JP2013185249A - 鉄合金 - Google Patents

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忠彦 古田
Shigeru Kuramoto
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善治 堀田
Kaveh Edalati
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Abstract

【課題】高強度かつ高延性な鉄合金を提供する。
【解決手段】本発明の鉄合金は、Ni、Co、Tiおよび残部がFeと不可避不純物からなり、Fe、NiおよびCoが全体を100原子%(以下「%」という。)としたときに、NiとCoの合計量に対するFe量の割合である第一組成比(Fe/(Ni+Co))が0.65〜0.78となり、Ni量に対するCo量の割合である第二組成比(Co/Ni)が2以下であることを特徴とする。本発明の鉄合金は、強度な冷間加工、焼鈍等が施されることにより、微細な双晶(ナノツイン)を有する組織を生じ、非常に高い強度および延性を発揮する。例えば、本発明の鉄合金は、最大引張強さ(UTS:MPa)が2400MPa以上で延性(EL:%)は10%以上となる。
【選択図】図1A

Description

本発明は、高強度で高延性な鉄合金に関する。
構造部材の多くは鉄系材料により形成されている。鉄系材料は、その仕様に応じて、成分が調整され、適当な熱処理や加工等が施されることにより、所望の強度や延性を発揮する。もっとも鉄系材料(特に鉄鋼材料)は、通常、強度と延性が背反関係にあり、両者を高次元で両立させものは殆どなかった。
特開2003−268501号公報
例えば、高強度な鉄系材料として周知のマルエージング鋼(Fe−Ni−Co−Mo−Ti系合金)は、加工と熱処理を加えることにより、2500MPaを超える高強度(最大引張強さ:UTS)を発揮する。しかし、その延性(塑性変形能)は非常に低い。逆に、延性をある程度確保するには、強度を1500MPa程度まで低下させなければならない。マルエージング鋼の場合、熱処理してできた微細析出物による転位運動抑制効果を利用して高強度化を図っている。これに強加工を加えると、転位が集積して微視的な亀裂が生じ、それが巨視的な亀裂へと成長して、破壊し易くなるため、延性の低下は避け難い。このように従来の高強度材では、強度が向上するにつれて、延性が低下する傾向にあった。
ちなみに特許文献1には、Fe−Ni−Al系合金からなる形状記憶合金が開示されている。形状記憶合金は、一般的に変態点以上で形状回復や超弾性を生じ、高延性を発揮する。しかし、その強度はやはり高くない。実際、特許文献1にあるFe−Ni−Al系合金でも、マルテンサイト組織を得る溶体化処理後の引張強さが、高々700MPa程度に留まっている。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、従来の鉄系材料とは異なる成分組成からなり、高次元で高強度と高延性を両立させ得る鉄合金を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、Fe、Ni、CoおよびTiを特定の組成範囲とした素材に、適切な冷間加工と熱処理を施すことにより、従来の鉄系材料とは格段に異なる高強度と高延性を発揮する鉄合金を得ることに成功した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《鉄合金》
(1)本発明の鉄合金は、 ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、チタン(Ti)および残部が鉄(Fe)と不可避不純物からなる鉄合金であって、全体を100原子%(以下「%」という。)としたときに、NiとCoの合計量に対するFe量の割合である第一組成比(Fe/(Ni+Co))が0.65〜0.78となり、Ni量に対するCo量の割合である第二組成比(Co/Ni)が2以下であることを特徴とする。
(2)本発明の鉄合金によれば、従来の鉄系材料では不可能であった高強度と高延性の両立が可能となる。もっとも本発明の鉄合金が、非常に高次元で強度と延性を両立させ得る理由は必ずしも定かではないが、現状では次のように考えられる。Fe、Ni、CoおよびTiの必須元素が上述した狭い組成範囲内にある鉄合金は、マルテンサイト相などを構成する体心正方格子(bct)からなる相(α’相)と面心立方格子(fcc)からなる相(γ相)の境界が安定しており、相安定性境界を有する。この鉄合金に強度な冷間加工工程と適切な熱処理を施すと、ナノレベルの微細な双晶(これを「ナノツイン」という。)が組織中に析出するようになる。このナノツインが、転位の運動を理想せん断強度レベルまで抑制する障害物となって高強度を発現させると共に、特異な変形機構を生じて高延性を発現させる。こうして本発明の鉄合金は、著しい高強度と高延性を発揮するようになったと考えられる。
《鉄合金の製造方法》
本発明の鉄合金は、最終的に上述した高強度と高延性が発現され得る限り、その製造方法、加工の程度、熱処理の条件等を問わない。例えば、本発明の鉄合金は、溶製材でも焼結材でもよいし、それらからなる素材に適当な加工や熱処理等が施された中間品でも最終品でもよい。要求仕様に応じて、組成、加工、熱処理等が適宜調整される。
《その他》
(1)特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
(2)本発明の鉄合金は、その高強度および高延性が阻害されない範囲で、上述した必須元素(Fe、Ni、CoおよびTi)以外の元素を微量含み得る。例えば、鉄合金は、その特性を改善する元素として、不可避不純物とは別にC、O、Si、N、H等を微量含み得る。なお、不可避不純物は、原料中に含まれる不純物や各工程時に混入等する不純物などであり、コスト的または技術的な理由等により除去困難な元素である。不可避不純物は通常微量であるが、その具体的な元素や含有量は問わない。
(3)本発明の鉄合金は、その形態を問わず、例えば、素材(鋳塊、スラブ、ビレット、焼結体、圧延品、鍛造品、線材、棒材、角材、板材、箔材、繊維、織物等)であっても、その加工品(例えば、中間加工品、最終製品等)であっても良い。
(4)本明細書でいう「強度」は、試験片の引張試験により求まる最大引張強さ(UTS)により指標される。また「延性」は、同引張試験により求まる破断伸び(EL)により指標される。
本発明の鉄合金が発揮する強度や延性は、その組成、熱処理、加工履歴等により変化するため、一概に特定することはできない。敢えていうと、強度は2000MPa以上、2200MPa以上さらには2300MPa以上であると好ましい。また延性は、2%以上、4%以上さらには10%以上であると好ましい。
試料1の引張試験により得られた公称応力−公称ひずみ線図である。 試料2の引張試験により得られた公称応力−公称ひずみ線図である。 試料2の金属組織を示すTEM写真である。 その拡大TEM写真である。 試料2の金属組織の別位置に係るTEM写真である。 その拡大TEM写真である。 冷間加工装置の概要図である。
本明細書で説明する内容は、本発明の鉄合金のみならず、その製造方法にも該当し得る。製造方法に関する構成要素は、プロダクトバイプロセス・クレームとして理解すれば物に関する構成要素ともなり得る。上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《組成》
(1)第一組成比と第二組成比
第一組成比と第二組成比により本発明の鉄合金を構成する必須金属元素(Fe、NiおよびCo)の組成範囲を規定した理由は次の通りである。
Fe基合金へのNi添加は、マルテンサイト変態の開始温度(As点)を低下させFCC構造をもつ相を安定化させる。冷間強加工による高強度化に適した相安定性のためには、As点は250℃以下、−100℃以上で+150℃以下さらには−100℃以上で+50℃以下が好ましい。特にNi量が15〜25原子%の範囲で、しかもFe量:X原子%、Ni量:Y原子%、Co量:Z原子%としたときに0.65≦X/(Y+Z)≦0.75であればAs点が望ましい範囲内となり、冷間強加工による高強度化に適した相安定性が得られる。
さらに、第一組成比については0.68〜0.75であると好ましい。第一組成比が過小でも過大でも高強度と高延性を両立する鉄合金が得られない。
第二組成比であるCo/Niは、強度と延性のバランスを考え、2.0を超えると強度が低下するという理由で採用した。
第二組成比は2以下、1.9以下さらには1.7以下であると好ましい。第二組成比が過大では高強度と高延性を両立する鉄合金が得られない。第二組成比の下限値は限定されないが、敢えていうと第二組成比は1以上さらには1.2以上であると好ましい。
(2)Ni量
Niは、鉄合金中においてfcc相を安定化させる元素である。Ni量は上記の第一組成比および第二組成比により規定されるが、敢えていうと、鉄合金全体を100%(特に断らない限り組成は原子%で示す。)としたときに、Niは上述した15〜25%、17〜23%さらには17.5〜20%であると好ましい。Niが過少でも過多でも、高強度と高延性の両立を図れない。
(3)Co量
Coは、鉄合金中においてfcc構造をもつ相を安定化させる元素である。Co量は上記の第一組成比および第二組成比により規定されるが、敢えていうと、鉄合金全体を100%としたときに、Coは29〜37%、30〜36%さらには31〜35%であると好ましい。Coが過少でも過多でも、高強度と高延性の両立を図れない。
(4)Ti量
Tiは、鉄合金中において固溶しており、加工硬化の挙動に影響を与える元素である。鉄合金全体を100%としたときに、Tiは3〜11%さらには4〜10%であると好ましい。Tiが過少では効果が乏しく、Tiが過多になると熱間加工性が悪くなり好ましくない。
(5)全体組成
上述した組成をまとめると、鉄合金は、全体を100原子%としたとき、Ni:15〜25%、Co:29〜37%、Ti:3〜11%、残部:Feおよび不可避不純物であると好ましい。
《組織》
(1)微細双晶
本発明の鉄合金は、ナノサイズの微細な双晶(ナノツイン)が分散した金属組織からなると、高強度および高延性を発現する。このナノツインのサイズは5〜50nmであると好ましい。なお、このサイズはTEM写真などの観察結果から平均粒径として特定される。
(2)冷間加工工程と焼鈍工程
このようなナノツインを有する組織は、例えば、上記組成を有する素材に強度な冷間加工を施して冷間加工材を得る冷間加工工程と、この冷間加工材を加熱して焼鈍する焼鈍工程とにより形成されると好適である。
冷間加工工程の具体的な加工温度、加工方法、加工程度等は問わない。一般的に、冷間加工は、再結晶温度未満でなされる塑性加工であり、通常は室温域で行われる。この点で再結晶温度以上でなされる塑性加工である熱間加工と区別される。
冷間加工は、周知の方法でなされ、例えば、スウェージング加工、圧延加工、鍛造加工等によりなされる。冷間加工は、高強度・高延性な素材を製造するためになされても、最終的な製品を製造するためになされてもよい。
最近では、超微細な結晶粒からなる金属組織を得る方法として、巨大ひずみを導入できる加工方法が注目されている。このような加工方法として、加工しても形状が変化しない加工法を用いることが効果的である。代表的な形状不変加工法として、HPT(High-PressureTorsion)法、ECAP(Equal-Channel Angular Pressing法)、ARB(Accumulative Roll Bonding)法、MDF(MultiDirectional Forging)法、HPS(High-Pressure Sliding)法などがある。これらの加工方法によれば、結晶粒微細化に影響を及ぼし得るひずみ勾配やひずみ速度、雰囲気温度等も個々に制御できて好ましい。
このように巨大ひずみが導入された本発明の鉄合金は、結晶粒がサブミクロンレベルさらにはナノレベルまで超微細化され、従来の転位の増加とは異なる機構によって強化され、特異な現象を発現するようになると考えられる。
このような冷間加工により鉄合金に導入されるひずみの程度は、相当(塑性)ひずみにより指標され得る。本発明の鉄合金の場合、相当ひずみが11以上となると好ましい。なお、相当ひずみは、3軸応力状態において鉄合金に生じる各向の塑性ひずみを、単軸応力状態の塑性ひずみに換算して評価したものである。本明細書に係る相当ひずみは、フォン・ミーゼスの降伏条件に基づき算出される。
焼鈍工程は、上記の冷間加工工程後に、加熱温度を80〜400℃、100〜350℃さらには120〜250℃(加熱温度)とし、加熱時間を0.5〜2時間さらには0.7〜1.5時間としてなされると好ましい。加熱温度および加熱時間が過小または過大であると、微細な双晶を有する高強度で高延性な鉄合金が得難くなる。
《鉄合金の製造方法》
(1)素材
本発明の鉄合金に係る素材は、溶解、鋳造を経る溶製法、金属粉末(原料粉末)を焼結させる焼結法等、いずれの方法で製造されても良い。溶製法は、例えば、アーク溶解法、プラズマ溶解法、インダクションスカル法、浮遊溶解法等がある。焼結法には、原料粉末を成形用金型に充填し(充填工程)、それを加圧成形して得た粉末成形体を(成形工程)、加熱して焼結(焼結工程)させる通常の焼結法の他、CIP法(冷間静水圧成形法)またはRIP法(ゴム型静水圧成形法)により成形した粉末成形体を焼結させたり、HIP法(熱間静水圧成形法)により金属粉末を成形焼結させる方法等を用いることができる。
(2)熱間加工
上記の冷間加工工程前に、溶製材等からなる素材に熱間加工を施してもよい。熱間加工は、冷間加工前の組成、組織の均質化のために行う。この熱間加工は、鉄合金が安定したオーステナイト相となる温度(例えば1100℃)以上で加工されると好ましい。熱間加工も、具体的な加工温度、加工方法、加工程度等は問わないが、例えば、スウェージング加工、圧延加工、鍛造加工等により行える。
(3)熱処理
上記の冷間加工工程前に、上記の焼鈍工程とは別な熱処理を施してもよい。この熱処理には、例えば、均質化処理、溶体化処理(焼入れ)、焼戻し、時効処理などがある。鉄合金が、高強度および高延性を安定して発現するように、加熱温度、加熱時間さらには加熱後の冷却速度等は、適宜調整される。例えば、1050〜1200℃さらには1100〜1150℃で、60〜1440分加熱した後、100℃/秒以上で冷却すると好ましい。
なお、冷間加工工程や焼鈍工程後に、熱間加工や熱処理がなされると、冷間加工工程や焼鈍工程で形成された微細な組織が喪失され得る。そこで熱間加工や熱処理は、冷間加工前になされるのが好ましい。
《鉄合金の用途》
本発明の鉄合金は、高強度および高延性であるから、各種の構造部材に用いることができる。また本発明の鉄合金は、高延性であり、強加工がなされても割れ等を生じないため、塑性加工品に好適である。
具体的にいうと、本発明の鉄合金は、各種構造部材、高強度ボルト、シール材、弾性材(スプリング、ダイアフラム、トーションバー等)、補強材、動力伝動用ベルト材、各種ワイヤ類、装飾品、自動車部品、スポーツ用品、燃料電池部品、航空機器、宇宙船および人工衛星等の各種部材、原子炉用部品、核融合炉用部品等、各種分野の各種製品に利用することができる。
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
《試料の製造》
(1)鋳造工程
原料となる母合金として、市販されている純鉄、純ニッケル、純コバルトおよびスポンジチタンを用意した。これらをアルゴン雰囲気下で溶解した。得られた溶湯を金型に注湯して凝固させた(冷却速度:50℃/秒)。こうして表1に示す各組成からなるφ50×150mmの鋳塊を得た。表1に示した組成値は分析値であり、残部は鉄と不純物である。また表1には、質量%で表示した組成値と原子%で表示した両方を示した。なお、組成分析は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法により行った。
(2)熱間加工工程
得られた各鋳塊に、熱間鍛造加工を施した。具体的には、予め1150℃に加熱しておいたガス炉へ鋳塊を入れて十分に加熱保持した。この加熱した鋳塊を大気中で鍛造して、φ50mm→φ15mmとした。この際、タップ径を12回に分けて変化させ、その都度、上記の加熱と鍛造を繰り返し行った。そして12回目の鍛造後に空冷して、鍛造片を得た。
(3)熱処理工程
得られた各鍛造片を加熱炉内にいれて、1100℃×24時間の均質化処理を施した。これに続いて、加熱された鍛造片を水冷(水焼入れ)した。こうして均質化処理および水焼入れされた熱処理片を得た。
(4)冷間加工工程
得られた熱処理片からφ10×0.8mmの円板材を製作し、円板材に強度な冷間加工を施した(冷間加工工程)。この冷間加工は、図3に示すような加工装置を用いて、HPT(High Pressure Torsion)法により行った。加工条件は、上下アンビルによる加圧力:6GPa、上下アンビルの相対回転速度:1rpm、総回転数:10回転とした。ちなみに、この冷間加工により導入された相当ひずみは113となる。
(5)焼鈍工程
冷間加工した円板材(冷間加工材)へ表1に示す熱処理を加えた(焼鈍工程)。こうして得られた熱処理材を機械加工して平行部(1.2×3mm)をもつ小型試験片平行部を得た。
《測定・観察》
(1)引張試験
この小型試験片を用いて引張試験を行った。引張試験は、ひずみ速度:5×10−4/s、室温、大気中で、株式会社島津製作所製オートグラフを用いて行った。各試験片の平行部のゲージ長さは10mmとした。
引張試験から得られた公称応力−公称ひずみ線図に基づき、各試験片の最大引張強さ(UTS)と延性(EL)を求めた。その結果を表1に示した。最大引張強さは、公称応力−公称ひずみ線図上に現れた引張強さの最大値(MPa)とした。延性は、株式会社島津製作所製オートグラフのビデオ伸び計の測定値を公称応力−公称ひずみ線上に現して求めた。なお、ビデオ伸び計の感度は±3μmである。一例である試料1と試料2に係る公称応力−公称ひずみ線図をそれぞれ図1Aおよび図1B(両図を併せて図1という。)に示した。
(2)金属組織
試料2に係る小型試験片の金属組織を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。その顕微鏡写真を図2A〜図2D(各図を併せて図2という。)に示した。図2Aは試料2を200℃で熱処理したナノ組織を示すTEM写真であり、図2Bはその拡大TEM写真である。図2Cは試料2の別の部位のナノツインを示すTEM写真であり、図2Dはその拡大TEM写真である。また図2Bの右上に示した写真はその拡大したナノツインを示す写真であり、図2Dの右上に示した写真はナノツインのディフラクションパターンを示す写真である。
《評価》
(1)強度および延性
表1および図1からわかるように、本発明に係る組成範囲にある鉄合金は、強度および延性が共に著しく高いことがわかる。逆に、組成範囲が本発明に係る範囲から逸脱すると、強度および延性が共に急減していることもわかる。
(2)金属組織
図2からわかるように、本発明に係る組成範囲にある鉄合金(試料No.2)には、微細な双晶が生じていることがわかる。
ちなみに、X線回折(XRD)で解析したところ、試料1は体心正方格子(bct)からなるα’相(マルテンサイト相)と面心立方格子(fcc)からなるγ相とで構成されており、試料2はそのα’相から構成されていた。

Claims (6)

  1. ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、チタン(Ti)および残部が鉄(Fe)と不可避不純物からなる鉄合金であって、
    全体を100原子%(以下「%」という。)としたときに、
    NiとCoの合計量に対するFe量の割合である第一組成比(Fe/(Ni+Co))が0.65〜0.78となり、
    Ni量に対するCo量の割合である第二組成比(Co/Ni)が2以下であることを特徴とする鉄合金。
  2. サイズが5〜50nmである双晶が分散した微細組織を有する請求項1に記載の鉄合金。
  3. 素材に冷間加工を施して冷間加工材を得る冷間加工工程と、
    該冷間加工材を加熱して焼鈍する焼鈍工程と、
    を経て得られることを特徴とする請求項1または2に記載の鉄合金。
  4. 前記焼鈍工程は、加熱温度が80〜400℃であり、加熱時間が0.5〜2時間である請求項3に記載の鉄合金。
  5. 最大引張強さ(UTS:MPa)が2000MPa以上である請求項1〜4のいずれかに記載の鉄合金。
  6. 延性(EL:%)が2%以上である請求項1〜5のいずれかに記載の鉄合金。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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