JP4842295B2 - 筆記具 - Google Patents
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Description
上記インキ筒内部に、立体造膜成分として粘着性合成樹脂エマルションがインキ全量に対して固形分で少なくとも30重量%含まれている水性インキ組成物が収容されている筆記具である。
特に、上記インキ筒内部に、立体造膜成分として粘着性合成樹脂エマルションがインキ全量に対して固形分で少なくとも35重量%含まれている筆記具が好ましい。
さらに上記インキ筒内部に、立体造膜成分として粘着性合成樹脂エマルションがインキ全量に対して固形分で少なくとも37重量%含まれている筆記具が好ましい。
特に、前記ペン先からの前記インキの流出量が少なくとも100mg/10mであるペン先を備えた筆記具が好ましい。
また前記水性インキ組成物の粘度は、ELD型粘度計を用い、1°34’コーンローター、10rpm、20℃の条件で測定した値で、5〜500mPa・sである筆記具が好ましい。特に前記水性インキ組成物の粘度は、ELD型粘度計を用い、1°34’コーンローター、10rpm、20℃の条件で測定した値で、5mPa・s以上〜100mPa・s未満である筆記具が好ましい。
本発明は、前記造膜成分である樹脂エマルションに加えて、更に造膜助剤を用いることができる。この造膜助剤は前記樹脂エマルションの造膜樹脂を可塑化する性質を持つ物質として定義される。さらに造膜助剤は、前記樹脂エマルションの造膜樹脂で形作られる立体筆跡にふっくらとしたボリュームを与え、立体筆跡の表面を平らにする性質を持ち、前記樹脂エマルションの最低造膜温度を下げる性質を持つことが重要である。このような性質を持つ造膜助剤として、具体的にはテキサノール、ブチルセロソルブ、カルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ジブチルフタレート等を挙げることができる。中でも、テキサノール、ブチルセロソルブが好ましい。造膜助剤のインキ全量中の含有量は、0.01〜3重量%が好ましく、最適には0.1〜1.5重量%である。造膜助剤がインキ全量に対して0.01重量%未満の場合、充分な可塑化効果が得られないため、筆跡の盛り上がりと光沢が低下する。一方、造膜助剤がインキ全量に対して3重量%を超える場合、インキが紙面に浸透してしまうため、筆跡をさらに盛り上がらせる効果が低下する。
NS−E5442、 Rose NS−E 5443、Mint NS−E5444、Hinoki NS−D5015、Fragrance
NS−G5000、Fragrance NS−G5001、Fragrance NS−G5002、Fragrance NS−G5003、Fragrance
NS−G5004、Fragrance NS−G5005、Fragrance NS−G5006、Fragrance NS−F5992、Fragrance NS−F5993、Fragrance NS−F5994、Fragrance AN NS−G5253、Fragrance RS NS−G5254、Fragrance EV NS−G5255、Fragrance BL NS−G5256、Fragrance EP NS−G5257、Fragrance LR NS-G5258、Fragrance MR NS−G5259、Fragrance HP NS−G5260、Fragrance SW NS−G5261などを例示することができる。
前記ペン先は、インキが流出する流路とインキの流出を制御する弁体とをチップ本体内部に有する筆記具用チップで構成され、ペン先からの前記インキの流出量が少なくとも100mg/10mであるペン先を備えた筆記具である。
上記インキ筒には、立体造膜成分として粘着性合成樹脂エマルションがインキ全量に対して固形分で少なくとも30重量%含まれている水性インキ組成物が収容されており、
前記筆記具用チップは、筆記具用チップ本体と、筆記具用チップ本体の先端側で保持されるボールを有し、筆記具用チップ本体は、ボールハウス、中心孔及びバック孔が設けられて、バック孔、中心孔及びボールハウスは連通して一連のインキの流路を有し、ボールハウスには、座面及び側壁面が設けられてボールを回転可能に保持し、ボールハウス内を所定の距離だけボールが軸方向に移動可能であり、ボールハウス内と前記中心孔又は前記バック孔とをつなぐように設けられた溝又は孔を有する筆記具用チップであって、前記ボールハウスの座面と側壁面との間には接続面を有し、前記接続面の形状は頂点を筆記具用チップの先端側とする円錐台の側面の形状であり、接続面の内側に前記座面が位置しているボールペンを挙げることができる。ここで、円錐台の側面形状とは、円錐面の一部であって台形回転体の側面と同じ形状である。
なお、既述した筆記具は例えばボールペンを例示して特定したが、本発明のインキを刷毛、スティックなどに含ませて筆記乃至塗工することもできる。
座打ち変形量Lを大きくすると、隙間S1が大きくなるが、座面先端側縁部54が外側に位置するので、溝47の出口部61付近におけるボール10との隙間Tが小さくなる。また、座打ち変形量Lを小さくすると、座面先端側縁部54が内側に位置して隙間Tが大きくなるが、隙間S1が小さくなる。
例えば、まずボールペンチップ本体11を形成する。円柱状の材料を用い、外形につき先端側を略円錐形状として円錐部25を設けながら所定の形状とする(第1の工程)。次に、チップ本体11のボールハウス15の内側を、筒内壁状の側壁面と、前記側壁面の中心孔側の縁から軸心側に形成されて中心孔16につながる座面側加工面48とを備えるように加工するが、特に前記押圧変形表面部70となる部分には先端側に突出する部分を設けるように加工する(第2の工程)。次に、溝47を形成してボールペンチップ本体11を加工する(第3の工程)。次に、ボールハウス15にボール10を収納して、チップ本体11の先端側をボール10側に変形させる(第4の工程)。次に、前記ボール10を先端側から中心孔16側に押圧して前記座面側加工面48の一部である押圧変形表面部70を変形させて座面45とする(第5の工程)。
すなわち、図7に示すように、チップ本体11の外側の形状が略円錐状であり、当該チップ本体11の内側に先端側が開口状であるボールハウス15を有しており、前記ボールハウス15にボール10が収納され、前記ボールハウス内を所定の距離だけボールが軸方向に移動可能であり、前記チップ本体11の先端をボール10側に変形させて先端変形部43が設けられているチップであって、
なお、図7において、ボールペンチップ本体11の中心孔16の周りには、放射状に、いわゆる矢溝と呼ばれる溝47が設けられている。そして、溝47はボールハウス15とつながり、インキ5は中心孔16から溝47を通じて、溝47のボールハウス15側の出口部61を通過して、ボールハウス15に流出することができる。ボール10は、球状であり、ボールペンチップ本体11のボールハウス15に回転可能に保持されている。すなわち、後端側は座面45により、側面側は円筒壁41により、先端側はボール10挿入後にボールペンチップ本体11の先端を内側に向かって変形するようにかしめられた部分である先端変形部43により、ボール10が保持されている。
ニカゾールFX555A(日本カーバイド社製、アクリル系、固形分59.5%)
ニカゾールFX138Y(日本カーバイド社製、アクリル系、固形分59.5%)
ニカゾールRX242A(日本カーバイド社製、アクリル系、固形分60.0%)
モビニール972(クラリアントポリマー社製、スチレンアクリル系、固形分50.0%)
モビニール792(クラリアントポリマー社製、アクリル系、固形分50.0%)
モビニールLDM7520(クラリアントポリマー社製、アクリル系、固形分50.0%)
ボンコートNST100(大日本インキ社製、スチレンアクリル系、固形分68%、平均粒子径0.1μmと平均粒子径0.5μmの2種の粒径の異なる樹脂粒子が混合されたもの。混合状態での平均粒子径は0.3μmである。)
なお、上記樹脂エマルションには水が含まれる。
NKW6238(日本蛍光社製、青色蛍光着色剤)
NKW6007(日本蛍光社製、赤色蛍光着色剤)
次に、これらの各インキをそれぞれ、前記図1乃至図6に示された構造の水性ボールペンのインキ筒に充填した。ボールは炭化珪素製、ボール径(直径)は0.8mmである。なお、実施例12はボール径(直径)が0.8mm、実施例13は0.4mm、比較例4は0.6mmであるが、それ以外は実施例1で用いたと同様のボールペンを用いている。
筆跡の光沢: ○:充分な光沢が観察される
△:光沢が観察される
×:上記△に比べて光沢感が劣る
△:手で触って盛り上がりが感じられる
×:手で触って盛り上がりが感じられない
PPC用紙に「株式会社」と筆記したときの筆記線の厚みを、測定装置、商品名「ダイヤルシックネス」(テクロック社製)を用いて測定した。
インキの流出量の評価(測定方法):
螺旋式連続筆記試験機「MODEL TS−4C−10」(精機工業社製)にて、10m筆記後の減量(mg)を測定した。筆記条件は、筆記角度65°、荷重100g、筆記速度7cm/秒である。
香料が含まれる実施例及び比較例のインキを充填した上記のペンを70℃で1日倒立し、インキ筒内におけるインキの分離を外観観察した。
○:分離していない
×:分離している
筆記後、上記筆跡膜からの香りを官能評価した。筆跡膜と鼻孔との距離は5cmで評価した。
○:香りがする
×:香りがしない又は香りが薄い
NS−F5246、Lemon NS−G5883及びUlutramarine
NS−G5885を含有する実施例14〜20のインキは、これを筆記すると、Lavender NS−F5246含有の実施例14では、インキの流出量が210(mg/10m)、筆跡厚みが35(μm)であるラベンダーの香りを放つ立体状筆跡膜の形成が確認され、Lemon NS−G5883含有の実施例15〜19のインキではレモンの香りを放つ立体状筆跡膜の形成が確認され、Ulutramarine NS−G5885を含有する実施例18のインキではアクアマリン(香水)の香りを放つ立体状筆跡膜の形成が確認された。
10 ボール
11 ボールペンチップ本体
12 ボール付勢部材
15 ボールハウス
5 インキ
51 インキフォロア
6 インキ筒
Claims (20)
- ペン先とインキ筒を備え、
上記インキ筒内部に、立体造膜成分を含み、立体造膜成分が粘着性合成樹脂エマルションであり、粘着性合成樹脂エマルションがインキ全量に対して固形分で少なくとも30重量%含まれている水性インキ組成物が収容されている筆記具。 - 上記インキ筒内部に、立体造膜成分を含み、立体造膜成分が粘着性合成樹脂エマルションであり、粘着性合成樹脂エマルションがインキ全量に対して固形分で少なくとも35重量%含まれている請求項1記載の筆記具。
- 上記インキ筒内部に、着色剤と立体造膜成分が含まれ、立体造膜成分が粘着性合成樹脂エマルションであり、
水性インキ組成物全量に対して0.01〜20重量%の前記着色剤と、粘着性合成樹脂エマルションがインキ全量に対して固形分で少なくとも37重量%含まれ、
20μm〜50μmの厚み(立体の高さ)を持つ立体の筆跡を得る請求項1記載のペン先を備えた筆記具。 - 前記ペン先からの前記インキの流出量が少なくとも100mg/10mである請求項1乃至3のいずれかの項に記載のペン先を備えた筆記具。
- 前記水性インキ組成物の粘度は、ELD型粘度計を用い、1°34’コーンローター、10rpm、20℃の条件で測定した値で、5〜500mPa・sである請求項1乃至4の項のいずれかに記載の筆記具。
- 前記水性インキ組成物の粘度は、ELD型粘度計を用い、1°34’コーンローター、10rpm、20℃の条件で測定した値で、5mPa・s以上〜100mPa・s未満である請求項4記載の筆記具。
- 前記エマルションの樹脂粒子が、平均粒径が異なる複数の粒度分布を持つ樹脂粒子群で構成されており、前記複数の樹脂粒子群のうち、最小の平均粒径を持つ当該樹脂粒子群の平均粒径が0.05〜0.3μmの範囲にある請求項2乃至6のいずれかの項に記載の筆記具。
- 前記樹脂粒子群のうち、最大の平均粒径を持つ当該樹脂粒子群の平均粒径が0.3〜1.0μmの範囲にある請求項7記載の筆記具。
- 前記粘着性合成樹脂エマルションは、最低造膜温度(MFT)が25℃以下の合成樹脂エマルションである請求項2乃至8の項のいずれかに記載の筆記具。
- 前記粘着性合成樹脂エマルションは、最低造膜温度(MFT)が5℃以下の合成樹脂エマルションと、最低造膜温度(MFT)が50℃以上の合成樹脂エマルションが含まれている請求項2乃至8の項のいずれかに記載の筆記具。
- 上記2種のエマルションの混合比は、最低造膜温度(MFT)が5℃以下の粘着性合成樹脂エマルションに対して最低造膜温度(MFT)が50℃以上の粘着性合成樹脂エマルションが1:4〜4:1である請求項10記載の筆記具。
- 粘着性合成樹脂エマルションが、アクリル系合成樹脂エマルション及びスチレンアクリル系合成樹脂エマルションの群から選ばれる少なくともいずれかのエマルションである請求項2乃至11のいずれかの項に記載の筆記具。
- さらに造膜助剤をインキ全量に対して1〜3重量%含有する請求項2乃至12のいずれかの項に記載の筆記具。
- さらに造膜助剤として、テキサノール、ブチルセロソルブ、カルビトール、ブチルカルビトールアセテート及びジブチルフタレートの群から選ばれる少なくともいずれかの化合物を含有する請求項2乃至13のいずれかの項に記載の筆記具。
- さらに着色剤を含有する請求項2、4乃至14のいずれかの項に記載の筆記具。
- インキ筒内のインキの後端にインキフォロアが配置され、
前記インキフォロアが、不揮発性又は難揮発性有機液状物をゲル化したもので構成され、
前記不揮発性又は難揮発性有機液状物が、シリコーンオイル、鉱物油及びポリブテンの群から選ばれる1種又は2種以上の有機液状物である請求項1乃至15のいずれかの項に記載の筆記具。 - 筆記具がボールを有するペン先とインキ筒を備えたボールペンであって、
上記インキ筒内部に、水性インキ組成物全量に対して0.01〜20重量%の着色剤と、立体造膜成分として粘着性合成樹脂エマルションがインキ全量に対して固形分で少なくとも30重量%含まれている請求項6記載の筆記具。 - 筆記具がボールを有するペン先とインキ筒を備えたボールペンであって、上記インキ筒には、立体造膜成分として粘着性合成樹脂エマルションがインキ全量に対して固形分で少なくとも35重量%含まれている水性インキ組成物が収容されており、ボール径X(mm)に対する前記水性インキ組成物によって形成された筆跡の厚みY(μm)の比Y×103/Xが15以上である請求項1乃至17の項のいずれかに記載の筆記具。
- 筆記具がボールを有するペン先とインキ筒を備えたボールペンであって、上記インキ筒には、立体造膜成分として粘着性合成樹脂エマルションがインキ全量に対して固形分で少なくとも35重量%含まれている水性インキ組成物が収容されており、ボール径X(mm)に対する前記ペン先からの前記水性インキ組成物の流出量Z(mg/10m)の比Z/Xが125以上である請求項1乃至17の項のいずれかに記載の筆記具。
- 筆記具がボールを有するペン先とインキ筒を備えたボールペンであって、上記インキ筒には、立体造膜成分として粘着性合成樹脂エマルションがインキ全量に対して固形分で少なくとも35重量%含まれている水性インキ組成物が収容されており、
ボール径X(mm)に対する筆跡厚みY(μm)の比Y×103/Xが15以上、ボール径X(mm)に対する流出量Z(mg/10m)の比Z/Xが125以上である請求項1乃至17の項のいずれかに記載の筆記具。
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