JP2015119699A - 植物性分離蛋白およびその製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、粉末飲料を消費者が家庭で水に分散させるときのような緩やかな攪拌条件であっても、ママコが生じにくく、水への分散性に優れ、容易に素早く溶解させることができる植物性分離蛋白を提供することにある。【解決手段】NSIが20以上90未満であって、フィチン酸部分分解物とフィチン酸が含まれ、10重量%濃度の水分散液のpHが5.5以上6.9以下であることを特徴とする、粉末状植物性分離蛋白。【選択図】なし
Description
本発明は植物性分離蛋白およびその製造法に関する。特に、粉末飲料用として分散性に優れた植物性分離蛋白の製造法に関する。
大豆蛋白質等の蛋白質は高分子で両親媒性を有するため、ゲル化性、増粘性、保水性を有するものがあり、これを高濃度に含む濃縮蛋白や分離蛋白等の粉末状蛋白素材は、様々な加工食品への物性改良材として幅広く使用されている。
例えば大豆蛋白質はアミノ酸組成のバランスが良く、またコレステロール低下作用に代表されるような生理機能を有しており、栄養面や生理機能面を期待した栄養・健康訴求食品で使用されている。
例えば大豆蛋白質はアミノ酸組成のバランスが良く、またコレステロール低下作用に代表されるような生理機能を有しており、栄養面や生理機能面を期待した栄養・健康訴求食品で使用されている。
植物性分離蛋白は、蛋白質に富む粉末状植物蛋白の一種であり、分離大豆蛋白の場合では通常は脱脂大豆を原料として水系下で不溶性繊維と糖質を除去することにより蛋白質濃度を高めた大豆蛋白溶液をスプレードライヤー等により噴霧乾燥することにより粉末化され、製造されている。植物性蛋白溶液は、一般に蛋白質の保水力が高く水溶液の粘度が高くなるので固形分濃度が高い条件で乾燥させ難い。そのため、通常得られる植物性分離蛋白は、微粉末でかさ比重の軽い製品が一般的である。このようにして調製される植物性分離蛋白は水への分散性が悪いため、所謂「ママコ」と呼ばれるダマが水溶液の表面に浮き、水に素早く溶解させることが困難となる問題点がある。この点は植物性分離蛋白を粉末飲料等の原料に使用した場合に要求される必須の改善点となっている。
このような課題を解決するため、1つの方法として植物性分離蛋白を流動層造粒機で造粒加工を施すことで、水への分散性を高めてママコの発生を防止する方法が行われている。例えば、乳化剤や油脂を含む賦形液を分離大豆蛋白に噴霧し、造粒する技術が示されている(特許文献1)。また、デキストリンなどの多糖類を含む賦形液を用いて分離大豆蛋白を造粒する技術も示されている(特許文献2)。
水への分散性改善のための別の方法として、酸性溶液やイオン化した金属水溶液を分離大豆蛋白に噴霧して乾燥する方法なども知られている(特許文献3,4)。
植物性分離蛋白の水への分散性を高めるためには、上記特許文献1〜4などの方法が用いられている。しかしながら、引用文献1,2のような造粒による方法では乳化剤や多糖類などの賦形剤の添加量も多く必要となり、植物性分離蛋白の製品中の蛋白質含量が低下してしまう。
また、引用文献3,4による方法では、製造条件によっては得られる植物性分離蛋白の溶解性が低くなってしまい、口内でのザラつきが発生したり、製品の保存中における経時的な風味劣化が大きくなったりし、製造工程上のコントロールに熟練を要する。
また、引用文献3,4による方法では、製造条件によっては得られる植物性分離蛋白の溶解性が低くなってしまい、口内でのザラつきが発生したり、製品の保存中における経時的な風味劣化が大きくなったりし、製造工程上のコントロールに熟練を要する。
そこで本発明の目的は、粉末飲料を消費者が家庭で水に分散させるときのような緩やかな攪拌条件であっても、ママコが生じにくく、水への分散性に優れ、容易に素早く溶解させることができる植物性分離蛋白を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、植物性蛋白質の含有液をフィチン酸分解酵素で処理してフィチン酸を部分加水分解した後、得られた酵素反応液をpH5.5以上7未満の微酸性条件下において高温加熱処理し、乾燥粉末化することにより、NSIが20以上90未満の中程度の溶解性を示す植物性分離蛋白の粉末を得た。かかる粉末を水に溶かしたところ、緩やかな攪拌条件であっても水に容易に分散するという前記課題を解決しうることを見出し、本発明の技術思想を完成するに到った。
すなわち本発明は、
(1)下記a)〜c)の工程を経ることを特徴とする、NSIが20以上90未満の植物性分離蛋白の製造法、
a)植物性原料から蛋白質含有液を調製し、これにフィチン酸分解酵素を作用させてフィチン酸を部分加水分解し、酵素反応液を得る工程、
b)前記工程を経た酵素反応液をpH5.5以上7未満において高温加熱処理し、高温加熱処理液を得る工程、
c)前記高温加熱処理液を乾燥粉末化する工程、
(2)工程c)において、工程b)で得られた高温加熱処理液をpH5.5以上7未満において乾燥粉末化する、前記(1)記載の製造法、
(3)蛋白質含有液が、植物性原料から不溶性繊維と酸可溶性成分が除去されたものである、前記(1)又は(2)記載の製造法、
(4)酵素反応液のフィチン酸分解率が5〜50重量%である、前記(1)〜(3)の何れか1項に記載の製造法、
(5)工程b)のpHを6〜6.9とする、前記(1)〜(4)の何れか1項に記載の製造法、
(6)植物性分離蛋白の製造工程において、蛋白質含有液にフィチン酸分解酵素を作用させてフィチン酸の一部をフィチン酸部分分解物に加水分解し、次いで該酵素反応液をpH6以上7未満において高温加熱処理することを特徴とする、植物性分離蛋白の水への分散性向上方法、
(7)酵素反応液のフィチン酸分解率が5〜50重量%である、前記(6)記載の方法、
(8)NSIが20以上90未満であって、フィチン酸部分分解物とフィチン酸が含まれ、10重量%濃度の水分散液のpHが5.5以上7未満であることを特徴とする、粉末状植物性分離蛋白、
(9)前記(1)〜(5)の何れか1項に記載の製造法で得られ、NSIが20以上90未満であって、フィチン酸部分分解物とフィチン酸が含まれ、10重量%濃度の水分散液のpHが5.5以上7未満であることを特徴とする、粉末状植物性分離蛋白、
(10)粉末飲料用である、前記(8)記載の植物性分離蛋白、
(11)前記(8)記載の植物性分離蛋白の、粉末飲料への使用、
(12)前記(8)記載の植物性分離蛋白を配合することを特徴とする粉末飲料の製造法、
である。
(1)下記a)〜c)の工程を経ることを特徴とする、NSIが20以上90未満の植物性分離蛋白の製造法、
a)植物性原料から蛋白質含有液を調製し、これにフィチン酸分解酵素を作用させてフィチン酸を部分加水分解し、酵素反応液を得る工程、
b)前記工程を経た酵素反応液をpH5.5以上7未満において高温加熱処理し、高温加熱処理液を得る工程、
c)前記高温加熱処理液を乾燥粉末化する工程、
(2)工程c)において、工程b)で得られた高温加熱処理液をpH5.5以上7未満において乾燥粉末化する、前記(1)記載の製造法、
(3)蛋白質含有液が、植物性原料から不溶性繊維と酸可溶性成分が除去されたものである、前記(1)又は(2)記載の製造法、
(4)酵素反応液のフィチン酸分解率が5〜50重量%である、前記(1)〜(3)の何れか1項に記載の製造法、
(5)工程b)のpHを6〜6.9とする、前記(1)〜(4)の何れか1項に記載の製造法、
(6)植物性分離蛋白の製造工程において、蛋白質含有液にフィチン酸分解酵素を作用させてフィチン酸の一部をフィチン酸部分分解物に加水分解し、次いで該酵素反応液をpH6以上7未満において高温加熱処理することを特徴とする、植物性分離蛋白の水への分散性向上方法、
(7)酵素反応液のフィチン酸分解率が5〜50重量%である、前記(6)記載の方法、
(8)NSIが20以上90未満であって、フィチン酸部分分解物とフィチン酸が含まれ、10重量%濃度の水分散液のpHが5.5以上7未満であることを特徴とする、粉末状植物性分離蛋白、
(9)前記(1)〜(5)の何れか1項に記載の製造法で得られ、NSIが20以上90未満であって、フィチン酸部分分解物とフィチン酸が含まれ、10重量%濃度の水分散液のpHが5.5以上7未満であることを特徴とする、粉末状植物性分離蛋白、
(10)粉末飲料用である、前記(8)記載の植物性分離蛋白、
(11)前記(8)記載の植物性分離蛋白の、粉末飲料への使用、
(12)前記(8)記載の植物性分離蛋白を配合することを特徴とする粉末飲料の製造法、
である。
なお、豆乳や分離大豆蛋白の製造において、フィチン酸分解酵素を利用する技術について参照すると、例えば、フィチン酸はカルシウムやマグネシウム、鉄などの生命維持に必要なミネラルをキレートして難溶性の化合物を形成させるため、体内における該ミネラルの正常な腸管内吸収を妨害すると言われている。このため体内でのミネラル吸収性に及ぼす影響を少なくすることを目的に、フィチン酸分解酵素を利用して大豆蛋白質からフィチン酸をできるだけ除去することが行われている(特許文献5〜8)。
また、pHが5以下の酸性領域における溶解性を高めた酸性可溶蛋白を得るために、フィターゼを作用させることが行われている(特許文献9〜11)。
さらに、大豆蛋白質をβ−コングリシニン(7Sグロブリン)とグリシニン(11Sグロブリン)とに蛋白質成分を分画する目的で、フィターゼを作用させることが行われている(特許文献12,13)。
しかしながら、いずれも粉末飲料を消費者が家庭で飲むときのように、比較的緩やかな撹拌条件で植物性分離蛋白を水に溶解させる場合における水への分散性を向上させる目的で利用されているものではなく、本発明の技術的思想とは全く異にするものである。
また、pHが5以下の酸性領域における溶解性を高めた酸性可溶蛋白を得るために、フィターゼを作用させることが行われている(特許文献9〜11)。
さらに、大豆蛋白質をβ−コングリシニン(7Sグロブリン)とグリシニン(11Sグロブリン)とに蛋白質成分を分画する目的で、フィターゼを作用させることが行われている(特許文献12,13)。
しかしながら、いずれも粉末飲料を消費者が家庭で飲むときのように、比較的緩やかな撹拌条件で植物性分離蛋白を水に溶解させる場合における水への分散性を向上させる目的で利用されているものではなく、本発明の技術的思想とは全く異にするものである。
本発明により得られる植物性分離蛋白は、緩やかな撹拌条件であっても水への分散性に優れた物性を有するためママコを生じにくく、粉末飲料の原料として使用しても消費者が家庭で容易に素早く溶解させることができる。また溶解後に飲用した際に、口の中でのザラつきを感じにくいものである。しかも副次的には、飲用した際に濃厚感を有する植物性分離蛋白を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
(植物性分離蛋白)
本発明において「植物性分離蛋白」は、原料である植物性原料から蛋白質以外の成分、すなわち脂質、可溶性糖質、澱粉、不溶性繊維(オカラ)などをできるだけ除去し、蛋白質が濃縮された植物性蛋白素材をいう。その蛋白質含量は一般には固形分中70重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。
本発明において「植物性分離蛋白」は、原料である植物性原料から蛋白質以外の成分、すなわち脂質、可溶性糖質、澱粉、不溶性繊維(オカラ)などをできるだけ除去し、蛋白質が濃縮された植物性蛋白素材をいう。その蛋白質含量は一般には固形分中70重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。
ここで植物性原料としては、蛋白質を含む植物性原料が挙げられ、例えば大豆、エンドウ、緑豆、ヒヨコ豆、落花生、ルピナス、キマメ、ナタ豆、ツル豆、インゲン豆、小豆、ササゲ、レンズ豆、ソラ豆、イナゴ豆などの豆類や、ナタネ種子(特にキャノーラ品種)、ヒマワリ種子、綿実種子等の種子類や、小麦、大麦、ライ麦、米、トウモロコシ等の穀類などの全粒物やその粉砕物が挙げられ、これらから油脂や澱粉を工業的に抽出した粕を用いることもできる。これらの植物性原料には通常はフィチン酸が含まれており、またこれらに含まれる主要な蛋白質は等電点がpH4.5付近に存在する。特に分離蛋白として商業的に生産されている大豆、エンドウ、緑豆、ナタネ種子(キャノーラ種子)やこれらの油脂もしくは澱粉の抽出粕を用いることが好ましい。
ここでは大豆を例として分離大豆蛋白の典型的な製造例を以下に挙げる。他の植物性原料を用いても下記の工程にて植物性分離蛋白を製造することができる。
I)抽出工程
大豆原料として脱脂大豆を使用し、これに加水し攪拌等して懸濁液(スラリー)とし、蛋白質を水で抽出する。水は中性〜アルカリ性のpHとすることができる。これを遠心分離等の固液分離手段でオカラを分離し、蛋白質抽出液(いわゆる豆乳)を得る。
II)酸沈殿工程
次に蛋白質抽出液に塩酸やクエン酸等の酸を添加し、該抽出液のpHを大豆蛋白質の等電点であるpH4〜5に調整し、蛋白質を不溶化させて酸沈殿させる。次に遠心分離等の固液分離手段により酸可溶性成分である糖質や灰分を含む上清(いわゆるホエー)を除去して、酸不溶性成分を含む「酸沈殿カード」を回収する。
III)中和工程
次に酸沈殿カードに再度加水し、必要により該カードを水で洗浄後、「カードスラリー」を得る。そして該スラリーに水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリを加えて中和し、「中和スラリー」を得る。
IV)殺菌・粉末化工程
次に中和スラリーを加熱殺菌し、スプレードライヤー等により噴霧乾燥し、分離大豆蛋白を得る。
ただし、本発明における分離大豆蛋白は上記製造例にて製造されるものには限定されるものではない。大豆原料としては脱脂大豆の代わりに全脂大豆や部分脱脂大豆などの種々の大豆原料を用いることができる。抽出手段も種々の抽出条件や装置を適用できる。たん白質抽出液からホエーを除去する方法として酸沈殿を行う代わりに限外ろ過膜等による膜濃縮を行うこともでき、その場合は中和工程は必ずしも必要ではない。さらに、大豆原料から予め酸性水やアルコールにより洗浄してホエーを除去した後に、中性乃至アルカリ性の水で蛋白質を抽出する方法を適用して製造することもできる。
I)抽出工程
大豆原料として脱脂大豆を使用し、これに加水し攪拌等して懸濁液(スラリー)とし、蛋白質を水で抽出する。水は中性〜アルカリ性のpHとすることができる。これを遠心分離等の固液分離手段でオカラを分離し、蛋白質抽出液(いわゆる豆乳)を得る。
II)酸沈殿工程
次に蛋白質抽出液に塩酸やクエン酸等の酸を添加し、該抽出液のpHを大豆蛋白質の等電点であるpH4〜5に調整し、蛋白質を不溶化させて酸沈殿させる。次に遠心分離等の固液分離手段により酸可溶性成分である糖質や灰分を含む上清(いわゆるホエー)を除去して、酸不溶性成分を含む「酸沈殿カード」を回収する。
III)中和工程
次に酸沈殿カードに再度加水し、必要により該カードを水で洗浄後、「カードスラリー」を得る。そして該スラリーに水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリを加えて中和し、「中和スラリー」を得る。
IV)殺菌・粉末化工程
次に中和スラリーを加熱殺菌し、スプレードライヤー等により噴霧乾燥し、分離大豆蛋白を得る。
ただし、本発明における分離大豆蛋白は上記製造例にて製造されるものには限定されるものではない。大豆原料としては脱脂大豆の代わりに全脂大豆や部分脱脂大豆などの種々の大豆原料を用いることができる。抽出手段も種々の抽出条件や装置を適用できる。たん白質抽出液からホエーを除去する方法として酸沈殿を行う代わりに限外ろ過膜等による膜濃縮を行うこともでき、その場合は中和工程は必ずしも必要ではない。さらに、大豆原料から予め酸性水やアルコールにより洗浄してホエーを除去した後に、中性乃至アルカリ性の水で蛋白質を抽出する方法を適用して製造することもできる。
(工程a)〜酵素反応〜
工程aは、植物性原料から蛋白質含有液を調製し、これにフィチン酸分解酵素を作用させ、酵素反応液を得る工程である。
酵素反応させる対象の蛋白質含有液は、植物性分離蛋白の製造工程の任意の工程、例えば前記製造例の工程で植物性分離蛋白を製造する場合には、I)〜IV)の何れかの工程で調製される蛋白質を含有する液体であればよい。前記製造例以外の工程で植物性分離蛋白を製造する場合でも、何れかの工程中において得られる蛋白質を含有する液体であればよい。より具体的には
(ア)植物性原料に加水し、必要により混合や粉砕等して得られるスラリー(懸濁液)、(イ)さらに該スラリーから不溶性繊維を分離して得られる蛋白質抽出液(大豆の場合、豆乳とも称する)、(ウ)該蛋白質抽出液から酸沈殿等によりホエーを分離して得られる酸沈殿カードや、これにさらに加水して得られるカードスラリー、(エ)該カードスラリーにアルカリを加えて中和して得られる中和スラリー、(オ)該中和スラリーを加熱処理した加熱中和スラリーなどが挙げられる。
より好ましくは、(ウ)〜(オ)などのように、植物性原料から不溶性繊維と酸可溶性成分が除去され、蛋白質がより濃縮されている蛋白質含有液が適当である。
工程aは、植物性原料から蛋白質含有液を調製し、これにフィチン酸分解酵素を作用させ、酵素反応液を得る工程である。
酵素反応させる対象の蛋白質含有液は、植物性分離蛋白の製造工程の任意の工程、例えば前記製造例の工程で植物性分離蛋白を製造する場合には、I)〜IV)の何れかの工程で調製される蛋白質を含有する液体であればよい。前記製造例以外の工程で植物性分離蛋白を製造する場合でも、何れかの工程中において得られる蛋白質を含有する液体であればよい。より具体的には
(ア)植物性原料に加水し、必要により混合や粉砕等して得られるスラリー(懸濁液)、(イ)さらに該スラリーから不溶性繊維を分離して得られる蛋白質抽出液(大豆の場合、豆乳とも称する)、(ウ)該蛋白質抽出液から酸沈殿等によりホエーを分離して得られる酸沈殿カードや、これにさらに加水して得られるカードスラリー、(エ)該カードスラリーにアルカリを加えて中和して得られる中和スラリー、(オ)該中和スラリーを加熱処理した加熱中和スラリーなどが挙げられる。
より好ましくは、(ウ)〜(オ)などのように、植物性原料から不溶性繊維と酸可溶性成分が除去され、蛋白質がより濃縮されている蛋白質含有液が適当である。
次に、得られた蛋白質含有液に対してフィチン酸分解酵素を作用させ、フィチン酸の一部をフィチン酸部分分解物に加水分解し、酵素反応液を得る。
フィチン酸を分解する酵素としては、フィターゼやホスファターゼ等が挙げられ、これらの両方の活性を有する酵素製剤を使用することもできる。例えば市販の酵素剤として、新日本化学工業(株)製の「スミチームPHY」などを使用することができる。
フィチン酸の一部をフィチン酸部分分解物に加水分解するためには、酵素の作用条件は適宜各種条件を選択して行うことができ、特に限定されない。ただし、加水分解しすぎるとフィチン酸の殆どが分解されてしまうため、酵素反応前のフィチン酸含量(P)と酵素反応後のフィチン酸含量(Q)を測定し、下記式により「フィチン酸分解率」を求め、これを加水分解の程度の指標として作用条件を決定することが望ましい。
(式) フィチン酸分解率=(P−Q)÷P×100
この場合、フィチン酸分解率は、5〜50重量%となるのが好ましく、10〜40重量%となるのがより好ましい。すなわち、従来のように体内でのミネラル吸収性を高めた植物性蛋白素材を得たり、高純度の大豆7Sグロブリン素材や大豆11Sグロブリン素材を得たり、酸性pH領域における溶解性を高めた酸性可溶蛋白を得たりする目的ではフィチン酸分解率はできるだけ100重量%に近い方が望ましいが、本発明では上記の特定のフィチン酸分解率に抑える方がより望ましい。
フィチン酸分解率が高すぎる場合、すなわち製造工程中でフィチン酸の除去を過度に行った場合、分散性は良好となるものの、品質が劣化したような劣化臭を感じやすくなり、風味に影響を及ぼす場合がある。一方、フィチン酸分解率が低すぎる場合、すなわち製造工程中でフィチン酸の除去の程度が少なすぎる場合、水への分散性の向上効果を得にくくなる傾向となる。
フィチン酸を分解する酵素としては、フィターゼやホスファターゼ等が挙げられ、これらの両方の活性を有する酵素製剤を使用することもできる。例えば市販の酵素剤として、新日本化学工業(株)製の「スミチームPHY」などを使用することができる。
フィチン酸の一部をフィチン酸部分分解物に加水分解するためには、酵素の作用条件は適宜各種条件を選択して行うことができ、特に限定されない。ただし、加水分解しすぎるとフィチン酸の殆どが分解されてしまうため、酵素反応前のフィチン酸含量(P)と酵素反応後のフィチン酸含量(Q)を測定し、下記式により「フィチン酸分解率」を求め、これを加水分解の程度の指標として作用条件を決定することが望ましい。
(式) フィチン酸分解率=(P−Q)÷P×100
この場合、フィチン酸分解率は、5〜50重量%となるのが好ましく、10〜40重量%となるのがより好ましい。すなわち、従来のように体内でのミネラル吸収性を高めた植物性蛋白素材を得たり、高純度の大豆7Sグロブリン素材や大豆11Sグロブリン素材を得たり、酸性pH領域における溶解性を高めた酸性可溶蛋白を得たりする目的ではフィチン酸分解率はできるだけ100重量%に近い方が望ましいが、本発明では上記の特定のフィチン酸分解率に抑える方がより望ましい。
フィチン酸分解率が高すぎる場合、すなわち製造工程中でフィチン酸の除去を過度に行った場合、分散性は良好となるものの、品質が劣化したような劣化臭を感じやすくなり、風味に影響を及ぼす場合がある。一方、フィチン酸分解率が低すぎる場合、すなわち製造工程中でフィチン酸の除去の程度が少なすぎる場合、水への分散性の向上効果を得にくくなる傾向となる。
酵素を作用させる際の蛋白質含有液のpHは、使用するフィチン酸分解酵素が活性を保持できるpH域であれば特に限定されない。例えばpH2〜10、好ましくは3〜8の範囲で作用させることができる。
酵素の作用温度は、使用するフィチン酸分解酵素が活性を有する温度域であればよく、例えば20〜70℃、好ましくは25〜65℃とすることができる。
酵素の添加量は、使用するフィチン酸分解酵素の活性によって変動するが、例えば固形分に対して0.1〜100unit/g、好ましくは0.5〜50unit/gとすることができる。なお、1unitのフィターゼ活性は標準の条件(pH5.5、37℃)の下で、反応初期の1分間に基質のフィチン酸から1μmolのリン酸を遊離する酵素量を表す。
酵素の作用時間は、通常5分間〜6時間の範囲とすることができる。
酵素の作用温度は、使用するフィチン酸分解酵素が活性を有する温度域であればよく、例えば20〜70℃、好ましくは25〜65℃とすることができる。
酵素の添加量は、使用するフィチン酸分解酵素の活性によって変動するが、例えば固形分に対して0.1〜100unit/g、好ましくは0.5〜50unit/gとすることができる。なお、1unitのフィターゼ活性は標準の条件(pH5.5、37℃)の下で、反応初期の1分間に基質のフィチン酸から1μmolのリン酸を遊離する酵素量を表す。
酵素の作用時間は、通常5分間〜6時間の範囲とすることができる。
得られる酵素反応液にはフィチン酸の加水分解により遊離のリン酸が生ずるため、これをさらに電気透析等の精製手段により除去することができるが、本発明では遊離のリン酸を除去することは特に必須ではなく、遊離のリン酸をそのまま含有させておくことができる。
(工程b)〜高温加熱処理〜
工程bは、工程aを経て得られる酵素反応液をpH5.5以上7未満において高温加熱処理を行い、高温加熱処理液を得る工程である。
工程aの蛋白質含有液は、上記製造例の場合では、I)〜IV)の何れかの段階において得られるものであるため、該酵素反応液は加熱処理前に必要な工程を経て、少なくとも工程III)の中和スラリーにまで調製する。
該中和スラリーのpHは、高温加熱処理前に5.5以上7未満、より好ましくは6〜6.9、さらに好ましくは6.1〜6.8、さらに好ましくは6.3〜6.7に調整することが重要である。pH調整はカードスラリーから中和スラリーを調整する場合、アルカリでpH7以上に一旦調整してから再度、酸で当範囲に微調整してもよいし、アルカリで直接当範囲に調整してもよい。
高温加熱処理の際の溶液のpHが低くなりすぎると、高温加熱処理の際に凝集が発生してしまうか、または得られる植物性分離蛋白の溶解性が低くなりすぎ、水へ分散させてもざらつきの強い品質となってしまう。また、該pHが高すぎると、得られる植物性分離蛋白のNSIが高くなりすぎ水への分散性が低下してしまう。
高温加熱処理の工程は、間接加熱方式や直接加熱方式の何れの方法も利用でき、UHT殺菌が好ましい。例えばジェットクッカー装置やVTIS装置(アルファラバル社製)などのスチームインジェクション方式の連続式直接加熱殺菌装置を用いることができ、105〜180℃で0.5〜180秒の条件で加熱処理を行うことができる。
工程bは、工程aを経て得られる酵素反応液をpH5.5以上7未満において高温加熱処理を行い、高温加熱処理液を得る工程である。
工程aの蛋白質含有液は、上記製造例の場合では、I)〜IV)の何れかの段階において得られるものであるため、該酵素反応液は加熱処理前に必要な工程を経て、少なくとも工程III)の中和スラリーにまで調製する。
該中和スラリーのpHは、高温加熱処理前に5.5以上7未満、より好ましくは6〜6.9、さらに好ましくは6.1〜6.8、さらに好ましくは6.3〜6.7に調整することが重要である。pH調整はカードスラリーから中和スラリーを調整する場合、アルカリでpH7以上に一旦調整してから再度、酸で当範囲に微調整してもよいし、アルカリで直接当範囲に調整してもよい。
高温加熱処理の際の溶液のpHが低くなりすぎると、高温加熱処理の際に凝集が発生してしまうか、または得られる植物性分離蛋白の溶解性が低くなりすぎ、水へ分散させてもざらつきの強い品質となってしまう。また、該pHが高すぎると、得られる植物性分離蛋白のNSIが高くなりすぎ水への分散性が低下してしまう。
高温加熱処理の工程は、間接加熱方式や直接加熱方式の何れの方法も利用でき、UHT殺菌が好ましい。例えばジェットクッカー装置やVTIS装置(アルファラバル社製)などのスチームインジェクション方式の連続式直接加熱殺菌装置を用いることができ、105〜180℃で0.5〜180秒の条件で加熱処理を行うことができる。
(工程c)〜乾燥粉末化〜
工程cは、工程bを経て得られる高温加熱処理液を乾燥粉末化する工程である。
乾燥粉末化は、該高温加熱処理液をpH5.5以上7未満のままで行うこともできるし、該高温加熱処理液のpHを所望のpH(例えばpH4〜7.5)に予め調整してから行うこともできる。植物性分離蛋白の粉末を水に溶解した際の風味や口当たりを考慮して最終的な製品のpHを選択することができるが、何れにしても該高温加熱処理液をpH5.5以上7未満の範囲において乾燥粉末化することがより好ましい。
乾燥機としては、例えば噴霧乾燥機、ドラム乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機などを用いることができるが、噴霧乾燥機が好ましく用いられる。噴霧乾燥機の乾燥条件としては、例えば、送風温度約100〜200℃、排風温度約60〜100℃で行うことができる。
工程cは、工程bを経て得られる高温加熱処理液を乾燥粉末化する工程である。
乾燥粉末化は、該高温加熱処理液をpH5.5以上7未満のままで行うこともできるし、該高温加熱処理液のpHを所望のpH(例えばpH4〜7.5)に予め調整してから行うこともできる。植物性分離蛋白の粉末を水に溶解した際の風味や口当たりを考慮して最終的な製品のpHを選択することができるが、何れにしても該高温加熱処理液をpH5.5以上7未満の範囲において乾燥粉末化することがより好ましい。
乾燥機としては、例えば噴霧乾燥機、ドラム乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機などを用いることができるが、噴霧乾燥機が好ましく用いられる。噴霧乾燥機の乾燥条件としては、例えば、送風温度約100〜200℃、排風温度約60〜100℃で行うことができる。
(プロテアーゼによる部分加水分解)
本発明の植物性分離蛋白は、必須ではないものの、NSIをより低下させたり風味改良を行う等の目的でプロテアーゼにより部分加水分解されていてもよい。
植物性分離蛋白の加水分解度は、0.22Mトリクロロ酢酸可溶率(TCA可溶率)を指標として表すことができる。その分解度は求める品質に応じてプロテアーゼの添加量や作用時間を変化させ、例えば0〜30%の範囲で適宜調整することができる。
本発明の植物性分離蛋白は、必須ではないものの、NSIをより低下させたり風味改良を行う等の目的でプロテアーゼにより部分加水分解されていてもよい。
植物性分離蛋白の加水分解度は、0.22Mトリクロロ酢酸可溶率(TCA可溶率)を指標として表すことができる。その分解度は求める品質に応じてプロテアーゼの添加量や作用時間を変化させ、例えば0〜30%の範囲で適宜調整することができる。
本発明では、工程cにより得られる乾燥粉末をそのまま植物性分離蛋白の製品とすることができる。また、水へのさらなる分散性の向上等を目的として、下記のように乾燥粉末をさらに粉砕したり、造粒したり、それらを組み合わせて行うなど、各種加工処理をさらに経ることにより植物性分離蛋白の製品とすることもできる。
(粉砕)
粉砕機としては、直圧式粉砕機、円板粉砕機、ローラー粉砕機、シリンダー粉砕機、衝撃粉砕機、ジェット粉砕機など、何れを使用することもできる。粉砕処理により、得られる植物性分離蛋白の粉末の平均粒子径を20〜60μm、好ましくは20〜40μmに調整することができる。
粉砕機としては、直圧式粉砕機、円板粉砕機、ローラー粉砕機、シリンダー粉砕機、衝撃粉砕機、ジェット粉砕機など、何れを使用することもできる。粉砕処理により、得られる植物性分離蛋白の粉末の平均粒子径を20〜60μm、好ましくは20〜40μmに調整することができる。
(造粒)
造粒機としては湿式造粒機や乾式造粒機等も用いることができるが、好ましくは流動層造粒機を用いる。その際、バインダーとして例えば0.1〜2重量%のレシチンなどの乳化剤、油脂、糖類等を適宜混合した液を用いることができる。
造粒機としては湿式造粒機や乾式造粒機等も用いることができるが、好ましくは流動層造粒機を用いる。その際、バインダーとして例えば0.1〜2重量%のレシチンなどの乳化剤、油脂、糖類等を適宜混合した液を用いることができる。
以上のようにして得られる植物性分離蛋白は、下記の特徴を具備しており、従来にない新規な組成物である。
(NSI)
本発明の植物性分離蛋白は、NSI(Nitrogen Solubility Index:窒素溶解指数)が20以上90未満であること、すなわちNSIが90以上あるような溶解性が非常に高い植物性分離蛋白やNSIが20未満の溶解性が非常に低い植物性分離蛋白の中間領域のNSIにまで溶解性を低下させたものであることが重要な特徴である。
これに対してNSIが90以上もの植物性分離蛋白の場合、水への溶解性が高すぎるため消費者が家庭で手作業で撹拌するような低速撹拌の条件で溶解する際に非常にダマになりやすく、分散性が悪い傾向であり好ましくない。また、NSIが20未満の植物性分離蛋白の場合、水への分散性は問題ないが口内でのザラツキを非常に強く感じる傾向となるため好ましくない。
本発明の植物性分離蛋白のNSIは、20以上90未満の範囲の中でも比較的溶解性が低い態様として、20以上55未満のものを選択でき、さらに30〜50のものを選択できる。
また比較的溶解性が高い別の態様として、55以上90未満のものを選択でき、さらに60〜75のものを選択できる。NSIを何れのレベルにするかは、当業者が風味や水への溶解性の状態の観点から適宜ニーズに合致するものを選択することができる。
本発明の植物性分離蛋白は、NSI(Nitrogen Solubility Index:窒素溶解指数)が20以上90未満であること、すなわちNSIが90以上あるような溶解性が非常に高い植物性分離蛋白やNSIが20未満の溶解性が非常に低い植物性分離蛋白の中間領域のNSIにまで溶解性を低下させたものであることが重要な特徴である。
これに対してNSIが90以上もの植物性分離蛋白の場合、水への溶解性が高すぎるため消費者が家庭で手作業で撹拌するような低速撹拌の条件で溶解する際に非常にダマになりやすく、分散性が悪い傾向であり好ましくない。また、NSIが20未満の植物性分離蛋白の場合、水への分散性は問題ないが口内でのザラツキを非常に強く感じる傾向となるため好ましくない。
本発明の植物性分離蛋白のNSIは、20以上90未満の範囲の中でも比較的溶解性が低い態様として、20以上55未満のものを選択でき、さらに30〜50のものを選択できる。
また比較的溶解性が高い別の態様として、55以上90未満のものを選択でき、さらに60〜75のものを選択できる。NSIを何れのレベルにするかは、当業者が風味や水への溶解性の状態の観点から適宜ニーズに合致するものを選択することができる。
なお、NSIは所定の方法に基づき、全窒素量に占める水溶性窒素(粗蛋白)の比率(重量%)で表すことができ、本発明においては以下の方法に準じて測定された値とする。
すなわち、試料3gに60mlの水を加え、37℃で1時間プロペラ攪拌した後、1400×gにて10分間遠心分離し、上澄み液(I)を採取する。次に、残った沈殿に再度水100mlを加え、再度37℃で1時間プロペラ撹拌した後、遠心分離し、上澄み液(II)を採取する。(I)液および(II)液を合わせ、その混合液に水を加えて250mlとする。これを濾紙(NO.5)にて濾過した後、濾液中の窒素含量をケルダール法にて測定する。同時に試料中の窒素量をケルダール法にて測定し、濾液として回収された窒素量(水溶性窒素)の試料中の全窒素量に対する割合を重量%として表したものをNSIとする。
すなわち、試料3gに60mlの水を加え、37℃で1時間プロペラ攪拌した後、1400×gにて10分間遠心分離し、上澄み液(I)を採取する。次に、残った沈殿に再度水100mlを加え、再度37℃で1時間プロペラ撹拌した後、遠心分離し、上澄み液(II)を採取する。(I)液および(II)液を合わせ、その混合液に水を加えて250mlとする。これを濾紙(NO.5)にて濾過した後、濾液中の窒素含量をケルダール法にて測定する。同時に試料中の窒素量をケルダール法にて測定し、濾液として回収された窒素量(水溶性窒素)の試料中の全窒素量に対する割合を重量%として表したものをNSIとする。
(フィチン酸)
本発明の植物性分離蛋白は、フィチン酸のうち、一部の分子が加水分解されたものであるため、未分解のままのフィチン酸が一部残存するものである。フィチン酸はmyo-イノシトールの六リン酸エステルのことをいう。製造工程中でフィチン酸の除去工程を有さない通常の植物性分離蛋白の場合、植物性原料の産地やロットにより変動するため一概には言えないが、フィチン酸含量は例えば大豆では固形分中2〜3重量%程度は含まれているのが通常である。
これに対して、本発明の植物性分離蛋白は、同一のロットの植物性原料を使用した場合には通常の植物性分離蛋白よりも低いフィチン酸含量となる。
なお、本発明におけるフィチン酸含量は、溶液中のフィチン酸含量をAlii Mohamedの方法(Cereal Chemistry 63,475,1986)に準拠して、直接測定することにより求める。
本発明の植物性分離蛋白は、フィチン酸のうち、一部の分子が加水分解されたものであるため、未分解のままのフィチン酸が一部残存するものである。フィチン酸はmyo-イノシトールの六リン酸エステルのことをいう。製造工程中でフィチン酸の除去工程を有さない通常の植物性分離蛋白の場合、植物性原料の産地やロットにより変動するため一概には言えないが、フィチン酸含量は例えば大豆では固形分中2〜3重量%程度は含まれているのが通常である。
これに対して、本発明の植物性分離蛋白は、同一のロットの植物性原料を使用した場合には通常の植物性分離蛋白よりも低いフィチン酸含量となる。
なお、本発明におけるフィチン酸含量は、溶液中のフィチン酸含量をAlii Mohamedの方法(Cereal Chemistry 63,475,1986)に準拠して、直接測定することにより求める。
(フィチン酸部分分解物)
フィチン酸部分分解物は、イノシトール1リン酸(IP1)、イノシトール2リン酸(IP2)、イノシトール3リン酸(IP3)、イノシトール4リン酸(IP4)およびイノシトール5リン酸(IP5)の総称であり、フィチン酸分子中の6つのリン酸エステルのうち、一部が加水分解されて水酸基となっているものである。
製造工程中でフィチン酸の加水分解工程を有さない植物性分離蛋白の場合、フィチン酸部分分解物は殆ど検出されない。
これに対して、本発明の植物性分離蛋白は、フィチン酸が部分加水分解された結果、未分解のフィチン酸と共にフィチン酸部分分解物が含まれるものである。したがって、植物性分離蛋白の製品において本発明のようにフィチン酸分解酵素を作用させているか否かは、該部分分解物が検出されるか否かをHPLC等により確かめることにより判定することができる。この判定は定量的である必要はなく、検出の有無による定性的な判定で足りる。
フィチン酸部分分解物は、イノシトール1リン酸(IP1)、イノシトール2リン酸(IP2)、イノシトール3リン酸(IP3)、イノシトール4リン酸(IP4)およびイノシトール5リン酸(IP5)の総称であり、フィチン酸分子中の6つのリン酸エステルのうち、一部が加水分解されて水酸基となっているものである。
製造工程中でフィチン酸の加水分解工程を有さない植物性分離蛋白の場合、フィチン酸部分分解物は殆ど検出されない。
これに対して、本発明の植物性分離蛋白は、フィチン酸が部分加水分解された結果、未分解のフィチン酸と共にフィチン酸部分分解物が含まれるものである。したがって、植物性分離蛋白の製品において本発明のようにフィチン酸分解酵素を作用させているか否かは、該部分分解物が検出されるか否かをHPLC等により確かめることにより判定することができる。この判定は定量的である必要はなく、検出の有無による定性的な判定で足りる。
(水分散液のpH)
本発明の植物性分離蛋白は、10重量%濃度の水分散液に調製した場合にpHが5.5以上7未満であるのが好ましい。
該pHが低すぎると水への分散性は悪くないが口内でのザラツキを強く感じる傾向となり、一方、該pHが高すぎると口内でのザラツキは感じないが、水への分散性が悪くなる傾向となる。
該pHは6以上であるのが好ましく、6.1以上であるのがより好ましく、6.2以上がさらに好ましく、6.3以上がさらに好ましい。また6.9以下が好ましく、6.8以下がより好ましく、6.7以下がさらに好ましい。
本発明の植物性分離蛋白は、10重量%濃度の水分散液に調製した場合にpHが5.5以上7未満であるのが好ましい。
該pHが低すぎると水への分散性は悪くないが口内でのザラツキを強く感じる傾向となり、一方、該pHが高すぎると口内でのザラツキは感じないが、水への分散性が悪くなる傾向となる。
該pHは6以上であるのが好ましく、6.1以上であるのがより好ましく、6.2以上がさらに好ましく、6.3以上がさらに好ましい。また6.9以下が好ましく、6.8以下がより好ましく、6.7以下がさらに好ましい。
(蛋白質組成)
本発明の植物性分離蛋白の蛋白質組成は特に限定されるものではないが、分離大豆蛋白の場合、その主要な構成成分である11Sグロブリン(グリシニン)と7Sグロブリン(β−コングリシニン)の比率は脱脂大豆などの大豆原料の比率に近いものが望ましい。遺伝子操作や育種等により11Sグロブリン又は7Sグロブリンを欠損させた特殊な大豆ではない一般的な大豆を原料とする場合には、11Sグロブリン及び7Sグロブリンの総量に対する11Sグロブリンの割合が100〜400重量%であるのが好ましい。すなわちこの場合、11Sグロブリン又は7Sグロブリンが当該範囲を超えるレベルにまで分画される工程を有しないことが好ましい。大豆原料から蛋白質を水抽出した後に7Sグロブリンと11Sグロブリンを分画する工程を有する場合、フィチン酸を高分解しなければ7Sグロブリンと11Sグロブリンの分画純度が下がってしまうからである。
本発明の植物性分離蛋白の蛋白質組成は特に限定されるものではないが、分離大豆蛋白の場合、その主要な構成成分である11Sグロブリン(グリシニン)と7Sグロブリン(β−コングリシニン)の比率は脱脂大豆などの大豆原料の比率に近いものが望ましい。遺伝子操作や育種等により11Sグロブリン又は7Sグロブリンを欠損させた特殊な大豆ではない一般的な大豆を原料とする場合には、11Sグロブリン及び7Sグロブリンの総量に対する11Sグロブリンの割合が100〜400重量%であるのが好ましい。すなわちこの場合、11Sグロブリン又は7Sグロブリンが当該範囲を超えるレベルにまで分画される工程を有しないことが好ましい。大豆原料から蛋白質を水抽出した後に7Sグロブリンと11Sグロブリンを分画する工程を有する場合、フィチン酸を高分解しなければ7Sグロブリンと11Sグロブリンの分画純度が下がってしまうからである。
(植物性分離蛋白の用途)
本発明により得られる植物性分離蛋白は、水への分散性に優れるため、そのような品質が要求される用途に広く用いられる。特に緩やかな撹拌条件における良好な分散性が要求される用途に適しており、特に粉末飲料に適している。粉末飲料は海外では乾式混合飲料(dry blended beverages)とも呼ばれている。
本発明の植物性分離蛋白を粉末飲料に使用することにより、水への良好な分散性を保持しつつ、高蛋白質で高栄養の粉末飲料を得ることができる。
本発明の植物性分離蛋白は、粉末飲料中に広範囲な配合率で配合することができ、例えば1〜99重量%を配合することができる。特に限定はされないが、他の栄養素とのバランスをより考慮する場合には、5〜50重量%、さらには10〜40重量%を配合することができる。
該粉末飲料の原料には、植物性分離蛋白の他、製造者の所望の品質に応じて糖類、食物繊維、油脂、乳化剤、香料、甘味料等を適宜混合することができる。
本発明により得られる植物性分離蛋白は、水への分散性に優れるため、そのような品質が要求される用途に広く用いられる。特に緩やかな撹拌条件における良好な分散性が要求される用途に適しており、特に粉末飲料に適している。粉末飲料は海外では乾式混合飲料(dry blended beverages)とも呼ばれている。
本発明の植物性分離蛋白を粉末飲料に使用することにより、水への良好な分散性を保持しつつ、高蛋白質で高栄養の粉末飲料を得ることができる。
本発明の植物性分離蛋白は、粉末飲料中に広範囲な配合率で配合することができ、例えば1〜99重量%を配合することができる。特に限定はされないが、他の栄養素とのバランスをより考慮する場合には、5〜50重量%、さらには10〜40重量%を配合することができる。
該粉末飲料の原料には、植物性分離蛋白の他、製造者の所望の品質に応じて糖類、食物繊維、油脂、乳化剤、香料、甘味料等を適宜混合することができる。
以下、実施例により本発明の実施態様をより具体的に説明する。なお、実施例中の「%」と「部」は特記しない限り「重量%」と「重量部」を示す。
(試験例1) フィターゼ反応液の各種pHにおける高温加熱処理
脱脂大豆粕10部を水100部に分散させ、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)で攪拌しながら50℃で30分間蛋白質を抽出した後、遠心分離機を用いて不溶性食物繊維(オカラ)を除去し、蛋白質抽出液を得た。
次に該抽出液のpHが4.5になるまで撹拌しつつ塩酸を添加し、遠心分離機により上清を除去し、酸沈殿カードを回収した。
この酸沈殿カード(固形分4部)を水40部に分散してカードスラリーを得、さらに該スラリーに水酸化ナトリウムを加えてpHを7.2に中和し、大豆蛋白質の中和スラリーを得た。
次に、該中和スラリーの温度を50℃に保温しつつ、フィターゼ「スミチームPHY」(新日本化学(株)製、酵素活性2,000unit/g)を該中和スラリーに0.5%添加し、撹拌しつつフィターゼを1時間作用させ、酵素反応液を得た。このとき、中和スラリーの酵素反応後のフィチン酸分解率は15%であった。
次に、該酵素反応液を9種類に分け、それぞれpHを5.0,5.6,5.8,6.0,6.3,6.7,6.9,7.0,7.2に調整してスチームインジェクション方式の直接加熱装置にて120℃で60秒間加熱処理を行い、各高温加熱処理液を得た(テスト1〜9)。
次に、各高温加熱処理液をそのままのpHでスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥し、分離大豆蛋白の粉末を得た。
得られた各分離大豆蛋白粉末のNSIを測定し、水への分散性の評価と、口内でのザラつき及び食感についての官能評価を行った。なお、評価方法は以下の通りとした。
脱脂大豆粕10部を水100部に分散させ、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)で攪拌しながら50℃で30分間蛋白質を抽出した後、遠心分離機を用いて不溶性食物繊維(オカラ)を除去し、蛋白質抽出液を得た。
次に該抽出液のpHが4.5になるまで撹拌しつつ塩酸を添加し、遠心分離機により上清を除去し、酸沈殿カードを回収した。
この酸沈殿カード(固形分4部)を水40部に分散してカードスラリーを得、さらに該スラリーに水酸化ナトリウムを加えてpHを7.2に中和し、大豆蛋白質の中和スラリーを得た。
次に、該中和スラリーの温度を50℃に保温しつつ、フィターゼ「スミチームPHY」(新日本化学(株)製、酵素活性2,000unit/g)を該中和スラリーに0.5%添加し、撹拌しつつフィターゼを1時間作用させ、酵素反応液を得た。このとき、中和スラリーの酵素反応後のフィチン酸分解率は15%であった。
次に、該酵素反応液を9種類に分け、それぞれpHを5.0,5.6,5.8,6.0,6.3,6.7,6.9,7.0,7.2に調整してスチームインジェクション方式の直接加熱装置にて120℃で60秒間加熱処理を行い、各高温加熱処理液を得た(テスト1〜9)。
次に、各高温加熱処理液をそのままのpHでスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥し、分離大豆蛋白の粉末を得た。
得られた各分離大豆蛋白粉末のNSIを測定し、水への分散性の評価と、口内でのザラつき及び食感についての官能評価を行った。なお、評価方法は以下の通りとした。
○水への分散性
60℃の水100gを入れた200mL容量カップに分離大豆蛋白20gを入れ、撹拌棒を用いて1分間手で撹拌した後、茶漉し(20メッシュ、JIS規格)で濾して水分を切った後、ウエス紙で茶漉しの下部の水分を拭き取り、残ったママコの量(g、含水)を測定し、水への分散性について評価した。分散性が向上しているか否かは、テスト8のママコ量をコントロールとして比較を行った。
60℃の水100gを入れた200mL容量カップに分離大豆蛋白20gを入れ、撹拌棒を用いて1分間手で撹拌した後、茶漉し(20メッシュ、JIS規格)で濾して水分を切った後、ウエス紙で茶漉しの下部の水分を拭き取り、残ったママコの量(g、含水)を測定し、水への分散性について評価した。分散性が向上しているか否かは、テスト8のママコ量をコントロールとして比較を行った。
○官能評価
嗜好パネラー10名により、分離大豆蛋白を10%溶液になるよう溶解した粉末飲料を試飲してもらい、口内でのザラつきの程度を第一の評価対象として、10点満点の評点法で評価をしてもらい、その平均点を算出して考察した。なお評点基準は、ザラツキの程度が最も少ないとパネラーが考えるものを10点とし、ザラツキの程度が最も多いとパネラーが考えるものを1点とし、その程度差に応じて1〜10点を付けた。そして平均点が5点以上を合格点とした。
また別途、オプションの評価項目として濃厚感の有無について評価した。最も濃厚感があるとパネラーが考えるものを10点とし、最も濃厚感がないとパネラーが考えるものを1点とした。
嗜好パネラー10名により、分離大豆蛋白を10%溶液になるよう溶解した粉末飲料を試飲してもらい、口内でのザラつきの程度を第一の評価対象として、10点満点の評点法で評価をしてもらい、その平均点を算出して考察した。なお評点基準は、ザラツキの程度が最も少ないとパネラーが考えるものを10点とし、ザラツキの程度が最も多いとパネラーが考えるものを1点とし、その程度差に応じて1〜10点を付けた。そして平均点が5点以上を合格点とした。
また別途、オプションの評価項目として濃厚感の有無について評価した。最も濃厚感があるとパネラーが考えるものを10点とし、最も濃厚感がないとパネラーが考えるものを1点とした。
テスト1のように、酵素反応液をpH5に調整して加熱処理した場合、加熱処理工程で凝集が発生し、またNSIが20以下とかなり低くなった。水への分散性はママコの量も少なく良好であったものの、水へ分散後の溶液はすぐに沈殿してしまい、口内でザラつきを強く感じた。テスト2以降はテスト1よりもザラつきの点でかなり改善されており良好であった。またテスト7まではママコ量も10g強までに抑制されていた。さらにテスト4以降は濃厚感が増す傾向にあり、より好ましい食感であった。
テスト8,9のように、酵素反応液をpH7以上に調整して加熱処理した場合、NSIが90以上とかなり水溶性が高くなった。水へ分散後の溶液は口内でのざらつきは発生せず良好であったが、逆にママコが20g以上も発生し、分散性が非常に悪いものであった。
なお、別途に試験例1においてカードスラリーのpHを7.2とする代わりに、テスト5〜7の高温加熱処理時のpHと同じ値(それぞれ6.3,6.7,6.9)に予め調整してからフィターゼを作用させ、そのまま高温加熱処理を行い、噴霧乾燥して分離大豆蛋白を得たところ、これらはいずれもテスト5〜7と同等の品質を有していた。
(試験例2)フィチン酸分解率の影響
試験例1と同様の方法で脱脂大豆フレークから大豆蛋白質の中和スラリー(pH7.2)を得た。
次に、該中和スラリーを5種類に分け、それぞれ温度を50℃に保温しつつ、フィターゼ「スミチームPHY」(新日本化学(株)製)を、これらに0%(無添加),0.1%,0.5%,1%,5%ずつ添加し、撹拌しつつフィターゼを1時間作用させ、各酵素反応液を得た(テスト10〜14)。このとき、各中和スラリーの前後のフィチン酸含量を測定し、酵素反応後のフィチン酸分解率を算出したところ、テスト10〜14の各酵素反応液のフィチン酸分解率はそれぞれ0%,13%,26%,48%,95%であった。
次に、各酵素反応液のpHをいずれも6.8に調整してスチームインジェクション方式の直接加熱装置にて120℃で60秒間加熱処理を行い、各高温加熱処理液を得た。
次に、各高温加熱処理液をそのままスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥し、分離大豆蛋白の粉末を得た。
得られた各分離大豆蛋白粉末のNSIを測定し、水への分散性の評価と、口内でのザラつき及び食感についての官能評価を試験例1と同様にして行った。
試験例1と同様の方法で脱脂大豆フレークから大豆蛋白質の中和スラリー(pH7.2)を得た。
次に、該中和スラリーを5種類に分け、それぞれ温度を50℃に保温しつつ、フィターゼ「スミチームPHY」(新日本化学(株)製)を、これらに0%(無添加),0.1%,0.5%,1%,5%ずつ添加し、撹拌しつつフィターゼを1時間作用させ、各酵素反応液を得た(テスト10〜14)。このとき、各中和スラリーの前後のフィチン酸含量を測定し、酵素反応後のフィチン酸分解率を算出したところ、テスト10〜14の各酵素反応液のフィチン酸分解率はそれぞれ0%,13%,26%,48%,95%であった。
次に、各酵素反応液のpHをいずれも6.8に調整してスチームインジェクション方式の直接加熱装置にて120℃で60秒間加熱処理を行い、各高温加熱処理液を得た。
次に、各高温加熱処理液をそのままスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥し、分離大豆蛋白の粉末を得た。
得られた各分離大豆蛋白粉末のNSIを測定し、水への分散性の評価と、口内でのザラつき及び食感についての官能評価を試験例1と同様にして行った。
テスト10のように、フィターゼによる酵素反応を行わない場合では、得られる分離大豆蛋白はママコ量が20g以上となり、分散性が非常に悪かった。
テスト14のように、フィターゼを過剰量入れて反応させると、得られる分離大豆蛋白はフィチン酸が殆ど加水分解されており、ママコ量が少なく分散性が良好であったが、溶解後の溶液はザラツキを非常に強く感じ、また風味も劣化臭を感じ、品質が悪くなる傾向にあった。
(試験例3)
試験例1のテスト6と同様にして得られた高温加熱処理液を2つに分割し、それぞれpH5.8とpH7に調整してから噴霧乾燥し、分離大豆蛋白を得た(テスト15,16)。
これらはいずれもテスト6の分離大豆蛋白と同様に良好な品質であったが、テスト15はテスト6よりもザラつきが増し濃厚感が低下する傾向にあった。一方、テスト16は分散性がテスト6よりも低下する傾向にあったため、相対的にはテスト6の分離大豆蛋白の品質の方が優れていた。
試験例1のテスト6と同様にして得られた高温加熱処理液を2つに分割し、それぞれpH5.8とpH7に調整してから噴霧乾燥し、分離大豆蛋白を得た(テスト15,16)。
これらはいずれもテスト6の分離大豆蛋白と同様に良好な品質であったが、テスト15はテスト6よりもザラつきが増し濃厚感が低下する傾向にあった。一方、テスト16は分散性がテスト6よりも低下する傾向にあったため、相対的にはテスト6の分離大豆蛋白の品質の方が優れていた。
以上の試験結果より、NSIが20以上90未満であって、フィチン酸部分分解物とフィチン酸が含まれ、10重量%濃度の水分散液のpHが5.5以上7未満である分離大豆蛋白が、水への分散性に非常に優れ、ざらつきも少ないため、粉末飲料などの緩やかな撹拌条件で用いられる蛋白質素材として非常に適していることが明らかとなった。この知見は大豆と同様にフィチン酸と蛋白質を含む植物性原料においても適用することができる。
Claims (7)
- NSIが20以上90未満であって、フィチン酸部分分解物とフィチン酸が含まれ、10重量%濃度の水分散液のpHが5.5以上6.9以下であることを特徴とする、粉末状植物性分離蛋白。
- 10重量%濃度の水分散液のpHが5.5以上6.8以下である、請求項1記載の粉末状植物性分離蛋白。
- NSIが20以上55未満である、請求項1又は2記載の粉末状植物性分離蛋白。
- NSIが60〜75である、請求項1又は2記載の粉末状植物性分離蛋白。
- 粉末飲料用である、請求項1〜4の何れか1項記載の植物性分離蛋白。
- 請求項1〜4の何れか1項記載の植物性分離蛋白の、粉末飲料への使用。
- 請求項1〜4の何れか1項記載の植物性分離蛋白を配合することを特徴とする粉末飲料の製造法。
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