JP4163532B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制動時に車輪がロックするのを防止するべく制動液圧を制御するいわゆるアンチスキッド制御を実行するアンチスキッド制御装置に関し、特に、低速時の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
アンチスキッド制御装置は、制動時に車輪ロックを防止して車体挙動を安定させるようホイールシリンダ圧(制動液圧)を制御するものである。
このようなアンチスキッド制御装置は、一般に、車体速度と車輪速度の相対関係(いわゆるスリップ率)に応じて、制動液圧を高める増圧制御、制動液圧を減圧する減圧制御、制動液圧を一定に保つ保持制御、制動液圧を徐々に高める緩増圧制御などを適宜実行する構成となっている。
【0003】
ここで、アンチスキッド制御装置の従来技術として特許文献1に記載の技術が知られている。この公報には、リザーバに貯留されたブレーキ液をマスタシリンダ側に掻き上げるために、電動モータにより駆動するポンプが備えられている。このとき、モータの電源電圧を監視し、電源電圧が所定値以下では増圧行程を緩やかにして、減圧回数を減らすことでリザーバへのブレーキ液の流れ込みを減らしている。これにより、電源電圧低下時にモータの能力が低下した場合でも、リザーバが満杯になることを防止している。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−304440号公報(第8頁、左中段参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、電源電圧が所定値を下回った時点で急に増圧行程を緩やかにする制御へと切り換えられる。例えば、通常の増圧制御中に電源電圧が所定値を下回った場合には、急に増圧量を減少する制御に切り換えられるため、ブレーキフィーリングの悪化を招くという問題があった。
【0006】
本発明は、上述の問題点に着目して成されたもので、ポンプを駆動する電動モータの電源電圧が不安定な状態であっても、安定したアンチスキッド制御を達成可能なアンチスキッド制御装置を提供すること目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本願発明では、電動モータの電源電圧を検出し、検出された電源電圧値に応じて、アンチスキッド制御における増減圧周期を変更することとした。これにより、電動モータの駆動能力に応じて、リザーバからマスタシリンダ側にブレーキ液を確実に掻き上げることが可能な時間を確保することが可能となる。よって、制御ゲイン等が急変することなく、ブレーキフィーリングの悪化を防止し、安定したアンチスキッド制御を達成することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この実施の形態のアンチスキッド制御装置は、全請求項に記載の発明に対応するものである。
まず、実施の形態のアンチスキッド制御装置の構成について説明するにあたり、最初に、ブレーキ装置の構成について説明する。
図2においてM/Cは、マスタシリンダを示しており、このマスタシリンダM/Cは、4輪のホイールシリンダW/Cに2系統のブレーキ回路1,1を介して接続されている。
【0010】
各ブレーキ回路1は、分岐点1dにおいてそれぞれ2つのホイールシリンダW/Cに分岐され、また、この分岐点1dの下流(ホイールシリンダW/C側)に増圧弁5,5が設けられている。これら増圧弁5は、非作動時にスプリング力により開弁状態となり、作動時(通電時)に閉弁状態となる常開の2ポート2ポジションのON/OFF式のソレノイドバルブにより構成されている。また、各増圧弁5には、制動操作を終了したときにホイールシリンダW/Cから円滑にブレーキ液を戻すためのバイパス路1hが並列に設けられ、このバイパス路1hに、下流(ホイールシリンダW/C側)から上流(マスタシリンダM/C側)への戻りのみを許す一方弁1gが設けられている。
【0011】
また、各増圧弁5の下流には、ブレーキ回路1とリザーバ7とを連通させるドレーン回路10が接続されている。そして、これらドレーン回路10に減圧弁6が設けられている。これら減圧弁6は、非作動時に閉弁し、作動時に開弁する常閉の2ポート2ポジションのON/OFF式のソレノイドバルブにより構成されている。
【0012】
前記ドレーン回路10は、還流回路11を介して、各ブレーキ回路1において分岐点1dよりも上流位置に接続されている。そして、前記還流回路11の途中にリザーバ7に貯留されているブレーキ液をブレーキ回路1に戻すポンプ4が設けられている。よって、前記還流回路11は、吸入回路11aと吐出回路11bとで構成されるものである。
【0013】
前記ポンプ4は、モータMにより回転されるカム4cにより対向して配置された1組のプランジャ41が往復ストロークすることで、吸入回路11aからブレーキ液を吸入し、吐出回路11bへブレーキ液を吐出させる構成であり、逆流防止用の吸入弁4aおよび吐出弁4bが設けられ、吸入側にはフィルタ部材42が設けられている一方、吐出側に脈動吸収用のダンパ4dが設けられている。
【0014】
したがって、このブレーキ装置では、制動時に車輪がロック傾向になったときには、そのロック傾向となった車輪のホイールシリンダW/Cに接続されている回路中の増圧弁5を閉弁させる一方、減圧弁6を開弁させてホイールシリンダW/Cのブレーキ液をリザーバ7に抜いて制動液圧を低下させる減圧制御と、増圧弁5を開弁状態に戻すとともに減圧弁6を閉弁状態に戻してマスタシリンダ圧をホイールシリンダW/Cに供給する増圧制御とを適宜繰り返し、あるいは必要に応じて増圧弁5と減圧弁6との両方を閉弁させる保持制御を加えて、車輪のロックを防止しつつ制動を行うアンチスキッド制御を実行することができる。
【0015】
このアンチスキッド制御は、図3に示すコントロールユニット12により実行される。すなわち、コントロールユニット12は、入力側に、前後の左右輪の各車輪速度を検出する車輪速度センサ13と、電源電圧を検出する電源電圧センサ14が接続され、一方、出力側に、各輪に対応して設けられた一対の増圧弁5および減圧弁6と、モータMとが接続されている。
【0016】
次に、コントロールユニット12が実行するアンチスキッド制御について説明する。
図4はアンチスキッド制御の全体の流れを示している。
尚、本アンチスキッド制御は、10msec周期で行うものとする。
【0017】
ステップ101では、10msec毎に発生する各車輪速度センサ13のセンサパルス数と周期とからセンサ周波数を求め、車輪速度VWおよび車輪加速度△VWを演算する。なお、以下の説明あるいは図面において、符号VWやΔVWなどの後に、FR,FL,RR,RL の符号を付けた場合は、その車輪の車輪速度あるいは車輪加速度を示すものであり、また、xxを付けた場合は、前記符号FR,FL,RR,RL のいずれか、すなわち各車輪の任意のいずれかを示すものである。
【0018】
ステップ102では、車輪速度VWに基づいて疑似車体速度VIを計算する。この疑似車体速度VIの演算の詳細については後述する。
【0019】
ステップ103では、疑似車体速度VIの変化率に基づき車体減速度VIKを計算する。なお、この車体減速度VIKの求め方については後述する。
【0020】
ステップ300では、モータの電源電圧に基づくフィードバック制御を実行する。なお、このフィードバック制御については後述する。
【0021】
ステップ104では、目標車輪速度VWMを計算する。なお、その詳細について後述する。
【0022】
ステップ105では、目標液圧PBを求めるPI制御演算処理を行う。このPI制御の詳細については後述する。
【0023】
ステップ106では、車輪速度VWが減圧制御の開始判断閾値である最適スリップ率値VWS未満であり、かつ、後述の増圧フラグZFLAGが増圧制御を示す=1であるか否か判断し、YESすなわちVW<VWSかつZFLAG=1の場合にはステップ107に進み、NOの場合にはステップ108に進む。
【0024】
ステップ107では、ABS制御を実行していることを示すアンチスキッドタイマAS=Aとし、かつ、保持を行っていることを示す保持タイマTHOJI=0とし、減圧制御を行っていることを示す減圧フラグGFLAG=1とする。
【0025】
ステップ109では、減圧制御を実行する。なお、この減圧制御にあっては、減圧弁6に向けてデューティ信号を出力し、開弁量を制御することにより、減圧量を制御するものである。
【0026】
ステップ108では、ステップ106においてNOと判断され、以下の3つの条件のいずれか1つを満たすか否か判断し、いずれかを満たしている場合にはステップ107に進んで減圧制御を実行し、いずれも満たしていない場合は、ステップ118に進んで、増圧・保持判断を行う。
なお、ステップ108における3つの条件とは、
1)フィードフォワード減圧量FFGが減圧タイマDECTよりも大きい(すなわちフィードフォワード減圧制御が終了している)。
2)保持タイマTHOJIの値が電源電圧に基づいて設定される保持時間N0msecを越え、かつPB-(DECT-FFG)の値が8msecを越えている(すなわちN0保持制御継続後に、更にPI制御に基づく減圧制御量がある程度要求されている)。
3)保持タイマTHOJIがN1msecを越え、かつPB-(DECT-FFG)が3msecを越えている(すなわち、N1保持制御継続後に、更にPI制御に基づく減圧制御量が小さいながらも要求されいてる)。
である。なお、PBは現在の目標液圧であり、DECTは減圧処理時間の積分値である減圧タイマである。
【0027】
すなわち、減圧制御に進むのは、1)減圧カウンタDECTがフィードフォワード減圧量FFGに達していない場合、2)フィードフォワード減圧(これについては後述する)を実行後において、N0msecの保持を実行後に、目標液圧PBが8msecを越えた場合、3)同様にN1msecの保持を実行後に、目標液圧PBが3msecを越えた場合、である。また、ここで目標液圧PBは、後述する係数Kを乗じることで減圧弁6の開弁時間に換算されている。
【0028】
次に、ステップ110にあっては、以下の3つの条件のいずれかを満足するか否かにより増圧・保持判断を行い、3つのいずれかを満足した場合にはステップ113の保持制御に進み、3つのいずれも満足しない場合には、ステップ111の増圧制御に進む。
ここで、3つの条件とは、
1)FFZ≦INCT、かつ、PB+(INCT-FFZ)<-3msecの場合(すなわち、フィードフォワード増圧が終了しており、かつ、PI制御に基づく増圧制御量が小さいとき)。
2)THOJI<N2msecの場合(すなわち、保持制御がN2msec継続していない場合)。
3)GFLAG=1かつVWD>0gの場合(すなわち、減圧制御後、車輪加速度が正の場合)
である。なお、FFZは、後述するフィードフォワード増圧量、INCTは増圧制御時間の積算値である増圧タイマである。
【0029】
すなわち、増圧制御に進むのは、増圧タイマINCTがフィードフォワード増圧量FFZに達していない場合、または、フィードフォワード増圧制御が終了したあと、PI制御に基づく要求増圧量が大きい(-3msecよりも大きな増圧量)場合、または、保持をN2msec実行した後、または、減圧フラグが1にセットされた状態で、車輪加速度VWDが負の値をとったときである。
【0030】
ここで、増圧制御に進む第3の条件について説明する。減圧制御終了後、車輪速VWが上昇すると、疑似車体速VIに近づく。疑似車体速VIは減速中であるため、車輪速VWが疑似車体速VIに一致すると、即ち車輪加速度VWDは負の値をとることになる。これが増圧制御の開始条件の一つである。
【0031】
ステップ112では、増圧フラグZFLAG=1とし、かつ、保持タイマTHOJI=0にセットする。
【0032】
ステップ113では、ステップ110における条件を満たしたときに保持制御を実行する。
【0033】
ステップ114では、保持タイマTHOJIをインクリメント(1加算)する。
【0034】
ステップ115では、10msecが経過したか否か判断し、10msecが経過したらステップ116及びステップ119に進み、10msecが経過するまではステップ115を繰り返す。
【0035】
ステップ116では、10msecが経過したか否か判断する。すなわち、ステップ109の減圧制御、あるいはステップ111の増圧制御を実行した後にステップ116に進んだ場合、10msecが経過していない場合には、ステップ117に進む。一方、ステップ113の保持制御を実行した後にステップ116に進んだ場合は、すでに10msecが経過しているため、直ちにステップ119へ進むものとする。
【0036】
ステップ117では、1msecが経過したか否か判断し、1msecが経過したらステップ118に進む。
【0037】
ステップ118では、GFLAG=1であるか否か判断し、GFLAG=1(減圧制御中)の場合はステップ109に戻り、GFLAG≠1(増圧制御中)の場合はステップ111に進む。
【0038】
すなわち、減圧制御あるいは増圧制御の場合は、1msecごとにステップ109あるいはステップ111の処理を実行し、10msecが経過したところでステップ119に進んで、アンチスキッドタイマASを、1だけ減算した値と、0との大きい方の値を選択し、ステップ101に戻る。
【0039】
(疑似車体速度計算処理)
次に、ステップ102における疑似車体速度計算の詳細について図5のフローチャートにより説明する。
【0040】
ステップ201では、4輪の車輪速度VWのうちで最も高速の車輪速度を制御用車輪速度VFSとする。
【0041】
ステップ202において、アンチスキッドタイマAS=0であるか否か、すなわち減圧制御が実行された後か否かを判定し、AS=0すなわち減圧前にはステップ203に進み、AS≠0すなわち減圧後にはステップ204に進む。
【0042】
減圧前の場合に進むステップ203では、制御用車輪速度VFSを、従動輪である後輪の車輪速度VWRR,VWRLのうちの大きい方の値に設定する。
【0043】
ステップ204では、疑似車体速度VIが制御用車輪速度VFS以上であるか否か判断し、YESすなわちVI≧VFSの場合はステップ205に進み、それ以外は車体減速度VIKを用いず擬似車体速VIを算出するステップ206以降へと進む。
【0044】
ステップ205では、VI=VI-(VIK)×kの演算式に基づいて車体減速度VIKに基づいて疑似車体速度VIを求める。
【0045】
ステップ206では、演算に用いる常数xを2km/hに設定する。
【0046】
ステップ207では、アンチスキッドタイマAS=0であるか、すなわち減圧実行後であるか否か判断し、AS=0すなわち減圧制御を行っていない場合は、ステップ208に進み、それ以外はステップ209へ進む。
【0047】
ステップ208では、常数xを0.1km/hなどの小さな値に設定する。
【0048】
ステップ209では、VI=VI-xの演算により疑似車体速度VIを求める。
すなわち、疑似車体速VIが制御用車輪速VFSよりも大きいときは、減速されている状態と判断できるため、車体減速度VIKに基づいて疑似車体速度VIを求める。一方、疑似車体速VIよりも制御用車輪速VFSが大きいときは、あまり減速されている状態とは判断できないため、車体減速度VIKに基づくことなく、固定値に基づく演算を行う。
また、ステップ208は制御用車輪速度VFSが疑似車体速度VIよりも極端に大きな値をとった場合のリミッタとしての機能を果たしている。
【0049】
(車体減速度計算処理)
次に、図4のステップ103の車体減速度計算処理について図6のフローチャートにより説明する。
【0050】
ステップ401においてアンチスキッドタイマASが=0の状態から≠0の状態に切り替わったか否か、すなわち、アンチスキッド制御開始時か否かの判断を行い、アンチスキッド制御開始時(AS=0→AS≠0)には、ステップ402に進み、一方、アンチスキッド制御開始時ではない(AS=0)場合は、そのままステップ403に進む。
【0051】
ステップ402では、で、その時の疑似車体速度VIを演算基準値V0として設定するとともに、演算基準タイマT0=0にリセットする。
【0052】
ステップ403では、演算基準タイマT0をインクリメント(1加算)する。
【0053】
ステップ404では、疑似車体速度VIが制御用車輪速度VFS未満の状態から以上の状態に変化したか判断する。すなわち、減圧により車輪速度VWが上昇して実車体速度に復帰するが、これを疑似車体速度VIが上向きから下向きに変化するスピンアップ点を検出することで判断するもので、ステップ404では、このスピンアップ点が生じたか否かを判断している。
そして、スピンアップ点が生じた際には、ステップ405に進み、それ以外はステップ406へ進む。
【0054】
ステップ405では、この時点の疑似車体速度VIと、アンチスキッド制御開始時点の演算基準値V0と、アンチスキッド制御開始時点から計測し始めた演算基準タイマT0とに基づいたVI-(V0-VI)/T0の式により車体減速度VIKを求める。
【0055】
ステップ406では、アンチスキッドタイマASが0であるか否か判断し、AS=0の場合、ステップ407に進んでVIK=1.3gに設定する。すなわち、アンチスキッド制御の1サイクル目にあっては、車輪速度VWが実車体速度よりも低下していて、スピンアップ点が生じていないため、ステップ405における車体減速度VIKを求める演算を行うことができない。そこで、スピンアップ点が生じて、実際の車体減速度を演算できるようになるまでは、高μ路制動時相当の固定値を用いる。
【0056】
(モータ電源電圧フィードバック制御処理)
【0057】
次に、図4のステップ300におけるモータ電源電圧フィードバック制御の詳細について図7のフローチャートにより説明する。
【0058】
ステップ301では、検出された電源電圧に基づいて、図4のステップ108及びステップ110における増減圧パルス周期N0,N1,N2を図13(a)に示すマップより設定する。すなわち、減圧フラグGFLAGが1のときは、再度減圧制御が必要かどうかを判断する際の周期を変更することに相当する。また、増圧制御に入る前の保持制御時間を変更することに相当する。
【0059】
ステップ302では、検出された電源電圧に基づいて、図4のステップ104における減圧閾値係数AAを図13(b)に示すマップより設定する。すなわち、減圧制御を行うかどうかを判断する目標車輪速VWMを変更することに相当する。
【0060】
ステップ303では、検出された電源電圧に基づいて、図4のステップ109及びステップ111における増減圧ゲインα,βを図13(c)に示すマップより設定する。すなわち、フィードフォワード減圧時間FFG及びフィードフォワード増圧時間FFZを変更することに相当する。
【0061】
ステップ304では、検出された電源電圧に基づいて、図4のステップ105における増減圧ゲインKP,KIを図13(d)に示すマップより設定する。すなわち、PI制御に基づくフィードバック増減圧時間を変更することに相当する。
【0062】
(目標車輪速度計算処理)
次に、図4のステップ104における目標車輪速度計算処理の詳細について図8のフローチャートにより説明する。
まず、ステップ501において、定数xxを8km/hに設定する。
【0063】
ステップ502では、車体減速度VIKが0.4g未満であるかを判断し、YESすなわち十分な減速が発生していない場合には、ステップ503に進み、それ以外はステップ504へ進む。
【0064】
ステップ503では、定数xxを4km/hに変更する。
【0065】
ステップ504では、最適スリップ率値VWSを、VWS=AA×VI-xxにより計算する。なお、この最適スリップ率値VWSは、現在の疑似車体速度VIに対して効率良く制動力が得られるスリップ率となる車輪速度を示している。また、AAはステップ302において検出された電源電圧に応じて設定される減圧閾値係数である。
【0066】
ステップ505では、減圧制御を行っていることを示す減圧フラグGFLAG=1であり、かつ、車輪加速度VWDが0.8gよりも大きく、かつ、車輪速度VWが最適スリップ率値VWSよりも大きいか否か判断し、YESの場合はステップ506に進んで、目標車輪速度VWMを車輪速度VWとし、一方、NOの場合にはステップ507に進んで、目標車輪速度VWMを、1次遅れのローパスフィルタにより、VWM=VWM10ms前+(VWS10m前−VWM10m前)×kの計算により求める。
【0067】
すなわち、本実施の形態にあっては、減圧制御実行後に車輪加速度VWDが所定値0.8gよりも大きな加速度で実車速度に向けて復帰した時点では、目標車輪速度VWMを車輪速度VWとし、この車輪速度VWが実車速度に近づいた(スピンアップ点近傍)時点から、すなわち増圧制御が必要な時点から目標車輪速度VWMを最適スリップ率値VWSに向けて一次遅れで収束させる。
【0068】
(PI制御演算処理)
次に、図4のステップ105におけるPI制御演算処理の詳細について図9のフローチャートにより説明する。
【0069】
ステップ601では、目標車輪速度VWMと車輪速度VWとの偏差ΔVWを求める。
【0070】
ステップ602では、偏差ΔVWに圧力比例ゲインKPを掛けて偏差ΔVWを制動液圧に相当する時間に換算した偏差圧力時間PPを求める。
【0071】
ステップ603において、積分圧力時間IPを、IP=IP10ms前+KI×ΔVWより算出する。なお、IP10m前は、積分圧力値IPの1制御サイクル前の値である。
【0072】
ステップ604では、車輪加速度VWD>0の状態からVWD≦0の状態に変化したか否かを判断し、車輪加速度VWDが正から負へ変化したときはステップ606へ進み、それ以外はステップ605へ進む。
【0073】
ステップ605では、車輪速度VWが最適スリップ率値VWSよりも大きい状態から、VW≦VWSの状態に変化したか否か判断し、変化があった場合には、ステップ606に進み、それ以外はステップ607へ進む。
【0074】
ステップ606では、積分圧力値IP=0とする。すなわち、減圧制御もしくは増圧制御が開始される直前では、積分圧力値を0にセットしておく。
【0075】
ステップ607では、目標増減圧時間PBを、PB=PP+IPにより求める。なお、この目標液圧PBは、負の値の場合は増圧し、正の値の場合は減圧することになる。
【0076】
(ソレノイド減圧制御処理)
次に、図4のステップ110におけるソレノイド減圧制御の詳細について図10のフローチャートにより説明する。
【0077】
ステップ701では、増圧タイマINCTを=0にリセットするとともに、フィードバック増圧量FFZを0にリセットする。
【0078】
ステップ702では、減圧時間GAWをGAW=PB-(DECT-FFG)により求める。ここで、減圧制御開始時のフィードフォワード制御時には偏差ΔVWは0であるためPBは0である。
【0079】
ステップ703では、増圧フラグZFLAGが1にセットされているか否か、すなわち減圧制御の初回であるか否か判断し、ZFLAG=1であり減圧の初回である場合はステップ704に進み、ZFLAG≠1の場合はステップ704の処理を行うことなくステップ705に進む。
【0080】
ステップ704では、フィードフォワード減圧量FFGを、FFG=VWD×α/VIKにより求めるとともに、ZFLAG=0にリセットする。ここでは、初回の減圧量をこの車体減速度VIKに対する車輪加速度VWDに基づいて求めるもので、これを本明細書ではフィードフォワード減圧量という。すなわち、車体減速度VIKに対して車輪減速度VWDが大きいときはロック傾向が強いため、フィードフォワード減圧量を大きく設定し、車体減速度VIKと車輪減速度VWDが近いとき(すなわち1に近い)ときは、ロック傾向が弱いためフィードフォワード減圧量が小さく設定される。
【0081】
ステップ705では、以下の2条件のいずれかを満足しているか否か判断し、いずれかを満足している場合にはステップ707に進んで保持出力を行い、いずれも満足していない場合にはステップ706に進んで減圧出力を行うとともに、減圧タイマDECTのインクリメント(1加算)を行う。
ここで、ステップ705における2条件とは、
1)減圧時間GAWが0以下であり、かつ減圧タイマDECTがフィードフォワード減圧量FFG以上である
2)車輪加速度VWDが0.8gよりも大きい
の2つである。
すなわち、減圧制御時には、初回は、減圧制御開始時に算出されたフィードフォワード制御量分の減圧出力を行う。また、その途中あるいはその後において、車輪加速度VWDが0.8gよりも大となって、車体速度に向けて復帰している場合には、減圧出力を中止して、保持出力を行う。
また、初回のフィードフォワード減圧量FFGの出力を実行した後は、車輪速VWと目標車輪速VWMとの偏差に基づく目標液圧PBに相当する減圧量を出力する。この詳細については、後述する。
【0082】
(ソレノイド増圧制御処理)
次に、図4のステップ111におけるソレノイド増圧制御の詳細について図11のフローチャートにより説明する。
【0083】
ステップ801では、減圧制御を実行している時間を計測する減圧カウンタDECTを=0にリセットするとともに、フィードバック減圧量FFGを0にリセットする。
【0084】
ステップ802では、増圧時間ZAWをZAW=|PB+(INDT-FFZ)|により求める。
【0085】
ステップ803では、減圧フラグGFLAGが1にセットされているか否か、すなわち増圧制御の初回であるか否か判断し、GFLAG=1であり増圧の初回である場合はステップ804に進み、GFLAG≠1の場合はステップ804の処理を行うことなくステップ805に進む。
【0086】
ステップ804では、フィードフォワード増圧量FFZを、FFZ=VWD×β×VIKにより求めるとともに、GFLAG=0にリセットする。ここでは、初回の増圧量を車輪加速度VWDに基づいて求めるものであり、これを本明細書ではフィードフォワード増圧量という。
【0087】
ステップ805では、増圧時間ZAWが0以下(基本的には0に到達したかどうか)であり、かつ増圧タイマINCTがフィードフォワード増圧量FFZ以上であるか否か判断し、YESの場合にはステップ807に進み、それ以外はステップ806へ進む。
【0088】
ステップ806では、増圧出力を行うとともに、増圧タイマINCTをインクリメント(1加算)する。
【0089】
ステップ807では、保持出力を行うとともに、増圧タイマINCTをデクリメント(1減算)する。
【0090】
すなわち、増圧制御時には、初回は、増圧制御開始時に算出されたフィードフォワード制御量分の増圧出力を行う。また、初回のフィードフォワード増圧量FFZの出力を実行した後は、車輪速VWと目標車輪速VWMとの偏差に基づく目標液圧PBに相当する増圧量を出力する。この詳細については、後述する。
【0091】
上述のコントロールユニット12においてアンチスキッド制御を実行する部分をブロック図により示したものが図11である。
図において目標車輪速度作成部12aは、ステップ104の処理を行う部分であり、疑似車体速度VI、車体減速度VIK、車輪速度VW、車輪加速度VWDを入力して目標車輪速度VWMを作成するもので、一次のローパスフィルタにより構成されている。
【0092】
ここで形成された目標車輪速度VWMは、車輪速度偏差演算部12bに入力されて偏差ΔVWが求められるものであり、この処理を行う部分がステップ601の処理を実行する部分に相当する。
【0093】
目標液圧演算部12cでは、偏差ΔVWに基づいて偏差圧力値PPおよび積分圧力値IPを求め、これらに基づいて目標液圧PBを演算するものであり、この処理を行う部分が、ステップ602〜607の処理を行う部分である。
また、目標液圧PBは、パルス変換部12dにおいてパルスに変換されてパルス出力制御部12eから出力される。
このパルス変換部12dおよびパルス出力制御部12eに相当するのが、図4のステップ106〜119の処理を実行する部分であり、目標液圧PBに基づいて得られた減圧時間GAWおよび増圧時間ZAWに応じたONパルス幅を有したデューティ信号が出力されることになる。
【0094】
(アンチスキッド制御作用)
次に、基本的なアンチスキッド制御作用について図14のタイムチャートに基づいて説明する。このタイムチャートに示すように、制動により疑似車体速度VIが低下するのに伴って、目標車輪速度VWMは、車輪速度VWから、最適スリップ率値VWSに向けて収束するよう形成される。ここで目標車輪速度VWMが車輪速度VWに等しい値というのは、車輪速度VWが上向きから下向きに変化する時点の近傍の値であり、スピンアップ点の近傍における車輪速度(≒車体速度)に相当する。
【0095】
時刻t1において、アンチスキッド制御を開始していない状態から車輪速度VWが最適スリップ率値VWSを下回ると、ステップ106→107→109の流れとなって減圧制御が開始される。この減圧制御の初回にあっては、ステップ701→702→703→704の流れに基づいて、フィードフォワード減圧量FFGが車輪加速度VWDおよび車体減速度VIKに基づいて決定され、さらに、ステップ705→706の流れに基づいて、減圧出力が成される。この減圧出力は、減圧カウンタDECTが、フィードフォワード減圧量FFGに達するまで成される。尚、このフィードフォワード減圧が行われる直前は最適スリップ率値VWS>車輪速度VWであり、目標車輪速度VWM=車輪速度VWとしてセットされているため、偏差ΔVWは0とされる。これに伴いPBも0にセットされている。
【0096】
尚、一回目の減圧制御終了後、増圧フラグZFLAGは0にセットされているため、ステップ106ではNOと判定され、ステップ108に進むことになる。このステップ108において、減圧カウンタDECTがフィードフォワード減圧量FFGに到達していないときは、ステップ107へ進み、再度減圧制御が実行される。
【0097】
時刻t2において、減圧カウンタDECTが、フィードフォワード減圧量FFGに達すると、ステップ106→108→110→113の流れとなって、保持制御が成される。すなわち、ステップ108において、減圧カウンタDECT>FFGとなり、保持カウンタTHOJIはセットされていないため、条件を満たさないと判定され、ステップ110へ進むことになる。ステップ110において、保持カウンタTHOJIがセットされていないため、保持カウンタTHOJI<N2の条件を満たし、ステップ113へ進むこととなる。
【0098】
時刻t2経過後、すなわちフィードフォワード減圧の終了に伴い、PI制御に基づくフィードバック減圧処理が継続される。すなわち、車輪速VWが最適スリップ率値VWSを下回ると、目標車輪速VWM=最適スリップ率値VWSにセットされる。この目標車輪速VWMと車輪速VWとの偏差△VWが生じると、ステップ105におけるPI制御演算処理において、偏差△VWを積算して形成される目標液圧PBも増加する。
【0099】
この目標液圧PBにおいて、フィードフォワード減圧量FFGの分を差し引いた値が、時刻t2から所定保持時間N0msecの保持を行った時点から所定保持時間N1msec経過するまでの間に8msec(偏差ΔVWに基づいて、ある程度の減圧量が要求されている)を越えている場合は、PBに応じた減圧出力が成される。すなわち、フィードフォワード減圧が実行された後は、一旦強制的にN0msecの保持が行われ、その後に、PI制御に基づく所定以上の減圧要求がある場合には減圧制御を行い、所定未満の減圧要求のときは保持制御を継続する。
【0100】
時刻t3において、フィードフォワード減圧終了後N0msec経過した時点で、GAW(=PB-(DECT-FFG))は8msec未満(減圧が行われておらずDECTは変化していないため)であるため、減圧制御は行わず保持制御を継続する。
【0101】
時刻t4において、フィードフォワード減圧終了後N1msec経過した時点で、GAWは3msecよりも大きいため、このときは、2回目の減圧制御を実行する。この2回目の減圧制御によって保持カウンタTHOJIが0にリセットされ、減圧カウンタDECTがカウントアップされるため、減圧時間GAWは減少する。
【0102】
2回目の減圧制御終了後、再度保持制御が所定時間N0msec継続された時刻t5において、このとき、減圧時間GAWは3msec未満であるため、減圧制御は行われず保持制御が継続される。
【0103】
時刻t4の減圧制御によって車輪速VWが上昇すると、時刻t6'において、車輪速VWが最適スリップ率値VWSを越えた時点で、車輪加速度VWDも正であるため、目標車輪速VWMは車輪速VWとしてセットされる。
【0104】
時刻t6において、車輪速VWは、最終的に疑似車体速VIと一致するようになる。このとき、車両は減速しており、疑似車体速VIも減速しているため、車輪速VWも減速を開始する。
【0105】
時刻t7において、保持時間THOJIがN2以上経過し、車輪加速度VWDが0.8gを下回ると、ステップ505においてNOと判定され、目標車輪速VWMとして、最適スリップ率値VWSに一次遅れ特性で近づく値にセットされる。また、ステップ110において、条件を満たさなくなり、ステップ111の増圧制御へ進む。この増圧制御では、ステップ801→ステップ802→ステップ803→ステップ804へと進み、初回増圧制御として、フィードフォワード増圧FFZを実行するとともに、減圧フラグGFLAGを0にリセットする。
【0106】
時刻t8において、フィードフォワード増圧FFZが終了すると、保持制御へ移行する。そして、所定時間N2以上保持した後、増圧時間ZAWが-3msecを下回っていると、増圧制御へ移行する。そして、ZAWに相当する増圧を行う。その後、再度増圧時間ZAWが-3msecを下回る度に、増圧制御(時刻t11,t12)を実行する。
【0107】
(電源電圧低下時のアンチスキッド制御作用)
図15は、上述のアンチスキッド制御時にモータ駆動用の電源電圧が低下したときの作用を表すタイムチャートである。図16に示すように、モータの電源電圧が低下すると、モータ出力が低下する。このとき、減圧制御によってリザーバ7に貯留されたブレーキ液をマスタシリンダM/C側に掻き上げる際、掻き上げ可能な流量が低下する。この状態で、通常通りの制御を実行すると、図17に示すように、リザーバ7に貯留されたブレーキ液を十分に掻き上げることができず、減圧制御によってリザーバ7が満杯になり、減圧できない状況が発生する虞がある。
【0108】
そこで、本願発明では、電源電圧が減少した際には、図15に示すように、アンチスキッド制御の制御周期を長くすることとした。以下、具体的な制御内容について説明する。
【0109】
〔周期N0,N1,N2の変更〕
アンチスキッド制御が実行されているときに、時刻t21において、図13(a)のマップに示すように、モータの電源電圧が14Vから10Vに低下すると、保持制御の周期N0,N1,N2がそれぞれ長く設定される。
【0110】
まず、N0が長くなると、フィードフォワード減圧後、偏差ΔVWに基づく減圧量GAWの値が8msecより大きいかどうかをチェックするタイミングを遅くすることとなる。同様に、N1が長くなることで、偏差ΔVWに基づく減圧量GAWの値が3msecより大きいかどうかをチェックするタイミングを遅くする(ステップ108に対応)。また、N2が長くなることで、保持制御時間を長くする(ステップ110に対応)。
【0111】
よって、電源電圧低下時には、保持制御が長くなることを意味する。保持制御中にリザーバ液を掻き上げるため、モータMの掻き上げ能力が低下したとしても、掻き上げ時間を長く確保することで、確実にリザーバ液をマスタシリンダM/C側に戻すことができる。
【0112】
〔最適スリップ率値VWSの変更〕
次に、図13(b)のマップに示すように、モータの電源電圧が14Vから10Vに低下すると、最適スリップ率値VWSのゲインが小さく設定される(ステップ504に対応)。すなわち、減圧制御の実行を判断するのは、車輪速VWが最適スリップ率値VWSを下回ったときである(ステップ106に対応)。そこで、最適スリップ率値VWSを通常より低めに設定することで、減圧制御に入るタイミングを遅らせることができる。
【0113】
よって、減圧制御に入るタイミングを遅らせることで、頻繁に減圧指令を出力することがなく、増減圧周期を長くすることが可能となり、掻き上げ時間を長く確保することができる。
【0114】
〔フィードフォワード制御ゲインα,βの変更〕
次に、図13(c)のマップに示すように、モータの電源電圧が14Vから10Vに低下すると、フィードフォワード制御ゲインα,βの値が小さく設定される(ステップ704及びステップ804に対応)。すなわち、減圧制御もしくは増圧制御に入ると、まず車体減速度VIKと車輪加速度VWDの値に基づいてフィードフォワード増減圧量FFG,FFZが算出される。このとき、これらFFG,FFZを小さく設定することで、増減圧量を小さくすることができる。
【0115】
よって、フィードフォワード制御に基づく減圧量を小さくすることで、リザーバ7へのブレーキ液量を小さくすることが可能となる。一方、フィードフォワード制御に基づく増圧量を小さくすることで、次回減圧時の減圧量を少なくすることが可能となる。これにより、確実にリザーバ液をマスタシリンダM/C側に戻すことができる。
【0116】
〔フィードバック制御ゲインKP,KIの変更〕
次に、図13(d)のマップに示すように、モータの電源電圧が14Vから10Vに低下すると、フィードバック制御ゲインKP,KIの値が小さく設定される(ステップ602及びステップ603に対応)。すなわち、フィードフォワード制御終了後、所定時間保持制御が実行されるとともに、偏差ΔVWに応じたPI制御が行われる。このとき、偏差ΔVWに基づいて、比例ゲインKPが小さく設定され、積分ゲインKIが小さく設定されると、フィードバック制御量PBも小さく設定される。これに伴い、フィードバック制御時の増減圧量GAW,ZAWも小さく設定される。
【0117】
フィードバック制御中は、所定の保持制御時間毎にGAW及びZAWが8msec,3msec,-3msecといった固定された閾値を越えたときに減圧指令又は増圧指令が出力される(ステップ108及びステップ110に対応)。よって、GAW,ZAWを小さく設定することで、閾値を越えにくくすることが可能となり、頻繁に増減圧指令を出力することがなく、増減圧周期を長くすることが可能となり、掻き上げ時間を長く確保することができる。
【0118】
以上説明したように、実施の形態におけるアンチスキッド制御装置にあっては、モータ駆動用の電源電圧値に応じて、増減圧周期を変更することが可能となり、安定したアンチスキッド制御を達成することができる。尚、電源電圧が極端に低下した場合には、アンチスキッド制御自体を禁止する構成としてもよい。すなわち、モータMの能力がリザーバ内のブレーキ液を掻き出す能力に満たないときは増減圧を禁止することで、最低限の制動力を確保することができる。
【0119】
更に、上記実施の形態から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0120】
(イ)請求項1ないし3に記載のアンチスキッド制御装置において、
前記アンチスキッド制御手段を、車輪速度が最適なスリップ率を得られる車輪速度を算出する最適スリップ率値を下回ったときは、減圧制御を開始する手段とし、
前記アンチスキッド制御手段は、検出された電源電圧に応じて、前記最適スリップ率値を変更することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
【0121】
すなわち、減圧制御に入る閾値である最適スリップ率値を算出する際、例えば電源電圧が低いときは最適スリップ率値を低めに変更することで、減圧制御に入るタイミングを遅らせることが可能となり、増減圧周期を長くすることができる。これにより、リザーバに貯留されたブレーキ液をマスタシリンダ側に戻す時間を確保することが可能となる。
【0122】
(ロ)請求項1ないし3及び(イ)に記載のアンチスキッド制御装置において、
前記アンチスキッド制御手段を、車輪減速度に基づくフィードフォワード制御による要求増減圧指令を出力するFF減圧制御部及びFF増圧制御部と、車輪速度と目標車輪速度の偏差に基づくフィードバック制御による要求増減圧指令を出力するFB減圧制御部及びFB増圧制御部から構成し、
前記FB減圧制御部は、減圧時保持制御周期毎にフィードバック制御による要求減圧量が予め設定された減圧所定値以上かどうかを判断し、減圧所定値以上のときは減圧指令を出力する構成とし、
前記FB増圧制御部は、増圧時保持制御周期毎にフィードバック制御による要求増圧量が予め設定された増圧所定値以上かどうかを判断し、増圧所定値以上のときは増圧指令を出力する構成とし、
前記アンチスキッド制御手段は、検出された電源電圧に応じて、前記減圧時保持制御周期及び増圧時保持制御周期を変更する手段としたことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
【0123】
すなわち、フィードバック制御中に行われる保持制御周期を、例えば電源電圧が低いときは保持制御周期を長く設定することで、減圧時にリザーバに貯留されたブレーキ液をマスタシリンダ側に戻す時間を確保することが可能となる。
【0124】
(ハ)上記(ロ)に記載のアンチスキッド制御装置において、
前記アンチスキッド制御手段は、検出された電源電圧に応じて、前記FB減圧制御部及び前記FB増圧制御部において算出される要求増減圧量を変更する手段としたことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
【0125】
すなわち、フィードバック制御による要求増減圧量を、例えば電源電圧が低いときは小さく設定することで、固定された増減圧所定値を越えにくくすることが可能となり、頻繁に増減圧指令を出力することがなく、増減圧周期を長くすることが可能となり、リザーバに貯留されたブレーキ液をモータにより掻き上げる時間を長く確保することができる。
【0126】
(ニ)上記(ロ),(ハ)に記載のアンチスキッド制御装置において、
前記アンチスキッド制御手段は、検出された電源電圧に応じて、前記FF減圧制御部及び前記FF増圧制御部において算出される要求増減圧量を変更する手段としたことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
【0127】
すなわち、フィードフォワード制御による要求増減圧量を、例えば電源電圧が低いときは小さく設定する。要求減圧量を小さくしたときには、リザーバへのブレーキ液量を小さくすることができる。一方、要求増圧量を小さくしたときには、次回減圧時の減圧量を少なくすることが可能となる。これにより、電源電圧の低下によりモータの掻き上げ能力が低下したとしても、確実にリザーバ液をマスタシリンダ側に掻き上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンチスキッド制御装置を示す概略図である。
【図2】実施の形態1のアンチスキッド制御装置のブレーキ装置の部分を示す油圧回路図である。
【図3】実施の形態1のコントロールユニットを示すブロック図である。
【図4】実施の形態1におけるアンチスキッド制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1における疑似車体速度計算の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施の形態1における車体減速度計算の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1におけるモータ電源電圧フィードバック制御の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1における目標車輪速度計算の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施の形態1におけるPI制御演算処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1における減圧制御の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施の形態1における増圧制御の流れを示すフローチャートである。
【図12】実施の形態1のアンチスキッド制御装置の要部を示すブロック図である。
【図13】実施の携帯における電源電圧フィードバック制御により変更される各ゲインと電源電圧の関係を示すマップである。
【図14】実施の形態1における基本的なアンチスキッド制御作用を表すタイムチャートである。
【図15】実施の形態1における電源電圧低下時のアンチスキッド制御作用を示すタイムチャートである。
【図16】ポンプ能力と電源電圧の関係を示す図である。
【図17】従来技術における電源電圧低下時のアンチスキッド制御作用を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 ブレーキ回路
1d 分岐点
1g 一方弁
1h バイパス路
2 ポート
4 ポンプ
4a 吸入弁
4b 吐出弁
4c カム
4d ダンパ
41 プランジャ
42 フィルタ部材
5 増圧弁
6 減圧弁
7 リザーバ
10 ドレーン回路
11 還流回路
11a 吸入回路
11b 吐出回路
12 コントロールユニット
12a 目標車輪速度作成部
12b 車輪速度偏差演算部
12c 目標液圧演算部
12d パルス変換部
12e パルス出力制御部
13 車輪速度センサ
14 電源電圧センサ

Claims (5)

  1. ホイールシリンダの液圧を減圧および増圧可能な液圧制御弁と、
    減圧時にホイールシリンダから排出したブレーキ液を貯留するリザーバと、
    このリザーバに貯留されたブレーキ液をホイールシリンダと液圧源とを結ぶブレーキ回路に戻す電動モータにより駆動されるポンプと、
    検出された車輪速度に基づいて車輪のスリップ状態を推定し、スリップ率が高くなると減圧しスリップ率が低くなると増圧するよう液圧制御弁の作動を制御して車輪ロックが生じないように制動を行うアンチスキッド制御を行うアンチスキッド制御手段と、
    を備えたアンチスキッド制御装置において、
    前記モータ駆動用の電源電圧を検出する電源電圧検出手段を設け、
    前記アンチスキッド制御手段を、車輪速度が最適なスリップ率を得られる車輪速度である最適スリップ率値を下回ったときは、減圧制御を開始する手段とし、
    前記アンチスキッド制御手段は、検出された電源電圧が低いときは、前記最適スリップ率値を低めに変更することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  2. 請求項1に記載のアンチスキッド制御装置において、
    前記アンチスキッド制御手段は、検出された電源電圧が低いときは、電源電圧が高いときに比べて増減圧量を小さくすることを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  3. 請求項1または2に記載のアンチスキッド制御装置において、
    前記アンチスキッド制御手段を、車輪減速度に基づくフィードフォワード制御による要求増減圧指令を出力するFF減圧制御部及びFF増圧制御部と、車輪速度と目標車輪速度の偏差に基づくフィードバック制御による要求増減圧指令を出力するFB減圧制御部及びFB増圧制御部から構成し、
    前記FB減圧制御部は、減圧時保持制御周期毎にフィードバック制御による要求減圧量が予め設定された減圧所定値以上かどうかを判断し、減圧所定値以上のときは減圧指令を出力する構成とし、
    前記FB増圧制御部は、増圧時保持制御周期毎にフィードバック制御による要求増圧量が予め設定された増圧所定値以上かどうかを判断し、増圧所定値以上のときは増圧指令を出力する構成とし、
    前記アンチスキッド制御手段は、検出された電源電圧に応じて、前記減圧時保持制御周期及び増圧時保持制御周期を変更する手段としたことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  4. 請求項3に記載のアンチスキッド制御装置において、
    前記アンチスキッド制御手段は、検出された電源電圧に応じて、前記FB減圧制御部及び前記FB増圧制御部において算出される要求増減圧量を変更する手段としたことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  5. 請求項3または4に記載のアンチスキッド制御装置において、
    前記アンチスキッド制御手段は、検出された電源電圧に応じて、前記FF減圧制御部及び前記FF増圧制御部において算出される要求増減圧量を変更する手段としたことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
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