しかしながら、前者の技術を用いて各装置の同期制御をする場合には、1サイクルに1度のみ親機から原点信号が伝送されるため、特に、1サイクルに要する時間が長い場合には、親機の動作状況の把握が難しく、同期制御を精度よく行えないおそれがある。
また、後者の技術を用いて各装置の同期制御をする場合には、親機と各装置との間でデータを伝送するためにシリアル伝送路が必要とされるが、シリアル伝送路は比較的高価なものである。ここで、複数の加工装置によって種々の加工を施すランプの製造装置においては、親機と各加工装置とを結ぶシリアル伝送路を多数用意する必要があり、結果として、製造装置に関するコストが増大してしまうことが懸念される。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、ランプ製造に際して各種工程における各加工装置が精度よく同期動作できるようにするとともに、コストの増大を抑制することができるランプ製造装置を提供することにある。
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
手段1.複数の加工装置によってガラス管に種々の加工を施すことでランプを製造するランプ製造装置であって、
前記複数の加工装置のうちの1の特定の加工装置、又は、前記複数の加工装置とは別の装置からなる親機の機械軸から基準位相角度を生成し、当該基準位相角度に対応するパルス信号を出力するマスター部と、
前記パルス信号を入力するスレーブ部と、
前記マスター部から前記スレーブ部へ前記パルス信号を伝送する伝送路とを備え、
前記パルス信号は、長パルス及び短パルスの2種類であり、
前記マスター部は、前記親機の機械軸が1サイクル動作する間に予め定められた信号出力回数Mと同数のパルス信号を出力するとともに、前記親機の機械軸が1サイクル動作する間に出力される前記長パルス及び短パルスの並び順が、予め定められた特定パルス列における長パルス及び短パルスの並び順と等しいものであり、
前記スレーブ部は、前記マスター部からの前記パルス信号を入力された順序で記録し、前記パルス信号の認識に際し、前記記録されたパルス信号のうち直近に記録されたlog2M以上の最小の整数である所定数Aと同数の前記パルス信号からなるパルス列における前記長パルス及び短パルスの並び順に基づいて、前記基準位相角度を復元するとともに、前記復元した基準位相角度に基づいて前記親機を除く前記複数の加工装置のうちの少なくとも1つからなる子機の機械軸を制御し、
前記特定パルス列は、当該特定パルス列を環状に配置し、当該環状に配置されたパルス列から前記所定数Aと同数の前記パルス信号からなる任意の異なるパルス列を2組選択したとき、当該選択された2組のパルス列における前記長パルス及び短パルスの並び順が不一致となるよう設定されていることを特徴とするランプ製造装置。
尚、「パルス信号」とは、オン及びオフの2種類の出力を有する波形信号のうち、オン或いはオフのどちらか一方の出力のことをいう。また、「長パルス」とは、パルス幅が所定長さ以上のパルス信号であり、一方、「短パルス」とは、パルス幅が所定長さ未満の、つまり、「長パルス」よりも短い、パルス信号である。加えて、信号出力回数Mは整数であり、特に3以上の整数をいう(以下、同様とする)。
上記手段1によれば、本発明のランプ製造装置は、マスター部、スレーブ部、及び伝送路を具備する。マスター部は、ランプに種々の加工を施す各加工装置のうち1の特定の加工装置、又は、各加工装置とは別の装置からなる親機の機械軸から同期の基準となる基準位相角度(例えば、45度、90度等)を生成する。そして、スレーブ部に対して生成された基準位相角度に対応するパルス信号を出力する。ここで、親機の機械軸が1サイクル動作する間に予め定められた信号出力回数Mと同回数のパルス信号が出力される。つまり、親機の機械軸が1サイクル動作する間に、信号出力回数Mと同回数の基準位相角度が生成される。親機の機械軸が1サイクル動作する間に出力されるパルス信号からなるパルス列は、予め定められた特定パルス列となるように設定される。換言すれば、パルス信号は、特定パルス列における長パルス及び短パルスの並び順に当てはめて出力される。ここで、特定パルス列とは、信号出力回数Mと同数のパルス信号からなり、当該特定パルス列を環状に配置し、環状に配置されたパルス列からlog2M以上の最小の整数である所定数Aのパルス信号からなる任意の異なるパルス列を2組選択したときに、当該選択された2組のパルス列における長パルス及び短パルスの並び順が不一致となるように設定されているパルス列である。具体的な例を挙げて説明すると、例えば、信号出力回数Mを8とした場合、長パルスをW、短パルスをNとして表示すると、特定パルス列としては{WWWNWNNN}のパルス列を用いることができる。この場合、所定数Aは3(log28)であり、当該特定パルス列を環状に配置した上で、環状に配置されたパルス列から所定数Aと同数のパルス信号よりなるパルス列を選択したとき、選択され得るパルス列は{WWW}、{WWN}、{WNW}、{NWN}、{WNN}、{NNN}、{NNW}、{NWW}であり、これらのパルス列におけるW及びNの並び順はそれぞれ不一致となるためである。また、この場合、当該特定パルス列を用いた上で、親機の機械軸が1サイクル動作する間に親機の機械軸が進む位相角度を360度とすると、例えば、0度、45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度と1サイクル中に8回の基準位相角度が生成され、それぞれの基準位相角度に対応してW、W、W、N、W、N、N、Nの順序でパルス信号が出力される。
マスター部から出力されるパルス信号は、伝送路を介してスレーブ部に伝送される。ここで、伝送されるパルス信号は、上述の通り、パルス幅の異なる長パルス或いは短パルスである。そのため、シリアル伝送路等の一群のビット情報を伝送できる伝送路を用いる必要はなく、2種類の長さのパルス信号さえ伝送できる伝送路であれば十分である。従って、コストの増大を抑制することができる。
スレーブ部は、マスター部からのパルス信号を入力された順序で記録する。つまり、マスター部から出力されるパルス信号の出力順と同一の並び順を保持した上でパルス信号を記録しており、記録されたパルス信号からなるパルス列における長パルス及び短パルスの並び順は、前記特定パルス列を直列的に連結したパルス列における長パルス及び短パルスの並び順と同一なものである。
スレーブ部はパルス信号の認識に際し、直近に記録された所定数Aと同数のパルス信号からなるパルス列(「参照パルス列」という)における長パルス及び短パルスの並び順に基づいて、基準位相角度を復元する。復元される基準位相角度は、参照パルス列における長パルス及び短パルスの並び順に対応して予め定められている。ここで、前述したように、特定パルス列を環状に配置したパルス列から所定数Aのパルス信号からなる任意の異なるパルス列を2組選択した場合、当該選択された2組のパルス列における長パルス及び短パルスの並び順はそれぞれ不一致であるため、親機の機械軸が1サイクル動作する間に参照され得る参照パルス列における長パルス及び短パルスの並び順もそれぞれ不一致となり、それぞれ固有のものである。従って、スレーブ部は、参照パルス列の長パルス及び短パルスの並び順に基づいて、特定の基準位相角度を復元することができる。
スレーブ部は、復元された基準位相角度に基づいて、親機を除く複数の加工装置のうち少なくとも1つからなる子機の機械軸を制御する。例えば、子機の機械軸の位相角度と復元した基準位相角度とが等しくなるよう制御したり、子機の機械軸の位相角度と復元した基準位相角度とが所定の角度差を維持するように制御したりする。これにより、親機と子機との同期動作を図ることができ、ひいては、子機同士の同期動作を図ることができる。また、親機の機械軸が1サイクル動作する間に、スレーブ部は親機の動作状況を信号出力回数Mと同回数把握することができ、把握された親機の動作状況に合わせて子機を制御することができる。その結果、親機と子機とをより精度よく同期動作させることができる。また、伝送されるパルス信号は、長パルス或いは短パルスの2種類であるため、一群のビット情報等の比較的多量の情報が伝送される場合と比較して、スレーブ部が処理すべき情報量を比較的少なくすることができる。従って、スレーブ部は、演算速度が比較的遅い演算装置であっても実現することができ、また、精度を保ちつつ同期動作させることができる。
手段2.前記スレーブ部は、所定時間以上前記パルス信号が入力されない場合、或いは、入力されたパルス信号が所定長さ以上である場合、前記子機の動作を停止させることを特徴とする手段1に記載のランプ製造装置。
上記手段2によれば、所定時間以上パルス信号が入力されない場合、或いは、入力されたパルス信号が所定長さ以上である場合には、スレーブ部は子機を停止させる。これにより、仮に親機やマスター部に故障等の不具合が発生した場合であっても、速やかに子機を停止させることができ、同期のズレに伴う不具合の発生を抑制することができる。
手段3.前記マスター部は、前記複数の加工装置のうち1の特定の加工装置からなる前記親機の機械軸から前記基準位相角度を生成することを特徴とする手段1又は2に記載のランプ製造装置。
上記手段3によれば、複数の加工装置のうち1の特定の加工装置が親機とされ、当該親機の機械軸から基準位相角度が生成される。従って、親機として各加工装置とは別の装置を設ける必要がないため、コストの増大を一層抑制することができる。
手段4.前記スレーブ部は、前記パルス信号の認識に際し、前記パルス信号の時間間隔を記録するとともに、直近に記録された前記時間間隔と等しい時間の経過後に、前記子機の機械軸の位相角度が、前記復元された基準位相角度と予め定められた特定角度とを加算した角度に等しくなるよう前記子機の機械軸を制御することを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のランプ製造装置。
ここで、「特定角度」とは、マスター部がパルス信号を出力してから次のパルス信号を出力するまでの間に親機の機械軸が進む位相角度をいう。また、「パルス信号の時間間隔」とは、前回のパルス信号の認識時から今回のパルス信号の認識時までの時間をいう(以下、同様とする)。
上記手段4によれば、パルス信号の認識に際し、パルス信号の時間間隔が記録される。また、直近に記録された時間間隔と等しい時間が経過した後、子機の機械軸の位相角度が、復元された基準位相角度及び予め定められた特定角度を加算した角度に等しくなるよう子機の機械軸が制御される。これにより、入力されるパルス信号の時間間隔の変動が比較的大きい場合であっても、子機の動作を親機の動作に効果的に追従させることができる。その結果、親機と子機とを一層精度よく同期動作させることができる。
手段5.前記スレーブ部は、前記パルス信号の認識に際し、前記パルス信号の時間間隔を記録するとともに、
前記記録された時間間隔のうち、直近に記録された前記時間間隔と、当該直近に記録された前記時間間隔の直前に記録された前記時間間隔との差が予め定められた所定範囲内である場合、
直近に記録された所定数の前記時間間隔の平均値である平均時間間隔と等しい時間の経過後に、前記子機の機械軸の位相角度が、前記復元された基準位相角度と予め定められた特定角度とを加算した角度に等しくなるよう前記子機の機械軸を制御することを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のランプ製造装置。
尚、「平均時間間隔」とは、直近に記録された所定数の時間間隔をそれぞれ加算し、加算された時間を前記所定数で除算した値をいう。例えば、所定数を3とした場合、直近に記録された時間間隔t1と、当該時間間隔t1の直前に記録された時間間隔t2と、当該時間間隔t3の直前に記録された時間間隔t3とを加算し、加算された時間(t1+t2+t3)を所定数である3で除算した値〔(t1+t2+t3)/3〕が平均時間間隔とされる。
上記手段5によれば、パルス信号の認識に際し、パルス信号の時間間隔が記録される。また、直近に記録された時間間隔と、当該直近に記録された時間間隔の直前に記録された時間間隔との差が予め定められた所定範囲内である場合には、直近に記録された所定数の時間間隔の平均時間間隔と等しい時間の経過後に、子機の機械軸の位相角度が、復元された基準位相角度と特定角度とを加算した角度に等しくなるよう子機の機械軸が制御される。これにより、時間間隔の変動が比較的小さい場合に、子機の機械軸の回転速度が急激に変動してしまうことを抑制でき、子機の同期動作をより滑らかなものとすることができる。
手段6.前記スレーブ部は、前記パルス信号の入力開始時に前記パルス信号を認識することを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載のランプ製造装置。
上記手段6によれば、パルス信号の入力開始時にパルス信号が認識される。すなわち、パルス信号の入力が開始されたとき、参照パルス列における長パルス及び短パルスの並び順に基づいて基準位相角度が復元される。これにより、パルス信号の入力が終了されるのを待つことなく基準位相角度を復元することができ、速やかな基準位相角度の復元を図ることができる。
手段7.前記スレーブ部は、前記パルス信号の入力終了時に前記パルス信号を認識することを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載のランプ製造装置。
上記手段7によれば、パルス信号の入力終了時にパルス信号が認識される。つまり、パルス信号の入力が終了されたとき、参照パルス列における長パルス及び短パルスの並び順に基づいて基準位相角度が復元される。ここで、パルス信号の入力開始時にパルス信号が認識されるとき、パルス信号の認識時において当該パルス信号の入力は開始されたばかりであるため、当該パルス信号は未だ記録されていない。そのため、当該パルス信号を利用して基準位相角度を復元することができない。これに対し、本手段7のように、パルス信号の入力終了時にパルス信号が認識される場合には、当該パルス信号は既に記録されており、当該パルス信号を利用して基準位相角度を復元することができる。従って、より効率よく基準位相角度の復元を図ることができる。
手段8.前記スレーブ部は、前記親機を除く各加工装置に対応して設けられていることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載のランプ製造装置。
上記手段8によれば、親機を除く各加工装置に対応してスレーブ部が設けられる。ここで、例えば、1つのスレーブ部を用いて親機を除く各加工装置を制御する場合には、当該スレーブ部の故障等により親機を除く全ての各加工装置の同期動作に悪影響が及んでしまうおそれがある。これに対し、本手段8のように親機を除く各加工装置に対応してスレーブ部を設けることにより、1つのスレーブ部の故障等による悪影響はそのスレーブ部に制御される1つの加工装置に及ぼされるだけであり、その他の加工装置に悪影響が及ぼされてしまうことを防止できる。また、1つのスレーブ部を用いて親機を除く各加工装置を制御する場合には、各加工装置間の同期制御にあたりスレーブ部に過剰な負荷が生じてしまうおそれがあるが、親機を除く各加工装置に対応してスレーブ部を設けることにより、負荷を分散させることができる。これにより、演算速度がさほど速くない演算装置によってスレーブ部を実現したとしても、上記作用効果が奏されることとなり、コストの増大をさらに抑制することができる。
手段9.前記各加工装置は、前記ガラス管の一端部を封止する封止装置、前記ガラス管内の排気及びガス導入を行う排気・ガス導入装置、前記ガラス管に挿入された水銀合金部材を加熱するHg析出装置、及び前記ガラス管の他端部を封止するとともに、前記ガラス管の不要部位を切除するシールカット装置のうち、少なくとも2つの装置であることを特徴とする手段1乃至8のいずれかに記載のランプ製造装置。
上記手段9によれば、封止装置、排気・ガス導入装置、Hg析出装置、及び、シールカット装置のうち、少なくとも2つの装置が同期動作するように制御される。ここで、ランプの製造にあたり用いられる全ての加工装置に対して同期制御を行う場合、コストの増大を招いてしまうおそれがあるが、本手段9のように、ランプを製造するにあたって主要な装置である上記4つの装置のうち少なくとも2つの装置を同期制御されることで、同期動作による恩恵を十分に享受しつつ、コストの増大を効果的に抑制することができる。
手段10.前記各加工装置は、前記ガラス管の受渡手段を具備していることを特徴とする手段1乃至9のいずれかに記載のランプ製造装置。
上記手段10によれば、各加工装置はガラス管の受渡手段を具備しており、上述した各手段を用いることでガラス管の受渡を円滑に行うことができる。これにより、ガラス管の落下や破損等の不具合の発生を抑制することができる。
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1(f)に示すように、本実施形態におけるランプを構成する冷陰極蛍光灯1は、ガラスよりなるバルブ2と、バルブ2の両端において封止状態で設けられた第1マウント3及び第2マウント4とを備えている。バルブ2の内壁面には、蛍光体層5が設けられているとともに、バルブ2内部には水銀蒸気が存在している。各マウント3,4は、電極部21、該電極部21から延びるリード線22及びリード線22の基端部側に設けられたガラス製のビード23からなる。
かかる冷陰極蛍光灯1は、図2に示す所定のランプ製造装置100が用いられることにより、次のようにして製造される。すなわち、まず図1(a)に示すように、ガラス管11の内壁面の所定部位に蛍光体層5を形成する。蛍光体層5は、ガラス管11内壁面に塗布された蛍光塗膜が加熱焼成されることで形成される。本実施形態では、前記ガラス管11のうち、蛍光体層5にほぼ対応する部位をバルブ部12と称し、それよりも図の上方部位を被切除部13と称することとする。
次に、ガラス管11は、図2に示す封止装置41へと搬送される。当該封止装置41においては、図1(b)に示すように、バーナー等により、ガラス管11の一端部において、第1マウント3が封止される。第1マウント3の封止に際しては、ガラス管11と第1マウント3のビード23とが互いに溶着させられる。また、ガラス管11の他端側に第1縮径部15、第2縮径部16がそれぞれバーナー等で形成され、第1縮径部15に第2マウント4が仮止めされる。さらに、第2縮径部16に水銀合金部材18が挿入される。水銀合金部材18としては、例えば、金属製の筒体内に、水銀蒸気を放出可能な水銀合金を封入したものが好適に用いられる。また、第1縮径部15は、前記バルブ部12と、被切除部13とのほぼ境界部位(近傍)に形成され、第2縮径部16は、被切除部13の略中間位置に形成される。
続いて、図1(b)で示すガラス管11は、排気・ガス導入装置42へと供給される。排気・ガス導入装置42では、ガラス管11内が排気されつつ、アルゴン等の不活性ガス(希ガス)が導入される。この際、不純物の排出効率をより高めるために、ガラス管11の加熱が行われる。その後、ガラス管11は徐冷され、図1(c)に示すように、第1マウント3が封止された側と反対側の端部が封止される。
次いで、ガラス管11は、Hg析出装置43へと供給される。Hg析出装置43では、図1(d)に示すように、ガラス管11内の水銀合金部材18を、ボンバータ24(高周波加熱装置)を用いてガラス管11外周から加熱し、ガラス管11内に水銀蒸気を放出せしめる。そして、この加熱処理により、水銀蒸気が放出され、バルブ部12内に流入する。
次に、図1(d)で示すガラス管11は、シールカット装置44に供給される。シールカット装置44では、図1(e)に示すように、ガラス管11の第1縮径部15にて係止されていた前記第2マウント4を封止する。より詳しくは、ガラス管11の所定位置に位置決めした状態で、ガラス管11の第1縮径部15外周に沿って、バーナー25を相対回転させながら、ビード23及びガラス管11を加熱し、相互に溶着する。その後、図1(f)に示すように、前記ビードシール方式で封止した封着部を残して、被切除部13を切除する。このように一連の工程を経ることによって、換言すれば各種工程のための各種加工装置からなるランプ製造装置100を経ることで、前記冷陰極蛍光灯1が得られる。
さて、封止装置41から排気・ガス導入装置42、排気・ガス導入装置42からHg析出装置43、Hg析出装置43からシールカット装置44へとガラス管11をそれぞれ供給する際、各加工装置間でガラス管11を受け渡す必要があり、ガラス管11の受渡に際し、各加工装置はそれぞれ同期して動作している。次に、ランプ製造装置100の構成及び各加工装置間における同期制御の方法について説明する。
図2に示すように、ランプ製造装置100は、封止装置41や排気・ガス導入装置42等の各加工装置と、マスター31と、伝送路33とを備えている。各加工装置はそれぞれスレーブ32を備えており、各スレーブ32は、伝送路33を介してマスター31に対して電気的に接続されている。尚、各加工装置には、ガラス管11の受渡を行うための図示しない受渡手段が備えられている。
本実施形態において、マスター31は、コンピュータによって実現されており、図3に示すように、基準位相角度生成手段51とパルス信号生成手段52とを備えている。尚、コンピュータとしては、例えば、PLCと称される演算速度がさほど速くない機械制御用のコンピュータを用いることができる。
基準位相角度生成手段51は、同期の基準となる基準位相角度を親機の機械軸から生成するものである。本実施形態において、親機の機械軸とは、PLC内部において具現化されるいわば仮想的なものであり、親機の機械軸の回転速度は等速度となるように設定されている。ここで、基準位相角度の生成は、以下のように行われる。すなわち、まず、親機の機械軸が1サイクル動作する間に親機の機械軸が進む位相角度(本実施形態では、360度)と、親機の機械軸が1サイクル動作するために要する時間(「サイクルタイム」といい、本実施形態では、「T」を用いる)とを予め求めておき、親機の機械軸が1サイクル動作する間に進む位相角度をサイクルタイムで除算した角度、つまり単位時間当たりに親機の機械軸が進む位相角度を予め算出しておく。次に、当該単位時間当たりに親機の機械軸が進む位相角度に基づいて、サイクルタイムを予め定められた信号出力回数M(本実施形態では、例えば、M=8)で等分割した時間(「生成時間間隔」といい、本実施形態ではT/8)で親機の機械軸が進む位相角度(「特定角度」といい、本実施形態では、45度)を算出し、基準位相角度生成手段51に当該特定角度及び生成時間間隔を予め記録しておく。基準位相角度生成手段51は、まず初期状態における親機の機械軸の位相角度(本実施形態では、0度)を基準位相角度として生成し、後には、図4に示すように、前回生成された基準位相角度に特定角度を加算した基準位相角度を生成時間間隔毎に生成する(本実施形態では、45度、90度、135度、180度・・・と生成される)。生成された基準位相角度と親機の機械軸が1サイクル動作する間に進む位相角度とが等しくなったとき、PLCは親機の機械軸が初期状態に戻ったと判断し、初期状態における親機の機械軸の位相角度を基準位相角度として生成する。以後において、基準位相角度生成手段51は上記動作を繰返し行い、基準位相角度を生成していく。
パルス信号生成手段52は、前記基準位相角度生成手段51により生成された基準位相角度に対応するパルス信号を生成し、生成したパルス信号をスレーブ32へと出力する。また、生成されたパルス信号は、前記生成時間間隔毎にスレーブ32に対してその出力が開始される。ここで、パルス信号とは、図4に示すように、オン及びオフの2種類の状態を有する矩形信号のうち、オンの状態が本実施形態におけるパルス信号にあたる。パルス信号は、パルス幅が所定長さ以上の長パルスと、パルス幅が所定長さ未満の短パルスとの2種類であり、長パルスは、短パルスより所定の長さだけ長くなるように設定されている(本実施形態では、長パルスは短パルスの2倍の長さとされている)。生成されるパルス信号が長パルス或いは短パルスとなるかは、それぞれの基準位相角度に対応して予め定められている(便宜上、長パルスをW、短パルスをNと表示すると、本実施形態では、基準位相角度が0度である時はW、45度である時はW、90度である時はW、135度である時はN、180度である時はW、225度である時はN、270度である時はN、315度である時はNがそれぞれ出力されるようになっている)。ここで、親機の機械軸が1サイクル動作する間に生成されるパルス信号を並べたパルス列における長パルス及び短パルスの並び順(本実施形態では、WWWNWNNN)が、予め定められた所定の特定パルス列における長パルス及び短パルスの並び順と同様の並び順となるように設定されている。換言すれば、特定パルス列における長パルス及び短パルスの並び順に当てはめてパルス信号が生成・出力される。ここで、特定パルス列とは、当該特定パルス列を環状に配置し、環状に配置されたパルス列からlog2M以上の最小の整数である所定数A(本実施形態では、A=3)と同数のパルス信号からなる任意の異なる2組のパルス列を選択したとき、当該選択された2組のパルス列における長パルス及び短パルスの並び順が不一致となるパルス列である。例えば、本実施形態における特定パルス列{WWWNWNNN}を環状に配置し、環状に配置されたパルス列から3つのパルス信号からなるパルス列を選択すると、{WWW}、{WWN}、{WNW}、{NWN}、{WNN}、{NNN}、{NNW}、{NWW}が選択可能であり、これらのパルス列におけるW及びNの並び順は全て不一致となっている。
伝送路33は、パルス信号生成手段52において出力されたパルス信号をスレーブ32へと伝送するためのものである。当該伝送路33としては、2種類の長さのパルス信号さえ伝送できるものであればよく、本実施形態では、デジタルI/Oを1ビットのみで構成されている。
各加工装置は、スレーブ32と、モータ56と、エンコーダ57とを備えている。尚、ここでは、一例として、特に封止装置41に設けられているスレーブ32等の構成及び動作について説明するが、他の各加工装置においてもスレーブ32等が備えられており、同様の動作がされるものである。また、各加工装置に設けられた前記受渡手段は、モータ56によって動作されるものであり、モータ56の機械軸の位相角度と前記親機の機械軸から生成される基準位相角度とが等しくされることで、各加工装置間においてガラス管11を円滑に受渡できるように設定されている。加えて、エンコーダ57によって、モータ56の機械軸の位相角度及び回転速度を検出できるようになっている。
スレーブ32は、本実施形態において、マスター31と同様にPLCによって実現されている。尚、各加工装置には一般的に加工装置内の各種機械を制御するためのPLCが設けられており、当該PLCが用いられることで本実施形態のスレーブ32は実現されている。
スレーブ32は、図3に示すように、基準位相角度復元手段53と、加減速信号出力手段54と、インバータ55とを備えている。
基準位相角度復元手段53は、伝送路33を介してマスター31から入力されたパルス信号の時間間隔、及び入力されたパルス信号を入力された順序を維持しつつ記録している。本実施形態において、「パルス信号の時間間隔」とは、前回のパルス信号の入力開始時から今回のパルス信号の入力開始時までの時間をいう。また、パルス信号は、その入力が終了した時点で記録されるようになっている。換言すれば、パルス信号の入力開始時において、当該パルス信号は記録されていない。基準位相角度復元手段53は、パルス信号の入力開始時にパルス信号を認識し、当該パルス信号の認識に際し、記録されたパルス信号のうち直近に記録された所定数Aと同数のパルス信号からなるパルス列(「参照パルス列」という)における長パルス及び短パルスの並び順に基づいて、基準位相角度を復元する。復元される基準位相角度は、参照パルス列における長パルス及び短パルスの並び順に対応して予め定められている。ここで、記録されたパルス信号からなるパルス列は、特定パルス列を直列的に連続して並べたパルス列と等しいものであるため、親機の機械軸が1サイクル動作する間に参照され得る参照パルス列における長パルス及び短パルスの並び順は全て不一致であり、それぞれの参照パルス列における長パルス及び短パルスの並び順は固有のものである。これにより、参照パルス列から特定の基準位相角度を復元することができ、ひいては、生成された基準位相角度を復元できるようになっている。例えば、本実施形態では、図5に示すように、直近に記録された3つのパルス信号の並び順がそれぞれ{NNN}、{NNW}、{NWW}、{WWW}、{WWN}、{WNW}、{NWN}、{WNN}であるとき、復元される基準位相角度はそれぞれ0度、45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度と設定されている。ここで、図4に示すように、基準位相角度が270度である時、マスター31から短パルス(N)の入力が開始され、当該短パルスが認識された際、記録されたパルス信号からなるパルス列は・・・WWNWNである。このとき、直近に記録された3つのパルス信号からなる参照パルス列は{NWN}であり、当該参照パルス列{NWN}に対応して復元される基準位相角度は上述の通り270度である。すなわち、基準位相角度生成手段51によって生成された基準位相角度と等しい基準位相角度が復元される。
復元された基準位相角度及びパルス信号の時間間隔は、後述する加減速信号出力手段54へと送られる。尚、本実施形態において、所定時間以上パルス信号が入力されない場合、或いは、入力されたパルス信号が所定長さ以上である場合、加減速信号出力手段54に対し異常を示す信号が送られるようになっている。
加減速信号出力手段54は、パルス信号の認識に際し、基準位相角度復元手段53によって復元された基準位相角度と、モータ56の機械軸の位相角度と、モータ56の機械軸の回転速度とに基づいて、インバータ55に対して加速信号或いは減速信号を出力する。より詳しくは、直近に記録されたパルス信号の時間間隔(「第1時間間隔」という)と当該第1時間間隔の直前に記録されたパルス信号の時間間隔(「第2時間間隔」という)との時間差が所定範囲外にある場合、第1時間間隔と等しい時間の経過後に、モータ56の機械軸の位相角度が、復元された基準位相角度と特定角度とを加算した角度と等しくなるようインバータ55に対して、加速信号或いは減速信号を出力する。一方、第1時間間隔と第2時間間隔との時間差が所定範囲内にある場合には、直近に記録された所定数(本実施形態では、当該所定数を2とする)の時間間隔の平均値である平均時間間隔(本実施形態では、第1時間間隔及び第2時間間隔を加算した時間を2で除算した時間)の経過後に、モータ56の機械軸の位相角度が復元された基準位相角度と特定角度とを加算した角度と等しくなるようインバータ55に対して、加速信号或いは減速信号を出力する。例えば、本実施形態においては、図7に示すように、短パルス(N)であるパルス信号P1の認識に際し、参照パルス列は{WWW}であるため、前記基準位相角度復元手段53によって基準位相角度として135度が復元される。そして、加減速信号出力手段54により、第1時間間隔にあたる時間間隔Cと第2時間間隔にあたる時間間隔Bとの時間差が所定範囲G内にあるか否かが判断される。ここでは、時間間隔Cと時間間隔Bとの時間差が所定範囲Gの範囲外であるため、モータ56の機械軸の位相角度が、時間間隔Cと等しい時間の経過後に、現在復元された基準位相角度である135度と特定角度である45度とを加算した角度である180度と等しくなるよう、インバータ55に対して加速信号が出力される。次に、長パルス(W)であるパルス信号P2の認識に際し、参照パルス列は{WWN}であるため、基準位相角度復元手段53によって基準位相角度として180度が復元される。そして、加減速信号出力手段54により、第1時間間隔にあたる時間間隔Dと第2時間間隔にあたる時間間隔Cとの時間差が上記同様に判断される。ここでは、時間間隔Dと時間間隔Cとの時間差が所定範囲Gの範囲内にあるため、モータ56の機械軸の位相角度が、時間間隔C及び時間間隔Dを加算した値を2で除算した平均時間間隔と等しい時間の経過後に、現在の基準位相角度である180度と特定角度である45度とを加算した角度である225度と等しくなるよう、インバータ55に対し減速信号が出力される。尚、基準位相角度復元手段53から異常を示す信号が送られた際には、加減速信号出力手段54は、インバータ55に対して減速信号を出力し、モータ56の動作を停止させるようになっている。
インバータ55は、前記加減速出力手段54によって出力された加速信号或いは減速信号に基づいて、モータ56の機械軸の加速制御或いは減速制御を行う。
以上、上述した各手段の動作等により、前記親機の機械軸の基準位相角度とモータ56の機械軸の位相角度とが略等しいものとなり、その結果、各加工装置間においてガラス管11を円滑に受渡できるようになっている。
以上詳述したように、本実施形態によれば、伝送されるパルス信号は、パルス幅の異なる長パルス或いは短パルスである。そのため、シリアル伝送路等の一群のビット情報を伝送できる伝送路を用いる必要はなく、2種類の長さのパルス信号さえ伝送できる伝送路であれば十分である。従って、コストの増大を抑制することができる。さらに、伝送されるパルス信号は、長パルス或いは短パルスの2種類であるため、一群のビット情報等の比較的多量の情報が伝送される場合と比較して、スレーブ32が処理すべき情報量を比較的少なくすることができる。従って、スレーブ32は、演算速度がさほど速くないPLCであっても実現することができ、また、精度を保ちつつ同期動作させることができる。
加えて、親機の機械軸が1サイクル動作する間に、スレーブ32は親機の動作状況を信号出力回数Mと同回数把握することができ、把握された親機の動作状況に合わせて各加工装置を制御することができる。その結果、親機と各加工装置との同期動作をより精度よくすることができ、ひいては、各加工装置同士の同期動作をより精度よくすることができる。
さらに、所定時間以上パルス信号が入力されない場合、或いは、入力されたパルス信号のパルス幅が所定長さ以上である場合には、スレーブ32はモータ56を停止させる。これにより、仮にマスター31に故障等の不具合が発生した場合であっても、速やかにガラス管11の受渡手段を停止させることができ、同期のズレに伴うガラス管11の破損や落下等の不具合の発生を抑制することができる。
また、第1時間間隔と第2時間間隔との時間差が所定範囲Gの範囲外にある場合には、第1時間間隔と等しい時間が経過した後、モータ56の機械軸の位相角度が、復元された基準位相角度及び特定角度を加算した角度に等しくなるようモータ56の機械軸が制御される。これにより、入力されるパルス信号の時間間隔の変動が比較的大きい場合であっても、モータ56の機械軸の動作を親機の機械軸の動作に効果的に追従させることができる。その結果、親機と各加工装置との同期動作を一層精度よくすることができる。
一方で、第1時間間隔と第2時間間隔との時間差が所定範囲Gの範囲内にある場合には、平均時間間隔と等しい時間の経過後に、モータ56の機械軸の位相角度が、復元された基準位相角度と特定角度とを加算した角度に等しくなるようモータ56の機械軸が制御される。これにより、入力されるパルス信号の時間間隔の変動が比較的小さい場合には、モータ56の機械軸の回転速度が急激に変動してしまうことを抑制でき、各加工装置の同期動作を一層滑らかなものとすることができる。
加えて、本実施形態では、パルス信号の入力開始時にパルス信号を認識している。つまり、パルス信号の入力が開始されたとき、参照パルス列における長パルス及び短パルスの並び順に基づいて基準位相角度が復元される。これにより、パルス信号の入力が終了されるのを待つことなく基準位相角度を復元することができ、速やかな基準位相角度の復元を図ることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態においては、封止装置41や排気・ガス導入装置42等とは別の装置を親機(マスター)としているが、封止装置41や排気・ガス導入装置42等の各加工装置を親機とし、これらの装置に設けられたモータ56からエンコーダ等を用いて基準位相角度を生成することとしてもよい。これにより、親機として各加工装置とは別の装置を設ける必要がなくなり、コストの増大をより一層抑制することができる。
(b)上記実施形態においては、各加工装置間におけるガラス管11の受渡動作を中心に上述した同期制御方法が説明されているが、もちろん、加工装置内に設けられた各種機械間における同期動作において上述した同期制御方法が用いられることとしてもよい。例えば、ガラス管11の両端部を保持する一対の保持手段を移動させることでガラス管11を搬送する場合において、上述した同期制御方法を用いて当該一対の保持手段を同期して移動させることとしてもよい。
(c)上記実施形態では、信号出力回数Mを8としているが、信号出力回数Mとしては、3以上の整数であればよい。以下において、信号出力回数Mを3〜16とした場合において用いることができる特定パルス列及び特定パルス列の計数をそれぞれ表1〜表14に示す(各表において、長パルス列をW、短パルス列をNとして示している)。
尚、特定パルス列としては、長パルスと短パルスとを反転させたパルス列を用いることも可能である。また、特定パルス列の計数において、カッコ内の数値は長パルスと短パルスとを反転させたパルス列を含めた場合における計数である。
(d)上記実施形態では、各加工装置はモータ56及びエンコーダ57を備えているが、そのようなものに限られることなく、モータ56、インバータ55、及びエンコーダ57を備えないで、スレーブ32により復元された位相角度に従い、エアーシリンダなどのアクチュエータが動作する構成の加工装置であってもよい。この場合は、加工装置の機械軸は、親機の機械軸同様にPLC内部において具現化されている仮想的なものとなる。
(e)上記実施形態では、基準位相角度復元手段53によって復元される基準位相角度は、特定角度毎の位相角度(上記実施形態では、45度、90度、135度・・・)であるが、親機の機械軸の回転速度をもとに、特定角度毎の位相角度の間の位相角度を演算により補完処理した位相角度を、復元される基準位相角度としてもよい。補完処理は、親機の機械軸の回転速度を、過去のパルスの時間間隔をもとに、演算して推定し、所定時間毎に所定位相角度を加算することにより行うことができる。また、パルス信号を受取ったときに、そのパルス信号により復元される位相角度と、補完処理した位相角度にずれが生じた場合には、例えば次のパルス信号や数回先のパルス信号を受取ることが予想される時間までかかって、徐々に修正してもよい。もちろん、ずれの度合いに応じて修正されるまでの時間を可変してもよい。このような補完処理をすることにより、よりきめ細やかな同期制御をすることができる。
(f)上記実施形態では、復元した位相角度をもとに、機械軸が所定時間後に所定の位相角度になるよう制御しているが、復元した基準位相角度と、モータの機械軸の位相角度との差をもとに、モータを加速/減速制御することにより、同期制御してもよい。
(g)上記実施形態では、パルス信号の入力開始時にパルス信号が認識されているが、パルス信号の入力終了時にパルス信号が認識されることとしてもよい。この場合、パルス信号の入力終了時に、親機の機械軸の位相角度が、入力を終了したパルス信号に対応する基準位相角度と等しくなるようにされる。例えば、上記実施形態における特定パルス列{WWWNWNNN}を用いて説明すると、3連続するWのうちの左から3番目のWは基準位相角度が90度であるときに入力されるパルス信号であるが、当該Wの入力が終了した時点で親機の機械軸の位相角度が90度となるように設定される。また、図6に示すように、参照パルス列がそれぞれ{NNW}、{NWW}、{WWW}、{WWN}、{WNW}、{NWN}、{WNN}、{NNN}であるとき、基準位相角度として0度、45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度がそれぞれ生成されるとすると、例えば、上述した特定パルス列{WWWNWNNN}の左から3番目のWが認識されるに際し、当該Wの入力が終了しており、当該Wは記録済みである。従って、基準位相角度復元手段53は、当該Wを含めた参照パルス列{WWW}から基準位相角度(90度)を復元することができる。結果として、より効率よく基準位相角度を復元することができる。
(h)上記実施形態において、親機の機械軸が1サイクル動作する間に進む親機の機械軸の位相角度が360度とされているが、親機の機械軸が1サイクル動作する間に進む親機の機械軸の位相角度については360度に限定されるものではない。例えば、親機の機械軸が1サイクル動作する間に進む親機の機械軸の位相角度を180度としてもよい。
(i)上記実施形態において、親機の機械軸の回転速度は等速度となるようにされているが、親機の機械軸の回転速度が随時変化するものとしてもよい。この場合、特定角度は、復元された基準位相角度によって種々変化することとなる。
(j)上記実施形態では、加減速信号出力手段54は、第1時間間隔と第2時間間隔との時間差が所定範囲Gの範囲内であるとき、平均時間間隔と等しい時間の経過後に、モータ56の機械軸の位相角度が、復元された基準位相角度と特定角度とを加算した角度となるよう加速信号或いは減速信号を出力しているが、第1時間間隔と第2時間間隔との時間差が所定範囲Gの範囲内にあっても、第1時間間隔と等しい時間の経過後に、モータ56の機械軸の位相角度が、復元された基準位相角度と特定角度とを加算した角度となるよう加速信号或いは減速信号を出力することとしてもよい。
1…冷陰極蛍光灯、11…ガラス管、31…マスター、32…スレーブ、33…伝送路、41…封止装置、42…排気・ガス導入装置、43…Hg析出装置、44…シールカット装置、100…ランプ製造装置。