JP4857776B2 - 熱交換器 - Google Patents
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Description
本発明の一実施形態に係る空調室内機を備えた空気調和機について、図1〜図6を用いて説明すれば、以下の通りである。
空気調和機1の冷媒回路は、図2に示されるように、圧縮機11と、四路切換弁12と、室外熱交換器13と、電動膨張弁14と、第1熱交換部15と、第1電磁弁16aおよび第2電磁弁16bと、第2熱交換部17と、アキュムレータ18とを含んでいる。
室内機2は、図3および図4に示すように、主として、室内機2の内部に収容されている室内熱交換器5、上部ケーシング6、送風機構7によって構成されている。
室内熱交換器5は、図4に示されるように、第1熱交換部15および第2熱交換部17を備えている。なお、図2の冷媒回路に含まれる第1熱交換部15および第2熱交換部17は、個々独立した構成となっているが、本実施形態では、図4に示すように、1つの室内熱交換器5の中でその一部分とそれ以外の部分とが第1熱交換部15および第2熱交換部17に相当する。第1熱交換部15および第2熱交換部17は、その間に並列配置された第1電磁弁16aと第2電磁弁16bによって互いに接続されている。
以下、図4および図5を参照しながら冷房時および暖房時における第1冷媒経路53〜第6冷媒経路58を説明する。
図4に示される冷房運転時の室内熱交換器5では、第1端部53a、54a、55a、56aが冷媒の出口となり、第2端部53b、54b、55b、56bが冷媒の入口になっている。
また、図5に示される暖房運転時には、第1冷媒経路53、第2冷媒経路54、第3冷媒経路55、および第4冷媒経路56の第1端部53a、54a、55a、56aが冷媒の入口となり、第2端部53b、54b、55b、56bが冷媒の出口になる。
以下、図6および表1を参照しながら、それぞれ異なる冷媒経路を有する室内熱交換器5、105〜505における性能評価を説明する。ここで、図6および表1の(f)が実施形態の室内熱交換器5に対応しており、その他の(a)〜(e)については、本発明の比較例としての室内熱交換器105〜505が対応している。大別すれば、(a)〜(c)は、暖房運転時において空気流れの方向と冷媒の流れる方向が平行またはほぼ平行な流れである平行流であり、(d)〜(f)は、暖房運転時において空気流れの方向と冷媒の流れる方向が対向またはほぼ対向する流れである対向流である。
図6(a)に示される室内熱交換器105の冷媒経路は、通常の熱交換器と同様に、暖房運転時には冷媒が第1列LI、第2列LII、第3列LIIIの順に流れる経路である。
図6(b)に示される室内熱交換器205の冷媒経路は、暖房運転時には冷媒が第2列LIIから入り、第1列LIを経由して第3列LIIIから出る経路である。
図6(c)に示される室内熱交換器305の冷媒経路は、暖房運転時には冷媒が第1列LIから入り、第3列LIIIを経由して第2列LIIから出る経路である。
この室内熱交換器105は、ほぼ平行流であり、第1列LIの冷媒入口直後の高温の過熱ガス冷媒が第2列LIIの冷媒出口直前の気液二相状態の冷媒よりも風上側を流れるので、表1(c)に示されるように暖房性能が良くない。
図6(d)に示される室内熱交換器405の冷媒経路は、通常の熱交換器と同様に、暖房運転時には冷媒が第3列LIII、第2列LII、第1列LIの順に流れる経路である。
図6(e)に示される室内熱交換器505の冷媒経路は、暖房運転時には冷媒が第3列LIIIから入り、第1列LIを経由して第2列LIIから出る経路である。
図6(f)に示される実施形態の室内熱交換器5の冷媒経路は、暖房運転時には冷媒が第2列LIIから入り、第3列LIIIを経由して第1列LIから出る経路である。
つぎに、図7および図8のグラフを用いて、実施形態の室内熱交換器5を用いて冷房運転および暖房運転をしたときの、室内熱交換器5の第1列LI〜第3列LIIIを通過したときの空気と冷媒の温度変化について、平行流および対向流の場合と比較して説明する。なお、いずれの場合も、空気は、室内熱交換器5の内部を第1列LI、第2列LII、第3列LIIIの順に流れるものとする。
(a)実施形態の室内熱交換器5について
図7(a)に示されるように、実施形態の室内熱交換器5を用いて冷房運転したときには、空気流れが室内熱交換器5の第1列LI、第2列LII、第3列LIIIを順に通過する空気は、曲線A1のように、第1列LI、第2列LII、第3列LIIIの順に温度が低下し、最終的に15.6℃の空気が調和空気として室内機2から吹き出される。
図7(b)に示されるように、対向流(冷媒が空気の流れに対向して第3列LIIIから第1列LIへ流れる)の場合には、空気の温度は、曲線A2のように、室内熱交換器5の第1列LI、第2列LII、第3列LIIIの順に低下して、最終的に15.7℃になり、一方、冷媒の温度は、曲線R2のように、気液二相状態の冷媒の部分である第3列LIIIおよび第2列LIIでは圧力損失により低下し、第1列LIでは過熱により冷媒凝縮温度14.6℃から20.8℃まで上昇して6.2という高い過熱度を得る。
図7(c)に示されるように、平行流(冷媒が空気の流れと平行に流れる)の場合には、空気の温度は、曲線A3のように、室内熱交換器5の第1列LI、第2列LII、第3列LIIIの順に低下して、最終的に15.6℃になり、一方、冷媒の温度は、曲線R3のように、気液二相状態の冷媒の部分である第1列LIおよび第2列LIIでは圧力損失により低下し、第3列LIIIでは過熱により冷媒凝縮温度14.6℃から15.8℃へ少ししか上昇せず、0.8程度の過熱度しか得られない。したがって、冷媒の偏流が発生するおそれがある。
(a)実施形態の室内熱交換器5について
図8(a)に示されるように、実施形態の室内熱交換器5を用いて暖房運転したときには、空気流れが室内熱交換器5の第1列LI、第2列LII、第3列LIIIを順に通過する空気は、曲線A4のように、第1列LI、第2列LII、第3列LIIIの順に温度が上昇し、最終的に29.6℃の空気が調和空気として室内機2から吹き出される。
図8(b)に示されるように、対向流の場合には、空気の温度は、曲線A5のように、室内熱交換器5の第1列LI、第2列LII、第3列LIIIの順に上昇して、最終的に30.5℃になり、一方、冷媒の温度は、曲線R5のように、第3列LIIIにおいて過熱ガスの状態で温度が急速に低下し、ついで、第2列LIIおよび第1列LIにおいて気液二相状態で温度は緩やかに低下する。
図8(c)に示されるように、平行流の場合には、空気の温度は、曲線A6のように、室内熱交換器5の第1列LI、第2列LII、第3列LIIIの順に上昇して、最終的に29.1℃になり、一方、冷媒の温度は、曲線R6のように、第1列LIにおいて過熱ガスの状態で温度が急速に低下し、ついで、第2列LIIおよび第3列LIIIにおいて気液二相状態で温度は緩やかに低下する。
(1)
実施形態では、第1熱交換部15を通る第1冷媒経路53、第2冷媒経路54、第3冷媒経路55、および第4冷媒経路56では、それぞれの冷媒経路の一方の端部である第1端部53a、54a、55a、56aは、第1熱交換部15の中央列である第2列LIIに配置されている。一方、それぞれの冷媒経路の他方の端部である第2端部53b、54b、55b、56bは、第1熱交換部15を通過する空気流れに対して最も風上側の列である第1列LIに配置されている。したがって、冷房および暖房のいずれの場合においても部分的に対向流が得られるので、冷房および暖房の性能を両方とも向上させることが可能である。
実施形態では、暖房運転時には、第1冷媒経路53、第2冷媒経路54、第3冷媒経路55、および第4冷媒経路56の第1端部53a、54a、55a、56aが冷媒の入口となり、第2端部53b、54b、55b、56bが冷媒の出口になる。したがって、暖房運転時には冷媒の入口が中央列(第2列LII)にあることから、最も風上側の列(第1列LI)で気液二相状態の冷媒と熱交換を終えた空気と、高温の過熱ガスとが中央列で熱交換を行うことが可能となる。これにより、冷房時に対向流になるが暖房時に平行流になる場合に比べて、暖房時に効果的な熱交換をすることが可能である。
実施形態では、冷房運転時の室内熱交換器5では、第1端部53a、54a、55a、56aが冷媒の出口となり、第2端部53b、54b、55b、56bが冷媒の入口になっている。したがって、冷房運転時の冷媒出口を中央列(第2列LII)に配置することで、暖房時に対向流となるが冷房時に平行流になる場合と比較して、冷房時に過熱を得やすくし、熱交換器の気液二相状態で満たされる部分を拡大すると共に、偏流の抑制を可能としている。
実施形態では、冷媒経路53〜56の第1端部53a、54a、55a、56aが主熱交換ユニット51の列のうちの副熱交換ユニット52に近い列(第2列LII)に配置され、第2端部53b、54b、55b、56bが副熱交換ユニット52に配置されているので、冷媒の出入口が熱的に分離され、第1端部と第2端部との間の熱交換によって生じる熱損失を抑制することが可能であり、熱交換能力が向上する。
実施形態では、室外熱交換器5が再熱熱交換部である第2熱交換部17をさらに備えているので、再熱ドライ運転時において、第2熱交換部17によって空気を加熱することが可能である。これにより、室内の温度を下げずにドライ運転をすることが可能になる。
実施形態の空気調和機1の室内機2では、室外熱交換器5によって冷房および暖房のいずれの場合においても部分的に対向流が得られるので、冷房および暖房の性能を両方とも向上させることが可能である。
(A)
実施形態の室内熱交換器5では、第1熱交換部15を通る冷媒経路53〜56のそれぞれの第2端部53b、54b、55b、56bが最も風上側の列である第1列LIに配置されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2端部53b、54b、55b、56bを最も風下側の列である第3列LIIIに配置してもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様に、冷房および暖房のいずれの場合においても部分的に対向流が得られるので、冷房および暖房の性能を両方とも向上させることが可能である。
2 室内機
3 室外機
4 冷媒配管
5 室内熱交換器
15 第1熱交換部
17 第2熱交換部
51 主熱交換ユニット
52 副熱交換ユニット
53 第1冷媒経路
54 第2冷媒経路
55 第3冷媒経路
56 第4冷媒経路
57 第5冷媒経路
58 第6冷媒経路
Claims (4)
- 少なくとも1本の連続した冷媒経路(53、54、55、56)によって互いに連通している3列以上の複数列で構成された熱交換部(15)を備えており、
前記冷媒経路(53、54、55、56)の一方の端部である第1端部(53a、54a、55a、56a)は、前記熱交換部(15)における中央列または中央付近の列に配置されており、
前記冷媒経路(53、54、55、56)の他方の端部である第2端部(53b、54b、55b、56b)は、前記熱交換部(15)における前記熱交換部(15)を通過する空気流れ(F)に対して最も風上側の列に配置されており、
暖房運転時には、前記第1端部(53a、54a、55a、56a)が冷媒の入口となり、前記第2端部(53b、54b、55b、56b)が冷媒の出口になり、
冷房運転時には、前記第1端部(53a、54a、55a、56a)が冷媒の出口となり、前記第2端部(53b、54b、55b、56b)が冷媒の入口になる、
熱交換器(5)。 - 前記複数列の熱交換部(15)は、2列の主熱交換ユニット(51)と、前記主熱交換ユニット(51)に隣接して配置された1列の副熱交換ユニット(52)とを有しており、
前記第1端部(53a、54a、55a、56a)は、主熱交換ユニット(51)の列のうちの前記副熱交換ユニット(52)に近い列に配置され、
前記第2端部(53b、54b、55b、56b)は、副熱交換ユニット(52)に配置されている、
請求項1に記載の熱交換器(5)。 - 再熱ドライ運転時において空気を加熱することが可能な再熱熱交換部(17)をさらに備えている、
請求項1に記載の熱交換器(5)。 - 請求項1から3のいずれかに記載の熱交換器(5)と、
前記熱交換器(5)を通過する空気の流れを生成する送風ファン(21)と、
を備えている、
空気調和機(1)の室内機(2)。
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