JP4855555B2 - α+β型チタン合金製部品、及びその製造方法 - Google Patents

α+β型チタン合金製部品、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ボルト、エンジンバルブ、コネクティングロッドなどのα+β型チタン合金製部品、及びその製造方法に関する。
チタン合金は、密度が鋼の約60%と軽量で、比強度(=引張強度/密度)が高いので、軽量化が要求されるボルト、エンジンバルブ、コネクティングロッドに代表される機械部品に適用されている。
これらの機械部品に適用される代表的なα+β型チタン合金として、Ti−6質量%Al−4質量%V(以下「Ti−6Al−4V」という)や、Ti−3質量%Al−2.5質量%V(以下「Ti−3Al−2.5V」という)がある。
これらの機械部品の形状は、長手軸を有するおよそ棒状(コネクティングロッドの大端部と小端部を除く)であり、長手軸方向に力が掛かるので、特に長手軸方向の剛性が要求される。
機械部品として剛性を高めるためには、その部分の断面積を大きくすればよい。しかし、単に断面積を大きくすると、機械部品の質量が増加する。機械部品の質量を増加させずに剛性を高めるためには、素材そのもののヤング率を高める必要がある。
チタンのヤング率(室温)は、88〜113GPa(9,000〜11,500kgf/mm)と、鉄鋼材料のおおよそ二分の一と小さいことから、特にそのニーズが強い。
また、上記の機械部品以外にも、一般的に、二輪・四輪自動車あるいは自転車などの機械部品の用途には、ヤング率が高い金属材料が望まれている。
チタンには、稠密六方晶(以降、hcp)からなるα相と体心立方晶(以降、bcc)からなるβ相がある。ヤング率は、α相が110GPa前後、β相が90GPa前後であり、α相の方が約20%程度高い。
そのため、上述したように剛性が求められるボルト、コネクティングロッド、及び、エンジンバルブなどには、α相が主であるα+β型チタン合金が用いられる。
チタン合金のヤング率を高めるための方法としては、例えば、チタン合金中にB(ホウ素)を添加し、ヤング率が高い金属ホウ化物を分散させることによって高剛性化する方法がある(例えば、特許文献1)。
その他に、ヤング率が高いSiC繊維や炭素繊維とチタン合金とを複合化する方法(複合材料)がある。
チタン合金製のボルト、エンジンバルブ、及び、コネクティングロッドの製造には、いずれも熱間加工で製造された丸棒(棒線)が素材として用いられている。
ボルトは、丸棒素材を熱間、又は冷間で鍛造や転造、あるいは切削加工して製造される。
エンジンバルブの製造方法には、丸棒素材の一部を加熱して傘部を成形するアップセット法と、丸棒素材を熱間で押し出す熱押法がある。
コネクティングロッドは、丸棒素材を熱間鍛造して製造される。
上述のように、チタン合金製の機械部品の製造は、チタン合金製丸棒を素材として使用する製造が主である。
チタンα相のhcpは、ヤング率に結晶方位異方性があることが知られており、素材となる丸棒の長手方向の結晶方位が、ヤング率に大きく影響する。
熱間圧延で造られた高強度チタン合金製冷間鍛造用素材である円柱形(丸棒)においては、hcpのc軸が円柱形の円周方向あるいは半径方向に揃った結晶方位が集積している。また、円柱形のT断面で測定したhcp底面の(0002)面からのX線回折強度が極めて低く、hcpのc軸が、円柱形の長手方向に集積していないことがわかる(特許文献2)。
特許第2663802号公報 特開2008−208413号公報
特許文献1で開示されたチタン合金は、室温引張の強度が約1000〜1300MPa、伸びが約3〜14%で、そのヤング率は約140〜160GPaと高い。
しかしながら、合金中に分散している硬質なホウ化チタンは延靭性が低いので、疲労破壊の起点になる場合がある。また、ボルトやコネクティングロッドなどは、最終成品に仕上げる段階で、切削加工が施される場合が多い。ホウ化チタンなどの金属ホウ化物は硬質であるので、加工の際の切削バイト刃先への負荷が高く、切削効率(機械加工効率)を低下させる場合がある。
また、Bが添加されているチタン合金を再溶解原料として使用した場合、B濃度が高くなり機械的特性に影響するので、他の一般的なチタン合金の原料として活用することが困難であり、リサイクルの観点から好ましくない。SiC繊維や炭素繊維などとチタン合金との複合材は、リサイクルのためにチタンと繊維を分離する工程にコストが掛かる。このように複合材料化はリサイクル性に課題がある。
従来のボルト、エンジンバルブ、及び、コネクティングロッドの製造方法では、熱間圧延あるいは熱間鍛造によって製造された丸棒を、ボルト、エンジンバルブ、及び、コネクティングロッドの加工用素材として用いる。この場合、丸棒の長手方向が、最終成品の長軸方向となる。
すなわち、最終製品の長軸方向のヤング率を高めるためには、素材となる丸棒の長手方向はヤング率の高い状態にする必要がある。そのためには、チタンのヤング率の高い結晶方位を、優先的に発達させる必要がある。
しかし、熱間圧延又は熱間鍛造によって製造されたα+β型チタン合金製丸棒では、長手方向のヤング率は、110GPa前後であり、hcpのc軸が円柱形(丸棒)の円周方向あるいは半径方向に揃った結晶を主とする集合組織が発達しており、必ずしもチタンのα相のヤング率の高い結晶方位が発達していない。
チタンの金属粉末を用いて焼結した材料では、チタンのα相及びβ相の結晶方位は、特定の方位が支配的になることはなく、ほぼランダムになる。その結果、ヤング率はどの方向においても平均的な大きさとなり、特定の方位のヤング率を高めることは困難である。
粉末冶金においても、Bを添加し、ホウ化チタンなどヤング率の高い物質を形成させることによって平均的にヤング率を高めることは可能であるが、上述したように、B添加などの複合材化は、リサイクル性に課題がある。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、複合材料を用いることなく、従来の丸棒素材からの成品に比べて、成品軸方向のヤング率(剛性)が高い二輪・四輪自動車用あるいは自転車用のα+β型チタン合金製部品の製造方法、及び、α+β型チタン合金製のボルト、エンジンバルブ、コネクティングロッドの製造方法の提供を課題とする。
さらに、成品軸方向のヤング率(剛性)が高いα+β型チタン合金製のボルト、エンジンバルブ、及び、コネクティングロッドの提供を課題とする。
本発明者らは、ボルト、エンジンバルブ、及び、コネクティングロッドなどα+β型チタン合金製部品の長軸方向のヤング率を高める製造方法に関して鋭意検討した。その結果、α+β型チタン合金を、β相が単相となる温度域加熱した後に一方向に熱間圧延した板を、熱間圧延方向と厚み方向の双方に垂直な方向(以下「幅方向」ともいう)を、完成部品において高剛性が要求される方向となるように加工することによって、従来の丸棒素材から加工したα+β型チタン合金製部品よりも、軸方向のヤング率が高くなることを見出した。
より具体的には、ボルト、エンジンバルブ、及び、コネクティングロッドを製造する場合には、板の幅方向を、ボルト、エンジンバルブ、及び、コネクティングロッドの軸方向となるように加工することによって、従来の丸棒素材から加工したボルト、エンジンバルブ、及び、コネクティングロッドよりも、軸方向のヤング率が高くなることを見出した。
上記の製造方法によって得られるボルト、エンジンバルブ、及び、コネクティングロッドなどのα+β型チタン合金製部品は、長手軸方向に垂直な断面で測定したチタンα相(hcp)の各結晶面からのX線回折強度が、従来の丸棒素材から加工したものと異なり、(0002)面からのX線回折強度が、(10−10)面と(10−11)面からのX回折強度の和以上であることがわかった。
本発明は、上述の知見、さらに、より廉価な組成で安定した材質特性を得ることができる本発明の製造方法に適したα+β型チタン合金の組成を見出したことに基づきなされたものである。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)α+β型チタン合金をβ相単相域に加熱し、続いて、
一方向に熱間圧延を施しチタン合金板とし、その後、
熱間圧延方向及び厚み方向の双方に垂直な方向が、完成部品において高剛性が要求される方向となるように、前記チタン合金板を加工するα+β型チタン合金製部品の製造方法であって、
前記α+β型チタン合金は、質量%で、Al:0.5〜5.5%を含有し、O及びNを合計で0.04〜0.35%含有し、さらに、Fe、Cr、及び、Niのうち1種又は2種以上を合計で0.5〜2.5%含有し、かつ、下記(1)式の値が−2.0〜5.3であり、残部がTi及び不可避的不純物からなり、
前記チタン合金板の加工は、前記α+β型チタン合金製部品の長手軸方向に垂直な断面で測定したチタンα相の(0002)面からのX線回折強度I(0002)、(10−10)面からのX線回折強度I(10-10)、(10−11)面からのX線回折強度I(10-11)が、I(0002)/[I(10-10)+I(10-11)]≧1を満たすように実施する
ことを特徴とするα+β型チタン合金製部品の製造方法。
[Al]+10[O]+10[N]−[Mo]−2.5[Fe]−1.25[Cr]
−1.25[Ni] ・・・(1)式
ここで、[Al]、[O]、[N]、[Mo]、[Fe]、[Cr]、[Ni]は、各々、Al、O、N、Mo、Fe、Cr、Niの濃度(質量%)である。
(2)前記α+β型チタン合金が、さらに、Moを1.0〜3.5%を含有することを特徴とする前記(1)のα+β型チタン合金製部品の製造方法。
)前記完成部品がボルトであり、前記高剛性が要求される方向がボルトの軸方向であることを特徴とする前記(1)又は(2)のα+β型チタン合金製部品の製造方法。
)前記完成部品がエンジンバルブであり、前記高剛性が要求される方向がエンジンバルブの軸方向であることを特徴とする前記(1)又は(2)のα+β型チタン合金製部品の製造方法。
)前記完成部品がコネクティングロッドであり、前記高剛性が要求される方向がコネクティングロッドの軸方向であることを特徴とする前記(1)又は(2)のα+β型チタン合金製部品の製造方法。
)前記チタン合金板の加工が、前記熱間圧延方向と一致する方向に垂直な断面側から圧縮する鍛造加工であること特徴とする前記()のα+β型チタン合金製部品の製造方法。
)α+β型チタン合金製部品において、その長手軸方向に垂直な断面で測定したチタンα相の(0002)面からのX線回折強度I(0002)、(10−10)面からのX線回折強度I(10-10)、(10−11)面からのX線回折強度I(10-11)が、I(0002)/[I(10-10)+I(10-11)]≧1を満たし、
前記α+β型チタン合金が、質量%で、Al:0.5〜5.5%を含有し、O及びNを合計で0.04〜0.35%含有し、さらに、Fe、Cr、及びNiのうち1種又は2種以上を合計で0.5〜2.5%含有し、かつ、前記(1)式の値が−2.0〜5.3であり、残部がTi及び不可避的不純物からなる
ことを特徴とするα+β型チタン合金製部品。
(8)前記α+β型チタン合金が、さらに、Mo:1.0〜3.5%を含有することを特徴とする前記(7)のα+β型チタン合金製部品。
(9)前記α+β型チタン合金製部品が、ボルトであることを特徴とする前記(7)又は(8)のα+β型チタン合金製部品。
(10)前記α+β型チタン合金製部品が、エンジンバルブであることを特徴とする前記(7)又は(8)のα+β型チタン合金製部品。
(11)前記α+β型チタン合金製部品が、コネクティングロッドであることを特徴とする前記(7)又は(8)のα+β型チタン合金製部品。
ここで、α+β型チタン合金とは、室温でα相とβ相の二相で構成されており、α相安定化元素であるAl、O、Nなどと、β相安定化元素であるFe、Cr、Ni、V、Moなどが同時に添加された成分組成を有するチタン合金のことである。α+β型チタン合金の代表例は、Ti−6Al−4V(JISの60種)、Ti−3Al−2.5V(JISの61種)である。
β相単相域とは、この温度以上の高い温度でチタンがβ相単相となる温度域である。Ti−6Al−4Vのβ相単相域、Ti−3Al−2.5Vのβ相単相域は、組成により若干差があるものの、各々、約990℃以上、約935℃以上の温度域である。
一方向の熱間圧延とは、90°クロスする方向へ熱間圧延(クロス圧延)することなく、タンデム圧延機、リバース圧延機、ステッケル圧延機などで、単に一方向に圧延を施す熱間圧延のことである。圧延後に再度加熱して、さらに一方向の熱間圧延を複数回施す場合も含むものとする。
α+β型チタン合金の不可避的不純物の例としては、0.08質量%以下のC、0.0150質量%以下のHなどがある。
本発明によれば、複合材料を用いることなく、従来の丸棒素材からの成品に比べて、成品軸方向のヤング率(剛性)が高い二輪・四輪自動車用あるいは自転車用のα+β型チタン合金製部品、α+β型チタン合金製のボルト、及び、コネクティングロッドエンジンバルブが製造できる。
一方向に熱間圧延されたα+β型チタン合金板と、最終部品の方向の関係を示す図である。 加工後の部品において高剛性が要求される長軸方向を示す図であり、(a)はボルト、(b)はエンジンバルブ、(c)はコネクティングロッドである。 コネクティングロッドを鍛造する際に、一方向に熱間圧延されたα+β型チタン合金板と鍛造時に圧縮する方向との関係を示す図である。 本発明により製造したチタン合金製部品の、長手軸方向に垂直な断面で測定したチタンα相の各結晶面からのX線回折強度の大小関係と、I(0002)/[I(10-10)+I(10-11)]の値を示す図である。 従来技術により製造したチタン合金製部品の、の長手軸方向に垂直な断面で測定した、チタンα相の各結晶面からのX線回折強度の大小関係と、I(0002)/[I(10-10)+I(10-11)]の値を示す図である。
α+β型チタン合金製部品が、二輪・四輪自動車用あるいは自転車用のα+β型チタン合金製部品として用いられる場合、チタン合金製部品が細長形状を有する場合には、細長形状の長手方向の高剛性が要求される場合が多い。
ここで細長形状とは、長手方向長さが、幅方向の幅、及び厚み方向の厚みのいずれよりも大きいことを意味するものとする。
チタン合金製部品がボルト、エンジンバルブ、コネクティングロッド、シャフト類(カムシャフト、クランクシャフト、ドライブシャフトなど)、アーム類(ロッカーアーム、アッパーアーム、ロアアームなど)、ペダル類(二輪車のブレーキペダルやギアペダル)、又は、二輪車のフレーム部品のいずれかである場合、完成部品の高剛性が要求される方向は、各部品の長軸方向となる。
以下、本発明の各要素について詳細に説明する。
まず、ボルト、エンジンバルブ、及びコネクティングロッドなどへ加工する素材において、長軸方向になる方向のヤング率を高める方法について説明する。
<製造方法>
チタンのヤング率は、β相に比べてα相の方が高く、α相はhcpの結晶方位によってヤング率に異方性があり、hcpのc軸方向がより高いことが知られている。したがって、α相hcpのc軸を所定の向きに強く配勾させることによって、長軸方向のヤング率を高めることが可能である。
α+β型チタン合金を、β相が単相となる温度域に加熱した後に、板形状へ一方向に熱間圧延すると、熱間圧延方向と厚み方向の双方に垂直な方向、つまり熱間圧延の幅方向に、α相hcpのc軸を強く配向させることができ、その方向のヤング率が125GPa以上へと高まる。
板への一方向の熱間圧延の際に、β相単相の温度域まで加熱しない場合、つまり、低温側であるα+β二相域に加熱した場合には、幅方向、及び圧延方向のヤング率は、高くとも120GPa程度である。
また、ビレットを、低温のα+β二相域又はβ相単相の高温域で加熱し、丸棒へ熱間圧延した場合も、その長手方向のヤング率は、いずれも104〜118GPa程度であり、ほとんどヤング率を高めることができない。
図1に本発明の、一方向に熱間圧延されたα+β型チタン合金板と最終部品の方向の関係を示す。
また、図2の(a)、(b)、(c)に、各々、ボルト、エンジンバルブ、コネクティングロッドの模式図と、高剛性が要求される長軸方向を示す。
以上のことから、本発明の二輪・四輪自動車用あるいは自転車用のα+β型チタン合金製部品の製造方法においては、α+β型チタン合金をβ相単相域に加熱した後に一方向に熱間圧延して得たチタン合金板を加工するとき、図1に示すように、熱間圧延の幅方向を、完成部品において高剛性が要求される方向にすることとする。
また、本発明のボルト、エンジンバルブ、及びコネクティングロッドのそれぞれの製造方法においては、α+β型チタン合金をβ相単相域に加熱した後に一方向に熱間圧延して得たチタン合金板を加工するとき、熱間圧延の幅方向(図1参照)を、各々の部品の長軸方向(図2参照)にして加工することとする。
素材となる一方向に熱間圧延したチタン合金板は、幅方向のヤング率が高い(125GPa以上)ので、これを用いて製造された二輪・四輪自動車用あるいは自転車用の部品、また、ボルト、エンジンバルブ、及びコネクティングロッドも、その長軸方向のヤング率(剛性)が高くなる。
ボルト、エンジンバルブ、コネクティングロッドの形状から、加工用素材となるβ相単相域に加熱した後に一方向に熱間圧延したα+β型チタン合金板は、厚みが5mm以上、さらには10mm以上が好ましい。板厚の下限は、製造する自動車部品の形状から定まる。板厚の上限は、板の切断工程への負荷を小さくする観点から、70mm以下が好ましい。
β相単相域に加熱した後に一方向に熱間圧延するときは、β相単相域で熱間圧延を開始すること(β相単相域で一方向に熱間圧延されること)が好ましく、その後、熱間圧延の進行に伴い、温度の低いα+β二相域で熱間圧延してもよい。
好ましい加熱温度は、加熱時の酸化をできるだけ抑制するために、β相単相となる温度(β変態点)から+10〜+100℃である。
熱間圧延後は、必要に応じて、α+β二相域で焼鈍を施す。焼鈍温度は、歪みを除去し再結晶を促すことから、650〜850℃が好ましい。
熱間圧延後にチタン合金板を熱間鍛造して部品へと成形する場合には、熱間鍛造時の加熱工程が加熱温度に応じて焼鈍と同等な作用をもたらす。
一方向の熱間圧延とは、90°クロスする方向への熱間圧延(クロス圧延)をすることなく、単に一方向に延ばす熱間圧延のことである。なお、使用する熱間圧延機の能力などに鑑みて、一度圧延を施した後に、再度、チタン合金を加熱して、さらに一方向の熱間圧延を複数回施してもよい。
熱間圧延機の種類は、特に限定する必要はない。被圧延材の温度低下を抑制しやすい点から、タンデム圧延機、リバース圧延機、これらが直列した熱間圧延ミル、又はステッケル圧延機を用いることが好ましい。
コネクティングロッドは、素材を鍛造加工して製造するのが最も一般的であり、鍛造加工時の金型への負荷を低減するために、鍛造荷重が低いこと、及び、鍛造後の形状精度が高いことが要求される。
β相単相域に加熱した後に一方向に熱間圧延したα+β型チタン合金板を、その熱間圧延方向の幅方向をコネクティングコッドの軸方向にして、コネクティングロッドに鍛造加工する際には、熱間圧延板の上下面側(厚み方向)から圧縮した場合に比べて、図3に示すように熱間圧延方向と一致する方向に垂直な断面側(T断面側)から圧縮した場合に、鍛造荷重が約10%程度低くなり、鍛造後の形状精度が高くなるので、鍛造後のコーナーR部の形状がよりシャープになる。
これは、α相hcpのC軸の向きが板幅方向に配向している主な結晶方位の他に、板の厚み方向に近い結晶方位が混在しているので、T断面側から圧縮した方が、混在方位のα相hcpがすべり変形しやすいためと考えられる。
このような観点から、本発明のコネクティングロッドの製造方法では、α+β型チタン合金をβ相単相域に加熱した後に一方向に熱間圧延してチタン合金板とした後、チタン合金板の熱間圧延方向の幅方向をコネクティングコッドの軸方向にしてコネクティングロッドを鍛造加工する際に、チタン合金板のT断面側から圧縮するのが好ましい。
このとき、鍛造加工は、β変態点よりも低い温度で実施する必要があり、鍛造荷重を低く抑えるために、200〜850℃の温度域で鍛造加工を施すのが好ましい。
α+β型チタン合金板のヤング率が高い熱間圧延の幅方向を、部品で高剛性が要求される方向とする場合、この板を切削加工すれば、そのままの高ヤング率が維持される。
さらに、鍛造などの塑性変形が付与される場合も、長軸方向の高ヤング率は、高いまま維持される。これは、鍛造の際に、熱間圧延板の上下面側(厚み方向)あるいはT断面側のどちらから圧縮しても、その圧縮方向は、板の幅方向と直交しており、α相hcpのc軸の向きが板の幅方向に配勾している結晶の容易なすべり方向と一致するので、c軸の向きがほとんど変化せず変形することが可能であり、その結果、鍛造加工後も、α相hcpのc軸の板幅方向への集積程度がほとんど低下せずに維持され、ヤング率が高いまま維持されるためと考えられる。
本発明の効果は、α+β型チタン合金であればどのような合金であっても得ることができる。例えば、α+β型チタン合金の代表例である、Ti−6Al−4V、Ti−3Al−2.5Vで本発明の効果が得られる。
その一方で、二輪・四輪自動車用あるいは自転車用の構造部品、具体的にはボルト、エンジンバルブ、コネクティングロッドにおいては、より廉価な組成で、安定した材質特性を得ることが望まれる。
そこで、本発明のα+β型チタン合金の好ましい成分組成は、以下のとおりとする。以下、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<α+β型チタン合金の成分組成1>
本発明のα+β型チタン合金の成分組成1は、Al:0.5〜5.5%を含有し、O及びNを合計で0.04〜0.35%含有し、さらに、Fe、Cr、及びNiのうちFeを含む1種又は2種以上を合計で0.5〜2.5%含有し、かつ、下記(1)式の値が−2.0〜5.3である。
[Al]+10[O]+10[N]−[Mo]−2.5[Fe]
−1.25[Cr]−1.25[Ni] ・・・(1)式
ここで、[Al]、[O]、[N]、[Mo]、[Fe]、[Cr]、[Ni]は、各々、Al、O、N、Mo、Fe、Cr、Niの濃度(質量%)である。
このような組成にすることよって、高価なβ相安定化元素であるVを添加しなくても、熱間圧延板の幅方向のヤング率を、130GPa以上に高めることができる。
上記成分組成1のα+β型チタン合金は、同じ熱間圧延条件でも、Ti−6Al−4VやTi−3Al−2.5Vよりも高いヤング率を得ることができる。これは、Vの添加に比べて、Fe、Cr、Niの添加により、α相hcpのc軸方向のヤング率が高くなる、熱間圧延時にc軸が幅方向に配勾しやすくなる、あるいは、β相のヤング率が高くなるなどの原因が考えられる。
Al:0.5〜5.5%:
Alは、チタンのβ相と比べてヤング率が高いα相を安定化させる元素であり、Alの含有量が0.5%を下まわると、熱間圧延によって容易に幅方向のヤング率を高めることができなくなる。Alの含有量が5.5%を上まわると、熱間の変形抵抗が増加し、熱間圧延時に耳割れなどの割れが生じる場合がある。そこで、Alの含有量は、0.5〜5.5%とする。
O及びNの合計:0.04〜0.35%:
O及びNの含有量が合計で0.35%を超えると、Alなどの元素による固溶強化と相まって材料が硬質化し、穴あけや旋盤などの切削加工性が低下し、生産性が低下する。O及びNの含有量を合計で0.04%未満に低下させるためには、使用する原料の純度を高める必要があり、製造コストが高くなる。そこで、O及びNの含有量は合計で0.04〜0.35%とする。なお、O及びNをいずれも積極的に添加しない場合であっても、通常は、不可避不純物のレベルで、この濃度範囲を満足する。
O及びNは、Al同様にα相を安定化させる元素であるが、Alのように熱間加工性を大きく低下させることなく、α相を安定化し、ヤング率を高くすることができる。ヤング率及び切削性の観点から、O及びNの含有量の合計は、好ましくは、0.12〜0.30%である。O及びNの濃度をこの好ましい範囲にすることによって、O及びNがある程度含まれる、比較的廉価な原料を使用できるようになるので、コストの面で有利になる。
Fe、Cr、及びNiの合計:0.5〜2.5%
これらの元素は、V同様にβ相安定化元素であり、Vに比べて廉価である。しかし、Fe、Cr、Niとも、凝固時に液相側(インゴットの中心)に偏析し易い元素である。これらの元素の含有量の合計が2.5%を超えると、凝固偏析によって、機械的特性の均一性に影響を及ぼす場合がある。そのため、Fe、Cr、Niの含有量の合計は、2.5%以下とする。
上述したように、β相が多く存在する温度域で、一方向に熱間圧延すると、幅方向のヤング率が高くなる。β相が単相となる温度域に加熱した後に一方向の熱間圧延を施す際には、被圧延材の温度は圧延の進行に伴い徐々に低下し、α+β二相域でも熱間圧延が施される。
β相安定化元素であるFe、Cr、Niの合計濃度が0.5%を超えると、熱間圧延中のα+β二相域でβ相が多く存在する温度域が広くなり、よりヤング率を高めるために有利である。
本発明のポイントは、β相を一方向に熱間圧延することであり、熱間圧延されたβ相(bcc)から変態させたα相(hcp)が、幅方向に高いヤング率を付与していると考えられる。
さらに高いヤング率を得るためには、ヤング率が低いβ相の比率を低く抑えることが好ましいので、Fe、Cr、Niの含有量の合計は、1.7%以下が好ましい。
なお、Fe、Cr、Niの中では、Feが最もβ安定化能が高く、また、Feが最も安価であるので、Fe、又は、Feを含む2種以上を添加するのが好ましい。
(1)式の値:−2.0〜5.3:
幅方向のヤング率を高めるためには、一方向に熱間圧延されるβ相と、ヤング率が高いα相とのバランスが重要となる。β相とα相のバランスの指標として、(1)式を用いる。
(1)式は、α相安定化元素(Al,O,N)の各濃度をAl当量(=[Al]+10[O]+10[N])、β相安定化元素(Fe,Cr,Ni)の各濃度をMo当量([Mo]+2.5[Fe]+1.25[Cr]+1.25[Ni])として、各々、規格化・合算し、Al当量からMo当量を引いたものである。
熱間圧延時にβ相を存在させて所望の特性(幅方向の高ヤング率)を得るためには、Fe、Cr、Niの合計濃度は少なくとも0.5%必要であり、かつ、この(1)式の値を−2.0〜5.3の範囲とする必要がある。
(1)式の値が低すぎると、ヤング率が低いβ相の比率が高くなりすぎて高いヤング率が得られないが、(1)式の値が−2.0以上であれば十分に高いヤング率を得ることができる。
一方、(1)式の値が5.3を上まわると、熱間圧延される高温のα+β二相域でβ相の存在比率が低下し、幅方向のヤング率を高める効果が十分には得られない。
ヤング率を高くするためには、(1)式の値は0.5以上が好ましい。
なお、Moを積極的に添加しない組成でも、不可避的にMoが0.002%程度含まれることがある。しかし、これは無視できる量なので、Mo=0として(1)式を用いてよい。
<α+β型チタン合金の成分組成2>
次に、本発明のα+β型チタン合金の成分組成2について説明する。成分組成2は、凝固偏析の影響をより緩和し溶解操業をより容易にするために、Fe、Cr、及びNiとは逆傾向に偏析するβ相安定化元素であるMoをさらに添加し、高強度化を指向した発明である。
Fe、Cr、及びNi0.5〜2.5%:
成分組成1と同様の理由により、Fe、Cr、Niのうち少なくともFeを含む1種又は2種以上を合計で0.5〜2.5%含有する。
Mo:1.0〜3.5%:
Fe、Cr、Ni、及びMoは、いずれもβ相安定化元素である。凝固時に、Fe、Cr、及びNiの濃度が高い部位では、Mo濃度が低くなり、逆に、Fe、Cr、及びNiの濃度が低い部位では、Mo濃度が高くなる。
すなわち、Moの添加によって、α相とβ相のバランス((1)式の値の分布)を、チタン合金内で、より均質にすることができる。
このとき、Fe、Cr、及びNiの合計濃度の下限である0.5%の範囲に呼応する、適正なMo濃度は、1.0%であるので、これをMo添加量の下限とする。また、Fe、Cr、及びNiの合計濃度の上限である2.5%に呼応する適正なMo濃度は、3.5%であるため、これをMo添加量の上限とする。
Al:2.5〜5.5%:
Ti−3Al−2.5Vの引張強度を超える、900MPa以上の引張強度を得るために、Al濃度は、2.5〜5.5%の範囲とする。好ましくは、Ti−6Al−4Vと同等以上の強度特性として980MPa以上の引張強度が得られる、4.0〜5.5%である。
さらに、成分組成1と同様の理由から、O及びNの含有量の合計は0.04〜0.35%、とし、(1)式の値は、−2.0〜5.3の範囲とする。
O及びNをいずれも積極的に添加しない場合であっても、通常は、不可避不純物のレベルでこの濃度範囲を満足する。成分組成1と同様の理由から、好ましい範囲は、O及びNの含有量の合計は、0.12〜0.30%、(1)式の値は、0.5〜5.3である。
<部品成品の結晶方位>
本発明の製造方法で製造されたα+β型チタン合金からなるボルト、コネクティングロッド、及びエンジンバルブは、素材となる一方向に熱間圧延したα+β型チタン合金板の幅方向のヤング率が高いこと(125GPa以上、好ましくは130GPa以上)と、当該チタン合金板の幅方向と部品の長軸方向を一致させるので、部品の長軸方向のヤング率(剛性)も高くなる。
また、本発明の製造方法で製造された二輪・四輪自動車用あるいは自転車用のα+β型チタン合金製部品は、素材となる一方向に熱間圧延したα+β型チタン合金板の幅方向を完成部品において高剛性が要求される方向に一致させるので、完成部品の高剛性が要求される方向のヤング率(剛性)も高くなる。
図4に、本発明による成品A,B、C、及びDにおいて、長手軸方向(高剛性が要求される方向)に垂直な断面(図2の点線位置の断面)で測定した、チタンα相の各結晶面からのX線回折強度の大小関係を示す。合わせて、図中の記号の横に、下記(2)式の値を示す。
I(0002)/[I(10-10)+I(10-11)] ・・・ (2)式
成品A、B、C、及びDは、ともに、hcpの(0002)面からのX線回折強度I(0002)が強く、hcpの(10−10)面と(10−11)面からのX回折強度の和(I(10-10)+I(10-11))よりも大きい、すなわちI(0002)/[I(10-10)+I(10-11)]≧1である。
成品A、B、C、及びDの(2)式の値は、各々、1.2,1.1,4.0,3.3である。
チタンα相hcpの(0002)面は、c軸の垂面であり、(0002)面からのX線回折強度を他の結晶面からのX線回折強度と比較することによって、ヤング率の高いα相hcpのc軸の集積程度を、定量的に比較することができる。
成品の長軸方向に垂直な断面において、I(0002)/[I(10-10)+I(10-11)]≧1である本発明の特徴は、成品の長軸方向にhcpのc軸が強く集積していることを意味する。
一方で、熱間圧延で製造した丸棒を素材にした場合は、熱間圧延の圧延方向と丸棒の長手方向が一致するので、丸棒の長手方向のヤング率は104〜117GPaと低い値となる。その丸棒から加工した成品E、F、G、及びHの、長手軸方向に垂直な断面での各結晶面からのX線回折強度を図5に示す。
成品E、F、G、及びHは、hcpの(0002)面からのX線回折強度I(0002)は弱く、hcpの(10−10)面と(10−11)面からのX回折強度の和(I(10―10)+I(10-11))よりも小さく、I(0002)/[I(10-10)+I(10-11)]<0.2であり、本発明の特徴とは全く異なっている。成品E、F、G、及びHの(2)式の値を、図中の記号の横に示す。
図4、図5に示したX線回折強度の測定は、まず、ボルト、エンジンバルブ、コネクティングロッドの長手軸方向に垂直な断面(図2の点線位置の断面)を機械加工で切り出し、その後、Cu管球を用いて、その断面からのX線回折を測定する。
(2)式の値は、c軸の集積がより強くなるとヤング率が高まるので、好ましくは1.2以上、さらに好ましくは3.0以上である。
さらに、本発明のα+β型チタン合金の成分組成を、上記成分組成1又は成分組成2の範囲にすることで、hcpのc軸の板幅方向への集積が高まり、それに伴い、板幅方向のヤング率が、より高くなる。
本発明のα+β型チタン合金製部品及びその製造方法について、以下の実施例を用いてさらに詳細に説明する。
加工用素材として、表1に示す5種類のα+β型チタン合金製インゴットを、1000〜1150℃で加熱し、熱間鍛造して熱間圧延用のビレット(直径100mm)、あるいはスラブ(厚み150mm)を作製し、その後、表2(A1〜10)と表3(B1〜35)に示す種々条件で熱間圧延し、丸棒、あるいは板を作製した。
さらに、熱間圧延後の丸棒と板には、表2と表3に示す条件で焼鈍を施した。なお、一部は、焼鈍無しの状態である。表2に示した素材は、従来同様に丸棒へ熱間で孔型圧延した加工用素材であり、表3に示した素材は、板へ熱間圧延した加工用素材である。
厚み150mmのスラブを用いた板への熱間圧延は、表3に示す圧下率60〜90%であり、熱間圧延後の厚みは60〜15mmである。表3中の下線は、本発明の範囲から外れていることを示す。表4以降においても同様である。
表1において、Cr:0.03%以下、Ni:0.03%以下、Mo:0.002%以下、N:0.07%以下、及び「−」で表示したものは、積極的にそれら元素を添加しておらず、不可避不純物レベルであることを示す。表6、表8においても同様である。なお、不可避的に含まれるFeの濃度は、0.03〜0.07%程度である。
表2と表3の加工用素材を用いて、切削加工した丸棒、及びそれにネジ山を転造したもの、単に平板で上下から圧縮する熱間鍛造を施したもの、及び、コネクティングロッドを模擬した金型で熱間鍛造したものを作製し、それらの長軸方向のヤング率と、長軸方向に垂直な断面で測定した(2)式の値を、表4と表5に、示す。
さらに、表4と表5には、加工用素材からの規取方向(長軸方向と平行な加工用素材の方向)、切削加工した丸棒の引張強度も示す。
エンジンバルブの軸部を模擬した切削加工した丸棒まま、ボルトを模擬したネジ山転造品、及び、コネクティングロッドを模擬した金型を用いた熱間鍛造品を作製した。
なお、切削加工した丸棒ままと、それにネジ山を転造した後では、引張強度、ヤング率、(2)式の値ともに変化がほとんどなかったので、「丸棒及びネジ山転造後」として一つの値を記載した。
ネジ山の転造は冷間で実施した。
平板で上下から圧縮する熱間鍛造は、加熱温度700℃で、丸棒の直径あるいは板の厚みが50%減じる位置まで押し込んだ。
コネクティングロッドを模擬した金型を用いた熱間鍛造は、メタルフローを容易にするために若干高めの800℃に加熱し、板はその厚み方向から、丸棒はその直径方向から、押し込んだ。
加えて、表5に示す実施例では、平板で上下から圧縮する熱間鍛造は、板の厚み方向から押し込む場合(略記T)と、板の長手方向から押し込む場合(略記L)の両方を実施し、熱間鍛造時の最大荷重の大小関係を比較した。
引張強度は、平行部が直径6.25mmで長さ32mmの引張試験片に加工して室温で引張試験を実施して測定した。
ヤング率は、幅10mm、厚み1.5mm、長さ60mmの試験片を切り出し加工して、室温において自由保持式ヤング率測定装置を用いて共振法によって測定した。
(2)式の値は、長軸方向に垂直な断面を機械加工で切り出し、Cu管球を用いてその断面でX線回折を実施し、チタンα相hcpの(0002)面、(10−10)面、(10−11)面からのX線回折ピークの相対強度を用いて、計算した。
Figure 0004855555
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Figure 0004855555
Figure 0004855555
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表4のV1〜10は、従来のように、熱間圧延で作製した丸棒である表2の加工用素材A1〜10を用いており、いずれの加工品も、ヤング率は、117GPa以下で、(2)式の値は0.15以下と低い。
表4のV11〜24は、β変態点未満の加熱温度で一方向、又はクロス方向に熱間圧延して作製した板である表2の加工用素材B26〜35を用いており、いずれの加工品も、そのヤング率は120GPa以下で、(2)式の値は0.30以下と低く、熱間圧延で作製した丸棒を用いた場合と大差はない。V21〜24は、加工用素材であるB26、B29、B31、B34の板を、板の長手方向(熱間圧延方向)が長軸方向となるように加工品を作製した例である。
表5の実施例(1)、実施例(2)、実施例(3)であるW1〜25は、β変態点を超えるβ相単相域に加熱した後に一方向に熱間圧延して作製した板である、表3の加工用素材B1〜25を用いて、板の幅方向が長軸方向となるように加工品を作製した例である。
いずれの加工品も、そのヤング率は125GPa以上で、(2)式の値は1.0以上と高い。表1のTi−5Al−1FeとTi−5Al−2Fe−3Moを用いた実施例(2)と実施例(3)であるW16〜25は、ヤング率が130〜140GPaとさらに高いことがわかる。
このように、本発明の製造方法によって、α+β型チタン合金製部品の長軸方向のヤング率(剛性)を高めることができ、長軸方向に垂直な断面においてI(0002)/[I(10-10)+I(10-11)]≧1となる特徴を有している。
表5のW26〜30は、加工用素材であるB3、B8、B13、B18、B23の板を、上記実施例とは90°方向が異なる板の長手方向(熱間圧延方向)が長軸方向となるように加工品を作製したもので、加工品のヤング率は120GPaに及ばず、(2)式の値も0.1未満と小さい。
本発明のα+β型チタン合金の成分組成1について、以下の実施例を用いて、さらに詳細に説明する。
表6に示すC1〜21のMoを含有しない成分からなるα+β型チタン合金製インゴットを、熱間鍛造して作製した厚み40mmのスラブを用いて、β変態点を超えるβ相単相域に加熱した後に一方向に熱間圧延して厚み10mmの板(熱間圧延の圧下率75%)を作製した。
その後、熱間圧延した板に、750℃で1時間保持し空冷する焼鈍を施した。
一方向の熱間圧延時には、加熱温度がβ相単相域になるように、(3)式から推定されるβ変態点が970℃〜1019℃のものは1050℃、970℃未満のものは1000℃を加熱温度とした(表6の最右欄を参照)。
表6に示すC1〜21は、Moは添加していないものの、不可避的にMoが0.002%含まれることから、その値を表6に記載した。
推定β変態点(℃)=20.6[Al]−18[Fe]
−16.7[Cr]−16.7[Ni]
−10.3[Mo]+122[O]
+150[N]+895.5・・・(3)式
ここで、[Al]、[Fe]、[Cr]、[Ni]、[Mo]、[O]、[N]は、各々、Al、Fe、Cr、Ni、Mo、O、Nの濃度(質量%)である。
(3)式は、(社)日本鉄鋼協会発行「鉄と鋼」(Vol.75,No.5,1987年)のS−704「電気抵抗率測定法によるチタン合金のβ変態点の決定とβ変態点推定式の確立」に記載されている式を基に、そこに含まれていないNiとNの係数を、各々のTiとの二元系状態図から推定し、加えたものである。
(3)式で求めた推定β変態点は、本発明で規定する成分組成の範囲内の10種以上の素材を対象に、示差熱分析計を用いて、昇温過程で測定したβ変態開始点と、5℃超の差なく、よく一致していた。
表7に、表6の成分からなる上記の手順で作製した加工用素材を用いて、切削加工した丸棒、及びそれにネジ山を転造したもの、及び、単に平板で上下から圧縮する熱間鍛造を施したものを作製し、それらの長軸方向のヤング率と、長軸方向に垂直な断面で測定した(2)式の値を示す。さらに、切削加工した丸棒の引張強度も示す。
引張強度、ヤング率、(2)式の値は、前述の方法と同じ方法で測定した。
ネジ山の転造は冷間で実施した。
平板で上下から圧縮する熱間鍛造は、板の厚み方向から押し込む場合(略記T)と、板の長手方向から押し込む場合(略記L)の両方を実施し、熱間鍛造時の最大荷重の大小関係を比較した。
平板で上下から圧縮する熱間鍛造は、加熱温度700℃で熱間鍛造前の厚みが50%減じる位置まで押し込んだ。
Figure 0004855555
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表7のX1〜18は、成分が表6に示したように本発明の範囲内にあり、これらの加工品は、ヤング率が130〜141GPaと高く、(2)式の値が3以上と大きい。
実施例(2)のうち、X2、X6、X8、X9、X11、X12、X14、X16、及びX18は、O及びNの含有量の合計が0.12〜0.30%、Fe,Cr,及びNiの含有量の合計が0.5〜1.7%、(1)式の値が0.5〜5.3と、好ましい範囲にあり、ヤング率が135GPa以上と、さらに高い値となった。
表5のW16〜20も、成分組成は、表1に示したTi−5Al−1Feであるので、本発明の成分組成1の範囲内であり、ヤング率は135GPa以上で、(2)式の値が3以上と大きかった。
一方、規取方向が板の長手方向(熱間圧延方向)が長軸方向となるように加工品を作製したX22〜25は、成分組成は本発明の成分組成1の範囲内にあるが、規取方向が90°異なるため、加工品のヤング率は120GPaに及ばず、(2)式の値も0.1未満と小さかった。
表7のX19〜21は、本発明の好ましい成分組成である成分組成1及び成分組成2の範囲から外れている表6のC1、C2、C13を用いており、ヤング率は、実施例(2)の130GPaには及ばないが、125〜127GPaと、従来の製造方法(表4の比較例)に比べて十分に高くなった。
表5に示した実施例より、平板で上下から圧縮する熱間鍛造を施したものと、コネクティングロッドを模擬した金型で熱間鍛造したものとで、ヤング率と(2)式の値は、ほとんど差異がない。このことから、表7のX1〜21においても、コネクティングロッドを模擬した金型で熱間鍛造した場合は、平板で上下から圧縮する熱間鍛造を施した場合と同等な特性を有することがわかる。
本発明のα+β型チタン合金の成分組成2について、以下の実施例を用いて、さらに詳細に説明する。
表8に示すD1〜24のMoを添加した成分からなるα+β型チタン合金製インゴットを、熱間鍛造して作製した厚み40mmのスラブを用いて、β変態点を超えるβ相単相域に加熱した後に一方向に熱間圧延して厚み10mmの板(熱間圧延の圧下率75%)を作製した。
その後、熱間圧延した板に、750℃で1時間保持し空冷する焼鈍を施した。
一方向の熱間圧延時には、加熱温度がβ相単相域になるように、(3)式から推定されるβ変態点が970℃〜1021℃のものは1050℃、970℃未満のものは1000℃を加熱温度とした(表8の最右欄を参照)。
表8の成分からなる上記の手順で作製した加工用素材を用いて、切削加工した丸棒、及びそれにネジ山を転造したもの、及び、単に平板で上下から圧縮する熱間鍛造を施したものを作製した。
表9に、それらの長軸方向のヤング率と、長軸方向に垂直な断面で測定した(2)式の値を示す。さらに切削加工した丸棒の引張強度も示す。なお、引張強度、ヤング率、(2)式の値は、前述の方法と同じ方法で測定した。
ネジ山の転造は冷間で実施した。
平板で上下から圧縮する熱間鍛造は、板の厚み方向から押し込む場合(略記T)と、板の長手方向から押し込む場合(略記L)の両方を実施し、熱間鍛造時の最大荷重の大小関係を比較した。
平板で上下から圧縮する熱間鍛造は、加熱温度700℃で熱間鍛造前の厚みが50%減じる位置まで押し込んだ。
Figure 0004855555
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表9のY1〜22は、成分組成が表8に示したように本発明の成分組成2の範囲内にあり、これらの加工品は、引張強度が900MPa以上、ヤング率が130〜140GPaと高く、(2)式の値が3以上と大きかった。
Al濃度が好ましい範囲の4.0〜5.5%であるD5〜20とD22〜24を用いたY5〜22は、その引張強度が980MPa以上と、Ti−6Al−4Vの丸棒を用いた比較例(V1、V2)と同等以上である。
Y1、Y2、Y4〜8、Y11〜14、Y17、Y19、及びY20は、O及びNの含有量の合計が0.12〜0.30%、(1)式の値が0.5〜5.3と、好ましい範囲にあり、ヤング率が135GPa以上と、さらに高くなった。
表5のW21〜25も、成分組成は表1に示したTi−5Al−2Fe−3Moであるので、本発明の成分組成2の範囲内にあり、引張強度が1000MPaを超えて、ヤング率は130GPa以上、(2)式の値が3以上と大きかった。
一方、規取方向が板の長手方向(熱間圧延方向)が長軸方向となるように加工品を作製したY25〜27は、成分組成は本発明の成分組成2の範囲内にあるが、規取方向が90°異なるため、その加工品のヤング率は120GPaに及ばず、(2)式の値も0.1未満と小さかった。
表9のY23及びY24は、成分組成2の成分組成から外れている表7のD3,D21を用いており、そのヤング率は、実施例(2)や実施例(3)のヤング率である130GPaには及ばないが、125〜127GPaと、従来の製造方法(表4の比較例)に比べて十分に高かった。
表9のY1〜24も、表5より、コネクティングロッドを模擬した金型で熱間鍛造した場合は、平板で上下から圧縮する熱間鍛造を施した場合と同等な特性を有することがわかる。
本発明のコネクティングロッドの好ましい製造方法について、コネクティングロッドを模擬した金型を用いて熱間鍛造を行った以下の実施例を用いて、さらに詳細に説明する。
加工用素材として、表6のC17と表8のD14の成分において、真空溶解したインゴットから熱間鍛造してスラブ(厚み150mm)を作製し、その後、1050℃に加熱して圧下率80%の一方向の熱間圧延を施し、板を作製した。
さらに、熱間圧延後の板に、750℃で1時間保持し空冷する焼鈍を施した。
以上の2種類に加えて、表3のB3、B8、B13、B18、及びB23の合計7種類の加工用素材を用いて、コネクティングロッドを模擬した金型による熱間鍛造を行った。
この熱間鍛造は、加工用素材を800℃に加熱して、板の厚み方向から鍛造した場合(略記T)と板の長手方向から鍛造した場合(略記L)を、比較した。コネクティングロッドを模擬した金型で熱間鍛造した加工品は、そのコーナーR部の形状を目視観察した。
表10に、使用した加工用素材、その規取方向、コネクティングロッドを模擬した金型で熱間鍛造した加工品の長軸方向におけるヤング率と、その断面の(2)式の値、コーナーR部の形状、及び、略記Tに対する略記Lのときの熱間鍛造最大荷重の減少率を示す。ヤング率、(2)式の値ともに、前述の方法と同様の方法で測定した。
Figure 0004855555
表10のZ1〜7は、いずれの方向から熱間鍛造した場合も、ヤング率は125GPa以上で、(2)式の値は1.1以上と高い特性を示した。コーナーR部の形状(シャープさ)は、板の厚み方向から鍛造した場合(略記T)の鍛造品でも、従来の丸棒素材を用いた表4のV1〜10と同程度であり問題ないレベル(B)であるが、板の長手方向から鍛造した場合(略記L)の鍛造品はさらにシャープ(A)であった。
熱間鍛造時の最大荷重も、板の長手方向から鍛造した場合(略記L)の方が、9〜14%(約10%)も低かった。
また、表5、表7、表9に示した平板で上下から圧縮する熱間鍛造において、板の厚み方向から押し込んだ場合(略記T)と、板の長手方向から押し込んだ場合(略記L)を比較すると、熱間鍛造時の最大荷重は、いずれも板の厚み方向から押し込んだ場合(略記T)の方が大きかった(表中に「T>L」と記載)。
このことからも、板の長手方向から押し込んだ方(板のT断面側から圧縮する方)が、熱間鍛造時の荷重を低くできることがわかる。
上述のように、本発明の好ましい製造方法によって、熱間鍛造時の荷重を低くし、形状精度を高く、高いヤング率のコネクティングロッドを製造することが可能である。

Claims (11)

  1. α+β型チタン合金をβ相単相域に加熱し、続いて、
    一方向に熱間圧延を施しチタン合金板とし、その後、
    熱間圧延方向及び厚み方向の双方に垂直な方向が、完成部品において高剛性が要求される方向となるように、前記チタン合金板を加工するα+β型チタン合金製部品の製造方法であって、
    前記α+β型チタン合金が、質量%で、Al:0.5〜5.5%を含有し、O及びNを合計で0.04〜0.35%含有し、さらに、Fe、Cr、及び、Niのうち1種又は2種以上を合計で0.5〜2.5%含有し、かつ、下記(1)式の値が−2.0〜5.3であり、残部がTi及び不可避的不純物からなり、
    前記チタン合金板の加工は、前記α+β型チタン合金製部品の長手軸方向に垂直な断面で測定したチタンα相の(0002)面からのX線回折強度I(0002)、(10−10)面からのX線回折強度I(10-10)、(10−11)面からのX線回折強度I(10-11)が、I(0002)/[I(10-10)+I(10-11)]≧1を満たすように実施する
    ことを特徴とするα+β型チタン合金製部品の製造方法。
    [Al]+10[O]+10[N]−[Mo]−2.5[Fe]−1.25[Cr]
    −1.25[Ni] ・・・(1)式
    ここで、[Al]、[O]、[N]、[Mo]、[Fe]、[Cr]、[Ni]は、各々、Al、O、N、Mo、Fe、Cr、Niの濃度(質量%)である。
  2. 前記α+β型チタン合金が、さらに、Moを1.0〜3.5%を含有することを特徴とする請求項に記載のα+β型チタン合金製部品の製造方法。
  3. 前記完成部品がボルトであり、前記高剛性が要求される方向がボルトの軸方向であることを特徴とする請求項1又は2に記載のα+β型チタン合金製部品の製造方法。
  4. 前記完成部品がエンジンバルブであり、前記高剛性が要求される方向がエンジンバルブの軸方向であることを特徴とする請求項1又は2に記載のα+β型チタン合金製部品の製造方法。
  5. 前記完成部品がコネクティングロッドであり、前記高剛性が要求される方向がコネクティングロッドの軸方向であることを特徴とする請求項1又は2に記載のα+β型チタン合金製部品の製造方法。
  6. 前記チタン合金板の加工が、前記熱間圧延方向と一致する方向に垂直な断面側から圧縮する鍛造加工であること特徴とする請求項に記載のα+β型チタン合金製部品の製造方法。
  7. α+β型チタン合金製部品において、その長手軸方向に垂直な断面で測定したチタンα相の(0002)面からのX線回折強度I(0002)、(10−10)面からのX線回折強度I(10-10)、(10−11)面からのX線回折強度I(10-11)が、I(0002)/[I(10-10)+I(10-11)]≧1を満たし、
    前記α+β型チタン合金が、質量%で、Al:0.5〜5.5%を含有し、O及びNを合計で0.04〜0.35%含有し、さらに、Fe、Cr、及びNiのうち1種又は2種以上を合計で0.5〜2.5%含有し、かつ、下記(1)式の値が−2.0〜5.3であり、残部がTi及び不可避的不純物からなる
    ことを特徴とするα+β型チタン合金製部品。
    [Al]+10[O]+10[N]−[Mo]−2.5[Fe]−1.25[Cr]
    −1.25[Ni] ・・・(1)式
    ここで、[Al]、[O]、[N]、[Mo]、[Fe]、[Cr]、[Ni]は、各々、Al、O、N、Mo、Fe、Cr、Niの濃度(質量%)である。
  8. 前記α+β型チタン合金が、さらに、Mo:1.0〜3.5%を含有することを特徴とする請求項に記載のα+β型チタン合金製部品。
  9. 前記α+β型チタン合金製部品が、ボルトであることを特徴とする請求項7又は8に記載のα+β型チタン合金製部品。
  10. 前記α+β型チタン合金製部品が、エンジンバルブであることを特徴とする請求項7又は8に記載のα+β型チタン合金製部品。
  11. 前記α+β型チタン合金製部品が、コネクティングロッドであることを特徴とする請求項7又は8に記載のα+β型チタン合金製部品。
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