JP2019206179A - 表面処理鋼板 - Google Patents

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【課題】加工部での耐食性に優れた表面処理鋼板を提供する。【解決手段】本発明は、鋼板、鋼板上の少なくとも片面に形成されたAlとMgとZnとを含む合金めっき層、及び合金めっき層上に形成されたバインダー樹脂と顔料とを含む塗膜を有し、顔料が鱗片状酸化物であり、表面処理鋼板の断面を観察した場合に、観察された前記塗膜の表面の長さに対する、前記顔料が前記塗膜の表面に投影されている長さの比率Aが、70%以上100%以下であることを特徴とする表面処理鋼板に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、加工部での耐食性に優れた表面処理鋼板に関する。
家電用、建材用、自動車用などに使用される耐食性に優れた様々なめっき鋼板が知られている。例えば、溶融亜鉛めっきなどにより鋼板上に亜鉛めっき層を形成した亜鉛めっき鋼板が知られている。このように亜鉛めっき層を鋼板上に設けると、例えば亜鉛めっき鋼板が傷ついて鋼板が露出した場合でも、鋼板を構成する鉄より腐食しやすい亜鉛が先に腐食して保護皮膜を形成し、そして、その保護皮膜により鋼板の腐食を防止することができる。したがって、亜鉛めっき鋼板は耐食性を要求される様々な用途に展開されている。
しかしながら、亜鉛めっき鋼板などの種々のめっき鋼板の表面は、周辺環境によって劣化する場合がある。例えば、大気中に含まれる塩分等の電解質や、高温多湿環境下において存在する酸素、水分によってめっき層が酸化し、白錆を生成するという問題がある。白錆が生成すると外観均一性が損なわれる。したがって、亜鉛めっき鋼板にはより高い耐食性が要求されている。
さらに、亜鉛めっき鋼板の耐食性を高めた技術として、Zn−Al−Mg系合金をめっきしたZn−Al−Mg系合金めっき鋼板が知られている。
また、耐食性を高める手段の1つとして、めっき層上にアルミニウムなどの顔料を含む塗膜を形成することで、その顔料が、塗膜中で酸素等の腐食因子に対するバリアとして機能し、腐食因子が塗膜中に侵入して下地のめっき層を腐食するのを防止することができることが知られている。
一方、近年ではめっき鋼板の用途が多様化してきているため、Zn−Al−Mg系合金めっき鋼板を、所望の用途に適合させるように様々な形状に加工することが多く行われている。しかしながら、例えば、上記のような顔料を含む塗膜を有するZn−Al−Mg系合金めっき鋼板に伸び加工等の加工を行うと、塗膜を構成している樹脂はその加工に追従して伸びる一方で塗膜中の顔料はこのような伸びが小さいため、加工部でその樹脂と顔料との間に隙間が生じる場合がある。そして、この隙間が酸素等の腐食因子が塗膜中に侵入できるパスとなり、その結果、塗膜の下地の合金めっき層の腐食が進行する場合がある。
したがって、このようなZn−Al−Mg系合金めっき鋼板には、様々な加工がおこなわれた後でも、その加工部において高い耐食性を有することが要求されている。
さらに、上述したような顔料を含む塗膜を形成するための塗料を調製する際に、水性塗料のような安価な塗料を安定的に調製できることが要求されている。例えば、顔料を含む水性塗料を調製する場合、顔料が水と反応するような組み合わせでは塗料を安定的に調製することが困難になる場合がある。
特許文献1では、鋼板と、鋼板の表面に形成されたZn−Al−Mg系合金めっき層と、合金めっき層上に形成されたアルミニウムを含む皮膜とを含む亜鉛めっき鋼板が開示されており、このような亜鉛めっき鋼板は、耐食性に優れていることが教示されている。
特許文献2では、金属光沢を持つ金属基材の表面にクリア塗膜が形成されており、鱗片状無機基質を透明の金属酸化物で被覆した透明又は半透明の発色顔料がクリア塗膜に分散しているクリア塗装金属板が開示されている。また、特許文献2では、鱗片状無機基質として、マイカフレーク、ガラスフレーク、アルミナフレーク、シリカフレークを使用することができることが教示されている。
特許文献3では、塗膜中に平均粒径が塗膜厚の1/2倍で、最大粒径のものが塗膜厚の2倍以下である粉末骨材を分散させたことを特徴とする塗装鋼板が開示されている。また、特許文献3では、その粉末骨材として、シリカ粉末やマイカ粉末を使用することができることが教示されている。
国際公開第2015/075792号 特開2004−058273号公報 特開平05−228433号公報
しかしながら、特許文献1に記載の亜鉛めっき鋼板において皮膜中に含まれるアルミニウムは水中で溶出して水素を発生するという性質を有しており、アルミニウムを用いて水性塗料を安価にかつ安定的に調製するのが難しい場合がある。
また、特許文献2に記載の発明は、基材の金属光沢を活かした色調を呈し、かつ色調安定性に優れたカラークリア塗膜を設けた塗装金属板に関するものであり、したがって、特許文献2では、Zn−Al−Mg系合金めっき鋼板の加工部での耐食性の向上及びそれを達成するための手段については何ら記載も示唆もされていない。
さらに、特許文献3では、粉末骨材の平均粒径を塗膜厚の1/2倍で、最大粒径を塗膜厚の2倍以下とすることで、塗膜の耐傷付性が改善されることが記載されているものの、塗装鋼板の加工部での耐食性については十分な検討がなされておらず、したがって、当該特許文献3に記載の塗装鋼板では、加工部での耐食性の向上に関して依然として改善の余地がある。
本発明は、上記問題点に鑑み、Zn−Al−Mg系合金めっき層を含む表面処理鋼板であって、比較的安価に製造でき、加工部での耐食性に優れた表面処理鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、加工部での耐食性に優れた表面処理鋼板を提供するために、合金めっき層上に形成される塗膜中の顔料として鱗片状のものを用い、その鱗片状の顔料を塗膜中において塗膜の表面に平行な方向に多く配置させることが有効であることを見出した。このように鱗片状の顔料を塗膜中において塗膜の表面に平行な方向に多く配置させることで、塗膜を有する鋼板を加工した際の加工部においても、塗膜中の顔料を、顔料同士の一部が重なり合った状態で分布させることが可能となる。それによって、酸素等の腐食因子が塗膜中を通過して下地の合金めっき層に到達することができなくなり、加工部での腐食進行を抑制し、したがって加工部での耐食性が向上する。
本発明者らはまた、塗料中で安定的に調製可能な塗料を提供するために、塗膜中の顔料として酸化物を用いることが有効であることを見出した。酸化物の顔料を用いることで、安価な水性塗料中でも、顔料を樹脂などでコーティングするような特別な処理をせずにそのまま使用でき、塗料を安価にかつ安定的に調製することが可能となる。
本発明は上記知見を基になされたものであり、その主旨は以下のとおりである。
(1)
鋼板、前記鋼板上の少なくとも片面に形成されたAlとMgとZnとを含む合金めっき層、及び前記合金めっき層上に形成されたバインダー樹脂と顔料とを含む塗膜を有する表面処理鋼板であって、
前記顔料が鱗片状酸化物であり、
前記表面処理鋼板の断面を観察した場合に、観察された前記塗膜の表面の長さに対する、前記顔料が前記塗膜の表面に投影されている長さの比率Aが、70%以上100%以下であることを特徴とする表面処理鋼板。
(2)
前記顔料が光輝顔料であることを特徴とする、(1)に記載の表面処理鋼板。
(3)
前記顔料が、シリカ、アルミナ及びマイカの1種又は2種以上を含むことを特徴とする、(1)又は(2)に記載の表面処理鋼板。
(4)
前記塗膜の断面を観察し、前記顔料の長径を含む直線と前記塗膜の表面の為す角度をαとした場合に、前記塗膜中において0°≦α≦10°を満たす前記顔料が30%以上であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の表面処理鋼板。
(5)
前記表面処理鋼板に一軸方向に20%の伸び歪を加えた後に前記表面処理鋼板の断面を観察した場合に、観察された前記塗膜の表面の長さに対する、前記顔料が前記塗膜の表面に投影されている長さの比率Aが、70%以上100%以下であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の表面処理鋼板。
(6)
前記顔料にマイカが含まれる場合、前記マイカの平均粒径が5μm以上30μm以下であり、平均アスペクト比が20以上であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の表面処理鋼板。
(7)
前記塗膜中のマイカの平均厚さTAと、前記表面処理鋼板に一軸方向に20%の伸び歪を加えた後の前記塗膜中のマイカの平均厚さTBとの比TA/TBが、1.5以上3.0以下であることを特徴とする、(6)に記載の表面処理鋼板。
(8)
前記顔料にシリカ又はアルミナが含まれる場合、前記シリカ又はアルミナの平均粒径が1μm以上10μm以下であり、平均アスペクト比が10以上50以下であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の表面処理鋼板。
(9)
前記塗膜の平均厚さが3μm以上15μm以下であることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれか1つに記載の表面処理鋼板。
(10)
前記塗膜中の前記顔料の濃度が、前記塗膜の全体質量に対して、5質量%以上15質量%以下であることを特徴とする、(1)〜(9)のいずれか1つに記載の表面処理鋼板。
本発明によれば、塗膜中に含まれる顔料が鱗片状であり、その鱗片状の顔料が塗膜中において塗膜の表面に平行な方向に多く配置されているため、加工部においても顔料同士の一部が塗膜中で重なり合うように分布することが可能となり、それにより腐食因子が塗膜を通じて合金めっき層に到達するのが抑制され、加工部での耐食性に優れた表面処理鋼板を得ることができる。また、本発明によれば、塗膜中に含まれる顔料が酸化物であるため、本発明における塗膜を形成する際に顔料をそのまま水性塗料中で使用することができ、したがって、比較的安価にかつ安定的に本発明に係る表面処理鋼板を製造することができる。
本発明に係る表面処理鋼板の断面図を示す。 本発明における比率Aを説明するための塗膜の断面図を示す。 本発明に係る表面処理鋼板を加工した場合の、へき開性を持つ顔料を含む塗膜の加工前後での断面図を示す。 本発明における角度αを説明するための塗膜の断面図を示す。
以下、図を用いて本発明に係る表面処理鋼板を具体的に説明するが、図1〜4は例示のために示されたものであり、本発明は図1〜4に記載された実施態様に限定されることは意図されない。
[表面処理鋼板]
図1は、本発明に係る表面処理鋼板の1つの実施態様の断面図を示す。本発明の表面処理鋼板1は、図1に示すように、鋼板3、鋼板3上の少なくとも片面に形成されたAlとMgとZnとを含む合金めっき層5、及び合金めっき層5上に形成されたバインダー樹脂と顔料9とを含む塗膜7を有し、顔料9が鱗片状酸化物であり、かつ、表面処理鋼板1の断面を観察した場合に、観察された塗膜7の表面の長さに対する、顔料9が塗膜7の表面に投影されている長さの比率Aが、70%以上100%以下であることを特徴とする。以下、本発明の表面処理鋼板1の構成要件について説明する。
<鋼板>
本発明における鋼板3としては、特に限定されず、熱延鋼板、冷延鋼板などの一般的な鋼板を使用することができる。鋼種も、特に限定されず、例えばAlキルド鋼、Ti、Nbなどを添加した極低炭素鋼、及びこれらにP、Si、Mnなどの元素を添加した高張力鋼などを使用することが可能である。本発明における鋼板の板厚は、特に限定されないが、例えば、0.25〜3.5mmであればよい。
<合金めっき層>
本発明における合金めっき層5は鋼板3上に形成されている。この合金めっき層5は鋼板3の片面に形成されていても、両面に形成されていてもよい。合金めっき層5は、少なくともAlとMgとZnとを含み、Zn−Al−Mg合金めっき層であってもよい。これらの各濃度(含有量)は、Al:0.01〜60質量%、Mg:0.001〜10質量%であり、残部がZn及び不純物であることができる。また、上記のような組成に加えて、Si:0.001〜2質量%含み、Zn−Al−Mg−Si合金めっき層を使用することができる。
合金めっき層5のAlの濃度が0.01質量%未満ではAlを添加したことによるめっき鋼板の耐食性向上効果が十分に発揮されず、60質量%超では耐食性を向上させる効果が飽和する。したがって、Al濃度は、0.01質量%以上、例えば、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上又は10質量%以上であってよく、また、60質量%以下、例えば、55質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下又は20質量%以下であってよい。好ましいAl濃度は1〜60質量%であり、より好ましくは5〜60質量%である。
合金めっき層5のMgの濃度が0.001質量%未満ではMgを添加したことによるめっき鋼板の耐食性向上効果が十分に発揮されない場合がある。一方、10質量%超ではめっき浴中にMgが溶解しきれずに酸化物として浮遊し(一般にドロスと呼ばれる)、このめっき浴で亜鉛めっきするとめっき表層に酸化物が付着して外観不良を起こし、あるいは、めっきされない部分(一般的に不めっきと呼ばれる)が発生するおそれがある。したがって、Mg濃度は、0.001質量%以上、例えば、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上又は2質量%以上であってよく、また、10質量%以下、例えば、8質量%以下、6質量%以下、5質量%以下又は4質量%以下であってよい。Mg濃度は、好ましくは1〜5質量%であり、より好ましくは1〜4質量%である。
合金めっき層5は、さらにSiを含んでもよい。Si濃度は、下限は0質量%であってもよいが、合金めっき層5の耐食性をより向上させるためには、0.001〜2質量%としてもよい。Si濃度は、例えば、0.005質量%以上、0.01質量%以上、0.05質量%以上、又は0.1質量%以上であってもよく、また、1.8質量%以下、1.5質量%以下又は1.2質量%以下であってもよい。Si濃度は、好ましくは0.1〜2質量%であり、より好ましくは0.5〜1.5質量%である。
合金めっき層5は、溶融めっきや蒸着めっきなどの公知のめっき方法により形成することができる。例えば、合金めっき層5の厚さは1〜30μmであることができる。
<塗膜>
本発明における塗膜7は合金めっき層5上に形成されている。なお、合金めっき層5と塗膜7との間に化成処理層のような別の層が存在してもよい。塗膜7中には、バインダー樹脂と顔料9とが含まれる。
塗膜7の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、3μm以上15μm以下であることができる。塗膜7の平均厚さが3μm未満であると、下地の合金めっき層5に十分な耐食性、特に加工部における耐食性を付与するためには厚さが不十分になり、したがって本発明に係る表面処理鋼板1の耐食性が不十分になるおそれがある。一方、塗膜7の平均厚さが15μm超であると、塗膜7の厚さを増やすことによる耐食性、特に加工部における耐食性の増加の効果が小さくなり、コスト面で不利になるおそれがある。したがって、塗膜7の平均厚さは、3μm以上、例えば、4μm以上、5μm以上又は6μm以上であってよく、また、15μm以下、例えば、12μm以下又は10μm以下であってよい。塗膜7の平均厚さは、3μm以上12μm以下であることが好ましく、5μm以上10μm以下であることがより好ましい。
本明細書で使用される場合、本発明に係る塗膜7における「平均厚さ」とは、塗膜7を有する鋼板の断面を観察し、塗膜7の合金めっき層5側の界面上の5か所の任意の位置から、それぞれ塗膜7の表面までの最短の距離を測定して、それらの測定値を平均化した値として定義される。なお、塗膜7中に膜厚よりも粒径が大きい物質(例えば骨材)が含まれる場合、その物質が存在しない位置で上記距離を測定する。これは、そのような物質の存在により、断面方向から塗膜7を観察した場合に上記距離が実際の塗膜7の厚さよりも大きく測定されるおそれがあるためである。また、合金めっき層5と塗膜7との間に化成処理層のような別の層が存在していてもよい。このような別の層が存在する場合、その層の厚さは塗膜の平均厚さには含まない。
(顔料)
本発明で使用される顔料9は鱗片状である。本明細書で使用される場合、塗膜7中に含まれる顔料9について「鱗片状」とは、後述する方法により決定される平均アスペクト比が10以上であることを意味する。顔料9が鱗片状でない場合、すなわち顔料9の平均アスペクト比が10未満である場合は、塗膜7中において、顔料同士を十分に重なり合った状態で配置させることができず、その結果、塗膜中の顔料9が、腐食因子の合金めっき層5への侵入を防止する役目を十分に果たせない場合がある。特に、塗膜7を含む鋼板を加工した際に、加工部において隣り合う顔料9同士が重なり合って分布していない場所が顕著に発生する。そうすると、そのような顔料9がない場所を通じて、酸素等の腐食因子が塗膜7中を通過して合金めっき層5に到達することが可能となる。その結果、加工部において腐食が進行して、したがって加工部での耐食性が低下する。
顔料9として鱗片状のものを使用することで、加工前だけでなく加工後においても、多くの顔料9について、塗膜7中において任意の顔料とその顔料近辺にある顔料とを、少なくとも一部が互いに重なり合った状態で分布させることができる。すなわち、塗膜7を有する鋼板1に、例えば伸び加工を行った場合に、その加工部においても塗膜7中で多くの顔料同士を一部重なった状態で存在させることができ、腐食因子が合金めっき層5に到達するのを塗膜7中の顔料9で防止することができる。したがって、本発明に係る表面処理鋼板1では、加工部において高い耐食性が担保される。
また、本発明に係る鱗片状の顔料9は、塗膜7中で下地の合金めっき層5を効果的に覆うように配置されている。このような顔料9の塗膜7中での配置の状態は、本発明に係る表面処理鋼板1の断面を観察した場合に、観察された塗膜7の表面の長さに対する、顔料9が塗膜の表面に投影されている長さの比率Aによって表される。
図2は、本発明における比率Aを説明するための塗膜の断面図を示す。本発明において、「比率A」は以下のように決定される。まず、SEM等の顕微鏡を用いて表面処理鋼板1の断面を観察し、無作為に選択した幅(表面処理鋼板1の厚さ方向に垂直な方向の長さ)100μmを観察範囲として決定する。すなわち、図2においてL1で示される「観察された塗膜の表面の長さ」を100μmとする。次いで、観測された全ての顔料9を塗膜7の表面(又は合金めっき層5と塗膜7との界面)に投影させる。そして、顔料9が塗膜7の表面に投影されている塗膜7の表面上のそれぞれの長さLa、Lb、Lc、Ldを合計し、顔料9が塗膜7の表面上に投影されている長さL2=La+Lb+Lc+Ldを求め、比率=L2/L1として算出する。そして、この手順を無作為に選択した5か所の幅100μmの観察範囲において行い、それぞれの範囲で求めた5つの比率の値を平均化して「比率A」を決定する。別の表現をすれば、本発明における比率Aは、100μmの観察範囲内において鋼板3(又は合金めっき層5)と塗膜7の表面との間に顔料9が存在している領域の比率(確率)であり、その比率は、塗膜7の表面に平行な方向について測定される。
本発明において、比率Aは70%以上100%以下である。このように比率Aが70%以上100%以下であると、塗膜7中で顔料9が合金めっき層5を効果的に覆うように配置されるため、本発明に係る表面処理鋼板1を加工した場合であっても、多くの顔料9が重なり合って塗膜7中で存在することが可能となり、顔料9によって腐食因子が合金めっき層5に到達するのを効果的に防止することができ、したがって、加工部において十分な耐食性が担保される。比率Aが70%未満であると、特に表面処理鋼板を加工した場合に、顔料9により合金めっき層5が覆われていない部分が不十分となり、顔料9が腐食因子の侵入を防止する役目を十分に果たせず、結果として加工部での耐食性が悪化する場合がある。本発明における比率Aは、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上である。
また、本発明で使用される顔料9は酸化物である。このように顔料9自体が酸化物であると、水性塗料(例えば、水)中でも、顔料9を樹脂等でコーティングするような特別な処理をせずにそのまま使用でき、安価にかつ安定した塗料を調製することができる。顔料9が酸化物でない、例えば、アルミニウムのような金属単体である場合は、顔料9が水性塗料中で溶出し、水素を発生するため、安定的に塗料を調製することができない場合がある。また、水性塗料中で水素を発生すると、形成された塗膜中に気泡に起因する欠陥が生じ、加工部において耐食性が不十分となる場合がある。さらに、顔料9が金属単体の場合、顔料9が合金めっき層5の表面と接触すると電位差により電流が流れ、電位が卑な金属の腐食を促進させる。そのため顔料9の表面を絶縁物でコーティングしたり、めっき表面を絶縁物でコーティングしたりする必要があった。一方、本発明のように顔料9が酸化物の場合、顔料9自体が絶縁性を有するため、合金めっき層5や顔料9の表面に特別なコーティングが不要であり、後述するように、塗膜7中の顔料9が合金めっき層5近辺(例えば合金めっき層5と塗膜7との界面から塗膜7の表面方向に0.4μmの範囲の領域)に存在してもよく、さらに、顔料9が合金めっき層5と接触していてもよい。
本発明で使用される顔料9はまた、光輝顔料であることができる。本明細書で使用される場合、「光輝顔料」とは、表面で光を反射する顔料を意味し、透明又は半透明の顔料は含まれない。上述したように、加工前だけでなく加工後においても塗膜7中で重なり合って存在している鱗片状の顔料9が光輝顔料であると、塗膜7の表面に対して垂直な方向から観察した場合に、塗膜7中の光輝顔料が下地の合金めっき層5を効果的に隠蔽することができる。このように合金めっき層5を隠蔽できることで、例えば合金めっき層5が変色した場合(例えば、黒変した場合)でも、表面処理鋼板1の外観上の変化を最小限に抑制することができる。一般的に、「黒変」は、亜鉛めっき中にAlやMgを添加したZn−Al系合金めっき鋼板やZn−Al−Mg系合金めっき鋼板において顕著に発生するため、このような合金めっき鋼板上の塗膜中で光輝顔料を用いると、合金めっき層の黒変を効果的に隠蔽することが可能となる。したがって、本発明で使用される顔料9が光輝顔料である場合は、加工部の耐食性に加えて、加工部の隠蔽性を向上させることが可能となる。光輝顔料の例としては、表面で光を反射する顔料であれば特に限定されないが、例としては、本願における顔料9を、シリカ、酸化鉄又は酸化チタン等でコーティングした顔料が挙げられる。
光輝顔料を塗膜7中で使用すると、さらに、その金属色(例えばシルバー色)により表面処理鋼板1の輝度を向上させることができ、外観に優れた表面処理鋼板1を提供することができる。そして、光輝顔料が合金めっき層5と同一又は類似の色調を有する場合は、塗膜7が傷ついた際に傷による外観の変化を目立ちにくくすることができ、したがって耐傷付性を向上させることができ、長期に本発明に係る表面処理鋼板1の外観を維持することができる。
本発明における顔料9としては、鱗片状酸化物であれば如何なるものを使用することができるが、例えば、シリカ、アルミナ又はマイカを使用することができ、これらを塗膜7中で単独で又は組み合わせて使用することができる。好ましくは、本発明における顔料9はマイカを含む。シリカ、アルミナ及びマイカは、工業的方法で容易に鱗片状に加工できる酸化物粒子であり、安価である。さらに、これらは水性塗料中で安定的に使用することができる。好ましくは、顔料9としてのシリカ、アルミナ又はマイカは光輝顔料である。
顔料9にマイカが含まれる場合、限定されないが、例えば、マイカの平均粒径が5μm以上30μm以下であり、平均アスペクト比が20以上であることができる。マイカの平均粒径が5μm未満であるか、又はマイカの平均アスペクト比が20未満であると、特に塗膜7を有する鋼板1を加工した際に、加工部において顔料9であるマイカ同士が重なっていない部分が増加し、その結果、腐食因子が合金めっき層5に到達するきっかけとなる塗膜7中のパスが形成されるおそれがある。あるいは、マイカが光輝顔料として塗膜7中に存在しても、マイカ同士が重なっていない部分が増加することで、効果的に下地の合金めっき層5を隠蔽できなくなるおそれがある。また、平均粒径が5μm未満のマイカは入手するのが困難である。一方、マイカの平均粒径が30μm超であると、塗膜が減肉した際に比較的短時間でマイカの一部が塗膜7から突出することがあり、その突出した顔料9を起点として腐食因子が塗膜7中に侵入できるパスを形成するおそれがあり、したがって耐食性が悪化するおそれがある。したがって、マイカの平均粒径は、5μm以上、例えば、6μm以上、8μm以上又は10μm以上であってよく、また、30μm以下、例えば、25μm以下、20μm以下又は15μm以下であってよい。好ましくは、マイカの平均粒径は5μm以上20μm以下であり、より好ましくは、マイカの平均粒径は5μm以上15μm以下である。また、好ましくは、マイカの平均アスペクト比は25以上、より好ましくは、マイカの平均アスペクト比は30以上である。マイカの平均アスペクト比の上限は特に規定しないが、例えば、300未満、200未満、100未満、又は50未満であることができる。マイカ粒子の平均アスペクト比を好ましい平均粒径の範囲内で大きくすることは、マイカ粒子の平均厚さが薄くなることを意味する。しかし、マイカ粒子の平均厚さが薄くなり過ぎると、へき開量が減少し加工部の隠蔽性確保に不利となるおそれがある。また塗料中での分散性の低下や塗工性の低下等も懸念される。従ってアスペクト比は大きくなり過ぎない方が好ましい。
図3は、本発明に係る表面処理鋼板を加工した場合の、へき開性を持つ顔料を含む塗膜の加工前後での断面図を示す。本発明において使用される顔料のマイカは、へき開性を有する。このため、マイカを含む塗膜7を有する本発明に係る表面処理鋼板1を加工した場合には、図3に示すように、加工部にあるマイカが塗膜7中でへき開する。へき開性とは、結晶が特定の方向に向けて割れやすいという性質である。例えば、1つの例として、塗膜7中の1つの鱗片状のマイカ粒子は、加工部においてその厚みが減少するように割れて2つ以上のマイカ粒子になる。すなわち、加工部において、加工後のマイカの平均厚さは、加工前のマイカの平均厚さに比べて小さくなる場合がある。例えば、塗膜7中のマイカの平均厚さTAと、鋼板1に一軸方向に20%の伸び歪を加えた後の塗膜7中のマイカの平均厚さTBとの比TA/TBが、1.5以上3.0以下、好ましくは1.8以上2.8以下、より好ましくは2.0以上2.5以下であることができる。なお、平均厚さTA及びTBは、後述するように、塗膜の表面及び断面を顕微鏡で観察することにより決定される。
塗膜7中に顔料9としてマイカが含まれる場合、マイカがへき開性を有することによって、本発明に係る表面処理鋼板1を加工後、加工部での樹脂の伸びに追随して隙間を生じさせることなくマイカを塗膜7中で分布させることができ、したがって、加工部における塗膜7中のマイカ同士を、加工前と同等又はそれ以上に近い距離で分布させることが可能となる。よって、腐食因子が合金めっき層5に到達する塗膜7中のパスが形成されるのを防止でき、加工後における耐食性の低下をより効果的に抑制することが可能となる。したがって、本発明に係る表面処理鋼板1は、塗膜7中にマイカを含む場合、極めて優れた加工部での耐食性を提供することができる。また、マイカが光輝顔料である場合、極めて優れた加工部での隠蔽性を提供することができる。
一方、シリカ及びアルミナはマイカのようなへき開性を有さないものの、アルミニウムのような金属単体に比べると比較的容易に破壊され得る。そのため、シリカ及び/又はアルミナを含む塗膜7を有する本発明に係る表面処理鋼板1を加工した場合、シリカ及び/又はアルミナがその加工により破壊されることがあり、破壊されたシリカ及び/又はアルミナは、塗膜の伸びに追随し、比較的隙間を生じさせないように塗膜7中で分布することが可能となる。したがって、シリカ及び/又はアルミナを含む本発明における塗膜7は、アルミニウム等の金属単体を含む塗膜に比べて、高い加工部での耐食性及び隠蔽性を有することができる。
本明細書で使用される場合、「一軸方向に20%の伸び歪を加えた」とは、長さL0の鋼板1を任意の一軸方向、典型的には鋼板1の表面に平行な方向に引張り、長さLの鋼板1とした場合に、100×(L−L0)/L0=20%であることを意味する。鋼板を均一に引張る方法として、例えば、供試材をJIS 5号試験片とする方法がある。
一方、顔料9にシリカ又はアルミナが含まれる場合、限定されないが、例えば、シリカ又はアルミナの平均粒径は1μm以上10μm以下であり、平均アスペクト比が10以上50以下であることができる。平均粒径及び平均アスペクト比をこのような範囲に設定することで、加工後であっても加工部において塗膜7中で顔料同士が重なり合って存在することが可能となり、腐食因子が合金めっき層5に到達するのを抑制し、加工部での耐食性を向上させることができる。また、光輝顔料であるシリカ又はアルミナを塗膜7中で用いると、加工部において塗膜7中で顔料同士が重なり合って存在することで、合金めっき層5を効果的に隠蔽することが可能となる。シリカ又はアルミナの平均粒径が1μm未満であると、塗料中で凝集が発生して塗膜7中で均一に分散させることができず、結果として顔料9が少ない領域が生じ、十分に耐食性を確保できなくなる可能性がある。また、このようなサイズのシリカ又はアルミナは入手するのが困難である。一方、シリカ又はアルミナの平均粒径が10μm超であると、これらはマイカのようにへき開しないため、加工した際にそのシリカ又はアルミナを起点に塗膜7に亀裂が入るおそれがある。そして、シリカ又はアルミナの平均アスペクト比が10未満であると、塗膜7を有する鋼板を加工した際に、顔料同士が重なっていない領域が生じ、その結果、腐食因子が合金めっき層5に到達する塗膜7中のパスを形成し、加工部での耐食性が悪化するおそれがある。あるいは、シリカ又はアルミナが光輝顔料として塗膜7中に存在しても、顔料同士が重なっていない領域が存在することで、効果的に下地の合金めっき層5を隠蔽できなくなるおそれがある。したがって、シリカ又はアルミナの平均粒径は、1μm以上、例えば、2μm以上であってよく、また、10μm以下、例えば、8μm以下、5μm以下又は3μm以下であってよい。好ましくは、シリカ又はアルミナの平均粒径は1μm以上8μm以下であり、より好ましくは1μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上3μm以下である。また、好ましくは、シリカ又はアルミナの平均アスペクト比は15以上50以下、より好ましくは20以上50以下、さらに好ましくは25以上50以下である。
本明細書で使用される場合、本発明に係る顔料9における「平均粒径」、「平均厚さ」及び「平均アスペクト比」は以下の方法で求められる。まず、任意の1つの顔料9を塗膜の表面から電界放出型電子プローブマイクロアナライザー(Field Emission−Electron Probe Micro Analyzer:FE−EPMA)で元素マッピングし、その顔料の長径X1と短径X2を求める。ここで、長径X1とは、元素マッピングで特定された顔料の像の輪郭内において、その顔料を横断する最大の線分の長さを意味し、短径X2とは、顔料を横断する長径X1に垂直な線分の長さを意味する。次に、断面方向からFE−EPMAで元素マッピングを行い、厚さY(一般に、上述の長径と短径の測定平面に垂直方向の寸法)の値を測定する。次いで、これらの測定値から、その顔料の粒径=[(X1+X2)/2]と、厚さ=[Y]と、アスペクト比=[(X1+X2)/2Y]とを求める。ここで、表面方向から分析する顔料9と断面方向から分析する顔料9を同一のものとすることは困難であるため、それぞれ任意のものを選定して分析すればよい。そして、同様の方法を用いて任意の10個以上の顔料について粒径と厚さとアスペクト比とを求め、それぞれを平均化して顔料の「平均粒径」、「平均厚さ」及び「平均アスペクト比」を求める。上述したように、本発明においては、顔料9の「平均アスペクト比」が10以上である場合、塗膜7中の顔料9が「鱗片状」であるとする。
塗膜7中の顔料9の濃度は、例えば、塗膜7の全体質量に対して5質量%以上15質量%以下であることができる。塗膜7中の顔料9の濃度が塗膜7の全体質量に対して5質量%未満であると、塗膜7全体での顔料9が不足し、顔料同士が重なり合っていない場所が存在するおそれがあり、その結果として十分な耐食性、特に加工した場合の加工部での耐食性を得ることができない場合がある。一方、塗膜7中の顔料9の濃度が塗膜7の全体質量に対して15質量%超であると、顔料9の濃度を増加させることによる、加工部での耐食性や隠蔽性の向上が飽和し、コスト的に好ましくない。また、相対的に塗膜7を形成する樹脂の割合が減り、加工した際に、顔料9を起点に樹脂に亀裂が入るおそれがあり、さらに顔料9が塗膜7から突出し腐食因子のパスを形成するおそれもある。したがって、塗膜7中の顔料9の濃度は、5質量%以上、例えば、6質量%以上又は7質量%以上であってよく、また、15質量%以下、例えば、12質量%以下又は10質量%以下であってよい。好ましくは、塗膜7中の顔料9の濃度は、塗膜7の全体質量に対して5質量%以上12質量%以下、さらに好ましくは7質量%以上12質量%以下である。
本明細書で使用される場合、「塗膜中の顔料の濃度」とは、グロー放電発光表面分析装置(Glow Discharge Optical Emission Spectrometry:GD-OES)を用いて測定される。具体的には、顔料の種類、すなわち顔料の具体的な化合物が判明している場合は、塗膜を表面からめっき層に向かってスパッタリングし、顔料を構成する主要な元素について、深さ方向の濃度プロファイルを1.0μmごとに測定する。その後、測定した主要な元素の濃度の平均値を求め、既知の顔料の化合物の分子量に基づいて測定した濃度を換算し、塗膜中の顔料の濃度を求める。顔料の種類、すなわち顔料の具体的な化合物が不明な場合は、塗膜の断面(塗膜の表面と垂直な面)から顔料についてFE−EPMAを用いて元素分析することで、顔料の種類を特定した後に、上記のように「塗膜中の顔料の濃度」を測定すればよい。
本発明における塗膜7中において、顔料9は均一に存在していることが好ましい。したがって、合金めっき層5と塗膜7との界面から塗膜7の表面方向に0.5μm、0.45μm、0.4μm、0.35μm又は0.3μmの範囲の領域において顔料9が存在していてもよい。塗膜7中の当該領域に顔料9が存在しているかの判別は、塗膜7の断面観察により行うことができる。より具体的には、上記領域について、無作為に選択した塗膜7の断面を顕微鏡で幅1.0mm観察して、顔料9が1つ以上観察された場合、当該領域に顔料9が存在すると判別することができる。なお、上述したように、本発明における顔料9は酸化物であり絶縁性を持つ顔料であるため、顔料9と合金めっき層5との間で電流が流れることがないため、塗膜7中の顔料9が合金めっき層5と接触していてもよい。
図4は、本発明における角度αを説明するための塗膜の断面図を示す。加工部での耐食性及び隠蔽性をさらに高めるためには、図4に示すように、塗膜7の断面を観察し、顔料9の長径を含む直線(断面観察において見えている顔料9の最大径を含む直線)と前記塗膜7の表面の為す角度をαとした場合に、塗膜7中で角度αが小さい顔料9がより多く分布していることが好ましい。顔料9がより効果的に腐食因子の侵入を防ぎ、かつ、合金めっき層5を隠蔽するためには、例えば、塗膜7中において、塗膜7中の顔料9のうち、0°≦α≦10°を満たす顔料9の個数が30%以上であることが好ましい。加工部での耐食性及び隠蔽性をより高めるには、全体の顔料に対する、0°≦α≦10°を満たす顔料9の割合は多い方が有利であり、例えば、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%であることができる。0°≦α≦10°を満たす顔料9の割合が30%未満であると、鱗片状の顔料9の一部が効果的に重なり合うことができなくなる場合があり、その結果、加工部での耐食性や隠蔽性が不十分になるおそれがある。
本発明で使用される場合、「顔料の長径を含む直線」とは、顔料9を含む塗膜7の断面を観察した場合に、観察された顔料9上を通過する最も長い線分を延長した線を意味し、図4において破線で示されている。なお、角度αの測定は、顔料9の「平均粒径」等の決定方法で説明したように、FE−EPMAを用いて塗膜7を断面から見た場合の長径を求めることで行うことができ、測定する顔料9の個数は30個以上とする。
さらに、より加工部の耐食性及び隠蔽性を高めるためには、鋼板1に一軸方向に20%の伸び歪を加えた後に鋼板1の断面を観察した場合に、上述した比率Aが、伸び歪を加えた後でも高い値を有することが有利であり、例えば、比率Aが70%以上100%以下であることが好ましい。このように、伸び歪みを加えた後における比率Aが70%以上100%以下であると、加工部において、多くの顔料9が重なり合って塗膜7中で存在することとなり、顔料9によって腐食因子が合金めっき層5に到達するのを効果的に防止することができ、したがって、加工部においてより高い耐食性を得ることができる。比率Aが70%未満であると、加工部において、顔料9により合金めっき層5が覆われていない部分が増加し、顔料9が腐食因子の侵入を防止する役目を十分に果たせず、結果として加工部での耐食性が悪化するおそれがある。本発明において、伸び歪を与えた後における比率Aは、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上である。なお、伸び歪を加えた後における比率Aの決定は、上述したように、伸び歪を加える前の比率Aの決定方法と同様に行うことができる。
(バインダー樹脂)
本発明の塗膜7の成分として使用されるバインダー樹脂は、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、又はアクリル樹脂であることができ、これらの樹脂の硬化剤としてはメラミン樹脂やイソシアネート樹脂、エポキシ樹脂を使用することができる。メラミン樹脂の例としては、イミノ基型メラミン、メチル化メラミン、又はブチル化メラミンなどを使用することができる。好ましくは、本発明のバインダー樹脂はポリエステル樹脂である。また、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合には、−20〜70℃のガラス転移温度Tgと、10000〜25000の数平均分子量を有するものが好ましい。また、バインダー樹脂としてウレタン樹脂を用いる場合には、0〜50℃のガラス転移温度と、5000〜2500の数平均分子量を有するものが好ましい。また、バインダー樹脂としてアクリル樹脂を用いる場合には、0〜50℃のガラス転移温度と、3000〜2500の数平均分子量を有するものが好ましい。十分な加工部での耐食性を得るためには、加工時に塗膜に亀裂が入らないように、バインダー樹脂として加工性に優れるものを選択することが好ましい。例えば、板厚t=0.6mmの表面処理鋼板において塗膜に亀裂が生じない加工形状の限界(最小曲げ高さ)は、5t以下、例えば、4t以下、又は3t以下であることが好ましい。上述したポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、又はアクリル樹脂は、いずれも板厚t=0.6mmの表面処理鋼板において塗膜に亀裂が生じない加工形状の限界(最小曲げ高さ)は、5t以下である。このような加工性を有さない樹脂の例としては、メチルシリコーン樹脂などが挙げられる。
本発明における塗膜7中には、必要に応じて、本願発明に係る顔料9とは別の顔料や骨材、防錆剤等の添加剤を添加することができる。骨材等を添加することで塗膜7の強度が高まるとともに、鱗片状酸化物の顔料9と合金めっき層5との密着性が高まるためより好ましい。また、防錆剤を添加すると合金めっき層5の耐食性が向上するため好ましい。防錆剤としては、例えば、P化合物及びV化合物を単独で又は組み合わせて使用することができる。添加剤の濃度は、本発明における塗膜7にとって不利にならないよう、適宜決定すればよい。
また、本発明における塗膜7中には、必要に応じて、ポリエチレンワックス又はPTFEワックスのようなワックス、アクリル樹脂ビーズ又はウレタン樹脂ビーズのような樹脂ビーズ、並びにフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、メチルオレンジ、メチルバイオレット、又はアリザリンのような染料等を添加することができる。これらを添加することで塗膜の強度が高まったり、塗膜に所望の色を付与できたりするためより好ましい。これらの添加量は、本発明における塗膜にとって不利にならないよう、適宜決定すればよい。
特に、本発明における塗膜7、したがって本発明に係る表面処理鋼板1に所望の色を付与するために、着色剤として染料を使用することができる。染料は単独で使用してもよく、複数の染料を組み合わせて使用してもよい。本発明における塗膜7中で使用できる染料の種類としては、特に限定はされないが、公知の染料を使用することができ、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、メチルオレンジ、メチルバイオレット、又はアリザリンを使用することができる。
[表面処理鋼板の製造方法]
本発明に係る表面処理鋼板1の製造方法の例を以下で説明するが、本発明に係る表面処理鋼板1を得ることができれば任意の方法で製造することができる。例えば、本発明に係る表面処理鋼板1は、鋼板3上に形成された合金めっき層5上に、塗料を塗布し、加熱して塗料を硬化させることで製造することができる。
<合金めっき層の形成>
鋼板としては、任意の厚さ及び鋼組成を有するものを使用することができる。例えば、厚さ0.25〜3.5mmの冷延鋼板を使用することができる。また、合金めっき層5は、例えば、各種金属を添加した400〜550℃のZn−Al−Mg溶融めっき浴を用いて、鋼板3上にZn−Al−Mg合金めっきを5〜30μmの厚さで形成することができる。さらにめっき浴にSiを添加し、Zn−Al−Mg−Si合金めっきを形成することもできる。
<塗料の調製>
塗料は、溶媒に分散させたバインダー樹脂と、硬化剤であるメラミン樹脂とを混合して、次いで、その混合物中に所定量の顔料9を分散させることで得ることができる。混合の順序は異なってもよい。顔料9としては鱗片状酸化物を使用することができる。バインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂又はアクリル樹脂などを使用することができる。また、溶媒としては、メラミン樹脂が分散又は溶解すれば水又はシクロヘキサノンのような溶剤のいずれも使用することができるが、製造コスト低減や生産性向上の観点から水が好ましい。バインダー樹脂と硬化剤との比は適宜決定することができるが、例えば、1:1〜9:1の範囲であることができる。
<塗膜の形成>
次いで、得られた塗料を合金めっき層5上に塗膜7が所定の厚さになるように塗布し、焼付け、硬化させる。塗料の塗布方法は、特に限定されず、当業者に任意の塗布方法により行うことができる。焼付けは、塗料が硬化する任意の加熱条件で行うことができ、例えば、5〜70℃/秒の加熱速度で180〜230℃の鋼板温度になるように加熱する。本発明における比率A(伸び歪加工前)及び角度αの制御は、塗料を硬化させる際の加熱条件、バインダー樹脂と硬化剤との比、塗料の粘度などを適宜調整することにより行うことができる。
上述したような製造方法を用いることで、本発明に係る表面処理鋼板を製造することができる。すなわち、鋼板、鋼板上の少なくとも片面に形成されたAlとMgとZnとを含む合金めっき層、及び合金めっき層上に形成されたバインダー樹脂と顔料とを含む塗膜を有する表面処理鋼板であって、顔料が鱗片状酸化物であり、前記表面処理鋼板の断面を観察した場合に、観察された塗膜の表面の長さに対する、顔料が塗膜の表面に投影されている長さの比率Aが、70%以上100%以下である表面処理鋼板を製造することができる。
本発明に係る表面処理鋼板について、以下で幾つかの例を挙げてより詳細に説明する。しかしながら、以下で説明される特定の例によって特許請求の範囲に記載された本発明の範囲が制限されることは意図されない。
<表面処理鋼板の試料の作製>
(合金めっき層の形成)
厚さ1mmの冷延鋼板を、Al:約11質量%、Mg:約3質量%、及びZn:約86質量%を添加した約450℃の溶融めっき浴に3〜5秒間浸漬し、冷延鋼板上に約10μmの厚さの合金めっき層を形成した。
(塗料の調製)
水中にバインダー樹脂としてポリエステル樹脂(分子量:16,000;ガラス転移点:10℃)を分散させ、その中にイミノ基型メラミン樹脂を混合した。ポリエステル樹脂とメラミン樹脂との濃度の比は100:20であった。次いで、その混合物中に、所定量の顔料を添加して塗料を調製した。塗料に添加した顔料の種類、及び、顔料が光輝顔料に該当するか(該当する場合は「〇」、該当しない場合は「×」)を表1に示した。顔料の添加量は、塗膜の表面からGD−OESを用いて測定した場合に、表1に示すような所定の顔料の濃度が得られるように適宜調整した。
(塗膜の形成)
上記のように調製した塗料を、得られる塗膜の平均厚さが2μm、3μm、5μm、10μm、15μm又は18μmになるように合金めっき層上に塗布し、焼付けることで硬化させた。焼付けは、10〜70℃/秒の加熱速度で180〜230℃の鋼板到達温度となる条件で行った。比率A及び角度αの制御は、塗料を硬化させる際の加熱条件を適宜調整して行った。このようにして、表面処理鋼板の試料No.1〜36を作製した。
得られた試料の表面からGD−OESを用いてめっき層に向かってスパッタリングし、1.0μmごとに深さ方向の顔料濃度プロファイルを測定し、塗膜中の顔料の濃度を決定した。また、無作為に塗膜中の顔料40個から、FE−EPMAを用いて顔料の平均粒径及び平均アスペクト比(10以上である場合は「鱗片」、10未満である場合は「非鱗片」)を決定した。そして、各試料の断面において、5か所の位置で100μmの幅の断面を観察し、伸び歪加工前における比率Aを決定した。また、断面観察により歪を与えた後の比率A並びにTA、TBを測定した。さらに、得られた試料の断面をSEMで観察し、観察した画像を基に5か所の合金めっき層と塗膜間の距離を測定し、塗膜の平均厚さを算出し、そして、上記の塗膜中の顔料40個において角度αを測定することで、顔料が0°≦α≦10°である割合を決定した。このように決定した値をそれぞれ表1に示した。さらに、試料No.1〜36の試料について、電子顕微鏡で、合金めっき層と塗膜との界面から塗膜の表面方向に0.4μmの範囲の領域において観察した結果、いずれの試料も顔料が存在していた。
<表面処理鋼板の試料の評価>
上記のように表面処理鋼板の試料を作製し、表1に示したような試料について、JIS 5号試験片(板厚0.6mm)を作製した。次いで、その試験片を一軸方向に引張り試験し、20%歪を加えた後に、その加工部において、以下のような耐食性及び隠蔽性の評価試験を行った。なお、試料No.1〜36の試料の他に、ポリエステル樹脂の代わりにメチルシリコーン樹脂を用いた塗料を作製し、この塗料により表面処理鋼板の試料(表1には記載せず)を形成したが、この試料は、上記引張試験の際に塗膜に亀裂が生じ、以下の加工部耐食性及び加工部隠蔽性の評価を行うことができなかった。
(加工部耐食性の評価試験)
それぞれの試料について、加工部において、耐食性の評価試験として塩水噴霧試験(JASO M609−91法に準拠)を行った。この塩水噴霧試験は、(1)塩水噴霧2時間(5%NaCl、35℃);(2)乾燥4時間(60℃);及び(3)湿潤2時間(50℃、湿度95%以上)を1サイクルとして合計120サイクル(合計960時間)実施した。
耐食性の評価は、塩水噴霧試験960時間後の試料の加工部を光学顕微鏡で観察し、錆発生面積率Zを決定することで行った。具体的には、まず、試料の表面をスキャナーで読み込んだ。その後、画像編集ソフトを用いて錆が発生している領域を選択し、錆発生面積率を求めた。この手順を5つの試料に対して行い、錆発生面積率の平均化して「錆発生面積率Z」を決定した。このように各試料で決定した「錆発生面積率Z」を基に、以下のように10段階で各試料の評点を決定した。評点5以上を耐食性の合格点とした。
評点10:Z=0%
評点9:0%<Z≦5%
評点8:5%<Z≦10%
評点7:10%<Z≦20%
評点6:20%<Z≦30%
評点5:30%<Z≦40%
評点4:40%<Z≦50%
評点3:50%<Z≦60%
評点2:60%<Z≦70%
評点1:70%<Z
(加工部隠蔽性の評価試験)
それぞれの試料について、加工部において、隠蔽性の評価試験として70℃の温度及び80%の相対湿度の環境下における恒温恒湿試験を行った。それぞれの試料を、このような環境下に10日間静置した。
隠蔽性の評価は、加工部において、耐候性試験を行う前後での試料の表面の「色調変化ΔL*」(試験後の試料の明度L−試験前の試料の明度L)を測定することで決定した。ΔL*は、分光測色計(スガ試験機株式会社:SC−T45)を使用して、CIE表色系(L*a*b*表色系)に基づく色調測定(JIS Z8729)により決定した。測定したΔL*に従って、以下のように評点を10段階で決定した。評点5以上を隠蔽性の合格とした。
評点10:0≦ΔL*≦0.5
評点9:0.5<ΔL*≦1.0
評点8:1.0<ΔL*≦1.5
評点7:1.5<ΔL*≦2.0
評点6:2.0<ΔL*≦3.0
評点5:3.0<ΔL*≦4.0
評点4:4.0<ΔL*≦5.0
評点3:5.0<ΔL*≦6.0
評点2:6.0<ΔL*≦7.0
評点1:7.0<ΔL*
表面処理鋼板の試料No.1〜36について、上記のように加工部における耐食性及び隠蔽性の評価試験を行い、評点を決定した。その結果を表1に示す。また、表面処理鋼板の経済性について表1に示す。
試料No.1〜3、6〜11及び14〜36は、顔料として鱗片状酸化物を用い、加工前の比率Aが70%以上であったため、高い加工部耐食性を有していた。一方、試料No.4では、顔料として鱗片状であるが酸化物でないアルミニウムを使用したため、塗料中でアルミニウムが溶出し水素を発生し、その結果、塗膜中に気泡に起因する欠陥が生じたため、加工部において耐食性が不十分となった。また、試料No.5では、顔料として酸化物であるが鱗片状でない(アスペクト比が小さい)シリカを使用したため、顔料によって、腐食因子が塗膜を通過して合金めっき層に到達するのを抑制できず、耐食性が不十分となった。さらに、試料No.12及び13では、顔料が鱗片状かつ酸化物であったが、加工前の比率Aが70%未満であったため、加工部において、顔料が合金めっき層を覆うように効果的に配置されず、耐食性が不十分となった。
また、No.6及び7では、顔料が光輝顔料であったため、その金属的外観によってより効果的に合金めっき層を隠蔽することができた。また、顔料が鱗片状のマイカである試料No.1及び8を比べると、塗膜中の顔料の角度αが0°≦α≦10°である割合が高いNo.1の方が、加工部での隠蔽性及び耐食性がより優れていた。さらに、試料No.1、9、及び14〜17を比べると、塗膜の平均厚さが厚くなるほど加工部での隠蔽性及び耐食性が向上し、特に塗膜の平均厚さが3〜15μmであると、加工部での隠蔽性及び耐食性並びに経済性を両立することができた。試料No.1、10、11、18及び19を比べると、顔料濃度が5〜15質量%であると、加工部での耐食性がより優れていた。No.1及び20〜23を比べると、マイカの平均粒径が5〜30μmであると、加工部での耐食性がより優れていた。No.1及び24〜28を比べると、マイカの平均アスペクト比が20以上であると、加工部での隠蔽性及び耐食性が優れていた。No.3及び29〜32を比べると、アルミナの平均粒径が1〜10μmであると、加工部での隠蔽性及び耐食性が十分であった。No.3及び33〜36を比べると、アルミナの平均アスペクト比が高いほど、加工部での隠蔽性が優れていた。
本発明によれば、加工部での耐食性に優れた表面処理鋼板を提供できる。これにより、建材や家電用の製品としてZn−Al−Mg系合金めっき鋼板を加工したものを使用する場合、加工部において優れた耐食性を提供することが可能となる。したがって、本発明は産業上の価値が極めて高い発明といえるものである。
1:表面処理鋼板
3:鋼板
5:合金めっき層
7:塗膜
9:顔料

Claims (10)

  1. 鋼板、前記鋼板上の少なくとも片面に形成されたAlとMgとZnとを含む合金めっき層、及び前記合金めっき層上に形成されたバインダー樹脂と顔料とを含む塗膜を有する表面処理鋼板であって、
    前記顔料が鱗片状酸化物であり、
    前記表面処理鋼板の断面を観察した場合に、観察された前記塗膜の表面の長さに対する、前記顔料が前記塗膜の表面に投影されている長さの比率Aが、70%以上100%以下であることを特徴とする表面処理鋼板。
  2. 前記顔料が光輝顔料であることを特徴とする、請求項1に記載の表面処理鋼板。
  3. 前記顔料が、シリカ、アルミナ及びマイカの1種又は2種以上を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の表面処理鋼板。
  4. 前記塗膜の断面を観察し、前記顔料の長径を含む直線と前記塗膜の表面の為す角度をαとした場合に、前記塗膜中において0°≦α≦10°を満たす前記顔料が30%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
  5. 前記表面処理鋼板に一軸方向に20%の伸び歪を加えた後に前記表面処理鋼板の断面を観察した場合に、観察された前記塗膜の表面の長さに対する、前記顔料が前記塗膜の表面に投影されている長さの比率Aが、70%以上100%以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
  6. 前記顔料にマイカが含まれる場合、前記マイカの平均粒径が5μm以上30μm以下であり、平均アスペクト比が20以上であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
  7. 前記塗膜中のマイカの平均厚さTAと、前記表面処理鋼板に一軸方向に20%の伸び歪を加えた後の前記塗膜中のマイカの平均厚さTBとの比TA/TBが、1.5以上3.0以下であることを特徴とする、請求項6に記載の表面処理鋼板。
  8. 前記顔料にシリカ又はアルミナが含まれる場合、前記シリカ又はアルミナの平均粒径が1μm以上10μm以下であり、平均アスペクト比が10以上50以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
  9. 前記塗膜の平均厚さが3μm以上15μm以下であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
  10. 前記塗膜中の前記顔料の濃度が、前記塗膜の全体質量に対して、5質量%以上15質量%以下であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
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