JP5010309B2 - 高強度チタン合金製冷間鍛造用素材 - Google Patents

高強度チタン合金製冷間鍛造用素材 Download PDF

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Description

本発明は、引張強さが700MPa以上の高強度を有する、棒線に代表される円柱形を成すチタン合金製冷間鍛造用素材に関する。なお、この冷間鍛造用素材は、冷間鍛造工程において素材円柱形の高さ方向に圧縮加工が加わるものである。
ボルトやナットなどのファスナー類、自動車などのエンジン部品例えばバルブリテーナなどの部品は、軽量且つ高強度が要求されることから、チタン合金が適している。使用部位によって異なるもののチタンを使用して軽量化メリットを得るためには、低くとも700MPa、好ましくは750MPa以上の引張強さが求められている。代表的なα+β型チタン合金として、Ti−3Al−2.5VやTi−6Al−4Vがあるが、比較的高価な元素であるVを多量に含有していることから、決して廉価ではない。
これに対して、AlもVも含有せず、比較的廉価な強化元素として、Fe,O,N等を含有したチタン合金が、特許文献1,特許文献2,特許文献3で提案されている。以降、[Fe]はFe含有量(質量%)、[O]はO含有量(質量%)、[N]はN含有量(質量%)を意味する。
特許文献1に記載の発明は、Feの含有量が0.1〜0.8質量%で、酸素等価量([O]+2.77「N」+0.1[Fe])が0.35〜1.0となるようにOとNの含有量(質量%)を調整し、さらにα+β二相等軸組織またはラメラー相状微細組織とすることによって、65kgf/mm2(637MPa)以上の引張強さとしたものである。特許文献1の図1と図2より、横軸の酸素等価値が約0.42以上で、引張強さは700MPa以上となり、その全伸びは約22〜25%以下である。
特許文献2に記載の発明は、Feの含有量を0.9〜2.3質量%、Nの含有量を0.5質量%以下として、酸素等価量([O]+2.77「N」+0.1[Fe])が0.34〜1.00となるようにOの含有量を調整することによって、引張強さが700MPa以上で且つ伸びが15%以上の高強度・高延性とするものである。特許文献2の図1と図2より、横軸の酸素等価値が0.34以上で、引張強さは700MPa以上となり、その全伸びは約25〜27%以下である。さらに、引張強さが750MPa以上で全伸びは約25%以下、引張強さが850MPa以上で全伸びは15%以下になる。また、Fe含有量の一部をNi,Crで置換したものもある。
特許文献3に記載の発明は、Oを0.2〜0.8質量%、Cを0.01〜0.15質量%、Nを0.01〜0.07質量%、Feを0.3〜1.0質量%含有することによって、引張強さを750MPa以上とするものである。さらに、FeをNi,Crで置換したものもある。特許文献3の表1の実施例から、直径20mmの丸棒にて引張強さは753MPa以上で伸び(全伸び)は23.5%以下である。
特開平1−252747号公報 特許第3426605号公報 特開2004−269982号公報
上述した部品類の多くは、高強度であるとともに、冷間鍛造によって創形されるため冷間鍛造性をも併せ持つことが要求される。冷間鍛造性のひとつは、所定の形状を得るための変形能を有することであり、この変形能は、材料の延性に呼応する他に、すべり変形方向が限定される稠密六方晶(以降、hcp)を有するチタンα相においてはhcpの集積方位の影響を受ける。なお、強化元素を添加したチタンα相では、軟質な工業用純チタンJIS1種やJIS2種のような双晶変形はほとんど起きず、すべり変形のみに限定される。
また、実際の部品製造では、高い材料歩留を維持するために、冷間鍛造によるメタルフローの等方性が、変形能以上に冷間鍛造性の重要な因子となる。例えば、円柱形を成す素材を高さ方向に冷間鍛造したとき、円柱形底面(円形)の半径方向へのメタルフローに着目すると、メタルフローが等方的ならば材料は相似的に円形断面を維持したまま変形する。しかし、等方的でなく半径方向によってメタルフローに差異がある場合には、図1に示すように相似形の円形断面ではなく楕円形や角形になってしまう。そのために、冷間鍛造によって得ようとしている所定の形状に対して、メタルフローが不足したり、反対に部分的にオーバーフローしたり、材料歩留を低下させてしまう。
特許文献1,特許文献2,特許文献3は、廉価な強化元素を含有し700MPa以上の引張強さとある程度の延性(引張の全伸び)を有するものの、実際の成形部品を得るために施される冷間鍛造においては、円柱形素材をその高さ方向に冷間鍛造すると、成形形状によっては上述したような冷間鍛造性(変形能、メタルフローの等方性)が不十分な場合があり、課題である。
そこで、本発明は、円柱形を成す冷間鍛造用素材であり、廉価な強化元素の添加によって700MPa以上の引張強さを有し、且つより優れた冷間鍛造性(変形能、メタルフローの等方性)を有することを特徴とする円柱形の高さ方向に圧縮加工が加わる高強度チタン合金製冷間鍛造用素材を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)質量%で、Feを0.5〜1.3%、Nを0.001〜0.05%、Cを0.001〜0.15%、Oを[1]式の酸素等価量Qが0.34〜0.55となる範囲で含有し、残部がTiおよび不可避的不純物からなる円柱形を成す冷間鍛造素材であり、且つチタンα相の各結晶面からのX線回折強度Iが、[2],[3],[4],[5]式の関係にあり、引張強さが700MPa以上であることを特徴とする冷間鍛造工程において円柱形の高さ方向に圧縮加工が加わる高強度チタン合金製冷間鍛造用素材。
酸素等価量Q=[O]+2.77[N]+0.086[Fe] ・・・[1]式
ここで、[O]はO含有量(質量%)、[N]はN含有量(質量%)、[Fe]はFe含有量(質量%)である。
円柱形のL断面において測定したX線回折強度Iの大小関係が、
I(0 0 0 2)>I(1 0 −1 0) ・・・[2]式
I(0 0 0 2)>I(1 0 −1 1) ・・・[3]式
円柱形のT断面において測定したX線回折強度Iの大小関係が、
I(1 0 −1 0)>I(0 0 0 2) ・・・[4]式
I(1 0 −1 0)>I(1 0 −1 1) ・・・[5]式
ここで、I(0 0 0 2)、I(1 0 −1 0)、I(1 0 −1 1)は、各々、稠密六方晶であるチタンα相の(0 0 0 2)面、(1 0 −1 0)面、
(1 0 −1 1)面からの回折強度である。なお、L断面とは円柱形素材の高さ方向に平行な長方形を成す断面であり、T断面とは円柱形素材の高さ方向に直交する円形を成す断面である。
(2)請求項1の高強度チタン合金製冷間鍛造用素材において、直径が16mm以下の冷間ヘッダー加工用のチタン合金棒線。
ここで、上記の円柱形を成す冷間鍛造用素材のL断面とT断面とは、具体的には図2に示す断面である。図2の(a),(b)が、各々、L断面とT断面に対応する。
本発明によって、円柱形を成す冷間鍛造用素材において、廉価な強化元素の添加によって700MPa以上、さらには750MPa以上の引張強さを有し、且つより優れた冷間鍛造性(変形能、メタルフローの等方性)を有することを特徴とする円柱形の高さ方向に圧縮加工が加わる高強度チタン合金製冷間鍛造用素材を提供できる。これによって、軽量且つ高強度なチタン合金製冷間鍛造製部品を、従来よりも高い材料歩留を維持し且つ廉価に製造することができる。
本発明者らは、廉価な強化元素であるFe,O,N,Cの添加とチタンα相(hcp)の結晶方位制御によって、700MPa以上の引張強さとより優れた冷間鍛造性(変形能、メタルフローの等方性)を兼ね備えた円柱形を成す高強度チタン合金製冷間鍛造用素材について鋭意研究を重ねた。その結果、Fe,O,N,Cの含有量と上述の[1]式の酸素等価量Qによって700MPa以上の引張強さを確保し、Fe含有量を0.5〜1.3質量%とすることによって多くのすべり系を有する体心立方晶(以降 bcc)からなるβ相をある程度存在させるとともに、主な相であるα相(hcp)の集積結晶方位をそのすべり系と冷間鍛造方向を考慮して上述の[2],[3],[4],[5]式のように制御することによって、従来よりも優れた冷間鍛造性(変形能、メタルフローの等方性)が得られることを見出した。
以下に本発明の各要素の設定根拠について説明する。
まず、Fe,N,O,Cを含有した高強度チタン合金において、α相(hcp)の集積結晶方位を制御することによって冷間鍛造性を向上できることについて説明する。
冷間鍛造素材となる円柱形試料のL断面とT断面からのX線回折強度の大小関係が、図3のパターンの場合には、高さ方向に圧縮した際のメタルフローの等方性が非常に良好であり、且つ材料強度の上昇に伴う変形能の低下が抑制される。直径10.5mmで高さ7mmの円柱形試料を用いて高さ方向に圧縮すると、圧縮後の長径と短径の差が、3.5mm圧縮時に0.5mm以下、4.5mm圧縮時に0.65mm以下と小さく、これは圧縮後の平均直径に対して±1.6%以下に相当する。ここで、図1に示したように、高さ方向に圧縮した後、図1(b)の斜線断面部の直径をノギスで測定し、最大値を長径、最小値を短径とした。後述するが、変形能に対応する限界据え込み率は、所定の成分範囲においては材料強度が上昇しても70%以上を維持できる。
なお、図3のパターンにおいて、相対的な強度比に多少違いがあっても、上述の[2],[3],[4],[5]式の大小関係を満たすものであれが、上述の優れた冷間鍛造性を成し得た。
上記の冷間鍛造性に優れる理由は、以下の通りである。図3のパターンは、hcpのC軸が円柱形を成す冷間鍛造用素材の円周方向に多く揃っていると解釈できる。hcpのすべり方向はhcpのC軸に直交することが知られている。円柱形素地を高さ方向に圧縮したとき、図3のパターンはα相(hcp)のすべり方向が半径方向に多く揃っており、円柱形の半径方向にすべり変形が起きやすいためである。
一方、図4のパターンの場合には、同様に円柱形試料を高さ方向に圧縮すると、長径と短径の差が、3.5mm圧縮時に0.6mm以上、4.5mm圧縮時に1mm以上と大きく、これは圧縮後の平均直径に対して±2〜2.7%以上に相当する。冷間鍛造ままの形状で使用することを想定すると、1mmにも及ぶ差異は製品精度としては不十分である。また、変形能に対応する限界据え込み率は、材料強度の上昇に伴いこれに呼応して低下する傾向にある。このように、図4のパターンの場合には、十分な高い冷間鍛造性を確保できなくなる。図4のパターンは、hcpのC軸が円柱形の半径方向に多く揃っていることを示しており、この場合、高さ方向に圧縮した際に半径方向に材料がフローできるすべり系が極めて少ないためである。
ここで、図3、図4は、円柱形試料のL断面とT断面において、チタンα相(hcp)の各面からのX線回折強度を相対強度で図示したもので、X線回折測定にはCu管球を用いた。また、以上のhcp集積方位による冷間鍛造性の違いは、焼鈍温度が750℃と800℃の両方で同様であり、焼鈍温度の影響は極めて小さかった。
なお、上述の圧縮試験に用いた円柱形試料は、種々条件(温度、加工率、圧下スケジュールなど)にて熱間圧延した棒線を、または更に冷間伸線を加えた棒線を焼鈍した素材から、機械加工して作製した。
以上のことから、図3のパターンの大小関係において、優れた冷間鍛造性を有することから、本発明の請求項1では[2],[3],[4],[5]式の大小関係を満たすものとする。
また、図3のパターン([2],[3],[4],[5]式の関係)を満たす素材は、L断面とT断面のビッカース硬さに差があり、L断面の方がT断面よりも約10〜30ポイント大きいといった特徴を有する。これは、α相のhcp底面が集積している面ほど硬いことから、図3のようなhcpの方位集積を現した結果である。
図3の特徴を有する棒線は、棒線を熱間圧延する際に圧延後段に740〜840℃の温度域で断面減少率が50%以上の加工が施されており、仕上げ圧延に相当する圧延後段において比較的狭い温度範囲である程度大きな加工量の棒線圧延を実施することが重要である。一方、図4に代表される図3とは異なるパターンを有する棒線は、温度域が上記範囲を外れているか断面減少率が小さいかのいずれかであった。
次に、図3のパターン([2],[3],[4],[5]式の関係)を満たすものにおいて、本発明の成分範囲について説明する。
Feはbccであるチタンβ相を安定化させる置換型元素である。bccはhcpに比べて多くのすべり系を有することから冷間加工性の改善に寄与する。冷間鍛造性を向上させるためには、Fe含有量は0.5質量%以上が必要である。なお、より冷間鍛造性を安定して高めることから、Fe含有量は0.8質量%を超えるものが好ましい。
一方、Feは凝固時に偏析しやすいことから、多量に含有すると、成分偏析によって冷間鍛造時のメタルフローの等方性が損なわれる場合がある。冷間鍛造時の等方的なメタルフローを確保する観点から、従来と同等以上にFe偏析に留意する必要があり、本発明ではFe含有量を1.3質量%以下とする。
高強度化のために、N,O,Cの含有量を増すと、α相(hcp)の集積方位が図3のパターン([2],[3],[4],[5]式の関係)を満たすものであっても、ある含有量を超えると、強度の上昇に呼応して冷間鍛造性が低下してしまう。本発明では図3の大小関係にあるα相の方位集積とすることによって、高さ方向の圧縮に対してα相のすべり変形が容易になるようにしており、高強度化に伴う変形能の低下を補っている。しかし、本発明の含有量の範囲を超えると、変形能の低下の方が支配的となり、α相の結晶方位集積による効果では不十分となるためである。以上のことから、引張強さ700MPa以上で且つ上述のような優れた冷間鍛造性が得られる成分範囲として、本発明の請求項1では、質量%で、Feを0.5〜1.3%、Nを0.001〜0.05%、Cを0.001〜0.15%、Oを[1]式の酸素等価量Qが0.34〜0.55となる範囲で含有することとした。好ましくは、より高強度であっても優れた冷間鍛造性が維持されることから、質量%で、Feの含有量が0.8%を超え1.3%以下で、Nを0.001〜0.04%、Cを0.001〜0.05%、Oを[1]式の酸素等価量Qが0.37〜0.5となる範囲とする。
なお、本発明のチタン合金は通常の純チタンまたはチタン合金と同様に、H,Ni,Cr,Mo,Mn,Si,S等を不可避的に含有するが、その含有量は一般的には各々0.05質量%未満である。但し、本発明の効果を損なわない限り、その含有量は0.05質量%未満の限りではない。
また、α相を本発明の集積方位にすることによって、円柱形素材の高さ方向に引張試験を実施した場合、その全伸びは25〜30%以上と従来(特許文献1,2,3)よりも高位に位置する。本発明の成分範囲において、焼鈍状態で引張強さは700MPa以上さらに750MPaを超え850MPa程度までは高められるが、それでも全伸びは25〜30%を維持できており、本発明によって高強度化に伴う伸びの低下を抑制できる。
冷間鍛造の際に金型にかかる許容荷重は、金型の材質から限界がある。円柱形をなす冷間鍛造用素材の直径を16mm以下に限定することによって、金型への負荷荷重を小さくすることができ、金型材質および鍛造形状の両自由度が増し、本発明の効果を最大限に活かすことができる。また、冷間鍛造のうち冷間ヘッダー加工は、棒線素材からの連続加工であるため生産性が非常に高い。その一方で、変形の均一性、変形の安定性、発生するバリの大きさなど、素材に対してより高いレベルが要求される。以上の点から、本発明の請求項2では、請求項1の高強度チタン合金製冷間鍛造用素材において、直径が16mm以下の冷間ヘッダー加工用のチタン合金棒線とする。
本発明を、以下の実施例を用いて詳細に説明する。
表1に、実施例である棒線の、成分(Fe,O,N,C)、酸素等価量Q([1]式)、α相のhcp各結晶面からのX線回折強度の大小関係([2]〜[5]式)、断面ビッカース硬さ(L断面とT断面およびその差)を示す。表2に、その引張強さ、全伸び、円柱形素材の限界据え込み率、長径と短径の差を示す。
Figure 0005010309
Figure 0005010309
表1に示す実施例は、インゴットを熱間鍛造、熱間圧延して、直径13mmに加工した棒線を、750℃で焼鈍した。X線回折強度はCu管球を用いて測定した。断面ビッカース硬さは、荷重9.8Nで断面内を表面から1mm間隔で全直径範囲を測定し、その平均値を求めた。引張強さと全伸びは、平行部が直径6.25mm、長さが32mmに加工した試験片を用いて、標点間距離25mmで引張試験を行い測定した。
限界据え込み率は、加工した直径10.5mmで高さ7mmの円柱形素材で用いて、高さ方向に圧縮量を0.5mm間隔で変えて圧縮した後、その表面を肉眼で観察して割れの有無を評価した。円柱形を高さ方向に圧縮した後の長径と短径の差は、加工した直径10.5mmで高さ7mmの円柱形素材を、圧縮量3.5mmと4.5mmで高さ方向に圧縮した後にノギスを用いて測定した。なお、圧縮量4.5mmの場合、一部は限界据え込み率を超えて圧縮後に割れが観察されたため、長径と短径の測定を行わなかった。
発明例である試料No.3−1,4,5,6,7−1,8,9,10−1,11,12,13−1,14,15−1は、引張強さが700MPa以上で限界据え込み率が70%以上と高く、長径と短径の差は3.5mm圧縮時に0.5mm以下、4.5mm圧縮時に0.65mm以下と極めて小さく、メタルフローの等方性も良好である。なお、成分が、上述した好ましい範囲(質量%でFeが0.8%を超え1.3%以下、Nが0.001〜0.04%、Cが0.001〜0.05%、Oを[1]式の酸素等価量Qが0.37〜0.5)で、且つ、X線回折強度の大小関係が[2]〜[5]式の関係を満たす試料No.6,7−1,8,9,10−1,11,12は、その引張強さが750MPa以上とより高く、冷間鍛造性も非常に良好である。
Qが0.3と本発明の下限を切っている試料No.1は引張強さが700MPaに満たない。試料No.2は、Qが0.43で引張強さが776MPaであるが、Feが0.34質量%と本発明の下限値を外れており、限界据え込み率が64.3%と、同等の引張強さを有する発明例(試料No.7−1,8,9)に比べて低い。一方で、N,C,Qが本発明の上限を超えている試料No.16−1,16−2,17は、X線回折強度の大小関係が本発明の条件を満たしていても、限界据え込み率が50%と低く、冷間鍛造性が良好ではない。
成分が本発明の範囲内であっても、X線回折強度の大小関係が[2]〜[5]式を満たしていない試料No.3−2,7−2,10−2,13−2,15−2は、同じ成分の本発明例(No.3−1,7−1,10−1,13−1,15−1)に比べて、限界据え込み率が低く、長径と短径の差は3.5mm圧縮時に0.6mmを、4.5mm圧縮時に1mmを越えている。
ここで、X線回折強度の大小関係が本発明の条件を満たしている試料No.3−1,4,5,6,7−1,8,9,10−1,11,12,13−1,14,15−1は、棒線の熱間圧延の際に、その圧延後段に740〜840℃の温度域で断面減少率が50%以上の加工が施されており、一方、X線回折強度の大小関係が本発明の条件を満たしていない試料No.3−2,7−2,10−2,13−2,15−2は、温度域が上記範囲を外れているか断面減少率が小さいかのいずれかであった。
本発明について、以下の実施例を用いて更に詳細に説明する。
表3と表4に、表1の試料No.6および試料No.9と同じ成分組成である種々棒線において、その加工・焼鈍工程とその特性を示す。試料No.A−1〜A−4は試料No.6と、試料No.B−1〜B−8は試料No.9と同じ成分である。表3に、各々の加工・焼鈍工程、X線回折強度の大小関係、断面ビッカース硬さを、表4に、その引張強さ、全伸び、冷間鍛造性を示す。
Figure 0005010309
Figure 0005010309
ここで、伸線率が62%の線材はその直径が8mmである。そのため、引張試験には平行部の直径が4mmの引張試験片を用いた。また、冷間鍛造性(限界据え込み率、メタルフローの等方性)の評価には、直径7.5mm、高さ5mmの円柱形試験片を用いており、この形状は他の太い棒線を評価した試料(直径10.5mm、高さ7mm)と相似形である。
なお、長径と短径の差は、[実施例1]と同様に、高さを50%圧縮した後(直径10.5で高さ7mmの試験片は3.5mm圧縮、直径7.5mmで高さ5mmの試験片では2.5mm圧縮)、および高さ約64%圧縮した後(直径10.5で高さ7mmの試験片は4.5mm圧縮、直径7.5mmで高さ5mmの試験片では3.2mm圧縮)に測定した。
表4に示したように、本発明の範囲にある試料No.A−1,A−2およびNo.B−1,B−2,B−3,B−4は、引張強さが750MPa以上と高く、限界据え込み率が78%以上、長径と短径の差が高さ50%圧縮後で0.5mm以下、高さ約64%圧縮後は0.65mm以下である。これに対して、同一の成分であっても、X線回折強度の大小関係が本発明の条件を満たしていない試料No.A−3,A−4およびNoB−5,B−6,B−7,B−8は、限界据え込み率が約64%と低く、長径と短径の差が大きい。なお、直径が8mmと小さい棒線である試料No.B−4とB−8は、他と比較して長径と短径の差が小さい値である。これは圧縮試験を実施した試験片のサイズが小さいためである。長径と短径の差(絶対値)そのものも発明例である試料No.B−4の方が小さいが、圧縮後の平均直径に対する比率で比較すると、発明例である試料No.B−4は±1.5%、比較例である試料No.B−8は±2.4%であり、各々、他の発明例、他の比較例と同程度の値である。ここで、X線回折強度の大小関係が本発明の条件を満たしている試料No.A−1,A−2およびNo.B−1,B−2,B−3,B−4は、棒線の熱間圧延の際に、その圧延後段に740〜840℃の温度域で断面減少率が50%以上の加工が施されており、一方、X線回折強度の大小関係が本発明の条件を満たしていない試料No.A−3,A−4およびNoB−5,B−6,B−7,B−8は、温度域が上記範囲を外れているか断面減少率が小さいかのいずれかであった。
以上のように、本発明の範囲にあれば、棒線の加工および焼鈍の工程の違いによらず、高い引張強さと優れた冷間鍛造性を示しており、本発明の効果が得られている。
円柱形素材を高さ方向に圧縮した場合の長径と短径を説明する図である。 円柱形素材のL断面とT断面を示す図である。 円柱形素材のL断面とT断面におけるチタンα相の各結晶面からのX線回折強度の大小関係を示す図である。 円柱形素材のL断面とT断面におけるチタンα相の各結晶面からのX線回折強度の大小関係を示す図である。

Claims (2)

  1. 質量%で、Feを0.5〜1.3%、Nを0.001〜0.05%、Cを0.001〜0.15%、Oを[1]式の酸素等価量Qが0.34〜0.55となる範囲で含有し、残部がTiおよび不可避的不純物からなる円柱形を成す冷間鍛造素材であり、且つチタンα相の各結晶面からのX線回折強度Iが、[2],[3],[4],[5]式の関係にあり、引張強さが700MPa以上であることを特徴とする冷間鍛造工程において円柱形の高さ方向に圧縮加工が加わる高強度チタン合金製冷間鍛造用素材。
    酸素等価量Q=[O]+2.77[N]+0.086[Fe] ・・・[1]式
    ここで、[O]はO含有量(質量%)、[N]はN含有量(質量%)、[Fe]はFe含有量(質量%)である。
    円柱形のL断面において測定したX線回折強度Iの大小関係が、
    I(0 0 0 2)>I(1 0 −1 0) ・・・[2]式
    I(0 0 0 2)>I(1 0 −1 1) ・・・[3]式
    円柱形のT断面において測定したX線回折強度Iの大小関係が、
    I(1 0 −1 0)>I(0 0 0 2) ・・・[4]式
    I(1 0 −1 0)>I(1 0 −1 1) ・・・[5]式
    ここで、I(0 0 0 2)、I(1 0 −1 0)、I(1 0 −1 1)は、各々、稠密六方晶であるチタンα相の(0 0 0 2)面、(1 0 −1 0)面、(1 0 −1 1)面からの回折強度である。なお、L断面とは円柱形素材の高さ方向に平行な長方形を成す断面であり、T断面とは円柱形素材の高さ方向に直交する円形を成す断面である。
  2. 請求項1の高強度チタン合金製冷間鍛造用素材において、直径が16mm以下の冷間ヘッダー加工用のチタン合金棒線。
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