JP4836352B2 - 非プロトン性溶媒中での過酸化ジアシルの合成 - Google Patents

非プロトン性溶媒中での過酸化ジアシルの合成 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、相溶性の非プロトン性溶媒中でハロゲン化アシルから過酸化ジアシルを合成する分野にある。
【0002】
【従来の技術】
過酸化ジアシル類は、ポリオレフィン、特に、テトラフルオロエチレンなどのフルオロオレフィンの工業生産に通常使用される開始剤の1つである。過酸化ジアシル類は、R−(C=O)−O−O−(C=O)−Rと表すことができる。その過酸化物は分解して、フリーラジカルとして知られるRを生じ、そのラジカルはオレフィンモノマーと反応して重合サイクルを開始させる。テトラフルオロエチレンを例にとると、
R−(C=O)−O−O−(C=O)−R → 2R−(C=O)−O →2R+2CO
+CF=CF → R−CF−CF
R−CF−CF +CF=CF → R−CF−CF−CF−CF
となる。開始剤から生じるR基はポリマーの「末端基」と呼ばれる。
【0003】
過酸化ジアシル類の古典的な合成は水系合成であった。過酸化水素のアルカリ性水溶液を酸ハロゲン化物の水に混和しない溶液と接触させる。その例が、フロリダ州オーランドのAcademic Press,Inc.のPolymerSynthesis,Vol.1,p.451,(1974)に記載のS.R.SandlerとW.Karoの論文および米国特許第5,021,516号に見られる。これは2つの液相、水相と非水相の反応である。式(1)はその反応を示すものである。
【0004】
2R−(C=O)X+H+2NaOH → R−(C=O)−O−O−(C=O)−R+2NaX+2HO (1)
(1)の化学量論から、1モルの過酸化水素が2モルのハロゲン化アシルと反応して1モルの過酸化ジアシルが得られることが明らかである。その過酸化ジアシルは生成すると水に混和しない相に吸収される。この方法によって、そのハロゲン化アシルと過酸化ジアシルのアルカリ性水相への暴露が最小限におさえられる。それは望ましいことである。なぜなら、水は出発物質の有機ハロゲン化アシルおよび生成物である過酸化ジアシルの両方を加水分解するからである。加水分解が起こると、収率が低下し、不純物である酸や過酸などの副生物が生じる。その反応の終りに、過酸化ジアシルを溶解している水に混和しない溶媒を分離し、乾燥し、必要に応じて精製する。
【0005】
有機合成における水性および非水性官能基の酸化に過炭酸ナトリウムおよび過ホウ酸ナトリウムを使用することが報告されている(A.McKillopとW.R.SandersonによるTetrahedron,vol.51,No.22,6145〜6166頁,1995年;J.MuzartによるSynthesis,1325〜1346頁,1995年11月)。プロトン性溶媒および非プロトン性溶媒中で尿素/過酸化水素付加物を使用する有機酸化反応が、M.S.Cooper等によってSynlett,533〜535頁,1990年9月に報告されている。有機酸、酸無水物およびハロゲン化アシルがこれらの反応の試薬および溶媒であり、そしてその酸化の中間体として過酸が提案されている。その反応の望ましくない副生物として過酸化ジアシルの生成が論じられている。
【0006】
日本特許第61152653号は、ハロゲン化溶媒中でハロゲン化アシルと過酸化ナトリウム(Na)を混合し、その後で水を加えることによる過酸化ジアシルの調製を開示している。過酸化ナトリウムは注意深く取り扱わなければならない。過酸化ナトリウムは有機物と激しく、すなわち爆発的に反応する可能性があり、吸湿性であり、しかも空気中から二酸化炭素を吸収して、加圧または摩擦を受けると発火する可能性がある化合物を生成する。さらに、過酸化ナトリウムは強い塩基性であり、塩基に敏感な化合物と一緒に使用することができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
安定かつ取扱の容易な酸化剤を使用して、非プロトン性溶媒中で安全かつ経済的な過酸化ジアシルの合成、および高収率とする操作法が必要とされている。その将来の見通しから、フルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、またはハイドロハロカーボンなどの不燃性溶媒中で実施可能なプロセスに対する要求が最も高い。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の一形態は過酸化ジアシルの合成方法に関し、該方法は、過酸化物複合体により、または有機ハロゲン化アシルと過酸化物複合体(peroxide complex)との反応の生成物により酸化され得る化合物を実質的に含まない相溶性の非プロトン性溶媒中で、有機ハロゲン化アシルと過酸化物複合体を接触させることによる。本発明の第2の形態は過酸化ジアシルの連続合成方法に関し、該方法は、相溶性の非プロトン性溶媒中の有機ハロゲン化アシルからなる供給流と、過酸化物複合体からなる吸着床を連続的に接触させることによって相溶性の非プロトン性溶媒中に過酸化ジアシルからなる生成物流を形成するものであり、その相溶性の非プロトン性溶媒はその過酸化物複合体により、または有機ハロゲン化アシルと過酸化物複合体との反応の生成物により酸化され得る化合物を実質的に含まない。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、相溶性の非プロトン性溶媒中で、有機ハロゲン化アシルと過酸化物複合体を接触させることによる有機過酸化物の合成方法に関する。驚くべきことに、過酸化ジアシルが高収率で調製できること、さらにその過酸化物複合体がハロゲン化アシルに関して過剰のモルで存在すると収率が向上することが明らかになった。そのことは予期したことおよび従来技術の教えに反することであり、その両方は、過剰の過酸化物によって過酸化ジアシルの収率が抑制され、過酸の収率が高まると予想させるものであった。
【0010】
有機ハロゲン化アシルは、R−(C=O)Xという構造によって表される化合物である。Xは、ハロゲン、すなわち、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す。最も容易に利用できるハロゲン化アシルは、一般に、塩化アシルまたはフッ化アシルである。Rは、反応条件の下で本発明を実施するのに有用な1以上の過酸化物複合体と相溶性のある任意の有機基を示す。相溶性のあるR基は、望ましくない生成物を生じる反応過程のまたは反応混合物の他の成分によって、またはさもなければその成分と反応することによって酸化されやすい原子または原子基を含んでいない基である。本発明で許容できるR基には、脂肪族および脂環式の基、エーテル官能性を持ったこれらの同じ基、アリール基およびその置換基が合成条件下で本発明の1以上の過酸化物複合体と相溶性である置換アリール基が含まれる。そのR基は部分的にあるいは完全にハロゲン化されていてもよい。過ハロゲン化されている場合は、そのR基は過フッ素化された基を有するようなただ1種類のハロゲンを有してもよいし、または、例えば、クロロフッ素化された基を有するような数種類のハロゲンを持っていてもよい。
【0011】
そのR基はまた、−COOCH、−SOF、−CN、I、BrまたはHなどのいくつかの官能基または原子を含むことも可能である。上述のように、R基はそのポリマーの中でポリマー鎖の末端に、すなわち、末端基として取り込まれている。そのポリマーを、その末端基を通して他の分子、例えば、他のモノマーまたはポリマーとさらに反応させることができること、あるいはその末端基にイオン官能性を導入して、分散を促進させるために金属、金属酸化物、顔料などの極性表面または水もしくはアルコールなどの極性分子との相互作用を促進することができるということは時として有用である。上に述べたある種の官能基、例えば、−COOCHおよび−SOF(フルオロスルホニル基)は加水分解、特に塩基を触媒とした加水分解および求核試薬との反応を受けやすい。しかし、本発明の好ましい形態には水相がないために、そして本発明を実施するのに有用な過酸化物複合体の特異性のために、これらの官能基は影響を受けず、これらのハロゲン化アシルに対応する過酸化ジアシルを製造することができる。それによって本発明は、少なくとも1つのアシル成分に少なくとも1つのフルオロスルホニル基を有する新規の過酸化アシル化合物を提供する。好ましくは、そのアシル成分の少なくとも1つはFSOCF(C=O)Fから誘導される。例えば、FSOCF(C=O)Fから新しい化合物FSOCF(C=O)−O−O−(C=O)CFSOF、ビス[パーフルオロ(フルオロスルホニル)アセチル]パーオキシドを、フッ化スルホニル官能性をスルホン酸へと加水分解することなしに、製造することができる。したがって、そのような加水分解に敏感な基を過酸化ジアシルに取り入れ、それによりポリマーの末端基として導入できるということは、本発明による方法のさらなる利点である。
【0012】
本発明に従って過酸化ジアシルを合成する場合、通常は1つ以下の有機ハロゲン化アシルを使用することになる。2つ以上の有機ハロゲン化アシルを使えばその反応は十分に進むだろうが、2つ以上の過酸化ジアシルができることになる。例えば、2つの有機過酸化アシル、A−(C=O)XおよびB−(C=O)Xを使用すると、3つの過酸化ジアシル、すなわち、A−(C=O)−O−O−(C=O)−A、B−(C=O)−O−O−(C=O)−BおよびA−(C=O)−O−O−(C=O)−Bの混合した過酸化ジアシルが予想されるだろう。その過酸化物の割合は、有機ハロゲン化ジアシルの添加の順序によってある程度まで調節できる。そのような過酸化物の混合物は、通常は望ましくない。なぜなら、過酸化物が異なると、一般に分解速度も異なるからである。しかし、混合過酸化ジアシルを望む場合は、本発明の方法を使用し、必要に応じて、分離工程または精製工程を続けて行うことで、付随する不必要な過酸化物を減少させるまたは除去することができる。
【0013】
アシル基が炭化水素基である過酸化ジアシルを本発明により製造することができる。これらの炭化水素過酸化ジアシルは、炭化水素末端基の存在が許容できるまたは望ましいときにフルオロオレフィンの重合など、オレフィンの重合の開始に有用である。低温炭化水素開始剤が必要なときは、過酸化イソブチリルが好ましい。それはハロゲン化イソブチリル、好ましくは塩化イソブチリルから製造することができる。
【0014】
本発明による過酸化ジアシルの合成は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデンおよびフッ化ビニルなどのフルオロオレフィンを、ホモポリマーとして、あるいは相互のまたはエチレンおよびパーフルオロアルキルエチレンなどの他のオレフィンとのコポリマーとして重合する開始剤を製造するのに特に有用である。フルオロオレフィンの重合は、不安定な炭素−水素結合を持った化合物が存在すると、連鎖移動を受けやすい。したがって、開始剤にはそのような結合がないことが望ましい。さらに、フルオロポリマーが加工され、そしてそれらがしばしば使用される条件は高温なので、そのポリマーの末端基の熱安定性および加水分解安定性が重要である。その開始剤のR基はそのような末端基の1つの供給源である。したがって、ポリマーの末端基に特別な反応性が必要な場合を除き、開始剤の連鎖移動活性を最小限にし、そしてポリマー鎖の末端基に比べて熱安定性および加水分解安定性を持った末端基を提供するために、そのR基には連鎖移動できる、またはポリマーそのものよりも熱的にまたは加水分解的に安定性が劣る結合がないということが望ましい。フルオロモノマーを重合する場合に、過ハロゲン化されたR基、しかも好ましくは過ハロゲン化されたR基がこの要求を満足させる。ハロゲン化された基およびフッ素化された基のエーテル官能性は、その酸素が過ハロゲン化されたまたは過フッ素化された炭素原子の間にある場合または過ハロゲン化アルキル基またはパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子の間にある場合には、良好な熱安定性および酸化安定性を有するので、そのようなエーテル官能性も受け入れられる。
【0015】
フルオロ有機ハロゲン化アシル、すなわち、R基が少なくとも部分的にフッ素化されたハロゲン化アシルおよび特にパーフルオロ有機ハロゲン化アシルが容易に反応して対応する過酸化ジアシルを生成するということは、本発明に基づく過酸化ジアシル合成のさらなる利点である。本発明のパーフルオロ有機ハロゲン化アシルの1例は、パーフルオロ(2−メチル−3−オキサ−ヘキサノイルフルオリド)であり、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)二量体酸フッ化物およびDAFとしても知られている。その式は、
CFCFCFOCF(CF)(C=O)F
である。他の適当なパーフルオロ有機ハロゲン化アシルには、CFCFCF(C=O)Cl(ヘプタフルオロブチリルクロリド)およびCFCF(C=O)F(ペンタフルオロプロピオニルフルオリド)が含まれる。
【0016】
本発明を実施するのに有用な過酸化物複合体には、a)本明細書で無機複合体と呼ばれる過酸化水素と無機化合物の複合体、およびb)本明細書で有機過酸化物複合体と呼ばれる過酸化水素と有機分子との複合体が含まれる。これらの複合体には、過酸化水素がその化合物の単離を可能にするのに十分な強さの結合によって無機化合物または有機化合物と結合されているそれらの物質が含まれているが、その結合は過酸化水素の成分またはそれが複合体を形成している化合物の成分の間でそれらよりも弱いまたは性質が異なる可能性がある。この判定基準によって、単離可能で組成NaCO・11/2を有する「過炭酸ナトリウム」が過酸化水素の複合体であるのに対して、過酸化水素の水溶液は、濃度とともに変わる水和度を持っている可能性があるものの、複合体ではないということが分かる。本明細書で使用されている用語としての複合体は、過酸化物の元素がその分子の欠かせない部分であると報告されている過ホウ酸ナトリウムなどの化合物も含んでいる。本発明による複合体には、効果がないことが分かっているモノ過硫酸カリウム(KHSO)などの、過硫酸塩またはモノ過硫酸塩は含まれていない。過硫酸塩中の酸素と硫黄結合の安定性は非常に高いので過硫酸塩はこの合成に必要な過酸化水素成分を供給できない。これらの条件以外には、その複合体の構造に関して何も含まれていない。複合体は、その過酸化物が弱いまたは強い結合により結合されている、過酸化水素と無機化合物または有機分子との結合体であってよい。あるいは、複合体は、その過酸化物の成分がその化合物または分子の構造に組み込まれているが、酸ハロゲン化物との反応に利用できる過酸化物と化合物または分子との反応生成物であってもよい。ある種の複合体の場合には、その構造は未知であることがある。その複合物は乾燥していることが好ましい。その複合物は無水であることがより好ましい。「乾燥」という用語は、結晶化の水が存在してもよいが、本質的に水がないことを意味する。「無水」は、結晶化の水も含めて水がないことを意味する。多くの過酸化物複合体およびその合成は米国特許第5,820,841号に記載されている。
【0017】
その過酸化物複合体が相溶性の非プロトン性溶媒に実質的に不溶であること、しかも反応中に固相として存在することが好ましい。そのような過酸化物複合体は、反応後にろ過によって容易に除去されるか、または相溶性の非プロトン性溶媒中のハロゲン化アシルが通過する吸着床の形で使用される。同様に、消費された複合体が反応後に不溶性で固相で残ることも好ましい。
【0018】
本発明による過酸化ジアシルの合成に便利な無機過酸化物複合体の中には、過炭酸塩および過ホウ酸塩がある。これらはナトリウム塩として最も容易に利用でき、洗剤産業で使用されている。例えば、カリウム塩などの、過炭酸塩または過ホウ酸塩の他のアルカリ金属塩も本発明に従って使用することが可能である。例えば、カルシウム塩などのアルカリ土類の過炭酸塩および過ホウ酸塩は、簡単に利用できないのであまり望ましくはないが、本発明の方法によれば有用であると予想されるということは、当業者なら理解するだろう。本発明の目的にとっては、アルカリ金属およびアルカリ土類の過炭酸塩および過ホウ酸塩は両方とも過酸化ジアシルの合成に役に立つが、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。便宜上、過炭酸の塩および過ホウ酸の塩を、本明細書では過炭酸塩および過ホウ酸塩と呼ぶことにする。
【0019】
過炭酸ナトリウム、NaCO・11/2は水分によって加水分解される。そして本発明による過酸化ジアシルの合成で最良の結果を得るには、その過炭酸塩を乾燥状態に保つべきである。過ホウ酸ナトリウムは、NaBO・HOとして存在し、時には過ホウ酸ナトリウム一水和物と呼ばれることもあるが、Na(B)であると報告され、したがって無水塩である。同様に、いわゆる過ホウ酸ナトリウム四水和物は三水和物、すなわち、Na(B)・3HOであると報告されている。その誤称の過ホウ酸ナトリウム一水和物が本発明の実施に使用されるべき好ましい形態である。
【0020】
本発明を実施するのに有用な有機過酸化物複合体には、相溶性の非プロトン性溶媒にある程度の溶解度を持っている複合体、または少なくとも、その相溶性の非プロトン性溶媒からの分離を困難にするに必要なだけの揮発性を有する複合体が含まれる。その好ましい有機複合体は、不溶性であり、その残分がその相溶性の非プロトン性溶媒に不溶であり、合成中に固相として存在する複合体である。したがって、それらの複合体は過酸化ジアシル溶液から容易に分離される。その有機複合体は不安定な元素または基がないこと、または本発明によるプロセスの反応物または生成物と反応できる結合がないことが、特に、そのような反応がその有機分子を分解し、そのような分解生成物が反応混合物に入る場合には、さらに好ましい。
【0021】
尿素/過酸化水素付加物(尿素・H)が好ましい有機過酸化物複合体であり、市販されている(米国ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrichChemical社)。それは固体でしかも本明細書で指定されている溶媒に本質的に不溶であり、たとえ少量がろ過装置を通ってまたは他の手段で過酸化ジアシル溶液の中に運ばれるとしても、尿素は遊離基の連鎖移動に対して活性ではないので、重合には殆ど影響を与えない。
【0022】
有機過酸化物複合体の顕著な利点は、反応混合物に金属イオンを導入せず、したがって金属イオンのない過酸化ジアシルを生じることである。重合において、そのような過酸化ジアシルがポリマーに金属イオンを導入することはない。半導体産業などの高純度が要求されるある種の用途にとっては、金属含有量の少ないまたは金属イオンのないポリマー、特にフルオロポリマーが必要とされている。
【0023】
過炭酸塩、過ホウ酸塩および尿素/過酸化水素付加物と、それらの反応後に残っている炭酸塩、ホウ酸塩および尿素の重要な特性は、本発明で使用される相溶性の非プロトン性溶媒への溶解度が低いことであり、反応条件下で固相であるからである。それらは固体なので、反応混合物からろ過により容易に分離することができる。同じ理由で、過炭酸塩、過ホウ酸塩および尿素/過酸化水素付加物を過酸化ジアシルの連続合成用の吸着床に使用することができる。
【0024】
有機ハロゲン化アシルおよび生成物である過酸化ジアシルを溶解する、そして生成物である過酸化ジアシルと、あるいは有機ハロゲン化アシルおよび過炭酸塩、過ホウ酸塩または尿素/過酸化水素付加物といった反応物と特に不相溶性ではない任意の非プロトン性溶媒またはその混合物を使用できるということが本発明に基づく過酸化ジアシル合成の利点の1つである。不相溶性の溶媒には、第三級アミン類が含まれる。なぜなら、それらはハロゲン化アシルおよび過酸化ジアシルと反応してアンモニウム塩を生成するからである。有用な溶媒には、非ハロゲン化溶媒、およびハロカーボン溶媒が含まれる。非ハロゲン化溶媒の部類には炭化水素溶媒がある。これら炭化水素溶媒は炭化水素モノマーの重合に使用される過酸化ジアシルに有用性を持っているが、フルオロモノマーの重合には有用性が劣る。何故なら、フルオロモノマーの重合では炭化水素に連鎖移動活性という性質があるからである。したがってハロカーボン溶媒は、連鎖移動活性が低いので、フルオロモノマーおよび炭化水素モノマーの両方の重合で有用であるために好ましい。
【0025】
非ハロゲン化溶媒の中では、液体または超臨界状態の二酸化炭素が好ましい。それは連鎖移動に耐え、過酸化ジアシルなどの酸化剤に対して反応しない、そして大気圧および室温でガスなので重合生成物から容易に分離できる。驚くべきことに、ルイス酸である二酸化炭素は、ハロゲン化アシルと過酸化物複合体との反応による過酸化ジアシルの生成に効果的な溶媒であることが明らかになった。この発見により、二酸化炭素中で過酸化ジアシルを高収率で直接合成するルートが明らかになり、水の存在を最小限にし、そして先ず別の溶媒中で過酸化ジアシルを調製し、その後にその溶媒を、どんな手段であれ、二酸化炭素と交換する合成ルートにおいて避けられないであろう、いかなる有機溶媒をも除去することができる。過酸化ジアシルの二酸化炭素溶液は二酸化炭素中で行われる重合において特に有効であることが分かる。何故ならば、そのような開始剤溶液はその重合に第2の溶媒を導入しないからである。
【0026】
そのハロカーボン溶媒には、フルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、パーハロカーボンおよびパーフルオロカーボンが含まれる。特にフルオロオレフィンの重合中に、水素含有ハロカーボン溶媒の中で、その水素は不安定ではないということ、すなわち、遊離基があっても明らかな連鎖移動を受けにくいことが好ましい。「ハロカーボンエーテル」もまた有用であり、それは、エーテルの酸素に隣接している炭素原子が完全にハロゲン化、好ましくは完全にフッ素化されており、またはアルキル基、好ましくはハロゲン化アルキル基で置換されており、残っている炭素原子にある1価の原子は独立して水素、フッ素または塩素である少なくとも1つのエーテル結合を含んでいる分子として定義されている。別の種類の有用な溶媒はパーフルオロアミンである。フッ素化されていない有機アミンとは対照的に、そのパーフルオロアミンは殆どまたは全く塩基性の性質を持っていない。好ましい相溶性の非プロトン性溶媒はハロカーボン、より好ましくは液体CFCl−CFCl(CFC−113)などのクロロフルオロカーボンおよび米国ニューハンプシャー州、WindhamのLancaster Synthesis Inc.社からフルオロエーテルE2として入手できる液体CFCFCFOCF(CF)CFOCFHCFなどのフルオロカーボンである。
【0027】
本発明の独特な特徴の1つは、少しも他の溶媒のない選り抜きの溶媒または複数溶媒の中で過酸化ジアシルを直接生成できるということである。
【0028】
過酸化物開始剤は一般に溶液中で製造され、貯蔵され、使用されるので、例えば、望ましくない連鎖移動反応性によるように、重合反応を邪魔しない溶媒を選択することが望ましい。開始剤の溶媒が重合溶媒と同じ場合は、さらによい。それから、重合系で単一溶媒だけを使うことにより、その反応の終わり(バッチ重合の場合)での、またはその再循環ループ(連続重合の場合)における溶媒の除去および精製が簡単になる。
【0029】
本発明による方法には、反応条件の下で、過酸化物複合体により、または有機ハロゲン化アシルと過酸化物複合体の反応の生成物、すなわち、中間生成物または過酸化ジアシルにより酸化できる化合物が実質的にはない。そのような化合物の実体は当業者には知られている。そのような材料には、オレフィン系およびアセチレン系化合物、チオール、硫化物、二硫化物、および他の酸化可能な硫黄化合物、アルコール、アルデヒド、およびケトン、そしてアミンおよび他の酸化可能な窒素化合物がある。低濃度では、酸化可能な化合物は過酸化ジアシルの収率を減少させ、生成物中にその後の重合に影響を与える望ましくない不純物を導入する可能性がある。高濃度では、酸化可能な化合物の存在が反応の制御を困難にして過剰な熱を発生させる可能性がある。「実質的にない」とは、その酸化可能な化合物が、その酸化可能な化合物がないときに得られる過酸化ジアシルの収率を50%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは10%以下、さらにより好ましくは5%以下、そして最も好ましくは1%以下だけ減少させるような量で存在することを意味する。
【0030】
上述のように、古典的な合成方法と対照的にアルカリ過酸化物水溶液を使わないで過酸化ジアシルを製造することが本発明の1つの利点である。好ましくは、水相は本発明の方法の一部ではない。好ましくは、水それ自体を反応に加えないことである。水があると、過酸化ジアシルの生成を完全に妨げはしないが、水が有機酸の生成(有機ハロゲン化アシルの加水分解により)、および過酸および/または有機酸の生成(過酸化ジアシルの加水分解による)を促進することになる。その上、過酸化ジアシル中に残っている水が重合装置に腐食を引き起こし、特に、酸ハロゲン化物の加水分解を通して塩化水素およびフッ化水素を生成する。水はまた、重合溶媒の除去および精製を複雑にする。水が存在することに起因するこれらの不都合は、分離した水相を形成するに十分な水が存在する場合には、一層ひどくなる。水の量は分離した水相の形成を防止できるように制限されるのが好ましい。このような理由から、本発明による過酸化ジアシルの合成においては、乾燥した装置を使い、成分を乾燥状態に保持するように注意すべきである。試薬または装置が完全に乾燥していない場合は、反応混合物にDrierite(登録商標)(無水硫酸カルシウム)などの乾燥剤を加えて、過酸化ジアシルの収率を上げることができる。
【0031】
反応の温度は、反応を速くすることの重要性と熱分解による過酸化ジアシルの損失を防止する必要性との釣り合いをとるように選択される。過酸化ジアシルは半減期(過酸化物の半分が消費される時間で、温度の関数)が変わるので、反応温度が変わるが、有効な温度は約−40℃から約40℃の範囲である。HFPO二量体過酸化物、ヘプタフルオロブチリルパーオキシド、イソブチリルパーオキシドおよびビス[パーフルオロ(フルオロスルホニル)アセチル]パーオキシドなどの過酸化ジアシルの場合、約−20℃から約20℃の温度範囲が一般的であり、約−10℃から約10℃が好ましく、そして過炭酸ナトリウムまたは過ホウ酸ナトリウムを使用するときは約−5℃から約5℃がより好ましい。これらの過酸化ジアシルを製造するのに尿素/過酸化水素付加物を使用するときは、約0℃から約10℃がより好ましい温度である。熱分解による過酸化ジアシルの損失は、反応時間を反応温度での過酸化ジアシルの半減期の何分の1かに保持することによって最も少なくすることができる。反応温度における過酸化ジアシルの半減期の4分の1以下である反応時間が好ましい。
【0032】
ハロゲン化アシルの残留物は生成物である過酸化ジアシルの不純物であり、さらに腐食を引き起こす可能性のある酸の供給源でもあるので、できるだけ多くの過酸化ジアシルを生じるようにその合成を実施することが望ましい。収率は少なくとも約25%であることが好ましく、少なくとも約50%であることがより好ましく、少なくとも約70%であることがさらにより好ましく、そして少なくとも約90%であることが最も好ましい。
【0033】
本発明により過酸化ジアシルをバッチ方式で合成する場合、反応物であるハロゲン化アシルを相溶性の非プロトン性溶媒中で過酸化物複合体と混合する。驚くべきことに、その過酸化物複合体中の過酸化物のハロゲン化アシルに対するモル比が高くなるにつれて、過酸化ジアシルの収率が増加することが分かる。そのモル比が少なくとも約1対1であることが好ましい。そのモル比が少なくとも約2対1であることがより好ましい。そのモル比が少なくとも約4対1であることが最も好ましい。その過酸化物複合体の過酸化物含有量はその複合体の性質によって決まるので、1モルの過酸化物またはその等価物を含んでいる複合体の重量は検討される複合体の組成によって決まることになる。
【0034】
本発明に従って連続反応で過酸化ジアシルを調製するためには、相溶性の非プロトン性溶媒中に有機ハロゲン化アシルからなる投入原料の流れを、反応条件の下で酸化されやすい有機化合物のない過酸化物複合体からなる吸着床と連続的に接触させて、相溶性の非プロトン性溶媒中に過酸化ジアシルを含む生成物の流れを形成する。その吸着床は過酸化物複合体および必要に応じて不活性材料を充填したカラムの形態であってもよい。その不活性材料の目的は流量および温度の制御を円滑にするためであろう。上述のように、その合成は過酸化ジアシルの高収率を達成するように実行されるべきである。過酸化ジアシルが必要に応じて製造され、速やかに消費されるので、連続法が好ましい。もし望むなら、相溶性の非プロトン性溶媒中の過酸化ジアシルを収集して、その形態で直接有利に使うことができる。連続法では、新鮮な過酸化ジアシルを常に利用することができ、過酸化ジアシルを貯蔵する必要がなくなることが確実であるが、連続法は一般に低温度を必要とし、したがって停電および装置の故障に弱い。さらに、いかなる酸化剤を用いる場合でも、手元にある過酸化ジアシルの量を最少にすることが適切なやり方である。バッチ法および連続法の両方を実施例で実証する。
【0035】
【実施例】
(用語解説)
HFPO=ヘキサフルオロプロピレンオキシド
HFPO二量体過酸化物=
CFCFCFOCF(CF)(C=O)OO(C=O)(CF)CFOCFCFCF
HFPO二量体酸フッ化物=CFCFCFOCF(CF)(C=O)F
DAF=HFPO二量体酸フッ化物
CFC−113=CFCl−CFCl
Vertrel(登録商標)XF=CFCFHCHFCFCF(2,3−ジヒドロパーフルオロペンタン)であり、米国デラウェア州ウィルミントンのデュポン社から入手できる。
【0036】
フルオロエーテルE2=CFCFCFOCF(CF)CFOCFHCF(2H−パーフルオロ−5−メチル−3,6−ジオキサノナン)であり、米国ニューハンプシャー州WindhamのLancaster Synthesis Inc.社から入手できる。
【0037】
(試験方法)
本方法により生成した過酸化ジアシルを以下の標準手順を用いて過酸化物滴定により分析する。ゆるく栓をした三角フラスコ中で、25mlの氷酢酸に数グラムのドライアイスを加えて、それによりその系から酸素を追い出し、70mlの脱酸素水中に30gのヨウ化カリウムを溶かした溶液5.0mlを添加し、その後分析すべき過酸化物溶液5.0mlを添加する。その混合物を30分間攪拌して過酸化物をヨウ素と反応させ、100mlの脱酸素水を添加し、そして濃いヨウ素色を持った反応混合物を0.1規定のチオ硫酸ナトリウムで薄い黄色になるまで滴定する。次いで、ヨウ素指示薬のThyodene(登録商標)(Fisher Scientific社製)を0.5g添加して反応混合物を青色にする。0.1規定のチオ硫酸ナトリウムを使って無色の終点になるまで滴定を続ける。そのモル過酸化物濃度は、その反応に添加された0.1規定のチオ硫酸溶液のml総数の0.01倍である。
【0038】
(実施例1)
過炭酸ナトリウムを使用するCFC−113中でのHFPO二量体過酸化物の合成
丸底フラスコに50mlのCFC−113および2.0gの乾燥した過炭酸ナトリウム(過炭酸ナトリウム13ミリモル、または19ミリモルのH等価物)を充填する。そのフラスコの内容物を0℃まで冷やした後、5.2ml(25ミリモル)のHFPO二量体酸フッ化物(DAF)を添加し、その結果できるスラリーを3時間磁気によって攪拌する。その反応混合物を、未反応の過炭酸ナトリウムおよびいかなる遊離の過酸化水素をも除去すると考えられている操作である、ガラスウール上のDrierite(登録商標)の詰め物を通過させることでろ過する。そのろ過液を滴定すると、過酸化物が0.18Mであることが分かる。生成物の体積が55mlであることを考えると、これは過酸化物9.9ミリモル、すなわち出発物質の有機フッ化アシル、DAFに基づいて79%の収率である。
【0039】
(実施例2)
過ホウ酸ナトリウムを使用するCFC−113中でのHFPO二量体過酸化物の合成
75mlのCFC−113中4.9gの過ホウ酸ナトリウム一水和物(49ミリモル、Aldrich)のスラリーを、丸底フラスコ中で窒素の陽圧下に磁気により攪拌する。そのフラスコを湿式氷浴に浸し、その内容物が冷えたら、5.2mlのHFPO二量体酸フッ化物(25ミリモル)を攪拌しながら添加する。そのフラスコの内容物を2℃から6℃で3時間攪拌する。その反応混合物を真空ろ過し、そのフィルタの詰め物をCFC−113ですすぎ、そのろ過液を直ちに25gのDrierite(登録商標)を通して追加のCFC−113で洗浄する。Drierite(登録商標)を通すと、その溶液は著しく曇った状態になる。その結果、69mlのHFPO二量体過酸化物溶液を生じ、それは過酸化物が0.12Mと滴定される(66%の収率)。翌朝、その生成物を50mlの水で3回洗浄し再度滴定すると、過酸化物が0.13Mとなる(その洗浄過程でCFC−113の一部が蒸発して過酸化物濃度を増加させた可能性がある)。
【0040】
(実施例3)
水和した過ホウ酸ナトリウムを使用するCFC−113中でのHFPO二量体過酸化物の合成
75mlのCFC−113中7.7gの過ホウ酸ナトリウム四水和物(50ミリモル、Aldrich)のスラリーを、丸底フラスコ中で窒素の陽圧下に磁気により攪拌する。そのフラスコを湿式氷浴に浸し、その内容物が冷えたら、5.2mlのHFPO二量体酸フッ化物(25ミリモル)を攪拌しながら添加する。そのフラスコの内容物を2℃から5℃で3時間攪拌する。その反応混合物を真空ろ過し、そのフィルタの詰め物をCFC−113ですすぎ、そのろ過液を直ちに25gのDrierite(登録商標)を通して追加のCFC−113で洗浄する。Drierite(登録商標)を通すと、その溶液は著しく曇った状態になる。その結果、74mlのHFPO二量体過酸化物溶液が生じ、それは過酸化物が0.042Mと滴定される(25%の収率)。翌朝、その生成物を水で3回洗浄し再度滴定すると、過酸化物が0.046Mとなる(その洗浄過程でCFC−113の一部が蒸発して過酸化物濃度を増加させた可能性がある)。
【0041】
過ホウ酸ナトリウム四水和物は、この合成では効果的であるが、二量体過酸化物の収率が減少することを示している。これは水の存在がその反応に有害であることを示唆している。本発明の詳細な説明の中で、過酸化ナトリウム一水和物は実際には無水塩であり、そして過ホウ酸ナトリウム四水和物は実際には三水和物であることが指摘されている。Drierite(登録商標)などの乾燥剤の添加は、水和した過ホウ酸ナトリウムによって導入された水を吸収することによって収率を向上させた可能性がある。
【0042】
(実施例4〜8)
過炭酸塩のハロゲン化アシルに対する比の影響
CFC−113の代わりに反応溶媒はフルオロエーテルE2であり、そして過炭酸ナトリウムおよびDAFの濃度は生成物の収率に対するその比の影響を測定するために変化させるということを除いて、実施例1の実験条件に従う。温度を0℃に維持する。結果を表1に要約してある。104%という収率の結果は分析過程における溶媒の蒸発によるのか、または実験誤差である可能性がある。
【0043】
【表1】
Figure 0004836352
【0044】
実施例4から8は、過炭酸塩のハロゲン化アシルに対する比が高くなると収率が増加することを示している。これは、その反応の化学量論に基づく予想だけでなく従来の技術(McKillopおよびSanderson,6152頁)にも反するものである。式(2)は、簡単に過酸化水素として表されている過酸化物複合体とハロゲン化アシルとの間の望ましい反応を示している。すなわち、
+2R(C=O)X → R(C=O)−O−O−(C=O)R+2HX (2)
その競合する望ましくない反応は式(3)に示される過酸の生成である。すなわち、
+R(C=O)X → R(C=O)−O−OH+HX (3)
過酸化物のハロゲン化アシルに対する比を高くすると、式(3)の反応を増加させ、式(2)の反応を減少させるはずである。驚くべきことに、その反対が観察される。
【0045】
(実施例9)
イソブチリルパーオキシドの合成
丸底フラスコに、50mlのCFC−113および2.0gの過炭酸ナトリウム(13ミリモルまたは19ミリモルのH等価物)を充填する。そのフラスコの内容物を0℃まで冷やした後、2.60mlの塩化イソブチリル(25ミリモル)を添加して、その結果できるスラリーを223分間磁気によって攪拌する。その反応混合物を、ガラスウール上のDrierite(登録商標)の詰め物を通過させることでろ過し、新鮮なCFC−113を流して洗浄する。ここで体積が59mlと測定されたそのろ過液は、過酸化物が0.083Mであることが分かり、それは出発物質の塩化イソブチリルに基づいて39%の収率である。その過酸化物溶液を約60mlの水で3回洗浄する。その洗浄した溶液を再度滴定すると、過酸化物が0.050Mであることが分かる。水洗浄は、Drierite(登録商標)ろ過によって、ろ過できなかった残留無機過酸化物を除去したかもしれないが、過酸化イソブチリルの一部が加水分解によって分解されたという可能性が最も高い。
【0046】
この実施例は、本発明の方法をフルオロカーボンアシルパーオキシドだけでなくハイドロカーボンアシルパーオキシドを調製するのにも使用できることを示している。
【0047】
(実施例10)
ヘプタフルオロブチリルパーオキシドの合成
丸底フラスコに、50mlのCFC−113および2.0gの過炭酸ナトリウム(13ミリモルまたは19ミリモルのH等価物)を充填する。そのフラスコの内容物を0℃まで冷やした後、3.73mlの塩化ヘプタフルオロブチリル(25ミリモル)を添加して、その結果できるスラリーを3.3時間磁気によって攪拌する。その反応混合物を、未反応の過炭酸塩およびいかなる遊離の過酸化水素をも除去すると考えられている操作である、ガラスウール上のDrierite(登録商標)の詰め物を通過させることでろ過し、新鮮なCFC−113を流して洗浄する。ここで体積が45mlと測定されたそのろ過液は、出発物質の塩化ヘプタフルオロブチリルに基づく37%の収率に対して、過酸化物が0.10Mであることが分かる。Drierite(登録商標)によって過炭酸ナトリウムおよび過酸化水素の全てがろ過されていることを確認するために、その過酸化物溶液を45〜50mlの水で3回洗浄する。再度滴定して、その溶液は過酸化物がやはり0.10Mであることが分かる。
【0048】
(実施例11)
ビス[パーフルオロ(フルオロスルホニル)アセチル]パーオキシドの合成
丸底フラスコに、50mlのCFC−113および2.0gの過炭酸ナトリウム(13ミリモルまたは19ミリモルのH等価物)を充填する。そのフラスコの内容物を0℃まで冷やした後、2.83mlのFSOCF(C=O)F(25ミリモル)を添加して、その結果できるスラリーを3時間磁気によって攪拌する。その反応混合物を、未反応の過炭酸塩およびいかなる遊離の過酸化水素をも除去すると考えられている操作である、ガラスウール上のDrierite(登録商標)の詰め物を通過させることでろ過し、新鮮なCFC−113を流して洗浄する。ここで体積が52mlと測定されたそのろ過液は、出発物質のFSOCF(C=O)Fに基づく42%の収率に対して、過酸化物が0.10Mであることが分かる。
【0049】
この実施例は、加水分解可能な官能基を持つハロゲン化アシルを、本発明の方法によって、その加水分解可能な官能基に影響を与えることなく、過酸化ジアシルに転換できることを示している。
【0050】
(実施例12)
尿素/過酸化水素付加物を用いるCFC−113中でのHFPO二量体過酸化物の合成
窒素ガスの陽圧の下で丸底フラスコに、氷浴で冷やしながら、75mlのCFC−113、2.65gのNaCO(25ミリモル)、2.35gの尿素/過酸化水素付加物(25ミリモル、HNCONH・H)および5.2mlのHFPO二量体酸フッ化物(25ミリモル)を充填する。その反応混合物を−7℃から2℃(大部分は1℃から2℃)で3時間攪拌し、新鮮なCFC−113で真空フィルタを通して洗浄し、そしてクロマトグラフィーカラム中の25gのDrierite(登録商標)を通してCFC−113で洗浄する。その結果、97mlのCFC−113溶液が生じ、それは過酸化物が0.046Mと滴定される(収率37%)。そのCFC−113溶液を氷水で3回洗浄した後で、それはやはり過酸化物が中0.046Mと滴定される。
【0051】
(実施例13)
液体二酸化炭素中でのHFPO二量体過酸化物の合成
へら状の攪拌器とディップチューブを備えた300mlのステンレス製オートクレーブを、乾燥窒素をパージしながら、数時間にわたり100℃に過熱することにより乾燥する。乾燥した過炭酸ナトリウム(NaCO・11/2)(2g(12.7ミリモル))を加えて、そのオートクレーブを密閉し、真空排気して、約−20℃に冷却する。
【0052】
別に、1リットルのステンレス製シリンダに5.2ml(24.7ミリモル)のHFPO二量体酸フッ化物(DAF)を充填する。そのシリンダをドライアイスで冷却して、真空排気し、約220gの二酸化炭素を入れる。それから、そのシリンダを直径が1/8インチ(3.2mm)のステンレス管を使ってオートクレーブに接続する。そのシリンダを逆さにして、シリンダの内容物を全てオートクレーブに移す。予めオートクレーブを真空にし冷やしておくと、うまく移すことができる。約199gのHFPO二量体酸フッ化物/液体二酸化炭素混合物をステンレス製シリンダからオートクレーブの中に移す。
【0053】
そのオートクレーブの内容物を、0℃で4時間にわたり、毎分5000rpmで攪拌する。この間に、温度は−2℃から0.5℃まで緩やかに変動する。オートクレーブの内圧は、−2℃で477psi(3.29MPa)から0.5℃で520psi(3.59MPa)まで変動する。約4時間後に、内容物を攪拌しながら、オートクレーブを−27℃まで冷やす。−27℃まで冷やすと、オートクレーブの内圧は184psi(1.27MPa)に下がる。1リットルの耐圧シリンダを真空排気して、液体窒素浴中で冷却する。次いで、そのシリンダを、長さ18インチ(45cm)直径1/8インチ(3.2mm)のステンレス管を用いて、オートクレーブのディップチューブの出口に接続する。それから、ディップチューブを通してオートクレーブの内容物をステンレス製シリンダの中に出す。移し終わったとき、シリンダの圧力は0.2気圧(20kPa)である。シリンダ頂部のバルブを取り外して、二酸化炭素中の過酸化ジアシルをVertrel(登録商標)XFの中に移して反応収率の測定を容易にすることができるように100mlのVertrel(登録商標)XFを添加する。バルブをシリンダの上に戻す。シリンダを液体窒素浴から取り出す。そのシリンダの内容物を、急速な二酸化炭素の発生が止むまで温めるようにする。二酸化炭素の発生は、シリンダのバルブを周期的に開閉して圧力変化に注意することによって判断する。
【0054】
二酸化炭素がもはや急速に発生しなくなり、シリンダの側面にある霜が解氷の最初の徴候を示したら(約30〜45分)、バルブをシリンダの頂部から取り外す。曇った灰色/青色の流体であるシリンダの内容物をドライアイスで冷やしたポリエチレン瓶の中に注ぐ。
【0055】
この時点で300mlのオートクレーブを開くと、オートクレーブの底に白い固形物の残渣および壁面に少量の白い膜が見られる。目視検査により、オートクレーブ内に残された固形物の量は、最初に添加された過炭酸ナトリウムの量とほぼ同体積であると観察される。
【0056】
反応器から回収される灰色/青色の流体は体積で85mlである。5.0mlについて過酸化物滴定すると、0.1規定のチオ硫酸塩を5.95ml必要とする。この滴定はHFPO二量体過酸化物の41%の収率に相当する。
【0057】
80mlである残りの灰色/青色の流体を−78℃から室温まで温め、分離用ロートの中で水を用いて3回洗浄する。この水洗浄により、HFPO二量体過酸化物と同じに滴定される、未反応の過炭酸ナトリウムおよび過酸化水素が除去される。ところで、その溶液の5mlの分割量は、過酸化物滴定で0.1規定のチオ硫酸塩を6.40ml必要とする(過酸化物の濃度が上昇しているのは、水による洗浄の間にVertrel(登録商標)XF溶媒がある程度蒸発するのを反映している可能性がある)。
【0058】
(実施例14)
液体二酸化炭素中でのHFPO二量体過酸化物の連続合成
150mlのステンレス製シリンダを真空排気して、7.90gのパーフルオロ(2−メチル−3−オキサ−ヘキサノイル)フルオリド(CFCFCFOCF(CF)COF)(「DAF」)および50gの二酸化炭素を充填する。圧力計を備えたそのシリンダを逆さにして、天秤に固定されたスタンドに置く。直径1/16インチ(1.6mm)のステンレス管をそのシリンダから、直径約0.56cm、長さが10cmのステンレス製カラムの頂部まで接続する。そのカラムには10.0gの過炭酸ナトリウムを詰め込む。そのカラムの底にあるガラスウールの栓がカラム内に過炭酸ナトリウムを保持する。そのカラムを0℃の定温浴に浸す。短い長さの1/16インチ(1.6mm)ステンレス管がそのカラムの底部にあるバルブから、ゴムの隔壁を通って、ドライアイス/アセトンのスラリーに浸されている冷トラップの中に通じており、そして大気中に出ている。そのトラップは約50gのVertrel(登録商標)XFを含んでいる。
【0059】
そのシリンダのバルブを開いて液体のDAF/CO混合物をカラムに充填させる。それから、カラムの底部と冷トラップとの間のバルブを少し開いて、0.154g/分の速度でカラムを通しての材料の制御された流れを可能にする。カラムの空間体積は6.0mlである。その空間体積をカラムを通る材料の流速で割った値が接触時間と考えられる。その接触時間は39分である。カラムからの非揮発性流出液はその冷トラップに吸収されて、Vertrel(登録商標)XFの溶液を生成する。そのトラップは低温なので、生成した過酸化ジアシルが保存され、その溶媒がその後の生成物分析に都合のよい媒体を提供する。そのCOの大部分は自然にトラップから大気中に排出される。実験の終わりに、冷トラップを氷水中で0℃まで温め、トラップの重量が一定になるまで激しく攪拌して残っているCOを除去する。その冷トラップからの溶液の分割量を過酸化物滴定すると、4.81gの過酸化物が生成していることを示す。その本質は、過酸化ジアシルのカルボニル基による赤外スペクトルの1858cm−1および1829cm−1の吸収から確認される。収集した生成物中に残っているDAFの量は、酸フッ化物のカルボニル基による1881cm−1の赤外吸収の強度から決定されるとおりに、2.19gである。これらのデータから、過酸化物の収率は68.7%と計算される。
【0060】
(実施例15)
液体二酸化炭素中でのHFPO二量体過酸化物の連続合成
4.74gのDAFがシリンダに充填され、その供給速度は0.129g/分であり、接触時間が46分であること以外、手順および装置は実施例14に記載のとおりである。収集された生成物は4.02gであり、0.67gがカラムに残っている。その生成物は2.94gの過酸化物と1.41gの回収されたDAFからなっている。収率は67.6%である。
【0061】
(実施例16)
液体二酸化炭素中でのHFPO二量体過酸化物の連続合成
手順および装置は実施例14に記載のとおりである。供給速度は0.0697g/分、接触時間は86分である。収集された生成物は7.01gであり、1.53gがカラムに残っている。その生成物は6.23gの過酸化物と0.43gの回収されたDAFからなっている。収率は93.56%である。
【0062】
(実施例17)
液体二酸化炭素中でのHFPO二量体過酸化物の連続合成
カラム周囲の浴の温度を10℃に維持し、供給速度は0.165g/分であり、接触時間が32分であること以外、手順および装置は実施例14に記載のとおりである。収集された生成物は5.87gであり、1.89gがカラムに残っている。その生成物は5.36gの過酸化物と0.43gの回収されたDAFからなっている。収率は91.3%である。
【0063】
(実施例18)
液体二酸化炭素中でのHFPO二量体過酸化物の連続合成
カラム周囲の浴の温度を15℃に維持し、供給速度は0.242g/分であり、接触時間が20分であること以外、手順および装置は実施例14に記載のとおりである。収集された生成物は5.92gであり、1.69gがカラムに残っている。その生成物は5.13gの過酸化物と1.02gの回収されたDAFからなっている。収率は83.4%である。
【0064】
(実施例14〜18の要約)
表2は過酸化ジアシルの連続合成についての実施例の結果をまとめて示している。収率は、接触時間が長くなるにつれて、または反応温度が高くなるにつれて上昇する。
【0065】
【表2】
Figure 0004836352
【0066】
(実施例19)
尿素/過酸化水素付加物を使用する二酸化炭素中でのHFPO二量体過酸化物の合成
ジャケットの付いた体積が125mlのオートクレーブを60℃に加熱して、数時間にわたり窒素でパージする。次いで、そのオートクレーブを室温まで冷却して、過酸化物滴定により35.0%のHを含んでいる尿素/過酸化水素付加物(Aldrich Chemical社製)を3.0g(30.9ミリモルのH等価物)窒素流の下で添加する。そのオートクレーブを密閉し、真空排気して、−20℃に冷却する。16.0gのHFPO二量体酸フッ化物(48.2ミリモル)および60gの二酸化炭素を充填されたシリンダをそのオートクレーブに接続して、シリンダの内容物をオートクレーブの中に移す。次いで、オートクレーブの温度を0℃まで上昇させ、同時に内容物を6時間にわたり攪拌する。オートクレーブの底部の出入り口に、尿素および未使用の尿素/過酸化水素付加物を保持するために15ミクロンの孔を内蔵している焼結金属フィルタを取り付ける。オートクレーブの内容物を、ドライアイス/アセトン浴に浸してある正確に計量し窒素でフラッシングした冷トラップの中に排出する。そのトラップは約50gのVertrel(登録商標)XFを含んでいた。二酸化炭素の大部分が大気中に排出されているので、反応混合物を吸収するのにその溶媒を使用する。これはまた、室温および大気圧で反応混合物の赤外分析するのに都合のよい媒体を提供する。
【0067】
冷トラップおよびその内容物を、残っている二酸化炭素をVertrel(登録商標)XF溶液から放出させるために振りながら、氷浴で0℃まで温める。トラップを乾燥して計量し、得られた生成物溶液の重量を測定するのに使用する。それから、その溶液の一部を液体用赤外セルに入れ、そのスペクトルを測定する。予め、同じ液体セルで得られたVertrel(登録商標)XFの標準スペクトルを生成混合物のスペクトルから引く、そしてHFPO二量体過酸化物については1858cm−1と1829cm−1、HFPO二量体酸フッ化物については1880cm−1そしてHFPO二量体酸については1774cm−1に存在するバンドの強度を測定する。既知濃度の溶液から測定された検量線を使って、生成混合物のスペクトルにある適切な赤外線バンドの強度から各化合物の量を計算する。13.35gの重さを有する生成混合物の中に、60.6%のHFPO二量体過酸化物、36.5%のHFPO二量体酸フッ化物および3.0%のHFPO二量体酸があることが分かった。
【0068】
(実施例20)
尿素/過酸化水素付加物を使用する二酸化炭素中でのHFPO二量体過酸化物の合成
オートクレーブの温度を5℃まで上げること以外、実施例19に示されている手順を使用する。15.32gの重さを有する生成混合物の中に、83.0%のHFPO二量体過酸化物、12.5%のHFPO二量体酸フッ化物および4.5%のHFPO二量体酸があることが分かった。
【0069】
(実施例21)
尿素/過酸化水素付加物を使用する二酸化炭素中でのHFPO二量体過酸化物の合成
オートクレーブの温度を10℃に上げ、そして攪拌を3時間続けること以外は、実施例19に示されている手順を使用する。12.36gの重さを有する生成混合物の中に、76.1%のHFPO二量体過酸化物、15.5%のHFPO二量体酸フッ化物および8.4%のHFPO二量体酸があることが分かった。
【0070】
(実施例22)
尿素/過酸化水素付加物を使用する二酸化炭素中でのHFPO二量体過酸化物の合成
反応中に発生するフッ化水素を吸収するために2.9gの尿素を尿素/過酸化水素付加物と一緒にオートクレーブに添加して刺激性の少ない塩基として役立てること以外は、実施例19に示されている手順を使用する。オートクレーブの温度はまた、5℃に上げる。7.11gの重さを有する生成混合物の中に、81.4%のHFPO二量体過酸化物、15.4%のHFPO二量体酸フッ化物および3.2%のHFPO二量体酸があることが分かった。
【0071】
(実施例23)
尿素/過酸化水素付加物を使用する二酸化炭素中でのHFPO二量体過酸化物の合成
オートクレーブに充填する尿素/過酸化水素付加物の量は5.0g(51.5ミリモルのH等価物)であり、そしてオートクレーブの温度を5℃に上げる以外は、実施例19に示されている手順を使用する。16.39gの重さを有する生成混合物の中に、87.8%のHFPO二量体過酸化物、6.4%のHFPO二量体酸フッ化物および5.8%のHFPO二量体酸があることが分かった。
【0072】
(実施例19〜23の要約)
表3は尿素/過酸化水素付加物を使用して過酸化ジアシルの合成についての各実施例の結果をまとめて示している。収率は、接触時間が長くなるにつれて、または反応温度が高くなるにつれて上昇する。尿素/過酸化水素付加物のフッ化アシル(DAF)に対する割合を上げると収率が上昇する。添加された尿素は殆どまたは全く影響を及ぼさない。
【0073】
【表3】
Figure 0004836352
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、安定かつ取扱い容易な酸化剤を使用して、非プロトン性溶媒中で安全かつ経済的に過酸化ジアシルを高収率で製造することが可能となる。
以下に、本発明の好ましい態様を示す。
1. 過酸化ジアシルの合成方法であって、過酸化物複合体によってまたは有機ハロゲン化アシルと過酸化物複合体との反応の生成物によって酸化され得る化合物を実質的に含まない相溶性の非プロトン性溶媒中で、有機ハロゲン化アシルと過酸化物複合体とを接触させる工程を含むことを特徴とする方法。
2. 過酸化ジアシルを含む相溶性の非プロトン性溶媒を収集する工程をさらに含むことを特徴とする1.に記載の方法。
3. 水相の形成を防止するために水の存在量を制限する工程を含むことを特徴とする1.に記載の方法。
4. 前記過酸化物複合体は、実質的に前記相溶性の非プロトン性溶媒に不溶であり、固体相として存在することを特徴とする1.に記載の方法。
5. 前記過酸化物複合体は、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムおよび尿素/過酸化水素付加物ならびにその混合物からなる群から選ばれることを特徴とする1.に記載の方法。
6. 前記過酸化物複合体中の過酸化物の有機ハロゲン化アシルに対するモル比が、少なくとも約1対1であることを特徴とする1.に記載の方法。
7. 前記方法を約−40℃から約40℃の間の反応温度で実施することを特徴とする1.に記載の方法。
8. 前記方法を約−20℃から約20℃の間の反応温度で実施することを特徴とする1.に記載の方法。
9. 前記方法を約−10℃から約10℃の間の反応温度で実施することを特徴とする1.に記載の方法。
10. 反応時間が反応温度での前記過酸化ジアシルの半減期の4分の1以下であるように選ばれる反応温度で前記方法を実施することを特徴とする1.に記載の方法。
11. 前記有機ハロゲン化アシルは、フルオロ有機ハロゲン化アシル類からなる群から選ばれることを特徴とする1.に記載の方法。
12. 前記有機ハロゲン化アシルは、パーフルオロ有機ハロゲン化アシル類からなる群から選ばれることを特徴とする1.に記載の方法。
13. 前記有機ハロゲン化アシルは、ハロゲン化イソブチリルであることを特徴とする1.に記載の方法。
14. 前記相溶性の非プロトン性溶媒は、ハロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、ハロカーボンエーテルおよびその混合物からなる群から選ばれることを特徴とする1.に記載の方法。
15. 前記相溶性の非プロトン性溶媒は、非ハロゲン化溶媒であることを特徴とする1.に記載の方法。
16. 前記相溶性の非プロトン性溶媒は、液体または超臨界の二酸化炭素であることを特徴とする1.に記載の方法。
17. 過酸化ジアシル類の連続合成方法であって、相溶性の非プロトン性溶媒中の有機ハロゲン化アシルからなる供給流を、過酸化物複合体からなる吸着床と連続的に接触させて、相溶性の非プロトン性溶媒中の過酸化ジアシルからなる生成物流を生成させる工程を含み、
前記相溶性の非プロトン性溶媒には過酸化物複合体によってまたは有機ハロゲン化アシルと過酸化物複合体との反応生成物によって酸化され得る化合物を実質的に含まないことを特徴とする方法。
18. 前記生成物流を収集する工程をさらに含むことを特徴とする17.に記載の方法。
19. 水相の形成を防止するために存在する水の量を制限する工程をさらに含むことを特徴とする17.に記載の方法。

Claims (4)

  1. 過酸化ジアシルの合成方法であって、過酸化物複合体によってまたは有機ハロゲン化アシルと有機過酸化物複合体との反応の生成物によって酸化され得る化合物を実質的に含まない相溶性の非プロトン性溶媒中、有機ハロゲン化アシルと過酸化物複合体とを乾燥状態下で接触させる工程を含み、
    前記相溶性の非プロトン性溶媒は、ハロカーボン、ハロカーボンエーテルおよびその混合物からなる群から選ばれることを特徴とする方法。
  2. 前記ハロカーボンが、フルオロカーボンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 過酸化ジアシル類の連続合成方法であって、相溶性の非プロトン性溶媒中の有機ハロゲン化アシルからなる供給流を、有機過酸化物複合体からなる吸着床と連続的に乾燥状態下で接触させて、相溶性の非プロトン性溶媒中の過酸化ジアシルからなる生成物流を生成させる工程を含み、
    前記相溶性の非プロトン性溶媒は、過酸化物複合体によってまたは有機ハロゲン化アシルと過酸化物複合体との反応生成物によって酸化され得る化合物を実質的に含まず、ハロカーボン、ハロカーボンエーテルおよびその混合物からなる群から選ばれることを特徴とする方法。
  4. 前記ハロカーボンが、フルオロカーボンであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
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