JP5929251B2 - 鉄合金 - Google Patents

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Description

本発明は、高強度で高延性な鉄合金に関する。
構造部材の多くは鉄系材料により形成されている。鉄系材料は、その仕様に応じて、成分が調整され、適当な熱処理や加工等が施されることにより、所望の強度や延性を発揮する。もっとも鉄系材料(特に鉄鋼材料)は、通常、強度と延性が背反関係にあり、両者を高次元で両立させものは殆どなかった。
特開2003−268501号公報
例えば、高強度な鉄系材料として周知のマルエージング鋼(Fe−Ni−Co−Mo−Ti系合金)は、加工と熱処理を加えることにより、2000MPaを超える高強度(最大引張強さ:UTS)を発揮する。しかし、その場合の延性(塑性変形能)は10%以下に過ぎない。延性を20%以上にするためには、強度を1500MPa程度まで低下させなければならない。マルエージング鋼の場合、熱処理してできた微細析出物による転位運動抑制効果を利用して高強度化を図っている。これに強加工を加えると、転位が集積して微視的な亀裂が生じ、それが巨視的な亀裂へと成長して、破壊し易くなるため、延性の低下は避けがたかった。このように従来の高強度材では、強度が向上するにつれて、延性が低下する傾向にあった。
また特許文献1には、Fe−Ni−Al系合金からなる形状記憶合金が開示されている。形状記憶合金は、一般的に変態点以上で形状回復や超弾性を生じ、高延性を発揮する。しかし、その強度は必ずしも高くない。実際、特許文献1にあるFe−Ni−Al系合金でも、マルテンサイト組織を得る溶体化処理後の引張強さが、高々700MPa程度に留まっている。
なお、特許文献1には、1質量%以下のCを含有させることにより、Fe−Ni−Al系合金のMsが低下し、Ni量を低減させつつ形状記憶特性を向上させ得る旨が記載されている。しかし、そのような実施例は特許文献1に全く開示されておらず、C量と強度および延性との関係についても何ら言及されていない。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、従来の鉄系材料とは異なる成分組成からなり、従来の鉄系材料では到達し得なかった高強度と高延性を両立させ得る鉄合金を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、Fe、Ni、AlおよびCを特定の組成範囲に調整した素材に、適切な熱処理や加工を施すことにより、従来の鉄系材料とは格段に異なる高い強度および延性を発揮する鉄合金を得ることに成功した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《鉄合金》
(1)本発明の鉄合金は、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、炭素(C)および残部が鉄(Fe)と不可避不純物からなる鉄合金であって、Fe、NiおよびAlは、平均価電子濃度(e/a)が7.5〜8.1となる組成範囲内にあり、Cは、全体を100原子%(以下「%」という。)としたときに0.8〜4%であり、オーステナイト組織および冷間加工組織からなることを特徴とする。
(2)本発明の鉄合金によれば、従来の鉄系材料では不可能であった高強度および高延性の両立が可能となる。もっとも本発明の鉄合金が、何故、そのような高強度および高延性を発揮するのかは必ずしも定かではない。本発明者は、現在も、その理由を鋭意解明中である。いずれにしても、そのような高強度および高延性は、Fe、Ni、AlおよびCの必須元素が上述したように狭い組成範囲内にある鉄合金に生じる特異な現象であると考えられる。
《鉄合金の製造方法》
本発明の鉄合金は、その製造方法、加工の程度、熱処理の条件、形態等を問わない。例えば、本発明の鉄合金は、溶製材でも焼結材でもよいし、それらからなる素材に適当な熱処理や加工等が施された中間品でも最終品でもよい。要求仕様に応じて、組成、加工、熱処理等が適宜調整され、それにより所望する高強度および高延性な鉄合金(部材)が得られる。
《その他》
(1)特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として、「a〜b」のような範囲を新設し得る。
(2)本発明の鉄合金は、その高強度および高延性が阻害されない範囲で、上述した必須元素(Fe、Ni、AlおよびC)以外の元素を微量含み得る。例えば、鉄合金は、その特性を改善する元素として、不可避不純物とは別にH、O、Si、N等を微量含み得る。なお、不可避不純物は、原料中に含まれる不純物や各工程時に混入等する不純物などであり、コスト的または技術的な理由等により除去困難な元素である。不可避不純物は通常微量であるが、その具体的な元素や含有量は問わない。
(3)本発明でいう「鉄合金」は、その形態を問わず、例えば、素材(鋳塊、スラブ、ビレット、焼結体、圧延品、鍛造品、線材、棒材、角材、板材、箔材、繊維、織物等)であっても、その加工品(例えば、中間加工品、最終製品等)であっても良い。
(4)本明細書でいう「強度」は、試験片の引張試験により求まる引張破断強さまたは最大引張強さ(UTS)により指標される。また「延性」は、同引張試験により求まる破断伸び(EL)により指標される。また均一伸びも指標の一つである。均一伸びは、塑性不安定が生じるまでの伸びである。塑性不安定条件は、dσ/dε ≦ ε (σ:真応力、ε:真ひずみ)で表されるくびれ開始の条件である。本発明の鉄合金が発揮する強度や延性は、その組成、熱処理、加工履歴等により変化するため、一概に特定することはできない。敢えていうならば、強度は1700MPa以上、1800MPa以上さらには1900MPa以上であると好ましい。また延性は、20%以上、24%以上、さらには28%以上であると好ましい。均一伸びでは、20%以上、22%以上さらには25%以上であると好ましい。
さらに本発明の鉄合金は、強度および延性のいずれか一方ではなく、それらが共に優れる点に大きな特徴を有する。これは、上述した強度(UTS)と延性(EL)の積である強度延性バランス指標値(UTS・EL)により指標される。これも一概には特定できないが、敢えていうならば、強度延性バランス指標値は35000MPa%以上、40000MPa%以上さらには45000MPa%であると好ましい。
試料No.6の引張試験により得られた公称応力−公称ひずみ線図である。 試料No.6の引張試験により得られた真応力(σ)−真ひずみ(ε)線図とdσ/dε−ε線図である。 試料No.6の金属組織を示す光学顕微鏡写真である。 本発明に係る平均価電子濃度により規定される組成範囲の説明図である。
本明細書で説明する内容は、本発明の鉄合金のみならず、その製造方法にも該当し得る。製造方法に関する構成要素は、プロダクトバイプロセスとして理解すれば物に関する構成要素ともなり得る。そして上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《鉄合金の組成》
(1)平均価電子濃度(e/a)
本発明に係る平均価電子濃度(以下、単に「e/a」という。)により、高強度および高延性を発揮し得る本発明の鉄合金を構成する必須金属元素(Fe、NiおよびAl)の組成範囲を規定できる理由は次のように考えられる。FCC構造の相安定はe/aに依存する。e/aは合金元素の価電子を組成で平均化したものであり、相安定と密接な関係にある。後述の適正範囲内において、冷間加工後に高強度化・高延性化に適した相安定性が得られる。
e/aが最適範囲に対して過小になっても過大になっても、鉄合金の高強度と高延性は両立され難くなる。具体的には、e/aは7.5〜8.1さらには7.85〜8.05であると好ましい。後述するように、e/aがこのような範囲となる鉄合金の組成範囲は相当狭い範囲である。
e/aで用いる価数電子数は、最外殻電子(当該元素よりも原子番号が小さい最初の希ガス原子(He、10Ne、18Ar等)の電子軌道より外側の軌道を回る電子)の数である。本明細書では、典型元素のみならず遷移金属についても同様に扱うため、必須金属元素の一原子あたりの価数電子数は次のようになる。
26Feは、電子配置が[Ar]3d4s であるから、その価数電子数は一原子あたり8となる。同様に28Niは、電子配置が[Ar]3d4s であるから、その価数電子数は一原子あたり10となり、13Alは 電子配置が[Ne]3s3P であるから、その価数電子数は一原子あたり3となる。
ここで、鉄合金を構成する総原子数に対する必須金属元素の各原子数の割合をそれぞれ、Ni:x、Al:y、Fe:zとする(0<x、y、z<1)と、e/a=10x+3y+8zとなる。ここで、鉄合金に含まれるCの原子割合をcとし、鉄合金がFe、Ni、AlおよびCの4元素のみからなるとすると、z=1−c−x−yとなり、e/a=2x−5y+8−8cとなる。
α≦e/a≦βとすると、α−8+8c≦2x−5y≦β−8+8cとなる。また本発明は鉄合金に関するものであるから、0.5≦z(つまりx+y≦0.5−c)とすると、NiおよびAlの組成範囲は、図4に示す斜線範囲となる。
本発明の場合、α=7.5、β=8.1、c:0.008〜0.04であることを考慮すると、上記の斜線部分が実質的に非常に狭い特異な範囲であることがわかる。
(2)C量
Cは、鉄合金の固溶元素であり鉄合金の強度向上に寄与する。その含有量(固溶限)は上記のe/aにより変化するが、鉄合金全体を100%としたときに0.8〜4%さらには1〜2%であると好ましい。Cが過少では効果が乏しく、Cが過多になると延性が低下して好ましくない。
なお、質量%でいうと、C量は0.1〜1質量%、0.15〜0.8質量%さらには0.2〜0.7質量%であると好ましい。
(3)Ni量
Niは、鉄合金中においてFCC構造をもつ相を安定化させる元素である。その含有量はe/aにより規定されるが、敢えていうと、鉄合金全体を100%としたときに18〜25%、19〜24%さらには20〜23%であると好ましい。Niが過少では効果が乏しく、Niが過多になると冷間加工により高強度化に適した相安定性が得られなくなり好ましくない。
なお、質量%でいうと、Ni量は20〜28質量%、21〜27質量%さらには22.5〜26.5質量%であると好ましい。
(4)Al量
Alは、鉄合金中においてFCC構造をもつ相を安定化させる元素である。その含有量はe/aにより規定されるが、敢えていうと、鉄合金全体を100%としたときに4〜19%、5〜15%さらには6〜12%であると好ましい。Alが過少では効果が乏しく、Alが過多になると冷間加工により高強度化に適した相安定性が得られなくなり好ましくない。
なお、質量%でいうと、Al量は2〜12質量%、2.5〜11質量%さらには3〜10.5質量%であると好ましい。
(5)全体組成
上述した組成をまとめると、鉄合金は、全体を100原子%としたとき、Ni:18〜25%、Al:4〜19%、C:0.8〜4%、残部:Feおよび不可避不純物であると好ましい。また鉄合金は、全体を100質量%としたとき、Ni:20〜28質量%、Al:2〜12質量%、C:0.1〜1質量%、残部:Feおよび不可避不純物であると好ましい。
《鉄合金の組織》
(1)オーステナイト組織
本発明の鉄合金は、温度により変態し得るが、常温域でオーステナイト組織からなり、高強度および高延性を発揮する。このオーステナイト組織中に、Cは固溶状態となっていると好ましいが、ナノ炭化物として存在しても良い。またFe、NiおよびAlの一部は、そのオーステナイト組織中において金属間化合物を形成していてもよい。この金属間化合物は塑性不安定性を抑制する第二相として機能し、本発明の鉄合金の高強度および高延性に寄与する。
(2)冷間加工組織
本発明の鉄合金は、冷間加工組織からなると、高次元で両立した強度および延性を発揮する。冷間加工の具体的な加工温度、加工方法、加工程度等は問わない。一般的に、冷間加工は、再結晶温度未満でなされる塑性加工であり、再結晶温度以上でなされる塑性加工である熱間加工とは区別される。もっとも本発明に係る冷間加工は、通常は室温域で行われる。
冷間加工は、周知の方法でなされ、例えば、スウェージング加工、圧延加工、鍛造加工等によりなされる。冷間加工は、高強度・高延性な素材を製造するためになされても、最終的な製品を製造するためになされてもよい。
冷間加工の程度は、鉄合金の塑性変形により導入される相当(塑性)ひずみが1.5以上、3以上さらには4以上となると好ましい。なお、相当ひずみは、3軸応力状態において鉄合金に生じる各向の塑性ひずみを、単軸応力状態の塑性ひずみに換算して評価したものである。本明細書に係る相当ひずみは、フォン・ミーゼスの降伏条件に基づき算出される。
上述したことから、本発明の鉄合金は、オーステナイト組織かつ冷間加工組織であるときに高強度および高延性を発揮する。従って本発明の鉄合金の組織は、例えば、集合組織である層状オーステナイト組織であると好ましい。ここでいう「層状」とは、鉄合金の鋳塊を構成する結晶粒等が冷間加工されて形成される。具体的には、加工によって形成された微細な結晶粒の集合体として特定される。その結晶粒の平均粒径は1μm以下さらには200nm以下であると好ましい。このときの平均粒径は、TEM写真(10万倍)の観察結果を画像処理して求めることができる。
《鉄合金の製造方法》
(1)素材
本発明の鉄合金に係る素材は、溶解、鋳造を経る溶製法、金属粉末(原料粉末)を焼結させる焼結法等、いずれの方法で製造されても良い。溶製法は、例えば、アーク溶解法、プラズマ溶解法、インダクションスカル法、浮遊溶解法等がある。焼結法には、原料粉末を成形用金型に充填し(充填工程)、それを加圧成形して得た粉末成形体を(成形工程)、加熱して焼結(焼結工程)させる通常の焼結法の他、CIP法(冷間静水圧成形法)またはRIP法(ゴム型静水圧成形法)により成形した粉末成形体を焼結させたり、HIP法(熱間静水圧成形法)により金属粉末を成形焼結させる方法等を用いることができる。
(2)熱間加工
溶製材等からなる素材に、前述した冷間加工を施す前に、熱間加工を施してもよい。熱間加工は、冷間加工前の組成、組織の均質化のために行う。この熱間加工も、その具体的な加工温度、加工方法、加工程度等は問わない。熱間加工は、前述したように、再結晶温度以上でなされる塑性加工であるが、本発明に係る熱間加工は、鉄合金が安定したオーステナイト相となる温度(例えば1100℃)以上で加工されると好ましい。
熱間加工も、スウェージング加工、圧延加工、鍛造加工等により行える。熱間加工は鉄合金の安定したオーステナイト相となる温度でなされると好ましい。
(3)熱処理
溶製材等からなる素材に、前述した冷間加工を施す前に、熱処理を施してもよい。熱処理には、例えば、均質化処理、溶体化処理(焼入れ)、焼戻し、時効処理などがある。鉄合金が、高強度および高延性を安定して発現するように、加熱温度、加熱時間さらには加熱後の冷却速度等は、適宜調整される。処理温度は1050〜1200℃さらには1100〜1150℃で、60〜1440分加熱した後、100℃/秒以上で冷却すると好ましい。
なお、冷間加工後に熱間加工および熱処理を行うと、その冷間加工により鉄合金内に導入された塑性ひずみが加熱により喪失される。このため冷間加工を行う場合は、少なくとも熱間加工や熱処理の後に冷間加工を行うと好ましい。
《鉄合金の用途》
本発明の鉄合金は、高強度および高延性であるから、各種の構造部材に用いることができる。また本発明の鉄合金は、高延性であり、強加工がなされても割れ等を生じないため、塑性加工品に好適である。
具体的にいうと、本発明の鉄合金は、各種構造部材、高強度ボルト、シール材、弾性材(スプリング、ダイアフラム、トーションバー等)、補強材、動力伝動用ベルト材、各種ワイヤ類、装飾品、自動車部品、スポーツ用品、燃料電池部品、航空機器、宇宙船および人工衛星等の各種部材、原子炉用部品、核融合炉用部品等、各種分野の各種製品に利用することができる。
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
《試料の製造》
(1)鋳造工程
原料となる母合金として、市販されている純鉄、Fe−4.3%C合金(単位:質量%、以下同様)、Al−10%Fe合金を用意した。これらをアルゴン雰囲気下で溶解した。得られた溶湯を金型に注湯して凝固させた(冷却速度:50℃/秒)。こうして表1に示す各組成からなるφ50×150mmの鋳塊を得た。表1に示した組成値は分析値であり、残部は鉄と不純物である。また表1には、質量%で表示した組成値と原子%で表示した両方を示した。なお、組成分析は、Fe、Ni、Alについては誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法により、Cについては酸素中燃焼−赤外線吸収法により行った。
(2)熱間加工工程
得られた各鋳塊に、熱間鍛造加工を施した。具体的には、予め1150℃に加熱しておいたガス炉へ鋳塊を入れて十分に加熱保持した。この加熱した鋳塊を大気中で鍛造して、φ50mm→φ15mmとした。この際、タップ径を12回に分けて変化させ、その都度、上記の加熱と鍛造を繰り返し行った。そして12回目の鍛造後に空冷して、鍛造片を得た。
(3)熱処理工程
得られた各鍛造片を加熱炉内にいれて、1100℃×24時間の均質化処理を施した。これに続いて、加熱された鍛造片を水冷した。こうして均質化処理および水焼入れされた熱処理片を得た。
(4)冷間加工工程
得られた熱処理片から切り出したφ11×130mmの棒材に、冷間加工を施した。具体的には、各棒材に、室温で、冷間スウェージング加工を施して、φ11mm→φ4mmとした。この際、ダイス径を10回に分けて変化させた。こうして得られた各冷間加工片を機械加工して、平行部φ2.4mm×14mm、全長40mmの試験片を製造した。ちなみに、この試験片に導入された相当ひずみは、既述した方法で算出すると2.0となる。
《測定・観察》
(1)引張試験
上記の各試験片を用いて引張試験を行った。引張試験は、ひずみ速度:5×10−4/s、室温、大気中で、株式会社島津製作所製オートグラフを用いて行った。各試験片の平行部のゲージ長さは10mmとした。
引張試験から得られた公称応力−公称ひずみ線図に基づき求めた各試験片の最大引張強さ(UTS)と延性(EL)を表1にそれぞれ示した。最大引張強さは、公称応力−公称ひずみ線図上に現れた引張強さの最大値(MPa)とし、延性は株式会社島津製作所製オートグラフのビデオ伸び計の測定値を公称応力−公称ひずみ線上に現し、伸び値を測定した。なお、ビデオ伸び計の感度は±3μmである。一例である試料No.6に係る公称応力−公称ひずみ線図を図1に、真応力(σ)−真ひずみ(ε)線図とdσ/dε−ε線図を図2に併せて示した。
(2)金属組織
試料No.6に係る冷間加工片の金属組織を光学顕微鏡で観察した。その顕微鏡写真を図3に示した。
《評価》
(1)強度および延性
表1および図1からわかるように、本発明に係る組成範囲にある鉄合金は、高強度であると共に高延性であることがわかる。逆に、組成範囲、特に平均価電子濃度が本発明に係る範囲から逸脱すると、強度および延性が共に急減することがわかる。これは、最大引張強さ(UTS)と延性(EL)の積である強度延性バランス指標値(UTS*EL)が、本発明に係る試料では非常に大きいが、それ以外の試料では小さいことからもわかる。
(2)金属組織
図3からわかるように、本発明に係る組成範囲にある鉄合金(試料No.6)は、層状組織となっている。この組織がオーステナイト(γ)組織であることはX線回折実験(XRD)により確認している。

Claims (7)

  1. ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、炭素(C)および残部が鉄(Fe)と不可避不純物からなる鉄合金であって、
    Fe、NiおよびAlは、平均価電子濃度(e/a)が7.5〜8.1となる組成範囲内にあり、
    Cは、全体を100原子%(以下「%」という。)としたときに0.8〜4%であり、
    オーステナイト組織および冷間加工組織からなることを特徴とする鉄合金。
  2. 全体を100%としたときに、
    Ni:18〜25%、
    Al:4〜19%、
    である請求項1に記載の鉄合金。
  3. Fe、NiおよびAlからなる金属間化合物を含む請求項1または2に記載の鉄合金。
  4. 前記冷間加工組織は、相当ひずみ1.5以上有する請求項1〜3のいずれかに記載の鉄合金。
  5. 前記冷間加工組織は、層状オーステナイト組織である請求項1〜4のいずれかに記載の鉄合金。
  6. 最大引張強さ(UTS:MPa)と延性(EL:%)の積で表される強度延性バランス指標値(MPa%)が35000MPa%以上である請求項1〜5のいずれかに記載の鉄合金。
  7. 前記最大引張強さが1700MPa以上である請求項6に記載の鉄合金。
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