JPH09104646A - ペルフルオロ−2−メチルペンタン誘導体、及び該誘導体の製造方法 - Google Patents
ペルフルオロ−2−メチルペンタン誘導体、及び該誘導体の製造方法Info
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- JPH09104646A JPH09104646A JP25863795A JP25863795A JPH09104646A JP H09104646 A JPH09104646 A JP H09104646A JP 25863795 A JP25863795 A JP 25863795A JP 25863795 A JP25863795 A JP 25863795A JP H09104646 A JPH09104646 A JP H09104646A
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- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
- C07C17/00—Preparation of halogenated hydrocarbons
- C07C17/013—Preparation of halogenated hydrocarbons by addition of halogens
- C07C17/04—Preparation of halogenated hydrocarbons by addition of halogens to unsaturated halogenated hydrocarbons
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
- C07C17/00—Preparation of halogenated hydrocarbons
- C07C17/26—Preparation of halogenated hydrocarbons by reactions involving an increase in the number of carbon atoms in the skeleton
- C07C17/272—Preparation of halogenated hydrocarbons by reactions involving an increase in the number of carbon atoms in the skeleton by addition reactions
- C07C17/275—Preparation of halogenated hydrocarbons by reactions involving an increase in the number of carbon atoms in the skeleton by addition reactions of hydrocarbons and halogenated hydrocarbons
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 合成化学的に変換の容易な置換基を持ち合成
原料として汎用性の高い化合物であり、かつ低毒性の原
料より得られる、2以上のトリフルオロメチル基を持つ
ハロゲン含有ペルフルオロペンタン誘導体及びその製造
方法を提供する。 【解決手段】 一般式(I) で表される2-(トリフルオロ
メチル)ペルフルオロペンタン誘導体。 CF3CF2CF2C(CF3)2-X (I) (式中Xは、Cl, Br, 又は OH )。相間移動触媒の存在
下で、カチオン性ハロゲンイオン供与体、酸性フッ化物
イオン HF2 - 及び1,1,1,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-
(トリフルオロメチル)-2-ペンテンを反応させることを
特徴とする、前記誘導体の製造方法。
原料として汎用性の高い化合物であり、かつ低毒性の原
料より得られる、2以上のトリフルオロメチル基を持つ
ハロゲン含有ペルフルオロペンタン誘導体及びその製造
方法を提供する。 【解決手段】 一般式(I) で表される2-(トリフルオロ
メチル)ペルフルオロペンタン誘導体。 CF3CF2CF2C(CF3)2-X (I) (式中Xは、Cl, Br, 又は OH )。相間移動触媒の存在
下で、カチオン性ハロゲンイオン供与体、酸性フッ化物
イオン HF2 - 及び1,1,1,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-
(トリフルオロメチル)-2-ペンテンを反応させることを
特徴とする、前記誘導体の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2以上のトリフル
オロメチル基を有する、ハロゲン含有ペルフルオロペン
タン誘導体、該ペルフルオロペンタン誘導体を中間体と
して合成されたフルオロヘキサン誘導体、及びこれらの
誘導体の製造方法に関する。詳細に述べると、本発明
は、合成化学的に変換の容易な置換基を持ち、合成原料
として汎用性の高い化合物であり、かつ低毒性の原料よ
り得られる、2以上のトリフルオロメチル基を持つハロ
ゲン含有ペルフルオロペンタン誘導体、該ペンタン誘導
体を中間体として得られるフルオロヘキサン誘導体、及
びこれらの製造方法に関するものである。
オロメチル基を有する、ハロゲン含有ペルフルオロペン
タン誘導体、該ペルフルオロペンタン誘導体を中間体と
して合成されたフルオロヘキサン誘導体、及びこれらの
誘導体の製造方法に関する。詳細に述べると、本発明
は、合成化学的に変換の容易な置換基を持ち、合成原料
として汎用性の高い化合物であり、かつ低毒性の原料よ
り得られる、2以上のトリフルオロメチル基を持つハロ
ゲン含有ペルフルオロペンタン誘導体、該ペンタン誘導
体を中間体として得られるフルオロヘキサン誘導体、及
びこれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】物体の表面に水や油をはじく性質(撥水
撥油性)を与えればその物は汚れにくく、汚れても洗浄
し易くなる。また、液体が平面に置かれたとき水平に広
がろうとする性質(レベリング性)を、塗料などに与え
てやれば塗りむらが少なくなり美しい塗装面が得られ
る。各種の界面活性剤がこの目的でレベリング剤として
用いられている。この撥水撥油性やレベリング性は、表
面張力を指標とし、表面張力が低い程、優れていると評
価される。非常に低い表面張力を持つ物質としてはポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)が知られており、この
PTFEの低い表面張力は構造中のC−F結合の間の大きな
分極などによってもたらされると考えられている。C−
F結合を有する構造のうち最も低い表面張力を示すと考
えられているのは物質の界面が全てトリフルオロメチル
基(-CF3)で覆われた場合で、この場合に表面張力は理論
的に計算すると約5dyn/cmである。この値は、ほとんど
がジフルオロメチレン(-CF2-)から構成されているPTFE
の表面張力が18.5dyn/cmであることを考えると驚異的な
数字である。
撥油性)を与えればその物は汚れにくく、汚れても洗浄
し易くなる。また、液体が平面に置かれたとき水平に広
がろうとする性質(レベリング性)を、塗料などに与え
てやれば塗りむらが少なくなり美しい塗装面が得られ
る。各種の界面活性剤がこの目的でレベリング剤として
用いられている。この撥水撥油性やレベリング性は、表
面張力を指標とし、表面張力が低い程、優れていると評
価される。非常に低い表面張力を持つ物質としてはポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)が知られており、この
PTFEの低い表面張力は構造中のC−F結合の間の大きな
分極などによってもたらされると考えられている。C−
F結合を有する構造のうち最も低い表面張力を示すと考
えられているのは物質の界面が全てトリフルオロメチル
基(-CF3)で覆われた場合で、この場合に表面張力は理論
的に計算すると約5dyn/cmである。この値は、ほとんど
がジフルオロメチレン(-CF2-)から構成されているPTFE
の表面張力が18.5dyn/cmであることを考えると驚異的な
数字である。
【0003】したがって、より多くのトリフルオロメチ
ル基を有する化合物により、優れた撥水撥油性やレベリ
ング性を付与することができるのであり、この化合物を
合成するためには、複数のトリフルオロメチル基を有す
る合成原料となる物質を供給する必要がある。このよう
な合成原料として、四級炭素原子を持ち、そのうちの一
つの結合手には容易に種々の置換基に変換し得る基が結
合し、その他の三つの結合手の末端には全てトリフルオ
ロメチル基が結合している化合物が考えられる。この条
件を満たす最も簡単な構造を持つ化合物として (CF3)3C
-Iが合成され、その後、四段階の反応を経てシランカッ
プリング剤を合成した報告がある(文献:ソ連科学アカ
デミー報告(Doklady Akademii Nauk, SSSR )1346頁、
第169 巻、第6号、1966年発行、著者: E.P.Mochalina,
B.L. Dyatkin, I.V. Galakhov & I.L. Knunyants)。
ル基を有する化合物により、優れた撥水撥油性やレベリ
ング性を付与することができるのであり、この化合物を
合成するためには、複数のトリフルオロメチル基を有す
る合成原料となる物質を供給する必要がある。このよう
な合成原料として、四級炭素原子を持ち、そのうちの一
つの結合手には容易に種々の置換基に変換し得る基が結
合し、その他の三つの結合手の末端には全てトリフルオ
ロメチル基が結合している化合物が考えられる。この条
件を満たす最も簡単な構造を持つ化合物として (CF3)3C
-Iが合成され、その後、四段階の反応を経てシランカッ
プリング剤を合成した報告がある(文献:ソ連科学アカ
デミー報告(Doklady Akademii Nauk, SSSR )1346頁、
第169 巻、第6号、1966年発行、著者: E.P.Mochalina,
B.L. Dyatkin, I.V. Galakhov & I.L. Knunyants)。
【0004】この化合物 (CF3)3C-Iは、(CF3)2 C=CF
2(ペルフルオロイソブチレン)を出発物質として合成
されるが、この出発物質は、毒ガスとして用いられたホ
スゲンよりも毒性が高い猛毒であり(文献:J.W.Clayto
n 、J.Occupational Med.,第4巻、262 頁(1962 年))、
また基本的な工業原料でない。したがって、化合物 (CF
3) 3C-Iを工業的に製造するのは困難である。本発明者
は、多くのトリフルオロメチル基を有する化合物を合成
する出発物質を得るため、低毒性で空気中で扱うことが
でき、含フッ素有機物の基本原料として用いられている
(CF3)2C=CFCF2CF3を、下記の方法でハロフッ素化反応さ
せることを検討した。
2(ペルフルオロイソブチレン)を出発物質として合成
されるが、この出発物質は、毒ガスとして用いられたホ
スゲンよりも毒性が高い猛毒であり(文献:J.W.Clayto
n 、J.Occupational Med.,第4巻、262 頁(1962 年))、
また基本的な工業原料でない。したがって、化合物 (CF
3) 3C-Iを工業的に製造するのは困難である。本発明者
は、多くのトリフルオロメチル基を有する化合物を合成
する出発物質を得るため、低毒性で空気中で扱うことが
でき、含フッ素有機物の基本原料として用いられている
(CF3)2C=CFCF2CF3を、下記の方法でハロフッ素化反応さ
せることを検討した。
【0005】1.) (CF3)2C=CFCF2CF3、フッ化ナトリウ
ム、ヨウ素をニトロベンゼンを溶媒として高圧反応器内
で170℃程度の温度で反応させる方法(文献:ソ連科学
アカデミー報告(Doklady Akademii Nauk, SSSR )1346
頁、第169 巻、第6号、1966年発行、著者: E.P.Mochal
ina, B.L. Dyatkin, I.V. Galakhov & I.L. Knunyant
s)。 2.) (CF3)2C=CFCF2CF3、酸性フッ化テトラブチルアンモ
ニウム(TBA・ H2F)、ジメチルジブロモヒダントインを塩
化メチレンを溶媒として0℃で反応させる方法(文献:
M.Kuroboshi, T.Hiyama, Tetrahedron Lett.第32巻,121
5 頁(1991))。 3.) FBr やFIなどのフッ化ハロゲンを基質に作用させる
方法(文献:M.R.C.Gerstenberger, A.Haas, Angew. Ch
em. Int.Ed.Engl., 第20巻、647 頁、1981年発行)。 しかし、方法1)及び2)でハロフッ素化を行っても反応し
ないか、又は極めて低い収率でしか生成物を得られなか
った。また、方法3)で用いるフッ化ハロゲンは工業原料
でなく、また非常に高価であるため工業的に実施するこ
と自体が困難である。したがって、従来の方法では、通
常の工業用原料(CF3)2C=CFCF2CF3を用いて、トリフルオ
ロメチル基を有する化合物を合成する出発物質は得られ
なかった。
ム、ヨウ素をニトロベンゼンを溶媒として高圧反応器内
で170℃程度の温度で反応させる方法(文献:ソ連科学
アカデミー報告(Doklady Akademii Nauk, SSSR )1346
頁、第169 巻、第6号、1966年発行、著者: E.P.Mochal
ina, B.L. Dyatkin, I.V. Galakhov & I.L. Knunyant
s)。 2.) (CF3)2C=CFCF2CF3、酸性フッ化テトラブチルアンモ
ニウム(TBA・ H2F)、ジメチルジブロモヒダントインを塩
化メチレンを溶媒として0℃で反応させる方法(文献:
M.Kuroboshi, T.Hiyama, Tetrahedron Lett.第32巻,121
5 頁(1991))。 3.) FBr やFIなどのフッ化ハロゲンを基質に作用させる
方法(文献:M.R.C.Gerstenberger, A.Haas, Angew. Ch
em. Int.Ed.Engl., 第20巻、647 頁、1981年発行)。 しかし、方法1)及び2)でハロフッ素化を行っても反応し
ないか、又は極めて低い収率でしか生成物を得られなか
った。また、方法3)で用いるフッ化ハロゲンは工業原料
でなく、また非常に高価であるため工業的に実施するこ
と自体が困難である。したがって、従来の方法では、通
常の工業用原料(CF3)2C=CFCF2CF3を用いて、トリフルオ
ロメチル基を有する化合物を合成する出発物質は得られ
なかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、合成化学的
に変換の容易な置換基を持ち合成原料として汎用性の高
い化合物であり、かつ低毒性の原料より得られる、2以
上のトリフルオロメチル基を持つハロゲン含有ペルフル
オロペンタン誘導体、該ペンタン誘導体を中間体として
得られるフルオロヘキサン誘導体、及びこれらの製造方
法を提供する。
に変換の容易な置換基を持ち合成原料として汎用性の高
い化合物であり、かつ低毒性の原料より得られる、2以
上のトリフルオロメチル基を持つハロゲン含有ペルフル
オロペンタン誘導体、該ペンタン誘導体を中間体として
得られるフルオロヘキサン誘導体、及びこれらの製造方
法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らが前記課題を
解決するために研究を行った結果、相間移動触媒の存在
下で、1,1,1,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-(トリフルオ
ロメチル)-2-ペンテン((CF3)2C=CFCF2CF3)に、カチオ
ン性ハロゲンイオン供与体及び酸性フッ化物イオン HF2
- を反応させることにより、複数のトリフルオロメチル
基を有し、かつ容易に種々の置換基に変換し得る基が結
合した化合物が得られるという知見を得た。本発明のこ
の知見に基づき完成したものである。したがって、本発
明は、一般式(I) で表されるペルフルオロ-2−メチルペ
ンタン誘導体を提供する。 CF3CF2CF2C(CF3)2-X (I) (式中、XはCl、Br、I 又は OH )。また、本発明は、
相間移動触媒の存在下で、カチオン性ハロゲンイオン供
与体、酸性フッ化物イオンF(HF) n - 及び1,1,1,3,4,4,
5,5,5-ノナフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテ
ンを反応させることを特徴とする、一般式(I) で表され
るペルフルオロ-2−メチルペンタン誘導体の製造方法を
提供する。
解決するために研究を行った結果、相間移動触媒の存在
下で、1,1,1,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-(トリフルオ
ロメチル)-2-ペンテン((CF3)2C=CFCF2CF3)に、カチオ
ン性ハロゲンイオン供与体及び酸性フッ化物イオン HF2
- を反応させることにより、複数のトリフルオロメチル
基を有し、かつ容易に種々の置換基に変換し得る基が結
合した化合物が得られるという知見を得た。本発明のこ
の知見に基づき完成したものである。したがって、本発
明は、一般式(I) で表されるペルフルオロ-2−メチルペ
ンタン誘導体を提供する。 CF3CF2CF2C(CF3)2-X (I) (式中、XはCl、Br、I 又は OH )。また、本発明は、
相間移動触媒の存在下で、カチオン性ハロゲンイオン供
与体、酸性フッ化物イオンF(HF) n - 及び1,1,1,3,4,4,
5,5,5-ノナフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテ
ンを反応させることを特徴とする、一般式(I) で表され
るペルフルオロ-2−メチルペンタン誘導体の製造方法を
提供する。
【0008】また、本発明は、一般式(II)で表される3,
3-(ジトリフルオロメチル)ヘキサン誘導体を提供す
る。 CF3CF2CF2 C(CF3)2CH2CH2-X (II) (式中Xは、Cl, Br, I 又は OH )。さらに、本発明
は、前記一般式(I) のペルフルオロ-2−メチルペンタン
誘導体とエチレンとを反応させることを特徴とする、一
般式(II)の3,3-(ジトリフルオロメチル)ヘキサン誘導
体の製造方法を提供する。次に、本発明の内容を詳細に
説明する。
3-(ジトリフルオロメチル)ヘキサン誘導体を提供す
る。 CF3CF2CF2 C(CF3)2CH2CH2-X (II) (式中Xは、Cl, Br, I 又は OH )。さらに、本発明
は、前記一般式(I) のペルフルオロ-2−メチルペンタン
誘導体とエチレンとを反応させることを特徴とする、一
般式(II)の3,3-(ジトリフルオロメチル)ヘキサン誘導
体の製造方法を提供する。次に、本発明の内容を詳細に
説明する。
【0009】本発明のペルフルオロ-2−メチルペンタン
誘導体は、一般式(I) で表される化合物である。一般式
(I) において、XはCl、Br、I 又は OH であって、好ま
しくはCl、又はBrであり、特に好ましいのはBrである。
XがBrの場合、一般式(I) の化合物は、2-ブロモ-1,1,
1,3,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ-2-(トリフルオロメチ
ル)ペンタンである。本発明の3,3-(ジトリフルオロメ
チル)ヘキサン誘導体は、一般式(II)の化合物である。
一般式(II)において、XはCl、Br、I 又は OH であっ
て、好ましくはCl、Br又はI であり、特に好ましいのは
Brである。XがBrの場合、一般式(II)の化合物は、 1−
ブロモ-4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ-3,3-(ジトリフ
ルオロメチル)ヘキサンである。
誘導体は、一般式(I) で表される化合物である。一般式
(I) において、XはCl、Br、I 又は OH であって、好ま
しくはCl、又はBrであり、特に好ましいのはBrである。
XがBrの場合、一般式(I) の化合物は、2-ブロモ-1,1,
1,3,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ-2-(トリフルオロメチ
ル)ペンタンである。本発明の3,3-(ジトリフルオロメ
チル)ヘキサン誘導体は、一般式(II)の化合物である。
一般式(II)において、XはCl、Br、I 又は OH であっ
て、好ましくはCl、Br又はI であり、特に好ましいのは
Brである。XがBrの場合、一般式(II)の化合物は、 1−
ブロモ-4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ-3,3-(ジトリフ
ルオロメチル)ヘキサンである。
【0010】本発明の一般式(I) の化合物は、相間移動
触媒の存在下で、カチオン性ハロゲンイオン供与体、酸
性フッ化物イオンF(HF) n - 及び1,1,1,3,4,4,5,5,5-ノ
ナフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン((C
F3)2C=CFCF2CF3)を反応させることにより製造すること
ができる。本発明の出発物質(CF3)2C=CFCF2CF3は、従来
から工業原料として使用されている化合物であって、含
フッ素有機物の基本原料として大量に使用されているCF
3-CF=CF2の二量化によって製造することができる。この
出発物質は、毒性が低く、貯蔵や取り扱いにボンベやグ
ローブボックスを必要とせず、通常の蓋つき容器に入れ
て空気中で扱うことが出来る。
触媒の存在下で、カチオン性ハロゲンイオン供与体、酸
性フッ化物イオンF(HF) n - 及び1,1,1,3,4,4,5,5,5-ノ
ナフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン((C
F3)2C=CFCF2CF3)を反応させることにより製造すること
ができる。本発明の出発物質(CF3)2C=CFCF2CF3は、従来
から工業原料として使用されている化合物であって、含
フッ素有機物の基本原料として大量に使用されているCF
3-CF=CF2の二量化によって製造することができる。この
出発物質は、毒性が低く、貯蔵や取り扱いにボンベやグ
ローブボックスを必要とせず、通常の蓋つき容器に入れ
て空気中で扱うことが出来る。
【0011】本発明では用いる相間移動触媒には、反応
に関与するが有機相内に溶解し難いアニオンとイオン対
を形成し、このアニオンを有機相内に溶解させる疎水性
の大きなカチオン、該カチオンの塩、及び他のカチオン
に配位することにより疎水性の大きなカチオン錯体を形
成する配位子がある。前者のタイプの相間移動触媒に
は、大きな疎水基の多数結合した第4級アンモニウム塩
や第4級ホスホニウム塩があり、これらのなかでテトラ
ブチルアンモニウム、テトラフェニル燐塩及びテトラブ
チル燐塩が好ましい。後者のタイプの相間移動触媒に
は、Na+ や K+ と錯形成可能なクラウンエーテルやクリ
プタンドなどがあり、カチオンがNa+ の場合は15-crown
-5が、 K+ の場合に18-crown-6が好ましい。これらの相
間移動触媒は単独であるいは2種以上組み合わせて用い
ることが出来る。
に関与するが有機相内に溶解し難いアニオンとイオン対
を形成し、このアニオンを有機相内に溶解させる疎水性
の大きなカチオン、該カチオンの塩、及び他のカチオン
に配位することにより疎水性の大きなカチオン錯体を形
成する配位子がある。前者のタイプの相間移動触媒に
は、大きな疎水基の多数結合した第4級アンモニウム塩
や第4級ホスホニウム塩があり、これらのなかでテトラ
ブチルアンモニウム、テトラフェニル燐塩及びテトラブ
チル燐塩が好ましい。後者のタイプの相間移動触媒に
は、Na+ や K+ と錯形成可能なクラウンエーテルやクリ
プタンドなどがあり、カチオンがNa+ の場合は15-crown
-5が、 K+ の場合に18-crown-6が好ましい。これらの相
間移動触媒は単独であるいは2種以上組み合わせて用い
ることが出来る。
【0012】この相間移動触媒の働きを F(HF)n - (n=
1) 供給源にNaHF2 を用いる場合を例にとり説明する。N
aHF2 は無機物であり、強い親水性を持つため有機相
(この場合ペルフルオロ-2−メチル-2−ペンテン相)に
は全く溶解しない。このためNaHF 2 中のHF2 - イオンは
ペルフルオロ-2−メチル-2−ペンテンとほとんど接触で
きない。しかし、ここに相間移動触媒たとえばテトラブ
チルアンモニウム塩を添加すれば、テトラブチルアンモ
ニウム塩中のテトラブチルアンモニウムカチオン(Bu4N
+ )はHF2 - イオンとイオン対(Bu4N+ ・HF2 - )を形
成する。このイオン対は大きな疎水基を持つため有機相
に溶解することが出来、その結果ペルフルオロ-2−メチ
ル-2−ペンテンがHF2 - イオンと接触出来るようになり
反応が進行するのである。
1) 供給源にNaHF2 を用いる場合を例にとり説明する。N
aHF2 は無機物であり、強い親水性を持つため有機相
(この場合ペルフルオロ-2−メチル-2−ペンテン相)に
は全く溶解しない。このためNaHF 2 中のHF2 - イオンは
ペルフルオロ-2−メチル-2−ペンテンとほとんど接触で
きない。しかし、ここに相間移動触媒たとえばテトラブ
チルアンモニウム塩を添加すれば、テトラブチルアンモ
ニウム塩中のテトラブチルアンモニウムカチオン(Bu4N
+ )はHF2 - イオンとイオン対(Bu4N+ ・HF2 - )を形
成する。このイオン対は大きな疎水基を持つため有機相
に溶解することが出来、その結果ペルフルオロ-2−メチ
ル-2−ペンテンがHF2 - イオンと接触出来るようになり
反応が進行するのである。
【0013】本発明で用いるカチオン性ハロゲンイオン
供与体とは、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I )な
どの原子から電子1個を除去したカチオン、すなわちCl
+ 、Br+ 又はI + を供与し得る化合物をいう。該供与体
のハロフッ素化反応における役割は次のとおりである。
まずF(HF)n- 化合物が基質のオレフィンにフッ素アニオ
ン(F- ) を供与し、炭素上に負の電価を持ったカルボア
ニオンを生成させる。該供与体はこのカルボアニオンに
Cl+ 、Br+ 又はI + を供与して反応を完成させる。結
局、基質のオレフィンはF - とハロゲンカチオン(C
l+ 、Br+ 又はI + )を受け取り、ハロフッ素化反応が
完結するのである。このカチオン性ハロゲンイオン供与
体としては、ハロゲン原子に対し電子吸引性の大きい原
子ないしは置換基の結合した化合物を用いることができ
る。このような供与体の例を挙げると、N,N'−ジブロモ
ジメチルヒダントイン、N-ブロモスクシンイミド、N-ヨ
ードスクシンイミド、N,N-ジクロロメチルアミンなどの
N-ハロ求電子試薬類、Cl2,、Br2,I2などのハロゲン、IC
l 、ICl3、ClF 、ClF3、ClF5、BrCl、IBr 、BrF 、Br
F3、BrF5、FI3 、FI5 などのハロゲン間化合物、BrCN、
ICN などのハロゲンと擬ハロゲンの結合した化合物があ
り、これらの供与体を単独であるいは2種以上組み合わ
せて用いることが出来る。
供与体とは、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I )な
どの原子から電子1個を除去したカチオン、すなわちCl
+ 、Br+ 又はI + を供与し得る化合物をいう。該供与体
のハロフッ素化反応における役割は次のとおりである。
まずF(HF)n- 化合物が基質のオレフィンにフッ素アニオ
ン(F- ) を供与し、炭素上に負の電価を持ったカルボア
ニオンを生成させる。該供与体はこのカルボアニオンに
Cl+ 、Br+ 又はI + を供与して反応を完成させる。結
局、基質のオレフィンはF - とハロゲンカチオン(C
l+ 、Br+ 又はI + )を受け取り、ハロフッ素化反応が
完結するのである。このカチオン性ハロゲンイオン供与
体としては、ハロゲン原子に対し電子吸引性の大きい原
子ないしは置換基の結合した化合物を用いることができ
る。このような供与体の例を挙げると、N,N'−ジブロモ
ジメチルヒダントイン、N-ブロモスクシンイミド、N-ヨ
ードスクシンイミド、N,N-ジクロロメチルアミンなどの
N-ハロ求電子試薬類、Cl2,、Br2,I2などのハロゲン、IC
l 、ICl3、ClF 、ClF3、ClF5、BrCl、IBr 、BrF 、Br
F3、BrF5、FI3 、FI5 などのハロゲン間化合物、BrCN、
ICN などのハロゲンと擬ハロゲンの結合した化合物があ
り、これらの供与体を単独であるいは2種以上組み合わ
せて用いることが出来る。
【0014】本発明のF(HF)n- イオンにおける、nは1
〜10、好ましくは1〜4の整数である。nを10以下とす
るのは、nが10よりも大きいと、反応に用いたときに目
的のハロフッ素反応よりもペルフルオロ-2- メチル-2-
ペンテン相互の重合などの望ましくない反応が進行し易
くなり、また、nの値が10よりも大きいF(HF)n- の塩は
乾燥しにくいため、これらを反応に用いるとハロフッ素
化反応を妨害し、また副生生物の生成の原因となる水を
反応系内に持ち込む結果となるためである。本発明で用
いるF(HF)n- イオンを有する化合物は、水を溶媒として
用い、フッ化物1モルに対しフッ化水素酸nモルを加え
るか、又は水酸化物、アンモニア、ピリジンなどの塩基
1モルに対し、フッ化水素酸n+1モル加えて乾燥させ
ることにより調製する。ここで用いるフッ化物の例を挙
げると、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カ
リウム、フッ化セシウム、フッ化銀などがある。
〜10、好ましくは1〜4の整数である。nを10以下とす
るのは、nが10よりも大きいと、反応に用いたときに目
的のハロフッ素反応よりもペルフルオロ-2- メチル-2-
ペンテン相互の重合などの望ましくない反応が進行し易
くなり、また、nの値が10よりも大きいF(HF)n- の塩は
乾燥しにくいため、これらを反応に用いるとハロフッ素
化反応を妨害し、また副生生物の生成の原因となる水を
反応系内に持ち込む結果となるためである。本発明で用
いるF(HF)n- イオンを有する化合物は、水を溶媒として
用い、フッ化物1モルに対しフッ化水素酸nモルを加え
るか、又は水酸化物、アンモニア、ピリジンなどの塩基
1モルに対し、フッ化水素酸n+1モル加えて乾燥させ
ることにより調製する。ここで用いるフッ化物の例を挙
げると、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カ
リウム、フッ化セシウム、フッ化銀などがある。
【0015】ハロフッ素化反応は水分を嫌うため乾燥は
充分に行う必要がある。F(HF)n- イオンを有する化合物
の製造反応は、室温以下の温度で行う。これは製造反応
が常温でも速やかに進行し、一方、フッ化水素が揮発性
であるためその損失を抑制するためである。なお、nが
3以上となる場合には、生成物の塩を乾燥させる過程に
おけるHFの損失が無視できなくなるため、得られた塩を
滴定などの手段によって分析して組成を決定することが
必要である。これらのF(HF)n- イオンを有する化合物
は、その表面積を増大する目的でCaFなどの担体に担持
して使用することもできる。一般式 (I)の化合物の製造
は次のように行う。窒素、ヘリウム又はアルゴンなどの
乾燥した不活性気体の雰囲気下で、カチオン性ハロゲン
イオン供与体、及びF(HF)n- を有する化合物を混合し、
次いで(CF3)2C=CFCF2CF3を加えて−10〜+25℃、好まし
くは−5 〜+15℃に冷却する。次いで相間移動触媒を加
えて反応を開始する。反応中も反応液を前記温度範囲に
維持し、反応混合物の固体成分がよく分散するよう激し
く撹拌しながら30分〜50時間、好ましくは1時間30分〜
20時間、さらに好ましくは1時間30分〜10時間反応を継
続する。反応時の温度範囲を限定する理由は、−10℃よ
りも低いと反応の速度定数及び反応混合物内の液体に対
するカチオン性ハロゲンイオン供与体などの溶解度が低
下して反応に時間がかかりすぎるからであり、+25℃よ
りも高いと副生成物の発生が増えるからである。
充分に行う必要がある。F(HF)n- イオンを有する化合物
の製造反応は、室温以下の温度で行う。これは製造反応
が常温でも速やかに進行し、一方、フッ化水素が揮発性
であるためその損失を抑制するためである。なお、nが
3以上となる場合には、生成物の塩を乾燥させる過程に
おけるHFの損失が無視できなくなるため、得られた塩を
滴定などの手段によって分析して組成を決定することが
必要である。これらのF(HF)n- イオンを有する化合物
は、その表面積を増大する目的でCaFなどの担体に担持
して使用することもできる。一般式 (I)の化合物の製造
は次のように行う。窒素、ヘリウム又はアルゴンなどの
乾燥した不活性気体の雰囲気下で、カチオン性ハロゲン
イオン供与体、及びF(HF)n- を有する化合物を混合し、
次いで(CF3)2C=CFCF2CF3を加えて−10〜+25℃、好まし
くは−5 〜+15℃に冷却する。次いで相間移動触媒を加
えて反応を開始する。反応中も反応液を前記温度範囲に
維持し、反応混合物の固体成分がよく分散するよう激し
く撹拌しながら30分〜50時間、好ましくは1時間30分〜
20時間、さらに好ましくは1時間30分〜10時間反応を継
続する。反応時の温度範囲を限定する理由は、−10℃よ
りも低いと反応の速度定数及び反応混合物内の液体に対
するカチオン性ハロゲンイオン供与体などの溶解度が低
下して反応に時間がかかりすぎるからであり、+25℃よ
りも高いと副生成物の発生が増えるからである。
【0016】また反応時間の範囲が広いのは反応混合物
が固体と液体を含む不均一系の反応だからであり、相間
移動触媒撹拌の量を初めとして、反応に用いる個体の粒
子系およびその形状、撹拌の激しさ、反応のスケール、
反応容器の形状に起因する撹拌効率の変化などによって
反応に要する時間が大きく変化するためである。随時反
応溶液を一部処理してガスクロマトグラフィーなどによ
り分析して転化率を求め、反応の終了時間を決定するこ
とが望ましい。反応が終了した後、濾過及び蒸留により
目的とする化合物を得ることができる。一般式 (I)の化
合物の製造は、無溶媒で行うことができる。また、溶媒
を用いる場合、その例を挙げると、塩化メチレン、クロ
ロホルム、四塩化炭素、トリクロルエタン、トリクロル
エチレン、ブロモホルム、テトラクロルエチレン、クロ
ルベンゼン、ブロモベンゼンなどのハロゲン化物、ベン
ゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼンなどの芳香
族炭化水素、およびその誘導体、ホルムアミド、モノメ
チルホルムアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド
類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、二硫化炭素な
どのスルホキシド類およびその他の硫黄化合物、アセト
ニトリルなどのニトリル類等があり、これらの溶媒を単
独であるいは二種類以上組み合わせて用いることが出来
る。
が固体と液体を含む不均一系の反応だからであり、相間
移動触媒撹拌の量を初めとして、反応に用いる個体の粒
子系およびその形状、撹拌の激しさ、反応のスケール、
反応容器の形状に起因する撹拌効率の変化などによって
反応に要する時間が大きく変化するためである。随時反
応溶液を一部処理してガスクロマトグラフィーなどによ
り分析して転化率を求め、反応の終了時間を決定するこ
とが望ましい。反応が終了した後、濾過及び蒸留により
目的とする化合物を得ることができる。一般式 (I)の化
合物の製造は、無溶媒で行うことができる。また、溶媒
を用いる場合、その例を挙げると、塩化メチレン、クロ
ロホルム、四塩化炭素、トリクロルエタン、トリクロル
エチレン、ブロモホルム、テトラクロルエチレン、クロ
ルベンゼン、ブロモベンゼンなどのハロゲン化物、ベン
ゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼンなどの芳香
族炭化水素、およびその誘導体、ホルムアミド、モノメ
チルホルムアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド
類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、二硫化炭素な
どのスルホキシド類およびその他の硫黄化合物、アセト
ニトリルなどのニトリル類等があり、これらの溶媒を単
独であるいは二種類以上組み合わせて用いることが出来
る。
【0017】なお、カチオン性ハロゲンイオン供与体
は、出発物質(CF3)2C=CFCF2CF31モルに対し、1/m〜
5/mモル、好ましくは1/m〜2/mモル使用するの
が適当である。mはカチオン性ハロゲンイオン供与体1
モルが放出し得るカチオン性ハロゲンのモル数である。
該供与体の使用量を限定するのは、1/mモルが反応を
完結させるための必要最小量だからであり、5/mモル
以下にするのは、これ以上カチオン性ハロゲンイオン供
与体を多く使用すると未反応のカチオン性ハロゲンイオ
ン供与体が反応生成物と分離しにくくなり生成物の収率
が低下するためである。F(HF)n- 化合物は、出発物質(C
F3)2C=CFCF2CF31モルに対し、1/n〜20/nモル、好
ましくは1/n〜3/nモル使用するのが適当である。
nは、F(HF)n-化合物1モルが放出し得るHFのモル数で
ある。また、F(HF)n- 化合物の使用量を限定するのは、
1/nモルが反応を完結させるために必要な最小の量だ
からであり、20/nモル以下にするのは未反応のF(HF)n
- 化合物が反応生成物と分離しにくくなり生成物の収率
が低下するためである。
は、出発物質(CF3)2C=CFCF2CF31モルに対し、1/m〜
5/mモル、好ましくは1/m〜2/mモル使用するの
が適当である。mはカチオン性ハロゲンイオン供与体1
モルが放出し得るカチオン性ハロゲンのモル数である。
該供与体の使用量を限定するのは、1/mモルが反応を
完結させるための必要最小量だからであり、5/mモル
以下にするのは、これ以上カチオン性ハロゲンイオン供
与体を多く使用すると未反応のカチオン性ハロゲンイオ
ン供与体が反応生成物と分離しにくくなり生成物の収率
が低下するためである。F(HF)n- 化合物は、出発物質(C
F3)2C=CFCF2CF31モルに対し、1/n〜20/nモル、好
ましくは1/n〜3/nモル使用するのが適当である。
nは、F(HF)n-化合物1モルが放出し得るHFのモル数で
ある。また、F(HF)n- 化合物の使用量を限定するのは、
1/nモルが反応を完結させるために必要な最小の量だ
からであり、20/nモル以下にするのは未反応のF(HF)n
- 化合物が反応生成物と分離しにくくなり生成物の収率
が低下するためである。
【0018】また、相間移動触媒は、出発物質(CF3)2C=
CFCF2CF31モルに対し、1/5〜1/500 モル、好ましくは
1/20〜1/300 モル、さらに好ましくは1/50〜1/150 モル
使用するのが適当である。相間移動触媒の使用量を限定
するのは、1/5モルより多いと副生成物が発生し易く
なるためであり、1/500モル以上使用するのはこれよ
り少ないと反応に時間がかかりすぎるためである。一般
式(II)の化合物は、通常、次のように製造する。まず、
ラジカル反応開始剤と一般式(I) のペルフルオロ-2−メ
チルペンタン誘導体とを密閉容器に入れ、該容器内部を
エチレン、もしくはヘリウム、アルゴン、窒素などの不
活性ガス、又はこれらの不活性ガスとエチレンの混合ガ
スで置換した後、ゲージ圧が0.0〜20Kg/cm2 、好まし
くは0.5〜10Kg/cm2 となるように置換に用いたガスで
加圧し、次いで60〜130 ℃、好ましくは70〜100℃に加
熱して、10分〜30時間、好ましくは30分〜15時間、さら
に好ましくは1時間〜10時間反応させる。この反応で
は、適当な温度で緩やかに熱分解し、徐々にラジカルを
発生するラジカル反応開始剤を用いるのが好ましい。こ
のようなラジカル反応開始剤の例を挙げると、過酸化ジ
-tert-ブチルなどの過酸化物、過酢酸、過安息香酸、m-
クロル過安息香酸などの過酸及びこれらの塩、過酸化ジ
ベンゾイル、過酸化ジアセチル、過酸化ジウラロイル、
過炭酸ジシクロヘキシルなどの過酸と酸の脱水縮合物、
アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキシル
ニトリルなどの熱分解性ニトリルなどがあり、これらを
単独であるいは2種以上組み合わせて用いることが出来
る。
CFCF2CF31モルに対し、1/5〜1/500 モル、好ましくは
1/20〜1/300 モル、さらに好ましくは1/50〜1/150 モル
使用するのが適当である。相間移動触媒の使用量を限定
するのは、1/5モルより多いと副生成物が発生し易く
なるためであり、1/500モル以上使用するのはこれよ
り少ないと反応に時間がかかりすぎるためである。一般
式(II)の化合物は、通常、次のように製造する。まず、
ラジカル反応開始剤と一般式(I) のペルフルオロ-2−メ
チルペンタン誘導体とを密閉容器に入れ、該容器内部を
エチレン、もしくはヘリウム、アルゴン、窒素などの不
活性ガス、又はこれらの不活性ガスとエチレンの混合ガ
スで置換した後、ゲージ圧が0.0〜20Kg/cm2 、好まし
くは0.5〜10Kg/cm2 となるように置換に用いたガスで
加圧し、次いで60〜130 ℃、好ましくは70〜100℃に加
熱して、10分〜30時間、好ましくは30分〜15時間、さら
に好ましくは1時間〜10時間反応させる。この反応で
は、適当な温度で緩やかに熱分解し、徐々にラジカルを
発生するラジカル反応開始剤を用いるのが好ましい。こ
のようなラジカル反応開始剤の例を挙げると、過酸化ジ
-tert-ブチルなどの過酸化物、過酢酸、過安息香酸、m-
クロル過安息香酸などの過酸及びこれらの塩、過酸化ジ
ベンゾイル、過酸化ジアセチル、過酸化ジウラロイル、
過炭酸ジシクロヘキシルなどの過酸と酸の脱水縮合物、
アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキシル
ニトリルなどの熱分解性ニトリルなどがあり、これらを
単独であるいは2種以上組み合わせて用いることが出来
る。
【0019】この反応におけるラジカル反応開始剤の使
用量は、ペルフルオロ-2−メチルペンタン誘導体1モル
に対して、1/300 〜1 /3 モル、好ましくは1 /150 〜
1 /15モル、さらに好ましくは1 /75〜1/20モルとす
るのが適当である。使用量を規定するのは、1/300モル
より少ないと連鎖反応が起こらない、又は反応の進行が
停止するおそれがあるからであり、1/3モルより多いと
目的生成物の収率が低下し、反応系内のラジカル濃度が
高くなりすぎて望ましくない反応が進行しやすくなった
り、また連鎖反応が早く進行し過ぎて反応の制御が困難
となるからである。
用量は、ペルフルオロ-2−メチルペンタン誘導体1モル
に対して、1/300 〜1 /3 モル、好ましくは1 /150 〜
1 /15モル、さらに好ましくは1 /75〜1/20モルとす
るのが適当である。使用量を規定するのは、1/300モル
より少ないと連鎖反応が起こらない、又は反応の進行が
停止するおそれがあるからであり、1/3モルより多いと
目的生成物の収率が低下し、反応系内のラジカル濃度が
高くなりすぎて望ましくない反応が進行しやすくなった
り、また連鎖反応が早く進行し過ぎて反応の制御が困難
となるからである。
【0020】なお、ゲージ圧を0Kg/cm2 より高くする
のは、反応溶液内のエチレンの濃度を充分高め、かつ容
器内部に反応の進行を妨げる大気中の酸素などが侵入す
るのを防ぐためであり、20Kg/cm2 より低くするのは、
基質に対するエチレンの過剰付加を防ぎ副生物の生成を
防ぐためである。また、反応温度を60℃以上にするのは
ラジカル反応開始剤の分解速度を高めて反応時間を短く
するためであり、130℃より低くするのは、これ以上高
い温度ではラジカル反応開始剤が急激に分解し、反応系
内のラジカル濃度が高くなりすぎラジカル同士のカップ
リング反応などの望ましくない反応が進行したり、連鎖
反応の早く進行し過ぎて反応の制御が困難になるからで
ある。また、反応時間を10分以上にするのは、反応の初
期に生じたラジカルは容器内に残っている水や酸素、反
応容器の壁などと反応し消費されるので、目的の反応が
ほとんど進行しないからであり、また、反応を30時間以
上行わないのは、通常ラジカル開始剤が完全に分解して
おり、これ以上反応時間を延長しても新たにラジカルが
生成して反応が進行する可能性がないためである。な
お、反応の終了を確認するため、前記反応時間範囲内で
随時反応溶液をガスクロマトグラフィーなどにより分析
して転化率を求めることが望ましい。
のは、反応溶液内のエチレンの濃度を充分高め、かつ容
器内部に反応の進行を妨げる大気中の酸素などが侵入す
るのを防ぐためであり、20Kg/cm2 より低くするのは、
基質に対するエチレンの過剰付加を防ぎ副生物の生成を
防ぐためである。また、反応温度を60℃以上にするのは
ラジカル反応開始剤の分解速度を高めて反応時間を短く
するためであり、130℃より低くするのは、これ以上高
い温度ではラジカル反応開始剤が急激に分解し、反応系
内のラジカル濃度が高くなりすぎラジカル同士のカップ
リング反応などの望ましくない反応が進行したり、連鎖
反応の早く進行し過ぎて反応の制御が困難になるからで
ある。また、反応時間を10分以上にするのは、反応の初
期に生じたラジカルは容器内に残っている水や酸素、反
応容器の壁などと反応し消費されるので、目的の反応が
ほとんど進行しないからであり、また、反応を30時間以
上行わないのは、通常ラジカル開始剤が完全に分解して
おり、これ以上反応時間を延長しても新たにラジカルが
生成して反応が進行する可能性がないためである。な
お、反応の終了を確認するため、前記反応時間範囲内で
随時反応溶液をガスクロマトグラフィーなどにより分析
して転化率を求めることが望ましい。
【0021】
【発明の効果】本発明により、合成化学的に変換の容易
な置換基を持ち合成原料として汎用性の高い化合物であ
り、かつ低毒性の原料より得られる、2以上のトリフル
オロメチル基を持つハロゲン含有ペルフルオロペンタン
誘導体、及び該ペンタン誘導体を中間体として得られる
フルオロヘキサン誘導体を製造することができた。これ
らの誘導体により、多様な含フッ素化合物の合成が可能
になり、特に撥水撥油性やレベリング性の高いフッ素化
合物を容易に得ることができる。
な置換基を持ち合成原料として汎用性の高い化合物であ
り、かつ低毒性の原料より得られる、2以上のトリフル
オロメチル基を持つハロゲン含有ペルフルオロペンタン
誘導体、及び該ペンタン誘導体を中間体として得られる
フルオロヘキサン誘導体を製造することができた。これ
らの誘導体により、多様な含フッ素化合物の合成が可能
になり、特に撥水撥油性やレベリング性の高いフッ素化
合物を容易に得ることができる。
【0022】
(実施例1) 2-ブロモ-1,1,1,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ-2-(トリ
フルオロメチル)ペンタン(BPFMP):(CF3)2CBrCF2CF2CF3
の合成 N,N'- ジブロモジメチルヒダントイン 32.0 g(112mmo
l)と酸性フッ化ナトリウム 14.0 g(226mmol)を、ジ
ムロート冷却管を装着した100ml の二口フラスコに入
れ、該容器内の空気を窒素ガスで置換した。次いで、容
器にペルフルオロ-2- メチル-2- ペンテン(1,1,1,3,4,
4,5,5,5- ノナフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペ
ンテン) 60.0g(200mmol)を入れ、氷冷しながら撹拌し
て内部の固形分を分散させた。内容物が充分冷えてから
酸性フッ化テトラブチルアンモニウム溶液(TBA・ HF2,
4.8mol/dm3 in CH2Cl2) 0.6 ml(2.9mmol )を投入し、
激しく撹拌して分散させた。氷冷し、撹拌しながら2時
間反応を行った後、濾過して反応を停止した。濾塊を塩
化メチレンで2回洗浄した。濾液に炭酸カルシウム 400
mg(3.3mmol)を投入して撹拌した後、再び濾過し、この
液を蒸留して75〜100 ℃の留分を得て、さらに、この留
分を精留して95〜97℃の留分を得た。得られた化合物の
収量は40.0gであった(収率50%)。分析により下記の
データを得ることができ、得られた化合物が目的の化合
物であることを確認した。
フルオロメチル)ペンタン(BPFMP):(CF3)2CBrCF2CF2CF3
の合成 N,N'- ジブロモジメチルヒダントイン 32.0 g(112mmo
l)と酸性フッ化ナトリウム 14.0 g(226mmol)を、ジ
ムロート冷却管を装着した100ml の二口フラスコに入
れ、該容器内の空気を窒素ガスで置換した。次いで、容
器にペルフルオロ-2- メチル-2- ペンテン(1,1,1,3,4,
4,5,5,5- ノナフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペ
ンテン) 60.0g(200mmol)を入れ、氷冷しながら撹拌し
て内部の固形分を分散させた。内容物が充分冷えてから
酸性フッ化テトラブチルアンモニウム溶液(TBA・ HF2,
4.8mol/dm3 in CH2Cl2) 0.6 ml(2.9mmol )を投入し、
激しく撹拌して分散させた。氷冷し、撹拌しながら2時
間反応を行った後、濾過して反応を停止した。濾塊を塩
化メチレンで2回洗浄した。濾液に炭酸カルシウム 400
mg(3.3mmol)を投入して撹拌した後、再び濾過し、この
液を蒸留して75〜100 ℃の留分を得て、さらに、この留
分を精留して95〜97℃の留分を得た。得られた化合物の
収量は40.0gであった(収率50%)。分析により下記の
データを得ることができ、得られた化合物が目的の化合
物であることを確認した。
【0023】(分析結果) 沸点:bp.95〜97℃ 質量分析(MS):M/Z =398,400(M+、強度比50.5:49.
5), 379,381(M+-F),310,312(M+ー CF3), 279,281(M+-CF2
CF3) 赤外線吸収スペクトル(IR):1330,1230,1150,1115,9
85,950,920,810,730,710,660cm-1 核磁気共鳴(NMR):19F NMR(in CDCl3) 外部標準物質CF3COOH(abt.20% in CDCl3,δ=76.55pp
m)19 F NMRδ=87.9(m,6F,a)、72.0(t,3F,d)、47.2(m,2F,
b)、30.4(m,2F,c)
5), 379,381(M+-F),310,312(M+ー CF3), 279,281(M+-CF2
CF3) 赤外線吸収スペクトル(IR):1330,1230,1150,1115,9
85,950,920,810,730,710,660cm-1 核磁気共鳴(NMR):19F NMR(in CDCl3) 外部標準物質CF3COOH(abt.20% in CDCl3,δ=76.55pp
m)19 F NMRδ=87.9(m,6F,a)、72.0(t,3F,d)、47.2(m,2F,
b)、30.4(m,2F,c)
【0024】(実施例2) 1-ブロモ-4,4,5,5,6,6,6−オクタフルオロ-3,3-(ジトリ
フルオロメチル)ヘキサン)の製造 過酸化ベンゾイル(25%含水) 1000mg(3.0mmol) を四塩
化炭素 10cm3に分散させた溶液を、直径20mm×長さ20mm
のシリカゲルカラムを通して乾燥させた。耐圧反応容器
に、この溶液と、実施例1で得た2-ブロモ-1,1,1,3,3,
4,4,5,5,5−ノナフルオロ-2-(トリフルオロメチル)ペ
ンタン 40.0 g(100mmol)とを入れ、容器内をエチレン
で置換した。エチレンガスの圧力をゲージ圧で1気圧に
し、容器内の温度を80℃にして15時間反応を行った。反
応後、反応液をそのまま蒸留して90〜95℃(135mmHg)の
留分を得た。得られた化合物の収量は30.8g(収率72
%)であった。分析により下記のデータを得ることがで
き、得られた化合物が目的の化合物であることを確認し
た。
フルオロメチル)ヘキサン)の製造 過酸化ベンゾイル(25%含水) 1000mg(3.0mmol) を四塩
化炭素 10cm3に分散させた溶液を、直径20mm×長さ20mm
のシリカゲルカラムを通して乾燥させた。耐圧反応容器
に、この溶液と、実施例1で得た2-ブロモ-1,1,1,3,3,
4,4,5,5,5−ノナフルオロ-2-(トリフルオロメチル)ペ
ンタン 40.0 g(100mmol)とを入れ、容器内をエチレン
で置換した。エチレンガスの圧力をゲージ圧で1気圧に
し、容器内の温度を80℃にして15時間反応を行った。反
応後、反応液をそのまま蒸留して90〜95℃(135mmHg)の
留分を得た。得られた化合物の収量は30.8g(収率72
%)であった。分析により下記のデータを得ることがで
き、得られた化合物が目的の化合物であることを確認し
た。
【0025】同定資料 沸点:bp.90 〜95℃(135mmHg) 質量分析(MS):426,428(M+、強度比51.4:48.6), 34
7(M+-Br) 赤外線吸収スペクトル(IR):1450,1330,1240,1160,1
140,1120,1105,1080,1030,1020,950,920,815,730,700,6
50cm-1 核磁気共鳴(NMR):19 F NMR(in CDCl3) 外部標準物質CF3COOH(abt.20% in CDCl3,δ=76.55pp
m)19 F NMR δ=89.2(m,6F,a)、72.6(t,3F,d)、45.7(m,2F,
b)、29.7(m,2F,c)1 H NMR(in CDCl3) 内部標準物質TMS(δ=0.00ppm)1 H NMR δ=3.55(t,2H,J=8.5Hz)、2.77(t,2H,J=8.5Hz)
7(M+-Br) 赤外線吸収スペクトル(IR):1450,1330,1240,1160,1
140,1120,1105,1080,1030,1020,950,920,815,730,700,6
50cm-1 核磁気共鳴(NMR):19 F NMR(in CDCl3) 外部標準物質CF3COOH(abt.20% in CDCl3,δ=76.55pp
m)19 F NMR δ=89.2(m,6F,a)、72.6(t,3F,d)、45.7(m,2F,
b)、29.7(m,2F,c)1 H NMR(in CDCl3) 内部標準物質TMS(δ=0.00ppm)1 H NMR δ=3.55(t,2H,J=8.5Hz)、2.77(t,2H,J=8.5Hz)
【0026】(比較例1)出発物質(CF3)2C=CFCF2CF3か
ら、常法である二重結合の一方にフッ素を付加し、もう
一方にフッ素以外のハロゲンを結合させるハロフッ素化
反応により、本発明の化合物CF3CF2CF2(CF3)2 C-Brの合
成を検討した。したがって、比較例1では、出発物質、
フッ化ナトリウム、及びヨウ素をニトロベンゼンを溶媒
として高圧反応器内で170 ℃程度の温度で反応させる方
法を用いた(文献:ソ連科学アカデミー報告(Doklady
Akademii Nauk, SSSR )1346頁、第169 巻、第6号、19
66年発行、著者: E.P.Mochalina, B.L. Dyatkin, I.V.
Galakhov & I.L. Knunyants)。まず、耐圧容器に(CF3)2
C=CFCF2CF3 40.0 g(133mmol)、フッ化カリウム 20.0
g(344mmol)、ヨウ素 40.0 g(157mmol)、ニトロベン
ゼン 30cm3を入れ密封した。反応温度170 ℃で20時間保
ち、反応終了後、未反応のヨウ素を濾別した。ガスクロ
マトグラフィーにより分析を行ったが、出発物質(CF3)2
C=CFCF2CF3は、変化せず新たな生成物は認められなかっ
た。さらに、溶媒をニトロベンゼンから、テトラヒドロ
フランや塩化メチレンに変え、また、フッ素イオンの有
機相での濃度を増加させるため、相関移動触媒としてフ
ッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)やペルフルオロア
ルキル基を持つ四級アンモニウム塩を添加して反応させ
ようとしたがいずれの系においても反応は全く起こらな
かった。
ら、常法である二重結合の一方にフッ素を付加し、もう
一方にフッ素以外のハロゲンを結合させるハロフッ素化
反応により、本発明の化合物CF3CF2CF2(CF3)2 C-Brの合
成を検討した。したがって、比較例1では、出発物質、
フッ化ナトリウム、及びヨウ素をニトロベンゼンを溶媒
として高圧反応器内で170 ℃程度の温度で反応させる方
法を用いた(文献:ソ連科学アカデミー報告(Doklady
Akademii Nauk, SSSR )1346頁、第169 巻、第6号、19
66年発行、著者: E.P.Mochalina, B.L. Dyatkin, I.V.
Galakhov & I.L. Knunyants)。まず、耐圧容器に(CF3)2
C=CFCF2CF3 40.0 g(133mmol)、フッ化カリウム 20.0
g(344mmol)、ヨウ素 40.0 g(157mmol)、ニトロベン
ゼン 30cm3を入れ密封した。反応温度170 ℃で20時間保
ち、反応終了後、未反応のヨウ素を濾別した。ガスクロ
マトグラフィーにより分析を行ったが、出発物質(CF3)2
C=CFCF2CF3は、変化せず新たな生成物は認められなかっ
た。さらに、溶媒をニトロベンゼンから、テトラヒドロ
フランや塩化メチレンに変え、また、フッ素イオンの有
機相での濃度を増加させるため、相関移動触媒としてフ
ッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)やペルフルオロア
ルキル基を持つ四級アンモニウム塩を添加して反応させ
ようとしたがいずれの系においても反応は全く起こらな
かった。
【0027】(比較例2)溶媒として塩化メチレンを用
い、出発物質(CF3)2C=CFCF2CF3に、酸性フッ化テトラブ
チルアンモニウム(TBA・ H2F)及びジメチルジブロモヒダ
ントインを0℃で反応させるハロフッ素化反応により、
本発明の化合物CF3CF2CF2(CF3)2 C-Brの合成を検討した
(文献:M. Kuroboshi, T. Hiyama 著、Tetrahedron Le
tters., 第32巻、1215頁、1991年発行)。まず、ジムロ
ート冷却管を装着した二口フラスコに、N,N'−ジブロモ
ジメチルヒダントイン28.5g(100mmol)を入れ、フラス
コ内を窒素置換した。そこに(CF3)2C=CFCF2CF3 40.0 g
(133mmol)を加えて、フラスコを氷冷し、内容物が充分
冷えてから酸性フッ化テトラブチルアンモニウム35.0g
(133mmol)を加えた。氷冷しながら、窒素雰囲気下で10
時間反応を行い、反応生成物をガスクロマトグラフィー
によって分析した。出発物質(CF3)2C=CFCF2CF3はほとん
ど消失したが、反応液内には目的物と思われる成分は3
%程度しか含まれておらず、主に目的物より流出時間の
速い化合物、および目的物より流出時間の遅い化合物の
二種が副生した。
い、出発物質(CF3)2C=CFCF2CF3に、酸性フッ化テトラブ
チルアンモニウム(TBA・ H2F)及びジメチルジブロモヒダ
ントインを0℃で反応させるハロフッ素化反応により、
本発明の化合物CF3CF2CF2(CF3)2 C-Brの合成を検討した
(文献:M. Kuroboshi, T. Hiyama 著、Tetrahedron Le
tters., 第32巻、1215頁、1991年発行)。まず、ジムロ
ート冷却管を装着した二口フラスコに、N,N'−ジブロモ
ジメチルヒダントイン28.5g(100mmol)を入れ、フラス
コ内を窒素置換した。そこに(CF3)2C=CFCF2CF3 40.0 g
(133mmol)を加えて、フラスコを氷冷し、内容物が充分
冷えてから酸性フッ化テトラブチルアンモニウム35.0g
(133mmol)を加えた。氷冷しながら、窒素雰囲気下で10
時間反応を行い、反応生成物をガスクロマトグラフィー
によって分析した。出発物質(CF3)2C=CFCF2CF3はほとん
ど消失したが、反応液内には目的物と思われる成分は3
%程度しか含まれておらず、主に目的物より流出時間の
速い化合物、および目的物より流出時間の遅い化合物の
二種が副生した。
【0028】(実施例3) 化合物CF3CF2CF2(CF3)2CCH2CH2Brの有用性の確認実験 この実験では、該化合物を原料としてシランカップリン
グ剤(CF3CF2CF2(CF3)2CCH2CH2SiCl3) を合成し、該カッ
プリング剤が、板ガラスを処理してその撥水性を示すこ
とにより、化合物CF3CF2CF2(CF3)2CCH2CH2Brがガラス用
撥水剤の原料となり得ることを確認した。 (CF3CF2CF2(CF3)2CCH=CH2の合成)CF3CF2CF2(CF3)2CCH
2CH2Brと、その1.5 倍量の水酸化カリウム粉末の流動パ
ラフィン分散液とを、クライゼン管及びリービッヒ冷却
管を装着した一口フラスコに入れた。このフラスコを、
マグネティックスタラーで撹拌しながら、油浴で加熱し
て120 ℃に保ち、液体の流出速度が遅くなってから油浴
温度を140 ℃まで上昇させて、流出する液を得た。ガス
クロマトグラフィーによって分析した結果、この液体は
ほぼ純品のCF3CF2CF2(CF3)2CCH=CH2であった。
グ剤(CF3CF2CF2(CF3)2CCH2CH2SiCl3) を合成し、該カッ
プリング剤が、板ガラスを処理してその撥水性を示すこ
とにより、化合物CF3CF2CF2(CF3)2CCH2CH2Brがガラス用
撥水剤の原料となり得ることを確認した。 (CF3CF2CF2(CF3)2CCH=CH2の合成)CF3CF2CF2(CF3)2CCH
2CH2Brと、その1.5 倍量の水酸化カリウム粉末の流動パ
ラフィン分散液とを、クライゼン管及びリービッヒ冷却
管を装着した一口フラスコに入れた。このフラスコを、
マグネティックスタラーで撹拌しながら、油浴で加熱し
て120 ℃に保ち、液体の流出速度が遅くなってから油浴
温度を140 ℃まで上昇させて、流出する液を得た。ガス
クロマトグラフィーによって分析した結果、この液体は
ほぼ純品のCF3CF2CF2(CF3)2CCH=CH2であった。
【0029】(CF3CF2CF2(CF3)2CCH2CH2SiCl3) の合成)
得られたCF3CF2CF2(CF3)2CCH=CH2を、0.9 倍量の HSiCl
3 及び1/3000倍量の塩化白金酸(0.1 Mメタノール溶
液)とともに肉厚の耐熱ガラス管に入れ、液体窒素を用
いての固化と真空ポンプでの排気を数回繰り返し、脱気
してから酸素バーナーをもちいて密封管を作成した。密
封管を100 ℃の油浴に漬け、時々撹拌しながら24時間反
応を行い、この管を冷却した後、開封して蒸留しCF3CF2
CF2(CF3)2CCH2CH2SiCl3 を得た。 (CF3CF2CF2(CF3)2CCH2CH2SiCl3 によるガラスの処理お
よびこれが撥水剤として用い得ることの確認)水素化カ
ルシウムを用いて乾燥し、蒸留したイソプロピルアルコ
ールに、CF3CF2CF2(CF3)2CCH2CH2SiCl3 を2%溶解し、
この溶液を顕微鏡用スライドガラスの面の半分に塗布し
た。室温で1分間放置した後、イソプロピルアルコール
でガラス面をふいて余剰のCF3CF2CF2(CF3)2CCH2CH2SiCl
3 を除去し、ガラス面に水を掛けた。CF3CF2CF2(CF3)2C
CH2CH2SiCl3 溶液を塗布していない部分(未処理の部
分)には水が付着したが、溶液を塗布した部分にはほと
んど水は付着しなかった。したがって、CF3CF2CF2(CF3)
2CCH2CH2SiCl3 はガラスの撥水処理剤として用いること
が出来る。
得られたCF3CF2CF2(CF3)2CCH=CH2を、0.9 倍量の HSiCl
3 及び1/3000倍量の塩化白金酸(0.1 Mメタノール溶
液)とともに肉厚の耐熱ガラス管に入れ、液体窒素を用
いての固化と真空ポンプでの排気を数回繰り返し、脱気
してから酸素バーナーをもちいて密封管を作成した。密
封管を100 ℃の油浴に漬け、時々撹拌しながら24時間反
応を行い、この管を冷却した後、開封して蒸留しCF3CF2
CF2(CF3)2CCH2CH2SiCl3 を得た。 (CF3CF2CF2(CF3)2CCH2CH2SiCl3 によるガラスの処理お
よびこれが撥水剤として用い得ることの確認)水素化カ
ルシウムを用いて乾燥し、蒸留したイソプロピルアルコ
ールに、CF3CF2CF2(CF3)2CCH2CH2SiCl3 を2%溶解し、
この溶液を顕微鏡用スライドガラスの面の半分に塗布し
た。室温で1分間放置した後、イソプロピルアルコール
でガラス面をふいて余剰のCF3CF2CF2(CF3)2CCH2CH2SiCl
3 を除去し、ガラス面に水を掛けた。CF3CF2CF2(CF3)2C
CH2CH2SiCl3 溶液を塗布していない部分(未処理の部
分)には水が付着したが、溶液を塗布した部分にはほと
んど水は付着しなかった。したがって、CF3CF2CF2(CF3)
2CCH2CH2SiCl3 はガラスの撥水処理剤として用いること
が出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 31/40 9155−4H C07C 31/40 // C03C 17/30 C03C 17/30 B C07B 61/00 300 C07B 61/00 300
Claims (9)
- 【請求項1】 一般式(I) で表されるペルフルオロ-2−
メチルペンタン誘導体。 CF3CF2CF2C(CF3)2-X (I) (式中Xは、Cl, Br又は OH )。 - 【請求項2】 相間移動触媒の存在下で、カチオン性ハ
ロゲンイオン供与体、酸性フッ化物イオン F(HF)
n - (式中、nは整数1〜10である。)、及び1,1,1,3,
4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペ
ンテンを反応させることを特徴とする、一般式(I) で表
されるペルフルオロ-2−メチルペンタン誘導体の製造方
法。 CF3CF2CF2C(CF3)2-X (I) (式中Xは、Cl, Br, I 又は OH )。 - 【請求項3】 酸性フッ化物イオンF(HF) n - の供給源
が、酸性フッ化物イオンF(HF) n - (式中、nは整数1
〜10である。)と、アルカリ金属、アンモニウムイオン
又はピリジニウムイオン(C5H5NH+ )との塩である請求
項2記載の製造方法。 - 【請求項4】 2-ブロモ-1,1,1,3,3,4,4,5,5,5−デカフ
ルオロ-2-(トリフルオロメチル)ペンタン。 - 【請求項5】 一般式(II)で表される3,3-(ジトリフル
オロメチル)ヘキサン誘導体。 CF3CF2CF2 C(CF3)2CH2CH2-X (II) (式中Xは、Cl, Br, I 又は OH )。 - 【請求項6】 請求項1記載の2-(トリフルオロメチ
ル)ペルフルオロペンタン誘導体とエチレンとを反応さ
せることを特徴とする、請求項5記載の3,3-(ジトリフ
ルオロメチル)ヘキサン誘導体の製造方法。 - 【請求項7】 1−ブロモ-4,4,5,5,6,6,6−オクタフルオ
ロ-3,3-(ジトリフルオロメチル)ヘキサン。 - 【請求項8】 化学式CF3CF2CF2(CF3)2CCH2CH2SiCl3 で
表される化合物。 - 【請求項9】 化学式CF3CF2CF2(CF3)2CCH2CH2SiCl3 で
表される化合物を含むガラス用表面処理剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25863795A JPH09104646A (ja) | 1995-10-05 | 1995-10-05 | ペルフルオロ−2−メチルペンタン誘導体、及び該誘導体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25863795A JPH09104646A (ja) | 1995-10-05 | 1995-10-05 | ペルフルオロ−2−メチルペンタン誘導体、及び該誘導体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09104646A true JPH09104646A (ja) | 1997-04-22 |
Family
ID=17323041
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25863795A Pending JPH09104646A (ja) | 1995-10-05 | 1995-10-05 | ペルフルオロ−2−メチルペンタン誘導体、及び該誘導体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09104646A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012188359A (ja) * | 2011-03-09 | 2012-10-04 | Nippon Zeon Co Ltd | 含ハロゲノフッ素化シクロアルカン、及び含水素フッ素化シクロアルカンの製造方法 |
-
1995
- 1995-10-05 JP JP25863795A patent/JPH09104646A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012188359A (ja) * | 2011-03-09 | 2012-10-04 | Nippon Zeon Co Ltd | 含ハロゲノフッ素化シクロアルカン、及び含水素フッ素化シクロアルカンの製造方法 |
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