JP6796005B2 - 塗装亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、亜鉛または亜鉛を含む合金めっき鋼板の少なくとも片面に、クロム酸化合物を含有しない化成処理皮膜と着色プライマー塗膜を順次形成し、その上層にチタン酸化物をコーティングしてなる鱗片状のシリコンフレークを1〜8質量%含有する光屈折性塗膜を5〜30μm形成してなる塗装亜鉛系めっき鋼板において、前記鱗片状のシリコンフレークが平面方向に2〜50μmで厚さが1〜5μmであり、前記光屈折性塗膜中にそのシリコンフレークの中心軸が鋼板表面に対して0〜45度の角度の範囲内に形成されていることを特徴とした意匠性に優れた塗装亜鉛系めっき鋼板を提供するものである。
例えば、樹脂成分と無機成分を複合してなる化成処理皮膜で、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂やアクリル樹脂など亜鉛系めっきおよび塗膜との密着性に優れる樹脂成分と、バナジウム化合物やジルコニウム化合物などの耐食性機能を呈する無機成分を主成分とする化成処理皮膜などが好適である。
例えば、常法による樹脂成分と無機成分を複合してなる化成処理皮膜においては、0.03g/m2未満では下地の亜鉛系めっき鋼板および上層の着色プライマー塗膜との密着性の低下や耐食性が低下する傾向にあり、0.3g/m2を超えると厳しい曲げ加工を受けた場合に化成処理皮膜が破壊して密着性や耐食性が低下する傾向があり、0.03〜0.3g/m2程度の付着量範囲が好適である。
着色プライマー塗膜についても、前記の化成処理皮膜と同様に、下層の化成処理皮膜および上層に塗装する光屈折性塗膜と良好な密着性を有し、常法により着色した塗膜であって、成形加工時に塗膜に疵付きなどの損傷を生じても良好な耐食性を呈するものであれば、特に限定するものではない。ただし、防食剤として環境負荷物質でありまた着色を損なうクロム酸化合物を含有しないことが必要である。
光屈折性塗膜は、前記の着色プライマー塗膜の上層に形成され、着色プライマー塗膜の色調をベースに、成形加工後の製品形状の立体感を強調するような意匠性(製品形状との相乗効果)を塗膜機能として付与するものである。
チタン酸化物のコーティング厚さは、そのコーティング方法により異なるが、光学的効果より0.1μm以下の厚さでコーティングされているものが好ましい。また鱗片状のシリコンフレークの大きさは、図1に示すような平面方向に2〜50μmで厚さが1〜5μmであるものが、光学的効果および成形加工性の点から好適である。
また、シリコンフレークの厚みが1μm未満となると、十分な光学的効果が得られなくなる。また、シリコンフレークの厚みが5μm超となると、十分な成形加工性が得られなくなる。よって、シリコンフレークの大きさは、平面方向に2〜50μmで厚さが1〜5μmである。
図2に示すように、光屈折性塗膜中にシリコンフレークの中心軸を鋼板表面に対して0〜45度の角度の範囲内に配向させることによって、例えば図5(実施例)に示すように、見る角度によって色調が異なり、これにより成形加工後の製品形状において凹凸の平面部と傾斜面の色調が異なることから製品形状の立体感が強調されるものである。シリコンフレークの角度が45度を超えた場合はその効果が小さく、0〜45度の角度の範囲内に配向させることが好適である。より好ましくは、上記の角度は0〜30度であり、0度に近づく程その効果は大きくなる。
なお、上記の0〜45度の角度とは、鋼板表面に対する角の大きさが0〜45度であればよく、シリコンフレークの向きについては特に限定されない。
ロールコーター法とは、例えば図3に示すように、塗料を塗料皿からピックアップロールでピックアップし、ピックアップロールとアプリケーションロールとの押付け圧力および回転周速比で塗布する塗料厚さを調整して、アプリケーションロールで鋼板表面に転写して連続的に塗布するものであり、ピックアップロールとアプリケーションロールとの押付け圧力および回転周速比で塗料厚さを調整する際にロール間で塗料に鋼板表面と平行するせん断力がかかることによって塗料中の鱗片状のシリコンフレークが鋼板表面と平行方向に配向して、その結果、所望とする鋼板表面に対して0〜45度の角度の範囲内に配向制御を容易とするものである。
またロールコーター法では、塗膜の厚さが比較的均一でありまた平滑な塗膜表面が形成されることから、光屈折性塗膜の形成および前記の着色プライマー塗膜の形成方法として好適である。
図4から明らかなように、ロールコーター法によって、着色プライマー塗膜および光屈折性塗膜が、比較的均一な厚さでまた平滑な表面状態で形成され、また光屈折性塗膜中に鱗片状のシリコンフレークが鋼板表面に対して概ね0〜45度の角度の範囲内に配向していることが分かった。
比較として、従来の一般的な塗装鋼板との比較を模擬しまた光屈折性塗膜の効果を調べるために、実施例の鋼板作製時に、光屈折性塗膜を形成していない着色プライマー塗膜まで形成した比較サンプルを作製し、測定に供した。変角測色計は、日本電色工業株式会社製の「分光変角色差計GC5000」を使用し、測定鋼板面の垂直から45度の角度から投光し、測定鋼板面の垂直から連続的に−80〜+80度の角度で受光器を動かし、JIS Z8730(色差表示方法)にしたがい、L値(明度)、a値(緑方向〜赤方向)、b値(青方向〜黄方向)を測定した。
図5から明らかなように、光屈折性塗膜を形成した作製塗装亜鉛系めっき鋼板は、従来の一般的な塗装鋼板と同様の外観を呈する着色プライマー塗膜鋼板と比較して、角度によって色調が大きく変化することが分かった。
図6から明らかなように、本発明の塗装亜鉛系めっき鋼板を使用して成形した製品は、凹凸部で色調が異なり凹凸の立体感がより強調された高い意匠性(製品形状との相乗効果)を呈することが分かった。また、成形加工時に疵付き等が発生しても十分な耐食性を有していることが分かった。
Claims (2)
- 亜鉛めっきまたは亜鉛を含む合金めっきが施された鋼板と、
該鋼板の少なくとも片面に形成されたクロム酸化合物を含有しない化成処理皮膜と、
該化成処理皮膜上に形成された着色プライマー塗膜と、
該着色プライマー塗膜上に形成され、チタン酸化物をコーティングしてなる鱗片状のシリコンフレーク:1〜8質量%と樹脂とを含有し、あるいはさらに、シリカ粒子、ワックス成分および紫外線吸収材から選択される1種以上を含有する成分からなり、膜厚さが5〜30μmである光屈折性塗膜と、
を有し、
前記鱗片状のシリコンフレークが、平面方向に2〜50μmで厚さが1〜5μmであり、前記光屈折性塗膜中のシリコンフレークの中心軸が鋼板表面に対して0〜45度の角度の範囲内に形成されていることを特徴とする、塗装亜鉛系めっき鋼板。 - 請求項1に記載の塗装亜鉛系めっき鋼板の製造方法であり、前記着色プライマー塗膜および前記光屈折性塗膜を、ロールコーター法で形成することを特徴とする、塗装亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
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