JP6671195B2 - 炭化珪素のエピタキシャル成長方法 - Google Patents

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Description

この発明は、炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素薄膜を成長させる炭化珪素のエピタキシャル成長方法に関するものである。
炭化珪素(以下、SiCと表記する)は、耐熱性及び機械的強度に優れ、物理的、化学的に安定なことから、耐環境性半導体材料として注目されている。また、近年、高周波高耐圧電子デバイス等の基板としてエピタキシャルSiCウェハの需要が高まっている。
SiC単結晶基板(以下、SiC基板という)から電力デバイスや高周波デバイス等を作製する場合には、通常、SiC基板上に熱CVD法(熱化学蒸着法)によってSiC単結晶薄膜(単にSiC薄膜という場合もある)をエピタキシャル成長させたエピタキシャルSiCウェハが用いられる。SiC基板上にさらにSiCのエピタキシャル成長膜を形成する理由は、ドーピング密度が制御された層を使ってデバイスを作り込むためである。ドーピング密度制御が不十分であると、デバイス特性が安定しないという問題が引き起こされるため、SiC単結晶薄膜には面内で均一なドーピング密度となるように形成する必要がある。
この熱CVD法を利用する際には、一般に、加熱手段により取り囲まれた反応容器内のホルダー上にSiC基板を載せて、ホルダーを回転させながら、SiC基板の直上に例えばシランガスやクロロシランガス等の珪素原料ガスとプロパンやメタン等の炭化水素原料ガスとを水素等のキャリアガスと共に供給して、熱分解反応によりSiC基板上にSiC単結晶薄膜をエピタキシャル成長させる方法が採用されている(例えば非特許文献1参照)。その際SiC基板をホルダーに載せるために、ホルダー表面にSiC基板の厚さ相当の溝を形成しておき、その中にSiC基板を配置してSiC基板を固定搭載し、SiC基板に対して略水平となるように横から上記のような原料ガスを流すのが一般的である。
SiCをn型半導体として使うにはドーピングガスとして窒素を使うのが一般的である。従って、珪素原料ガスと炭化水素原料ガスに加え、窒素ガスも熱CVDの原料ガスとして用いられる。この時、窒素はSiCのCの位置に入るため、炭化水素原料ガスに含まれるCの量と珪素原料ガスに含まれるSiの比C/Si比によって大きな影響を受け、この比が小さいほど窒素が結晶構造に取り込まれやすくなる(site competitionと呼ばれる効果)ことが知られている。
従って、SiC基板の面内でドーピング密度が均一になるようにするには、このC/Si比を如何にSiC基板上で均一になるように制御するかが重要である。
上述したような一般的な構成でSiC単結晶薄膜をエピタキシャル成長させる場合、前記原料ガスが反応容器内のSiC基板上を流れる途中で珪素原子とカーボン原子が1:1の割合で逐次エピタキシャル成長に消費されるため、反応容器内のガス流れの上流側と下流側とでは前記原料ガスのC/Si比は徐々に変化してしまう。例えば、窒素が結晶構造に取り込まれやすくなるように前記原料ガス中のC/Si比を1より小さくして供給した場合、下流に行くに従って前記原料ガス中のC/Si比は徐々に小さくなる。逆に、前記原料ガス中のC/Si比を1より大きくして反応容器内に供給した場合では、前記原料ガス中のC/Siは下流ほど大きくなっていく。
この原理からすれば、前記原料ガス中のC/Si比を1にしてエピタキシャル成長させれば、上流と下流のC/Si比は不変である。しかしながら、前記原料ガス中のC/Si比はエピタキシャル成長条件の重要なパラメータであり、例えば、欠陥密度低減、バンチング低減、面内均一性改善等、エピウェハに求められる品質を改善するために、圧力や成長温度なども勘案して、一般には1以外の数値が選ばれる。
そのため、上記のような上流と下流でC/Si比が均一にならない問題に対しては、熱CVD法によるエピタキシャル装置のホルダー自体を回転させることによってガスの上流側と下流側との環境の変化を相殺することが原理的には可能である。しかしながら、実際のエピタキシャル成長では、ホルダーの面内のドーピング密度は不均一であることが広く知られている(例えば非特許文献2参照)。これは、前記原料ガス中のC/Si比の変化以外に上流と下流とで異なった状況が発生していることを示唆している。
Materials Science Forum Vols.45-648(2010),pp77-82 Journal of Crystal Growth Vol.381(2013),pp139-143
本発明はかかる問題、すなわち、熱CVD法によるエピタキシャル装置のホルダーを回転させているにもかかわらずホルダー面内のドーピング密度の面内均一性が平均化されず、従ってその上に配置されたSiC基板のドーピング密度の面内均一性が損なわれているという問題を解決するためになされたものである。
前述した問題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行った結果、ドーピング密度がSiC基板の面内で均一にならない理由は、反応容器内のガス流れの上流と下流とにおける前記原料ガス中のC/Si比の差異ではなく、別に原因があることを突き止めた。
すなわち、熱CVD法では、1500〜1800℃の雰囲気中に炭化水素原料ガスと珪素原料ガスとドーピングガスからなる原料ガスを導入して、前記原料ガスのC/Si比をパラメータとして制御しながらSiC基板上にSiC単結晶を析出させているが、従来は、前記原料ガス中のC/Si比は炭化水素原料ガスと珪素原料ガスとがそれぞれ完全に分解していると仮定した上で行ってきた。ここで言う完全に分解とは、炭化水素原料ガスに関して言えば、炭素を複数含有する化合物から単独の炭素からなる化合物に分解した状態をいう。例えば、カーボン(C)を3つ含むプロパンガスであれば、もともと1モルであったもの(分子)が3モルのカーボン(C)になることを完全分解と言っている。しかしながら、反応容器内のガス流れの上流ではまだ十分に前記原料ガスが加熱されていないため、炭化水素原料ガスの分解が不十分であり、その結果、ガス流れの上流においてC/Si比が小さくなってしまい、窒素がドープされ易い状況となっていた。これが、ホルダーが回転してもSiC基板の面内ドーピング密度が均一化されない原因であると考えられる。
そこで、本発明者らは、熱CVD法によるSiCのエピタキシャル成長におけるドーピング密度の面内均一性をより改善するために鋭意検討した結果、炭化水素原料ガスを反応容器に供給する前に予め分解させておくことで、上記のような課題を解消できることを見出した。
ここで、炭化水素原料ガスの分解には、エピタキシャル成長に使われる熱源とは別の高温熱源を用意し、予め炭化水素原料ガスを熱分解してからエピタキシャル成長させる方法が有効である。
また、炭化水素原料ガスの分解に熱を用いる替わりに、放電を利用してプラズマ状態にして分解する方法もまた有効である。
なお、珪素原料ガスについては、炭化水素原料ガスと比べて分解速度が速いため、必ずしも前もって分解を促進させておく必要はないが、熱CVD法に用いるエピタキシャル装置の構成上、例えば炭化水素原料ガスと珪素原料ガスの混合ガスとして予め分解を促進させておいても問題ないことを確認している。
すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)炭化水素原料ガス、珪素原料ガス、及びドーピングガスを用いて、熱CVD法により、反応容器内の炭化珪素単結晶基板上にドーピングされた炭化珪素薄膜を形成する炭化珪素のエピタキシャル成長方法において、前記炭化水素原料ガスの90%以上を分解した上で、反応容器内に供給することを特徴とする炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
(2)前記炭化水素原料ガスを熱分解により分解した上で、反応容器内に供給することを特徴とする(1)に記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
(3)前記炭化水素原料ガスを誘導コイルにより発生させた放電により分解した上で、反応容器内に供給することを特徴とする(1)に記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
(4)炭化珪素単結晶基板上に形成する炭化珪素薄膜の膜厚は3μm以上200μm以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
(5)炭化水素原料ガスが、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、及びアセチレンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
(6)珪素原料ガスが、シラン、ジシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、及び四塩化珪素からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
本発明によれば、反応容器内のガス流れの上流においてもC/Si比を設計した理論値に近づけることができることから、熱CVD法によるエピタキシャル装置のホルダー全体にわたってドーピング密度の面内均一性を大幅に改善することができる。そのため、このホルダー上に配置されるSiC基板においてもドーピング密度の面内均一性を向上させることができる。また、複数のSiC基板をホルダー上に配置した場合では、SiC基板間のドーピング密度のばらつきも改善することができる。
図1は、本発明の具体的なエピタキシャル装置の一例を示す概略図である。 図2は、ホルダーに7枚のSiC基板を搭載した場合の配置図を例示したものである。 図3は、本発明によるエピタキシャル成長で得られたエピタキシャルSiCウェハの面内25点測定したドーピング密度の面内分布の一例である。 図4は、従来の方法で得られたエピタキシャルSiCウェハの面内25点測定したドーピング密度の面内分布の一例である。
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明が好適に用いられるエピタキシャル装置の概略図であって、従来、熱CVD法で一般的に使われている構造に対して、予め炭化水素原料ガスを分解するための予備室2が設けられたものである。ここで、予備室2において、炭化水素原料ガスの90%以上が分解され、反応容器1に導かれる。反応容器1の内部にはホルダー3が配置されて、反応容器1の外側には、まわりを取り囲むように加熱用誘導コイル4が取り付けられている。また、反応容器1の一方からは、ホルダー3に対して略水平となるように、炭化水素原料ガス5、及び、珪素原料ガスとドーピングガスの混合ガス6が、それぞれ水素ガス等のキャリアガスと共に横から供給されるようになっており、他方からはエピタキシャル成長に使われた後のガスが排気ガス7として排出されるようになっている。このうち、ホルダー3は、カーボン部材にSiCコートされた耐熱性のある構造材であって、この上に溝が形成されており、ウェハ(SiC基板)が配置される。また、このホルダー3は回転機構を備えることによって、膜厚やドーピング密度に対するウェハ面内の不均一性を改善したり、複数のウェハを同時処理した場合のウェハ間のばらつきを抑制したりできるようになっている。なお、炭化水素原料ガス、珪素原料ガス、及びドーピングガスはそれぞれ独立して供給してもよく、上記のように少なくとも一部を混合して供給するようにしてもよい。
前述したように、ホルダー全体のドーピング密度の均一性を損ねている原因は、反応容器1内の原料ガスの流れの上流において炭化水素原料ガスが十分に分解していないためと考えられる。ここで、具体的な原料ガスとC/Si比の例を示しながら説明を行う。すなわち、炭化水素原料ガスとしてプロパン(C)を用い、珪素原料ガスとしてシラン(SiH)を用いて、C/Si比を0.9として成膜する例を取り上げる。プロパンガスの炭素数は3であることから、シランガスとプロパンガスの供給量の比を0.3/1として供給する。このとき、プロパンガスが十分に分解していればCの量は3倍になるためC/Siは0.9となるが(=(0.3×3)/1)、上流側で炭化水素原料ガスの分解が十分ではないと、C/Si比は0.9を下回ることになる。このように、パラメータとしてのC/Si比を0.9にしても、上流では未分解分が存在するためこれを下回ることになる。
ところで、エピタキシャルSiCウェハを得る際のドーピングガスとして窒素ガスを使うのが一般的だが、上述したように、窒素原子(N)はSiCのCの位置に入るため、前記原料ガス中のC/Si比が小さいほど窒素が結晶構造に取り込まれやすくなる(site competition効果)。このとき、上流で炭化水素原料ガスの分解が十分ではないと実効的なC/Siは小さくなり、結果として反応容器のガス流れの上流ほどSiC基板のエピタキシャル膜に窒素が取り込まれて窒素濃度が高くなるが、この傾向は上流側のドーピング密度で顕著となる(上流側で極端に高くなる)ため、仮にホルダーが回転してもホルダー周囲でドーピング密度が高くなり、中心に向かうほど低下する同心円状の分布となってしまう。
これを回避するためには、予備室2において炭化水素原料ガスの90%以上を分解してから、反応容器1に導く。こうすることで、前記原料ガスの上流側でもC/Si比が低くなる現象が起きないので、ホルダー周辺でのドーピング密度が極端に高くなる従来の問題を解決することができる。
炭化水素原料ガスを90%以上分解するためには、高温熱源を経由することで熱分解を行わせる方法がある。熱分解の程度は、温度とその温度領域をガスが経由する時間(高温領域の滞在時間)を考慮して決定する。ガスの滞在時間は、反応容器に導入するガス流速と高温熱源の装置長さから計算で求めることができる。代表的な数量を具体的に挙げると、温度は1700℃から2000℃程度で、ガス流速は50リットル/分から200リットル/分、高温熱源の装置長さは5cmから20cm程度である。なお、ここでのガス流速は、原料ガス単体ではなくキャリアガスである水素ガスを含めた全ガス量である。これらの数値は、言うまでもなくこの範囲に限定するものではなく、炭化水素原料ガスの90%が分解する条件であれば、どのような条件でも本発明で狙った効果が得られる。なお、事前の原料ガスの分解について、珪素原料ガスの分解速度は高いため炭化水素原料ガスのみ行えば十分であるが、装置の構成上、珪素原料ガスおよびドーピングガスとの混合ガスとともに分解するようにしても差し支えない。
また、高温熱源としては誘導加熱方式を用いるようにしてもよいし、赤外線イメージ炉など他の手法によるものであってもよい。
一方、予め炭化水素原料ガスを90%以上分解するためには、グロー放電などの放電を発生せしめ、生成したプラズマ状態の中で分解させる方法を用いることもできる。グロー放電は低圧状態にして電界をかけることで生成可能であるが、対向する電極間に電圧をかける方法(容量結合型)であってもよく、コイルを使って高周波電圧を外部からかける方法(無電極誘導型)であってもよい。炭化水素原料ガスの分解の程度は対象とするガスの量に依存するが、おおよそ数十Wから数百Wの電力を印加することで、炭化水素原料ガスの90%以上が分解される。但し、言うまでもなくこの範囲に限定するものではなく、少なくとも炭化水素原料ガスの90%が分解する条件であれば、どのような条件でも本発明で狙った効果が得られる。
上記のような熱分解による方法やプラズマ中での分解方法のいずれにおいても、どの程度炭化水素原料ガスが分解したかは、分解ガスの一部をガスクロマト装置に導き、もとの炭化水素原料ガスの濃度に対する分解ガス中に残存する炭化水素の濃度から算出することができる。例えば、水素ガスをキャリアガスとして用いているので、最初の水素ガス中の炭化水素原料ガスの濃度が0.1vol%であって、これが分解後に0.01vol%になっていることが測定の結果分かれば、炭化水素原料ガスの90%が分解したことが確認できる。
本発明においては、炭化水素原料ガスを予め90%以上分解しておいてから反応容器に導入するが、反応容器におけるエピタキシャル成長について特別な条件は不要であり、公知の条件を採用することができる。例えば、以下の述べるような成長条件が好適に選ばれる。
炭化水素原料ガスと珪素原料ガスとの原料ガスのC/Si比は0.5以上1.5以下であるのがよく、好ましくは0.65以上1.35以下であるのがよい。これは、前述したように、原料ガスに含まれるカーボンと珪素が上流から下流に向かって1:1の割合で消費されていくことを考慮したものであり、C/Siが0.5より小さい場合には下流ではC/Si比が極端に小さくなり、逆に、C/Siが1.5より大きい場合では下流ではC/Si比が極端に大きくなるためである。この影響でホルダーが回転しても平均化が困難になり、また、本発明による効果で上流領域での極端にドーピング密度が高くなる原因を取り除いても、ホルダー面内の均一化が達成できないおそれがある。なお、ここで言うC/Si比は、使用した炭化水素原料ガスと珪素原料ガスの流量から計算される値である。
また、SiC薄膜の成長温度は1500℃以上1800℃以下であるのがよく、好ましくは1550℃以上1750℃以下であるのがよい。この範囲を超えて成長させると、欠陥の増加、バンチング現象の出現など、エピ品質自体の低下を招くためである。
更に、SiC基板上に成長させるSiC薄膜の膜厚は3μm以上200μm以下が好ましい。3μm未満と薄い場合にはデバイスを作り込む領域が狭くなり過ぎて信頼性を確保することが困難になるおそれがあり、反対に200μmを超えて厚い場合には、SiCウェハのそりが顕著になったり剥離しやすくなるなど、デバイスプロセスへ悪影響を与える可能性がある。
本発明において用いる炭化水素原料ガスとしては、熱CVD法による炭化珪素のエピタキシャル成長において炭素源となるものであれば特に制限はないが、高純度ガスが容易に入手可能な汎用ガスという点から、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、アセチレン等の脂肪族炭化水素を挙げることができる。また、これらのガスを組み合わせて使っても差し支えない、上述したように、炭化水素原料ガスの分解速度がC/Si比に影響し、特に反応容器内におけるガスの供給位置に近いところで極端にドープ量が増えるため、一見すると分解の進んだと見ることができるメタンについては本発明の効果は小さいと考えられるが、検討した結果、メタンにおいても本発明が有効であることが確認された。これは、表1に示すように、炭素が2個以上ある炭化水素においてC−C結合はそれほど強くなく、むしろC−H結合のほうが大きいことが理由と考えられる。
Figure 0006671195
また、珪素を含んだ珪素原料ガスは、同様に熱CVD法による炭化珪素薄膜の珪素源となるものであれば特に制限はないが、高純度ガスが容易に入手可能な汎用ガスという点から、例えば、シラン、ジシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、四塩化珪素等を挙げることができる。また、これらのガスを組み合わせて使っても差し支えない。本発明において、少なくとも炭化水素原料ガスを予め分解する理由は上述したとおりである。珪素原料ガスについては、このうち、一般に使われているシランは、Si−H結合は然程強くないため予め分解しておく必要がないからである。また、ジシランについてもSi−Si結合が弱いため、予め分解しておく必要はない。分解挙動はシランのそれと同様と考えられる。一方、エッチング作用のある塩素を含んだシラン系ガスではその結合は比較的強いものの、分解により塩素原子が生成するとラジカル反応によって連鎖的に他の塩素を含んだシラン系ガスを分解するため、やはり前もって分解させておく必要はない。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の内容に制限されるものではない。
(実施例1)
図1に示したような装置を使って、SiC基板に対して炭化珪素のエピタキシャル成長を行った。炭化水素原料ガスとしてプロパンガス(水素で希釈して30vol%濃度とした混合ガス)を210cc/分の流量とし、珪素原料ガスとしてシランガス(水素で希釈して50vol%濃度とした混合ガス)を280cc/分の流量として、キャリアガスとしての水素134リットル/分と、ドーピングガスとして窒素ガス(水素ガスで希釈して10vol%濃度とした混合ガス)100cc/分とともに予備室2に導入した。炭化水素原料ガスおよび珪素原料ガスの流量から求められるC/Si比としては(210×0.3×3)/(280×0.5)=1.35となる。また、窒素ガス流量は、ドーピング密度が3.0×1015(/cm)となるようにしている。
各ガスは、幅30cm×高さ5cm×長さ(奥行き)15cmの予備室2に導入した。計算上は、予備室の滞在時間は約1秒である。また、予備室に導入されたガスは誘導加熱方式により加熱されるようにし、この実施例1では予備室の温度を1800℃とした。そして、予備室2から出て反応容器1に導入される前のガスの一部をガスクロマト装置で分析した。分析はキャリアガスとしてアルゴンを用い、TCD(Thermal Conductivity Detector)を用いて水素とプロパンに対して分析を行った。予め、予備室2を高温にすることなく水素とプロパンのピーク面積比を算出しておき、予備室2を高温にしたときの同比を得ることで分解割合を算出した。その結果、プロパンの91%が分解していることを確認した。
予備室から出たガスは、反応容器1にそのまま導入した。この反応容器1では、図2に示したような7枚のSiC基板を搭載できるホルダーを用い、図中のAで表示した位置に口径100mmのSiC基板1枚を配した。ホルダーは30rpmで回転させながら、成長中の圧力7.3kPa、成長温度1650℃の条件で1時間エピタキシャル成長を行った。
得られたエピタキシャルSiCウェハについて、約10μmの厚さで成長したSiC薄膜のドーピング密度の測定を面内25点で行った。ドーピング密度測定はCV測定装置(フォーディメンジョン社製CVmap92A)を使った。結果を図3に示す。
面内25点のドーピング密度のばらつきは、σ/平均値として2.6%であり、十分に均一なドーピング密度分布になっていることが確認された。
(比較例1)
予備室2の温度を600℃として実施例より大幅に下げ、これ以外は実施例1と同様の条件にしてエピタキシャル成長を行った。予備室から出たガスを実施例1と同様にしてガスクロマト装置で評価したところ、炭化水素原料ガスの分解率は20%であった。
得られたエピタキシャルSiCウェハについて、成長したSiC薄膜のドーピング密度の測定を実施例1と同様に行った。面内25点のドーピング密度のばらつきは、図4に示したようにオリフラ側、すなわちホルダーの周辺位置において極端に高いドーピング密度となっており、σ/平均値は6.8%であって、実施例1と比較し極端に悪化した。
(実施例2〜25)(比較例2〜3)
原料ガス種、炭化水素原料ガスの分解率、C/Si比、反応容器での成長温度、SiC薄膜の膜厚などを表2に示したように変更した以外は実施例1と同様にして、SiC基板上に炭化珪素をエピタキシャル成長させた。ここで、実施例19〜21では、コイルを使って高周波電圧を外部からかける方法(無電極誘導型)を使い、100Wの電力を印加して、炭化水素原料ガスを予備室内で分解した。
得られたエピタキシャルウェハの面内25点のドーピング密度を実施例1と同様にして測定し、ばらつきをσ/平均値で評価した。結果を表2にまとめて示す。
Figure 0006671195

表2からわかるように、本発明に従えば、得られたエピタキシャルSiCウェハのSiC薄膜のドーピング密度の面内ばらつきが改善されることが確認できた。そのため、本発明によれば、熱CVD法によるSiC薄膜のエピタキシャル成長において、ウェハ内のドーピング密度の均一性を高めることができると共に、同一バッチのウェハ間のばらつきを抑えることができるようになる。
1:反応容器、2:予備室、3:ホルダー、4:加熱用誘導コイル、5:炭化水素原料ガス、6:珪素原料ガスとドーピングガスの混合ガス、7:排気ガス。

Claims (7)

  1. 炭化水素原料ガス、珪素原料ガス、及びドーピングガスを用いて、熱CVD法により、反応容器内の炭化珪素単結晶基板上にドーピングされた炭化珪素薄膜を形成する炭化珪素のエピタキシャル成長方法において、前記炭化水素原料ガスを1700℃から2000℃の高温熱源を経由することで前記炭化水素原料ガスの90%以上を分解した上で、反応容器内に供給することを特徴とする炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
  2. 前記炭化水素原料ガスのガス流速は50リットル/分から200リットル/分、前記高温熱源の装置長さは5cmから20cmであることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
  3. 前記炭化水素原料ガスを熱分解により分解した上で、反応容器内に供給することを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
  4. 前記炭化水素原料ガスを誘導コイルにより発生させた放電により分解した上で、反応容器内に供給することを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
  5. 炭化珪素単結晶基板上に形成する炭化珪素薄膜の膜厚は3μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
  6. 炭化水素原料ガスが、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、及びアセチレンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
  7. 珪素原料ガスが、シラン、ジシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、及び四塩化珪素からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
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