JP4836706B2 - 乗客コンベアのリニューアル工法 - Google Patents

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本発明は、乗客コンベアに備えられるフレームのリニューアル工法に関するものである。
一般に経年的に寿命を迎えたエスカレータなどの乗客コンベアは、既設の乗客コンベアを全部撤去した後、新設の乗客コンベアを設置するリニューアル方法が取られている(特許文献1参照)。また、工期短縮を目的として強度部材である既設のフレームの短尺方向に延設された横材を切断して取り除き、その空間に新設フレームを建物の天井に支持されたチェーンブロックにより吊りながら所定位置まで移動させ、その後結合して新設フレームとするリニューアル方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開昭58−152779号公報 特開2005−314085公報
前述の特許文献1、2に示される従来技術においては、既設フレーム内に新設フレームを設置する際には、乗客コンベアが設置される建屋の天井部にチェーンブロックを支持可能な構造物が必要であり、この構造物の取り付けのために、煩雑な作業を要していた。また、最上階以外の階床においては、乗客コンベアの真上には、さらに上方階への乗客コンベアが設置されているので、チェーンブロックを支持する構造物が確保できず、このためにチェーンブロックを介しての既設フレーム内への新設フレームの設置を実施できないという問題があった。
本発明は、このような従来技術の実状からなされたもので、その目的は、上方にチェーンブロックを支持可能な構造物が確保できない場合であっても、既設フレーム内に新設フレームを据え付けることができる乗客コンベアのリニューアル工法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、複数に分割された新設フレーム部分の各々について、吊り上げながら既設フレーム内の所定位置まで移動させ、前記複数の分割された新設フレーム部分を結合して前記既設フレーム内に前記結合された新設フレームを据え付ける乗客コンベアのリニューアル工法において、前記複数の分割された新設フレーム部分を吊り上げながら移動させるために前記既設フレームの傾斜部に配置されると共に両側部のそれぞれを形成する一対の支柱が正三角形の一部を形成する門型揚重装置をい、前記一対の支柱のうちのチェーンブロックが取付けられた一方のものを鉛直方向に配置された状態とすることを特徴とする。
本発明によれば、分割された新設フレーム部分を吊り上げながら移動させるために既設フレームの傾斜部に配置されると共に両側部のそれぞれを形成する一対の支柱が正三角形の一部を形成する門型揚重装置をい、その一対の支柱のうちのチェーンブロックが取付けられた一方のものを鉛直方向に配置された状態とするようにしたので、上方にチェーンブロックを支持可能な構造物が確保できない場合であっても、安定して信頼性高く既設フレーム内に新設フレームを据え付けることができると共に、建屋の天井に特別な構造物を取り付けることなくリニューアルに伴う作業を実施させることができる。
以下、本発明に係る乗客コンベアのリニューアル工法を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る乗客コンベアのリニューアル工法の一実施形態を説明する図で、既設フレームに新設フレームを収納した状態を想定した側面図、図2は、本実施形態を説明する図で、上部部位を形成する新設フレーム部分を運搬する状態を示す側面図、図3は、本実施形態を説明する図で、中部部位を形成する新設フレーム部分を運搬する状態を示す側面図、図4は、本実施形態を説明する図で、既設フレームに全ての新設フレーム部分を設置した状態を示す側面図、図5は、図4のA−A断面拡大図である。図6は、本実施形態において新設フレーム部分の運搬に際して用いられる第1門型揚重装置の斜視図、図7は、本実施形態において新設フレーム部分の運搬に際して用いられる第2〜4門型揚重装置を示す斜視図、図8は、本実施形態において新設フレーム部分の運搬に際して用いられる第5門型揚重装置を示す斜視図である。図9は、本実施形態が適用される既設フレームを示す側面図である。
はじめに、図9によって、本実施形態に係るリニューアル工法が適用される乗客コンベアの既設フレームについて説明する。既設フレーム1は、図9に示すように、乗客コンベアの下方乗場口の下部水平部2と、乗客コンベアの上方乗場口の上部水平部3と、これらの下部水平部2と上部水平部3との間に位置する傾斜部4から成っている。後述するように、この既設フレーム1内に本実施形態によって据え付けられる新設フレームが収納される。
次に、本実施形態に係るリニューアル工法に用いられる門型揚重装置について図6〜図8によって説明する。本実施形態で用いられる門型揚重装置は、例えば、図6に示すように、既設フレーム1の下部水平部2に配置される第1門型揚重装置5と、図7に示すように、傾斜部4に配置される第2門型揚重装置6、第3門型揚重装置7、第4門型揚重装置8と、図8に示すように、既設フレーム1の上部水平部3に配置される第5門型揚重装置9とから構成されている。
図6に示す第1門型揚重装置5は、それぞれの側部、例えば一方の側部に、既設フレーム1の下部水平部2に一端が固定され、この下部水平部2に鉛直に配置される支柱5a2と、既設フレーム1の下部水平部2に一端が固定され、他端が支柱5a2の他端と連結される支柱5a1とを備えている。他方の側部にも同様の支柱5b2と支柱5b1とを備えている。また、一方の側部を形成する支柱5a1,5a2の交差部と、他方の側部を形成する支柱5b1、5b2の交差部に、少なくとも1つの回転自在な吊り部5dを有する横部材5cが連結されている。なお、一方の側部を形成する支柱5a1,5a2と既設フレーム1の下部水平部2、及び他方の側部を形成する支柱5b1,5b2と既設フレーム1の下部水平部2のそれぞれは、直角三角形を形成している。
図7に示す第2,第3,第4門型揚重装置6,7,8も同様に、それぞれの側部、例えば一方の側部に、既設フレーム1の傾斜部4に一端が固定され、この傾斜部4に対して60°傾けて配置される支柱6a1(7a1,8a1)と、既設フレーム1の傾斜部4に一端が固定され、他端が支柱6a1(7a1,8a1)の他端と連結される支柱6a2(7a2,8a2)とを備えている。他方の側部にも同様の支柱6b1(7b1,8b1)と支柱6b2(7b2,8b2)とを備えている。また、一方の側部を形成する支柱6a1(7a1,8a1)、支柱6a2(7a2,8a2)の交差部と、他方の側部を形成する支柱6b1(7b1,8b1)、支柱6b2(7b2,8b2)の交差部に、少なくとも1つの回転自在な吊り部6d(7d,8d)を有する横部材6c(7c,8c)が連結されている。なお、一方の側部を形成する支柱6a1(7a1,8a1)、支柱6a2(7a2,8a2)と既設フレーム1の傾斜部4、及び他方の側部を形成する支柱6b1(7b1,8b1)、支柱6b2(7b2,8b2)と既設フレーム1の傾斜部4のそれぞれは、正三角形を形成している。すなわち、両側部のそれぞれを形成する一対の支柱6a1(7a1,8a1)、6a2(7a2,8a2)が正三角形の一部を形成している。
図8に示す第5門型揚重装置9は、前述した第1門型揚重装置5と同形状に形成されており、この第5門型揚重装置9も、それぞれの側部、例えば一方の側部に、既設フレーム1の上部水平部3に一端が固定され、この上部水平部3に鉛直に配置される支柱9a2と、既設フレーム1の上部水平部3に一端が固定され、他端が支柱9a2の他端と連結される支柱9a1とを備えている。他方の側部にも同様の支柱9b2と支柱9b1とを備えている。また、一方の側部を形成する支柱9a1,9a2の交差部と、他方の側部を形成する支柱9b1,9b2の交差部に、少なくとも1つの回転自在な吊り部9dを有する横部材9cが連結されている。なお、一方の側部を形成する支柱9a1,9a2と既設フレーム1の上部水平部3、及び他方の側部を形成する支柱9b1,9b2と既設フレーム1の上部水平部3のそれぞれは、直角三角形を形成している。
このような門型揚重装置5〜9を用いて行う本実施形態に係るリニューアル工法について以下に説明する。
はじめに図1に示すように、想定される新設フレーム部分すなわち下部部位10、第1中間部部位11、第2中間部部位12、上部部位13を、既設フレーム1内の所定位置に収納することを考慮して、まず、図6に示す吊り部5dに第1チェーンブロック17が取り付けられた第1門型揚重装置5を既設フレーム1上における下方乗降口の下部水平部2に、すなわち想定される下部部位10上に配置する。さらに、図7に示す吊り部6dに第2チェーンブロック18が取り付けられた第2門型揚重装置6を、想定される下部部位10と第1中間部部位11との結合部である第1接合部14の直上の近傍部に配置し、図7に示す吊り部7dに第3チェーンブロック19が取り付けられた第3門型揚重装置7を、想定される第1中間部部位11と第2中間部部位12との結合部である第2接合部15の直上の近傍部に配置し、図7に示す吊り部8dに第4チェーンブロック20が取り付けられた第4門型揚重装置8を、想定される第2中間部部位12と上部部位13との結合部である第3接合部16の直上の近傍部に配置する。そして、図8に示す吊り部9dに第5チェーンブロック21が取り付けられた第5門型揚重装置9を、既設フレーム1上における上方乗降口の上部水平部3に、すなわち想定される上部部位13上に配置する。
なお、第2門型揚重装置6の支柱6a1,6b1、第3門型揚重装置7の支柱7a1,7b1、第4門型揚重装置8の支柱8a1,8b1のそれぞれは、傾きが30°に傾斜した既設フレーム1の傾斜部4上に配置されているので、鉛直状態に保持される。
次に、図2に示す上方位置まで新設フレームの上部部位13を移動すなわち運搬するために、例えば、上述の第1チェーンブロック17を上部部位13の後端に固定し、第2チェーンブロック18を上部部位13の先端に固定した状態にする。次に、第3チェーンブロック19を上部部位13の先端に固定し、上部部位13を傾斜部4の中間部付近の位置まで運搬する。その後、第4チェーンブロック20を上部部位13の先端に固定し、第2チェーンブロック18を上部部位13の先端から後端に固定し直し、第1チェーンブロック17を上部部位13の後端から開放する。そして、第5チェーンブロック21を上部部位13の先端に固定し、上部部位13を所定の配置場所へ運搬させる。
上述の上部部位13を運搬した後、この上部部位13に連結可能となる図3に示す位置まで、新設フレームの第2中間部部位12を運搬するために、第1チェーンブロック17を第2中間部部位12の後端に固定し、第2チェーンブロック18を第2中間部部位12の先端に固定した状態にする。次に、第3チェーンブロック19を第2中間部部位12の先端に固定し、第2中間部部位12を上部部位13に連結可能となる位置まで運搬する。その後、第4チェーンブロック20を第2中間部部位12の先端に固定し、第2チェーンブロック18を第2中間部部位12の先端から後端に固定し直し、第1チェーンブロック17を第2中間部部位12の後端から開放する。次に、吊り部8dの第4チェーンブロック20に加えて、上部部位13との結合に用いられる追加チェーンブロック22を吊り部8dに取り付け、この追加チェーンブロック22と上部部位13の後端を固定し、上部部位13の後端を軽く持ち上げる。この状態で、第2中間部部位12の先端と上部部位13の後端を接合部16で結合する。
同様に、第1中間部部位11を第1チェーンブロック17、第2チェーンブロック18、第3チェーンブロック19により連結可能となる位置まで運搬し、第2中間部部位12との結合に用いられる吊り部7dに取り付けた追加チェーンブロック22を介して、第1中間部部位11と第2中間部部位12を接合部15で結合する。また、下部部位10を第1チェーンブロック17、第2チェーンブロック18により連結可能となる位置まで運搬し、第1中間部部位11との結合に用いられる吊り部6dに取り付けた追加チェーンブロック22を介して、下部部位10と第1中間部部位11を接合部14で結合する。これによって図4、5に示すように新設フレーム部分である下部部位10、第1中間部部位11、第2中間部部位12、上部部位13を連結して成る新設フレームを既設フレーム1内に収納することができる。その後、門型揚重装置5〜9、及び第1〜第5チェーンブロック17〜21と追加チェーンブロック22を取り外す。これによって、リニューアルが完了する。
[本実施形態の効果]
このようにしてリニューアルを行う本実施形態によれば、分割された新設フレーム部分である下部部位10、第1中間部部位11、第2中間部部位12、上部部位13を吊り上げながら移動させるために、複数の門型揚重装置5〜9と、これらの複数の門型揚重装置5〜9のそれぞれに取り付けられた第1〜第5チェーンブロック17〜21を用いるとともに、門型揚重装置5〜9のそれぞれを既設フレーム1上における上方乗降口の上部水平部3と、下方乗降口の下部水平部2と、これらの上部水平部3と下部水平部2との間の傾斜部4にそれぞれ選択的に配置するようにしたので、上方に第1〜第5チェーンブロック17〜21を支持可能な構造物が確保できない場合であっても、既設フレーム1内に新設フレームを据え付けることができる。また、建屋の天井に特別な構造物を取り付けることなくリニューアルに伴う作業を実施させることができる。
また、上述のように特別な構造物を必要としないので、このような特別な構造物の取り付けによる建屋の強度低下を招くことなく、新設フレームを運搬することができる。
本発明に係る乗客コンベアのリニューアル工法の一実施形態を説明する図で、既設フレームに新設フレームを収納した状態を想定した側面図である。 本実施形態を説明する図で、上部部位を形成する新設フレーム部分を運搬する状態を示す側面図である。 本実施形態を説明する図で、中部部位を形成する新設フレーム部分を運搬する状態を示す側面図である。 本実施形態を説明する図で、既設フレームに全ての新設フレーム部分を設置した状態を示す側面図である。 図4のA−A断面拡大図である。 本実施形態において新設フレーム部分の運搬に際して用いられる第1門型揚重装置の斜視図である。 本実施形態において新設フレーム部分の運搬に際して用いられる第2〜4門型揚重装置を示す斜視図である。 本実施形態において新設フレーム部分の運搬に際して用いられる第5門型揚重装置を示す斜視図である。 本実施形態が適用される既設フレームを示す側面図である。
符号の説明
1 既設フレーム
2 下部水平部
3 上部水平部
4 傾斜部
5 第1門型楊重装置
5a1 支柱
5a2 支柱
5b1 支柱
5b2 支柱
5c 横部材
5d 吊り部
6 第2門型楊重装置
6a1 支柱
6a2 支柱
6b1 支柱
6b2 支柱
6c 横部材
6d 吊り部
7 第3門型楊重装置
7a1 支柱
7a2 支柱
7b1 支柱
7b2 支柱
7c 横部材
7d 吊り部
8 第4門型楊重装置
8a1 支柱
8a2 支柱
8b1 支柱
8b2 支柱
8c 横部材
8d 吊り部
9 第5門型楊重装置
9a1 支柱
9a2 支柱
9b1 支柱
9b2 支柱
9c 横部材
9d 吊り部
10 下部部位
11 第1中間部部位
12 第2中間部部位
13 上部部位
14 第1接合部
15 第2接合部
16 第3接合部
17 第1チェーンブロック
18 第2チェーンブロック
19 第3チェーンブロック
20 第4チェーンブロック
21 第5チェーンブロック
22 追加チェーンブロック

Claims (1)

  1. 複数に分割された新設フレーム部分の各々について、吊り上げながら既設フレーム内の所定位置まで移動させ、前記複数の分割された新設フレーム部分を結合して前記既設フレーム内に前記結合された新設フレームを据え付ける乗客コンベアのリニューアル工法において、
    前記複数の分割された新設フレーム部分を吊り上げながら移動させるために前記既設フレームの傾斜部に配置されると共に両側部のそれぞれを形成する一対の支柱が正三角形の一部を形成する門型揚重装置をい、前記一対の支柱のうちのチェーンブロックが取付けられた一方のものを鉛直方向に配置された状態とすることを特徴とする乗客コンベアのリニューアル工法。
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