JP4844240B2 - 大豆蛋白の製造方法 - Google Patents
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Caの添加量として、大豆蛋白固形分に対して0.05〜1.0重量%が好ましい。
0.22Mトリクロロ酢酸(TCA)可溶率で13〜40%の範囲になるよう蛋白加水分解を行うことが好ましい。
高温短時間加熱は、蛋白加水分解を行う工程の前または後の大豆蛋白スラリーまたはその溶液に対して、100℃〜155℃で5秒〜10分行なうことが好ましい。
大豆蛋白スラリーまたはその溶液はpH6.7〜8.0に中和した大豆蛋白溶液が好ましい。
大豆蛋白スラリーまたはその溶液に対し、(A)Ca化合物を添加する工程、(C)高温短時間加熱する工程、(B)蛋白分解酵素を添加して蛋白加水分解を行う工程及び(D)二回目の高温短時間加熱する工程を含むことが好ましい。
以下構成要件について説明する。
本発明に用いるCa化合物してはのCa塩,水酸化物,酸化物であり、食品用として使用出来る例として塩化Ca、硫酸Ca、炭酸Ca、酸化Ca、水酸化Ca、グルコン酸Ca、グリセロリン酸Ca等を挙げることができる。
本発明に用いる蛋白加水分解酵素は、ペプチダーゼをプロテアーゼと併用ないしペプチダーゼ活性の混在するプロテアーゼ酵素の使用が好ましい。ペプチダーゼは、所謂エキソタイプと言われる蛋白の末端に作用する分解酵素であり、市販酵素としては天野エンザイム(株)「ペプチダーゼR」、「ウマミザイムG」、新日本化学工業(株)「スミチームFLAP」等がペプチダーゼ活性の高い酵素として市販されている。エンドタイプと呼ばれるプロテアーゼ酵素としては、天野エンザイム(株)「プロテアーゼN『アマノ』G」、「プロテアーゼNL『アマノ』G」、「プロレザーFG−F」、大和化成(株)「プロチンA」、「プロチンP」等が例示でき、これらの酵素を併用することも出来る。更に比較的ペプチダーゼ活性の混在する市販酵素だけをそのまま使用することも可能である。具体的には、天野エンザイム(株)「プロテアーゼA」、「プロテアーゼM」、「プロテアーゼP」、新日本化学工業(株)の「スミチームFP」、ノボザイムズジャパン(株)「フレーバーザイム」等が例示できる。
得られる大豆蛋白の分散性、乾燥効率、大豆臭の脱臭効率の観点からかかる濃度範囲が好ましい。
大豆蛋白スラリーまたはその溶液は、蛋白加水分解工程の前または後で、好ましくは分解工程の前で(C)高温短時間加熱する。大豆臭を低減化することができる。
大豆蛋白スラリーまたはその溶液を、蛋白加水分解工程の前で(C)高温短時間加熱する場合は、(B)蛋白分解酵素を添加して蛋白加水分解を行った後、(D)二回目の高温短時間加熱することが好ましい。
(C)高温短時間加熱する効果は、蛋白を加熱変性をさせることで、その後の酵素分解による大豆臭効率をより高めることができる。加熱変性させることで蛋白内部に隠れている疎水性部分を露出させ、分解させることで不快なフレーバー成分の脱臭が促進されるためこの加熱処理は有効な効果を発揮するものと推定される。
このように、高温短時間加熱する際の大豆蛋白スラリーまたはその溶液は前記のように中和した大豆蛋白溶液を用いることが好ましい。
大豆蛋白スラリーまたはその溶液のpHが6.7よりも低い条件では、加熱による蛋白の不溶化が進み、大豆臭と呼ぶ不快臭の低減効果が低下するだけでなく、溶液にした際のザラツキ感が生じるようになる。
逆にpH8.0よりも高い条件では加熱処理によりアルカリ臭の発生や色調が黄緑ぽく変色するなど風味、色調の低下に繋がる。
なお、中和に用いるアルカリ剤としては、食品用途で使用できる水酸化Na、水酸化Kのアルカリ水溶液やCa化合物の水酸化Ca等のアルカリ剤も前述した添加量の範囲でこれらアルカリ剤と併用することができる。
また、加熱温度が100℃より低い温度、加熱時間として5秒よりも短い条件では、不快臭の低減効果が乏しく、逆に155℃を超える温度での加熱や10分を超える加熱処理の場合では蛋白の分解が生じたり、加熱による変色も発生し易くなり最終製品の品質にも影響を及ぼす為、避けることが好ましい。
以上の工程は、Ca化合物の添加、中和、加熱、蛋白分解の順に行なうと、最も効率的、効果的に行なう事ができる。
この(D)二回目の高温短時間加熱は、前述と同様、間接加熱方式、直接加熱方式の何れの方法も利用可能であるが、スチームインジェクション式直接加熱殺菌機を用いることが好適である。この場合の加熱温度も100〜155℃、より好ましくは110〜150℃の範囲で、加熱時間として5秒〜10分、より好ましくは10秒〜3分の範囲で実施することができる。
酵素分解の前に(C)高温短時間加熱していれば、酵素分解の後で更に(D)二回目の高温短時間加熱処理をすることで大豆臭成分の遊離がより促進され、脱臭効果が高まり好ましい。
この場合、添加に用いる乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の該当HLBの乳化剤が例示できる。
即ち、得られる大豆蛋白は、NSIが55〜98、0.22Mトリクロロ酢酸(TCA)可溶率が13〜40%、乾燥固形分として、粗蛋白質が70〜95%である。
SSIやTNBSに換算して表現すれば、本発明の大豆蛋白は、乾燥固形分として、NSIが55(SSI70)〜98(SSI98)、0.22Mトリクロロ酢酸(TCA)可溶率が13(TNBS38)〜40%(TNBS71)、CPが70〜95%である。
大豆蛋白固形分のCaの総量は本来大豆蛋白が含んでいるCa量も考慮すると0.1〜1.2重量%含むことができる。
低変性脱脂大豆(不二製油(株)製)10kgに15倍の水を加え、1NのNaOHでpH7.5に調整し、室温で1時間ホモミキサーを用いて攪拌抽出を行った後、遠心分離機(1000g×10分)を用いてオカラ成分を除去し、脱脂豆乳を得た。これに1NのHClを添加して、pH4.5に調整し、蛋白成分を等電点沈殿させ、遠心分離して沈殿物を回収し、分離大豆蛋白カード(以下「カード」と呼ぶ)を得た。本カードのカード固形分は約30重量%であった。
この大豆蛋白溶液を「ペプチダーゼR」および「プロテアーゼN『アマノ』G」(天野エンザイム(株)製)のエキソ型およびエンド型の蛋白分解酵素を両者併用使用し、55℃の反応温度で30分間、蛋白加水分解を行った。加水分解度の程度は、使用酵素量の添加量を調整し、表-1に示す異なる分解度を得た。
酵素加水分解後、この溶液を再度直接加熱殺菌機を用いて140℃で10秒間加熱処理を行い、ソルビタン脂肪酸エステル(HLB4.9)を対重量固形分当り0.2%添加、均質化した後、噴霧乾燥により粉末状大豆蛋白を得た。
実施例1と同様にして得られたカードを固形分12重量%の濃度になるよう加水し、水酸化Caを表-2に示す条件で加え、次いで水酸化Naを用い溶液pHを7.2に中和を行った。次いで、この中和蛋白溶液を直接加熱殺菌機を用いて140℃で1分間加熱処理を行い蛋白変性させた大豆蛋白溶液を得た。酵素加水分解の条件は実施例1と同じ酵素添加条件と反応条件で分解を行い、この溶液を再度直接加熱殺菌機を用いて140℃で10秒間加熱処理を行い、ソルビタン脂肪酸エステル(HLB4.9)を対重量固形分当り0.2重量%添加、均質化した後、噴霧乾燥により粉末状大豆蛋白を得た。調製された大豆蛋白は、実施例1と同様の方法により評価を行った。
実施例1と同様にして得られたカードを固形分12重量%の濃度になるよう加水し、水酸化Caを対重量固形分当り0.7重量%(Ca2+で0.38重量%)を加え、水酸化Naを用いて溶液pHを6.6、7.2、8.2の3条件に調整し、その後直接加熱殺菌機を用いて表3に示した加熱条件にて蛋白変性させた大豆蛋白溶液を得た。次いで酵素加水分解の条件は実施例1のT-4と同じ酵素添加条件と反応条件で分解を行い、この溶液を再度直接加熱殺菌機を用いて140℃で10秒間加熱処理を行い、ソルビタン脂肪酸エステル(HLB4.9)を対重量固形分当り0.2重量%添加、均質化した後、噴霧乾燥により粉末状大豆蛋白を得た。調製された大豆蛋白は、実施例1と同様の方法により評価を行った。
かかる本発明の大豆蛋白を利用することにより、従来の大豆蛋白では、風味が悪く高配合の組み立てが出来なかった健康栄養を訴求とする粉末飲料や焼き菓子、栄養バーといった食品製造において従来以上の高配合化が出来るようになるとともに粉末飲料においては分散性やザラツキの問題の解決、焼き菓子や栄養バー等においては粉ぽさの改善などが可能となり、従来にない高品質化を図ることが可能となったものである。
Claims (1)
- pH6.7〜8.0に中和した大豆蛋白スラリーまたはその溶液に対し、(A)Ca化合物をCaの添加量として、大豆蛋白固形分に対して0.05〜1.0重量%の範囲添加する工程、(C)100℃〜155℃で5秒〜10分加熱する工程、(B)蛋白分解酵素を添加して0.22Mトリクロロ酢酸(TCA)可溶率で13〜40%の範囲になるよう蛋白加水分解を行う工程及び(D)二回目の100℃〜155℃で5秒〜10分加熱する工程の風味および分散性に優れた飲料用大豆蛋白の製造方法。
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