JP4855997B2 - ブレーキ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ホイルシリンダにブレーキ液圧を供給するポンプと、ホイルシリンダから排出されたブレーキ液を貯留するリザーバとを備えたブレーキ制御装置に関する。
運転者の制動操作とは独立して車輪に制動力を発生可能なブレーキ制御として、アンチスキッド制御や自動ブレーキ制御等がある。アンチスキッド制御は、運転者のブレーキ操作時、各車輪のホイルシリンダ圧を増減させて車輪ロックを防止する。自動ブレーキ制御には例えば、いわゆるTCS(トラクション・コントロール・システム)に用いられ、運転者のブレーキ非操作時、駆動輪のホイルシリンダ圧を増減させて駆動輪のスリップを防止するものがある。
これらホイルシリンダ圧の増減制御を実行するブレーキ制御装置では、一般に、ホイルシリンダ圧の減圧時には、ブレーキ液をホイルシリンダから一旦リザーバに排出して貯留させる。リザーバにはポンプが接続されており、減圧制御中ないし減圧制御終了時に、リザーバに貯留したブレーキ液をポンプによって掻き出し、他のブレーキ液源に還流させる。すなわち、減圧制御終了後には、次回の減圧制御の際にリザーバがブレーキ液を受け入れ可能にするため、リザーバ内に残ったブレーキ液(以下、リザーバ残液という)を全て排出してリザーバ内を低圧にしておく必要がある。
しかし、リザーバ残液が全て排出された後にもポンプを作動させ続けると、ポンプ作動音が騒音となる。また、上記ポンプを電動モータにより駆動する構成にあっては、モータ作動音も騒音となる。
これに対し、特許文献1に記載のブレーキ制御装置(以下、従来例という)は、上記排出の間、モータの回転数を監視する。そして、モータ回転数に関する所定の判断基準に照らして、モータおよびポンプの停止タイミングを制御する。これによりモータの作動時間を従来よりも短縮し、騒音の低減を図っている。すなわち、リザーバからポンプ吸入側に供給されるブレーキ液が減少すると、ポンプおよびモータに作用する負荷が低下するため、モータ回転数が上昇する。上記従来例は、このようなリザーバ残液量とモータ作動状態との相関を利用しており、リザーバ残液が全て排出されてモータが空転するときに発生するモータ回転数上昇を、上記判断基準として用いている。
特表2000−503928号公報
しかし、上記従来例にあっては、モータ空転時の回転数の大きさそのものを判断基準としているため、モータ回転数が一旦急上昇して高回転数になった後でなければリザーバ残液の有無を判断できない。このため、運転者に不快感を与えるモータ作動音が発生し、ブレーキ制御の際のフィーリングを十分に改善できなかった。
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、ブレーキ制御時に、リザーバ残液が完全になくなってモータ回転数が高くなる前に、リザーバ残液の有無を判定できるブレーキ制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のブレーキ制御装置は、マスタシリンダと、各車輪に装着されたホイルシリンダと、該ホイルシリンダ内のブレーキ液圧を減圧する減圧制御手段と、該減圧制御時に前記ホイルシリンダから排出されたブレーキ液を貯留するリザーバと、該リザーバ内のブレーキ液を前記マスタシリンダ側へ排出するポンプと、該ポンプを作動させる電動式のモータと、少なくとも前記減圧制御中、モータ駆動電流をオン/オフ制御するモータ制御手段と、前記モータの回転数を検出するモータ回転数検出手段と、前記オン/オフ制御による前記モータ回転数の増加と減少の1周期において、前記モータ駆動電流が出力される前の前記モータ回転数の減少勾配を、前記モータ回転数の減少中の第1時点および前記モータ回転数が最大となる第2時点と、前記第1時点および前記第2時点での前記モータ回転数とに基づき算出する回転数減少勾配算出手段と、記リザーバ内に残留したブレーキ液の有無を判定するリザーバ残液判定手段と、車速を検出する車速検出手段と、を備え、前記リザーバ残液判定手段は、前記算出された減少勾配が第1閾値よりも小さく緩やかであるときに前記リザーバ内の残液がないと判定し、前記算出された減少勾配が第2閾値よりも大きく急であるときに前記リザーバ内の残液があると判定し、前記モータ制御手段は、車速が所定の閾値以下であり、かつ前記リザーバ内の残液がないと判定されたとき、前記モータの駆動を停止することとした。
よって、減圧制御を行うブレーキ制御時に、モータ回転数の勾配に基づいてリザーバ残液の有無を判断するため、モータ回転数が高くなる前にリザーバ残液の有無を判定できる。
以下、本発明のブレーキ制御装置を実現する最良の形態を、図面に基づき説明する。
[ブレーキ制御装置の油圧回路]
図1は、本発明のブレーキ制御装置が適用されるブレーキユニットBUの油圧回路図である。ブレーキユニットBUは、マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとに接続されている。ホイルシリンダW/Cは各車輪FL,FR,RL,RRに設けられている。
ブレーキ回路は独立した2つの系統、すなわちP系統とS系統に分かれ、ブレーキ回路10,20を有している。ブレーキ回路10は左前輪のホイルシリンダW/C(FL)と右後輪のホイルシリンダW/C(RR)とを接続し、ブレーキ回路20は右前輪のホイルシリンダW/C(FR)と左後輪のホイルシリンダW/C(RL)とを接続しており、いわゆるX配管構造となっている。なお、ブレーキ回路はX配管に限定されない。
マスタシリンダM/Cは、ブレーキペダルBPが踏み込まれると、踏み込み量に応じた液圧を発生し、ブレーキ液をブレーキ回路10,20を介して各ホイルシリンダW/C(FR,FL,RR,RL)に供給する。マスタシリンダM/CとブレーキユニットBUとの間のブレーキ回路10上には、マスタシリンダM/Cの圧力を検出する液圧センサ30が設けられている。
ブレーキ回路10のマスタシリンダM/C側(以下、上流という)からホイルシリンダW/C側(以下、下流という)に向かう途中には、常開のアウト側ゲート弁11(電磁弁)が設けられている。アウト側ゲート弁11と並列に一方弁11aが設けられており、一方弁11aは下流から上流へのブレーキ液の流れを禁止する。
アウト側ゲート弁11の下流側のブレーキ回路10kはブレーキ回路10a,10bに分岐し、ブレーキ回路10a,10bは、それぞれブレーキ回路10l、10mを介してホイルシリンダW/C(FL),W/C(RR)に接続している。また、ブレーキ回路10a,10b上には、それぞれ常開の増圧弁12,13が設けられている。増圧弁12,13は、通電により開閉が切り替えられる2ポート2ポジションの電磁切替弁であり、非作動時(非通電時)に開弁し、作動時(通電時)に閉弁する。
増圧弁12,13にはそれぞれ、制動操作が終了したときにブレーキ液をホイルシリンダW/C(FL),W/C(RR)からマスタシリンダM/Cに円滑に戻すためのバイパス路10n,10pが並列に設けられ、このバイパス路10n,10pにはそれぞれ、下流から上流へのブレーキ液の流れのみを許容する一方弁12a,13aが設けられている。
増圧弁12,13の下流のブレーキ回路10a,10bには、リターン回路10c,10dがそれぞれ接続している。リターン回路10c,10d上にはそれぞれ常閉の減圧弁14,15が設けられている。減圧弁14,15は、通電により開閉が切り替えられる2ポート2ポジションの電磁切替弁であり、非作動時(非通電時)には閉弁し、作動時(通電時)に開弁する。リターン回路10c,10dは合流してリターン回路10eを形成し、リターン通路10eはリザーバ16に接続している。
一方、ブレーキ回路10はアウト側ゲート弁11の上流で分岐し、吸入回路10gを形成している。吸入回路10g上には、吸入回路10gの連通・遮断を切り換える常閉のイン側ゲート弁17(電磁弁)が設けられている。吸入回路10gは、リザーバ16からのリターン回路10fと合流して吸入回路10hを形成している。尚、リターン回路10fには、下流から上流へのブレーキ液の流れのみを許容する一方弁16aが設けられている。
ブレーキ回路10には、マスタシリンダM/C以外の液圧源として、モータMにより駆動されるプランジャ式のポンプPが接続されている。モータMは電動式の直流モータである。ポンプPは、第1ポンプP1と第2ポンプP2を備えている。第1、第2ポンプP1、P2はそれぞれ、モータMにより駆動されるプランジャの往復移動に伴って容積室の容積が変化することでブレーキ液の吸入・吐出を行う。
第1ポンプP1の吸入側は吸入回路10hと接続し、第1ポンプP1の吐出側は吐出回路10iと接続している。吐出回路10iは、ブレーキ回路10kと接続している。尚、第1ポンプP1の吸入側および吐出側にはそれぞれ、一方弁構造の吸入弁18および排出弁19が設けられている。モータMにより第1ポンプP1が作動すると、ブレーキ液が吸入回路10hから吸入され、吐出回路10iに吐出される。
ブレーキ回路20側の油圧回路も、上記ブレーキ回路10側と同様に構成されている。
(ブレーキ制御)
通常ブレーキ時(非制御時)には、アウト側ゲート弁11,21は開弁状態であり、イン側ゲート弁17,27は閉弁状態である。また、増圧弁12,13は開弁状態であり、減圧弁14,15は閉弁状態である。よって、運転者のブレーキ操作に応じて発生するマスタシリンダ圧PM/Cがブレーキ回路10,20を介して各ホイルシリンダW/Cに供給され、制動力が発生する。
アンチスキッド制御時には、制動時にロック傾向となった車輪(以下、左前輪FLを例にとって説明する)のホイルシリンダW/C(FL)に接続されている増圧弁12を閉弁させるとともに減圧弁14を開弁させ、ホイルシリンダW/C(FL)のブレーキ液をリザーバ16に戻す減圧制御を行う。これにより、車輪FLのブレーキ液圧を低下させる。また、車輪FLがロック傾向から回復したら、増圧弁12を開弁させるとともに減圧弁14を閉弁させる増圧制御を行う。これにより、マスタシリンダM/Cの液圧をホイルシリンダW/C(FL)に供給する。以上のような減圧制御と増圧制御とを適宜繰り返し、または必要に応じて増圧弁12と減圧弁14の両方を閉弁させる保持制御を加え、車輪FLのロックを防止しつつ制動を行う。
最初の減圧制御が開始されると、ポンプPの作動を開始する。ポンプPは、リザーバ16に貯留したブレーキ液をリターン回路10fおよび吸入回路10hを介して吸入するとともに吐出回路10iに吐出して、ブレーキ回路10kに戻す。尚、アンチスキッド制御中、アウト側ゲート弁11,21は開弁され、イン側ゲート弁17,27は閉弁される。
TCS等の自動ブレーキ制御時には、アウト側ゲート弁11,21を閉弁させる一方で、イン側ゲート弁17,27を開弁させる。同時にポンプPを作動させ、マスタシリンダM/Cから吸入回路10g,10h,20g,20hを介してブレーキ液を吸入するとともに、吐出回路10i,20iを介してブレーキ回路10k,20kにブレーキ液を供給する。さらに、ホイルシリンダ圧が必要な制動力に応じた目標圧となるようにアウト側ゲート弁11,21または増圧弁12,13,22,23を制御する。
そして、増圧制御後には、増圧弁12,13,22,23を閉弁させるとともに減圧弁14,15,24,25を開弁させ、ホイルシリンダW/Cのブレーキ液をリザーバ16,26に戻す減圧制御を行う。ポンプPは、リザーバ16に貯留したブレーキ液をリターン回路10fおよび吸入回路10hを介して吸入するとともに吐出回路10iに吐出して、ブレーキ回路10kに戻す。尚、減圧制御中、アウト側ゲート弁11,21は開弁され、イン側ゲート弁17,27は閉弁される。
以上のポンプP(モータM)や電磁弁(増圧弁12等)の制御は、コントロールユニット40からの駆動信号により行われる。図2は、ブレーキ制御装置のシステム図である。
ブレーキ制御装置は、センサ群SEと、ブレーキユニットBUに設けられたブレーキアクチュエータと、ブレーキアクチュエータを制御するコントロールユニット40と、インバータ50と、を有している。
センサ群SEは、車両速度を検出する車速センサ30aと、各車輪FL,FR,RL,RRの回転速度を検出する車輪速センサ31と、車両の前後左右の加速度を検出する前後Gセンサ32および横Gセンサ33と、車両旋回中の角速度と角加速度を検出するヨーレートセンサ34と、モータMの回転数Nmを検出するモータ回転数センサ35と、を有している。
ブレーキアクチュエータは、複数の電磁弁(各車輪に対応して設けられた一対の増圧弁12および減圧弁14等)と、モータMと、を有している。
コントロールユニット40は、アンチスキッド制御等のブレーキ制御を実行する。具体的には、センサ群SEからの信号に基づいて車両挙動を検知し、電磁弁に駆動信号を出力してこれらの開閉作動を制御する。また、モータ駆動信号を出力して、モータMをPWM制御(パルス幅変調)する(図3のステップS6)。以下、PWM制御について説明する。
インバータ50は、コントロールユニット40から入力されたモータ駆動信号に応じたパルス状の駆動電流をモータMに出力する。インバータ50は、PWM制御部51と、無接点スイッチング素子52とを有している。PWM制御部51は、モータ駆動信号のデューティ(モータ駆動デューティ)に応じた時間の幅でスイッチング素子52のON/OFFを切り換える。バッテリの電源電圧により、ON時間の幅に応じた大きさの実効電流(駆動電流)がモータMに流れ、モータMの駆動状態が制御される。
コントロールユニット40は、モータ駆動開始直後には、所定時間だけモータ駆動デューティ(オンデューティ)100%として、モータ回転数Nmを一旦目標値Nm*より高い所定回転数まで引き上げる。その後、モータ駆動デューティをゼロとする。いずれかのモータ制御周期でモータ回転数の実値Nmが所定の目標値Nm*を下回ると、そのときの目標値Nm*と実値Nmとの偏差ΔNmに応じたモータ駆動デューティ(%)を決定し、出力する。具体的には、目標値Nm*に応じて設定された基準デューティに偏差ΔNmに応じた補正量を加算する。そのモータ制御周期において、上記決定されたモータ駆動デューティに応じた大きさの駆動電流がモータMに流され、モータMが駆動される。よって、モータ回転数は減少から増加に転じる。
一方、駆動電流が流される上記制御周期以降の制御周期では、モータ駆動デューティはゼロに設定され、駆動電流は流されない。よって、モータMは惰性回転するため、モータ回転数Nmは増加から減少に転じる。再び目標値Nm*を下回ると上記のようにモータMが駆動される。以上のように駆動電流がオン/オフ制御されることで、モータ回転数Nmが目標値Nm*付近にフィードバック制御される。
[実施例1の作用]
コントロールユニット40は、減圧制御(以下、アンチスキッド制御を例にして説明する)の終了間際に、モータ回転数Nmの勾配ΔNm/ΔTに基づき、リザーバ残液の有無を判断する。リザーバ残液がないと判断したときは、モータMの駆動を終了する。リザーバ残液があると判断したときは、モータMの駆動を延長し、リザーバ残液を排出する。以下、具体的に説明する。
図3は、コントロールユニット40が実行する制御の流れを示す。
ステップS1では、アンチスキッド制御中であるか否かを判断する。アンチスキッド制御時でなければステップS2に進む。アンチスキッド制御時であれば、後述のモータ延長駆動タイマがセットされていないとき、モータ駆動タイマをセットし、また、周期タイマを作動させて、ステップS3に進む。
モータ駆動タイマは、アンチスキッド制御中の各減圧制御時にセットされるバックアップ用のタイマである。周期タイマは、モータPWM制御の各周期でカウントされるタイマである。
ステップS2では、アンチスキッド制御を行わず、よって減圧制御を行わないため、モータMを非駆動状態として、今回の制御周期を終了する。
ステップS3では、モータMの駆動開始から所定時間内で、モータ回転数Nmが目標値Nm*を超えているか否かを判断する。目標値Nm*を超えていなければステップS4へ進み、目標値Nm*を超えていればステップS5へ進む。
ステップS4では、モータ駆動デューティ100%を決定・出力して、今回の制御周期を終了する。すなわち、モータMの駆動開始時には、モータ回転数Nmが目標値Nm*を超えるまで、ONデューティ100%でモータMを駆動する。
ステップS5では、車両が停止際であるか否かにより、アンチスキッド制御(減圧制御)の終了間際であるか否かを判断する。具体的には、車速が所定の閾値(数km/h)以下であれば車両停止際と判断し、車両停止際判断フラグを1とする。上記閾値以下の車速では減圧制御が行われることが考えにくいため、アンチスキッド制御(減圧制御)の終了間際であると判断する。終了間際と判断しなければステップS6へ進み、終了間際と判断すればステップS7へ進む。
ステップS6では、通常のモータPWM制御を行う。すなわち、今回の制御周期でモータ回転数の実値Nmが目標値Nm*を下回ると、モータ駆動を許可してモータ駆動デューティ(≦100%)を決定・出力する。また、周期タイマをリセットして、ゼロからカウントを開始させる。
ステップS7,S8では、モータ延長駆動判断処理を実行し、モータ延長駆動の要否を判断する。
ステップS7では、後述のリザーバ残液判断処理(ステップS71〜S76)を実行し、アンチスキッド制御(減圧制御)終了間際におけるリザーバ残液の有無を判断する。その後、ステップS8へ進む。
ステップS8では、ステップS7の判断結果を検出し、リザーバ残液があるとの判断結果であればステップS9へ進み、リザーバ残液がないとの判断結果であればステップS10へ進む。
ステップS9では、モータ駆動タイマを停止させるとともに、モータ延長駆動タイマをセットする。その後、ステップS6に進み、モータMを延長駆動させる。
モータ延長駆動タイマは、車両停止際に、リザーバに最大量のブレーキ液が残っており、かつ極低温であるような不利な条件下でも、目標モータ回転数Nm*でモータを駆動させたときにリザーバ残液を全て排出できる最小限の時間に設定されている。モータ延長駆動タイマが経過すると、モータMの駆動を停止する。
ステップS10では、モータMの駆動を停止し、本制御を終了する。
上記ステップS7のリザーバ残液判断処理を、図4のフローチャートにより説明する。リザーバ残液判断処理では、アンチスキッド制御(減圧制御)終了間際のモータ回転数Nmの減少勾配に基づき、リザーバ残液の有無を判断する。
ステップS71では、モータ駆動デューティ100%で駆動信号が出力されているか否か、または減圧制御指令が出力されているか否かを判断する。モータ駆動デューティ100%で駆動信号が出力され、または減圧制御指令が出力されていればステップS72へ進み、それ以外であればステップS73へ進む。
ステップS72では、モータ回転数Nmの減少勾配ΔNm/ΔTに、予め定めた最大値をセットする。その後、ステップS74へ進む。
ステップS73では、PWM制御(ステップS6)の各周期で検出したモータ回転数Nmおよび時刻に基づいて、モータ回転数Nmの減少勾配ΔNm/ΔTを作成する。具体的には、今回の制御周期直前に、駆動電流が流されてモータMが駆動されたPWM制御周期、すなわちモータ回転数が目標値Nm*を下回った時点T2を、周期タイマのカウントを参照して算出する。また、T2の直前にモータ回転数Nmが最大となった時点T1を、周期タイマのカウントを参照して算出する。そして、間隔時間ΔT(=T2−T1)でのモータ回転数Nmの変化量(減少量)ΔNm(>0)から、減少勾配ΔNm/ΔT(>0)を作成する。その後、ステップS74へ進む。
ステップS74では、セットされ、または作成された減少勾配ΔNm/ΔTが所定の勾配閾値αを超えているか否かを判断する。勾配閾値αを超えていればステップS75へ進み、超えていなければステップS76へ進む。尚、ステップS72でセットされた最大値は、勾配閾値αを超えた大きな値である。
ステップS75では、減少勾配ΔNm/ΔTが大きいため、リザーバ残液があると判断し、ステップS8へ進む。
ステップS76では、減少勾配ΔNm/ΔTが小さいため、リザーバ残液がないと判断し、ステップS8へ進む。
(タイムチャート)
図5、図6は、本発明のモータ制御の内容をモニタしたときのタイムチャートである。
(モータ延長駆動されない場合)
図5は、モータMが延長駆動されない場合のタイムチャートである。
時刻t6までの間、車両停止際判断フラグは0であり、アンチスキッド制御(減圧制御)終了間際とは判断されない。また、モータはPWM制御により駆動され、ポンプPの作動によりリザーバ16,26からブレーキ液が排出される。
時刻t1で、モータ回転数Nmが目標値Nm*を下回ると、そのPWM制御周期(時刻t1〜t2)でモータ駆動デューティを決定・出力する。図5のモータ駆動電流のタイムチャートで、縦軸の高さはデューティ(%)を示す。これにより時刻t1からt2まで、モータMが駆動され、モータMが正のトルクを出力する。また、周期タイマをリセットし、ゼロからカウントを開始する。
時刻t2以後、モータ駆動デューティはゼロに設定される。これによりモータMが出力するトルクはゼロとなり、t2以後、モータMが惰性回転を始める。一方、モータ回転数Nmは減少から上昇に転じる。
時刻t3で、モータ回転数Nmが最大値となる。その後、モータ回転数Nmが減少する。
ポンプPにはリザーバ16,26から供給されるブレーキ液量、すなわちリザーバ残液量に応じた負荷が作用する。よって、リザーバ残液が存在する間は、モータMには負のトルクが入力される。このため、惰性回転するモータMの回転数Nmは減少する。この減少勾配は、リザーバ残液量が多いほど大きくなる(急になる)。一方、リザーバ残液量が少ないほどモータMに入力される負のトルクは小さいため、減少勾配が小さくなる(緩やかになる)。
時刻t4で、モータ回転数Nmが目標値Nm*を下回る。時刻t4〜t5のタイムチャートは、時刻t1〜t2と同様である。
時刻t6で、車速が所定閾値以下となり、車両停止際判断フラグが1にセットされ、アンチスキッド制御(減圧制御)の終了間際と判断される。これにより、モータ延長駆動の要否を判断するモータ延長駆動判断処理を開始する。
まず、リザーバ残液判断処理を実行する。時刻t6ではモータ駆動デューティが100%でなく、かつ減圧制御指令も出力されていないため、モータ回転数Nmの勾配を作成する。すなわち、時刻t6の直前に、駆動電流が流されてモータMが駆動されたPWM制御周期の時刻t4と、時刻t4の直前にモータ回転数Nmが最大となった時刻t3との間隔時間ΔT(=t4−t3)を、周期タイマのカウントを参照して算出する。そして、ΔTにおけるモータ回転数Nmの減少量ΔNm(>0)から、減少勾配ΔNm/ΔTを作成する。
このように作成された減少勾配ΔNm/ΔTが勾配閾値αを下回り、小さい値となっているため、リザーバ残液がないと判断する。よって、モータMの延長駆動は不要であると判断し、モータの駆動(PWM制御)を終了し、停止状態とする。また、モータ駆動タイマおよび周期タイマを非作動とする。時刻t6以後、モータ回転数Nmは一旦上昇した後、減少を続け、ゼロとなる。
(モータ延長駆動される場合)
図6は、モータMが延長駆動される場合のタイムチャートである。
モータ延長駆動判断処理が開始される時刻t13までのタイムチャートは、図5の時刻t6までと同様である。
時刻t13で、車両停止際判断フラグが1にセットされ、アンチスキッド制御(減圧制御)の終了間際と判断される。また、モータ駆動デューティが100%でなく、かつ減圧制御指令も出力されていない。よって、図5の時刻t6と同様に、モータ延長駆動判断処理を実行する。
まず、時刻t12と時刻t11との間隔時間ΔT(=t2−t1)、およびΔTにおけるモータ回転数Nmの減少量ΔNmから、減少勾配ΔNm/ΔTを作成する。作成された減少勾配ΔNm/ΔTが勾配閾値αを上回り、大きい値となっているため、リザーバ残液があると判断する。よって、モータMの延長駆動が必要であると判断し、モータの駆動(PWM制御)を継続する。
すなわち、時刻t13で、モータ駆動タイマからモータ延長駆動タイマに切り替え、モータ延長駆動タイマ(延長駆動用モータ駆動タイマ)をセットする。時刻t13以後、モータ延長駆動タイマがゼロとなるまでモータMがPWM制御され、制御周期ごとにリザーバ残液の有無が判断される。
時刻t17の制御周期で、時刻t14〜t15のΔTおよびΔNmを用いて作成される減少勾配ΔNm/ΔTが勾配閾値αを下回るため、時刻t17で、リザーバ残液がないと判断する。よって、モータMの延長駆動は不要であると判断し、モータの駆動(PWM制御)を終了する。また、モータ延長駆動タイマおよび周期タイマを非作動とする。
[実施例1の効果]
以下、本実施例1から把握される本発明のブレーキ制御装置の作用効果を列挙する。
(1)マスタシリンダM/Cと、各車輪FL,FR,RL,RRに装着されたホイルシリンダW/Cと、ホイルシリンダW/C内のブレーキ液圧を減圧する減圧制御手段(コントロールユニット40、減圧弁14等)と、減圧制御時にホイルシリンダW/Cから排出されたブレーキ液を貯留するリザーバ16,26と、リザーバ16,26内のブレーキ液をマスタシリンダM/C側へ排出するポンプPと、ポンプPを作動させる電動式のモータMと、少なくとも減圧制御中、モータ駆動電流をオン/オフ制御するモータ制御手段(コントロールユニット40、インバータ50)と、モータ回転数Nmを検出するモータ回転数センサ35と、モータ駆動電流が出力される前のモータ回転数Nmの減少勾配ΔNm/ΔT(>0)を算出する回転数勾配算出手段(コントロールユニット40、ステップS73)と、算出された減少勾配ΔNm/ΔTに基づいてリザーバ16,26内に残留したブレーキ液の有無を判定するリザーバ残液判定手段(コントロールユニット40、ステップS74)と、を備えた。
このように、減圧制御を行うブレーキ制御(アンチスキッド制御)時に、減少勾配ΔNm/ΔTに基づいてリザーバ残液の有無を判断する。減少勾配ΔNm/ΔTは、リザーバ残液量が多いほど大きくなる(急になる)一方、リザーバ残液量が少ないほど小さくなる(緩やかになる)ことから、減少勾配ΔNm/ΔTに基づきリザーバ残液の有無を判断できる。このように、リザーバ残液量とモータ回転数Nmとの相関を利用しつつ、モータ回転数Nmの大きさそのもの(モータ空転時の高い値)を判断基準とせず、減少勾配ΔNm/ΔTを判断基準とする。よって、モータ回転数Nmが高い値となる前にリザーバ残液の有無を判断できる、という効果を有する。
尚、実施例1では、減少勾配ΔNm/ΔTを作成し、これをリザーバ残液有無の判断基準としたが、モータ回転数Nmの増加勾配を作成し、その大小に基づきリザーバ残液の有無を判断することとしてもよい。すなわち、回転数勾配算出手段(コントロールユニット40)が、モータ駆動電流が出力された後のモータ回転数Nmの増加勾配を算出し、リザーバ残液判定手段(コントロールユニット40)が、算出された増加勾配に基づいてリザーバ残液の有無を判定する構成としてもよい。この場合も上記作用効果が得られる。
さらに、(モータ駆動電流のオン/オフによる)モータ回転数Nmの増加と減少の1サイクルにおける減少勾配と増加勾配の双方に基づきリザーバ残液の有無を判断することとしてもよい。例えば、減少勾配と増加勾配の加算値を作成し、その大小に基づきリザーバ残液の有無を判断することとしてもよい。この場合、上記作用効果を効果的に得ることができる。
(2)リザーバ残液判定手段(コントロールユニット40、図4のステップS74)は、減少勾配ΔNm/ΔTが所定の勾配閾値αよりも小さく緩やかであるときに、リザーバ残液がないと判定することとした。尚、上記増加勾配が別の勾配閾値βよりも大きく急であるときに、リザーバ残液がないと判定することとしてもよい。
また、減少勾配ΔNm/ΔTが勾配閾値αよりも大きく急であるときに、リザーバ残液があると判定することとした。尚、上記増加勾配が勾配閾値βよりも小さく緩やかであるときに、リザーバ残液があると判定することとしてもよい。
(3)(モータ駆動電流のオン/オフによる)モータ回転数Nmの増加と減少の1周期における、上記減少中の1時点(例えば、モータ回転数Nmが目標値Nm*を下回り、略最小とみなせる時点)およびモータ回転数Nmが最大となる時点と、上記減少中の1時点でのモータ回転数Nm(例えば、略最小のモータ回転数)および最大モータ回転数とに基づき、減少勾配ΔNm/ΔTを算出することとした。
仮に、モータ回転数Nmの大きさそのもの、すなわちモータ空転時にモータ回転数Nmが所定値を超えることをリザーバ残液有無の判断基準とすると、ノイズ等の影響でモータ回転数信号が一時的に上記所定値を超えた場合、実際にはリザーバ内にブレーキ液が残っているのにもかかわらず、リザーバ残液がないと誤って判断してしまう。これに対し、本発明では、このような誤判断が発生しない。すなわち、モータ回転数Nmの減少中にノイズ等の影響でモータ回転数信号が一時的に大きく変動(オーバーシュート)すると、最大モータ回転数が通常よりも増加し、かつΔTが短くなる。しかし、この増加した最大回転数および短くなったΔTに基づき算出される減少勾配ΔNm/ΔTは大きな値となり、上記(2)によりリザーバ残液があると判断される。よって、上記のような誤判断が防止され、リザーバ残液を全て確実に排出できる、という効果を有する。
また、仮にモータ回転数Nmが所定値を超えることをリザーバ残液有無の判断基準とすると、ノイズ等の影響による誤判断防止のためには、所定の判断時間を設けてモータを延長駆動し、ノイズ等の影響を回避することが必要となる。これに対し本発明では、上記誤判断が発生しないため、上記所定の判断時間を設ける必要がない。よって、無駄なモータ延長駆動による騒音を防止できる、という効果を有する。
尚、モータ回転数Nmの増加と減少の1周期における上記増加中の時点(例えば、モータ回転数Nmが増加し始め、略最小である時点)およびモータ回転数Nmが最大となる時点と、上記増加中の時点でのモータ回転数Nm(例えば、略最小のモータ回転数)および最大モータ回転数とに基づき、増加勾配ΔNm/ΔTを算出することとしてもよい。
(4)また、モータ回転数Nmの増加と減少の1周期における上記減少中の1時点(例えば、モータ回転数Nmが目標値Nm*を下回り、略最小とみなせる時点)およびモータ回転数Nmが上記増加から上記減少へ徐々に切り替わって極大値となる時点と、上記減少中の1時点でのモータ回転数Nm(例えば、略最小のモータ回転数)および上記極大値とに基づき、減少勾配ΔNm/ΔTを作成することとしてもよい。
この場合、所定の時間幅を有する2時点間の直線勾配を作成するため、モータ回転数Nmの減少中にノイズ等の影響でモータ回転数信号が一時的に大きく変動(オーバーシュート)した場合であっても、変動したモータ回転数は上記勾配作成の基礎とされない。言い換えれば、作成された勾配はノイズ等に影響されない。よって、上記のような誤判断が防止され、正確な判断ができる、という効果を有する。
(5)また、モータ回転数Nmの増加と減少の1周期における上記減少中の時間を2以上の微小時間(例えば所定数のPWM制御周期に相当する時間)に分割し、それぞれの上記微小時間の開始時点および終了時点でのモータ回転数Nmと上記微小時間の長さとに基づき算出されたモータ回転数Nmの勾配dNm/dTを相加平均して減少勾配ΔNm/ΔTを作成することとしてもよい。
この場合も上記(3)と同様の作用効果を得ることができる。尚、ノイズ等の影響により変動したモータ回転数Nmは上記勾配作成の基礎とはならないか、または上記相加平均により相殺されるため、上記(4)と同様に誤判断を防止できる。また、上記1周期におけるモータ回転数Nmの増加中の時間を微小時間に分割し、dNm/dTの相加平均により増加勾配を算出することとしてもよい。
(6)モータ回転数Nmの増加と減少の1周期における上記増加中の各時点(例えば各PWM制御周期)の増加勾配dNm/dT(>0)を算出し、算出されたdNm/dTの最大値Aを分子とし、上記増加の開始から終了までの時間Bを分母とした判定値A/Bが所定値を上回ったか否かによってリザーバ残液を判断することとしてもよい。
すなわち、増加勾配dNm/dTの最大値Aは、モータMに作用する負のトルクの大きさを反映し、リザーバ残液量が少ないほど最大値Aが大きい。また、上記時間Bも、モータMに作用する負のトルクの大きさを反映し、リザーバ残液量が少ないほど時間Bが短い(小さい)。よって、リザーバ残液量が少ないほど判定値A/Bが大きい。したがって、判定値A/Bが所定値を上回ることで、リザーバ残液がないと判断できる。
このように考慮要素として時間Bを算入し、時間Bを分母として勾配Aと組み合わせることで、分数式全体の値は、分子Aだけの場合と比べて、リザーバ残液量の多少に応じて増幅される。すなわち、リザーバ残液量が多ければ、分子Aは小さくなり、分母Bは大きくなるため、分数式A/B全体の値は分子Aだけの場合よりも小さくなる方向に増幅される。リザーバ残液量が少なければ、分子Aは大きくなり、分母Bは小さくなるため、分数式A/B全体の値は分子Aだけの場合よりも大きくなる方向に増幅される。よって、リザーバ残液の判定が容易かつ正確となる。
また、増加勾配dNm/dTの最大値は、リザーバ残液の減少によるモータ回転数Nmの上昇、すなわちモータMに作用する負のトルクをより正確に反映した値となるため、このdNm/dTを用いた上記判定値に基づき、リザーバ残液量を正確に把握できる。よって、リザーバ残液の有無をより正確に判断できる、という効果を有する。
尚、モータ回転数Nmの増加中のノイズ等による分子A(増加勾配dNm/dTの最大値)の変動は分数式A/B全体にあまり影響を与えない。例えば、リザーバ残液量が多いとき、ノイズ等が発生すると、分子Aが通常よりも大きくなるが、分母Bはノイズ等に影響を受けず大きく保たれたれたままである。なぜなら、モータ回転数信号Nmが一時的に変動しても全体としてのNmの増加時間には影響せず、分母Bは大きく維持されるためである。よって、分数式A/B全体の値は比較的小さいまま維持され、これに基づきリザーバ残液があると判断できる。したがって、上記(3)と同様の効果を得ることができる。
(7)アンチスキッド制御(減圧制御)の終了間際であるか否かを判定する終了間際判定手段(コントロールユニット40、ステップS5)を備え、モータ制御手段(コントロールユニット40、ステップS7、S8、S10)は、アンチスキッド制御(減圧制御)の終了間際と判定され、かつリザーバ残液がないと判定されたとき、モータMの駆動を停止することとした。
このようにリザーバ残液有無の判断に基づきモータMの停止タイミングを制御するため、減圧制御終了時にリザーバ残液を全て確実に排出して、ブレーキ制御の制御性を確保できるとともに、アンチスキッド制御(減圧制御)終了間際のポンプ作動音やモータ作動音による騒音を効果的に抑制でき、運転フィーリングを向上できる。また、アンチスキッド制御終了間際に、残液がないと判定された場合は、下記モータ延長駆動時間を設けないことで、正常に(リザーバ残液の有無に応じて)モータ駆動が終了し、無駄なモータ延長駆動による騒音を防止できる、という効果を有する。
(8)モータ制御手段(コントロールユニット40、ステップS5〜S10)は、アンチスキッド制御(減圧制御)の終了間際と判定され、かつリザーバ残液があると判定されたとき、リザーバ残液がないと判定されるまで、モータMの駆動を延長することとした。
このようにアンチスキッド制御(減圧制御)終了間際であっても、残液があると判定された場合は、モータ延長駆動時間を設けることで、確実にリザーバ残液を全て排出することができる、という効果を有する。また、モータ駆動延長後も、リザーバ残液有無の判断に基づきモータMの停止タイミングを制御するため、上記(7)と同様の作用効果を得ることができる。
(9)モータ制御手段(コントロールユニット40、ステップS5〜S10、S71、S72)は、アンチスキッド制御(減圧制御)の終了間際と判定された後に、減圧制御指令が出力されたとき、または最大のデューティ(=100%)でモータ駆動信号が出力されたとき、リザーバ残液がないと判定されるまで、モータの駆動を延長することとした。
すなわち、減少勾配ΔNm/ΔTに、予め定めた最大値をセットすると(ステップS71、S72)、セットされた最大値は、勾配閾値αを超えた大きな値であるため、リザーバ残液があると判断される(ステップS74、S75)。これによりモータが延長駆動される(ステップS9)。アンチスキッド制御(減圧制御)の終了間際と判定された後であっても、減圧制御指令が出力されると、ホイルシリンダW/Cからリザーバ16,26にブレーキ液が排出されるため、リザーバ残液が存在することになる。このようなときはモータ駆動を延長することで、誤判断を防止し、確実にリザーバ残液をゼロとすることができる。また、オンデューティ100%のときは、モータ駆動開始直後であるか、またはモータMに何らかの大きな負荷が作用している状態である。このようなときはモータ駆動を延長することで、モータMの誤った早期停止を防止できる、という効果を有する。

[他の実施例]
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例1では、アンチスキッド制御を行う際に本発明のモータ制御を実行することとしたが、いわゆるTCS(トラクション・コントロール・システム)の自動ブレーキ制御で駆動輪のホイルシリンダ圧を減圧制御する際に本発明のモータ制御を実行することとしてもよい。
実施例1では、モータ回転数センサによりモータ回転数を検出することとしたが、モータの端子間電圧を監視して、これに基づきモータ回転数を検出することとしてもよい。
実施例1では、減少勾配を、モータ回転数が最大となる時点と駆動電流の出力時点とに基づき作成したが、駆動電流の出力時点の代わりに、モータ回転数が最小となる時点を用いることとしてもよい。
実施例1では、リザーバ残液有無の判断基準となる勾配閾値として、残液ありと判断する場合と残液なしと判断する場合とで、同じ値αを用いることとしたが、異なる値を用いることとしてもよい。
実施例1では、ブレーキ制御を実行可能なブレーキユニットBUとして、図1のブレーキ回路構成のものを用いたが、これに限らず他のブレーキ回路構成のものであってもよい。
ブレーキ制御装置が適用されるブレーキユニットBUの油圧回路図である。 ブレーキ制御装置の全体システム図である。 本発明の制御を示すフローチャートである。 リザーバ残液判断処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の制御を示すタイムチャートである(モータ延長駆動されない場合)。 本発明の制御を示すタイムチャートである(モータ延長駆動される場合)。
符号の説明
10 ブレーキ回路
11 アウト側ゲート弁
12、13 増圧弁
14、15 減圧弁
16 リザーバ
17 イン側ゲート弁
20 ブレーキ回路
30a 車速センサ
35 モータ回転数センサ
40 コントロールユニット
50 インバータ
BU ブレーキユニット
M モータ
M/C マスタシリンダ
P ポンプ
W/C ホイルシリンダ

Claims (5)

  1. マスタシリンダと、
    各車輪に装着されたホイルシリンダと、
    該ホイルシリンダ内のブレーキ液圧を減圧する減圧制御手段と、
    該減圧制御時に前記ホイルシリンダから排出されたブレーキ液を貯留するリザーバと、
    該リザーバ内のブレーキ液を前記マスタシリンダ側へ排出するポンプと、
    該ポンプを作動させる電動式のモータと、
    少なくとも前記減圧制御中、モータ駆動電流をオン/オフ制御するモータ制御手段と、
    前記モータの回転数を検出するモータ回転数検出手段と、
    前記オン/オフ制御による前記モータ回転数の増加と減少の1周期において、前記モータ駆動電流が出力される前の前記モータ回転数の減少勾配を、前記モータ回転数の減少中の第1時点および前記モータ回転数が最大となる第2時点と、前記第1時点および前記第2時点での前記モータ回転数とに基づき算出する回転数減少勾配算出手段と、
    記リザーバ内に残留したブレーキ液の有無を判定するリザーバ残液判定手段と、
    車速を検出する車速検出手段と、を備え
    前記リザーバ残液判定手段は、前記算出された減少勾配が第1閾値よりも小さく緩やかであるときに前記リザーバ内の残液がないと判定し、前記算出された減少勾配が第2閾値よりも大きく急であるときに前記リザーバ内の残液があると判定し、
    前記モータ制御手段は、車速が所定の閾値以下であり、かつ前記リザーバ内の残液がないと判定されたとき、前記モータの駆動を停止する
    ことを特徴とするブレーキ制御装置。
  2. 前記モータ制御手段は、車速が前記所定の閾値以下であり、かつ前記リザーバ内の残液があると判定されたとき、前記残液がないと判定されるまで、前記モータの駆動を延長することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
  3. 前記モータ制御手段は、車速が前記所定の閾値以下となった後に、前記減圧制御手段へ減圧指令が出力されたとき、または前記モータ駆動電流が最大出力されたとき、前記リザーバ内の残液がないと判定されるまで、前記モータの駆動を延長することを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ制御装置。
  4. 前記オン/オフ制御による前記モータ回転数の増加と減少の1周期において、前記モータ駆動電流が出力された後の前記モータ回転数の増加勾配を、前記モータ回転数の増加中の第1時点および前記モータ回転数が最大となる第2時点と、前記第1時点および前記第2時点での前記モータ回転数とに基づき算出する回転数増加勾配算出手段を備え、
    前記リザーバ残液判定手段は、前記算出された増加勾配が第3閾値よりも大きく急であるときに前記リザーバ内の残液がないと判定し、前記算出された増加勾配が第4閾値よりも小さく緩やかであるときに前記リザーバ内の残液があると判定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のブレーキ制御装置。
  5. 前記オン/オフ制御による前記モータ回転数の増加と減少の1周期において、前記モータ駆動電流が出力された後の前記モータ回転数の増加中の各時点の増加勾配を算出する第2の回転数増加勾配算出手段を備え、
    前記リザーバ残液判定手段は、前記算出された増加勾配の最大値を分子とし、前記増加の開始から終了までの時間を分母とした判定値が所定値を上回るか否かにより、前記リザーバ内の残液の有無を判定することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のブレーキ制御装置。
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