JP4839646B2 - 炭化珪素半導体の製造方法および炭化珪素半導体の製造装置 - Google Patents
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Description
このような状況の下、広い基板上に形成されているSiC結晶中に窒素等の不純物をドーピングする際に、高い精度で均一な濃度分布が得られる技術の開発が求められている(特許文献2)。
またコールドウォール型の成長炉の場合、基板温度を基板面全体に均一にすることが難しく、この点からも基板面上で窒素のドーピング濃度の均一性を得ることが困難であった。
特に、エピタキシャル成長法により窒素をドーピングする技術の開発が望まれていた。
以下、各請求項の発明を説明する。
エピタキシャル成長を利用して炭化珪素の結晶を成長させつつその内部に窒素をドーピングする炭化珪素半導体の製造方法であって、
窒素源として供給する窒素化合物のガスを炭化珪素の結晶が形成される基板上に導入する前に、予め熱分解させておくための予備加熱ステップを有し、
ドーピング密度の標準偏差σを平均値mで除した値σ/mが、前記窒素化合物のガスの流れ方向では6%以内であり、前記窒素化合物のガスの流れに直行する方向では4%以内であるドーピング密度が1×1015〜1×1017個/cm3の窒素を基板面に均一にドーピングすることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法。
また、本請求項の発明では、窒素をドーピングするガスとして窒素ガスではなく、窒素ガスよりも熱分解性に富んだ窒素化合物のガスを用いている。窒素ガスは、結合エネルギーの大きい3重結合を有するが、窒素化合物はこのような結合を含まないため、窒素ガスの場合に比べてより低温から熱分解が生じる。このため、基板上にガスが到達した時点で充分熱分解させておくことが容易にでき、基板面での濃度分布がより均一になる。
なおここで、「半導体」とは、通常は金属等の導電体と絶縁物との中間の電気抵抗を有する材料(セミコンダクター)という意味と前記材料としての半導体を使用して製造された電気素子(デバイス、例えばトランジスター)という意味があるが、本明細書では、「半導体素子」等と特に限定しないかぎり、いずれをも指す。即ち、いずれも本発明に含まれる。
前記予備加熱ステップは、前記窒素化合物のガスを、1300℃以上の部屋内を流すステップであることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法である。
ここに「部屋」とは、流れていくガスを加熱するための空間という意味であり、外部から加熱される細長い管、内部に伝熱コイルが設置された部屋、内壁面にフィン等が形成された広い空間等も含む。
なお、部屋の壁面の温度の上限は、部屋の長さが多少短くても確実な熱分解を行うためには1350℃以上が好ましく、また熱効率の面からは1600℃以下が好ましい。
前記窒素化合物のガスを、該窒素化合物の液体内をバブリングした気体に含ませて供給するバブリング供給ステップを有していることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法である。
前記バブリング供給ステップは、バブリングさせる気体として水素ガス、不活性ガスのいずれかを使用するステップであることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法である。
前記窒素化合物は、窒素、珪素、炭素、水素以外の原子を有していない化合物であることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法である。
前記窒素化合物は、アンモニアまたはアンモニアとアンモニア以外の窒素化合物との混合物であることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法である。
なお、「アンモニア以外の窒素化合物」としては、メチルアミン等が挙げられる。
前記炭化珪素の結晶が形成される基板は、炭化珪素であることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法である。
エピタキシャル成長を利用して炭化珪素の結晶を成長させつつその内部に窒素をドーピングする炭化珪素半導体の製造装置であって、
窒素源として供給する窒素化合物のガスを炭化珪素の結晶が形成される基板上に導入する前に、予め熱分解させておくための予備加熱装置を有し、
ドーピング密度の標準偏差σを平均値mで除した値σ/mが、前記窒素化合物のガスの流れ方向では6%以内であり、前記窒素化合物のガスの流れに直行する方向では4%以内であるドーピング密度が1×1015〜1×1017個/cm3の窒素を基板面に均一にドーピングすることを特徴とする炭化珪素半導体の製造装置。
なお、予備加熱装置は、エピタキシャル成長がなされる基板上にドーパントガス(窒素化合物のガス)が到着するまでにドーパントガスが充分に、かつ流れを乱すことなく熱分解しておればよく、このため反応容器と別体であるか、一体であるかを問わない。
前記予備加熱装置は、内部を流れる前記窒素化合物のガスを熱分解させるために1300℃以上の部屋を有していることを特徴とする炭化珪素半導体の製造装置である。
前記窒素化合物のガスを、該窒素化合物の液体内をバブリングした気体に含ませて供給するバブリング供給装置を有していることを特徴とする炭化珪素半導体の製造装置である。
なお、ドーピングされた窒素の濃度は、炭化珪素の成長速度や窒素化合物のガスの分圧等にもよるが、一般的には1×1015〜1×1017個/cm3程度となる。
図1は、本発明の第1の実施の形態の製造装置の全体構成を示す図である。本図において、10は原料供給設備である。20は、予備加熱装置である。30は、反応容器である。40は、排気ガス清浄化装置である。50は、制御装置である。70は、炭化珪素の結晶からなる基板である。また、矢印および矢印を含む実線はガスの流れあるいはガスの配管系統を示す。制御装置50と弁等に付した破線状の線分は、制御装置50と弁等が制御線で接続されていることを示す。
そして、原料供給設備10から送られてきたアンモニアガスは、この加熱された予備加熱装置の壁の内面に接触して1300℃以上の温度で熱分解されることとなる。
なお、サセプタ31の外周面、石英管33の内外面等必要箇所には断熱が施され、温度計や圧力計等も装着されているのは、予備加熱装置20と同じである。
また、水素ガス内のアンモニアガスの濃度は、おおよそ1ppmであった。
また、予備加熱装置20内は1300℃以上に、反応容器30内の基板70表面は1600℃に制御した。
以上の条件下で、基板70上のSiC結晶のホモエピタキシャル成長速度はおおよそ5μm/hrであった。また、窒素のドーピング量は、おおよそ5×1015個/cm3であった。
ドーパントガスであるアンモニアは、基板70に到達した段階では、1300℃以上の予備加熱装置20内壁に接触して充分に熱分解されている。このため、基板面上に窒素が均一にドーピングされたSiC薄膜が得られた。特に、サセプタ31に対向して加熱体34を配置するホットウォール型の成長炉とされているため、熱の分布、ガスの流れとも安定している。このため、ガスの流れ方向およびガスの流れに垂直な方向のいずれにも、即ち基板面上どこをとってもより均一な濃度に窒素がドーピングされたSiC薄膜が得られた。
以上の装置、方法で得られたSiC薄膜の不純物濃度の均一性の検査を、ショットキーダイオードのCV測定を用いて行った。具体的には、SiC結晶がエピタキシャル成長した炭化珪素の基板を用いて、直径が1mm、厚みが20nmの電極を当該基板に蒸着してショットキーダイオードを作製した。均一性を示す指標としては、標準偏差σを平均値mで除した値を用いた。
σ/mは、ガスの流れ方向では5%以内であり、ガスの流れに直交する方向では3%程度と非常に均一であり、再現性も充分満足させることができた。
第2の実施の形態として、ドーパントとして、アンモニアに換えてメチルアミン(CH3NH2)を使用する外は第1の実施の形態と同じ条件で、エピタキシャル成長を利用したSiCへの窒素のドーピングを行い、また同じ方法で面内の均一性の検査を行った。
検査結果は、σ/mが、ガスの流れ方向では6%以内であり、ガスの流れに直交する方向では4%程度と非常に均一であり、再現性も充分満足させることができた。
予備加熱装置20を使用しない他は第1の実施の形態と同じ条件で、エピタキシャル成長を利用したSiCへの窒素のドーピングを行い、また同じ方法で面内の均一性の検査を行った。
検査結果は、σ/mが、ガスの流れ方向では20%程度であり、ガスの流れに直交する方向では10%程度であった。
ドーパントガスとして、アンモニアに換えて窒素ガス(N2)を使用する外は第1の実施の形態と同じ条件で、エピタキシャル成長を利用したSiCへの窒素のドーピングを行い、また同じ方法で面内の均一性の検査を行った。
検査結果は、σ/mが、ガスの流れ方向では15%程度であり、ガスの流れに直交する方向では6%程度であった。
σ/mが高い理由は、窒素ガスは3重結合のエネルギーが大きいため予備加熱を行っても充分に熱分解せず、反応容器30内で徐々に熱分解することとなるため、特にガスの流れ方向に沿って熱分解した窒素の濃度が高くなり、ひいてはドーピングされる窒素の濃度も高くなったためと思われる。
なお、コールドウォール型の成長炉を用いて窒素ガスをドーパントとした場合の基板面内での窒素濃度の均一性は、窒素の分解が適切になされないため、ホットウォール型の成長炉を用いる場合よりも悪くなる。
11 アンモニアのボンベ
12 水素ガスのボンベ
13 シランのボンベ
14 プロパンのボンベ
20 予備加熱装置
21 加熱用のコイル
30 反応容器
31 サセプタ
32 誘導加熱用のコイル
33 石英管
34 加熱体
40 排気ガス清浄化装置
50 制御装置
70 基板
Claims (10)
- エピタキシャル成長を利用して炭化珪素の結晶を成長させつつその内部に窒素をドーピングする炭化珪素半導体の製造方法であって、
窒素源として供給する窒素化合物のガスを炭化珪素の結晶が形成される基板上に導入する前に、予め熱分解させておくための予備加熱ステップを有し、
ドーピング密度の標準偏差σを平均値mで除した値σ/mが、前記窒素化合物のガスの流れ方向では6%以内であり、前記窒素化合物のガスの流れに直行する方向では4%以内であるドーピング密度が1×1015〜1×1017個/cm3の窒素を基板面に均一にドーピングすることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法。 - 前記予備加熱ステップは、前記窒素化合物のガスを、1300℃以上の部屋内を流すス
テップであることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体の製造方法。 - 前記窒素化合物のガスを、該窒素化合物の液体内をバブリングした気体に含ませて供給
するバブリング供給ステップを有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炭化珪素半導体の製造方法。 - 前記バブリング供給ステップは、バブリングさせる気体として水素ガス、不活性ガスの
いずれかを使用するステップであることを特徴とする請求項3に記載の炭化珪素半導体の製造方法。 - 前記窒素化合物は、窒素、珪素、炭素、水素以外の原子を有していない化合物であるこ
とを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の炭化珪素半導体の製造方法。 - 前記窒素化合物は、アンモニアまたはアンモニアとアンモニア以外の窒素化合物との混
合物であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の炭化珪素半導体の製造方法。 - 前記炭化珪素の結晶が形成される基板は、炭化珪素であることを特徴とする請求項1な
いし請求項6のいずれかに記載の炭化珪素半導体の製造方法。 - エピタキシャル成長を利用して炭化珪素の結晶を成長させつつその内部に窒素をドーピングする炭化珪素半導体の製造装置であって、
窒素源として供給する窒素化合物のガスを炭化珪素の結晶が形成される基板上に導入する前に、予め熱分解させておくための予備加熱装置を有し、
ドーピング密度の標準偏差σを平均値mで除した値σ/mが、前記窒素化合物のガスの流れ方向では6%以内であり、前記窒素化合物のガスの流れに直行する方向では4%以内であるドーピング密度が1×1015〜1×1017個/cm3の窒素を基板面に均一にドーピングすることを特徴とする炭化珪素半導体の製造装置。 - 前記予備加熱装置は、内部を流れる前記窒素化合物のガスを熱分解させるために130
0℃以上の部屋を有していることを特徴とする請求項8に記載の炭化珪素半導体の製造装置。 - 前記窒素化合物のガスを、該窒素化合物の液体内をバブリングした気体に含ませて供給
するバブリング供給装置を有していることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の
炭化珪素半導体の製造装置。
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