JP4844296B2 - 塗装鋼板、加工品及び薄型テレビ用パネル - Google Patents
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(1)鋼板の両面に亜鉛系めっき層及びクロムを含有しない化成皮膜を順次形成し、前記鋼板の一方の面の化成皮膜上に下塗り塗膜を形成し、この下塗り塗膜上に、光を反射する物性を有する鱗片状物質(ただし、Alを除く。)を含有する有機樹脂皮膜である上塗り塗膜を形成し、前記鱗片状物質の、前記鋼板の表面に平行な方向における存在割合が30%以上でかつ前記鋼板の表面に直角な方向における存在割合が30%以下であり、下塗り塗膜と上塗り塗膜の総膜厚を10μm以下とすることを特徴とする塗装鋼板。
本発明の塗装鋼板は、鋼板の両面に亜鉛系めっき層及びクロムを含有しない化成皮膜を順次形成し、前記鋼板の一方の面の化成皮膜上に下塗り塗膜を形成し、この下塗り塗膜上に、光を反射する物性を有する鱗片状物質を含有する有機樹脂皮膜である上塗り塗膜を形成し、前記鱗片状物質の前記鋼板の表面に平行な方向における存在割合が30%以上であり、かつ下塗り塗膜と上塗り塗膜の総膜厚を10μm以下とすることを特徴とする塗装鋼板である。
本発明の塗装鋼板の下地鋼板となる亜鉛系めっき鋼板としては、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(例えば、溶融亜鉛−55質量%アルミニウム合金めっき鋼板、溶融亜鉛−5質量%アルミニウム合金めっき鋼板)、鉄−亜鉛合金めっき鋼板、ニッケル−亜鉛合金めっき鋼板、黒色化処理後のニッケル-亜鉛合金めっき鋼板などの各種亜鉛系めっき鋼板を用いることができる。
亜鉛系めっき層を有するめっき鋼板の両面に化成皮膜を形成する。化成皮膜は、環境の観点よりクロムを含有しない化成皮膜とする。この化成皮膜は、主としてめっき層と下塗り塗膜との密着性向上のために形成される。密着性を向上するものであればどのようなものでも支障はないが、密着性だけでなく耐食性を向上できるものがより好ましい。密着性と耐食性の点からシリカ微粒子を含有し、耐食性の点からリン酸及び/またはリン酸化合物を含有することが好ましい。シリカ微粒子は、湿式シリカ、乾式シリカのいずれを用いても構わないが、密着性向上効果の大きいシリカ微粒子、特に乾式シリカが含有されることが好ましい。リン酸やリン酸化合物は、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸など、これらの金属塩や化合物などのうちから選ばれる1種以上を含有すれば良い。さらに、アクリル樹脂などの樹脂、シランカップリング剤などの1種以上を添加してもよい。
下塗り塗膜は、前記鋼板の一方の面の化成皮膜上であって、上塗り塗膜の下層として形成される。
上塗り塗膜は、前記下塗り塗膜上に、光を反射する物性を有する鱗片状物質(ただし、Alを除く。)を含有する有機樹脂皮膜である。
塗装用亜鉛系めっき鋼板として、各々板厚0.5mmの電気亜鉛めっき鋼板(めっき種記号:EG)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(Fe含有率:10質量%、めっき種記号:GA)、溶融亜鉛めっき鋼板(めっき種記号:GI)、溶融Zn−Alめっき鋼板(Al含有率:4.5質量%、めっき種記号:GF)、黒色化電気亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板(Ni含有率:12質量%、めっき種記号:EZNB)及び溶融Zn−Alめっき鋼板(Al含有率:55質量%、めっき種記号:GL)を準備した。めっき鋼板のめっき付着量を表1に示す。なお、鋼板の一方の面(オモテ面)と他方の面(ウラ面)のめっき付着量、及びめっき組成は同一とした。準備しためっき鋼板に脱脂処理を行った後、以下の(I)〜(III)の処理工程を行い、塗装鋼板を作製した。
(II)次に、ウラ面に化成処理液を塗布した後、オモテ面に下塗り塗料を塗布し、加熱30秒後に到達板温が210℃となる加熱処理を行い、表3に示す組成のウラ面の化成皮膜と、表4に示すオモテ面の下塗り塗膜(3μm)を形成した。
(III)その後、オモテ面に上塗り塗膜として表1に示す組成となる上塗り塗料を、膜厚が3μmまたは6μmになるように塗布した後、ウラ面に、必要に応じて表5の組成となるように防錆顔料を添加した有機樹脂塗料を塗布した後、加熱開始から50秒後に到達板温が230℃となる加熱処理を行い、表1と表2に示すオモテ面の上塗り塗膜とウラ面の有機樹脂層を形成した。
(1)明度安定性
明度安定性は、同じ組成の上塗り塗膜を有し、膜厚が6μmである上塗り塗膜からなる塗装鋼板との色調(L* )の差を分光式色差計(“SQ2000”日本電色工業株式会社製)を用いて測定し、以下の評価基準に従って評価した。
○:△L* ≦1
△:1<△L* ≦2
×:△L* >2
素地面隠蔽性は、塗装用亜鉛系めっき鋼板のオモテ面を、先端が金属のペンで傷を付けたのち、前記した処理工程を行ない塗装鋼板を作製した。塗装鋼板のオモテ面を目視で観察し以下の評価基準に従って評価した。
○:傷がわからない
△:傷がややわかる
×:傷が明瞭にわかる
20℃、5質量%HCl水溶液に裏面と端面をシールした試験片を24時間浸漬した後、ニチバン(株)製のセロハン粘着テープを貼り付け、これを引き剥がした後の塗膜残存面積率を評価した。
○:塗膜剥離なし
△:塗膜残存面積率が100%未満50%以上
×:塗膜残存面積率が50%未満
(4)導電性
低抵抗測定装置(ロレスタGP:三菱化学(株)製:ESPプローブ)を用い、塗装版のウラ面の表面抵抗値を測定した。その時、プローブ先端にかかる荷重を20g/sで増加させ、表面抵抗が10-4Ω以下になった時の荷重値で以下のように評価した。
表面抵抗が10-4Ω以下になった時の荷重値
☆:10点測定の平均荷重が200g以下
◎:10点測定の平均荷重が200g超300g以下
○:10点測定の平均荷重が300g超500g以下
△:10点測定の平均荷重が500g超700g以下
×:10点測定の平均荷重が700g超960g以下
これによれば、実施例1〜3の塗装鋼板は、いずれも優れた明度安定性及び素地面隠蔽性を有している。また、短時間で加熱処理を行っても十分な性能が得られており、製造の際の高速操業に非常に適していることがわかる。
2 クロムを含有しない化成皮膜を有する亜鉛系めっき鋼板
3A、3B、3C、3D、3E 塗膜
4 下塗り塗膜
5 上塗り塗膜
6 鱗片状物質
7 有機樹脂
Claims (6)
- 鋼板の両面に亜鉛系めっき層及びクロムを含有しない化成皮膜を順次形成し、前記鋼板の一方の面の化成皮膜上に下塗り塗膜を形成し、この下塗り塗膜上に、光を反射する物性を有する鱗片状物質(ただし、Alを除く。)を含有する有機樹脂皮膜である上塗り塗膜を形成し、前記鱗片状物質の、前記鋼板の表面に平行な方向における存在割合が30%以上でかつ前記鋼板の表面に直角な方向における存在割合が30%以下であり、下塗り塗膜と上塗り塗膜の総膜厚を10μm以下とすることを特徴とする塗装鋼板。
- 前記鱗片状物質は、Niである請求項1記載の塗装鋼板。
- 前記鱗片状物質は、有機樹脂で被覆したものである請求項1または2記載の塗装鋼板。
- 前記鋼板の他方の面は、導電荷重が500g以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の塗装鋼板。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の塗装鋼板を用い、該塗装鋼板の前記一方の面が凸表面になるようにプレス加工を施して形成してなる加工品。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の塗装鋼板を用い、該塗装鋼板の前記一方の面が外部に露出する凸表面になるようにプレス加工を施して形成してなる薄型テレビ用パネル。
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