JP5107117B2 - 複合めっき材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、錫層中に炭素粒子が分散した複合材からなる皮膜が素材上に形成された複合めっき材およびその製造方法に関し、特に、挿抜可能な接続端子などの材料として使用される複合めっき材およびその製造方法に関する。
従来、挿抜可能な接続端子の材料として、銅や銅合金などの導体素材の最外層に錫めっきを施した錫めっき材が使用されている。特に、錫めっき材は、接触抵抗が低く、車載用や民生用の電気配線に使用するワイヤーハーネス用コネクタの端子やプリント回路基板用コネクタの(オス)端子(以下「PCB端子」という)などの材料として使用されている。
一般に、プリント回路基板用コネクタには、多数のPCB端子が取り付けられており、これらのPCB端子の各々は、プリント回路基板に半田付けされる一端側の半田付け部と、相手材の被嵌合部に嵌合して通電を確保する他端側の電気接触部としての嵌合部とを備えている。このようなPCB端子の材料として錫めっき材を使用すると、接触抵抗が低く且つ耐食性に優れた嵌合部と、半田付け性が良好な半田付け部とを備えた接続端子を得ることができる。
近年、PCB端子の小型化および高密度化(単位面積当りの数の増加)の要求が高まっており、そのため、PCB端子の嵌合部を相手材の被嵌合部に嵌合させる際の挿入力を小さくすることが求められている。しかし、錫めっき材の最外層の錫めっき皮膜は、軟質の金属であるため、PCB端子の嵌合部を相手材の被嵌合部に嵌合させる際に容易に塑性変形して、大きな挿入力が必要になる。
このようなPCB端子の嵌合部の挿入力を低下させるために、錫めっき皮膜を薄くすることが考えられるが、錫めっき皮膜を薄くすると、半田付け部の半田付け性が悪化するという問題がある。また、黄銅などの銅合金の母材の表面に、順次、ニッケルめっき層、銅めっき層および錫めっき層を積層した後、リフロー処理を施して最外層の錫めっき層の一部を銅錫合金層に転化することにより、最外層の硬度を高めて、端子の挿入力を低下させることが提案されている
(例えば、特許文献1参照)。また、Cu板条からなる母材の表面に、Cuめっき層とSnめっき層を順次形成した後、リフロー処理を行って、母材の表面にCu−Sn合金被覆層とSn被覆層をこの順に形成することにより、端子の挿入力を低下させることも提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、炭素粒子および芳香族カルボニル化合物を添加した錫めっき液を使用して電気めっきを行うことにより、錫層中に炭素粒子を含有する複合材からなる皮膜を素材上に形成することにより、端子の挿入力を低下させることも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許3562719号公報(段落番号0007−0008) 特開2006−77307号公報(段落番号0009−0012) 特開2007−2285号公報(段落番号0010−0013)
しかし、特許文献1〜3端子では、嵌合部の挿入力を低下させることはできるが、半田付け部の半田濡れ性が低下するという問題があり、また、特許文献1および2の端子では、リフロー処理を行う必要があるので、その分だけ工数やコストが増加するという問題もある。そのため、嵌合部の挿入力の低下と半田付け部の半田濡れ性の向上の両立が可能な端子の材料として使用することができるめっき材が望まれている。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、リフロー処理を行う必要がなく、摩擦係数が低く、嵌合部の挿入力の低下と半田付け部の半田濡れ性の向上の両立が可能な端子の材料として使用することができる、複合めっき材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、錫めっき液に炭素粒子を添加した複合めっき液を使用して電気めっきを行うことにより、錫層中に炭素粒子を含有する複合材からなる皮膜を素材上に形成する複合めっき材の製造方法において、複合めっき液のレイノルズ数を18000以上にした状態で電気めっきを行えば、リフロー処理を行う必要がなく、摩擦係数が低く、嵌合部の挿入力の低下と半田付け部の半田濡れ性の向上の両立が可能な端子の材料として使用することができる、複合めっき材を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による複合めっき材の製造方法は、錫めっき液にグラファイト粒子を添加した複合めっき液を使用して電気めっきを行うことにより、錫層中にグラファイト粒子を含有する複合材からなる皮膜を素材上に形成する複合めっき材の製造方法において、複合めっき液のレイノルズ数を18000以上にした状態で電気めっきを行うことを特徴とする。この複合めっき材の製造方法において、複合めっき液を攪拌翼の回転により攪拌することによってレイノルズ数を18000以上にしてもよいし、あるいは、複合めっき液をポンプで圧送して攪拌することによってレイノルズ数を18000以上にしてもよい。また、複合めっき液に芳香族カルボニル化合物が添加されているのが好ましい。
また、本発明による複合めっき材は、錫層中にグラファイト粒子を含有する複合材からなる皮膜が素材上に形成され、同種同士の摩擦係数が0.19以下であり、フラックスによる処理を行わないで半田濡れ性を評価した際のゼロクロスタイムが5秒以下であることを特徴とする。この複合めっき材において、上記の摩擦係数が0.15以下であるのが好ましく、皮膜の厚さが0.5〜3.0μmであるのが好ましい。また、皮膜中の炭素含有量が1.0〜3.0質量%であるのが好ましく、接触抵抗が1.0mΩ以下であるのが好ましい。
本発明によれば、リフロー処理を行う必要がなく、摩擦係数が低く、嵌合部の挿入力の低下と半田付け部の半田濡れ性の向上の両立が可能な端子の材料として使用することができる、複合めっき材を製造することができる。
本発明による複合めっき材の製造方法の実施の形態では、錫めっき液に炭素粒子を添加した複合めっき液を使用して電気めっきを行うことにより、錫層中に炭素粒子を含有する複合材からなる皮膜を素材上に形成する複合めっき材の製造方法において、複合めっき液の流れの状態を示すレイノルズ数を18000以上にした状態で電気めっきを行う。複合めっき液のレイノルズ数を18000以上にするために、複合めっき液を攪拌翼の回転により攪拌してもよいし、複合めっき液をポンプで圧送して攪拌してもよい。
複合めっき液のレイノルズ数を18000以上にすることにより、従来の錫層中に炭素粒子が分散した複合めっき層(Sn−Cめっき層)の半田濡れ性を劇的に向上させることができる。このように複合めっき液のレイノルズ数を18000以上にした状態で電気めっきにより形成されためっき層を顕微鏡で観察すると、めっき層の表面が平滑になり、Snの粒界のサイズが小さくなるのが観察され、このようなめっき層の表面の平滑化とSnの粒界のサイズが減少により、複合めっき材の半田濡れ性が向上すると考えられる。
なお、レイノルズ数(Re)は、流れの状態を表す無次元数であり、流れの状態は、Re<2100の場合に層流、2100<Re<4000の場合に遷移流、Re>4000の場合に乱流に分類される。
図1に示すように、めっき槽12として円筒形の容器を使用し、ポンプ14でめっき液16を矢印の方向に送液することによってめっき液16を攪拌するめっき装置10を使用する場合、めっき液の粘度をμ(kg/(m・s))、めっき液の密度をρ(kg/m)、流れの代表長さをd(m)、流速をu(m/s)とすると、レイノルズ数(Re)は、Re=duρ/μで表される。例えば、めっき液の粘度μ=1mPa・s=0.001kg/(m・s)、めっき液の密度ρ=1130kg/m、流れの代表長さd=0.30m、流速u=0.18m/sとすれば、Re=61020になる。
また、図2に示すように、めっき槽112として円筒形の容器を使用し、このめっき槽112内に配置された攪拌翼114を矢印の方向に回転させることによってめっき液116を攪拌するめっき装置110を使用する場合、めっき液の粘度をμ(kg/(m・s))、めっき液の密度をρ(kg/m)、攪拌翼の直径をd(m)、攪拌翼の回転数をn(1/s)とすると、レイノルズ数(Re)は、Re=ndρ/μで表される。例えば、めっき液の粘度μ=1mPa・s=0.001kg/(m・s)、めっき液の密度ρ=1130kg/m、攪拌翼の直径d=0.035m、攪拌翼の回転数n=1000rpm=1000/60(1/s)とすれば、Re=23071になる。なお、図2において、参照符号118は陽極(Sn電極)、120は陰極(ワーク)を示している。
錫めっき液としては、硫酸や有機酸などからなる様々な錫めっき液を使用することができるが、アルカノールスルホン酸からなる錫めっき液を使用するのが好ましい。この錫めっき液に添加する炭素粒子としては、様々な炭素粒子を使用することができるが、鱗片状や土状のグラファイト粒子を使用するのが好ましい。
また、錫めっき液に炭素粒子を添加した複合めっき液には、さらに芳香族カルボニル化合物を添加するのが好ましい。芳香族カルボニル化合物としては、芳香族アルデヒドまたは芳香族ケトンを使用するのが好ましい。錫めっき液に芳香族カルボニル化合物を添加することにより、錫めっき液中において炭素粒子が弱い凝集の分散状態になり、錫マトリクス中に炭素粒子が島状に分散された皮膜を形成することができる。このように錫マトリクス中の炭素粒子の凝集状態を制御することによって非常に低い摩擦係数の皮膜を形成することができる。
錫めっき液中の炭素粒子の濃度は、50g/L未満であるのが好ましく、1〜40g/Lであるのがさらに好ましく、5〜30g/Lであるのが最も好ましい。1g/L未満では、炭素粒子が表面構造を構築して複合化するには不十分であり、50g/L以上では、炭素粒子が複合化する量が増加して、錫マトリクス中において炭素粒子が適切な凝集状態で分散された皮膜を形成することができないからである。
また、電気めっきの際の電流密度は5〜15A/dmであるのが好ましい。5A/dm未満では生産性が悪く、15A/dmを超えるとめっきやけが生じるからである。
なお、皮膜を形成する素材としては、黄銅などの銅合金の他、鉄系またはアルミニウム系の素材を使用することができる。また、電気めっきの前に、素材の表面に(電解脱脂、水洗、酸洗、水洗などの)前処理を行うのが好ましい。
本発明による錫めっき材の実施の形態は、最表面の構造に特徴があり、下地に影響されないので、下地めっきは、素材や用途に応じてSn、Cu、Niなどの様々な下地めっきから選択することができる。また、下地めっきとしてSnめっきを施すと、最表面の炭素粒子の凝集構造を変化させることなく、膜厚を厚くして耐摩耗性を向上させることができる。
上述した本発明による錫めっき材の製造方法の実施の形態により、適度に凝集した炭素粒子が錫層中に適度に分散した複合材からなる皮膜を素材上に形成され、同種同士の摩擦係数が0.19以下、好ましくは0.15以下、フラックスによる処理を行わないで半田濡れ性を評価した際のゼロクロスタイムが5秒以下、皮膜の厚さが0.5〜3.0μm、好ましくは0.5〜1.0μm、皮膜中の炭素含有量が1.0〜3.0質量%、接触抵抗が1.0mΩ以下の複合めっき材を製造することができる。
以下、本発明による複合めっき材およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
まず、60g/Lの金属錫(金属錫塩としてアルカノールスルホン酸錫(ユケン工業製のメタスSM)600mL/Lを含む)と113g/Lの遊離酸(遊離酸としてアルカノールスルホン酸(ユケン工業製のメタスAM)130mL/Lを含む)とを含む錫めっき液を用意した。この錫めっき液に、良好な錫めっき皮膜を得るために錫めっき用の界面活性剤(ユケン工業製のメタスLSA−M)20mL/Lを添加し、平均粒径3.4μmの鱗片状グラファイト粒子(エスイーシー社製のグラファイトSGP−3)5g/Lを添加して分散させるとともに、グラファイト粒子の凝集状態を制御するために芳香族カルボニル化合物としてベンズアルデヒド30mL/Lを添加して、複合めっき液を用意した。なお、グラファイト粒子の平均粒径は、グラファイト粒子0.5gを0.2質量%のヘキサメタリン酸ナトリウム溶液50gに分散させ、さらに超音波により分散させた後、レーザー光散乱粒度分布測定装置を用いて測定し、累積分布で50%の粒径を平均粒径とすることにより求めた。
次に、図1に示しためっき装置のめっき槽(直径300mm円筒状の容器)内に、厚さ0.25mmのCu−Ni−Sn合金材(DOWAメタルテック株式会社製のNB−109EH)からなる素材と、陽極としての錫板を配置し、上記の複合めっき液を充填し、複合めっき液の流速が0.18m/s(複合めっき液の粘度が0.001kg/(m・s)、複合めっき液の比重が1130kg/mであり、レイノルズ数(Re)は、Re=duρ/μ=61020)になるようにポンプの送液量を設定して、ポンプでめっき液を送液することにより攪拌しながら、液温25℃、電流密度10A/dmで電気めっきを行い、膜厚1.0μmの錫とグラファイト粒子の複合めっき皮膜が形成された複合めっき材を作製した。なお、複合めっき皮膜の膜厚は、蛍光X線膜厚測定法により4点の平均値から算出した。
得られた複合めっき材について、摩擦係数、半田濡れ性、炭素含有量および接触抵抗の評価を行った。半田濡れ性はゼロクロスタイムから評価し、摩擦係数、ゼロクロスタイム、炭素含有量および接触抵抗の測定は、それぞれ3回行って、その平均値によって評価した。
複合めっき材の摩擦係数については、得られた複合めっき材から切り出した2つの試験片同士の摩擦係数を求めた。この摩擦係数は、得られた錫めっき材から切り出した一方の試験片を金型プレスによってインデント加工(R3mm)して圧子とするとともに、平板状の他方の試験片をベース側の評価試料とし、ロードセルを使用して、圧子を接触加重3Nで評価試料の表面に押し付けながら摺動速度60mm/分で滑らせ、摩擦係数測定器(株式会社山崎精機研究所製の電気接点シュミレータCRS−1)により、摺動距離7mmのうち摺動距離2〜5mmにおける摩擦係数の平均値を算出することによって求めた。その結果、本実施例では、摩擦係数は0.07であった。
複合めっき材の半田濡れ性を評価は、得られた複合めっき材から切り出した試験片(10mm×25mm)にフラックス(タムラ化研製のUFL-300R)による処理を行った試験片と行わなかった試験片を、それぞれ半田浴(Sn−37Pb、200℃±1℃)に浸漬速度20±5mm/秒、浸漬時間10±1秒、浸漬深さ2mmで浸漬したときのゼロクロスタイム(浸漬してから浸漬部分が濡れるまでの時間(半田濡れ時間))を測定することによって行った。なお、この測定は、JIS
C 0053のメニスコ条件に従って、メニスコ試験機(株式会社レスカ製のSAT-5100)により行った。その結果、フラックスによる処理を行った場合のゼロクロスタイムは1.6秒であり、フラックス処理を行わない場合のゼロクロスタイムは3.1秒であった。特に、複合めっき材の半田濡れ性は、フラックスによる処理を行わないで評価した方が直接評価することができ、フラックスによる処理を行わない場合のゼロクロスタイムが5秒以下の場合(5秒以内で濡れる場合)に半田濡れ性が良好であると評価した。
複合めっき皮膜中の炭素含有量は、得られた複合めっき材(素材を含む)から切り出した試験片を錫および炭素の分析用にそれぞれ用意し、試験片中の錫の含有量X(質量%)と複合めっきを施していない素材中の錫の含有量Y(質量%)をICP装置(ジャーレルアッシュ社製のIRIS/AR)を用いてプラズマ分光分析法によって求めるともに、試験片中の炭素の含有量Z(質量%)を微量炭素・硫黄分析装置(堀場製作所製のEMIA−U510)を用いて燃焼赤外線吸収法によって求め、Z×100/(X−Y+Z)として算出した。その結果、本実施例では、炭素含有量が1.4質量%であった。
複合めっき材の接触抵抗は、JIS C5402の交流四端子法によって、開放電圧200mV、電流10mAで摺動荷重を0〜100gfに変化させ、100gfのときの値を測定した。その結果、接触抵抗は0.60mΩであった。
[実施例2]
円筒形のめっき槽の内径が100mmの図2のめっき装置と同様のめっき装置を用意し、直径35mmで高さ14mmの攪拌翼と、70mm×80mmの大きさの陰極(Sn電極)と、70mm×100mmの大きさの陽極(ワーク)を使用し、めっき槽内に実施例1と同様の複合めっき液0.9Lを入れて複合めっき液の高さ115mmとし、攪拌翼を1000rpmで回転させて攪拌しながら(レイノルズ数(Re)は、Re=ndρ/μ=23071になるように)電気めっきを行った以外は、実施例1と同じ方法により、膜厚1.0μmの錫とグラファイト粒子の複合めっき皮膜が形成された複合めっき材を作製した。得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、摩擦係数、半田濡れ性、炭素含有量および接触抵抗の評価を行ったところ、摩擦係数は0.07、フラックスによる処理を行った場合のゼロクロスタイムは1.5秒、フラックス処理を行わない場合のゼロクロスタイムは3.7秒、炭素含有量は1.6質量%、接触抵抗は0.62mΩであった。
[実施例3]
錫めっき液に添加するグラファイト粒子の量を20g/Lにし、攪拌翼の回転数を800rpm(レイノルズ数Re=18457)にした以外は、実施例2と同じ方法により、膜厚1.0μmの錫とグラファイト粒子の複合めっき皮膜が形成された複合めっき材を作製した。得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、摩擦係数、半田濡れ性、炭素含有量および接触抵抗の評価を行ったところ、摩擦係数は0.10、フラックスによる処理を行った場合のゼロクロスタイムは1.8秒、フラックス処理を行わない場合のゼロクロスタイムは3.8秒、炭素含有量は1.4質量%、接触抵抗は0.71mΩであった。
[実施例4]
錫めっき液に添加するグラファイト粒子の量を5g/Lにした以外は、実施例3と同じ方法により、膜厚1.0μmの錫とグラファイト粒子の複合めっき皮膜が形成された複合めっき材を作製した。得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、摩擦係数、半田濡れ性、炭素含有量および接触抵抗の評価を行ったところ、摩擦係数は0.13、フラックスによる処理を行った場合のゼロクロスタイムは1.8秒、フラックス処理を行わない場合のゼロクロスタイムは3.3秒、炭素含有量は1.0質量%、接触抵抗は0.71mΩであった。
[実施例5]
めっき時間を調整して複合めっき皮膜の厚さを0.55μmにした以外は、実施例3と同じ方法により、錫とグラファイト粒子の複合めっき皮膜が形成された複合めっき材を作製した。得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、摩擦係数、半田濡れ性、炭素含有量および接触抵抗の評価を行ったところ、摩擦係数は0.15、フラックスによる処理を行った場合のゼロクロスタイムは1.8秒、フラックス処理を行わない場合のゼロクロスタイムは3.5秒、炭素含有量は1.0質量%、接触抵抗は0.91mΩであった。
[実施例6]
めっき時間を調整して複合めっき皮膜の厚さを3.0μmにした以外は、実施例3と同じ方法により、錫とグラファイト粒子の複合めっき皮膜が形成された複合めっき材を作製した。得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、摩擦係数、半田濡れ性、炭素含有量および接触抵抗の評価を行ったところ、摩擦係数は0.09、フラックスによる処理を行った場合のゼロクロスタイムは1.8秒、フラックス処理を行わない場合のゼロクロスタイムは3.3秒、炭素含有量は1.5質量%、接触抵抗は0.61mΩであった。
[実施例7]
めっき液に添加するグラファイト粒子の量を50g/Lにした以外は、実施例3と同じ方法により、膜厚1.0μmの錫とグラファイト粒子の複合めっき皮膜が形成された複合めっき材を作製した。得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、摩擦係数、半田濡れ性、炭素含有量および接触抵抗の評価を行ったところ、摩擦係数は0.09、フラックスによる処理を行った場合のゼロクロスタイムは1.9秒、フラックス処理を行わない場合のゼロクロスタイムは3.8秒、炭素含有量は2.7質量%、接触抵抗は1.00mΩであった。
[比較例1]
錫めっき液にグラファイト粒子を添加しなかった以外は、実施例1と同じ方法により、無光沢Snめっきを行って、厚さ1.0μmのめっき皮膜を形成した後、400℃で10秒間リフロー処理することにより、リフロー処理されたSnめっき材を作製した。得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、摩擦係数、半田濡れ性、炭素含有量および接触抵抗の評価を行ったところ、摩擦係数は0.24、フラックスによる処理を行った場合のゼロクロスタイムは0.9秒、炭素含有量は0質量%、接触抵抗は0.67mΩであった。なお、フラックス処理を行わない場合のゼロクロスタイムの測定については、半田を弾いて濡れなかったので、測定することができなかった。
[比較例2]
攪拌翼の回転数をゼロ(レイノルズ数Re=0)にした以外は、実施例3と同じ方法により、膜厚1.0μmの錫とグラファイト粒子の複合めっき皮膜が形成された複合めっき材を作製した。得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、摩擦係数、半田濡れ性、炭素含有量および接触抵抗の評価を行ったところ、摩擦係数は0.16、フラックスによる処理を行った場合のゼロクロスタイムは2.1秒、炭素含有量は1.3質量%、接触抵抗は1.40mΩであった。なお、フラックス処理を行わない場合のゼロクロスタイムの測定については、半田を弾いて濡れなかったので、測定することができなかった。
[比較例3]
攪拌翼の回転数を50rpm(レイノルズ数Re=1154)にした以外は、実施例3と同じ方法により、膜厚1.0μmの錫とグラファイト粒子の複合めっき皮膜が形成された複合めっき材を作製した。得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、摩擦係数、半田濡れ性、炭素含有量および接触抵抗の評価を行ったところ、摩擦係数は0.11、フラックスによる処理を行った場合のゼロクロスタイムは1.8秒、炭素含有量は1.5質量%、接触抵抗は0.57mΩであった。なお、フラックス処理を行わない場合のゼロクロスタイムの測定については、半田を弾いて濡れなかったので、測定することができなかった。
[比較例4]
攪拌翼の回転数を100rpm(レイノルズ数Re=2307)にした以外は、実施例3と同じ方法により、膜厚1.0μmの錫とグラファイト粒子の複合めっき皮膜が形成された複合めっき材を作製した。得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、摩擦係数、半田濡れ性、炭素含有量および接触抵抗の評価を行ったところ、摩擦係数は0.11、フラックスによる処理を行った場合のゼロクロスタイムは2.0秒、炭素含有量は1.6質量%、接触抵抗は1.20mΩであった。なお、フラックス処理を行わない場合のゼロクロスタイムの測定については、半田を弾いて濡れなかったので、測定することができなかった。
[比較例5]
錫めっき液に添加するグラファイト粒子の量を5g/Lにし、攪拌翼の回転数を500rpm(レイノルズ数Re=11535)にした以外は、実施例2と同じ方法により、膜厚1.0μmの錫とグラファイト粒子の複合めっき皮膜が形成された複合めっき材を作製した。得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、摩擦係数、半田濡れ性、炭素含有量および接触抵抗の評価を行ったところ、摩擦係数は0.13、フラックスによる処理を行った場合のゼロクロスタイムは2.0秒、炭素含有量は1.0質量%、接触抵抗は0.65mΩであった。なお、フラックス処理を行わない場合のゼロクロスタイムの測定については、半田を弾いて濡れなかったので、測定することができなかった。
[比較例6]
攪拌翼の回転数を600rpm(レイノルズ数Re=13847)にした以外は、実施例3と同じ方法により、膜厚1.0μmの錫とグラファイト粒子の複合めっき皮膜が形成された複合めっき材を作製した。得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、摩擦係数、半田濡れ性、炭素含有量および接触抵抗の評価を行ったところ、摩擦係数は0.09、フラックスによる処理を行った場合のゼロクロスタイムは1.8秒、炭素含有量は1.4質量%、接触抵抗は0.83mΩであった。なお、フラックス処理を行わない場合のゼロクロスタイムの測定については、半田を弾いて濡れなかったので、測定することができなかった。
[比較例7]
錫めっき液に添加するグラファイト粒子の量を2g/Lにした以外は、実施例3と同じ方法により、膜厚1.0μmの錫とグラファイト粒子の複合めっき皮膜が形成された複合めっき材を作製した。得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、摩擦係数、半田濡れ性、炭素含有量および接触抵抗の評価を行ったところ、摩擦係数は0.20、フラックスによる処理を行った場合のゼロクロスタイムは1.8秒、フラックス処理を行わない場合のゼロクロスタイムは3.5秒、炭素含有量は0.7質量%、接触抵抗は0.81mΩであった。
[比較例8]
錫めっき液に添加するグラファイト粒子の量を60g/Lにした以外は、実施例3と同じ方法により、膜厚1.0μmの錫とグラファイト粒子の複合めっき皮膜が形成された複合めっき材を作製した。得られた複合めっき材について、実施例1と同様の方法により、摩擦係数、半田濡れ性、炭素含有量および接触抵抗の評価を行ったところ、摩擦係数は0.09、フラックスによる処理を行った場合のゼロクロスタイムは1.8秒、フラックス処理を行わない場合のゼロクロスタイムは3.6秒、炭素含有量は3.1質量%、接触抵抗は2.00mΩであった
なお、実施例および比較例の結果を表1に示す。
Figure 0005107117
本発明による複合めっき材は、車載用や民生用の電気配線に使用するワイヤーハーネス用コネクタの端子やPCB端子などの材料として使用することができる
本発明による複合めっき材の製造方法の実施の形態に使用可能なめっき装置の一例を概略的に示す図である。 本発明による複合めっき材の製造方法の実施の形態に使用可能なめっき装置の他の例を概略的に示す図である。
符号の説明
10、110 めっき装置、
12、112 めっき槽
14 ポンプ
16、116 めっき液
114 攪拌翼
118 陽極(Sn電極)
120 陰極(ワーク)

Claims (9)

  1. 錫めっき液にグラファイト粒子を添加した複合めっき液を使用して電気めっきを行うことにより、錫層中にグラファイト粒子を含有する複合材からなる皮膜を素材上に形成する複合めっき材の製造方法において、複合めっき液のレイノルズ数を18000以上にした状態で電気めっきを行うことを特徴とする、複合めっき材の製造方法。
  2. 前記複合めっき液を攪拌翼の回転により攪拌することによって前記レイノルズ数を18000以上にすることを特徴とする、請求項1に記載の複合めっき材の製造方法。
  3. 前記複合めっき液をポンプで圧送して攪拌することによって前記レイノルズ数を18000以上にすることを特徴とする、請求項1に記載の複合めっき材の製造方法。
  4. 前記複合めっき液に芳香族カルボニル化合物が添加されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の複合めっき材の製造方法。
  5. 錫層中にグラファイト粒子を含有する複合材からなる皮膜が素材上に形成され、同種同士の摩擦係数が0.19以下であり、フラックスによる処理を行わないで半田濡れ性を評価した際のゼロクロスタイムが5秒以下であることを特徴とする、複合めっき材。
  6. 前記摩擦係数が0.15以下であることを特徴とする、請求項5に記載の複合めっき材。
  7. 前記皮膜の厚さが0.5〜3.0μmであることを特徴とする、請求項5または6に記載の複合めっき材。
  8. 前記皮膜中の炭素含有量が1.0〜3.0質量%であることを特徴とする、請求項5乃至7のいずれかに記載の複合めっき材。
  9. 接触抵抗が1.0mΩ以下であることを特徴とする、請求項5乃至8のいずれかに記載の複合めっき材。
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