JP5582711B2 - ローション状の塗薬 - Google Patents

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本発明は、電解還元水を含有するローション状の塗薬に関する。
従来より、やけどやアトピーの治療には、化学薬品を含有する塗薬が用いられており、所定の成果をあげている。
しかし、化学薬品を含有する塗薬は、人によって向き不向きがあり、治療方法を間違うと症状が悪化する症例も数多く見られる。
そこで本発明では、万人に害がなく、しかも、やけどやアトピーの治療薬としても優れた効能を発揮するローション状の塗薬を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた発明である請求項1に記載のローション状の塗薬は、PH10.5〜PH14の電解還元水93wt%に対し、カルボキシメチルセルロースナトリウム7wt%を含有させ、カルボキシメチルセルロースナトリウムによってゲル化させたことを特徴とする。
この塗薬は、PH値が高いだけで、電気分解により還元した自然水である。しかも、この塗薬は、実験により、やけどやアトピーの患部に塗って治療を行うと優れた改善効果を発揮した。
従って、この請求項1に記載されたローション状の塗薬は、自然水を用いているので万人に害がなく、しかも、やけどやアトピーの治療薬として優れた効能を発揮する塗薬として用いることができる。
電解還元水のPH値を安定的に保つことができるゲル化剤としては、実験により、カルボキシメチルセルロースナトリウムを用いることが最適であることが見出されたので、本発明の塗薬としては、カルボキシメチルセルロースをゲル化剤として用いることが好ましい。
尚、電解還元水のPH値は、11.5〜12.5がより好ましく、12がもっとも好ましい。
ところで、一般に室温(15℃〜20℃)の自然水の表面張力は70dyn/cm以上であるが、この電解還元水としては、請求項2に記載したように、表面張力が70dyn/cm以下のものを用いることが好ましい。表面張力が小さいと、患部への電解還元水の浸透がスムーズに進み、患部の改善に効能があるからである。
尚、電解還元水としては、請求項3に記載したように、表面張力が62dyn/cm以下(80℃以上の熱水の表面張力に相当)であることがより好ましく、請求項4に記載したように、表面張力が58dyn/cm以下であることが一層好ましい。
熱傷創作成直後の写真(A)と計測部位を描出したもの(B)、熱傷創後日数−創傷面積率のグラフ(C)である。 本実施形態のローションを塗布した創傷部分の写真と(+)、比較例の生理食塩水を塗布した創傷部分の写真(−)で、それぞれ傷を負った日から0,3,6,8,11日目の写真を示している。 本実施形態のローションを塗布した創傷から3日後の創傷部分の写真と(+)、比較例の生理食塩水を塗布した創傷から3日後の創傷部分の写真(−)で、それぞれ創傷部分の断面の写真である。 図3Aは創傷部分の2倍の拡大写真で、図3A1は、図3A中の四角で囲った部分の10倍拡大写真で、図3A2は図3Aの20倍拡大写真で、図3A3は図3Aの30倍拡大写真である。 図3Bは創傷部分の2倍の拡大写真で、図3B1は、図3B中の四角で囲った部分の10倍拡大写真で、図3B2は図3Bの20倍拡大写真で、図3B3は図3Bの30倍拡大写真である。 図3A4及び図3B4は、それぞれの創傷直下の皮膚の厚さを示す写真である。 創傷から3日目の損傷付近の血管の拡大写真である。
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。
[ 1.電解還元水を用いたローションの治癒効果についての概要 ]
電解還元水(以下、電解水)を含有するローション(本発明のローション状の塗薬に相当する)を調製し、そのローションにおける熱傷創の治癒効果を検討した。まず、マウス背部皮膚にIII度熱傷創を作成し、創傷直後より電解水ローションおよび対照として生理食塩水(以下、生食)を含んだローションを熱傷創部位にそれぞれ塗布(1日1回)した。そして、その創傷面積を経時的に計測し、さらに熱傷創部位(3日目)の組織学的検討を行った。熱傷創部位に関して、電解水ローションを塗布した群((+)群)および生食ローションを塗布した群((−)群)を比較すると、(+)群において創傷面積の縮小が有意に認められた。さらに、組織学的所見として、(−)群の皮下組織には組織間隙や血管・リンパ管が多く確認できたのに対して、(+)群では少なかった。以上の結果から、電解水ローションは対照と比較して熱傷創部位の治癒に有効性が認められ、熱傷創の治癒を促進する可能性が示唆された。
[ 2.創傷治療について ]
創傷治癒とは、外傷などで損傷を受けた組織が破壊され、欠損した組織や細胞に対し再生あるいは修復反応が起こる現象のことをいう。外傷には切創、挫創、刺創、熱傷および化学損傷などが含まれる。このような機転で喪失した組織自体と機能を生体が自主的に回復・再構築しようとする一連の生体反応を創傷治癒と呼ばれている。
その中でも熱傷は熱によって皮膚が損傷された状態で、その程度により大きく3つに分類される。I度熱傷は皮膚表面の損傷、II度熱傷は真皮までの損傷で浮腫を伴う。III度熱傷は真皮、さらに皮下組織までに及ぶ損傷で、治癒後は瘢痕が残ることが多い。IIおよびIII度熱傷の治療は、従来までは創面の感染を抑えるために局所療法剤(イソジンなどの消毒薬、ステロイド含有軟膏剤、抗生剤含有軟膏剤など)を使用する治療法が主に行われてきたが、生体のもつ修復作用を最大限に利用しようという各種創傷被覆材(ポリウレタンフィルム、ハイドロコロイド、ポリウレタンフォームおよびハイドロジェルなどのドレッシング材、アルギン酸塩被覆材、ハイドロポリマーなど)を用いた密封療法へと変化してきた。
これらの局所療法剤や創傷被覆材は損傷を受けた局所において、上皮形成の促進、感染予防、疼痛軽減などの重要な役割を果たしている。最近では塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)製剤なども臨床応用され、熱傷創治癒の期間短縮に効果を発揮している。
[ 3.電解還元水について ]
本実施形態で用いる特殊電解還元性水(以下、電解水と略す:本発明の電解還元水に相当)は、自然水を電気分解で処理し、通電・加圧させて得られた物理的に電子過剰な水であり、特殊なアルカリ性質とマイナスイオンにより、匂いの元となる汚れや細菌の剥離作用によって除去するため、洗浄効果や消臭効果、除菌効果や防塵効果を示すことが知られている(商品名S−100:株式会社エー・アイ・システムプロダクト製造)。また、酸化を防止するため防錆および防腐効果も有している。さらに、乳化剤を添加せずに電解水のみによる乳化作用を示すことも見いだされた。これらの性質を利用して、現在は各種工業製品の洗浄液として広く用いられている。
本実施形態で用いる電解水は、具体的には、脱酸素処理を行って純水の溶存酸素を1ppm以下にする脱酸素工程と、この脱酸素工程により脱酸素処理を行った前記純水に微量の食塩等の電解質を入れた水を電気分解する電気分解工程と、この電気分解工程により電気分解された前記水のうち、陰極室側の前記水を密閉された安定化槽内で4kg/cm2 以上の圧力をかけて安定化させる安定化工程とを経て、前記水を処理することによって製造する。
化学的な性質としては、本実施形態で用いる電解水は、PH12で安定している。
この電解水の水素イオン濃度指数は、PH12に限らず、PH10.5〜PH14で安定化していればよく、より好ましくはPH11.5〜PH12.5で安定していればよい。
また、他の化学的な性質としては、本実施形態で用いる電解水は、56.1dyn/cmの表面張力を有している(表面張力計:ドイツMax Planck Institute of Colloids and Interfaces社製 BPA -800Pモデル)。
この電解水の表面張力は、室温における自然水の表面張力(70dyn/cm以上)よりも小さければ、患部に浸透する効能が見られるので、70dyn/cm以下であることが好ましく、62dyn/cm以下、さらに58dyn/cm以下であることがより好ましい。
尚、電解水の表面張力は29〜62dyn/cm範囲でもよいし、55〜58dyn/cmでもよいし、56.1dyn/cmであることがより好ましい。
本実施形態では、この電解水の医薬品への応用を検討するため、電解水を用いて熱傷創における治癒の促進効果を検討した。
[ 4.検討方法 ]
<4.1.動物の取り扱いについて>
本検討では、7〜10週齢のddy雄性マウスを計20匹使用した。
<4.2.実験材料>
電解水は、株式会社エー・アイ・システムプロダクト社製の電解水S−100を用いた 。また、各種試薬はすべて特級品を使用した。
<4.3.電解水および生食ローションの調製>
電解水および生食ローションは分散媒(電解水あるいは生食)に、撹拌下でゲル化剤であるカルボキシメチルセルロースナトリウム(関東化学株式会社)を添加し、最終濃度で7%になるようにそれぞれ調製した。
<4.4.熱傷創作成方法>
ペントバルビタールナトリウム(ナカライテスク株式会社)の腹腔内注射による麻酔下、橋本らおよび射場らの報告を参考にしてマウス背部を電気バリカンで刈り、さらに除毛クリームで除毛した。そして、背部に300℃に熱した電気ゴテ(白光株式会社製)のコテ先を5秒間当てることで、III度熱傷創を作成した。電気ゴテはコテ先の側面を均一にあて、創傷作成時の圧力が一定になるようにした。なお、実験の不均一性を極力避けるため創傷の作成は同一実験者が行った。
<4.5.熱傷創面積の計測>
マウス14匹に対して熱傷創を作成した後、7匹ずつ2群に分けた。
そして、それぞれ電解水ローションを塗布した群((+)群)および生食ローションを塗布した群((−)群)とした。まず、創傷を作成した直後にデジタルカメラで創傷部位の撮影を行った(0日目)。創傷作成後、1日1回電解水および生食ローションを各群に塗布し、1,2,3,6,8,10,11,13,15日目に写真撮影を行った。そして、デジタルカメラで得られた画像データをソフトウェアImage J(株式会社バイオアーツ社)を使用して、創傷面積を計測した。創傷作成日の測定値を100%として、各測定日の創傷面積の比率(%)を求め、電解水ローションの治癒効果を検討した。
<4.6.組織学的検討>
6匹のマウスの背部1カ所に電気ゴテをあて、同様に熱傷創を作成した。
3匹ずつの2群にわけ、1日1回電解水および生食ローションを各群に塗布した。創傷作成3日後、ジエチルエーテルの吸入麻酔下でサクリファイスし、創傷周辺の組織も含めた皮膚を摘出した。病理検査用20%中性緩衝ホルマリン溶液(関東化学株式会社)で浸漬固定後、4μmの厚さのパラフィン切片を作製し、へマトキシリン・エオジン染色(以下、HE染色)を施し皮膚断面の組織標本を作製した。その後、光学顕微鏡を用いて各標本を写真撮影し、組織観察をした。なお、組織標本の作製およびその評価は、株式会社組織科学研究所に依頼した。
<4.7.創傷付近の血管の観察>
組織学的評価で用いたマウス6匹について、熱傷創作成の3日後サクリファイスし、背部皮膚を摘出した後、皮下組織の毛細血管の状態を確認した。
<5.結果>
今回行った実験では、医薬品への応用を検討するため、電解水ローションを用いて熱傷創における治癒効果を検討した。創傷治癒を評価する一般的な指標としては、別の上皮化が完了するまでの日数や創傷面積が用いられている。
そこで、今回の実験では、マウス背部皮膚にIII度熱傷を作成後、創傷面積を経時的に計測し、対照として生食ローションを塗布したものと比較・検討した。
<5.1.創傷面積の時間的経過>
図1には、熱傷創作成直後の写真(A)と計測部位を描出したもの(B)を示した。図1Bにおいて、楕円で囲んだ箇所が電気ゴテの接触した部分で、創傷と判断した部位である。
図1Cには、熱傷創後日数−創傷面積率のグラフを示した。このグラフから、創傷作成日の創面積を100%として、各測定日の計測比率を比較すると、1日目を除いた計測時点において(+)群は(−)群より有意に小さいことが分かる。また、(−)群では受傷2日後まで創傷の縮小傾向は見られなかったが、(+)群は2日目から縮小傾向が認められた。
<5.2.熱傷創作成後の治癒の推移>
図2の写真に示すように、熱傷創作成後、1日1回電解水および生食ローションを各群に塗布し、0,3,6,8,11日目に写真撮影を行った。そして、(+)群および(−)群の創傷部位を比較した。
その結果、6日目より(−)群と比較して明らかに(+)群の治癒効果が認められた。さらに、11日目では(+)群がほぼ完治の状態になった。
<5.3.熱傷作成3日後の皮膚組織画像>
1)熱傷創周囲の鏡検
熱傷創処理3日後のHE染色(ヘマトキシリン・エオシン染色)した創傷部位断面の全体像(2倍)を示した(図3AB)。図3A及び図3A1〜A3は、(+)群の写真で、電解水ローションを塗布したものである。図3B及び図3B1〜B3は、(−)群の写真で、生食ローションを塗布したものである。比較例として、図3C1〜C2は、「正常部位」の写真で、表皮や付属器に異常の見られない部位を示している。また、写真中に示した矢頭印は創傷部位の中心を表し、Epiは表皮、Derは真皮、SCは皮下組織、CMは皮筋をそれぞれ示す。
(+)群に関して、図3A中の□で示した部分(創傷部位の左側辺縁部)を拡大(10倍)したものがA1、さらに、A1の創傷部位の表皮側拡大像(20倍)がA2およびA1の創傷部位の皮下組織側拡大像(20倍)がA3である。
同様にして、対照となる(−)群に関して、図3B中の□で示した部分(創傷部位の左側辺縁部)を拡大(10倍)したものがB1、さらに、B1の創傷部位の表皮側拡大像(20倍)がB2およびA1の創傷部位の皮下組織側拡大像(20倍)がB3である。
また、正常皮膚組織部位を拡大(10倍)したものがC1、さらに、C1の創傷部位の表皮側拡大像(20倍)がC2およびC1の創傷部位の皮下組織側拡大像(20倍)がC3である。
(−)群の創傷部位の皮下組織(SC)は、HE染色に染まらない部分が多く見られた(図3B1)。これは組織間隙や血管およびリンパ管が多いことを示しており、(+)群では染色性が密であることから(−)群と比較して創傷が軽微であることを示唆している(図3A1)。
2)熱傷創直下の鏡検
創傷直下の皮膚の厚さを正常皮膚と比較したところ、(−)群は表皮および真皮に変形が見られるものの、(+)群と同様に有意な差は認められなかった(図3A4、B4)。また、(+)および(−)の創傷直下では、HE染色で青紫色に染色された炎症性細胞(主に好中球)がより多く浸潤していることが観察された。
<5.4.熱傷作成3日後の皮下組織の血管>
皮下組織側から創傷付近の血管について確認した。図4は、その損傷付近の血管の拡大写真である。図4に示すように、熱傷創およびその周辺の部位において、(−)群は(+)群と比較し、血管が確認できた。
[ 4.考察 ]
電解水の熱傷創治癒を確認するため、電解水の創面への塗布効果を検討した。当初、電解水をそのまま塗布したが、すぐに乾いてしまい、湿潤環境が維持できなかった。そこで、創面の湿潤環境を維持するために軟膏剤の調製や被覆材などの使用も検討したが、創面の経時的変化を観察しやすくするため、透明で粘度があり、それ自体には薬理作用がないカルボキシメチルセルロースナトリウム(以下、CMC-Naと略す)を用いて、ローションの剤形にした。このCMC-Naは、被覆材にも用いられている製剤用高分子で、水に容易に溶け、粘性、安定性、保護コロイド性などの特性を持っていることから、分散剤や結合剤として多く用いられている。実験に際して、粘性のあるローションの剤形にすることで、熱傷創部位に長時間電解水を留め、その治癒の持続効果を図った。
受傷後、1日1回電解水および生食ローションをそれぞれ塗布し、熱傷創モデルのマウス皮膚を受傷3日後に摘出した。そして、電解水の効果を病理組織学的に検査するため、HE染色標本を作製して鏡検観察した。電解水および生食ローションを塗布した検体において、組織学的にIII度の熱傷が観察された。そして、両者の組織所見を比較したところ明らかな差異が認められた(図3)。
まず、対照である生食ローションを塗布した検体(−)の組織所見については、熱傷創部分の表皮は消失し、真皮全域が残存する付属器を含めて凝固壊死から融解壊死の状態に陥っていた(図3B1〜4)。さらに、壊死は皮筋まで及んでおり、特に熱傷創中央部分では筋線維の融解が激しかった。いわゆる「潰瘍」で、潰瘍部分は壊死組織と滲出物(痂皮)で埋まっている状態であった(図3B4)。真皮壊死部には多量の核崩壊産物(ヘマトキシリン陽性)が散見された。そして、潰瘍底にあたる皮下組織には著明な炎症性反応が認められた。また、熱傷創周囲の表皮は肥厚し、境界部には表皮の再生像(新生表皮が欠損部へ送り出されている像)が観察された。このあたりの真皮から皮下組織の炎症性細胞浸潤は著明で、皮筋の筋線経は萎縮していた。
一方、電解水ローションを塗布した検体の組織所見については、熱傷創部分の表皮から真皮全域に凝固壊死に陥っているが、(−)群とは異なり、表皮や付属器の構造が残存していた(図3A1−4)。更に、凝固壊死は皮筋まで及んでいるが、(−)群よりも軽微で、融解壊死に陥らず筋線経の構造が保たれていた。熱傷創中央の皮下組織には著明な炎症性反応や肉芽組織の増生が認められた(図3A4)。また、創傷周囲の表皮は肥厚し、境界部には表皮の再生像が観察されたが、その新生表皮が欠損部へ送りだされている量は(−)群よりも少ない。このあたりの真皮から皮下組織の炎症性細胞浸潤は軽微で、皮筋の筋線維は萎縮していた。
次に、皮下組織側から創傷付近の血管について確認した(図4)。受傷3日目において、(−)群は毛細血管が受傷部およびその周辺で確認できたが、(+)群はほとんど認められなかった。これは図1Cの受傷3日目の段階で、(+)群が(−)群より創傷面積が明らかに小さい傾向にあり、このことも考慮すると、受傷3日目において(+)群が早期の段階で炎症期から肉芽形成期へスムーズに移行した可能性が考えられた。
以上、マウス皮膚熱傷創モデルにおける治療薬塗布の効果を病理組織学的に検討したところ、当初の熱傷創の程度が同等という前提において、創傷への電解水ローションによって受傷3日後までに生じる壊死性変化や炎症性反応を軽減する効果があることが示唆された。
一般的に創傷治癒の行程は、炎症期、肉芽形成期、再構築期の3段階に分けることができる。今回の受傷3日後は炎症期に当たり、好中球などの細胞が損傷した細胞の貧食やサイトカインなどの生理活性物質を分泌していると思われた。
今回の実験結果から、(+)群は真皮から皮下組織の炎症性細胞浸潤は(−)群と比較して少なかったことから、電解水は炎症過程を少なく留める性質があるのかもしれない(図3A1、B1)。
今回、電解水ローションの熱傷創への効果を検討した結果、創傷治癒の促進効果が示唆された。
[ 5.結論 ]
III度熱傷創に対する電解水ローションの創傷治癒効果を実験的に検討した。その結果、電解水ローションは熱傷創の改善に有効であり、熱傷創治癒を促進する可能性が示唆された。
[ 6.その他 ]
〈6.1〉
上記実験では、やけどの効能についてのみ示しているが、他の実験において、アトピー性疾患の患部に、本実施形態の電解水ローションを塗布したところ、2週間程度で、患部が目立たない程度にまで改善される結果を見た。
〈6.2〉
本実施形態の電解水ローションは殺菌作用を発揮することも見出されているが、口内から取り出した歯周菌に電解水ローションを垂らすと、99%の歯周菌が死滅した。
また、本実施形態の電解水ローションは、口内から歯周菌とともに取り出した酪酸に電解水ローションを数滴垂らすと酪酸を中和する作用があることが見出された。
酪酸は、歯茎を通して体内に侵入すると白血球の免疫細胞を破壊する機能を有するので、本実施形態の電解水ローションによって口内の酪酸を中和することで、体内の免疫細胞を保護することができる。その結果、体内の免疫細胞は体内でガン細胞やエイズウイルス等を破壊するので、本実施形態の電解水ローションを歯の治療薬や歯磨き剤として利用すると、歯槽膿漏や虫歯の治療及び予防になるだけでなく、ガンの治療及び予防、エイズの治療及び予防にもなる。
〈6.3〉
また、上記実験とは別に行っている保存実験により、本実施形態の電解水ローションは1年以上を経過しても、PH値に変化がないため保存性能のあることがわかっている。つまり、ゲル化剤としては上述したカルボキシメチルセルロースナトリウムがもっとも好ましいという発見があった。
ただし、カルボキシメチルセルロースナトリウムのような保存性能を求めないのであれば、ゲル化剤としては、ポリアクリレート類、セルロース類、天然ポリマー類のゲル化剤や、食品用増粘安定剤、化粧品用増粘剤として用いられるゲル化剤を用いてもよい。
ポリアクリレート類としては、ポリアクリレート、カルボキシビニルポリマーが好ましい。
セルロース類としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等が好ましい。
天然ポリマー類としては、キサンタンガム、カラギーナンナトリウム塩、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルグアガム、アラビアガム、トラガカントガム、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、等が好ましい。
食品用増粘安定剤としては、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、プロピレングリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)等が好ましい。
化粧品用増粘剤としては、ペクチン、 アラビアガム、 アルギニン・カルボマー(カルボキシビニルポリマー)/カルボマー、アルギン酸ナトリウム/アルギン酸Na、 アルギン酸プロピレングリコール/アルギン酸PG、 エチルセルロース、 カルボキシメチルセルロースナトリウム/セルロースガム/グリコール酸ナトリウム/CMC、 キサンタンガム、 ジェランガム、 ヒドロキシプロピルグアーガム(HPグアー)、 ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、 カチオン化グアーガム(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)、 ローカストビーンガム、 カチオン化セルロース(ポリクオタニウム-10)、 合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウム、 ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト/クオタニウム-18ヘクトライト、 シクロデキストリン/CD、 ポリアクリル酸ナトリウム/ポリアクリル酸Na、ラウラミドDEA、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコース等が好ましい。
〈6.4〉
上記実施形態では、電解水ローションとしては、7%の濃度(重量比、電解水93:CMC−Na7)のものを用いたが、これに限られるものではない。用途に応じて、濃度を変えてもよいことはもちろんである。
本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。

Claims (4)

  1. PH10.5〜PH14の電解還元水93wt%に対し、カルボキシメチルセルロースナトリウム7wt%を含有させ、カルボキシメチルセルロースナトリウムによってゲル化させたことを特徴とするローション状の塗薬。
  2. 請求項1に記載の塗薬において、
    前記電解還元水は、
    表面張力が70dyn/cm以下であることを特徴とするローション状の塗薬。
  3. 請求項2に記載の塗薬において、
    前記電解還元水は、
    表面張力が62dyn/cm以下であることを特徴とするローション状の塗薬。
  4. 請求項3に記載の塗薬において、
    前記電解還元水は、
    表面張力が58dyn/cm以下であることを特徴とするローション状の塗薬。
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