JP3571511B2 - 経皮吸収製剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、低血圧症治療剤であるミドドリンにおいて、その活性本体である2−アミノ−1−(2,5−ジメトキシフェニル)エタノール(以下、ミドドリン活性体と略)又はその塩類を含有する経皮吸収製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
1−(2’,5’−ジメトキシフェニル)−2−グリシンアミドエタノールはミドドリンと称され、選択的に血管のα受容体を刺激することにより末梢血管の緊張を高め、低血圧症の循環動態を正常化し、主として本態性低血圧症及び起立性低血圧症の治療に用いられる。現在、塩酸ミドドリンとして、日本国内では経口剤のみが、ヨーロッパ等では経口剤及び注射剤が市販されており、経口剤の一般的な用法・用量は、通常2mgの朝及び夜の1日2回食後投与である。ミドドリンは、ミドドリン活性体をグリシンで修飾したプロドラッグである。塩酸ミドドリンを経口投与したとき、腸管から吸収後、加水分解を受けて徐々にミドドリン活性体に代謝されることにより持続的な効果が現れ、バイオアベイラビリティを改善させ、急激な血圧上昇による不快感がなくマイルドな血圧上昇作用を有することを特徴とする薬物である。しかしながら、経口剤の場合、個体間の吸収性のバラツキに由来し、ミドドリン活性体の血漿中濃度が急激に上昇し、重篤な副作用である仰臥性高血圧症をもたらすことがある。ミドドリン及びミドドリン活性体の体内薬物動態は、成人に塩酸ミドドリン2mgを経口投与した場合、最高血漿中濃度はミドドリンの約3ng/mLに対してミドドリン活性体は約5ng/mL、消失半減期はミドドリンの約0.9時間に対してミドドリン活性体は約1.5時間である。ミドドリン活性体は、もともと1962年にオーストリアで発見されたが、これを主成分とした医薬品は実用化されていない。なお、ミドドリンの構造式は(1)に、ミドドリン活性体の構造式は(2)にそれぞれ示す。
【0003】
【化1】
Figure 0003571511
【0004】
本態性低血圧症及び起立性低血圧症による不定愁訴は起床時から午前中に集中し、このため錠剤の夕食後投与では、翌朝にミドドリン活性体の血漿中濃度の低下により充分な予防効果が発揮できない。また、朝起き不良の患者の場合、起床時の服用が必要となっておりコンプライアンス上の支障が大きい。更に、急激に血漿中濃度が上昇した場合に重篤な副作用である仰臥性高血圧症が発現することが知られている。これらの問題を解決するため、経皮吸収製剤化が可能であれば経口投与と比較してミドドリン活性体の血漿中濃度が維持され、前日の夜の貼付で翌朝の起床時間帯において充分な血圧コントロールが可能になると考えられる。しかし、大多数の薬物は一般に皮膚透過性が低く、全身作用を目的に実用化された薬物としては硝酸イソソルビド、ニトログリセリン、スコポラミン、エストラジオール等と特定の限られた薬物のみである。皮膚の構造は大別して表皮、真皮、皮下組織からなり、表皮の最外側は角質層といわれる厚さ10〜15μmの死滅しケラチン化した細胞で覆われている。この角質層は脂溶性が高く、薬物を含む化学物質の流入や流出、水の蒸発に対して制御バリアとして働いている。すなわち、経皮吸収の律速段階は角質層透過過程であることから、経皮吸収製剤を開発する上では、この角質層の薬物透過性を高めること、なお且つ長時間貼付していても皮膚刺激性の少ない安全な薬物や添加剤等を選択することが最も重要な課題であった。ミドドリンについて経皮吸収製剤として検討を行ったが、薬物自身の皮膚透過性は悪く可能性は極めて低かった。また、ミドドリンの経皮吸収製剤は、まだ実用化に至っていない。
【0005】
【発明が解決しようする課題】
本発明は、上記に鑑みミドドリン活性体の血漿中濃度を持続できる経皮吸収製剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、2−アミノ−1−(2,5−ジメトキシフェニル)エタノール又はその塩類を含有する経皮吸収製剤、好ましくは、テープ剤である経皮吸収製剤により達成することができる。
ミドドリンの皮膚透過性はかなり低く、経皮吸収製剤の開発は極めて困難であった。一方、ミドドリン活性体又はその塩類の角質層透過速度は極めて高く、
血漿中濃度が経口剤を投与したときにほぼ匹敵する。このため、これらを経皮吸収製剤にした場合、経口剤によるミドドリン活性体の血漿中濃度のバラツキを少なくし、結果的に仰臥性高血圧等の副作用の発現を軽減させることができる。また、上述のようにプロドラッグ化したミドドリンの特徴である持続的な効果によるバイオアベイラビリティの改善及びマイルドな血圧上昇作用を生かすことができ、更に経皮吸収製剤そのものの特徴も生かすことが可能となった。ミドドリン活性体は皮膚透過性が極めて高く、しかも皮膚刺激性の面においても刺激性が少なく優れたものであることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の経皮吸収製剤は以下に示す利点を有する。
(1)低血圧症による不定愁訴は起床時から午前中までに集中するので、就寝前に貼付することにより持続的な効果が期待できる。
(2)低血圧症でめまいや失神の症状を持つ重篤患者については、予防的に貼付することが可能である。
(3)初回通過効果を回避することが可能であるため、バイオアベイラビリィティを改善させることができる。
(4)副作用(悪心、頭重感、熱感等の患者自身が自覚できる副作用)が発生した場合、製剤を剥がすことにより直ちに投与を中止できる。
(5)長時間にわたり安定的に薬物を放出することができ、作用を持続化させることが可能である。
(6)経皮吸収製剤であれば、錠剤等の飲み忘れが無くなりコンプライアンスの改善に繋がる。
【0008】
ミドドリン活性体の塩類としては特に限定されず、例えば塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩等が挙げられる。
【0009】
本発明の製剤の形状は特に限定されず、軟膏剤、クリーム剤、貼付剤、ローション剤等が挙げられる。貼付剤の中では、テープ剤、パッチ剤、パップ剤、プラスター剤等が挙げられ、患者の使用性の面からテープ剤及びパッチ剤が好ましい。
【0010】
貼付剤、例えばテープ剤としては、支持体の一面に粘着剤層が形成されたものであれば特に限定されないが、支持体としては薬物不透過性のものが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース、エチルセルロース、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリウレタン等の樹脂フィルムが挙げられる。支持体には柔軟性が要求されることから、その厚さは通常300μm以下、好ましくは2〜100μmである。
【0011】
本発明のテープ剤は、通常、粘着層表面に剥離シート(セパレーター)を接着しておき、使用時にこれを剥離して粘着面を露出させ皮膚に貼付して投与する。剥離シートは使用時に粘着層から簡単に剥離できることが必要であるため、通常、粘着層との接触面にシリコンコートが施されたポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル等のフィルム、又はグラシン紙等のラミネートフィルム等が用いられる。剥離シートの厚さは1000μm以下、好ましくは30〜150μmである。
【0012】
粘着剤としては、例えば常温で感圧性を有するアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤等が好適に用いられる。
【0013】
アクリル系粘着剤では、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル(ここで、(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸またはアクリル酸の意味である)を主成分単量体とした単独重合物又は他の共重合性モノマーとの共重合体等が好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸イソブチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸イソオクチルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸イソデシルエステル、(メタ)アクリル酸ラウリルエステル、(メタ)アクリル酸ステアリルエステル等が挙げられる。共重合性モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブタジエン等が挙げられる。
【0014】
ゴム系粘着剤としては特に限定されず、例えばスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリブタジエン等が挙げられる。
【0015】
シリコン系粘着剤としては特に限定されず、例えばポリオルガノシロキサン等のシリコンゴム等が挙げられる。
【0016】
これらの粘着剤のうち、特にミドドリン活性体又はその塩類との相溶性が良好であり、またテープ剤としたときの物性が良好なアクリル酸−2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン共重合体等が特に好ましい。
【0017】
本発明において、粘着層におけるミドドリン活性体の配合量は、粘着層の乾燥総重量に対して好ましくは0.1〜30重量%、特に好ましくは0.5〜20重量%である。0.1重量%未満であるとミドドリン活性体の必要量を経皮吸収させるために広範囲の貼付面積が必要となる。一方、30重量%を超えると粘着層の粘着性が低下し、長時間の貼付が困難となる。
【0018】
粘着層の厚さは、好ましくは10〜200μmの範囲である。厚さが10μm未満であると必要量のミドドリン活性体を含有させることが困難であると共に粘着性も不十分となる。厚さが200μmを超えると貼付したときの使用感が悪くなり、また貼付終了後に粘着層中に残存するミドドリン活性体の含有量が増え利用率が低下するため好ましくない。
【0019】
本発明のテープ剤において、薬物含有粘着層を形成する方法としては特に限定されないが、溶液塗工法が好ましい。すなわち、粘着剤、薬物、必要に応じて吸収促進剤、各種添加剤を配合して、有機溶媒に希釈し分散した分散液を支持体の表面にアプリケーターにより塗工し、乾燥させて有機溶媒を除去することによって形成される。上記分散液を剥離シート上に塗工し乾燥させた後、支持体に転写することも可能である。
【0020】
本発明の経皮吸収製剤が、軟膏剤、クリーム剤又はローション剤である場合、その基剤は特に限定されず、白色ワセリン、流動パラフィン、パラフィン、スクワラン、プラスチベース等の炭化水素類、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類、イソステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸類、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル類、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン等の増粘剤類、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール類等が挙げられる。
【0021】
本発明の経皮吸収製剤は、ミドドリン活性体又はその塩類自体の皮膚透過性が高いが、さらに経皮吸収性を高めるために適当な添加剤を基剤に配合させても良い。ミドドリン活性体又はその塩類は水溶性が高いため、角質層の水和状態において皮膚からの吸収が促進されることから、角質層を湿潤又は保湿させる作用を有する添加剤(以下、「湿潤・保湿作用を有する添加剤」という)の配合が有効である。また、ミドドリン活性体はpKaが高いため、基剤のpHをアルカリ性側に保持することにより、ミドドリン活性体が経皮吸収に有利な非イオン型となることから、塩基性物質のpH調節剤の配合が有効である。
【0022】
湿潤・保湿作用を有する添加剤については限定されないが、
特にグリセリン、プロピレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、ミリスチン酸イソプロピル、カプリン酸及びミリスチン酸が好ましい。その他にポリエチレングリコール、尿素、アラントイン、トリイソオクタン酸グリセリン、アジピン酸ジイソブチル、D−ソルビトール、ヒアルロン酸ナトリウム、1,3−ブチレングリコール等も使用することができる。基剤中の含有量は、0.1重量%以上であることが好ましい。0.1重量%以下であると湿潤・保湿作用が弱いためである。
【0023】
pH調節剤については塩基性物質が好ましいが、特にこれに限定されるべきものではない。塩基性物質としては、特にモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンが好ましい。その他にもジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等も使用することができる。pH調節剤の基剤中の含有量は、0.1〜10重量%であることが好ましい。0.1重量%以下であるとpH調節剤としての作用が低く、10重量%を超えると添加剤そのものの皮膚刺激性が現れるためである。
【0024】
本発明の経皮吸収製剤は、保湿・湿潤作用を有する添加剤が少なくとも1種類、又はpH調節剤が少なくとも1種類が配合されていても良いし、あるいは保湿・湿潤作用を有する添加剤とpH調節剤を組み合わせて配合されていても良い。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0026】
参考例(ミドドリン活性体の製造)
ミドドリン塩酸塩1gを6N塩酸水溶液500mLに溶かし、水浴(約60℃)中で約2時間スターラーで撹拌した。この溶液を氷冷し沸騰に注意しながら水酸化ナトリウム(特級試薬)120gを少量ずつ加え、更に水酸化ナトリウム(特級試薬)を追加で添加しpHを8〜9に調整した。この溶液を分液ロートを用いて約500mLの酢酸エチルで抽出し、得られた酢酸エチル層を水洗し、無水硫酸マグネシウムを添加し振とうさせることにより脱水し、濾過して無水硫酸マグネシウムを除去した。この濾液である酢酸エチル溶液をエバポレーターを用いて蒸発乾固し、ミドドリン活性体を得て以下の実施例に使用した。
参考例<ミドドリン活性体の塩酸塩の製造>
上記の操作により得られたミドドリン活性体に、塩酸を飽和させたエーテル溶液(エーテル中の塩酸濃度約29%)を加え、冷却しながらよく撹拌した。析出した結晶を濾過し、氷冷したエーテルで洗浄し、50℃で約3時間減圧乾燥を行い、ミドドリン活性体の塩酸塩を得た。
【0027】
実施例1(吸収促進剤無添加)
アクリル酸−2−エチルヘキシル84.1g、N−ビニルピロリドン27.1g及びジメタクリル酸−1,6−ヘキサメチレングリコール21mgに酢酸エチル112.1gを加えて1リットル用セパラブルフラスコに仕込んだ。この溶液を窒素雰囲気下で水浴中で63℃に加熱し、過酸化ラウロイル(重合開始剤)0.6gをシクロヘキサン27.6gに溶解した重合開始剤溶液、及び酢酸エチル66gを撹拌しながら少しずつ滴下し重合反応を24時間継続させ、固形分濃度約35重量%を有するアクリル酸−2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン共重合体溶液を得た。この共重合体溶液を67.8重量%(塗工乾燥後95.0重量%)、ミドドリン活性体を1.25重量%(塗工乾燥後5.0重量%)、酢酸エチルを30.9重量%となるようにガラス瓶に秤量し、溶媒が揮発しないように密栓し、約50℃に温めた水浴中で約30分間超音波処理を行い溶解混合させた。この薬物を含有した粘着剤溶液を厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にフィルムアプリケーター(エリクセン社製 モデル411型)を用いて厚さ200μmに塗工を行った。これを約60℃で約30分間乾燥後、塗工面を厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート製のセパレーターのシリコンコート面と貼り合わせて所定の大きさに裁断し、テープ剤を製造した。
【0028】
下記の比較例及び実施例2〜13について、実施例1に準じてテープ剤を製造した。
【0029】
比較例(ミドドリンのフリー体含有、吸収促進剤無添加)
Figure 0003571511
【0030】
実施例2
Figure 0003571511
【0031】
実施例3
Figure 0003571511
【0032】
実施例4
Figure 0003571511
【0033】
実施例5
Figure 0003571511
【0034】
実施例6
Figure 0003571511
【0035】
実施例7
Figure 0003571511
【0036】
実施例8
Figure 0003571511
【0037】
実施例9
Figure 0003571511
【0038】
実施例10
Figure 0003571511
【0039】
実施例11(ミドドリン活性体の塩酸塩含有)
Figure 0003571511
【0040】
実施例12
Figure 0003571511
【0041】
実施例13
Figure 0003571511
【0042】
実施例14(軟膏剤)
カルボキシビニルポリマー5重量%、グリセリン10重量%、水85重量%を乳鉢中で良く混合し、トリエタノールアミンを加えてpH7.0に調節し基剤を調製した。このゲル基剤を90重量%及びミドドリン活性体を10重量%となるように均一に混合させ、10%のミドドリン活性体を含有する軟膏剤を調製した。
【0043】
試験例1(ウサギを用いた血漿中濃度測定)
日本白色種ウサギ(雄性 体重約2kg)の背部を試験前日に電気バリカン及び電気シェーバーにより注意深く除毛した。実施例1〜11及び比較例のテープ剤を5×5cmの正方形(面積25cm)に裁断し、除毛部位に貼付し、その上からサージカルテープで固定した。また、実施例14の軟膏剤については、5×5cmの正方形(面積25cm)のポリエチレン製のフィルム上に軟膏を0.2g秤取し、スパーテルで均一に延ばしたものを除毛部位に貼付し、その上からサージカルテープで固定した。貼付開始前並びに貼付後1、2、4及び6時間に耳介静脈から約2mLの血液を採取し、血漿中のミドドリン活性体濃度を高速液体クロマトグラフ法(蛍光検出器使用)により測定した。実施例1〜11及び比較例のテープ剤の試験結果を表1に示す。また、実施例14の軟膏剤の試験結果を表2に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0003571511
【0045】
【表2】
Figure 0003571511
【0046】
表1及び表2に示す結果から明らかなように、比較例のミドドリン(フリー体)を主薬とした経皮吸収製剤は全く吸収性が認められなかったのに対し、ミドドリンの活性体又はその塩酸塩を含有した製剤は吸収が認められた。基剤中に湿潤・保湿作用を有する添加剤、又は塩基性物質のpH調節剤の添加、あるいは両添加剤の組み合わせにより、更なる吸収性の向上が認められた。
【0047】
試験例2(ビーグル犬を用いた血漿中濃度測定)
ビーグル犬(雄性 体重約7kg前後)の背部を試験前日に電気バリカン及び電気シェーバーにより注意深く除毛した。実施例12及び13のテープ剤を5×5cmの正方形(面積25cm)に裁断し、除毛部位に貼付し、その上からサージカルテープで固定し、更にその上から犬用のジャケットを胴体に巻いた。貼付開始前並びに貼付後1、2、4及び6時間に前腕部静脈から約2mLの血液を採取し、試験例1に準じて血漿中のミドドリン活性体濃度を測定した。その試験結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
Figure 0003571511
【0049】
実施例12及び13で製造したテープ剤を用いた試験において、最高血漿中濃度はそれぞれ5.59及び4.76ng/mLであり、ビーグル犬においてもミドドリン活性体の経皮吸収性が認められた。
【0050】
試験例3(ウサギによる皮膚一次刺激性試験:Draize法)
日本白色種ウサギ(雄性 体重約2kg)6匹の背部を試験前日に電気バリカン及び電気シェーバーにより注意深く除毛し、除毛部分を保護するため胴体にサポーターを巻いた。試験当日、正中線の左右の除毛部分の2箇所に貼付部位を設け、いずれか一方の貼付部位の角質層を18Gの注射針で井桁状に傷を付け損傷皮膚とし、他方を正常皮膚とした。正常皮膚及び損傷皮膚に2.5×2.5cm(6.25cm)の大きさに裁断した実施例12で製造したテープ剤2枚を24時間貼付した。テープ剤はサージカルテープで固定しその上をサポーターで保護した。24時間後にテープ剤を除去し、剥離直後、24時間後及び48時間後に下記のDraize法の評点に基づき皮膚状態を判定し、それぞれの評点から皮膚一次刺激性指数(P.I.I.)を求めた。その試験結果を表4に示す。
【0051】
<Draize法による判定基準>
紅斑及びか皮の形成
0:紅斑なし
1:非常に軽度な紅斑(かろうじて識別できる)
2:はっきりした紅斑
3:中等度から強度な紅斑
4:強度な紅斑から軽度なか皮(深部損傷)の形成まで
浮腫の形成
0:浮腫なし
1:非常に軽度な浮腫(かろうじて識別できる)
2:軽度な浮腫(はっきりとした膨隆による明確な縁が識別できる)
3:中等度な浮腫(約1mmの膨隆)
4:強度な浮腫(1mm以上の膨隆と曝露範囲を越えた広がり)
【0052】
<Draize法のスコアの算出方法>
テープ剤の剥離直後に、正常皮膚及び損傷皮膚において紅斑及びか皮の形成並びに浮腫の形成の2つの評価項目について、上記のDraize法の判定基準に従い判定を行い、6匹の合計点を各項目のスコアとした。同様に、剥離後24時間並びに剥離48時間についても評価項目のスコアを算出した。更に、各判定時間ごとの紅斑及びか皮の形成のスコア並びに浮腫形成のスコアの合計を匹数で割って、判定時間ごとの平均値を算出し、それらの全平均値を皮膚一次刺激性指数(P.I.I.)とした。
【0053】
<Draize法の安全性区分>
安全性区分 皮膚一次刺激性指数(P.I.I.)
弱い刺激物 0〜2
中等度の刺激物 3〜5
強い刺激物 6〜8
【0054】
【表4】
Figure 0003571511
【0055】
実施例12のテープ剤を24時間貼付したとき、剥離直後の皮膚反応は「非常に軽度な紅斑」又は「はっきりした紅斑」であり、その後経時的に速やかな軽減を示した。皮膚一次刺激性指数(P.I.I.)は0.7であり、上記のDraize法による安全性区分から「弱い刺激物」の範疇に区分され、これにより皮膚一次刺激性は弱いものと判断された。
【0056】
【発明の効果】
これまでミドドリンは経皮吸収性が極めて低く、経皮吸収製剤としての開発が困難とされていたが、本発明に示したミドドリンの活性本体を用いることで経皮吸収性が改善され、しかも皮膚一次刺激性が弱いものであった。本発明の経皮吸収製剤は、本態性低血圧症及び起立性低血圧症治療剤であるミドドリン活性体の有効量を持続的に経皮吸収させることが可能であり実用上好適な製剤である。

Claims (7)

  1. 2−アミノ−1−(2,5−ジメトキシフェニル)エタノール又はその塩類を含有する経皮吸収製剤。
  2. テープ剤であることを特徴とする請求項1に記載の経皮吸収製剤。
  3. 基剤中に、湿潤・保湿作用を有する添加剤を含有してなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の経皮吸収製剤。
  4. 湿潤・保湿作用を有する添加剤が、グリセリン、プロピレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、ミリスチン酸イソプロピル、カプリン酸及びミリスチン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類である請求項3に記載の経皮吸収製剤。
  5. 基剤中に、pH調節剤として塩基性物質を含有してなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の経皮吸収製剤。
  6. 塩基性物質が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種類である請求項5に記載の経皮吸収製剤。
  7. 基剤中に、請求項3又は請求項4に記載した湿潤・保湿作用を有する添加剤と、請求項5又は請求項6に記載した塩基性物質のpH調節剤を組み合わせて含有する請求項1又は請求項2に記載の経皮吸収製剤。
JP30885197A 1997-11-11 1997-11-11 経皮吸収製剤 Expired - Lifetime JP3571511B2 (ja)

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