JP5262916B2 - 熱交換器 - Google Patents

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Description

本発明は、冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続される熱交換器に関するものである。
従来より、冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続される熱交換器が知られている。この熱交換器は、上記冷媒回路内を循環する冷媒の放熱又は蒸発を行うために用いられている。
特許文献1には、この種の熱交換器の一例としてクロスフィンチューブ型の熱交換器が開示されている。尚、この熱交換器は空気調和装置の冷媒回路に接続されるものである。
このクロスフィンチューブ型の熱交換器は、複数の伝熱管を有する伝熱管群と、複数の伝熱フィンを有する伝熱フィン群とを備えている。上記伝熱管群は、複数の伝熱管を上下に配列して形成されている。一方、上記伝熱フィン群は、上記伝熱管群の伝熱管に貫通されて固定された矩形状の伝熱フィンが、該伝熱管の長さ方向に沿って、所定の間隔をあけつつ、互いに平行となるように一列に並べられている。
そして、上記伝熱管群の管内側を上記冷媒回路の冷媒が流れ、管外側を空気が流れることにより、冷媒と空気が熱交換する。
特開平06−26666号公報
ところで、例えば、この熱交換器を冷暖兼用の空気調和装置における利用側熱交換器に用いる場合、この熱交換器は、冷房運転時には蒸発器となり、暖房運転時には放熱器となる。
ここで、上記熱交換器が蒸発器として用いられる場合、この熱交換器の冷媒出口付近でドライアウトを起こすことがある。つまり、上記熱交換器の冷媒出口付近において、冷媒の流動状態が噴霧流となることがあり、そうなると、熱交換器の冷媒出口付近の内周面が乾いてしまい、噴霧状態の冷媒が蒸発しにくくなる。このことから、このドライアウトが起きると、その部分で蒸発伝熱性能が急激に低下してしまう。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続される熱交換器であって、蒸発器又は放熱器として用いることが可能であるとともに、蒸発器として用いた場合にはドライアウトを回避することが可能な熱交換器を提供することにある。
第1の発明は、冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)に接続される熱交換器を前提としている。
そして、上記熱交換器は、上記冷媒回路(20)の冷媒が流れる複数の伝熱流路(4)を有する伝熱部(3)と該伝熱部(3)の一端側に接続される分流器部(6)と該伝熱部(3)の他端側に接続される気液分離部(5)とを有する本体部(2)と、上記伝熱部(3)で冷媒が蒸発する第1状態時に上記本体部(2)の冷媒流入口部となり、上記伝熱部(3)で冷媒が放熱する第2状態時に上記本体部(2)の冷媒流出口部となる上記分流器部(6)の端部(6a)に接続される第1冷媒通路(14)と、上記第1状態時に上記本体部(2)の冷媒流出口部となり、上記第2状態時に上記本体部(2)の冷媒流入口部となる上記気液分離部(5)のガス側開口部(5b)に接続される第2冷媒通路(15)と、上記第1冷媒通路(14)に接続されるエジェクタ部(8)と、上記気液分離部(5)の液側開口部と上記エジェクタ部(8)の吸引口部とを連通する連通路(9)と、上記連通路(9)を開閉可能な開閉機構(10)とを備え、上記開閉機構(10)は、上記第1状態時に開設定となり、上記第2状態時に閉設定となるように構成されている。
ここで、第1状態とは、本発明の熱交換器が蒸発器となる状態のことであり、第2状態とは、本発明の熱交換器が放熱器(冷媒が相変化しながら放熱する場合には凝縮器)となる状態のことである。
第1の発明では、第1状態のときに上記開閉機構(10)が開設定となる。この状態において、上記第1冷媒通路 (14)から上記本体部(2)のエジェクタ部(8)へ冷媒が流入する。上記エジェクタ部(8)では、その冷媒が減圧加速されるとともに、この冷媒の加速で生じる負圧によって、上記気液分離部(5)の液冷媒が上記連通路(9)を通じて吸引される。そして、上記連通路(9)の液冷媒と第1冷媒通路 (14)の冷媒とが上記エジェクタ部(8)内で合流した後、その合流した冷媒が上記エジェクタ部(8)から噴出される。
上記エジェクタ部(8)から噴出された冷媒は上記分流器部(6)へ流れ、該分流器部(6)で分流された後で各伝熱通路(4)に流入し、該各伝熱通路(4)で蒸発する。上記各伝熱通路(4)で蒸発した冷媒は上記気液分離部(5)へ流れ、該気液分離部(5)内で気液分離される。上記気液分離部(5)で気液分離された後のガス冷媒は上記第2冷媒通路(15)を通じて本体部(2)から流出する。一方、上記気液分離部(5)で気液分離された後の液冷媒は、上述したように上記連通路(9)を経てエジェクタ部(8)に吸引される。
ここで、上記伝熱部(3)に気液分離部(5)を接続しているので、上記伝熱部(3)から二相状態で冷媒を流出させることができるようになる。又、上記連通路(9)を設けているので、この連通路(9)を介して上記気液分離部(5)の液冷媒を上記エジェクタ部(8)へ戻し、再び伝熱部(3)へ送ることができるようになる。
又、上記第2状態のときに上記開閉機構(10)が閉設定となる。この状態において、上記第2冷媒通路(15)から上記本体部(2)の気液分離部(5)へ冷媒が流入する。尚、この冷媒はガス状態又は超臨界状態である。上記気液分離部(5)に流入した冷媒は、上記各伝熱通路(4)に分流される。このとき、上記気液分離部(5)では気液分離は行われず、該気液分離部(5)はヘッダとして機能する。又、上記開閉機構(10)は閉設定なので、上記気液分離部(5)に流入した冷媒が上記連通路(9)を通じてエジェクタ部(8)に流出することはない。
上記各伝熱通路(4)に分流された冷媒は、該伝熱通路(4)内で放熱した後で上記分流器部(6)に流入し、該分流器部(6)で合流する。上記分流器部(6)で合流した冷媒は、エジェクタ部(8)で膨張した後で上記第1冷媒通路 (14)から流出する。
このように、上記開閉機構(10)は閉設定にすることで、上記気液分離部(5)に流入した冷媒を上記エジェクタ部(8)へ流さずに、上記伝熱通路(4)へ流すことができるようになる。
第2の発明は、第1の発明において、第1流路(11b)と第2流路(11a)とを有するとともに上記第1流路(11b)を流れる冷媒と上記第2流路(11a)を流れる冷媒とが熱交換する加熱熱交換部(11)を備え、上記第1流路(11b)が第1冷媒通路(14)に連通し、上記第2流路(11a)が第2冷媒通路(15)に連通していることを特徴としている。
例えば、上記第1状態時に上記伝熱部(3)の熱負荷が急激に増加して、上記伝熱部(3)から上記気液分離部(5)へ一時的に多量の二相冷媒が流入してしまうことがある。こうなると、上記気液分離部(5)で気液分離できなかった液冷媒が第2冷媒通路(15)を通じて流出してしまう。上記第2冷媒通路(15)の下流側には圧縮機が接続されるため、上記第2冷媒通路(15)の液冷媒を上記圧縮機が吸入してしまい好ましくない。
第2の発明では、上記第1状態時において、このような場合でも、上記加熱熱交換部(11)により、上記第1冷媒通路 (14)の冷媒で上記第2冷媒通路(15)の冷媒を加熱することができるようになる。
第3の発明は、第2の発明において、上記加熱熱交換部(11)の第2流路(11a)をバイパスするバイパス通路(16)と、上記第1状態時に上記第2流路(11a)を開放するとともに上記バイパス通路(16)を閉鎖するバイパス閉鎖位置と上記第2状態時に上記バイパス通路(16)を開放するとともに第2流路(11a)を閉鎖するバイパス開放位置とに切換可能な切換機構(CV1,CV2)とを備えていることを特徴としている。
ここで、第2状態時において、仮に上記加熱熱交換部(11)を用いたとすると、上記第2冷媒通路(15)を流れる冷媒が上記伝熱部(3)で放熱する前に上記加熱熱交換部(11)でも放熱する。このため、上記加熱熱交換部(11)を用いない場合に比べて、上記伝熱部(3)での冷媒の放熱量が減少する。
第3の発明では、第1状態時に加熱熱交換部(11)を利用し、第2状態時には、上記加熱熱交換部(11)をバイパスさせて冷媒を流すことで上記加熱熱交換器(11)を利用しないようにすることができる。
第4の発明は、第1から第3の何れか1つの発明において、上記連通路(9)の一部が、上記本体部(2)の伝熱通路(4)を形成していることを特徴としている。
第4の発明では、上記第1状態時において、上記気液分離部(5)の液冷媒を上記伝熱通路(4)を流れる冷媒と同じように熱交換してから、上記エジェクタ部(8)へ戻すことができるようになる。
第5の発明は、第1から第4の何れか1つの発明において、上記気液分離部(5)は、上下端が閉塞された円筒状のケーシングを有し、上記ケーシングにおける内周面の接線方向に冷媒が供給されるように、上記本体部(2)の伝熱通路(4)が上記ケーシングに接続されていることを特徴としている。
第5の発明では、上記本体部(2)の伝熱通路(4)から流出した冷媒をケーシングの内周面に沿うように旋回させることができるようになる。この旋回による遠心分離作用によって冷媒が気液分離しやすくなる。
第6の発明は、第1から第5の何れか1つの発明において、上記本体部(2)を流れる冷媒は、二酸化炭素であることを特徴としている。
ここで、従来の熱交換器において、冷媒として二酸化炭素を用いると、その熱交換器を蒸発器として使用した場合にその熱交換器の冷媒出口付近で、上述したドライアウトが生じやすくなる。
第6の発明では、上記伝熱部(3)から二相状態で冷媒を流出させることができるので、上記伝熱部(3)における出口冷媒の乾き度を低く設定でき、上記伝熱部(3)の冷媒出口付近でドライアウトが起きないようにすることが可能となる。
第7の発明は、第1から第5の何れか1つの発明において、上記本体部(2)を流れる冷媒は、蒸発温度0℃に対する飽和圧力が0.4MPa以下であることを特徴としている。尚、この冷媒としては、HFC134aやHFO1234yf等がある。
ここで、従来の熱交換器において、冷媒としてHFC134aやHFO1234yf等を用いると、その熱交換器を蒸発器として使用した場合にその熱交換器を流れる冷媒の圧力損失により蒸発器性能が低下しやすい。
第7の発明では、上記伝熱部(3)から二相状態で冷媒を流出させることができるので、上記伝熱部(3)における出口冷媒の乾き度を低く設定でき、本発明の熱交換器を流れる冷媒の圧力損失をできるだけ抑えることができるようになる。
本発明によれば、上記第1状態時に、上記伝熱部(3)から二相状態の冷媒を流出させることができる。これにより、冷媒の乾き度を低く抑えることができ、ドライアウトを回避することができる。又、上記第2状態時に、上記第1状態時に開設定としていた開閉機構(10)を閉設定にすることで、上記気液分離部(5)に流入した冷媒を上記エジェクタ部(8)へ流さずに、上記伝熱通路(4)へ流すことができる。これにより、上記気液分離部(5)から分流した冷媒を伝熱通路(4)で確実に放熱させることができる。
例えば、上記第1状態時に上記伝熱部(3)の熱負荷が急激に増加して、上記気液分離部(5)へ一時的に多量の二相冷媒が流入してしまうことがある。こうなると、上記気液分離部(5)で気液分離できなかった液冷媒が上記第2冷媒通路(15)に流入してしまうことが考えられる。
上記第2の発明によれば、このような場合でも、液冷媒を上記加熱熱交換部(11)で加熱することができる。これにより、上記第2冷媒通路(15)を流れる冷媒を過熱状態にした後で、上記圧縮機に吸入させることができ、該圧縮機の湿り運転を防止することができる。
また、上記第3の発明によれば、第1状態時に加熱熱交換部(11)を利用し、第2状態時には、上記加熱熱交換部(11)をバイパスさせて冷媒を流すことで上記加熱熱交換器(11)を利用しないようにすることができる。これにより、上記第2状態時における上記伝熱部(3)の放熱ロスをなくすことができる。
また、上記第4の発明によれば、上記第1状態時には、上記連通路(9)を流れる冷媒の蒸発温度が、上記連通路(9)の伝熱通路(4)以外の伝熱通路(4)を流れる冷媒の蒸発温度よりも低くなるため、この上記連通路(9)を流れる冷媒の蒸発温度が低い分、上記伝熱部(3)の蒸発温度を高く設定することができる。
これにより、本発明の熱交換器を接続した冷媒回路を有する空気調和装置の効率を向上させることができる。
また、上記第5の発明によれば、上記本体部(2)の伝熱通路(4)から流出した冷媒をケーシングの内周面に沿うように旋回させることができる。これにより、この旋回による遠心分離作用によって冷媒が気液分離しやすくなり、上記気液分離部(5)における気液分離効率を確実に向上させることができる。
また、上記第6の発明によれば、冷媒として二酸化炭素を用いた場合であっても、第1状態時において、上記伝熱部(3)から流出する冷媒の乾き度を低めに設定することで、上記伝熱部(3)の冷媒出口付近でドライアウトが起きないようにすることができる。これにより、本発明の熱交換器の冷媒として二酸化炭素を用いたとしても、熱交換器の性能ができるだけ低下しないようにすることができる。
また、上記第7の発明によれば、蒸発温度0℃に対する飽和圧力が0.4MPa以下であって、比較的飽和圧力が低く、圧力損失による蒸発温度降下が大きいために空気調和装置の空調性能に大きく影響する冷媒を用いた場合であっても、上記伝熱部(3)から流出する冷媒の乾き度を低めに設定することで、本発明の熱交換器を流れる冷媒の密度を高くし、流速を下げることで圧力損失をできるだけ抑えることができる。これにより、冷媒として蒸発温度0℃に対する飽和圧力が0.4MPa以下の冷媒を用いた場合でも、本発明の熱交換器の性能の低下を抑えることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
まず、本実施形態の熱交換器を備えた空気調和装置について説明した後で、上記熱交換器について説明する。
−空気調和装置−
上記空気調和装置は、室外機と室内機とを備えたセパレートタイプのものである。この空気調和装置は、上記室外機を屋外に設置し、上記室内機を室内に設置することにより、室内の冷暖房運転を行うことができる。
図1に上記空気調和装置の冷媒回路図を示す。上記室外機には室外回路(20a)が設けられ、上記室内機には室内回路(20b)が設けられている。そして、上記室外回路(20a)の両端と上記室外回路(20a)の両端とが接続されることにより、蒸気圧縮式の超臨界冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)が構成されている。尚、この冷媒回路(20)には冷媒として二酸化炭素が用いられている。
上記冷媒回路(20)には、圧縮機(21)、四路切換弁(22)、室外熱交換器(23)及び本発明の熱交換器としての室内熱交換器(1)が接続されている。
上記四路切換弁(22)は4つのポートを備えており、第1ポートと第4ポートが連通し且つ第2ポートと第3ポートが連通する冷房位置(図1に実線で示す状態)と、第1ポートと第3ポートが連通し且つ第2ポートと第4ポートが連通する暖房位置(図1に破線で示す状態)とに切り換え可能となっている。
上記圧縮機(21)は全密閉型であって、該圧縮機(21)に電気的に接続されたインバータ(図示省略)により容量可変に構成されている。この圧縮機(21)は、吸入した冷媒を所定圧力まで圧縮して吐出するように構成されている。上記圧縮機(21)の吐出側から延びる吐出配管(23)は上記四路切換弁(22)の第1ポートに接続され、上記四路切換弁(22)の第4ポートから延びる冷媒配管(26)は上記室外熱交換器(23)の一端に接続されている。
上記室外熱交換器(23)は、該室外熱交換器(23)の近傍に設けられた室外ファン(図示なし)によって取り込まれた屋外空気と冷媒が熱交換する空気熱交換器を構成している。上記室外熱交換器(23)の他端から延びる冷媒配管(25)は上記室内熱交換器(1)に接続されている。この室内熱交換器(1)については、詳しく後述する。上記室内熱交換器(1)から延びる冷媒配管(24)が上記四路切換弁(22)の第3ポートに接続され、上記四路切換弁(22)の第2ポートから延びる吸入配管(27)が上記圧縮機(21)の吸入側に接続されている。
そして、上記四路切換弁(22)が冷房位置に設定されると、上記室外熱交換器(23)が放熱器となり、室内熱交換器(1)が蒸発器となって冷房運転が行われる。一方、上記四路切換弁(22)が暖房位置に設定されると、上記室外熱交換器(23)が蒸発器となり、室内熱交換器(1)が放熱器となって暖房運転が行われる。
−室内熱交換器−
次に、本発明の特徴である熱交換器としての室内熱交換器(1)について説明する。
図2に示すように、上記室内熱交換器(1)は、分流器部(6)と伝熱部(3)と気液分離器(気液分離部)(5)とが接続された本体部(2)を有している。
上記分流器(6)には複数の分岐管(7)が接続されている。この分岐管(7)の端部は、上記伝熱部(3)を構成する伝熱管(伝熱通路)(4)の一端に接続されてる。
この伝熱部(3)は、いわゆるクロスフィンアンドチューブ型で構成され、上述した伝熱管(4)を上下に複数配列した伝熱管群(図示なし)と、上記伝熱管群の伝熱管に貫通されて固定された矩形状の伝熱フィンが、該伝熱管の長さ方向に沿って所定の間隔をあけつつ、互いに平行となるように一列に並べられた伝熱フィン群(図示なし)とを有している。
そして、図5に示すように、上記複数の伝熱管(4)の各端部は上記気液分離器(5)に接続されている。
上記気液分離器(5)は、縦長の円筒状に形成された密閉容器で構成されている。この密閉容器の頂部にはガス側開口部(5b)が形成され、該密閉容器の底部には液側開口部が形成されている。また、上記密閉容器の側周面には長さ方向に沿って複数の流入開口部が形成されている。上述した各伝熱管(4)の他端は、この各流入開口部に接続されている。これにより、上記各伝熱管(4)から流出した冷媒を密閉容器の内周面に沿うように旋回させることができる。
又、上記本体部(2)には第1、第2冷媒配管(14,15)が接続されている。上記第1冷媒配管(14)は上記分流器(6)の開口部(6a)に接続され、上記第2冷媒配管(15)は上記気液分離器(5)におけるケーシング(10)のガス側開口部(5b)に接続されている。この第1冷媒配管(14)にはエジェクタ(8)が設けられている。
上記エジェクタ(8)は、図示しない駆動流路と吸引通路と噴出流路とを有している。上記エジェクタ(8)の流入口から流入した駆動冷媒は、上記駆動流路を通過する際に該駆動流路内に設けられたノズルで膨張する。尚、このノズルの孔径は可変に構成されている。この膨張によってノズルの出口で冷媒の流れが加速され、この加速で生じる負圧によって、上記エジェクタ(8)の吸引口から吸引通路へ吸引冷媒が吸引され、上記吸引通路を流れる。そして、上記駆動流路を通過した冷媒と上記吸引流路を通過した冷媒とが混合され、上記噴出流路に流入する。上記噴出流路内に流入した冷媒は、該噴出流路に設けられたディフューザで減速して昇圧された後に、上記エジェクタ(8)の噴出口から噴出するようになっている。
又、上記本体部(2)には、上記気液分離器(5)の液側開口部と上記エジェクタ部(8)の吸引口とを繋ぐ連通配管(連通路)(9)が設けられ、その連通配管(9)には開閉弁(開閉機構)(10)が設けられている。
−室内熱交換器の動作−
次に、上記室内熱交換器(1)の動作について説明する。まず、第1状態(空気調和装置が冷房運転)の動作について説明した後に、第2状態(空気調和装置が暖房運転)について説明する。
〈第1状態〉
上記第1状態時には、上記開閉弁(10)が開設定となる。その状態において、上記第1冷媒配管(14)を通じて、上記室外熱交換器(23)で放熱した冷媒が上記室内熱交換器(1)のエジェクタ(8)へ流入する。
上記エジェクタ(8)では、流入した冷媒が上記駆動通路を流れ、該駆動通路のノズルで冷媒が減圧加速される。この冷媒の加速で生じる負圧によって、上記エジェクタ(8)の吸引通路に上記気液分離器(5)内の液冷媒が吸引される。そして、駆動通路の冷媒と吸引通路の液冷媒とが上記エジェクタ(8)の噴出通路内で混合した後、該噴出通路のディフューザで減速して昇圧する。この昇圧した冷媒が上記噴出通路から流出し、上記分流器(6)へ流れる。
上記分流器(6)では、流入した冷媒が分流して、各分岐管(7)を経て上記伝熱部(3)の伝熱管(4)に流入する。上記伝熱管(4)に流入した冷媒は、上記室内熱交換器(1)の近傍に設けられた室内ファン(図示なし)から送られる室内空気から吸熱して蒸発した後で該各伝熱管(4)から流出する。このとき、上記室内空気は冷媒から熱を奪われて冷却され、この冷却された室内空気が室内へ供給される。
ここで、上記伝熱管(4)内の冷媒は、完全に蒸発した状態で伝熱管(4)を流出するのではなく、二相状態で流出する。そして、この二相状態の冷媒は、上記気液分離器(5)に流入する。この気液分離器(5)では、流入した冷媒が液冷媒とガス冷媒とに分離し、液冷媒は上述したようにエジェクタ(8)に吸引される。一方、ガス冷媒は上記第2冷媒配管(15)を経て、上記圧縮機(21)に吸入される。
尚、上記第2冷媒配管(15)のガス冷媒は上記圧縮機(21)に吸入され、所定圧力まで圧縮された後、上記四路切換弁(22)と上記室外熱交換器(23)とを経て、上記第1冷媒配管(14)から再び室内熱交換器(1)に流入する。
〈第2状態〉
上記第2状態時には、上記開閉弁(10)が閉設定となる。その状態において、上記第2冷媒配管(15)を通じて、上記圧縮機(21)で圧縮されたガス冷媒が室内熱交換器(1)の気液分離器(5)に流入する。
上記気液分離器(5)では、流入した冷媒が分流して、上記伝熱部(3)の伝熱管(4)に流入する。このとき、上記気液分離器(5)では気液分離は行われず、該気液分離器(5)はヘッダとして機能する。
上記伝熱管(4)に流入した冷媒は、上記室内熱交換器(1)の室内ファンから送られる室内空気へ放熱した後で該各伝熱管(4)から流出する。このとき、上記室内空気は冷媒から加熱され、この加熱された室内空気が室内へ供給される。上記伝熱管(4)を流出した冷媒は、上記分流器(6)の分岐管(7)を経て、該分流器(6)内で合流した後で、上記エジェクタ(8)に流入する。そして、上記エジェクタ(8)で膨張した後で、上記第1冷媒配管(14)を経て、上記圧縮機(21)に吸入される。
尚、上記第1冷媒配管(14)の冷媒は、上記室外熱交換器(23)で蒸発した後、上記圧縮機(21)に吸入され、所定圧力まで圧縮された後、上記四路切換弁(22)を経て、上記第2冷媒配管(15)から再び室内熱交換器(1)に流入する。
本実施形態によれば、上記第1状態時に、上記伝熱部(3)から二相状態の冷媒を流出させることができる。これにより、冷媒の乾き度を低く抑えることができ、ドライアウトを回避することができる。又、上記第2状態時に、上記第1状態時に開設定としていた開閉弁(10)を閉設定にすることで、上記気液分離部(5)に流入した冷媒を上記エジェクタ部(8)へ流さずに、上記伝熱管(4)へ流すことができる。これにより、上記気液分離器(5)から分流した冷媒を伝熱管(4)で確実に放熱させることができる。
又、本実施形態によれば、上記伝熱部(3)から二相状態で冷媒を流出させることができるので、上記伝熱部(3)における出口冷媒の乾き度を低くでき、上記伝熱部(3)の冷媒出口付近でドライアウトが起きないようにすることが可能となる。これにより、上記空気調和装置の冷媒として二酸化炭素を用いる場合でも、上記空気調和装置の性能ができるだけ低下しないようにすることができる。
又、本実施形態によれば、上記本体部(2)の伝熱管(4)から流出した冷媒を気液分離器(5)の内周面に沿うように旋回させることができる。これにより、この旋回による遠心分離作用によって冷媒が気液分離しやすくなり、上記気液分離器(5)における気液分離効率を確実に向上させることができる。
−実施形態の変形例1−
図3に示す変形例1の室内熱交換器と上記実施形態で示した室内熱交換器との違いは、加熱熱交換器(11)とバイパス配管(バイパス通路)(16)と第1、第2逆止弁(切換機構)(CV1,CV2)とが設けられている点である。
上記加熱熱交換器(11)は、第1流路(11b)と第2流路(11a)とを有し、第1流路(11b)に第1冷媒配管(14)が接続され、上記第2流路(11a)に第2冷媒配管(15)が接続されている。
こうすると、上記第1冷媒配管(14)の冷媒で上記第2冷媒配管(15)の冷媒を加熱することができるようになる。つまり、例えば、上記第1状態時に上記伝熱部(3)の熱負荷が急激に増加して、上記気液分離器(5)で気液分離できなかった液冷媒が第2冷媒配管(15)を通じて流出してしまったとする。このような場合であっても、その液冷媒を上記加熱熱交換器(11)で加熱することができる。これにより、上記第2冷媒配管(15)を流れる冷媒を過熱状態にした後で、上記圧縮機に吸入させることができ、該圧縮機の湿り運転を防止することができる。
又、上記バイパス配管(16)は、上記加熱熱交換器(11)の第2流路(11a)をバイパスするように、上記第2冷媒配管(15)に接続されている。又、このバイパス配管(16)には、上記本体部(2)の気液分離器(5)へ向かう冷媒の流れを許容するとともに逆方向への冷媒の流れを禁止する向きに第1逆止弁(CV1)が設けられている。又、上記第2冷媒配管(15)における加熱熱交換器(11)とバイパス配管(16)の接続部との間には、該バイパス配管(16)の接続部へ向かう冷媒の流れを許容するとともに逆方向への冷媒の流れを禁止する向きに第2逆止弁(CV2)が設けられている。
こうすると、この室内熱交換器を、上記第1状態時に第2逆止弁(CV2)により上記第2流路(11a)を開放するとともに上記第1逆止弁(CV1)により上記バイパス通路(16)を閉鎖するバイパス閉鎖状態と、上記第2状態時に上記第1逆止弁(CV1)により上記バイパス通路(16)を開放するとともに上記第2逆止弁(CV2)により第2流路(11a)を閉鎖するバイパス開放状態とに設定することができる。これにより、上記第2状態時における上記伝熱部(3)の放熱ロスをなくすことができる。
−実施形態の変形例2−
この変形例2の室内熱交換器と上記実施形態で示した室内熱交換器との違いは、上記連通配管(9)の一部が、上記伝熱部(3)の伝熱管を構成するのと、上記開閉弁(10)に代えて流量調整弁(13)が設けられている点である。
こうすると、上記第1状態時において、上記気液分離器(5)の液冷媒を上記伝熱管(4)を流れる冷媒と同じように熱交換してから、上記エジェクタ(8)へ戻すことができるようになる。これにより、上記第1状態時には、上記連通配管(9)を流れる冷媒の蒸発温度が、上記連通配管(9)の伝熱管(4)以外の伝熱管(4)を流れる冷媒の蒸発温度よりも低く設定でき、この上記連通配管(9)を流れる冷媒の蒸発温度が低い分、上記伝熱部(3)の蒸発温度を高く設定することができる。
又、運転状態の違いによるエジェクタ(8)の吸引量に合わせて、そのエジェクタ(8)への冷媒戻り量を上記流量調整弁(13)で最適な値に調整することができる。以上より、この室内熱交換器(1)を備えた空気調和装置の効率を向上させることができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
本実施形態では、空気調和装置の室内熱交換器として本発明の熱交換器を用いたが、これに限定されず、室外熱交換器として本発明の熱交換器を用いてもよい。
又、本実施形態では、冷媒として二酸化炭素を用いていたが、これに限定されず、例えば、HFC134aやHFO1234yf等の冷媒、即ち蒸発温度0℃に対する飽和圧力が0.4MPa以下の冷媒を用いてもよい。この場合には、上記室内熱交換器(1)から流出する冷媒の乾き度を低めに調整する。こうすることで、上記室内熱交換器(1)の圧力損失をできるだけ抑えることができ、空気調和装置の空調性能ができるだけ低下させないようにできる。
又、本実施形態では、冷媒として二酸化炭素を用いていたが、これに限定されず、例えば、蒸発温度0℃に対する飽和圧力が0.4MPa以下であって、比較的飽和圧力が低く、圧力損失による蒸発温度降下が大きいために空気調和装置の空調性能に大きく影響する冷媒を用いてもよい。このような冷媒として、例えばHFC134aやHFO1234yf等が上げられる。このような冷媒を用いる場合には、上記室内熱交換器(1)の冷媒出口乾き度を低めに調整する。こうすることで、冷媒の密度を高くし、流速を下げることができ、上記室内熱交換器(1)の圧力損失をできるだけ抑えることができるため、その効果は大きい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、冷凍サイクルを行う冷媒回路の蒸発器及び放熱器の少なくとも一方を構成する熱交換器について有用である。
本発明の実施形態に係る熱交換器が接続された空気調和装置の冷媒回路図である。 本発明の実施形態に係る熱交換器の冷媒系統図である。 本発明の実施形態の変形例1に係る熱交換器の冷媒系統図である。 本発明の実施形態の変形例2に係る熱交換器の冷媒系統図である。 本発明の熱交換器における伝熱管と気液分離器との接続部分を示す断面図である。
1 室内熱交換器
4 伝熱管(伝熱流路)
5 気液分離器(気液分離部)
6 分流器部
8 エジェクタ(エジェクタ部)
9 連通配管(連通路)
10 開閉弁(開閉機構)
20 冷媒回路
22 四路切換弁
23 室外熱交換器

Claims (7)

  1. 冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)に接続される熱交換器であって、
    上記冷媒回路(20)の冷媒が流れる複数の伝熱流路(4)を有する伝熱部(3)と該伝熱部(3)の一端側に接続される分流器部(6)と該伝熱部(3)の他端側に接続される気液分離部(5)とを有する本体部(2)と、
    上記伝熱部(3)で冷媒が蒸発する第1状態時に上記本体部(2)の冷媒流入口部となり、上記伝熱部(3)で冷媒が放熱する第2状態時に上記本体部(2)の冷媒流出口部となる上記分流器部(6)の端部(6a)に接続される第1冷媒通路(14)と、
    上記第1状態時に上記本体部(2)の冷媒流出口部となり、上記第2状態時に上記本体部(2)の冷媒流入口部となる上記気液分離部(5)のガス側開口部(5b)に接続される第2冷媒通路(15)と、
    上記第1冷媒通路(14)に接続されるエジェクタ部(8)と、
    上記気液分離部(5)の液側開口部と上記エジェクタ部(8)の吸引口部とを連通する連通路(9)と、
    上記連通路(9)を開閉可能な開閉機構(10)とを備え
    上記開閉機構(10)は、上記第1状態時に開設定となり、上記第2状態時に閉設定となるように構成されていることを特徴とする熱交換器。
  2. 請求項1において、
    第1流路(11b)と第2流路(11a)とを有するとともに上記第1流路(11b)を流れる冷媒と上記第2流路(11a)を流れる冷媒とが熱交換する加熱熱交換部(11)を備え、
    上記第1流路(11b)が第1冷媒通路(14)に連通し、上記第2流路(11a)が第2冷媒通路(15)に連通していることを特徴とする熱交換器。
  3. 請求項2において、
    上記加熱熱交換部(11)の第2流路(11a)をバイパスするバイパス通路(16)と、
    上記第1状態時に上記第2流路(11a)を開放するとともに上記バイパス通路(16)を閉鎖するバイパス閉鎖位置と上記第2状態時に上記バイパス通路(16)を開放するとともに第2流路(11a)を閉鎖するバイパス開放位置とに切換可能な切換機構(CV1,CV2)とを備えていることを特徴とする熱交換器。
  4. 請求項1から3の何れか1つにおいて、
    上記連通路(9)の一部が、上記本体部(2)の伝熱通路(4)を形成していることを特徴とする熱交換器。
  5. 請求項1から4の何れか1つにおいて、
    上記気液分離部(5)は、上下端が閉塞された円筒状のケーシングを有し、
    上記ケーシングにおける内周面の接線方向に冷媒が供給されるように、上記本体部(2)の伝熱通路(4)が上記ケーシングに接続されていることを特徴とする熱交換器。
  6. 請求項1から5の何れか1つにおいて、
    上記本体部(2)を流れる冷媒は、二酸化炭素であることを特徴とする熱交換器。
  7. 請求項1から5の何れか1つにおいて、
    上記本体部(2)を流れる冷媒は、蒸発温度0℃に対する飽和圧力が0.4MPa以下であることを特徴とする熱交換器。
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