以下添付図面を用いて本発明に係る実施の形態を具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。なお、一般に、アンテナは電波の送信と受信の両方を行い得るものであるが、以下に示す実施例では、説明を簡単にするために、アンテナが電波を受信する場合についてのみ説明し、アンテナが電波を送信する場合についてはその説明を省略する。アンテナからの電波の送信が本発明に含まれることは言うまでもない。
図1は、本発明の第1の実施例の薄型アンテナ10、及びこれに接続する2本のケーブル2,3を示すものである。第1の実施例のアンテナ10は、透明フィルム11の上に、円偏波を送信及び/又は受信(以後送受信と記す)するためのループアンテナ12とテレビ電波を受信するための2つのTVアンテナ13,73とを備えている。図1は、薄型アンテナ10を電波の到来方向の逆方向から見たものである。即ち、薄型アンテナ10を、例えば自動車のフロントガラスの内側に貼り付けた場合に、これを自動車の車室内側から見たものである。車室内側から見たループアンテナ12は、透明フィルム11の左側の部分に配置されている。ループアンテナ12は右旋円偏波を送受信するために、ループアンテナ12を構成するアンテナ導体の外側に、後に詳しく説明する無給電素子14が設けられている。
また、TVアンテナ13,73は透明フィルム11の周囲に沿って設けられており、それぞれの先端部が折り曲げられている。この実施例では、ループアンテナ12とTVアンテナ13,73が設けられていない部分の透明フィルム11は切り取られて孔部15となっている。この孔部15は、ループアンテナ12が配置された透明フィルム11Aの部分を囲むように設けられており、ループアンテナ11が配置された透明フィルム11Aの部分が舌片状になっている。以後、この部分を透明フィルムの舌片部11Aと言う。更に、ループアンテナ12を構成するアンテナ導体の両端部には、2つの給電端子16,17が設けられており、TVアンテナ13,73を構成する線状導体の一方の端部にはアンテナ接続端子18,79が設けられている。アンテナ接続端子18,79は、この実施例では透明フィルム11の左上部にあり、ループアンテナ12の給電端子16,17の両側に設けられている。更にまた、ループアンテナ12、無給電素子14、TVアンテナ13,73、及びアンテナ接続端子18,79は、同じ導体薄膜、ワイヤ、導電性インク、或いは銅箔等の導体による印刷によって形成すれば良い。
ループアンテナ12の2つの給電端子16,17にはケーブル2を接続することができ、ループアンテナ12で受信した電波は、このケーブル2によって、所定の受信機、例えば、GPSレシーバに導かれる。ケーブル2の薄型アンテナ10側の先端部にはコネクタ21が接続されており、このコネクタ21に設けられた2つの接続端子22,23がループアンテナ12の2つの給電端子16,17にそれぞれ接続する。2つの接続端子22,23は、この実施例ではばね性を備えている。コネクタ21の透明フィルム11への接着は、例えば、両面接着テープで行えば良い。ケーブル2は同軸ケーブルであるので、この実施例では給電端子16,17の一方が接地されることになる。また、コネクタ21の内部には、後述するアンプやバランス回路(平衡‐不平衡変換回路)を搭載することができる。
TVアンテナ13,73のアンテナ接続端子18,79にはそれぞれケーブル3を接続することができる。TVアンテナ13,73で受信した電波は、このケーブル3と、これに接続するケーブル4によって、図示しないTVチューナ(セレクタ)に導かれる。尚、アンテナ接続端子18,79に接続するケーブルは同様の構成であるため、アンテナ接続端子79に接続するケーブル3,4の図示は省略してある。ケーブル3の薄型アンテナ10側の先端部にはコネクタ31が接続されており、このコネクタ31に設けられた接続端子32がTVアンテナ13のアンテナ接続端子18に接続する。コネクタ31の透明フィルム11への接着も、例えば、両面接着テープで行えば良い。ケーブル3は単芯ケーブルであり、この実施例では同軸ケーブル4の芯線41に接続される。この同軸ケーブル4のアース線42は、別の単芯ケーブル43によって自動車のボディ44の一部に導かれ、このボディ44に貼り付けられた金属箔45にコネクタ46で接続される。即ち、同軸ケーブル4のアース線42は、自動車のボディ44に交流的に接地される。
図2(a)は本発明の薄型アンテナ10と共に使用する薄型のテレビアンテナ50の構成を示すものである。テレビアンテナ50は、透明フィルム11の上にテレビ電波を受信するための2つのTVアンテナ51,52を備えている。図2(a)は、テレビアンテナ50を自動車のフロントガラスの内側に設置した場合に、これを自動車の車室内側から見たものである。車室内側から見た2つのTVアンテナ51,52は透明フィルム11の周囲に沿って設けられており、この実施例では、2つのTVアンテナ51,52が設けられていない部分の透明フィルム11は切り取られて孔部55となっている。更に、TVアンテナ51,52を構成する線状導体の一方の端部には、それぞれアンテナ接続端子53,54が設けられている。アンテナ接続端子53,54には、図1で説明したケーブル3と同様のケーブルがコネクタを介して接続され、受信した電波はケーブルを通じて同様にTVチューナ(セレクタ)に導かれる。
図2(b)は、図1の薄型アンテナ10と図2(a)の薄型テレビアンテナ50を自動車のフロントガラス1の左右の上部に設置した場合の、受信機8との接続を示す自動車の車室内前方を示すものである。自動車では、受信機8はナビゲーション装置である場合が多いので、以後は受信機8はナビゲーション装置8として説明する。近年のナビゲーション装置8は、地図上に自動車の現在位置を表示して目的地までのルートを示すナビゲーション機能の他に、テレビ画面表示、音楽再生や画像再生、交通情報の表示等の多くの機能を備えている。図3は図2(b)に示した薄型アンテナ10と薄型テレビアンテナ50、及びナビゲーション装置8との接続を示す回路図である。
まず、図3を用いて薄型アンテナ10と薄型テレビアンテナ50の、ナビゲーション装置8との接続を説明する。薄型アンテナ10に設けられたループアンテナ12は、前述のようにコネクタ21と同軸ケーブル2を用いてナビゲーション装置8に内蔵されたGPSレシーバ81に接続されている。この実施例では、コネクタ21にアンプ6が内蔵されており、ループアンテナ12で電波を受信して得られる信号は、アンプ6で増幅されて出力される。
また、薄型アンテナ10に設けられた2つのTVアンテナ13,73は、それぞれコネクタ31と図示しないケーブル2と同軸ケーブル4によってセレクタ/アンプ40のセレクタ47に接続されている。また、薄型テレビアンテナ50に設けられた2つのTVアンテナ51,52は、それぞれコネクタ31と図示しないケーブル2と同軸ケーブル4によってセレクタ/アンプ40のセレクタ47に接続されている。セレクタ47は、受信感度の高いTVアンテナ(TVアンテナ13,73,51,52の何れか)を選択して、その出力がアンプ48に出力されるようにTVアンテナを切り換える。この結果、TVアンテナ13,73,51,52の何れかが、セレクタ/アンプ40と同軸ケーブル5を通じて受信機8に内蔵されたTVチューナ82に接続される。TVアンテナ13,73,51,52は、何れもTV放送電波と、FM放送電波を受信することができる。
ナビゲーション装置8には、GPSレシーバ81、TVチューナ82の他に、地図情報を記憶するCD、DVD、或いはHDD等で構成される記憶媒体83と、地図やTV画面を表示する表示器である液晶表示器84、及び自動車の現在位置の計算や経路案内等を行うコントローラ85があり、内部バス86で相互に接続されている。TVチューナ82や液晶表示器84は、ナビゲーション装置8に一体的に設けられることもあるが、別に独立して設けられることもある。また、セレクタ/アンプ40は、ナビゲーション装置8に内蔵されることもある。
コントローラ85は、ナビゲーション装置8がナビゲーションモードの時に、ループアンテナ12とGPSレシーバ81によって受信されたGPS衛星からの信号に基づいて自動車の現在位置を計算し、この現在位置に対応する地図を地図情報記憶媒体83から読み出し、読み出した地図を液晶表示器84に表示すると共に、この地図上に自動車の現在位置を表示する。また、コントローラ85は、目的地が入力されている場合には、現在位置からこの目的地までの経路を計算して地図上に表示することができる。更に、コントローラ85は、ナビゲーション装置8がテレビモードの時には、TVアンテナ13,17,51,52の何れかとTVチューナ82によってTV放送を受信し、受信したTV放送を液晶表示器84に表示する。
図2(b)に戻ると、この実施例では、ナビゲーション装置8は自動車のセンターコンソールに内蔵されており、セレクタ/アンプ40は助手席側の足元に内蔵されている。そして、薄型アンテナ10と薄型テレビアンテナ50からのケーブル2,4は、自動車のAピラーに沿って取り付けられてナビゲーション装置8に直接接続されるか、或いはセレクタ/アンプ40とケーブル5を通じて受信機8に接続される。そして、薄型アンテナ10と薄型テレビアンテナ50は、前述のように、透明フィルムを使用して構成されているので、これらをフロントガラス1の上部に取り付けた場合でも、薄型アンテナ10と薄型テレビアンテナ50とが自動車の運転者の視界、特に左前方の視界Vを妨げることがなくなる。また、この実施例のように、薄型アンテナ10をフロントガラス1の助手席側に取り付けることにより、ループアンテナ12が運転者の視界に入りにくくなり、自動車の運転者の視界を妨げにくくなる。
なお、図1に示した薄型アンテナ10に設けられたループアンテナ12のA‐A線における断面図は図17(a)に示される。図の符号19は保護膜である。この薄型アンテナ10は、保護膜19と反対側の面に貼付した両面接着テープ39により、図2(b)に示した自動車のフロントガラス1の裏面(車室内側)に貼り付けることができる。また、他の実施形態として、ループアンテナ12を透明フィルム11の一方の面に設け、無給電素子14は透明フィルム11の他方の面に設けることが可能である。この実施形態を図17(b)に示す。この形態では保護膜19が透明フィルム11の両面に積層され、両面接着テープ39が無給電素子14のある側の面に貼付されている。このように、無給電素子14は、ループアンテナ12のアンテナ導体がある面と同じ面になくても、アンテナ導体に近接さえしていれば有効である。尚、図示はしないが、保護膜19は、ループアンテナ12と無給電素子14を覆うように設けられていれば良く、透明フィルム11の全体を覆うように設けなくても良い。更に、ループアンテナ12と無給電素子14を一方の面に設け、TVアンテナ13,73は他方の面に設けるようにしても良い。
更に別の実施形態として、薄型アンテナ10や薄型テレビアンテナ50を、自動車のフロントガラス1に内蔵させることもできる。その実施例を図17(c)に示す。図17(c)は、図17(a)と同じ部位における自動車のフロントガラス1の部分断面図である。尚、図示はしないが、薄型アンテナ10や薄型テレビアンテナ50を、絶縁体で構成された自動車の外装部材の表面又は内部に設けても良い。
図4(a)は、図1に示したループアンテナ12に接続するコネクタ21にアンプ(ロー・ノイズ・アンプ)6を内蔵させた形態を示すものである。この構成にすれば、ループアンテナ12で受信した電波をアンプ6で増幅して同軸ケーブル2でGPSレシーバに導くことができる。図4(b)は図4(a)に示したアンプ6の内部構成の一例を示す回路図である。この図において、Cはコンデンサ、Lはコイル、24,26はアンプ、25はバンドパスフィルタ(BPF)を示している。ループアンテナ12がGPSに使用される電波を受信する場合、BPF25の中心周波数は1575MHzであり、帯域はこの周波数を中心にして、上下に1.5MHzである。
図5(a)は図1に示したループアンテナ12に接続するコネクタ21に、バランス回路(平衡‐不平衡変換回路のことであり、図にはバランと記載)7とアンプ6とを内蔵させた形態を示すものであり、図5(b),(c)は(a)のバランス回路7に使用できる2つの例を示すものである。図5(b)はブリッジ型のバランス回路7の一例、図5(c)ははしご型のバランス回路7の一例を示すものであるが、これらの回路については公知であるので、これ以上の説明を省略する。
ここで、本発明の薄型アンテナ10が主として受信する円偏波を受信するループアンテナ12の本発明における構成について説明する。
図6(a)は本発明に使用する円偏波用のループアンテナ12の内の、右旋回の円偏波用のループアンテナ12の構成を示すものである。右旋回の円偏波は、GPS用の電波に使用されている他に、ETC用の電波に使用されている。この図は右旋回の円偏波の到来方向からループアンテナ12を見た状態を示している。図において、符号16,17は給電回路又は同軸ケーブルが接続される給電端子であり、この給電端子16,17に連絡導体27を介してアンテナ導体が接続されている。また、符号14はループアンテナ12に接続されない独立した線状の導体であり、ループアンテナ12の外側に配置されている。本発明ではこの線状の導体を無給電素子と呼ぶ。
この実施例のループアンテナ12のアンテナ導体の形状は正方形であり、その1つの頂点に給電端子16,17が設けられている。この実施例では、無給電素子14は、アンテナ導体の一辺に平行な直線状の導体である第1の部分14Aと、この第1の部分14Aに電気的に接続する直線状の第2の部分14Bとから構成されている。第2の部分14Bは、第1の部分14Aの仮想延長線IEに対して所定の角度で配置されている。この状態を以後、第2の部分14Bは第1の部分に対して曲げられていると言う。第2の部分14Bの折り曲げ方向は、第1の部分14Aの仮想延長線IEに対してアンテナ導体側、即ち、アンテナ導体の他の辺がある側に折り曲げられている。この第2の部分14Bは、その自由端側ほど近接するループアンテナ12のアンテナ導体に対して次第に遠ざかる。そして、この実施例の第2の部分14Bは、給電端子16,17の中間点とこれに対向する頂点を結ぶ直線CLに対して平行に配置されている。そして、この実施例では給電端子16,17の内の給電端子17が接地される。
ここで、無給電素子14の機能について説明する。今、無給電素子14が無い状態のループアンテナ12を考えると、特に、周囲(アンテナ導体の全長)が1波長のループアンテナ12では、これを自動車に取り付けた時に、自動車に対して垂直方向の電界の成分(横成分)のみしか受信しない。これは、ループアンテナ12のアンテナ導体の形状に関係しない。これに対して、円偏波は時間によって電界の方向が変化する、そして、変化する円偏波を常に受信しないと円偏波を完全に受信したことにはならない。無給電素子14は、この円偏波の縦成分を受信するために、ループアンテナ12のアンテナ導体に近接させて設けたものである。更に正確に述べると、無給電素子14の第2の部分14Bによって円偏波の縦成分を取り込み、アンテナ導体に近接する第1の部分14Aによって受信した円偏波の縦成分を、近接するループアンテナ12のアンテナ導体に結合させるのである。この結果、円偏波の縦成分と横成分とが同相でループアンテナ12に受信されるのである。即ち、無給電素子14が第2の部分14Bのみであると、受信した円偏波がループアンテナ12に伝わり難いので、受信した円偏波を効率的にループアンテナ12に伝えるために無給電素子14に第1の部分14Aが設けられている。
ループアンテナ12を構成するアンテナ導体の全長は、送受信する電波の波長に等しく形成されており、GPS用の場合、アンテナ導体の一辺の長さは48mmである。また、無給電素子14を構成する導体の全長(第1の部分の長さと第2の部分の長さの合計値)は、この実施例ではループアンテナ12が送受信する電波の約1/2波長の長さであり、約90mmである。そして、無給電素子14を構成する導体の全長は、ループアンテナ12が送受信する電波の約1/2波長より長くすること、及び、ループアンテナ12が送受信する電波の波長の整数倍とすることも可能である。
なお、この実施例は、比誘電率1の誘電体にループアンテナを設置した場合のものであり、ガラス等の誘電率が高い部材にこのループアンテナを設置する場合は、波長短縮に応じてループアンテナのサイズを小さくすれば良い。
例えば、λ1を誘電体上でのある特定の周波数における電波の波長とし、λ0を自由空間における前述の或る特定の周波数と同じ周波数における電波の波長とし、αをアンテナ周囲の誘電体による波長短縮率とすると、
λ1=α×λ0
の関係が成り立つので、この波長短縮率αに応じてループアンテナのサイズを小さくすることができるのである。
また、本発明では、無給電素子14は、ループアンテナ12を略均等に二分する分割線(図6(a)の実施例では中心線CL)に対して、その分割線の一方の側に位置しており、この分割線を越えて反対側の領域に達することがないように配置される。また、無給電素子14は、ループアンテナ12の給電点16,17から見たループの対極を結ぶ直線(図6(a)の実施例では中心線CL)に対して平行な成分と、垂直な成分に分けた時に、必ず平行な成分が存在するように、ループアンテナ12の近傍に配置される。即ち、本発明における無給電素子14は、中心線CLに対して垂直な成分のみから構成されるものではない。
この理由は、前述のように無給電素子14が、ループアンテナ12で受信できない円偏波の成分を受信するために設けられたものであるからである。
図6(b)は本発明に使用する円偏波用のループアンテナ12の内の、左旋回の円偏波用のループアンテナ12の構成を示すものである。左旋回の円偏波は、衛星ディジタル放送用の電波に使用されている。この図は左旋回の円偏波の到来方向からループアンテナ12を見た図である。左旋回の円偏波用のループアンテナ12が、右旋回の円偏波用のループアンテナ12と異なる点は、無給電素子14の位置のみである。よって、右旋回の円偏波用のループアンテナ12と同じ構成部材には、同じ符号を付してその説明を省略する。図6(b)に示す左旋回の円偏波用のループアンテナ12では、無給電端子14の位置は、図6(a)に示す右旋回の円偏波用のループアンテナ12における無給電端子14の、前述の直線CLに対して線対称の位置である。また、左旋回の円偏波用のループアンテナ12では、給電端子16が接地される。
このように、左旋回の円偏波用のループアンテナ12の無給電端子14の位置を、右旋回の円偏波用のループアンテナ12の無給電端子14の位置と線対称の位置にする理由は、第2の部分14Bで左旋回の円偏波の縦の成分を受信し、第1の部分14Aで受信した円偏波の縦の成分をループアンテナ12に伝えるためである。
図7(a)は本発明に使用する円偏波用のループアンテナ12の内の、右旋回の円偏波用のループアンテナ12の別の構成を示すものである。この図に示す右旋回の円偏波用のループアンテナ12は、図6(a)で説明した右旋回の円偏波用のループアンテナ12と同じ方向から見たものであり、図6(a)で説明した右旋回の円偏波用のループアンテナ12と異なる点は、無給電素子14の位置のみである。よって、図6(a)と同じ構成部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
図6(a)で説明した右旋回の円偏波用のループアンテナ12では、無給電素子14は、ループアンテナ12の左側に設けられていた。一方、図7(a)に示す右旋回の円偏波用のループアンテナ12では、無給電素子14が、給電端子16,17の中間点とこれに対向する頂点を結ぶ直線CLの上にある中心点CPに対して、図6(a)の無給電素子14と点対称の位置、即ち図6(a)の無給電素子14を、中心点CPを中心にして180°回転させた位置、に配置されている。右旋回の円偏波用のループアンテナ12においては、無給電素子14をこのような点対称の位置に配置してもその効果は変わらない。これは、第2の部分14Bで右旋回の円偏波の縦の成分を受信し、第1の部分14Aで受信した円偏波の縦の成分をループアンテナ12のアンテナ導体に伝えることができるためである。
図7(b)は本発明に使用する円偏波用のループアンテナ12の内の、左旋回の円偏波用のループアンテナ12の別の構成を示すものである。この図に示す左旋回の円偏波用のループアンテナ12は、図6(b)で説明した左旋回の円偏波用のループアンテナ12と同じ方向から見たものであり、図6(b)で説明した左旋回の円偏波用のループアンテナ12と異なる点は、無給電素子14の位置のみである。よって、図6(b)と同じ構成部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
図6(b)で説明した右旋回の円偏波用のループアンテナ12では、無給電素子14は、ループアンテナ12の右側に設けられていた。一方、図7(b)に示す左旋回の円偏波用のループアンテナ12では、無給電素子14が、給電端子16,17の中間点とこれに対向する頂点を結ぶ直線CLの上にある中心点CPに対して、点対称の位置に配置されている。左旋回の円偏波用のループアンテナ12においては、無給電素子14をこのような点対称の位置に配置してもその効果は変わらない。これは、第2の部分14Bで左旋回の円偏波の縦の成分を受信し、第1の部分14Aで受信した円偏波の縦の成分をループアンテナ12のアンテナ導体に伝えることができるためである。
図8(a)から図9(d)は、ループアンテナ12のアンテナ導体の形状が正方形の場合の、ループアンテナ12に対する無給電素子14の色々な配置の形態を示すものである。なお、ここでは、図6(a),(b)に示す右旋回と左旋回の円偏波用のループアンテナ12を基本の形とし、アンテナ導体の中心点をCPとして説明する。
図8(a)は、図6(a)のループアンテナ12における無給電素子14を、中心点CPに対して90°左回りに回転させた位置に配置したものである。また、図8(b)は、図6(b)のループアンテナ12における無給電素子14を、中心点CPに対して90度右回りに回転させた位置に配置したものである。無給電素子14をこのように配置しても、ループアンテナ12の円偏波の受信性能に差はない。
図8(c)は、図6(a)のループアンテナ12における無給電素子14の第2の部分14Bを、第1の部分14Aに対して折り曲げずに、そのまま第1の部分14Aと同じ方向に延長したものである。図6(b)のループアンテナ12における無給電素子14の第2の部分14Bを、第1の部分14Aに対して折り曲げずに、そのまま第1の部分14Aと同じ方向に延長したものも可能である。
一方、図8(d)は、図8(c)の無給電素子14を、ループアンテナ12の中心点CPに対して180°回転させた位置に配置したものである。左旋回の円偏波用のループアンテナ12でも同様の配置が可能である。無給電素子14をこのように配置しても、ループアンテナ12の円偏波の受信性能に差はない。
図9(a)は、図6(a)に示したループアンテナ12の設置位置に対して、ループアンテナ12の下方に水平方向に補助導体9を配置した例を示すものである。この実施形態については後述する。図9(b)は図6(a)に示したループアンテナ12の無給電素子14と同様の補助無給電素子141を、アンテナ導体の中心点CPに対して点対称の位置にもう1つ配置したものである。また、図9(c)は図6(a)に示した無給電素子14の外側に、これに略平行に補助無給電素子142を配置したものである。更に、図9(d)は、図9(b)に示した無給電素子14と補助無給電素子141の外側に、これらに略平行に更に補助無給電素子142,143をそれぞれ配置したものである。無給電素子の数を増やすと、ループアンテナ12の円偏波の受信性能が向上する。
図10は、本発明の第2の実施例の薄型アンテナ20の構成を示すものであり、第1の実施例の薄型アンテナ10と同じ方向から見たものである。第2の実施例の薄型アンテナ20が、図1に示した第1の実施例の薄型アンテナ10と異なる点は、TVアンテナ13の配置、及びループアンテナ12が配置された透明フィルムの舌片部11Aが自由端側に延長され、その延長部分に図9(a)で説明した補助導体9が設けられている点のみである。この補助導体9は、ループアンテナ12の外側に、アンテナ導体の中心点CPを中心とする仮想円ICに接するように設けられる(後述の図11(a),(b)参照)。従って、第1実施例の薄型アンテナ10と同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
図10に示す透明フィルムの舌片部11Aの先端部に設けられた補助導体9は、その全長をループアンテナ12が受信する電波の波長の1/2に対して、長くするか、短くするかによって、薄型アンテナ20の指向性を変えることができる。この補助導体9は、図10に示すように1本でも良いが、複数本配置しても良いものである。また、薄型アンテナ20に設置されたTVアンテナ13の一部を、図10に示すように、補助導体として兼用させても良いものである。
図11(a)は補助導体9の長さをループアンテナ12の受信電波の波長の1/2以上の長さにした実施例を示すものである。このように、補助導体9の長さをループアンテナ12の受信電波の波長の1/2以上の長さにすると、図12(a)に示すように、ループアンテナ12の受信の指向性が、アンテナ導体の中心点CPに立てた垂直軸Yに対して、補助導体9の反対側の斜め上方を向いた指向軸Zとなる。なお、図12(a)には無給電素子14の図示は省略してある。
図11(b)は補助導体9の長さをループアンテナ12の受信電波の波長の1/2未満の長さにした実施例を示すものである。このように、補助導体9の長さをループアンテナ12の受信電波の波長の1/2未満の長さにすると、図12(b)に示すように、ループアンテナ12の受信の指向性が、アンテナ導体の中心点CPに立てた垂直軸Yに対して、補助導体9と同じ側の斜め上方を向いた指向軸Xとなる。なお、図12(b)には無給電素子14の図示は省略してある。
よって、図11(a)に示した補助導体9の長さがループアンテナ12の受信電波の波長の1/2以上の長さであるループアンテナ12を有する薄型アンテナ20を、図11(c)に示すように、自動車100の傾斜したフロントガラス1に取り付けると、薄型アンテナ20の受信の指向軸の方向を、矢印Zで示す天頂方向に向けることができる。この結果、薄型アンテナ20の天頂方向に対する受信性能が向上する。一方、図11(b)に示した補助導体9の長さがループアンテナ12の受信電波の波長の1/2未満の長さであるループアンテナ12を有する薄型アンテナ20を、図11(c)に示すように、自動車100の傾斜したフロントガラス1に取り付けると、薄型アンテナ20の受信の指向軸の方向を、矢印Xで示す水平方向に近い方向に向けることができる。この結果、薄型アンテナ20の水平に近い方向に対する受信性能が向上する。
図13(a)は、本発明の第3の実施例の薄型アンテナ30の構成を示すものであり、薄型アンテナ30を電波の到来方向の逆方向から見た図である。第3の実施例の薄型アンテナ30が、図1に示した第1の実施例の薄型アンテナ10と異なる点は、TVアンテナ13の配置、及びループアンテナ12が配置された透明フィルムの舌片部11Aが横方向に延長され、その延長部分にもループアンテナ121と122とが設けられている点のみである。従って、第1実施例の薄型アンテナ10と同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
ループアンテナ121は、無給電素子141の配置が図6(b)と同様である(この図は電波の到来方向の逆方向から見た図であるので、無給電素子141の配置は図6(b)と反対側になっている)ので、左旋回の円偏波を受信するためのループアンテナである。161、171は給電端子である。また、ループアンテナ122は、無給電素子142の配置が図6(a)と同様である(この図は電波の到来方向の逆方向から見た図であるので、無給電素子142の配置は図6(a)と反対側になっている)ので、ループアンテナ12と同様の右旋回の円偏波を受信するためのループアンテナであるが、ループの全長がループアンテナ12に対して短い。よって、ループアンテナ122は、より高い周波数の右旋回の円偏波を受信するものである。162、172は給電端子である。
なお、第3の実施例の薄型アンテナ30では、透明フィルムの舌片部11Aが横長になっており、第1の実施例の薄型アンテナ10ではTVアンテナ73とそのアンテナ接続端子79が配置されていた位置に、給電端子161、162、171、172が設けられている。また、この実施例では、透明フィルム11の右側の部分を延長して延長部11Bが形成されており、TVアンテナ13はこの延長部11Bで折り返されてTVの受信周波数の波長分の長さを確保している。このように、本発明の薄型アンテナ30には、透明フィルム11の上に、複数個のループアンテナを搭載することができる。この結果、複数種類の電波用のアンテナ搭載スペースが削減され、ケーブルを統合することができるので、アンテナの車両への搭載性、取付性を向上させ、アンテナの設置コストを低減することができる。
図13(b)は(a)に示した第3の実施例の薄型アンテナ30の変形例の薄型アンテナ30Sの構成を示すものであり、薄型アンテナ30Sを電波の到来方向の逆方向から見た図である。(b)に示す薄型アンテナ30Sが(a)に示した第3の実施例と異なる点は、ループアンテナ12が配置された透明フィルム11の舌片部11Aが、TVアンテナ13のアンテナ接続端子18側にも延長され、その延長部分に車両盗難防止装置において使用される信号の送受信用(セキュリティ用)のアンテナ150とそのアンテナ接続端子151が設けられている点と、ループアンテナ121と122とがミシン目152により、それぞれ独立に舌片部11Aから切り取り可能に設けられている点である。従って、第3の実施例の薄型アンテナ30と同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
この変形例の薄型アンテナ30Sでは、車両盗難防止が接続できると共に、ループアンテナ121と122とが、不要の際にはミシン目152により削除することができるようになっている。
図19は、図13(b)に示した薄型アンテナ30Sに設けられた車両盗難防止装置において使用されるセキュリティ用のアンテナ150に車両盗難防止150が接続された場合の、薄型アンテナ30Sと薄型テレビアンテナ50のナビゲーション装置8との接続を説明するものである。セキュリティ用のアンテナ150は、コネクタ154及びこのコネクタ154に接続されるケーブル155を介して車両盗難防止装置153に接続される。尚、車両盗難防止装置153は、ナビゲーション装置8に内蔵されていても良く、また、アンテナ150で送受信する信号を増幅するアンプがケーブル155の途中、或いはコネクタ154内に設けられていても良い。この実施例では、ループアンテナ121と122とは使用されていない。
薄型アンテナ30Sに設けられたループアンテナ12は、コネクタ21と同軸ケーブル2を用いてナビゲーション装置8に内蔵されたGPSレシーバ81に接続されている。この実施例でも、コネクタ21にアンプ6が内蔵されている。また、薄型アンテナ30Sに設けられたTVアンテナ13は、コネクタ31と図示しないケーブル2と同軸ケーブル4によってセレクタ/アンプ40のセレクタ47に接続されている。
また、薄型テレビアンテナ50に設けられた2つのTVアンテナ51,52は、それぞれコネクタ31と図示しないケーブル2と同軸ケーブル4によってセレクタ47とアンプ48を内蔵したセレクタ/アンプ40に接続され、その後に同軸ケーブル5を通じてナビゲーション装置8に内蔵されたTVチューナ82に接続されている。ナビゲーション装置8には、GPSレシーバ81、TVチューナ82の他に、地図情報記憶媒体83、液晶表示器84、及びコントローラ85があり、内部バス86で相互に接続されている。図19に示した構成は、図3に示した構成において薄型アンテナ10が薄型アンテナ30Sに置き換わっただけのものであり、各部材の機能は図3において説明したので、これ以上の説明を省略する。
薄型アンテナ30Sには、セキュリティ用のアンテナ150の代わりに、或いはセキュリティ用のアンテナ150に加えて、自動車のキーレスエントリシステムで使用される信号用のアンテナや、遠隔エンジン始動装置で使用される信号用のアンテナを搭載することができる。この場合には、薄型アンテナ30Sがキーレスエントリシステムや遠隔エンジン始動装置のアンテナとして動作する。また、車両盗難防止装置、キーレスエントリシステムや遠隔エンジン始動装置用のアンテナは、これらの装置を接続しない場合には、切り取ることができる。
図14(a)〜(d)は本発明の薄型アンテナに使用する円偏波用のループアンテナ12のアンテナ導体の形状を長方形とした場合の無給電素子14の配置例を示すものである。これらの図は右旋回の円偏波の到来方向からループアンテナ12を見た図である。
図14(a)のループアンテナ12は、図6(a)に示したループアンテナ12の平行な辺のアンテナ導体が、左下方向に同じ長さだけ延長された長方形のアンテナ導体を備えるものであり、その1つの頂点に給電端子16,17が設けられている。この実施例でも、無給電素子14は、アンテナ導体の一辺に平行な第1の部分14Aと、この第1の部分14Aに電気的に接続され、第1の部分14Aに対して折り曲げられた状態で接続する第2の部分14Bとから構成されている。第2の部分14Bはアンテナ導体の他の辺に近づく方向に折り曲げられているが、この第2の部分14Bはその自由端部ほど、近接するアンテナ導体の一辺との距離が大きくなっている。そして、給電端子16,17は、給電端子17が接地される。
図14(b)のループアンテナ12は、図14(a)のループアンテナ12と同じ形状の長方形のアンテナ導体を備えるものであり、その1つの頂点に給電端子16,17が設けられている。この実施例の無給電素子14は、図14(a)に示した無給電素子14が、長方形のアンテナ導体の中心点CPに対して点対称の位置に設けられたものである。そして、給電端子16,17は、給電端子16が接地される。
図14(c)のループアンテナ12は、図6(a)に示したループアンテナ12の平行な辺のアンテナ導体が右下方向に同じ長さだけ延長された長方形のアンテナ導体を備えるものであり、その1つの頂点に給電端子16,17が設けられている。この実施例でも、無給電素子14は、アンテナ導体の一辺に平行な第1の部分14Aと、この第1の部分14Aに電気的に接続し、第1の部分14Aに対して折り曲げられた状態で接続する第2の部分14Bとから構成されている。第2の部分14Bはアンテナ導体の他の辺に近づく方向に折り曲げられているが、この第2の部分14Bはその自由端部ほど、近接するアンテナ導体の一辺との距離が大きくなっている。そして、給電端子16,17は、給電端子17が接地される。
図14(d)のループアンテナ12は、図14(c)のループアンテナ12と同じ形状の長方形のアンテナ導体を備えるものであり、その1つの頂点に給電端子16,17が設けられている。この実施例の無給電素子14は、図14(c)に示した無給電素子14が、長方形のアンテナ導体の中心点CPに対して点対称の位置に設けられたものである。そして、給電端子16,17は、給電端子16が接地される。
本発明の薄型アンテナ10、20、30、30Sに使用する円偏波の受信用のループアンテナ12のアンテナ導体の形状は、前述の正方形と長方形以外にも、種々の形状が可能である。その形状について以下に説明する。
図15(a)はループアンテナ12のアンテナ導体の形状を六角形とした場合の無給電素子14の配置の一例を示すものである。この例では、無給電素子14の第1の部分14Aと第2の部分14Bの両方が六角形のアンテナ導体の隣り合う2つの辺に平行に形成されている。第2の部分14Bは隣接する六角形のアンテナ導体の一辺の長さを越えて更に延長されても良いものである。また、無給電素子14は、この六角形のアンテナ導体の中心点CPに対して、60度の整数倍だけ回転させた位置に配置することもできる。更に、無給電素子14の第2の部分14Bは、図15(b)に示すように、第1の部分14Aに対して折り曲げずに、そのまま直線的に延長しても良いものである。
図15(c)はループアンテナ12のアンテナ導体の形状を三角形とした場合の無給電素子12の配置の一例を示すものである。この例では、無給電素子14の第1の部分14Aが三角形のアンテナ導体の給電端子16に隣り合う1つの辺に平行に形成され、第2の部分14Bは第1の部分14Aに対して三角形のアンテナ導体の他の辺に近づく側に折り曲げられている。また、無給電素子14は、この三角形のアンテナ導体の中心点CPに対して、120度だけ左回りに回転させた位置に配置することもできる。
図15(d)はループアンテナ12のアンテナ導体の形状が正方形である場合の、無給電素子14の配置の更に別の例を示すものである。前述の実施例では、無給電素子14は全てループアンテナ12のアンテナ導体の外側に配置されていたが、この実施例では、無給電素子14がループアンテナ12のアンテナ導体の内部に配置されている点が異なる。このように、無給電素子14は、ループアンテナ12のアンテナ導体の形状如何にかかわらず、アンテナ導体の内側に配置することもできる。
以上の実施例では、ループアンテナ12のアンテナ導体の形状は多角形であったが、アンテナ導体の形状は円形でも良く、その実施例について説明する。
図16(a)はループアンテナ12のアンテナ導体の形状を円形とした場合の、無給電素子14の配置の一例を示すものである。この例では、無給電素子14の第1の部分14Aが、円形のアンテナ導体の1つの接線に平行に、かつ円弧から所定距離だけ離れた位置に形成されている。第2の部分14Bは第1の部分14Aに対してアンテナ導体に近づく側に折り曲げられて配置されている。この実施例では、第2の部分14Bは、2つの給電端子16、17の間と中心点CPとを通る中心線CLに対して平行に配置されている。なお、図16(b)に示すように、無給電素子14の第1の部分14Aは、ループアンテナ12の円弧状のアンテナ導体に平行(同心円状)に形成しても良いものである。更に、無給電素子14の第1の部分14Aと第2の部分14Bを、図16(c)に示すように、共に2つの給電端子16、17の間と中心点CPを通る中心線CLに対して平行に配置しても良い。更にまた、図16(d)に示すように、円形のループアンテナ12のアンテナ導体の一部を直線的に形成し、無給電素子14の第1の部分14Aに平行な部分12Pを作っても良い。
なお、本発明の薄型アンテナ10、20、30に使用できるループアンテナ12のアンテナ導体の形状、及び、無給電素子14の数と配置は、前述の実施例に限定されるものではない。
図18は、図6(a)で説明した本発明の円偏波用の薄型のループアンテナ12及び無給電素子14の一実施例における具体的な寸法を説明するための図である。まず、ループアンテナ12側の諸寸法について説明する。この実施例では、給電端子16,17の寸法は、短手方向の長さEが3mm、長手方向の長さFが5mmであり、給電端子16,17とアンテナ導体とを結ぶ連絡導体27の長さGが10mmである。また、連絡導体27の線間寸法Hは3mmである。更に、正方形状のアンテナ導体の一辺の長さKは30〜35mmであり、アンテナ導体のパターン幅Jは0.3mmである。
次に、無給電素子14は、アンテナ導体に平行な第1の部分14Aの長さZ1は15〜25mm、第1の部分14Aに電気的に接続する第2の部分14Bの長さZは35〜45mmであり、第1の部分14Aと第2の部分14Bを加えた全長Zが55〜75mmである。また、第1の部分14Aとアンテナ導体との距離Mは1.5〜3.5mmである。
図18に示す実施例の円偏波用の薄型のループアンテナ12は、GPS用の電波を受信することができる。この実施例の寸法はあくまでも一例であり、受信する電波の周波数が異なれば、前述の寸法は周波数の高低に応じて比例的に増減させることができる。
更に、前述の実施例では、薄型アンテナ10,20,30は、ループアンテナ12を透明フィルム11の上に形成し、自動車のフロントガラス1の裏面側に貼付するものを説明したが、ループアンテナ12は、通常のプリント基板上や、樹脂ケースの表面のような不透明な誘電体の上に形成することができる。このような形態は、通信機能を有する家庭用機器で、通信波として円偏波を用いるもの、例えば、パーソナルコンピュータとその周辺機器との間の無線接続が円偏波によるものや携帯端末等、に有効に適用することができる。更にまた、前述の実施例ではループアンテナ12をGPS用として説明したが、本発明のアンテナは円偏波であれば適用可能であり、アンテナの用途がGPS用に限定されるものではない。