるための第1作用部55c、第2作用部55dと、第2作用部55dに設けられた係合爪55eとを備えている。以下の説明を容易にするため、図5は、第2用紙収容体26のうち、摺動部28を残し、補助収容部27及び排紙部29の図示を省略した平面図であり、図6は、第1給紙カセット20から第2用紙収容体26を起立させた状態の補助収容部27及び排紙部29の図示を省略した斜視図である。
実施形態では、操作部55a、連杆55b及び第1作用部55cが、第2用紙収容体26の補助収容部27の裏面に配置され、操作部55aは補助収容部27に穿設された操作窓56の下方に位置して補助収容部27の表面側において直線的にX軸方向に沿って操作できる。平面視三角形状の第1作用部55cは、その1つの頂角近傍に位置する枢支部55fを介して補助収容部27の裏面と平行に回動可能に設けられている。連杆55bの先端係合部55gは第1作用部55cの一側に設けられた横長の係止溝55hに係止されている。第1作用部55cの他端(枢支部55fを挟んで係止溝55hと反対側の頂部)に設けられた回動連結部55iが第2作用部55dの軸受部55jに回動可能に連結されている。第2作用部55dは摺動部28におけるブロック部28aの表面に横方向に往復移動可能に配置されている。なお、少なくとも第2作用部55dは、図示しない捩じりバネ等の付勢手段を介して図6に示すロック状態(係合爪55eが第1給紙カセット20の側板2cの内面に設けられた、図示しない係合部に係合した状態)に付勢されている。
補助収容部27における操作窓56を介して作業者が操作部55aに指を掛けて図5の矢印A方向に引くと、枢支部55fを中心にして第1作用部55cは図5において反時計廻りに回動する。そして、第2作用部55dが連結片28bに近い側に後退して、係合爪55eが第1給紙カセット20の側板2cの内面に設けられている係合部から外れ、その結果、ロック解除状態とすることができる。なお、側板2cの内面の係合部は、摺動部28が上段傾斜分離板21に近い側まで押し込んだ位置(第2用紙収容体26での用紙給送作用位置、図4参照)と、摺動部28が上段傾斜分離板21から遠ざかった位置(第2用紙収容体26での用紙給送非作用位置、図3参照)にそれぞれ対応する個所に設けられている。
上記の構成による、第1給紙カセット20、第2用紙収容体26及び第2給紙カセット30にセットした用紙の取り扱いについて説明する。まず、本体ケース2の収容部16から第2用紙収容体26と共に第1給紙カセット20を引き出し、第1給紙カセット20を本体ケース2から取り外す。
第1給紙カセット20の上段用紙収容部(第1用紙収容部)25にA4サイズなどの標準の用紙Pを堆積収容させる場合、図4、図9(A)、図9(B)及び図10(B)に示すように、第1給紙カセット20の上段傾斜分離板21に近い側に摺動部28が位置するように、第2用紙収容体26を押し込んだ位置で、ロック手段55でロックする。
この状態で、図9(A)に示すように、排紙トレイ体40の手前側(補助トレイ部45が設けられた側)を、枢支軸42及び軸受部43の個所(第2ヒンジ手段)を中心にして上向きに回動すると、排紙トレイ体40の側に載っている第2用紙収容体26も摺動部28との第1ヒンジ手段41の個所を中心にして上向きに回動する。ヒンジ手段41の個所に回動規制部(図示せず)が存在しているため、図9(B)に示すように、第2用紙収容体26はほぼ垂直となる姿勢まで回動できる。このようにして、第1給紙カセット20の上段用紙収容部25に用紙Pを複数枚堆積させることができる。その後、排紙トレイ体40及び第2用紙収容体26をそれぞれ、上記と反対側に回動させて、第1給紙カセット20の上段用紙収容部25の上方開放部分を覆うようにする(図4)。その場合には、排紙トレイ体40の奥側に排紙部29の一部のみが重なった状態であり、上段用紙収容部25の上方開放部分の全体を大きく覆うことができる。
なお、図8(A)のように、第1給紙カセット20に対して第2用紙収容体26を手前側に引き寄せた状態(摺動部28が上段傾斜分離板21から遠ざかった状態、摺動部28枢支軸42及び軸受部43の個所(第2ヒンジ手段)に近い状態)で、排紙トレイ体40の手前側を上向きに回動すると、排紙トレイ体40の側に載っている第2用紙収容体26も摺動部28との第1ヒンジ手段41の個所を中心にして上向きに回動する。第1ヒンジ手段41の個所に回動規制部(図示せず)が存在しているため、図8(B)及び図10(A)に示すように、第2用紙収容体26はほぼ垂直となる姿勢まで回動できる。この状態でも、上段用紙収容部25の上方を開放させて、その部分に用紙Pを補給することができる。その後、排紙トレイ体40及び第2用紙収容体26をそれぞれ、上記と反対側に回動させて、第1給紙カセット20の上段用紙収容部25の上方開放部分を覆うようにすれば良い(図4)。この場合、排紙部29と排紙トレイ体40の上面のほぼ全体とが上下に重なっている。
上述のように、第2用紙収容体26が給送作用位置及び給送非作用位置のいずれに位置していても、排紙部29及び排紙トレイ体40は第1給紙カセット20の上段用紙収容部25の上方開放部分を覆うことができる(図3及び図4参照)。従って、排紙部29及び排紙トレイ体40は第1給紙カセット20に収容された用紙の手前側(本体ケース2の開口部14に近い側、換言すると、把手枠2dに近い側)に対する防塵用のカバーとして機能する。特に、第2用紙収容体26が給送作用位置の場合には、第1給紙カセット20の上方を全面的に覆うので、防塵用カバーとして、優れている。
次に、第1給紙カセット20の上面側の補助用紙収容体26が給紙作用位置及び給紙非作用位置のいずれであっても、第1給紙カセット20よりも下段に位置する第2給紙カセット30内の用紙P1に画像記録した後、この用紙P1を排紙部29及び排紙トレイ体40にて簡単に受けることができる構成について説明する。
図11(A)の状態は第2用紙収容体26を給送非作用位置(給紙ローラ23が第2用紙収容体26の補助用紙収容部27に堆積した用紙P2を給送できない位置)に引き出され状態を示す。換言すれば、第1給紙カセット20における上段用紙収容部25上の用紙Pに給紙ローラ23が当接して、当該用紙Pを給送できる位置である。この状態で、第2給紙カセット30内の用紙P1を給紙ローラ33及び下段傾斜分離板31との協働作用で1枚ずつ分離給送し、記録部12で画像記録した後、排出すると、用紙P1が排紙部29(排紙トレイ体40は排紙部29の下面に隠されている)上に排紙され、載置されることになる。用紙P1がリーガルサイズで、X軸方向に長辺が沿う場合には、補助排紙トレイ部45を排紙トレイ体40から手前側に引き出し、さらに、ストッパ体49を手前側に立て起こしておけば(図3参照)、X軸方向の用紙載置可能長さが長くなるので、リーガルサイズの用紙P1が排紙部29の手前側端から滑り落ちるのを防止できる。
図11(B)の状態は第2用紙収容体26を給送作用位置(給紙ローラ23が第2用紙収容体26の補助用紙収容部27に堆積した用紙P2を給送できる位置)まで押し込んだ状態を示す。この状態では、排紙部29の前端が排紙トレイ体40の奥側で一部重なり、第1給紙カセット20の上方を全面的に覆う。この状態でも、下段である第2給紙カセット30からの用紙P1が排紙部29と排紙トレイ体40との上方に跨がって排出される。用紙P1がリーガルサイズの場合には上述のようにストッパ体49を手前側に立て起こしておけば良い。
いずれにしても、第1給紙カセット20における上段用紙収容部25上の用紙P、若しくは第2用紙収容体26の補助用紙収容部27に堆積させた用紙P2のいずれか一方に画像記録を実行している状態から、第2給紙カセット30に堆積させた用紙P1に画像記録を行うように指令を切り換えた場合、本発明では、上記防塵用カバーとしての効果に加えて、第2用紙収容体26の位置を変更することを要しない。従って、操作者の手間を省くことができるという効果も奏する。
図12〜図14は、第1給紙カセット20の上面側の第2用紙収容体26と排紙トレイ体40との配置関係や取り扱いの第2実施形態である。
図12(A)及び図12(B)に示すように、第2用紙収容体26における排紙部29は扁平板状ではなく、左右両側に下向きの側板29aが設けられている。排紙部29の下面側に、排紙トレイ体40をX軸方向に沿って進退動可能配置する。そのため、各側体29aの内面には、X軸方向に延びるガイドレール60が設けられ、排紙トレイ体40の左右両側面にはガイドレール60に嵌まるガイド突条61が設けられている(図13(B)参照)。なお、排紙トレイ体40の前端の収納部47に対する補助排紙トレイ部45の引出し可能な装着構成や補助用紙収容部27、摺動部28や第1ヒンジ手段41などは第1実施形態と同じ構成であり、同じ作用効果を奏するので、同じ構成については同じ符号を附して詳細な説明は省略する。
また、排紙トレイ体40の下面左右両側に下向きの係合突起62が設けられている。他方、第1給紙カセット20の上面左右両側には、各係合突起62が嵌まって排紙トレイ体40の前後移動を規制するための係止凹所63が設けられている(図13(A)、図13(B)参照)。その結果、第1給紙カセット20の上面に対して排紙トレイ体40が平行状態のとき、当該排紙トレイ体40を手前側に引き出した状態を保持すると共に、第2用紙収容体26のみを第1給紙カセット20に対して前後移動させることができる。また、図12(B)のように、第2用紙収容体26と排紙トレイ体40とを、ヒンジ手段1の個所を中心にして一体的に上向き回動させるときには、排紙トレイ体40は第2用紙収容体26における排紙部29の下面に対して進退動可能となる。なお、係合突起62が第1給紙カセット20側に設けられ、係止凹所63が排紙トレイ体40側に設けられていても良い(図12(B)参照)。
図14(A)〜図14(C)は、第2実施形態におけるロック手段55′の構成を概略図として示す。ロック手段55′は第1実施形態におけるロック手段55の操作部55aを共通部材とし、その他の構成55b〜55eはX軸方向に隔てて2つ設けられている。そして、上段傾斜分離板21に近い側に配置されている。上段傾斜分離板21に近い側の係合爪55eに対して係脱する第1係合部64a及び第2係合部64bは、第1給紙カセット20の一方の側板20cにX軸方向に隔てて所定間隔にて設けられている(図14(A)〜図14(C)参照)。他方、補助排紙トレイ部45に近い側の係合爪55eに対して係脱する第3係合部64c及び第4係合部64dは、排紙トレイ体40の一方の側板に設けられている。従って、係合爪55eが第3係合部64cまたは第4係合部64dに対して係合するときには、排紙トレイ体40は第2用紙収容体26に対して進退動不能に係合されるように構成されている。
上記の構成において、図14(A)は、第2用紙収容体26及び排紙トレイ体40が補助排紙トレイ部45に近い側で、第1給紙カセット20の上面に対して進退動不能且つ持ち上げ不能に係合するときには、上段傾斜分離板21に近い側の係合爪55eは第2係合部64bに係合しており、且つ補助排紙トレイ部45に近い側の係合爪55eは第4係合部64dに係合している。従って、排紙トレイ体40が第2用紙収容体26における排紙部29の下面に押し込まれた状態で、排紙トレイ体40と共に第2用紙収容体26を第1ヒンジ手段41を中心にして上向きに回動させることができる。
第1給紙カセット20の上面に対して第2用紙収容体26及び排紙トレイ体40が平行状態のとき、図14(B)に示すように、1つの操作部55aを矢印A方向に引くと、上記2箇所の係合爪55eは、それぞれ、第2係合部64b及び第4係合部64dとの係合が外れるが、排紙トレイ体40は図13(A)に示すように、係合突起62と係止凹所63との係止により、上段傾斜分離板21に近い方への移動は規制される。
この状態で、第2用紙収容体26のみを上段傾斜分離板21に近づくように移動させた後、操作部55aから指を外すと、図14(C)に示すように、補助排紙トレイ部45に近い側の係合爪55eは排紙トレイ体40の第3係合部64cに係合する一方、上段傾斜分離板21に近い側の係合爪55eは第1係合部64aに係合する。その結果、排紙トレイ体40が第2用紙収容体26における排紙部29から引き出された状態で保持される。その第2用紙収容体26を第1ヒンジ手段41を中心にして上向きに回動すれば、作業者は排紙トレイ体40を持つことなく、第2用紙収容体26と一体的に持ち上げることができるのである。
図14(C)の状態では、第2用紙収容体26と引き出された排紙トレイ体40とにより、第1給紙カセット20の上面開放部分は全て覆うことができ、防塵用カバーとしての効果をより一層発揮することができる。
なお、上記各実施形態は、上下2段の給紙カセットを備えた構成について記載したが、給紙カセットを上下3段以上に備える構成に適用することもできる。その場合には、排紙トレイ体40や補助排紙トレイ部45が設けられた給紙カセット(第1給紙カセット20)を最上段に配置すれば良い。