JP4854109B2 - アルカリイオン水を含有する哺乳動物適用の医薬組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のpHを安定して維持するアルカリイオン水及び/又はこのアルカリイオン水にマグネシウムイオンを添加することによって得られる瞬間ゲルイオン水を用いた、哺乳動物適用の抗菌・殺菌剤、消毒剤、創傷・褥創治療剤等として有用な医薬組成物、同哺乳動物適用の皮膚外用剤、同哺乳動物適用の経皮吸収促進剤及び同哺乳動物適用の医薬用担体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の健康ブームに伴いアルカリイオン水は健康を維持するのに良いと言うことで、ミネラル水として広く飲料水として普及している。また、特開平7−166197号公報においては、通常水をpH10〜12のアルカリイオン水とpH4〜5の酸性イオン水に分解して、得られたアルカリイオン水にて汚染物の洗浄剤としての用途が記載されている。また、特開平11−217598号公報においては、アルカリイオン水と緩衝液との混合物によるアルカリ性洗浄剤についての用途記載がなされている。また、特開2000−103721号公報においては、pH8〜11、酸化還元電位−700mV〜+100mV及び温度30〜45℃の物理的性質を有するアルカリイオン水に関する肌質改善剤についての用途記載がなされている。一方、市販されている電解水生成器で作られるアルカリイオン水はpH9.0位までで水酸化物イオン濃度が低く、また、工業用として使用されている電解水生成器ではpH12.0前後まで生成する機械もあるにはあるが、単に水を電気分解しているだけなので、水酸化物イオンの維持力はなく、物質に触れると直ぐに劣化するものであり、瞬時的なものであって持続性がなかった。 これに対し、ウルトラクリーンテクノロジー Vol8,No3,P165〜170(1996)や、ウルトラクリーンテクノロジー Vol8,No3,P177〜182(1996)等に記載の高機能性アルカリイオン水[商品名:ERIC S−100((株)エー・アイ・システムプロダクト製造、ニッセキ(株)販売)]及びこれにマグネシウムイオンを添加した瞬間ゲルイオン水[商品名:ERIC GE−100((株)エー・アイ・システムプロダクト製造、ニッセキ(株)販売)]は、pHが11.5〜13.0と高く、しかも25℃の環境下において少なくとも30日間このpH値を安定に維持するアルカリイオン水であり、種々の用途が期待されているが、水酸化物イオン濃度の高いもの(pH値が高いもの)は一般に細胞障害性(皮膚障害性)の点で問題があり、人体等への適用はリスクが大きいと考えられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水酸化物イオンが十分に確保でき、一定期間以上高いpHを安定に維持するアルカリイオン水の新たな作用及びそれに基づく新たな用途を見出すことを目的とするものであり、就中、そのようなアルカリイオン水を含有してなる哺乳動物(ヒト、犬、猫、牛、馬、羊、豚など)適用の医薬組成物、同皮膚外用剤、同経皮吸収促進剤及び同医薬用担体を提供することをその目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、pHが11.5〜13.0であって、25℃の環境下において少なくとも30日間このpH値を安定に維持するアルカリイオン水を含有してなる哺乳動物適用の医薬組成物の発明である。
また、本発明は、pHが11.5〜13.0であって、25℃の環境下において少なくとも30日間このpH値を安定に維持するアルカリイオン水を含有してなる哺乳動物適用の皮膚外用剤の発明である。
更に、本発明は、pHが11.5〜13.0であって、25℃の環境下において少なくとも30日間このpH値を安定に維持するアルカリイオン水を含有してなる哺乳動物適用の経皮吸収促進剤の発明である。
また、本発明は、pHが11.5〜13.0であって、25℃の環境下において少なくとも30日間このpH値を安定に維持するアルカリイオン水を含有してなる哺乳動物適用の医薬用担体の発明である。
【0005】
本発明者らは、ウルトラクリーンテクノロジー Vol8,No3,P165〜170(1996)や、ウルトラクリーンテクノロジー Vol8,No3,P177〜182(1996)等に記載のアルカリイオン水であって、金属、プラスチック、精密機械、陶磁器、塗装面などの汚れ除去や強力グリスなどの洗浄に使用されている(株)エー・アイ・システムプロダクトにて製造され、ニッセキ株式会社より市販されている対イオンが少ない高機能性アルカリイオン水である、ERIC S−100(商品名)及びこれにマグネシウムイオンを添加した瞬間ゲルイオン水のERIC GE−100(商品名)が一定期間以上pHを安定に維持できることに着目し、これらのアルカリイオン水が哺乳動物を対象とする医薬組成物として使用できるのではないかと考え、鋭意研究を行ったところ、意外にも哺乳動物に対する抗菌・殺菌作用並びに創傷治癒効果があり、また、薬物との併用においても皮膚刺激が少なく、しかも薬物に対する吸収促進作用、あるいは皮膚に対する保湿作用などを有することを見出し本発明を完成した。
【0006】
即ち、ERIC S−100(商品名)又はERIC GE−100(商品名)[ERIC S−100(商品名)にマグネシウムイオンなどが添加されたアルカリイオン水]は自然水を特殊な隔膜装置に通電・加圧させて電気分解処理して得られる物理的に電子(OH)を過剰にしたイオン水であり、この還元性水は、その電気エネルギーにより水酸化物イオンが増えてアルカリ性を示すものの、水酸化物イオンを放出する対イオンとなる金属イオンがなくてもよく、陽イオンの存在に起因するアルカリではないので皮膚刺激を起こさないものと考えられる。一方、水酸化ナトリウムを水に溶かすと、水酸化物イオンと、対イオンのナトリウムイオンに解離する。つまり、水酸化物イオンを解離しやすいもの程アルカリが強く、水酸化ナトリウムは強アルカリとなり強い皮膚刺激を示すことになる。しかしながら、この本発明に係る還元性水は、pHとしてはアルカリ性を示すものの、所謂アルカリを加えてアルカリ性にしたものではないので皮膚刺激の心配をする必要がなく、また、手肌のあれ等も懸念する必要がなくアルカリイオン水として優れた性質を有する。本発明者らはこれらの点に着目、該アルカリイオン水の人体への適用の可能性について鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられるアルカリイオン水は、pHが、通常11.5〜13.0の範囲、好ましくはpH11.8〜12.8の範囲であり、また、比重は1.00〜1.03、沸点は100±0.6℃の無色透明の液体である。
本発明において用いられるアルカリイオン水は、また、マグネシウムイオンを含んでなるものであって、pHが、通常11.5〜13.0の範囲、好ましくはpH11.8〜12.8の範囲にあるものであってもよい。
本発明に係るアルカリイオン水は、市販品をそのまま用いてもよいが、例えば、ウルトラクリーンテクノロジー Vol8,No3,P165〜170(1996)や、ウルトラクリーンテクノロジー Vol8,No3,P177〜182(1996)等に記載の方法により適宜製造することが出来るのでそのようにして製造したものを用いてもよい。
【0008】
本発明者らは、上記物理的性質を有するアルカリイオン水のERIC S−100(商品名)及びERIC GE−100(商品名)に関して、これまで哺乳動物に対する薬理活性については全く検討がなされていないことに着目し、抗菌・殺菌作用並びに薬物に対する吸収促進作用等について試験を行ったところ、両者はいずれも黄色ブドウ球菌に対し顕著な抗菌並びに殺菌活性作用を示し、特にERIC GE−100(商品名)は消毒薬として使用される70%エタノールと同等の効力を示すことが明らかとなり、消毒剤としての有用性が示唆された。また、皮膚刺激などもほとんどなく、しかも、薬物に対する経皮吸収性に対する試験においても皮膚に対する薬物の皮膚透過性が増大することが明らかとなり、薬物との併用による医薬組成物としても期待できることが明らかとなった。
従って、本発明に係るアルカリイオン水を含有してなる哺乳動物適用の医薬組成物としては、例えば、哺乳動物適用の抗菌・殺菌剤、哺乳動物適用の消毒剤、哺乳動物適用の創傷・褥創治療剤等が挙げられ、また、哺乳動物適用の皮膚外用剤や哺乳動物適用の経皮吸収促進剤或いは哺乳動物適用の医薬用担体等としても有効に使用し得る。
【0009】
本発明の医薬組成物において、本発明に係るアルカリイオン水と組み合わせて用いる薬物としては経皮吸収適用可能な薬物であることが望ましく、その中でも特に塩基性薬物が望ましい。例えば、塩酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸やマレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、タンニン酸、メシル酸等の有機酸などが付加した塩基性薬物が挙げられる。酸付加塩の塩基性薬物としては特に限定されないが、例えば、塩酸フルラゼパム、塩酸リルマザホン等の催眠・鎮静薬、酒石酸ブトファノール、クエン酸ペリソキサール等の解熱消炎鎮痛薬、酒石酸エルゴタミン、メシル酸エルゴタミン等の抗片頭痛薬、塩酸メタンフェタミン、塩酸メチルフェニデート等の興奮・覚醒薬、塩酸クロルプロマジン、塩酸イミプラミン等の精神神経用薬、塩酸リドカイン、塩酸プロカイン等の局所麻酔薬、塩酸オキシブチニン等の泌尿器官用薬、塩酸チザニジン、塩酸エペリゾン、メシル酸プリジノール等の骨格筋弛緩薬、塩酸カルプロニウム、臭化ネオスチグミン等の自律神経用薬、メシル酸ペルゴリド、メシル酸ブロモクリプチン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸アマンタジン等の抗パーキンソン薬、フマル酸クレマスチン、タンニン酸ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン薬、塩酸ツロブテロール、塩酸プロカテロール等の気管支拡張薬、塩酸イソプレナリン、塩酸ドパミン等の強心薬、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル等の冠血管拡張薬、クエン酸ニカメタート、塩酸トラゾリンなどの末梢血管拡張薬、塩酸フルナリジン、塩酸ニカルジピン、塩酸ベニジピン、塩酸エホニジン、フマル酸ビゾプロロール、マレイン酸チモロール、酒石酸メトプロロール等の循環器用薬、塩酸プロプラノロール、塩酸アルプレノロール等の不整脈用薬、フマル酸ケトチフェン、塩酸アゼラスチン等の抗アレルギー薬、メシル酸ベタヒスチン、塩酸ジフェニドール等の鎮うん薬、塩酸オンダンセトロン、塩酸グラニセトロン等の抗制吐薬、塩酸モルヒネ、クエン酸フェンタニル等の麻薬系鎮痛薬などが挙げられる。
【0010】
また、本発明に係るアルカリイオン水は通常の水と同様に保湿作用に優れるために、細胞賦活剤あるいは細胞賦活作用を有する感光色素101号、同201号、同301号、同401号、ビタミンE、ビタミンA、コラーゲン、エラスチン、アラントイン、プラセンタエキス、霊芝エキス、アロエエキス、オウゴン、スギナ、シコン、ナスタチウム、人参、ニンニク、センブリ、トウキ、トウキンセンカ、アルニカ、オウバク、ヘチマ、スイカズラ、タチジャコウソウ、オトギリソウ、セイヨウノコギリソウなどとの併用において、美容を目的とする化粧薬、或いは創傷治癒促進剤としての応用も期待される。
【0011】
更に、化学療法剤であるキノロン剤、例えばピロミド酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、エノキサシン、トシル酸トスフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、塩酸シプロフロキサシン、スバルフロキサシン、フレロキサシンなどとの併用が挙げられる。なお、上述した薬剤についての配合量としては、基剤全体量に対し0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%の範囲にて使用される。
【0012】
また、医薬組成物としての製剤剤型としては、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、液剤、ローション剤、エアゾール剤、パップ剤、化粧用シート剤などが挙げられるが、これらの基剤成分としては通常使用される周知又は公知のものを適宜選択することにより使用することができる。
また、本発明に係るアルカリイオン水は各製剤における水性基剤としての機能も併せて有するものであり、必要に応じて適宜適量使用することができ、医薬組成物の活性化を図ることができる。従って、本発明に係るアルカリイオン水は、皮膚外用基剤等の、哺乳動物適用の医薬用担体としても使用が可能である。
本発明に係るアルカリイオン水の医薬組成物に於ける使用量は特に限定されるものではないが、通常0.1〜50mlの量を希釈又は希釈することなくそのまま使用することで薬理活性溶液としての作用効果が充分に期待されるものである。
本発明に係るアルカリイオン水を含有してなる哺乳動物適用の皮膚外用剤としては、医薬品のみならず、例えば、化粧品、衛生用品、生理用品、発毛・育毛剤等もこれに含まれる。また、本発明に係るアルカリイオン水を紙や不織布等にしみ込ませて皮膚の清拭や化粧落としに使用する場合等もこれに含まれる。
【0013】
【実施例】
以下、実験例及び実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実験例、実施例により何ら限定されるものではない。
実験例1 pHの安定性試験
ERIC S−100(商品名)、ERIC GE−100(商品名)及びERIC S−100(商品名)の10%水溶液を用い、25℃の環境下において経時的にpHを測定した。測定にはデジタルpHメーター(HM40V、東亜電波工業株式会社、東京)を用いた。結果を図1に示す。なお、図中においてS−100はERIC S−100(商品名)の略記号、GE−100はERIC GE−100(商品名)の略記号、10%S−100はERIC S−100(商品名)の10%水溶液の略記号をそれぞれ意味する。
【0014】
試験結果から明らかなようにERIC S−100(商品名)及びERIC GE−100(商品名)は30日間安定したpH値を保持していることが判る。
【0015】
実施例1 抗菌性試験
前培養としてheart infusion agar培地を蒸留水に溶解し、高圧蒸気滅菌(121℃、15分)後固まらないように培地を試験管に移し斜面培地を作製した。次に黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を播種し37℃、16時間培養した。培養後、滅菌生理食塩液に黄色ブドウ球菌を浮遊させ光電比色計(MODEL AE-22、 ERMA OPTICAL WORKS LTD., 東京)を用いて光学濃度(O.D.)を0.1になるように調製し、これを菌液とした。別に2倍濃度となるように調製したheart infusion broth培地を加温溶解し、試験管に正確に5mL分注し、高圧蒸気滅菌(121℃、15分)後、試験液〔70%エタノール溶液、ERIC S−100(商品名)、ERIC GE−100(商品名)〕各5mLおよび菌液0.1mLをそれぞれ正確に分注し、37℃、16時間振盪培養した。抗菌性の判定は培養前後に光学濃度を測定し、その測定値を比較した。その試験結果を図2に示す。なお、図中においてS−100はERIC S−100(商品名)の略記号、GE−100はERIC GE−100(商品名)の略記号を意味する。
【0016】
試験結果において、本発明に係るアルカリイオン水はコントロール(control)と比較して全ての試験液で黄色ブドウ球菌の増殖は認められず、試験液暴露時点で殆どの細菌が殺菌されており、優れた薬理活性溶液であることが判明した。
【0017】
実施例2 ラット背部皮膚欠損モデルに対する創傷治癒促進効果
10週齢の雌性SDラットの背部を除毛後、直径8mmの眼科用トレパン、眼科用ハサミおよびピンセットを用いて皮膚を皮下まで剥離し、完全皮膚欠損創を背部に2ヶ所作製した。欠損創作製直後から1日1回、連日、陰性対照である親水ワセリン軟膏(日本薬局方収載品)またはERIC GE−100(商品名)を塗布した。定日毎に欠損創部位の直径を測定し、欠損創部位の縮小率の比較を行った。結果を図3に示す。なお、図中においてGE−100はERIC GE−100(商品名)の略記号、軟膏は親水ワセリン軟膏の略記号を意味する。
【0018】
図3から明らかなように、陰性対照に対してERIC GE−100(商品名)塗布群は、投与4日目から創傷治癒促進効果が認められ、6及び8日目には有意な治癒促進効果が認められた。
【0019】
実施例3 リドカインのin vitro皮膚透過性試験
ペントバルビタールナトリウム(50mg/kg)麻酔下の雄性ヘアレスラットの腹部皮膚を摘出し、真皮側の脂肪を取り除いた。得られた皮膚を直ちに37℃の水を循環させた縦型拡散セル(有効透過面積3.14cm)にマウントし、角質層側にドナー溶液(3%塩酸リドカイン水溶液pH7.8:溶媒として生理食塩液、ERIC S−100(商品名)又はERIC GE−100(商品名)を使用)を、真皮側に生理食塩液を満たし、透過試験を行った。実験中、セル内容液はスターヘッド型攪拌子をマグネティックスターラーにより約1200rpmで回転させ攪拌した。経時的に真皮側溶液を200μLサンプリングし、15000rpm、5分間遠心分離して生体成分を沈殿させ、上清150μLと、内部標準物質を溶解した移動相溶液300μLとを混合後、その20μLをHPLC(移動相:アセトニトリル/0.1%リン酸緩衝液=35/65、5mM SDS、内部標準物質:プロピルパラベン、検出波長:230nm、流速:1mL/分、温度:室温)へ注入し、皮膚透過したリドカイン濃度を定量した。試験結果を図4に示す。なお、図中においてsalineは生理食塩液の略記号、S−100はERIC S−100(商品名)の略記号、GE−100はERIC GE−100(商品名)の略記号をそれぞれ意味する。
【0020】
図4から明らかなように、対照として用いた生理食塩液からのリドカインの皮膚透過は、同時間内にはほとんど確認されなかったにもかかわらず、ドナー溶液の溶媒に本発明に係るアルカリイオン水のERIC S−100(商品名)又はERIC GE−100(商品名)を用いた場合には、24時間までに、時間に対して直線的である0次の皮膚透過性を示し、顕著な皮膚透過性を有することが判明した。
【0021】
実施例4 3次元ヒト培養皮膚モデルによる皮膚刺激性試験
3次元ヒト培養皮膚モデルはポリカーボネート膜上に表皮細胞と真皮細胞を培養したもので、角質層を有しており、角質層の厚みはヒトと同等に調製した。アッセイプレートに培養皮膚を移し、その周りにアッセイ培地1.2mLを添加後、被験物質である生理食塩液(Saline)、ERIC S−100(商品名)(pH12.4)、ERIC GE−100(商品名)(pH12.4)及び0.1N水酸化ナトリウム水溶液(pH12)をそれぞれ別々に500mL添加し、COインキュベーター(37℃、5%CO)で48時間暴露した。被験物暴露後、アッセイプレート内の培地を吸引除去し、更に培養皮膚に残存する被験物をアッセイ培地を用いて洗浄除去した後、0.333mg/mLの臭化ジメチルチアゾールジフェニルテトラゾリウムを溶解したアッセイ培地1.2mLをアッセイプレートに分注し3時間インキュベーター内に放置した。インキュベート終了後、培養皮膚をポリカーボネート膜ごと切除し、試験管に移した。試験管にあらかじめ調製した酸性イソプロパノール液(0.04N塩酸−イソプロパノール)4mLを添加し、室温、暗所で2時間放置しホルマザンを抽出した。ホルマザン抽出後、各試験管を充分攪拌・混和し、適当量を遠心分離(15000rpm、5分間)し、上清を紫外・可視分光光度計(波長570nm)で測定した。
コントロールとして用いた生理食塩液に暴露した試料の吸光度を100%とした。
その試験結果を図5に示す。なお、図中においてS−100はERIC S−100(商品名)の略記号、GE−100はERIC GE−100(商品名)の略記号を意味する。
【0022】
図5から明らかなように、本発明に係るアルカリイオン水の場合は皮膚への刺激は確認されなかったが、比較対照液である0.1N水酸化ナトリウム水溶液ではやや吸光度の低下が確認され、皮膚への刺激性が確認された。即ち、本発明に係るアルカリイオン水のpHは0.1N水酸化ナトリウムのpHよりも幾分高いにも拘わらず、0.1N水酸化ナトリウム水溶液では生じる皮膚刺激を全く生じない。このことは、本発明に係るアルカリイオン水が皮膚刺激を起こさない理由が、pHとは全く異質な物理的性質に起因するものであることを裏付けるものである。
【0023】
【発明の効果】
本発明に係る、高いpHが一定期間安定に保持されるアルカリイオン水は、抗菌性試験において黄色ブドウ球菌に対する増殖が認められず、ほとんどの細菌が殺菌されていることが判明した。即ち、本発明に係るアルカリイオン水は、顕著な抗菌並びに殺菌作用を有し、持続性の抗菌剤、殺菌剤又は消毒剤としての有用性が期待できるものである。また、高いpHを有するにも係わらず皮膚刺激性はほとんどなく、むしろ創傷部に適用した場合は創傷治癒の促進効果も示すため、創傷治療剤としての可能性も期待できる。更には薬物の経皮透過性を増大させるための促進効果も顕著であることが判明したことから、薬物に対する経皮吸収促進剤としての可能性も期待できる。従って、本発明に係るアルカリイオン水を含有してなる医薬組成物は顕著な薬効を有する哺乳動物適用の医薬組成物として医薬上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るアルカリイオン水のpH安定性試験の結果を示す図である。
【図2】図2は、本発明に係るアルカリイオン水の、黄色ブドウ球菌についての細菌増殖率を測定した結果を示す図である。
【図3】図3は、本発明に係るアルカリイオン水の、ラット皮膚欠損モデルに対する創傷治癒促進効果を示す図である。
【図4】図4は、本発明に係るアルカリイオン水をドナー溶液の溶媒として用いた場合の、皮膚に対する塩酸リドカインのインビトロ透過試験の結果を示す図である。
【図5】図5は、本発明に係るアルカリイオン水の皮膚刺激性試験の結果を示す図である。
【符号の説明】
■ : 生理食塩液
▲ : ERIC S−100(商品名)
● : ERIC GE−100(商品名)
× : 10%ERIC S−100水溶液
* : 軟膏(親水ワセリン軟膏)

Claims (3)

  1. 自然水を隔膜装置に通電・加圧させて電気分解処理して得られる物理的に電子(OH )を過剰にしたイオン水であって、pHが11.5〜13.0であって、25℃の環境下において少なくとも30日間このpH値を安定に維持し、比重が1.00〜1.03で、沸点が100±0.6℃であるアルカリイオン水を含有してなる哺乳動物適用の創傷・褥創治療剤。
  2. 創傷・褥創治療剤が、さらに他の薬物を含有してなる請求項1に記載の創傷・褥創治療剤。
  3. 自然水を隔膜装置に通電・加圧させて電気分解処理して得られる物理的に電子(OH )を過剰にしたイオン水であって、pHが11.5〜13.0であって、25℃の環境下において少なくとも30日間このpH値を安定に維持し、比重が1.00〜1.03で、沸点が100±0.6℃であるアルカリイオン水を含有してなる哺乳動物適用の塩基性薬物の経皮吸収促進剤。
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