JP4851117B2 - 半導体装置及びその駆動方法 - Google Patents

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本発明は、電子を転送する半導体装置及びその駆動方法に関するものである。
単一の電子を転送するデバイス(素子)は、単電子デバイスと呼ばれ、最も基本となるデバイスは、単電子トランジスタと呼ばれる3端子素子である。単電子トランジスタは、図5に概略を示すように、ソース501、ドレイン502、ゲート503、及び中核部である単電子島504から構成されている。単電子島504は、量子ドット、あるいは人工原子とも呼ばれる伝導体の微細構造である。単電子島504が十分に小さい場合、ソース501から単電子島504に電子が1個入ると、単電子島504のポテンシャルエネルギーが大きく上昇し、単電子島504にはこれ以上電子が入ることができなくなる。
言い換えると、電子が1個入ったことにより、単電子島504は大きく負に帯電し、新たな電子は、帯電したことによる静電反発力により単電子島504に入れない。このポテンシャルエネルギーの増加分は、帯電エネルギーと呼ばれている。単電子島504に入っていた電子が、ドレイン502に抜けてしまうと、静電反発力がなくなり、新たな電子が単電子島504に入れるようになる。このように、第一の電子が単電子島504を通過した後に、次の第2の電子は単電子島504を通過でき、単電子トランジスタでは、単電子島504を通過する電子は、1個ずつとなる。
ただし、上記の動作は、単電子島504が十分に小さいか、または、温度を十分に低くしないと保証されない。単電子島504が十分に小さくないと、静電エネルギーの上昇量(帯電エネルギー)も小さく、静電反発力がうまく機能しない。従って、電子の熱エネルギーのため、反発力にうち勝って電子が間違って単電子島504に入ってしまうということが起こり、これが誤動作となる。この問題は、温度を下げて電子の熱エネルギーを低くすることにより回避できるが、これは、低温でのデバイス動作を意味し、実用上好ましくない。このような理由から、単電子島504は、非常に小さくしなければならず、常温に近い動作を保証するには、単電子島504の直径を10nm以下にしなければいならないことが知られている。
直径を10nm以下にした微細な単電子島504を有する単電子トランジスタは、研究レベルでは試作されているが、実用には至っていない。また、単電子トランジスタの特性は、単電子島504の大きさや形に敏感に依存するため、単電子トランジスタを集積するためには、微細な単電子島504を再現性よく作製する技術が必要であるが、このような技術は現状ではまだない。
加えて、上記構造の単電子トランジスタでは、原理的に、単電子転送の精度が上がらないことが知られている。単電子トランジスタでは、電子は1個ずつ転送されるが、各電子転送の時間間隔はバラバラである。例えば、転送時間を区切り、10個の電子を正確にソースからドレインに転送するということができない。転送精度を上げるためには、単電子トランジスタよりもさらに複雑な構造が必要となる。これらは、単電子転送デバイスと呼ばれ、単電子ターンスタイルや単電子ポンプなどが考案され、実証されている(非特許文献1参照)。
一例として、単電子ターンスタイルの構成を図6に示す。図6に示す素子は、ソース601、ドレイン602、ゲート603、及び直列に接続した3個の単電子島641,642,643から構成されている。このターンスタイルでは、ゲート603は、中央の単電子島641に結合(容量結合)しており、ゲート603にクロック電圧を印加すると、1回の電圧の立ち上がり下がりにつき、正確に1個の電子を転送させることができる。例えば、10個の電子を転送したい場合には、ゲート603に対して立ち上がり下がりが10回繰り返されるクロック電圧を印加すればよい。また、図6に示す素子のオンオフを10回繰り返せばよい。
L.J.Geerligs, et al., "Frequency-Locked Turnstile Device for Single Electron", Physical Review Letters, Vol.64, No.22, pp.2691-2694, 1990.
上述したように、非特許文献1に示されているような素子によれば、高い精度で電子の転送が可能であるが、微細な単電子島を直列した状態で3個形成する必要があるなど、単電子トランジスタの場合に比べ、より製造が困難である。このように、従来では、高い精度で電子の転送が可能で、かつより高温で動作可能な微細な単電子島による単電子素子の実現は、容易ではなかった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、高い精度で電子の転送が可能でより高温で動作可能であり、かつより容易に製造ができる半導体装置の提供を目的とする。
本発明に係る半導体装置は、p型の不純物が導入された半導体からなるp型領域と、n型の不純物が導入された半導体からなるn型領域と、第1方向でp型領域とn型領域とに挾まれて配置された半導体からなるチャネル領域と、チャネル領域の第1方向に垂直な第2方向の側に配置されたゲート電極と、チャネル領域のゲート電極の側の界面より30nmの範囲に導入された既知の個数の不純物原子とを少なくとも備え、不純物原子は、イオン化エネルギーが0.1eV以上であり、チャネル領域の中に不純物準位を形成し、不純物原子が単電子島として機能するようにしたものである。例えば、1個の前記不純物原子が前記チャネル領域に導入されているようにしたものである。従って、ゲート電極にゲート電圧を印加してn型領域より電子チャネルが形成された状態とすると、形成された電子チャネル中の1つ(既知の個数)の電子が1個(既知の個数)の不純物原子に捕獲される。
上記半導体装置において、ゲート電極とチャネル領域との間に配置されたゲート絶縁層を備え、このゲート絶縁層は、チャネル領域を構成する半導体よりもバンドギャップの広い半導体から構成されていて。また、チャネル領域はシリコンから構成される場合、不純物原子は、インジウム及びタリウムの少なくとも1つであればよい。
また、上記半導体装置において、チャネル領域のゲート電極と反対の側にゲート電極と対向して配置された他のゲート電極を備え、ゲート電極と他のゲート電極とに挟まれた領域のチャネル領域の層厚は、高々60nmに形成されているようにしてもよい。この場合においても、他のゲート電極とチャネル領域との間に配置された他のゲート絶縁層を備え、他のゲート絶縁層は、チャネル領域を構成する半導体よりもバンドギャップの広い半導体から構成されてい
また、本発明に係る半導体装置の駆動方法は、上述した構成の半導体装置を駆動する方法であり、ゲート電極に、n型領域より供給される電子による電子チャネルが形成されるしきい値以上の第1ゲート電圧と、p型領域より供給される正孔による正孔チャネルが形成されるしきい値以下の第2ゲート電圧とを交互に印加するようにしたものである。
また、本発明に係る半導体装置の駆動方法は、上述した構成の半導体装置を駆動する方法であり、チャネル領域のゲート電極側と他のゲート電極側との2つの界面における電位差が、チャネル領域を構成する半導体のバンドギャップを越えないようにする第1ゲート電圧を他のゲート電極に印加し、他のゲート電極に第1ゲート電圧が印加されている状態で、ゲート電極に、n型領域より供給される電子による電子チャネルが形成されるしきい値以上の第2ゲート電圧と、p型領域より供給される正孔による正孔チャネルが形成されるしきい値以下の第3ゲート電圧とを交互に印加するようにしたものである。
以上説明したように、本発明によれば、チャネル領域のゲート電極の側の界面より30nmの範囲に導入された1つの不純物原子とを備え、不純物原子は、イオン化エネルギーが0.1eV以上であり、チャネル領域の中に不純物準位を形成するようにしたので、高い精度で電子の転送が可能でより高温で動作可能な半導体装置が、より容易に製造ができるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における半導体装置の構成例を示す構成図である。ここでは、単電子素子を例に説明する。図1に示す単電子素子は、例えばシリコンからなる半導体層101と、半導体層101に形成されたp型領域102と、p型領域102と離間して半導体層101に形成されたn型領域103と、半導体層101の主表面に形成されたゲート絶縁層104と、p型領域102とn型領域103との間の半導体層101の上に形成されたゲート電極105とを備える。図1に示す単電子素子では、ゲート電極105は、ゲート絶縁層104を介して半導体層101の主表面の上に形成されている。
加えて、図1に示す単電子素子は、p型領域102とn型領域103とに挟まれた半導体層101の主表面、すなわちゲート電極105側の表面より30nm以内の領域に導入された1個の不純物(不純物原子)106を備えている。不純物106は、p型領域102とn型領域103とに挟まれたチャネル領域に導入され、不純物準位を形成している。なお、ゲート電極105は、不純物106が導入されたチャネル領域に結合(容量結合)している。
例えば、半導体層101は、シリコン基板(ウエハ)であり、この所定領域に公知のイオン注入法などによりよく知られたp型不純物を導入することでp型領域102が形成可能であり、同様に、よく知られたn型不純物を導入することで、n型領域103の形成が可能である。ここで、図1に示す単電子素子は、p型領域102とn型領域103とが、半導体(チャネル領域)を挾むように配置され、この配置の方向と垂直な方向のチャネル領域の上にゲート電極105が配置されている構成である。従って、所定の半導体から構成されたチャネル領域を挾むようにp型半導体とn型半導体とを配置し、上記構成としてもよい。この場合、チャネル領域,p型半導体,及びn型半導体は、同じ半導体から構成されている必要はない。
また、シリコン基板(半導体層101)の表面を熱酸化して酸化膜が形成された状態とすることで、ゲート絶縁層104の形成が可能である。なお、ゲート絶縁層104は、化学的気相成長法などの堆積法により形成してもよく、半導体層101(チャネル領域)よりもバンドギャップの広い別の半導体材料から構成されていてもよい。ここで、以降に示す「界面」は、ゲート絶縁層と半導体層との界面を示している。また、半導体層にショットキー接続するゲート電極を用いるようにしてもよい。この場合、以降に記載する「界面」は、半導体層とゲート電極との界面を示すことになる。一方、不純物106は、シングルイオン注入技術を用いて単一イオンを半導体層101(チャネル領域)に打ち込み、打ち込んだ後にアニール処理を行い活性化させればよい。この不純物106の導入は、ゲート電極105の形成前に行う。
次に、上述した単電子素子の動作(駆動方法)例について説明する。なお、図2において、(a’)〜(e’)は、p型領域102とn型領域103に挾まれた半導体層101(チャネル領域)における、半導体層101の表面(絶縁層104との界面)近傍のポテンシャルを示すポテンシャル図である。まず、図2(a)及び図2(a’)に示すように、初期状態では、ゲート電極105に例えば0V程度と、電子チャネルのしきい値Vth-nと、正孔チャネルのしきい値Vth-pとの中間の値のゲート電圧が印加された状態としておく。なお、Vth-n>Vth-pである。この状態では、電子のチャネルも正孔のチャネルもどちらも開いておらず、不純物106には、なにもトラップ(捕獲)されていない。
初期状態についで、図2(b)及び図2(b’)に示すように、ゲート電極105に電子チャネルのしきい値Vth-nを超える大きさのゲート電圧が印加された状態とする。このゲート電圧の印加により、ゲート電極105の下のチャネル領域にn型領域103から電子が供給されて電子チャネル131が形成される。電子チャネル131は、半導体層101を構成している半導体の伝導帯中に形成される。このとき、形成された電子チャネル131より、1個の電子が不純物106にトラップされる。このようにして1個の電子が不純物106にトラップされた後、ゲート電極105に初期状態と同様のゲート電圧が印加された状態とすると、電子チャネル131として供給されていた電子(伝導体中の電子)は、n型領域103に回収される。しかしながら、図2(c)及び図2(c’)に示すように、不純物106にトラップされた電子は、有限のイオン化エネルギーのために、n型領域103に戻れずに、不純物106にトラップされたままの状態となる。
このように、不純物106に電子がトラップされた状態で、ゲート電極105に正孔チャネルのしきい値Vth-pよりも低い値のゲート電圧が印加された状態とする。このゲート電圧の印加により、図2(d)に示すように、ゲート電極105の下のチャネル領域にp型領域102より正孔が供給されて正孔チャネル121が形成される。正孔チャネル121は、半導体層101を構成している半導体の価電子帯中に形成される。この正孔チャネル121の形成により、不純物106にトラップされていた電子が、供給された正孔と再結合する。言い換えると、不純物106にトラップされていた電子は、価電子帯へと移動する。
以上のようにして、不純物106にトラップされていた電子が価電子帯へと移動された後、ゲート電極105に初期状態と同様のゲート電圧が印加された状態とすると、正孔チャネル121は閉じられ、価電子帯中の正孔は、p型領域102に回収される。この結果、図2(e)及び図2(e’)に示すように、不純物106が、なにもトラップしていない状態となり、1個の電子が、n型領域103からp型領域102へ流れた(転送された)ことになる。なお、上述した動作の中で、n型領域103及びp型領域102における電圧は、両者とも0V程度とされていればよい。また、n型領域103とp型領域102との間に、±0.1V程度の電圧が印加されていてもよい。
以下、不純物106について、より詳細に説明する。図2を用いて説明した転送動作において、より精度よく電子を転送するためには、不純物106が、電子及び正孔の両者に対して高い捕獲断面積を有している必要がある。言い換えると、不純物106の電子状態が、伝導帯及び価電子帯の両方の電子状態とよく結合していなければならない。このためには、より深い準位を有する不純物が適している。
例えば、半導体層101がシリコンから構成されている場合、リン及びボロンは、各々浅い準位を有するドナー及びアクセプターである。この中で、リンは、シリコン伝導帯の下45meV程度の位置に準位を有するが、この場合、リンドナーの電子状態は、伝導帯の電子状態の重ね合わせでよく記述できる。このため、伝導電子を容易に捕獲することが可能である。一方、リンドナーは、価電子帯の正孔の捕獲断面積は非常に小さい。このようなリンに対し、ボロンなどの浅い準位を有するアクセプターは、価電子帯の正孔の捕獲断面積は大きいが、伝導帯の電子捕獲断面積が小さく、伝導帯電子の捕獲確率が小さい。
上述した浅い準位を有する不純物に対し、深い準位を有する不純物106の電子状態は、伝導帯及び価電子帯の両方の状態を用いて記述されるため、電子及び正孔の両方の捕獲断面積が大きい。このように、深い準位を有する不純物により、より精度よく単電子転送が可能となり、単電子転送を実現するためには、不純物106のイオン化エネルギー(基底状態の準位)は0.1eV以上が必要である。
また、浅い準位を有するドナーの場合、伝導帯電子をトラップしたとしても、電子チャネルを閉じて電子をn型電極に回収する際に、熱雑音によりトラップした電子を再放出してしまう確率が高くなる。このため、浅い準位のドナーでは、転送精度が悪くなる。同様に、浅い準位を有するアクセプターの場合、熱雑音により正孔を再放出してしまう確率が高くなり、転送精度が悪くなる。これらに対し、深い準位の不純物106を用いるほど、高温動作に適している。安定した動作のためには、熱エネルギーの4倍程度のイオン化エネルギーが必要であり、室温での動作を実現するためには、やはり、不純物106のイオン化エネルギー(基底状態の準位)は0.1eV以上が必要である。
加えて、不純物106原子の半導体(半導体層101)中での位置は、深さ方向にのみ制約があり、半導体の界面(半導体層101のゲート電極105側の表面)からの距離が30nm以内になければならない。これは、界面に形成されるチャネルとの間で、電子あるいは正孔を捕獲するためには、チャネルの電子あるいは正孔と、不純物106の電子の波動関数との間にオーバーラップが必要なためである。不純物106に捕獲された電子の波動関数の広がりは10nm程度、チャネルにおける電子及び正孔の波動関数の広がりは5nm程度であり、これらの和の2倍程度以下の距離にないと、十分な捕獲が起こらない。なお、イオン化エネルギーが0.1eV以上の不純物の波動関数の広がりは、不純物そのものの性質を強く反映し、母材となる半導体の性質にはあまり依存しない。また、チャネル電子,正孔の波動関数の広がりも、半導体の種類には強く依存しない。このため、上述した30nmという界面(表面)からの距離に対する条件は、半導体の種類には関わらない。
一方、チャネルが形成されるゲート電極105の下の領域であれば、深さ方向に垂直な平面上(p型領域102からn型領域103への方向)において、どの位置に配置されていても構わない。例えば、不純物106は、p型領域102に近い位置にあっても、n型領域103に近い位置にあっても、中央にあってもよい。これにより素子の作製が非常に簡便となる。なお、p型領域102とn型領域103との間隔が大きいと、動作のときに形成される電子チャネルや正孔チャネルの戻りなどにより長い時間を要するようになり、動作速度の低下を招く。一方、前述した不純物106の波動関数の広がりの観点から、p型領域102とn型領域103との間隔が30nmよりあまり小さくなると、素子の動作に影響を及ぼす場合がある。
図1に示す単電子素子によれば、ゲート電極下のチャネル領域における単一の不純物原子が、従来の単電子転送デバイスにおける単電子島に相当するものとなっている。従来の単電子デバイスでは、単電子島の大きさや形が素子の特性を支配しており、これらの制御が大きな問題となっていた。これに対して図1に示す単電子素子によれば、不純物原子により構成される単電子島相当の部分の大きさや形は、不純物に捕獲された電子の波動関数の広がりと形で定義され、イオン化エネルギーが帯電エネルギーに対応する。これらの諸量は、不純物原子が本来持つ特性で一意に決定され、制御不要であることは言うまでもない。従って、図1に示す単電子素子によれば、容易に製造することが可能であり、製造による特性ばらつきも非常に小さく、大規模集積が可能となる。
次に、本発明の実施の形態における他の半導体装置について説明する。図3は、本発明の実施の形態における他の半導体装置の構成例を示す構成図である。ここでも、単電子素子を例に説明する。図3に示す単電子素子は、例えばシリコンからなる半導体層301と、半導体層301に形成されたp型領域302と、半導体層301にp型領域302と離間して形成されたn型領域303と、半導体層301の一方の表面上に形成されたゲート絶縁層304と、p型領域302とn型領域303との間のゲート絶縁層304の上に形成された第1ゲート電極305とを備える。
また、図3に示す単電子素子は、半導体層301の他方の表面上に形成されたゲート絶縁層307と、p型領域302とn型領域303との間のゲート絶縁層307の上に形成された第2ゲート電極308を備え、2つのゲート電極を備える構成とされている。加えて、図3に示す単電子素子でも、p型領域302とn型領域303とに挟まれた半導体層301の両方の表面より30nm以内の領域に導入された1個の不純物306を備えている。不純物306は、p型領域302とn型領域303とに挟まれたチャネル領域に導入されている。なお、図3に示す単電子素子においても、ゲート絶縁層304,ゲート絶縁層307が、例えば、半導体層301(チャネル領域)よりもバンドギャップの広い別の半導体材料から構成されていてもよい。
以下、図3に示す単電子素子の動作例(駆動方法例)について、図4を用いて説明する。図4は、半導体層301における膜厚方向のポテンシャル分布を示す分布図である。まず、初期状態では、第1ゲート電極305に印加されるゲート電圧は、電子チャネルのしきい値Vth-nと正孔チャネルのしきい値Vth-p(Vth-n>Vth-p)の中間の値に設定しておく。このような駆動状態では、図4(a)に示すように、電子及び正孔のどちらのチャネルも開いておらず、不純物306には電子はトラップされていない。さらに、この初期状態において、第2ゲート電極307にオフセット電圧をかけておく。このオフセット電圧の大きさは、両界面での電位差が、半導体層301を構成する半導体のバンドギャップを越えないように設定する。このような条件を満たすオフセット電圧の値は、容易に算定することができる。
例えば、図3に示す単電子素子において、半導体層301中の電界強度をEs、半導体層301のバンドギャップをEg、半導体層301の膜厚をts、半導体層301の誘電率をεs、ゲート絶縁層304,ゲート絶縁層307の誘電率をεD、ゲート絶縁層304の膜厚をtD1、ゲート絶縁層307の膜厚をtD2とすると、ゲート絶縁層304,ゲート絶縁層307の電界強度EDは、半導体の電界強度EDを用いて、(εs/εD)Esと表されるので、オフセット電圧VG2は、「VG2=Ess+(εs/εD)Es(tD1+tD2)=[ts+(εs/εD)(tD1+tD2)]Es」と表される。従って、第2ゲート電極307に印加されるオフセット電圧の許容最大値VG2-maxは、「[ts+(εs/εD)(tD1+tD2)]Eg/ts」となる。なお、上記オフセット電圧は、正でも負でも構わない。オフセット電圧を負にする場合、許容最小値VG2-minは、「−[ts+(εs/εD)(tD1+tD2)]Eg/ts」となる。以上が電圧の初期設定である。以下、オフセット電圧を負とした場合について説明する。
上述したように各ゲート電圧が印加された状態の初期状態の後、第1ゲート電極305に正の電圧が印加された状態とする。この正の電圧は、電子チャネルのしきい値Vth-nを越える大きさとする。この電圧印加により、図4(b)に示すように、第1ゲート電極305側の界面(半導体層301の表面)に電子チャネル331が形成され、n型領域303より電子が供給される。この時、電子チャネル331から、1個の電子が不純物306にトラップされる。この後、第1ゲート電極305に印加されているゲート電圧を初期状態に戻すと、電子チャネル331は閉まり、半導体の伝導体中の電子はn型領域303に回収されるが、不純物306にトラップされた電子は、有限のイオン化エネルギーのためにn型領域303に戻ることができない(図4(c))。
次に、第1ゲート電極305に負の電圧が印加された状態とする。この負のゲート電圧は、正孔チャネルのしきい値Vth-pよりも低い値とする。このゲート電圧の印加により、図4(d)に示すように、正孔チャネル321が第2ゲート電極308側の界面(半導体層301の表面)に形成され、p型領域302より正孔が供給され、供給された正孔がトラップされていた電子と再結合する。言い換えると、不純物306にトラップされていた電子は、半導体の価電子帯へ移動する。
この後、第1ゲート電極305に印加されるゲート電圧を再び初期状態に戻すと、正孔チャネル321は閉まり、半導体の価電子帯中の正孔はp型領域302に回収される(図4(e))。これらで、転送の1サイクルが終了し、図4(a)に示す状態から、1個の電子がn型領域303からp型領域302へ流れた(転送された)ことになる。なお、上述の動作手順中、n型領域303、p型領域302の電圧は、両方とも0Vにしておけばよい。あるいは、n型領域303とp型領域302の間に、±0.1V程度の電圧をかけていてもよい。
以上のサイクル(1サイクル)では、電子チャネルと正孔チャネルの形成される場所が異なっているため、界面(半導体層301の表面)に局在している界面準位は、電子の転送に寄与することができない。例えば、第1ゲート電極305側の界面に存在する界面準位は、電子をトラップすることはできるが、このトラップ電子は、反対側(第2ゲート電極307側)の界面に形成される正孔チャネル321の正孔と再結合することができない。転送に寄与できるのは、半導体中に存在する不純物準位のみとなる。このように、図3に示す単電子素子によれば、素子の作成段階で導入される可能性のある界面準位により、単電子転送の精度が影響を受けることがなく、より高い転送精度が得られるようになる。
初期状態で印加するオフセット電圧により、半導体中の電界強度がEg/tsを越える、言い換えれば、両界面での電位差が半導体中のバンドギャップを越えると、前述した動作の中で、正孔及び電子の両チャネルが同時に開く状態が存在するようになる。この場合、2つのチャネルの間に、不純物準位を介して直流のリーク電流が流れてしまい、単電子転送の精度を悪化させる。このため、前述したように、オフセット電圧の絶対値には上限値が存在する。
不純物準位を用いて精度よく単電子転送を行うためには、準位にトラップされた電子の波動関数がどちらのチャネルともオーバーラップしていなければならない。このため、不純物はどちらの界面からも30nm以内に位置していなければならない。この条件は同時に、半導体(半導体層301)の膜厚も規定し、半導体層301の膜厚は、高々60nm(60nm以下)となっている必要がある。
次に、電子をトラップする不純物についてより詳細に説明する。イオン化エネルギーが0.1eV以上の深い準位を有する不純物は、例えば半導体としてシリコンを例にとると、インジウム及びタリウムなどのIII属の深いアクセプターと、マンガン,鉄,銅,及びニッケルのなどの遷移金属の深い準位に大別される。なお、シリコンでは、イオン化エネルギーが0.1eVを越えるV属の深いドナーは存在しない。
まず、インジウム及びタリウムは、不純物として導入されると、シリコンのバンドギャップ中に単一の準位を形成し、0及び−1の2種類の荷電状態が存在する。このため、インジウム及びタリウムを不純物106として用いた図1に示す半導体装置(単電子素子)では、図2を用いて説明した駆動の条件が満たされていれば、正確に単電子転送を行うことができる。
一方、遷移金属では、不純物としてシリコンに導入されると複数の準位を有する。例えば、シリコン中のマンガンは、3個の準位を有し、−1,0,+1,+2の4種類の荷電状態を有する。このため、ゲート電圧の掃引時間によって、一度に転送される電子の数が1個から最大3個まで変化する。掃引時間が十分に長いと3個の電子が転送され、短くなるにしたがって転送される電子数が減少する。このため、マンガンを不純物106として用いる場合、正確な単電子転送には、掃引時間の調整が必要になる。
このように、インジウム及びタリウムを不純物として用いた方が、ゲート電圧の掃引時間依存性が小さく、あるいは、交流ゲート電圧の周波数依存性が小さく、安定した動作が可能となる。また、インジウム及びタリウム(III属のアクセプター)は、シリコン中の拡散係数が、遷移金属に比べて格段に小さい。このため、イオン注入後の熱処理による拡散距離を小さく抑えることができ、不純物の深さ制御を容易に行うことができる。
なお、上述では単電子素子を例に説明したが、これに限るものではない。例えば、1サイクルで2個(あるいはn個)の電子を転送したい場合には、2個の不純物あるいはn個の不純物が、半導体(チャネル領域)中に導入されていればよい。チャネル領域に、設計された数の上記不純物が導入され、チャネル領域に導入されている不純物の数が既知の状態であればよい。既知の数(規定数)の不純物がチャネル領域に導入されている状態で、図2を用いて説明した駆動のサイクルを規定数繰り返すことで、図1に示す半導体装置により、基準となる電流値を得ることが可能となる。この場合、各不純物の種類は同じでも違っていても構わない。また、相互の位置関係に相関があってもなくてもよい。あるいは、互いに近くても遠くてもよい。
本発明の実施の形態における半導体装置の構成例を示す構成図である。 図1に示す半導体装置の動作(駆動方法)例について説明する説明図である。 本発明の実施の形態における他の半導体装置の構成例を示す構成図である。 図3に示す半導体装置の動作(駆動方法)例について説明するための、半導体層301における膜厚方向のポテンシャル分布を示す分布図である。 従来よりある単電子素子の構成を簡単に示す構成図である。 単電子ターンスタイルの構成を簡単に示す構成図である。
符号の説明
101…半導体層、102…p型領域、103…n型領域、104…ゲート絶縁層、105…ゲート電極。

Claims (6)

  1. p型の不純物が導入された半導体からなるp型領域と、
    n型の不純物が導入された半導体からなるn型領域と、
    第1方向で前記p型領域と前記n型領域とに挾まれて配置された半導体からなるチャネル領域と、
    前記チャネル領域の前記第1方向に垂直な第2方向の側に配置されたゲート電極と、
    前記チャネル領域を構成する半導体よりもバンドギャップの広い半導体から構成されて前記ゲート電極と前記チャネル領域との間に配置されたゲート絶縁層と、
    前記チャネル領域の前記ゲート電極の側の界面より30nmの範囲に導入された既知の個数の不純物原子と
    を少なくとも備え、
    前記不純物原子は、イオン化エネルギーが0.1eV以上であり、前記チャネル領域の中に不純物準位を形成し、前記不純物原子が単電子島として機能する
    ことを特徴とする半導体装置。
  2. 請求項1記載の半導体装置において、
    1個の前記不純物原子が前記チャネル領域に導入されている
    ことを特徴とする半導体装置。
  3. 請求項1または2記載の半導体装置において、
    前記チャネル領域はシリコンから構成され、
    前記不純物原子は、インジウム及びタリウムの少なくとも1つである
    ことを特徴とする半導体装置。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の半導体装置において、
    前記チャネル領域の前記ゲート電極と反対の側に前記ゲート電極と対向して配置された他のゲート電極
    前記チャネル領域を構成する半導体よりもバンドギャップの広い半導体から構成されて前記他のゲート電極と前記チャネル領域との間に配置された他のゲート絶縁層と
    を備え、
    前記ゲート電極と前記他のゲート電極とに挟まれた領域の前記チャネル領域の層厚は、高々60nmに形成されている
    ことを特徴とする半導体装置。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の半導体装置の駆動方法であって、
    前記ゲート電極に、
    前記n型領域より供給される電子による電子チャネルが形成されるしきい値以上の第1ゲート電圧と、
    前記p型領域より供給される正孔による正孔チャネルが形成されるしきい値以下の第2ゲート電圧と
    を交互に印加する
    ことを特徴とする半導体装置の駆動方法。
  6. 請求項4記載の半導体装置の駆動方法であって、
    前記チャネル領域の前記ゲート電極側と前記他のゲート電極側との2つの界面における電位差が、前記チャネル領域を構成する半導体のバンドギャップを越えないようにする第1ゲート電圧を前記他のゲート電極に印加し、
    前記他のゲート電極に前記第1ゲート電圧が印加されている状態で、
    前記ゲート電極に、
    前記n型領域より供給される電子による電子チャネルが形成されるしきい値以上の第2ゲート電圧と、
    前記p型領域より供給される正孔による正孔チャネルが形成されるしきい値以下の第3ゲート電圧と
    を交互に印加する
    ことを特徴とする半導体装置の駆動方法。
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