1)第1の実施形態
以下、本発明に係る電動機の駆動制御回路を液圧ブレーキ装置に適用した第1の実施形態を図面を参照して説明する。図1は液圧ブレーキ装置の構成を示す概要図であり、図2は電動機の駆動制御回路を示す図である。
液圧ブレーキ装置は、車両を制動させるためのものであり、図1に示すように、各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrr、ブレーキ操作部材であるブレーキペダル11、真空式制動倍力装置12、マスタシリンダ13、リザーバタンク14、液圧自動発生装置であるブレーキアクチュエータ15、およびブレーキECU16を備えている。
各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrは、各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrの回転をそれぞれ規制するものであり、各キャリパCLfl,CLfr,CLrl,CLrrに設けられている。各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrに基礎液圧および制御液圧の少なくともいずれかが供給されると、各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrの各ピストン(図示省略)が摩擦部材である一対のブレーキパッド(図示省略)を押圧して各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrと一体回転する回転部材であるディスクロータDRfl,DRfr,DRrl,DRrrを両側から挟んでその回転を規制するようになっている。なお、本実施形態においては、ディスク式ブレーキを採用するようにしたが、ドラム式ブレーキを採用するようにしてもよい。
真空式制動倍力装置12は、エンジンの吸気負圧をダイヤフラムに作用させてブレーキペダル11の踏み込み操作により生じるブレーキ操作力を助勢して倍力(増大)する倍力装置である。
マスタシリンダ13は、ドライバによるブレーキペダル11の操作力を変換して基礎液圧を形成し、その基礎液圧によって車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrに摩擦制動力を発生させ得る装置である。本実施形態では、マスタシリンダ13は、真空式制動倍力装置12により倍力されたブレーキ操作力を基礎液圧に変換し、各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrに供給する。
リザーバタンク14は、ブレーキ液を貯蔵してマスタシリンダ13にそのブレーキ液を補給するものである。
ブレーキアクチュエータ15は、マスタシリンダ13と各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrとの間に設けられて、ブレーキペダル11の操作の有無に関係なく自動的に形成した制御液圧をホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrに付与し、対応する車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrに摩擦制動力を発生させ得る装置である。
図1を参照してブレーキアクチュエータ15の構成を詳述する。ブレーキアクチュエータ15は、独立して作動する液圧回路である複数の系統から構成されている。具体的には、ブレーキアクチュエータ15は、X配管である第1系統15aと第2系統15bを有している。第1系統15aは、マスタシリンダ13の第1液圧室13aと左後輪Wrl,右前輪WfrのホイールシリンダWCrl,WCfrとをそれぞれ連通して、左後輪Wrl,右前輪Wfrの制動力制御に係わる系統である。第2系統15bは、マスタシリンダ13の第2液圧室13bと左前輪Wfl,右後輪WrrのホイールシリンダWCfl,WCrrとをそれぞれ連通して、左前輪Wfl,右後輪Wrrの制動力制御に係わる系統である。
第1系統15aは、差圧制御弁21、左後輪液圧制御部22、右前輪液圧制御部23、および第1減圧部24を含んで構成されている。
差圧制御弁21は、マスタシリンダ13と、左後輪液圧制御部22の上流部および右前輪液圧制御部23の上流部との間に介装されている常開リニア電磁弁(常開リニアソレノイド弁)である。この差圧制御弁21は、ブレーキECU16により連通状態(非差圧状態)と差圧状態を切り替え制御されるものである。差圧制御弁21は非通電して通常連通状態とされているが、通電して差圧状態(閉じる側)にすることによりホイールシリンダWCrl,WCfr側の液圧をマスタシリンダ13側の液圧よりも所定の制御差圧分高い圧力に保持することができる。この制御差圧はブレーキECU16により制御電流に応じて調圧されるようになっている。これにより、ポンプ24aによる加圧を前提に制御差圧に相当する制御液圧が形成されるようになっている。
左後輪液圧制御部22は、ホイールシリンダWCrlに供給する液圧を制御可能なものであり、2ポート2位置切換型の常開電磁開閉弁である増圧弁22aと2ポート2位置切換型の常閉電磁開閉弁である減圧弁22bとから構成されている。増圧弁22aは、差圧制御弁21とホイールシリンダWCrlとの間に介装されており、ブレーキECU16の指令にしたがって差圧制御弁21とホイールシリンダWCrlとを連通または遮断できるようになっている。減圧弁22bは、ホイールシリンダWCrlと調圧リザーバ24cとの間に介装されており、ブレーキECU16の指令にしたがってホイールシリンダWCrlと調圧リザーバ24cとを連通または遮断できるようになっている。これにより、ホイールシリンダWCrl内の液圧が増圧・保持・減圧され得るようになっている。
右前輪液圧制御部23は、ホイールシリンダWCfrに供給する液圧を制御可能なものであり、左後輪液圧制御部22と同様に増圧弁23aと減圧弁23bとから構成されている。増圧弁23aおよび減圧弁23bがブレーキECU16の指令により制御されて、ホイールシリンダWCfr内の液圧が増圧・保持・減圧され得るようになっている。
第1減圧部24は、ポンプ24a、ポンプ用モータ24b、調圧リザーバ24cを含んで構成されている。ポンプ24aは、調圧リザーバ24c内のブレーキ液を汲み上げて、そのブレーキ液を差圧制御弁21と増圧弁22a,23aとの間に供給するようになっている。このポンプ24aは、ブレーキECU16の指令にしたがって駆動するポンプ用モータ24bによって駆動されるようになっている。ポンプ用モータ24bは、後述するように電源(バッテリBAT)からの電力供給を受けて駆動される電動機である。
調圧リザーバ24cは、ホイールシリンダWCrl、WCfrから減圧弁22b、23bを介して抜いたブレーキ液を一旦溜めておく装置である。また、調圧リザーバ24cは、マスタシリンダ13と連通しており、調圧リザーバ24c内のブレーキ液が所定量以下である場合には、マスタシリンダ13からブレーキ液が供給される一方で、所定量より多い場合には、マスタシリンダ13からのブレーキ液の供給が停止されるようになっている。
これにより、差圧制御弁21によって差圧状態が形成されるとともにポンプ24aが駆動されている場合(例えば、横滑り防止制御、トラクションコントロールなどの場合)、マスタシリンダ13から供給されているブレーキ液を調圧リザーバ24c経由で増圧弁22a,23aの上流に供給することができるようになっている。
第2系統15bは、差圧制御弁31、左前輪液圧制御部32、右後輪液圧制御部33、および第2減圧部34を含んで構成されている。
差圧制御弁31は、マスタシリンダ13と、左前輪液圧制御部32の上流部および右後輪液圧制御部33の上流部との間に介装されている常開リニア電磁弁である。この差圧制御弁31は、差圧制御弁21と同様に、ブレーキECU16によりホイールシリンダWCfl,WCrr側の液圧をマスタシリンダ13側の液圧に対してよりも所定の制御差圧分高い圧力に保持できるようになっている。
左前輪液圧制御部32および右後輪液圧制御部33は、ホイールシリンダWCfl,WCrrに供給する液圧をそれぞれ制御可能なものであり、左後輪液圧制御部22と同様に、それぞれ増圧弁32aと減圧弁32b、増圧弁33aと減圧弁33bから構成されている。増圧弁32aと減圧弁32b、増圧弁33aと減圧弁33bがブレーキECU16の指令によりそれぞれ制御されて、ホイールシリンダWCfl内およびホイールシリンダWCrr内の液圧がそれぞれ増圧・保持・減圧され得るようになっている。
第2減圧部34は、第1減圧部24と同様に、ポンプ34a、ポンプ用モータ24b(第1減圧部24と共用)、調圧リザーバ34cを含んで構成されている。ポンプ34aは、調圧リザーバ24cと同様な調圧リザーバ34c内のブレーキ液を汲み上げて、そのブレーキ液を差圧制御弁31と増圧弁32a,33aとの間に供給するようになっている。このポンプ34aは、ブレーキECU16の指令にしたがって駆動するポンプ用モータ24bによって駆動されるようになっている。
このように構成されたブレーキアクチュエータ15は、通常ブレーキの際には全ての電磁弁が非励磁状態にされて、ブレーキペダル11の操作力に応じたブレーキ液圧、すなわち基礎液圧をホイールシリンダWC**にそれぞれ供給できるようになっている。なお、**は、各輪に対応する添え字であって、fl,fr,rl,rrのいずれかであり、左前、右前、左後、右後を示している。以下の説明及び図面において同じである。
また、ポンプ用モータ24bすなわちポンプ24a,34aを駆動するとともに差圧制御弁21,31を励磁すると、マスタシリンダ13からの基礎液圧に制御液圧を加えたブレーキ液圧をホイールシリンダWC**にそれぞれ供給できるようになっている。
さらに、ブレーキアクチュエータ15は、増圧弁22a,23a,32a,33a、および減圧弁22b,23b,32b,33bを制御することでホイールシリンダWC**の液圧を個別に調整できるようになっている。これにより、ブレーキECU16からの指示により、例えば、周知のアンチスキッド制御、前後制動力配分制御、ESC(Electronic Stability Control)である横滑り防止制御(具体的には、アンダステア抑制制御、オーバステア抑制制御)、トラクションコントロール、車間距離制御等を達成できるようになっている。
また、液圧ブレーキ装置は、車輪速度センサSfl,Sfr,Srl,Srrを備えている。車輪速度センサSfl,Sfr,Srl,Srrは、各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrの付近にそれぞれ設けられており、各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrの回転に応じた周波数のパルス信号をブレーキECU16に出力している。
なお、液圧ブレーキ装置は、ブレーキペダル11が踏まれるとオンされ、踏み込みが解除されるとオフされるストップスイッチ17を備えている。このストップスイッチ17のオン・オフ信号はブレーキECU16に入力されるようになっている。
ブレーキECU16は、電源であるバッテリBATからの電力供給を受けて電動機であるポンプ用モータ24bの駆動を制御する駆動制御回路40を備えている。駆動制御回路40は、図2に示すように、マイクロプロセッサ41、モータ制御部42、モータ駆動回路43および電位検出回路44を備えている。
モータ制御部42は、マイクロプロセッサ41からの制御指令信号(駆動要求)を入力しその制御指令信号に応じて制御対象のポンプ用モータ24bに供給する駆動電流(駆動電圧)をオン・オフ制御(デューティ制御)するものである。詳しくは、モータ制御部42は、マイクロプロセッサ41からの駆動要求に応じたオン・オフ信号(所定のデューティ比のPWM信号でもよい。)をモータ駆動回路43(第1および第2SW素子61,62)に送信してポンプ用モータ24bの通電・非通電を制御する。
モータ駆動回路43は、ポンプ用モータ24bを回転・停止させる回路である。モータ駆動回路43は、直流電源であるバッテリBAT(例えば+12V)とポンプ用モータ24bとの間に直列に接続されてポンプ用モータ24bへの給電・停止を切り替える第1SW素子61および第2SW素子62を備えている。
第1SW素子61は、第1SW部61aと第1ダイオード部(第1寄生ダイオード)61bとからなる。第1SW素子61は、例えばMOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)にて構成される。
第1SW部61aは、ポンプ用モータ24bのハイサイド側の電源接続端子24b1に直列に接続され、バッテリBATとポンプ用モータ24bとの間の接続を開閉する第1スイッチング部である。第1SW部61aのドレイン(入力端)は直流電源であるバッテリBAT(例えば+12V)の正極にコイル45aを介して接続されている。第1SW部61aのソース(出力端)はポンプ用モータ24bの一方の端子24b1(ハイサイド側の電源接続端子)に接続されるとともに、還流ダイオード46のカソードに接続されている。
第1ダイオード部61bのカソードは第1SW部61aのドレインに接続され、アノードは第1SW部61aのソースに接続されている。
第2SW素子62は、第2SW部62aと第2ダイオード部(第2寄生ダイオード)62bとからなる。第2SW素子62も、第1SW素子61と同様、例えばMOSFETにて構成される。
第2SW部62aは、ポンプ用モータ24bのローサイド側の電源接続端子24b2に直列に接続され、バッテリBATとポンプ用モータ24bとの間の接続を開閉する第2スイッチング部である。第2SW部62aのドレイン(入力端)はポンプ用モータ24bのもう一方の端子24b2(ローサイド側の電源接続端子)に接続されるとともに、還流ダイオード46のアノードに接続されている。第2SW部62aのソース(出力端)は直流電源であるバッテリBATの負極に接続されている。
第2ダイオード部62bのカソードは第2SW部62aのドレインに接続され、アノードは第2SW部62aのソースに接続されている。
第1SW部61aおよび第2SW部62aの各ゲート(信号入力端)はモータ制御部42の出力ポート42a,42bにそれぞれ接続されている。モータ制御部42からオン信号が供給されると第1および第2SW素子61,62はオンし、オフ信号が供給されると第1および第2SW素子61,62はオフする。
本実施形態では、ポンプ用モータ24bを駆動する際には、第2SW素子62をオンし、第1SW素子61をPWM制御している。また、第1SW素子61がオン故障した際に、第2SW素子62はポンプ用モータ24bの給電を停止するフェールセーフとして働く。
モータ駆動回路43は、ローパスフィルタ回路45を備えている。ローパスフィルタ回路45は、第1SW素子61とバッテリBATとの間に直列に接続されたコイル45aと、コイル45aのバッテリBAT側の第1コンデンサ45bと、コイル45aのバ第1SW素子61側の第2コンデンサ45cから構成されている。
第1コンデンサ45bは、バッテリBAT、第1SW素子61、ポンプ用モータ24bおよび第2SW素子62からなる電力供給回路73のうち第1SW素子61とバッテリBAT側の部位との間の部分と、電力供給回路73のうちポンプ用モータ24bと第2SW素子62との間の部分との間に、第1SW素子61とポンプ用モータ24bとからなる直列回路71に対して、並列に接続されたコンデンサである。具体的には、第1コンデンサ45bの一端はコイル45aとバッテリBAT(正極)との間の部分に接続され、他端はポンプ用モータ24bと第2SW素子62との間の部分に接続されている。
第2コンデンサ45cも、第1コンデンサ45bと同様、直列回路71に対して並列に接続されたコンデンサである。具体的には、第2コンデンサ45cの一端はコイル45aと第1SW素子61との間の部分に接続され、他端はポンプ用モータ24bと第2SW素子62との間の部分に接続されている。
第1および第2コンデンサ45b,45cは、ESR(等価直列抵抗)が小さいコンデンサが望ましく、例えばセラミックコンデンサがよい。
第1および第2コンデンサ45b,45cは、デューティ制御されるポンプ用モータ24bを短時間でオンする作用を有する。また、第2コンデンサ45cは、コイル45aと協働してバッテリBATからの入力(矩形波)を平滑化してポンプ用モータ24bに出力する作用を有する。また、第1コンデンサ45bは、コイル45aと協働して駆動制御回路40で発生したノイズを平滑化して(ローパスフィルタして)バッテリBAT側に出力する作用を有する。
さらに、モータ駆動回路43は、ポンプ用モータ24bと並列に接続される還流ダイオード46を備えている。すなわち、還流ダイオード46のカソードがポンプ用モータ24bの端子24b1に接続され、アノードがポンプ用モータ24bの端子24b2に接続されている。よって、ポンプ用モータ24bへの給電が停止された際にポンプ用モータ24bの両端子間に生じる電圧(フライバックエネルギー)を還流ダイオード46により吸収して、第1および第2SW素子61,62へのフライバックエネルギーの負担は低減される。さらに、コンデンサ45b、45cのショート故障が発生している場合に、同コンデンサ45b、45cおよびポンプ用モータ24bによる電流経路に加え、同コンデンサ45b、45cおよび還流ダイオード46による電流経路が形成される。これにより、ポンプ用モータ24bのハイサイド側の電源接続端子24b1の電位が、コンデンサ45b、45cのショート故障に有無に応じて大きく変化するため、コンデンサ45b、45cのショート故障の有無をより正確に判定することができる。
電位検出回路44は、ポンプ用モータ24bのハイサイド側の電源接続端子24b1の電位を検出する検出部であり、コンパレータ44aと、基準電圧回路44bから構成されている。コンパレータ44aは、第1入力ポート44a1から比較対象である入力電圧を入力するとともに第2入力ポート44a2から基準電圧を入力し、基準電圧に対して入力電圧の大小を判別し、判別結果を出力ポート44a3からマイクロプロセッサ41に出力する。
第1入力ポート44a1は、ポンプ用モータ24bのハイサイド側の電源接続端子24b1に接続されている。これにより、ポンプ用モータ24bのハイサイド側の電源接続端子24b1の電位(電圧)を電位検出回路44で検出することができる。なお、ポンプ用モータ24bのハイサイド側の電源接続端子24b1の電位でなく、ローサイド側の電源接続端子24b2の電位を検出するようにしてもよく、またはそれらの相関値を検出するようにしてもよい。
基準電圧回路44bは、電源Vとグランド間に直列に接続された2つの抵抗器44b1,44b2から構成されている。2つの抵抗器44b1,44b2の間の部分が第2入力ポート44a2に接続されている。基準電圧は電源Vの電圧を2つの抵抗器44b1,44b2で分圧した値に設定される。本実施形態では、検出部を、検出電圧が基準電圧より大きいか否かの判別結果をマイクロプロセッサ41に出力する電位検出回路44により構成するようにしたが、検出電圧を直接検出してその検出値をマイクロプロセッサ41に出力する電位検出回路44により構成するようにしてもよい。
なお、ポンプ用モータ24bのハイサイド側の電源接続端子24b1とコンパレータ44aの第1入力ポート44a1との間の部分と、バッテリBAT(負極)と第2SW部62aのソースとの間の部分との間に、抵抗器47が接続されている。この抵抗器47は、第1SW部61aと第2SW部62aとを共にOFF(オフ)した場合に電位検出回路44a1の電圧レベルをグランドレベルに固定するためのものである。
次に、上記のように構成したブレーキECU16のイニシャルチェックについて図3に示すフローチャートを参照して説明する。ブレーキECU16は、イニシャルチェックが正常に終了すると、液圧ブレーキ装置の制御プログラムの実行を開始する。イニシャルチェックでは、各弁21,22a,22b,23a,23b,31,32a,32b,33a,33b、ポンプ用モータ24b、第1および第2SW部61a,62aなどの異常の有無を確認するが、ここでは、コンデンサ45b,45cの故障の有無について詳述する。
図示しないイグニションスイッチがオンされると、ブレーキECU16はイニシャルチェックのうちコンデンサ45b,45cに係るイニシャルチェックを開始する。ブレーキECU16は、ステップ102において、第1SW素子61をオフするとともに第2SW素子62をオフする。
そして、ブレーキECU16は、ステップ104において、電位検出回路44によりポンプ用モータ24bのハイサイド側の接続端子24b1の電位を検出し、その検出値が判定値以上であるか否かを判定する。本実施形態では、ブレーキECU16は、コンパレータ44aからの判別結果から判定している。なお、本実施形態では、バッテリBATが12Vである場合には判定値は3Vに設定されている。
以下に、第1および第2SW素子61,62をそれぞれオフし(開状態とし)、その状態において電位検出回路44により検出されたポンプ用モータ24bのハイサイド側およびローサイド側の少なくとも何れか一方の電源接続端子の電位またはその相関値に基づいて、コンデンサ45b,45cにショート故障が発生しているか否かを判定することができる理由を説明する。
第1および第2SW素子61,62をオフした状態において、コンデンサ45b,45cの何れかにショート故障が発生している場合には、ポンプ用モータ24bのローサイド側の電源接続端子24b2がショート故障しているコンデンサ45b(および/または45c)を介してバッテリBATに接続されるため、ポンプ用モータ24bのローサイド側(およびハイサイド側)の電源接続端子24b1,24b2の電位は電源電圧(バッテリBATの正極の電位)とほぼ等しくなる。一方、コンデンサ45b,45cの何れにもショート故障が発生していない場合には、ポンプ用モータ24bのローサイド側の電源接続端子24b2は正常なコンデンサを介してバッテリBATに接続されるため、ポンプ用モータ24bのローサイド側(およびハイサイド側)の電源接続端子24b1,24b2の電位はショート故障が発生している場合と比べて低くなる。具体的には、電位はバッテリBATの負極の電位と等しくほぼ0Vとなる。
よって、第1および第2SW素子61,62をオフした状態におけるポンプ用モータ24bのハイサイド側およびローサイド側の少なくとも何れか一方の電源接続端子の電位またはその相関値が判定値(所定の閾値)よりも高い場合に、コンデンサ45b,45cにショート故障が発生していると判定することができる。
コンデンサ45b,45cの何れかにショート故障が発生している場合には、電位検出回路44により検出された電位は判定値以上となるので、ブレーキECU16は、ステップ104で「YES」と判定し、コンデンサ45b,45cの何れかがショート故障であると判定する(ステップ106)。一方、コンデンサ45b,45cの何れにもショート故障が発生していない場合には、電位検出回路44により検出された電位は判定値未満となるので、ブレーキECU16は、ステップ104で「NO」と判定し、コンデンサ45b,45cの何れもショート故障でないと判定する(ステップ108)。
上述した説明から明らかなように、本第1の実施形態によれば、第1および第2SW素子61,62をそれぞれオフし(開状態とし)、その状態において電位検出回路44(検出部)により検出されたポンプ用モータ24bのハイサイド側およびローサイド側の少なくとも何れか一方の電源接続端子24b1,24b2の電位またはその相関値に基づいて、コンデンサ45c,45bの何れかにショート故障が発生しているか否かを判定することができる。
また、コンデンサ45c,45bの何れかにショート故障が発生していると判定した場合には、第2SW素子62をオフすることにより、ショート故障しているコンデンサ45c,45bの何れかとバッテリBAT(電源)の接続を開状態とすることで、当該ショート故障に起因する故障箇所の拡大を抑制することができる。このように、ポンプ用モータ24bに並列に接続されたコンデンサ45b,45cの異常を早期かつ確実に発見し対処することができる。
さらに、セラミックコンデンサはアルミ電解コンデンサよりもESR(等価直列抵抗)が低いため、アルミ電解コンデンサからセラミックコンデンサへの置き換えには、EMIエミッションノイズの低減効果が期待できる。しかしながら、セラミックコンデンサの故障モードとしてはショート故障が多いことから、当該ショート故障に起因する故障箇所の拡大が懸念され、上記セラミックコンデンサへの置き換えは進んでいない。
本第1の実施形態によれば、コンデンサ45b,45cにショート故障が発生したことを判定することができ、当該ショート故障に起因する故障箇所の拡大を抑制することができるため、上記セラミックコンデンサへの置き換えが可能となる。これにより、EMIエミッションノイズを低減することができる。
さらに、コンデンサによるフィルタ効果は、当該コンデンサをノイズ発生源の近くに設けるほど高くなる。第1SW素子61よりもバッテリBAT側の部分と第2SW素子62よりもポンプ用モータ24bの部分との間にコンデンサ45b,45cを設けたこと、すなわちノイズ発生源であるポンプ用モータ24bおよび第1SW素子61の近くにコンデンサ45b,45cを設けたことにより、第1SW素子61よりもバッテリBAT(正極)側の部分と第2SW素子62よりもバッテリBAT(負極)側の部分との間にコンデンサ45b,45cを設けた場合と比較して、コンデンサ45b,45cによるフィルタ効果を高めることができる。
2)第2の実施形態
次に、第2の実施形態について図4〜図6を参照して説明する。本第2の実施形態は、図4に示すように、上記電力供給回路73のうちバッテリBATと第1SW素子61との間の部分と、電力供給回路73のうちポンプ用モータ24bと第2SW素子62との間の部分との間に、上記直列回路71(第1SW素子61とポンプ用モータ24bとからなる)およびコンデンサ45b,45cに対して、並列に接続された抵抗器48をさらに備えたという点で第1の実施形態と異なる。第1の実施形態と同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。
さらに、上記のように構成したブレーキECU16のイニシャルチェックについて図5に示すフローチャートを参照して説明する。ブレーキECU16は、第1の実施形態に示すコンデンサのショート故障の有無の判定後にオープン故障の判定を行うようになっている。第1の実施形態と同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。
ブレーキECU16は、抵抗器48がある場合にも、第1の実施形態と同様にショート故障を判定できる。コンデンサ45b,45cの何れかがショート故障すると、ポンプ用モータ24bのローサイド側(およびハイサイド側)の電源接続端子24b1,24b2の電位は電源電圧(バッテリBATの正極の電位)とほぼ等しくなるからである。
ブレーキECU16は、コンデンサ45b,45cがショート故障でないと判断すると(ステップ104で「NO」)、コンデンサ45b,45cがオープン故障であるか否かを判定する。具体的には、図6に示す時刻t1にブレーキECU16は第1SW素子61をオフしたまま、第2SW素子62をオンする(ステップ204)。第2SW素子62がオンされると、バッテリBATからの電流が抵抗器48および第2SW素子62の第2SW部62aを通って流れる。よって、このとき、ポンプ用モータ24bのローサイド側の電源接続端子24b2の電位(すなわちハイサイド側の電源接続端子24b1の電位)は、バッテリBATの正極の電圧より抵抗器48の電圧降下分だけ低い電圧となる。
その後、ポンプ用モータ24bのローサイド側の電源接続端子24b2の電位が電圧降下分だけ低い電圧で安定したところで(第2SW素子62をオフからオンした時点から所定時間T1が経過した時点(時刻t2)に)、ブレーキECU16は、第2SW素子62を再びオフする(ステップ206)とともに、経過時間T3のカウントを開始する(ステップ208)。この経過時間T3は、第2SW素子62をオンからオフした時点(時刻t2)から、ポンプ用モータ24bのハイサイド側の電源接続端子24b1の電位が判定値以上となった時点(時刻t3)までの経過時間である。なお、ブレーキECU16は、フラグFaを1に設定する(ステップ210)。フラグFaは、コンデンサのオープン故障を判定しているか否かを示すフラグであり、1でオープン故障の判定中を示し、0でオープン故障を判定していないことを示している。フラグFaを1に設定することで、上述したショート故障の判定、および経過時間T3のカウント開始を省略することができる。
そして、ブレーキECU16は、第2SW素子62をオンからオフした時点(時刻t2)から、ポンプ用モータ24bのハイサイド側の電源接続端子24b1の電位が判定値以上となった時点までの経過時間T3を導出する。
具体的には、ブレーキECU16は、第2SW素子62をオンからオフした時点(時刻t2)以降であって、電位検出回路44により検出される、ポンプ用モータ24bのハイサイド側の電源接続端子24b1の電位が判定値未満である場合には、ステップ202,212でそれぞれ「YES」、「NO」の判定を繰り返し実行し、経過時間T3のカウントを継続する。一方、ブレーキECU16は、第2SW素子62をオンからオフした時点(時刻t2)以降であって、電位検出回路44により検出される、ポンプ用モータ24bのハイサイド側の電源接続端子24b1の電位が判定値以上となれば、ステップ202,212でそれぞれ「YES」と判定し、経過時間T3のカウントを終了する(ステップ214)。なお、ステップ212の判定値は、例えば3Vに設定されている。なお、第2実施形態では、バッテリBATに抵抗器48、還流ダイオード46、抵抗器47が直列に接続されており、電流が流れ続けるが、抵抗器47の抵抗値を変更することでその電流値を小さく抑制している。
このように、ブレーキECU16は、第2SW素子62をオンからオフした時点(時刻t2)から、ポンプ用モータ24bのハイサイド側の電源接続端子24b1の電位が判定値以上となった時点までの経過時間T3を導出する。
そして、ブレーキECU16は、ステップ216において、導出された経過時間T3が所定時間T2以下であるか否かを判定する。なお、本実施形態では、所定時間T2は抵抗器48とコンデンサ45bに基づいて設定されており、例えば0.1秒に設定されている。
以下に、第1SW素子61をオフし(開状態とし)第2SW素子62をオンし(閉状態とし)、その状態で第2SW素子62をオンからオフした時点からのポンプ用モータ24bのハイサイド側およびローサイド側の少なくとも何れか一方の電源接続端子の電位またはその相関値の推移に基づいて、コンデンサ45b,45cにオープン故障が発生しているか否かを判定することができる理由を説明する。
コンデンサ45b,45cの何れにもオープン故障が発生していない場合には、第2SW素子62をオンからオフした際に、バッテリBATに並列に接続されたコンデンサ45b,45cの作用により、ポンプ用モータ24bのローサイド側(およびハイサイド側)の電源接続端子24b2(および24b1)の電位は緩やかに上昇する。一方、コンデンサ45b,45cにオープン故障が発生している場合には、コンデンサは存在しないと同じであり前述したコンデンサの作用はないため、ポンプ用モータ24bのローサイド側(およびハイサイド側)の電源接続端子24b2(および24b1)の電位は、オープン故障が発生していない場合と比べて急峻に上昇する。
よって、第2SW素子62をオンからオフした時点(時刻t2)からポンプ用モータ24bのハイサイド側およびローサイド側の少なくとも何れか一方の電源接続端子の電位またはその相関値が所定値(判定値)に達するまでの経過時間T3を導出し、その経過時間T3が所定の閾時間(所定時間)より短い場合に、コンデンサ45b,45cにオープン故障が発生していると判定することができる。
コンデンサ45b,45cの何れかにオープン故障が発生している場合には、導出された経過時間T3が所定時間以下となるので、ブレーキECU16は、ステップ216で「YES」と判定し、コンデンサ45b,45cの何れかがオープン故障であると判定する(ステップ218)。一方、コンデンサ45b,45cの何れにもオープン故障が発生していない場合には、導出された経過時間T3が所定時間より長くなるので、ブレーキECU16は、ステップ216で「NO」と判定し、コンデンサ45b,45cの何れもオープン故障でないと判定する(ステップ222)。なお、ブレーキECU16は、いずれの場合も判定後にフラグFaを0にリセットする(ステップ220,224)。
上述した説明から明らかなように、本第2の実施形態によれば、第1SW素子61をオフし(開状態とし)第2SW素子62をオンし(閉状態とし)、その状態で第2SW素子62をオンからオフした時点からのポンプ用モータ24bのハイサイド側およびローサイド側の少なくとも何れか一方の電源接続端子の電位またはその相関値の推移に基づいて、コンデンサ45b,45cの何れかにオープン故障が発生しているか否かを判定することができる。
また、コンデンサ45c,45bの何れかにオープン故障が発生していると判定した場合には、その旨を警告することができる。
さらに、ブレーキECU16とブレーキアクチュエータ15は一体構造体であり、この一体構造体はコネクタ16aを有しており、バッテリBATからの線材や他のECUとからの線材などはこのコネクタ16aを介して脱着可能に接続されている。よって、ブレーキECU16を交換する際には、それら線材をコネクタ16aから外す必要がある。
本第2の実施形態によれば、ブレーキECU16からバッテリBATを外した際に、コンデンサ45b,45cに蓄えられている電荷は、抵抗器48で放電される。すなわち、抵抗器48を放電抵抗として利用することができる。よって、コネクタ16aの接続端子16a1に接触しても感電することはない。
さらに、イグニッションスイッチがオフされているときに、第2SW素子62をオフすることで、抵抗器48に電流(暗電流)が流れるのを防止することができる。よって、イグニッションスイッチがオフされているときの暗電流の増加を全体として抑制することができる。
なお、本第2の実施形態においては、コンデンサのオープン故障を次のように行ってもよい。すなわち、第2SW素子62をオンからオフした時点(時刻t2)から所定時間T2が経過した時点(時刻t3)のポンプ用モータ24bのハイサイド側およびローサイド側の少なくとも何れか一方の電源接続端子24b1,24b2の電位またはその相関値を検出し、その値が所定の閾値より高い場合に、コンデンサ45b,45cにオープン故障が発生していると判定するようにしてもよい。
具体的には、ブレーキECU16は、図7に示すフローチャートに沿ってコンデンサの故障を判定する。図5に示すフローチャートのステップ212の処理に代えてステップ302の処理が行われ、ステップ216の処理に代えてステップ304の処理を行われる。ステップ302において、上述したステップ216と同様に、カウントされている経過時間T3が所定時間T2以下であるか否かを判定する。ステップ304において、上述したステップ212と同様に、ポンプ用モータ24bのハイサイド側の電源接続端子24b1の電位が判定値以上であるか否かを判定する。
また、本第2の実施形態においては、第2SW素子62をオフからオンした時点から所定時間T2が経過した時点のポンプ用モータ24bのハイサイド側およびローサイド側の少なくとも何れか一方の電源接続端子24b1,24b2の電位またはその相関値を検出し、その値が所定の閾値より低い場合に、コンデンサ45b,45cにオープン故障が発生していると判定するようにしてもよい。
3)第3の実施形態
次に、第3の実施形態について図8、図9を参照して説明する。本第3の実施形態は、図8に示すように、コンデンサ45b,45cと抵抗器48(第2抵抗器)とからなる並列回路72に直列に接続され、並列回路72と、電力供給回路73のうちポンプ用モータ24bと第2SW素子62との間の部分との接続を開閉する第3SW素子63と、電力供給回路73のうちポンプ用モータ24bと第2SW素子62との間の部分と、電力供給回路73のうち第2SW素子62とバッテリBATとの間の部分との間に、第2SW素子62に対して、並列に接続された抵抗器49(第3抵抗器)と、をさらに備えたという点で第2の実施形態と異なる。第2の実施形態と同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。
第3SW素子63は、第1SW素子61と同様に、第3SW部63aと第3ダイオード部(第3寄生ダイオード)63bからなる。第3SW部63aのドレイン(入力端)はコンデンサ45b,45cと抵抗器48に接続されており、ソース(出力端)はポンプ用モータ24bの電源接続端子24b2(ローサイド側の電源接続端子)に接続されるとともに、第2SW部62aのドレインに接続されている。第3ダイオード部63bのカソードは第3SW部63aのドレインに接続され、アノードは第3SW部63aのソースに接続されている。第3SW部63aのゲート(信号入力端)はモータ制御部42の出力ポート42cに接続されている。
抵抗器49一端は第2SW部62aのドレインに接続され、他端はソースに接続されている。
さらに、上記のように構成したブレーキECU16のイニシャルチェックについて図9に示すフローチャートを参照して説明する。ブレーキECU16は、第1の実施形態に示すコンデンサのショート故障の有無の判定後にオープン故障の判定を行うようになっている。図5に示すフローチャートと同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。
具体的には、ブレーキECU16は、図9に示すフローチャートに沿ってコンデンサの故障を判定する。図5に示すフローチャートのステップ102の処理に代えてステップ402の処理が行われ、ステップ204の処理に代えてステップ404の処理を行われる。ステップ402において、第1および第2SW素子61,62をオフするとともに第3SW素子63をオンする。ステップ404において、第1SW素子61をオフしたまま、第3SW素子63をオンからオフするとともに第2SW素子62をオフからオンする。
第3の実施形態によれば、第1および第2SW素子61,62をオフする(開状態とする)とともに第3SW素子63をオンした(閉状態とする)状態において、コンデンサ45b,45cにショート故障が発生している場合には、ポンプ用モータ24bのローサイド側の電源接続端子24b2がショート故障しているコンデンサ45b、45cおよび第3SW素子63を介してバッテリBATに接続されるため、ポンプ用モータ24bのローサイド側(およびハイサイド側)の電源接続端子24b2(および24b1)の電位は電源電圧とほぼ等しくなる。一方、コンデンサ45b,45cにショート故障が発生していない場合には、ポンプ用モータ24bのローサイド側の電源接続端子24b2は抵抗器48(第2抵抗器)および第3SW素子63を介してバッテリBATに接続されるため、ポンプ用モータ24bのローサイド側(およびハイサイド側)の電源接続端子24b2の電位はショート故障が発生している場合と比べて抵抗器48(第2抵抗器)の電圧降下分低くなる。
よって、第1および第2SW素子61,62をオフするとともに第3SW素子63をオン(ステップ402)した状態におけるポンプ用モータ24bのハイサイド側およびローサイド側の少なくとも何れか一方の電源接続端子24b1,24b2の電位またはその相関値が判定値(所定の閾値)よりも高い場合に(ステップ104で「YES」と判定され)、コンデンサ45b,45cの何れかにショート故障が発生していると判定することができる。また、コンデンサ45b,45cにショート故障が発生していると判定した場合には、第2SW素子62または/および第3SW素子63をオフすることにより、当該ショート故障に起因する故障箇所の拡大を抑制することができる。
また、コンデンサ45b,45cにオープン故障が発生していない場合には、第1および第3SW素子61,63をそれぞれオフした状態で第2SW素子62をオンからオフした際に(または第2素子62をオフからオンした際に)、バッテリBATに並列に接続されたコンデンサの作用により、ポンプ用モータ24bのローサイド側(およびハイサイド側)の電源接続端子24b2(および24b1)の電位は緩やかに上昇する(または下降する)。一方、コンデンサ45b、45cにオープン故障が発生している場合には、前述したコンデンサの作用はないため、ポンプ用モータ24bのローサイド側(およびハイサイド側)の電源接続端子24b1,24b2の電位は、オープン故障が発生していない場合と比べて急峻に上昇する(または下降する)。
よって、第2SW素子62をオンからオフした時点(またはオフからオンした時点)からのポンプ用モータ24bのハイサイド側およびローサイド側の少なくとも何れか一方の電源接続端子24b1,24b2の電位またはその相関値の変化に基づいて、コンデンサ45b、45cにオープン故障が発生していると判定することができる。
さらに、ポンプ用モータ24bの非駆動時(例えばイグニッションスイッチのオフ時)において、すなわち第1および第2SW素子61,62をそれぞれオフしている場合において、第3SW素子63をオフした状態では、ポンプ用モータ24bのローサイド側(およびハイサイド側)の電源接続端子24b2,24b1の電位は、抵抗器48(第2抵抗器)、第3SW素子63のオフ抵抗、および抵抗器49(第3抵抗器)の分圧で決定され、その電位はほとんど0Vとすることができる。よって、ポンプ用モータ24bの非駆動時に印加する電圧を比較的低く抑制することで、ポンプ用モータ24bにおける電食(マイグレーション)を抑制することができる。
4)第4の実施形態
次に、第4の実施形態について図10、図11を参照して説明する。本第4の実施形態は、図10に示すように、抵抗器48(第4抵抗器)に直列に接続され、抵抗器48と、電力供給回路73のうちポンプ用モータ24bと第2SW素子62との間の部分との接続を開閉する第4SW素子64と、電力供給回路73のうちポンプ用モータ24bと第2SW素子62との間の部分と、電力供給回路73のうち第2SW素子62とバッテリBATとの間の部分との間に、第2SW素子62に対して、並列に接続された抵抗器49(第5抵抗器)と、をさらに備えたという点で第2の実施形態と異なる。第3の実施形態と同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。
第4SW素子64は、第1SW素子61と同様に、第4SW部64aと第4ダイオード部(第4寄生ダイオード)64bからなる。第4SW部64aのドレイン(入力端)は抵抗器48に接続されており、ソース(出力端)はポンプ用モータ24bの電源接続端子24b2(ローサイド側の電源接続端子)に接続されるとともに、第2SW部62aのドレインに接続されている。第4ダイオード部64bのカソードは第4SW部64aのドレインに接続され、アノードは第4SW部64aのソースに接続されている。第4SW部64aのゲート(信号入力端)はモータ制御部42の出力ポート42cに接続されている。すなわち、直列に接続された抵抗器48と第4SW素子64はコンデンサ45b,45cに並列に接続されている。
さらに、上記のように構成したブレーキECU16のイニシャルチェックについて図11に示すフローチャートを参照して説明する。ブレーキECU16は、第1の実施形態に示すコンデンサのショート故障の有無の判定後にオープン故障の判定を行うようになっている。図9に示すフローチャートと同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。
具体的には、ブレーキECU16は、図11に示すフローチャートに沿ってコンデンサの故障を判定する。図9に示すフローチャートのステップ402の処理に代えてステップ502の処理が行われ、ステップ404の処理に代えてステップ504の処理を行われる。ステップ502において、第1および第2SW素子61,62をオフするとともに第4SW素子64をオフする。ステップ504において、第1SW素子61をオフしたまま、第2および第4SW素子62,64をオフからオンする。
第4の実施形態によれば、第1、第2および第4SW素子61,62,64をオフした(開状態とする)状態において、コンデンサ45b、45cにショート故障が発生している場合には、ポンプ用モータ24bのローサイド側の電源接続端子24b2がショート故障しているコンデンサ45b、45cを介してバッテリBATに接続されるため、ポンプ用モータ24bのローサイド側(およびハイサイド側)の電源接続端子24b2(24b1)の電位は電源電圧とほぼ等しくなる。一方、コンデンサ45b、45cにショート故障が発生していない場合には、ポンプ用モータ24bのローサイド側の電源接続端子24b2は正常なコンデンサ45b、45cを介してバッテリBATに接続されるため、ポンプ用モータ24bのローサイド側(およびハイサイド側)の電源接続端子24b2(24b1)の電位はショート故障が発生している場合と比べて低くなる。
よって、第1、第2および第4SW素子61,62,64をオフした状態におけるポンプ用モータ24bのハイサイド側およびローサイド側の少なくとも何れか一方の電源接続端子の電位またはその相関値が所定の閾値よりも高い場合に、コンデンサ45b、45cにショート故障が発生していると判定することができる。また、コンデンサ45b,45cにショート故障が発生していると判定した場合には、第2SW素子62をオフすることにより、当該ショート故障に起因する故障箇所の拡大を抑制することができる。
また、コンデンサ45b,45cにオープン故障が発生していない場合には、第1SW素子61をオフするとともに第4SW素子64をオンした状態で第2SW素子62をオンからオフした際に(または第2SW素子62をオフからオンした際に)、バッテリBATに並列に接続されたコンデンサ45b,45cの作用により、ポンプ用モータ24bのローサイド側(およびハイサイド側)の電源接続端子24b2(および24b1)の電位は緩やかに上昇する(または下降する)。一方、コンデンサ45b,45cにオープン故障が発生している場合には、前述したコンデンサの作用はないため、ポンプ用モータ24bのローサイド側(およびハイサイド側)の電源接続端子24b2(24b1)の電位は、オープン故障が発生していない場合と比べて急峻に上昇する(または下降する)。
よって、第2SW素子62をオンからオフした時点(またはオフからオンした時点)からのポンプ用モータ24bのハイサイド側およびローサイド側の少なくとも何れか一方の電源接続端子の電位またはその相関値の変化に基づいて、コンデンサ45b,45cにオープン故障が発生していると判定することができる。
さらに、ポンプ用モータ24bの非駆動時において(例えばイグニッションスイッチのオフ時)、すなわち第1および第2SW素子61,62をそれぞれオフしている場合において、第4SW素子64をオフした状態では、ポンプ用モータ24bのローサイド側(およびハイサイド側)の電源接続端子24b2,24b1の電位は、抵抗器48(第4抵抗器)、第4SW素子64のオフ抵抗、および抵抗器49(第5抵抗器)の分圧で決定され、その電位はほとんど0Vとすることができる。よって、ポンプ用モータ24bの非駆動時に印加する電圧を比較的低く抑制することで、ポンプ用モータ24bにおける電食(マイグレーション)を抑制することができる。