JP4855032B2 - 複合めっき材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複合めっき材およびその製造方法に関し、特に、挿抜可能な接続端子などの材料として使用される複合めっき材およびその製造方法に関する。
従来、挿抜可能な接続端子の材料として、銅や銅合金などの導体素材の最外層に錫めっきを施した錫めっき材が使用されている。特に、錫めっき材は、接触抵抗が小さく、自動車などの接続端子の材料として使用されている。
しかし、錫めっき材は、軟質で端子接続時に変形を生じ易いため、挿入時の摩擦係数が高いという問題がある。また、自動車などの接続端子では、端子の多極化が進んでおり、端子の数に比例して、組立て時の挿入力が上昇し、作業負荷が問題になっている。
このような問題を解消するため、錫めっき後にリフロー処理を施した錫リフロー材が、自動車などの接続端子の一般的な材料として使用されている。この錫リフロー材では、軟質層である錫めっき皮膜の膜厚を薄くし、さらにリフロー処理により硬質な錫合金層を下地に形成することにより、摩擦係数を低減している。また、錫を主体とする金属マトリクス中に耐磨耗性または潤滑性の固体粒子を複合化させた複合材の皮膜を電気めっきにより導体素材上に形成することにより、機械的な耐摩耗性を向上させることが提案され(例えば、特許文献1〜3参照)、このような複合めっき皮膜を応用した接続端子が提案されている(例えば、特許文献4参照)。また、錫または錫/鉛と黒鉛の複合めっき皮膜を導体素材上に形成することにより、耐摩耗性に優れた導電性皮膜を形成することが提案されている(例えば、特許文献5参照)。
しかし、錫リフロー材は、一般に摩擦係数が0.2〜0.25程度と比較的高く、上記の特許文献1〜5の方法により製造された錫めっき材の摩擦係数も比較的高くなっている。そのため、このような錫めっき材を挿抜可能な接続端子の材料として使用すると、挿入力が高くなるという問題がある。このような問題を解消するため、本発明者らは、炭素粒子および芳香族カルボニル化合物を添加した錫めっき液を使用して電気めっきを行うことにより、錫層中に炭素粒子を含有する複合材からなる皮膜が素材上に形成され、同種の錫めっき材同士の摩擦係数が0.18以下の錫めっき材を製造する方法を提案している(特願2005−86074号)。
また、通常の接続端子では、雄端子と雌端子の嵌合時の接触面の面積を減少させて挿入力を小さくするために、一方の端子の接触面の形状を平面にし、他方の端子の接触面の形状を凸面にインデント加工しており、一般に両端子のめっき皮膜の種類が異なっている。そのため、特願2005−86074号に提案された方法によって製造された錫めっき材からなる端子であっても、その端子がインデント加工され、嵌合する相手方の端子が錫リフロー材からなる場合には、摩擦係数が0.2程度と比較的高くなる場合がある。そのため、本発明者らは、炭素粒子および芳香族カルボニル化合物を添加した錫めっき液を使用して電気めっきを行う際に、錫めっき液中の炭素粒子の濃度を20g/L未満にすることにより、錫層中に炭素粒子が分散した複合材からなる皮膜が素材上に形成され、インデント加工した場合でも錫リフロー材などの他の種類の錫めっき材との間の摩擦係数が極めて低い錫めっき材を製造する方法を提案している(特願2005−181819号)。
特開昭54−45634号公報(第3頁) 特開昭53−11131号公報(第2頁) 特開昭63−145819号公報(第2頁) 特表2001−526734号公報(第8−9頁) 特開昭61−227196号公報(第3頁)
しかし、特願2005−181819号に提案された方法によって製造された錫めっき材からなる端子をインデント加工し、錫リフロー材のような他の種類の錫めっき材からなる端子上で摺動させると、最初の摺動操作時の摩擦係数は0.20以下であるものの、2回目以降の摺動操作時の摩擦係数が高くなり、0.35〜0.45になってしまうという問題がある。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、インデント加工して錫リフロー材などの他の種類の錫めっき材上で複数回摺動させても摩擦係数が極めて低い複合めっき材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、錫めっき液に炭素粒子および芳香族カルボニル化合物を添加した複合めっき液を使用して電気めっきを行う際に、複合めっき液中の炭素粒子の濃度を80g/L以上、好ましくは80〜150g/Lにすることにより、インデント加工して錫リフロー材などの他の種類の錫めっき材上で複数回摺動させても摩擦係数が極めて低い複合めっき材を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による複合めっき材の製造方法は、錫めっき液に炭素粒子および芳香族カルボニル化合物を添加した複合めっき液を使用して電気めっきを行うことにより、錫層中に炭素粒子を含有する複合材からなる皮膜を素材上に形成する複合めっき材の製造方法において、複合めっき液中の炭素粒子の濃度を80g/L以上、好ましくは80〜150g/Lにすることを特徴とする。この複合めっき材の製造方法において、芳香族カルボニル化合物が、芳香族アルデヒドまたは芳香族ケトンであるのが好ましい。
また、本発明による複合めっき材は、錫層中に炭素粒子を含有する複合材からなる皮膜が素材上に形成され、皮膜の表面の炭素の割合が75〜90面積%であることを特徴とする。この複合めっき材において、算術平均粗さが1.5〜2.5μmであり、皮膜の厚さが2〜5μmであり、皮膜中の炭素の含有量が2.5〜3.5重量%であるのが好ましい。また、同種同士の摩擦係数が0.20〜0.24のリフロー処理を施した錫めっき材に、荷重3Nで押し付けながら移動速度60mm/分で5回摺動させたときの摩擦係数が0.22以下であるのが好ましい。
また、本発明による接続端子は、雌端子とこの雌端子に嵌合する雄端子とからなり、雌端子と雄端子の少なくとも一方の少なくとも他方に接触する部分が、上記の複合めっき材からなることを特徴とする。
さらに、本発明による複合めっき液は、素材を錫めっきするための錫めっき液と、この錫めっき液に添加された炭素粒子および芳香族カルボニル化合物とからなる複合めっき液であって、炭素粒子が酸化処理を行った炭素粒子であり、複合めっき液中の炭素粒子の濃度が80g/L以上であることを特徴とする。
なお、本明細書において、皮膜の表面の炭素粒子の「表面被覆率」とは、皮膜の表面に存在する炭素粒子の割合(面積%)をいう。
本発明によれば、インデント加工して錫リフロー材などの他の種類の錫めっき材上で複数回摺動させても摩擦係数が極めて低い複合めっき材を製造することができる。この複合めっき材は、自動車用などの接続端子がさらに多極化された場合にも十分に対応可能な材料として使用することができ、嵌合する相手方の端子が錫リフロー材からなる場合に、その端子に複数回挿抜しても挿入力が小さい接続端子を製造することができる。
本発明による複合めっき材の製造方法の実施の形態では、錫めっき液に炭素粒子および芳香族カルボニル化合物を添加した複合めっき液を使用して電気めっきを行うことにより、錫層中に炭素粒子を含有する複合材からなる皮膜を素材上に形成する際に、複合めっき液中の炭素粒子の濃度を80g/L以上、好ましくは80〜150g/Lにする。
錫めっき液としては、アルカノールスルホン酸からなる錫めっき液を使用するのが好ましい。炭素粒子としては、様々な炭素粒子を使用することができるが、鱗片状や土状のグラファイト粒子を使用するのが好ましい。芳香族カルボニル化合物としては、芳香族アルデヒドまたは芳香族ケトンを使用するのが好ましい。錫めっき液に芳香族カルボニル化合物を添加することにより、錫めっき液中において炭素粒子が弱い凝集の分散状態になり、錫マトリクス中に炭素粒子が適度に凝集した状態で存在する皮膜を形成することができる。従来の炭素粒子が複合化した皮膜を形成した錫めっき材では、炭素粒子を略均一に分散させるために種々の湿潤材を添加して錫マトリクス中に分散した皮膜を形成しているが、本実施の形態のように錫マトリクス中の炭素粒子の凝集状態を制御することによってさらに低い摩擦係数の皮膜を形成することができる。
また、複合めっき液中の炭素粒子の濃度は、80g/L以上であり、80〜150g/Lであるのが好ましい。80g/L未満では、炭素粒子が皮膜の表面を覆うには不十分であり、150g/Lを超えると、炭素粒子が複合化する量が増加して、錫マトリクス中に炭素粒子が適度に凝集した状態で存在する皮膜を形成することが困難になるからである。なお、錫めっき液への固体粒子の最適な添加量は、複合めっき皮膜および固体粒子の種類により異なると考えられるが、錫と炭素粒子の複合めっき材では、錫めっき液中に添加される炭素粒子の量が80g/L未満であると、炭素粒子が皮膜の表面を覆うには不十分であり、複合めっき材を端子として使用した場合に、摺動操作により接触面の炭素粒子が押し出されて、特に複合めっき材をインデント加工した場合には、2回目以降の摺動操作後に接触面の炭素粒子の量が少なくなり、摩擦係数が悪化すると考えられる。特願2005−86074号や特願2005−181819号に提案された錫めっき材では、錫めっき液中の炭素粒子の濃度を20g/L未満にすることにより、錫マトリックス中に炭素粒子が島状に分散した皮膜を形成しているが、本実施の形態のように複合めっき液中の炭素粒子の濃度を80g/L以上にして錫マトリクス中の炭素粒子の凝集・分散状態を制御することによって、他の錫めっき材上で複数回摺動させても摩擦係数が低い皮膜を形成することができる。
なお、本発明による複合めっき材の実施の形態は、最表面の構造に特徴があり、下地に影響されないので、下地めっきは、素材や用途に応じてSn、Cu、Niなどの様々な下地めっきから選択することができる。また、下地めっきとしてSnめっきを施すと、最表面の炭素粒子の凝集構造を変化させることなく、膜厚を厚くして耐摩耗性を向上させることができる。
上述した本発明による複合めっき材の製造方法の実施の形態により、適度に凝集した炭素粒子が錫層中に均一に分散した複合材からなる皮膜が素材上に形成され、皮膜の表面の炭素粒子の凝集体の割合(表面被覆率)が75〜90面積%であり、表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さRaが1.5〜2.5μmであり、皮膜の厚さが2〜5μmであり、皮膜中の炭素の含有量が2.5〜3.5重量%の複合めっき材を製造することができる。皮膜の表面の炭素粒子の割合(表面被覆率)が75%面積以下であると、炭素粒子が皮膜の表面を覆うには不十分であり、複合めっき材を端子として使用した場合に、摺動操作により接触面の炭素粒子が押し出されて、特に複合めっき材をインデント加工した場合には、2回目以降の摺動操作後に接触面の炭素粒子の量が少なくなり、摩擦係数が悪化すると考えられる。表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さRaが1.5μmより小さく、表面が平滑な場合には、皮膜中に炭素粒子が分散し、特にインデント加工した場合には、表面の凹凸が少なくなり、複合めっき材を端子として使用した場合に、相手方の端子との接触面の面積が広くなり、摩擦係数が悪化すると考えられる。一方、表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さRaが2.5μmより大きく、表面が粗い場合には、表面の凹凸が増大して、複合めっき材を端子として使用した場合に、炭素粒子の接触点における圧力が増加するため、相手方の端子が錫めっき材からなる場合に、相手方の錫めっき材を強く押圧して、摩擦係数が悪化すると考えられる。皮膜中の炭素の含有量が2.5重量%未満であると、炭素粒子が皮膜の表面を覆うには不十分であり、皮膜の厚さが2μm未満であると、摺動操作毎に表面が削られて表面を覆う炭素粒子が存在しなくなるために、摩擦係数を低減する効果を維持することができなくなると考えられる。なお、このような皮膜が最外層に形成されているのが好ましい。この複合めっき材は、同種同士の摩擦係数が0.2〜0.24のリフロー処理を施した錫めっき材上で摺動させた時の摩擦係数が0.20以下であり、5回目以降の摺動時でも摩擦係数が0.22以下である。
複合めっき材の複合めっき皮膜は、金属マトリックスと固体粒子とからなり、固体粒子の凝集状態や金属マトリックス中の固体粒子の分散状態によって、表面の固体粒子の割合(表面被覆率)や表面粗さが大きく変化し、それによって複合めっき皮膜の特性が大きく変化すると考えられる。この複合めっき皮膜の表面の固体粒子の割合(表面被覆率)や表面粗さを適切な状態にすることにより、複合めっき材をインデント加工して端子として使用する場合に、凝集した固体粒子における相手方の端子との点接触および固体粒子の適度な分散による接触面の面積の減少により、摩擦係数が減少すると考えられる。また、表面の固体粒子の量が多いので、他の端子上を複数回摺動させても固体粒子が接触面から除去されず、摩擦係数を減少する効果が維持されると考えられる。
以下、本発明による複合めっき材およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
まず、錫めっき液として、60g/Lの金属錫(金属錫塩としてアルカノールスルホン酸錫(ユケン工業製のメタスSM)600mL/Lを含む)と113mL/Lの遊離酸(遊離酸としてアルカノールスルホン酸(ユケン工業製のメタスAM)130mL/Lを含む)とを含む錫めっき液を用意した。この錫めっき液に良好な錫めっき皮膜を得るために錫めっき用の界面活性剤(ユケン工業製のメタスHLT−M)20mL/Lを添加し、平均粒径3.4μmの鱗片状グラファイト粒子(エスイーシー社製のグラファイトSGP−3)100g/Lを添加して分散させるとともに、グラファイト粒子の凝集状態を制御するために芳香族カルボニル化合物としてベンズアルデヒド30mL/Lを添加した。なお、炭素粒子の平均粒径は、炭素粒子0.5gを0.2重量%のヘキサメタリン酸ナトリウム溶液50gに分散させ、さらに超音波により分散させた後、レーザー光散乱粒度分布測定装置を用いて測定し、累積分布で50%の粒径を平均粒径とすることにより求めた。
上記の錫めっき浴中に、厚さ0.25mmのCu−Ni−Sn合金材(同和鉱業製のNB−109EH)からなる素材を入れ、陽極として錫板を使用して、液温25℃、電流密度5A/dmで攪拌しながら電気めっきを行い、膜厚3μmの錫とグラファイト粒子の複合めっき皮膜が形成された複合めっき材を作製した。なお、複合めっき皮膜の膜厚は、蛍光X線膜厚測定法により4点の平均値から算出した。
得られた複合めっき材を超音波洗浄して表面に付着したグラファイト粒子を除去した後、複合めっき材の複合めっき皮膜中の炭素の含有量、複合めっき材の表面の炭素粒子の割合(表面被覆率)および複合めっき材の摩擦係数を算出し、表面粗さを測定した。
複合めっき材の複合めっき皮膜中の炭素の含有量は、得られた複合めっき材(素材を含む)から切り出した試験片を錫および炭素の分析用にそれぞれ用意し、試験片中の錫の含有量(X重量%)をICP装置(ジャーレルアッシュ社製のIRIS/AR)を用いてプラズマ分光分析法によって求めるとともに、試験片中の炭素の含有量(Y重量%)を微量炭素・硫黄分析装置(堀場製作所製のEMIA−U510)を用いて燃焼赤外線吸収法によって求め、Y/(X+Y)として算出した。その結果、本実施例では、炭素の含有量が2.6重量%であった。
また、得られた複合めっき材から切り出した試験片の表面を観察することにより、めっき皮膜の表面の炭素粒子の割合(表面被覆率)(面積%)を算出した。このめっき皮膜の表面の炭素粒子の割合は、試験片の表面を超深度顕微鏡(KEYENCE社製のVK−8500)により対物レンズ倍率100倍で超深度画像として撮影した画像を、PC上で画像解析アプリケーション(SCION CORPORATION社製のSCION IMAGE)を使用して、白黒で取り込んで諧調を二値化し、錫の部分と炭素粒子の部分に分離して、画像全体のピクセル数Xに対する炭素粒子の部分のピクセル数Yの比Y/Xとして算出した。その結果、本実施例では、めっき皮膜の表面の炭素粒子の割合は83面積%であった。
また、複合めっき材の摩擦係数として、得られた複合めっき材から切り出した試験片と錫リフロー材との間の摩擦係数を求めた。この摩擦係数(μ)は、得られた複合めっき材から切り出した試験片をインデント加工(R=1.5mm)して凸形状の圧子とするとともに、平板状の錫リフロー材をベース側の評価試料とし、ロードセルを使用して、圧子を荷重3Nで評価試料の表面に押し付けながら移動速度60mm/分で滑らせ、水平方向にかかる力(F)を測定し、μ=F/Nから算出した。その結果、本実施例では、摩擦係数は0.12であった。また、この試験片を同様の方法で複数回摺動させて、摩擦係数を算出した。その結果、2〜5回目の摺動時の摩擦係数はそれぞれ0.06であり、7回目の摺動時の摩擦係数は0.07、8回目の摺動時の摩擦係数は0.09、9回目の摺動時の摩擦係数は0.22、10回目の摺動時の摩擦係数は0.29、11回目以降の摺動時の摩擦係数は0.35以上であった。なお、ベース側の評価試料として使用した錫リフロー材は、60g/Lの金属錫を含む硫酸第一錫と60g/Lの硫酸とを含む錫めっき液中に、厚さ0.25mmのCu−Ni−Sn合金材(同和鉱業製のNB−109EH)からなる素材を入れ、液温25℃、電流密度10A/dmで電気めっきを行って、膜厚1.0μmのめっき皮膜を形成した後、240℃でリフロー処理を施すことにより作製した。このリフロー処理により作製した錫リフロー材の同種同士の摩擦係数は0.2〜0.24であった。
また、複合めっき材の表面粗さとして、超深度顕微鏡(KEYENCE社製のVK−8500)による測定結果から、JIS B0601に基づいて表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さRaを算出した。その結果、本実施例では、算術平均粗さRaは2.02μmであった。
[実施例2]
グラファイト粒子の添加量を140g/Lとした以外は実施例1と同様の方法により複合めっき材を作製し、得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、複合めっき材の複合めっき皮膜中の炭素の含有量、複合めっき材の表面の炭素粒子の割合(表面被覆率)および複合めっき材の摩擦係数を算出し、表面粗さを測定した。その結果、炭素の含有量は2.7重量%、表面被覆率は87面積%、1回目の摺動時の摩擦係数は0.17、2回目の摺動時の摩擦係数は0.20、3回目の摺動時の摩擦係数は0.18、4回目の摺動時の摩擦係数は0.16、5回目の摺動時の摩擦係数は0.17、7回目の摺動時の摩擦係数は0.17、8回目の摺動時の摩擦係数は0.18、9回目の摺動時の摩擦係数は0.18、10回目の摺動時の摩擦係数は0.25であった。また、算術平均粗さRaは2.31μmであった。
[比較例1]
複合めっき材の複合めっき皮膜の膜厚を1.0μmとした以外は実施例1と同様の方法により複合めっき材を作製し、得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、複合めっき材の複合めっき皮膜中の炭素の含有量、複合めっき材の表面の炭素の割合(表面被覆率)および複合めっき材の摩擦係数を算出し、表面粗さを測定した。その結果、炭素の含有量は3.0重量%、表面被覆率は52面積%、1回目の摺動時の摩擦係数は0.24、2回目以降の摺動時の摩擦係数は0.35以上であった。また、算術平均粗さRaは1.03μmであった。
[比較例2、3]
グラファイト粒子の添加量を20g/Lとした以外はそれぞれ比較例1および実施例1と同様の方法により複合めっき材を作製し、得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、複合めっき材の複合めっき皮膜中の炭素の含有量、複合めっき材の表面の炭素粒子の割合(表面被覆率)および複合めっき材の摩擦係数を算出し、表面粗さを測定した。その結果、炭素の含有量は1.4重量%および1.1重量%、表面被覆率は13面積%および33面積%、1回目の摺動時の摩擦係数は0.27および0.28、2回目以降の摺動時の摩擦係数はいずれも0.35以上であった。また、算術平均粗さRaは0.62μmおよび1.36μmであった。
[比較例4、5]
グラファイト粒子の添加量をそれぞれ10g/Lおよび5g/Lとした以外は比較例1と同様の方法により複合めっき材を作製し、得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、複合めっき材の複合めっき皮膜中の炭素の含有量、複合めっき材の表面の炭素粒子の割合(表面被覆率)および複合めっき材の摩擦係数を算出し、表面粗さを測定した。その結果、炭素の含有量は1.0重量%および1.1重量%、表面被覆率は19面積%および11面積%、1回目の摺動時の摩擦係数は0.12および0.20、2回目以降の摺動時の摩擦係数はいずれも0.35以上であった。また、算術平均粗さRaは0.46μmおよび0.81μmであった。
これらの実施例および比較例の結果を表1に示し、炭素粒子の表面被覆率と摩擦係数が0.22以上になる摺動回数との関係を図1に示し、算術平均粗さRaと摩擦係数が0.22以上になる摺動回数との関係を図2に示す。
Figure 0004855032
これらの表および図が示すように、実施例1、2の複合めっき材は、比較例1〜6と比べて、錫リフロー材上で複数回摺動させても摩擦係数が極めて低いことがわかる。
実施例および比較例において、複合めっき材の炭素粒子の表面被覆率と摩擦係数が0.22以上になる摺動回数との関係を示すグラフである。 実施例および比較例において、複合めっき材の算術平均粗さと摩擦係数が0.22以上になる摺動回数との関係を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 錫めっき液に炭素粒子および芳香族カルボニル化合物を添加した複合めっき液を使用して電気めっきを行うことにより、錫層中に炭素粒子を含有する複合材からなる皮膜を素材上に形成する複合めっき材の製造方法において、複合めっき液中の炭素粒子の濃度を80g/L以上にして厚さ2〜5μmの皮膜を形成することを特徴とする、複合めっき材の製造方法。
  2. 前記複合めっき液中の炭素粒子の濃度を80〜150g/Lにすることを特徴とする、請求項1に記載の複合めっき材の製造方法。
  3. 前記芳香族カルボニル化合物が、芳香族アルデヒドまたは芳香族ケトンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の複合めっき材の製造方法。
  4. 錫層中に炭素粒子を含有する複合材からなる厚さ2〜5μmの皮膜が素材上に形成され、皮膜の表面の炭素の割合が75〜90面積%、算術平均粗さが1.5〜2.5μmであり、皮膜中の炭素の含有量が2.5〜3.5重量%であることを特徴とする、複合めっき材。
  5. 同種同士の摩擦係数が0.20〜0.24のリフロー処理を施した錫めっき材に、荷重3Nで押し付けながら移動速度60mm/分で5回摺動させたときの摩擦係数が0.22以下であることを特徴とする、請求項4に記載の複合めっき材。
  6. 雌端子とこの雌端子に嵌合する雄端子とからなり、雌端子と雄端子の少なくとも一方の少なくとも他方に接触する部分が、請求項4または5に記載の複合めっき材からなることを特徴とする、接続端子。
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