JP5158366B2 - 含水素フルオロオレフィン化合物の製造方法 - Google Patents

含水素フルオロオレフィン化合物の製造方法 Download PDF

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本発明は、半導体装置の製造分野において有用なエッチング、CVD等のプラズマ反応用ガス、含フッ素ポリマーの原料であるモノマー、あるいは、含フッ素医薬中間体、ハイドロフルオロカーボン系溶剤の原料として有用な含水素フルオロオレフィン化合物の製造方法に関する。
C=Cを構成する炭素原子に水素原子を有する、含水素フルオロシクロオレフィン化合物としては炭素数4〜6の化合物が良く知られており、幾つかの製造方法が開示されている。
特許文献1では、オクタフルオロシクロペンテンを貴金属触媒存在下に水素化してオクタフルオロシクロペンタンを得、続いて、アルカリ処理することによりヘプタフルオロシクロペンテンを得ている。
特許文献2では、1−ハロゲノ−または1,2−ジハロゲノ−ヘキサフルオロシクロペンテンと水素ガスを気相において、銅、鉄、クロムまたはニッケルを含む触媒存在下で還元して1−ハロゲノ−ヘキサフルオロシクロペンテンまたは3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンを製造する方法が開示されている。具体的には、1位や2位に結合するハロゲンとして塩素原子である化合物を還元し、1位に塩素原子を有する化合物又は3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンを得ているだけで、炭素原子とフッ素原子と水素原子とのみからなる1H−ペンタフルオロシクロペンテンを得てはいない。この方法で炭素原子とフッ素原子と水素原子とのみからなる1H−ペンタフルオロシクロペンテンを得るには反応温度を高温にする必要があるが、触媒の耐久性が乏しくなり、連続的に反応を継続することが困難である。
非特許文献1においては、ヘキサフルオロシクロブテンを金属水素化物で処理することにより、ペンタフルオロシクロブテンが得られている。また、非特許文献2においてはジクロロヘキサフルオロシクロブタンを水素化リチウムアルミニウムヒドリドにより還元させて得られるヘキサフルオロシクロブタンをアルカリ処理することによりペンタフルオロシクロブテンを得ている。
また、非特許文献3においては、ヘキサフルオロシクロブテンをエーテル中で、トリフェニルホスフィンと反応させると、ヘキサフルオロシクロブテン−ホスホニウムイリドが生成する旨の記載がなされている。非特許文献4においては、同様にヘキサフルオロシクロブテン−ホスホニウムイリドを生成し、ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素)を反応させると、1,1−ジハロヘキサフルオロシクロブタンが生成するとの記載がなされている。
しかしながら、非特許文献1においては火災等の危険性を伴う金属水素化物を使用しており、工業的製造法とは言い難く、非特許文献2においてもヘキサフルオロシクロブタンをアルカリ処理を行うだけで操作は簡便であるが、原料と目的物であるペンタフルオロシクロブテンとの沸点差がほとんど無いがために精製が極めて困難と言わざるを得ない。
また、非特許文献3、および4においては、ヘキサフルオロシクロブテン−ホスホニウムイリドが生成する旨の記載がなされているが、還元体である水素化物が生成するとの記載はなされていない。
特開平11−292807号公報 特開2000−86548号公報 Journal of Chemical Society,3198(1961) Journal of Chemical Society,1177(1954) Journal of Organic Chemistry、Vol.33、4395(1968) Journal of Fluorine Chemistry、Vol.18、413(1981)
本発明者は、上記の状況を踏まえ、パーフルオロシクロオレフィンから1H−ポリフルオロシクロアルケンを製造するにあたり、危険な反応試剤を用いることなく、短工程で、且つ、温和な条件下での製造を可能にする方法の開発に迫られた。そこで、本発明者は非特許文献3や4に記載されているヘキサフルオロシクロブテン−ホスホニウムイリドから、1H−ポリフルオロシクロアルケンを得ることを検討した。しかしながら、へキサフルオロシクロブテン−ホスホニウムイリドは単離できるほど安定性が高く、温和な条件下で1H−ポリフルオロシクロアルケンを得ることが困難であることを確認した。かかる知見に基づき、本発明者は、更なる検討をした結果、トリフェニルホスフィンのような芳香族置換のホスフィン以外のトリアルキルホスフィンを選択してやることで、生成すると考えられるパーフルオロシクロアルケンのトリアルキルホスフィン付加体の反応性を高くすることができると推定した。そして、含水溶媒中、特定の温度範囲であればパーフルオロシクロアルケンのトリアルキルホスフィン付加体の形成が円滑に進行し、これが系内の水と反応して含水素ポリフルオロシクロアルケンとなることを見出し、本発明を完成させるに至った。この方法によれば、ワンポットで含水素ポリフルオロシクロアルケンが製造可能となるため、生産性に優れる利点がある。
本発明によれば、式(1)で示される含フッ素ハロゲン化合物をトリアルキルホスフィンと含水エーテル系溶媒下に、−10〜30℃の温度範囲で接触させて、式(2)で示される含水素フルオロシクロオレフィン化合物を得る製造方法が提供される。
Figure 0005158366
ただし、式(1)中、nは0〜3の整数である。
Figure 0005158366
ただし、式(2)中、nは0〜3の整数である。
本発明において、前記トリアルキルホスフィンがトリ−n−ブチルホスフィンであることが好ましい。
また本発明において、前記式(2)で表される化合物が1,3,3,4,4−ペンタフルオロシクロブテン又は1,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンであることが好ましい。
本発明の製造方法は、前記式(1)で示されるパーフルオロシクロオレフィンをトリアルキルホスフィンと含水エーテル系溶媒存在下に、−10〜30℃の温度範囲で接触させて、前記式(2)で示される含水素フルオロシクロオレフィンを一工程で製造するものである。反応は、パーフルオロシクロオレフィンとトリアルキルホスフィンの付加物(イリド体:CF=CP、もしくはホスホラン体:CF=CPF(R):Rはアルキル基)がまず生成し、次いで、系中に存在する微量の水の作用により、付加物が加水分解されて水素に置換されるものと考えられる。
原料として用いるパーフルオロシクロオレフィンは、前記式(1)に示すように、炭素数が3〜6のパーフルオロシクロオレフィン化合物が使用される。具体的には、パーフルオロシクロプロペン、パーフルオロシクロブテン、パーフルオロシクロペンテン、パーフルオロシクロヘキセンが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロシクロペンテンがより好ましい。
本発明で使用されるパーフルオロシクロオレフィンは公知の方法で製造することができる。例えば、ヘキサフルオロシクロブテンの製造方法としては、Journal of Chemical Society,1952,3830や、特開平7−112944号公報に記載の方法が知られている。いずれの方法もフッ素樹脂のモノマーとして工業的に使用されている、クロロトリフルオロエチレンを原料にして2量化して1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロブタンを合成し、前者は亜鉛によって、後者は金属触媒存在下に水素還元を行うことにより脱塩素化し、ヘキサフルオロシクロブテンに導かれる。
オクタフルオロシクロペンテンは、J.Org.Chem.,vol.28,112(1963)に記載の方法によれば、オクタクロロシクロペンテンを非プロトン性極性溶媒中、フッ化カリウムなどの金属フルオリドによりフッ素化することで得られる。また、WO98/43233号公報に記載の方法によれば、オクタクロロシクロペンテンを触媒存在下、フッ化水素でフッ素化して1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンに導き、さらに、前述と同様にフッ化カリウムを反応させることによっても製造することができる。
デカフルオロシクロヘキセンは、J.Org.Chem.,vol.28,112(1963)に記載の方法によれば、1,2−ジクロロオクタフルオロシクロヘキセンを非プロトン性極性溶媒中、フッ化カリウムなどの金属フルオリドによりフッ素化することで得られる。
本発明において得られる含水素フルオロオレフィン化合物は式(2)に示されるように、オレフィン部位に水素を持つ化合物である。その具体例としては、1、3,3−トリフルオロシクロプロペン、1,3,3,4,4−ペンタフルオロシクロブテン、1,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテン、1,3,3,4,4,5,5,6,6−ノナフルオロシクロへキセンが挙げられ、これらの中でも、1,3,3,4,4−ペンタフルオロシクロブテン、1,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンがより好ましい。
本発明で用いるトリアルキルホスフィンは、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、ジ−t−ブチルメチルホスフィン、t−ブチルジイソプロピルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィンなどが挙げられる。これらの中でも、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、ジ−t−ブチルメチルホスフィン、t−ブチルジイソプロピルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィンが好ましく、ビニル位炭素への求核性の高いトリ−n−ブチルホスフィンがより好ましい。
これらトリアルキルホスフィンの添加量は原料に用いるパーフルオロシクロアルケン対して1〜5モル当量、1.2〜2モル当量がより好ましい。
これらのトリアルキルホスフィンは市販品を使用することが可能であるが、空気との接触により酸化され、一部がトリアルキルホスフィンオキシドに変化している場合がある。このトリアルキルホスフィンオキシドを除去するために、使用前に蒸留精製したものを用いる方が望ましい。
原料として用いるパーフルオロシクロオレフィンとトリアルキルホスフィンは通常、溶媒を介して接触させる。溶媒としてはパーフルオロシクロオレフィンとトリアルキルホスフィンの両方を溶解させることのできるエーテル系溶媒が用いられる。具体的には、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、エチル−t−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどの炭化水素系エーテル、メチル−ノナフルオロブタンエーテル、エチル−ノナフルオロブタンエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル―2’,2’,2’―トリフルオロエチルエーテル、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−トリフルオロメチルペンタンなどのフッ素系エーテルが挙げられる。これらの中でも、さらに、水を任意の割合で溶解することの可能な、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルがより好ましい。
溶媒の使用量は原料となるパーフルオロシクロオレフィンとトリアルキルホスフィンの両方を溶解させることが必要なため、パーフルオロシクロオレフィンに対して重量比で通常1倍〜5倍、好ましくは1.5〜5倍、より好ましくは2〜3倍の量を使用することが好ましい。
上記溶媒は通常、空気、特に、酸素を取り込んでいるため、トリアルキルホスフィンと混合された際に、溶解している酸素により、トリアルキルホスフィンオキシドに酸化され、実質、有効なトリアルキルホスフィンの量が減少する可能性がある。そこで、溶媒中の空気、特に、酸素を取り除くために、トリアルキルホスフィンを添加する前に、窒素やアルゴンのような不活性ガスをバブリングさせて酸素を追い出しても良い。
パーフルオロシクロオレフィンとトリアルキルホスフィンを接触させる際の温度は、−10〜30℃、好ましくは−5〜30℃である。反応温度が低すぎるとパーフルオロシクロオレフィンとトリアルキルホスフィンとの反応で生じると考えられる、パーフルオロシクロオレフィンのトリアルキルホスフィン付加体が生成し難くなるので、反応が進行しないか、もしくは反応完結までに多大な時間を要する。一方、反応温度が高すぎると反応が急激に進行して安全上好ましくない。
パーフルオロシクロオレフィンのトリアルキルホスフィン付加体の加水分解には、溶媒中に含まれる水が作用する。その水分含有量は、通常、エーテル系溶媒に対して、重量比で通常0.1〜15%、好ましくは0.5〜10%である。水の含有量が少ないとパーフルオロシクロオレフィンのトリアルキルホスフィン付加体の加水分解が未完結になり、水分量が多すぎると原料のパーフルオロシクロオレフィンの溶媒への溶解が不十分となり反応が進行しにくくなる。また、溶媒中の水分は理論上、パーフルオロシクロオレフィンのトリアルキルホスフィン付加体の加水分解に使用されて溶媒中の含有量は徐々に減少していくが、溶媒と接触している大気中から水分が取り込まれ、反応に関わっているものと推測される。特に、吸湿性の高い溶媒は水分を取り込み易いために、反応が進行し易い。
溶媒中の水は、パーフルオロシクロオレフィンとトリアルキルホスフィンとの反応開始時から含まれていても良いし、反応の途中で添加しても良いが、生産性の観点から反応開始時に含まれているのが好ましい。
反応開始時から溶媒中に水分を含有させる場合、パーフルオロシクロオレフィンのトリアルキルホスフィン付加体の加水分解を完全に行うために、パーフルオロシクロオレフィンの消費がほぼ停止した状態で、反応系に水を更に添加しても構わない。この操作を行うことで、目的とする1H−パーフルオロシクロオレフィンの収率向上に寄与する。
反応はガラス製の反応器を用いることができるが、原料に使用するパーフルオロオレフィンの沸点が低い場合には、反応系外へのロスを防止する観点から、オートクレーブのような密閉式の反応器を用いる方が好ましい。
反応後の処理は特別な方法を用いる必要はなく、通常の方法を採用することができる。目的とする含水素フルオロシクロオレフィンは沸点が100℃以下であるため、反応液を直接減圧し、冷媒等で冷やしたトラップ等に回収しても良いし、有機溶媒を用いて、反応として用いたエーテル溶媒から抽出し、水洗浄、乾燥工程を経て回収することもできる。また、反応器にカラムを付した蒸留装置を直接取り付けて、蒸留を行ってもよい。回収した生成物はさらに純度を高めるために蒸留に付しても構わない。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によってその範囲を限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
以下において採用した分析条件は下記の通りである。
(1)ガスクロマトグラフィー分析(GC分析)
装置:G−5000(日立製作所社製)
カラム:TC−1(60m×I.D0.25μm、1.0μmdf) (GLサイエンス社製)
昇温プログラム:(1)50℃で10分保持し、次いで(2)20℃/分で昇温した後、(3)250℃で10分保持する。
インジェクション温度:200℃
キャリヤーガス:窒素ガス
検出器:FID
(2)ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS分析)
装置:アジレント社製ガスクロマトグラフ質量分析計「HP6890」
カラム:アジレントHP−1(長さ60m、内径250μm、膜厚1μm)
昇温プログラム:(1)40℃で10分保持し、次いで(2)20℃/分で昇温した後、(3)240℃で10分保持する。
インジェクション温度:150℃
ディテクター温度:150℃
キャリヤーガス:ヘリウムガス(282mL/分)
スプリット比:170/1
MS部分:アジレント5973ネットワーク(アジレント社製)
検出器:EI型(加速電圧:70eV)
(3)NMR分析
装置:日本電子社製核磁気共鳴装置「JNM−ECA400型」
[実施例1] 1,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンの合成
攪拌機、滴下ロートを付したガラス製反応器にオクタフルオロシクロペンテン 42部、約5重量%の水分を含むエチレングリコールジメチルエーテル87部を仕込み、反応器をドライアイス−エタノール浴に浸して−10℃に冷却した。滴下ロートより、トリ−n−ブチルホスフィン45部を10分間かけて滴下し、−10℃で30分間攪拌を継続した後、ドライアイス−エタノール浴を取り去り、室温で8時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料であるオクタフルオロシクロペンテンの消失を確認した。反応器にドライアイス−エタノール浴に浸したガラス製トラップをつなぎ、真空ポンプにて系内を減圧した。約30分後、系内を常圧に戻し、トラップ内に捕集された液体を分析したところ、目的物である、1,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテン28部(収率72%)が得られた。

1,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンのスペクトルデータ
19F−NMR(CFCl,CDCl):δ−107.8(s,2F),−120.4(s,2F),−125.0(m,2F),−130.5(s,1F),H−NMR(TMS,CDCl):δ5.95(m、1H)
GC−MS(EI−MS):m/z 194,173,144
[実施例2]
実施例1において、約5重量%の水分を含むエチレングリコールジメチルエーテル87部を約6重量%の水分を含むテトラヒドロフラン89部に変更したこと以外は実施例1と同様に反応を行った。その結果、1,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンが26部(収率69%)得られた。
[実施例3]
実施例1において、トリ−n−ブチルホスフィン45部をトリ−n−オクチルホスフィン78部に変更したこと以外は実施例1と同様に反応を行った。その結果、1,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンが27部(収率70%)得られた。
[実施例4] 1,3,3,4,4−ペンタフルオロシクロブテンの合成
攪拌機、ガス導入管を付したステンレス製オートクレーブに約5重量%の水分を含むエチレングリコールジメチルエーテル87部を仕込み、オートクレーブをドライアイス−エタノール浴に浸して−50℃に冷却した。あらかじめステンレス製シリンダーに秤量したヘキサフルオロシクロブテン32部をガス導入管からオートクレーブ内に吹き込み、ドライアイス−エタノール浴を−10℃まで昇温させた。トリ−n−ブチルホスフィン45部を10分間かけて注入し、−10℃で30分間攪拌を継続した後、ドライアイス−エタノール浴を取り去って氷水浴に変更し、約20℃で10時間攪拌した。オートクレーブにドライアイス−エタノール浴に浸したガラス製トラップをつなぎ、真空ポンプにて系内を減圧した。約30分後、系内を常圧に戻し、トラップ内に捕集された液体を分析したところ、目的物である、1,3,3,4,4−ペンタフルオロシクロブテン13部(収率45%)が得られた。

1,3,3,4,4−ペンタフルオロシクロブテンのスペクトルデータ
19F−NMR(CFCl,CDCl):δ−103.87(s、C=CF),−113.45(s、2F)、−118.88(s、2F)
H−NMR(TMS,CDCl):δ5.94(m、1H)
GC−MS(EI−MS):m/z 144,125,75
[実施例5] 1,3,3,4,4、5,5、6,6−ノナフルオロシクロヘキセンの合成
攪拌機、滴下ロートを付したガラス製反応器にデカフルオロシクロヘキセン52部、約5重量%の水分を含むエチレングリコールジメチルエーテル100部を仕込み、反応器をドライアイス−エタノール浴に浸して−10℃に冷却した。滴下ロートより、トリ−n−ブチルホスフィン41部を10分間かけて滴下し、−10℃で30分間攪拌を継続した後、ドライアイス−エタノール浴を取り去り、室温で6時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料であるデカフルオロシクロヘキセンの消失を確認した。反応器にドライアイス−エタノール浴に浸したガラス製トラップをつなぎ、真空ポンプにて系内を減圧した。約30分後、系内を常圧に戻し、トラップ内に捕集された液体を分析したところ、目的物である、1,3,3,4,4,5,5,6,6−ノナフルオロシクロヘキセン30部(収率62%)を得た。

1,3,3,4,4,5,5,6、6−ノナフルオロシクロヘキセンのスペクトルデータ
19F−NMR(CFCl,CDCl):δ〜121.7(s、C=CF),−121.7(s、2F)、−135.4(m、4F),−107.1(s、2F)、H−NMR(TMS,CDCl):δ3.90(m、1H)
GC−MS(EI−MS):m/z 244、225、175、144、113、75
[比較例1]
実施例1において、反応温度を−20℃、反応時間6時間に変更したこと以外は実施例1と同様に反応を行った。ガスクロマトグラフィー分析を行った結果、原料のオクタフルオロシクロペンテンが95%残存しており、目的物である1,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンは2%しか生成していなかった。
[比較例2]
実施例1において、トリ−n−ブチルホスフィン41部をトリフェニルホスフィン53部に変更したこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。ガスクロマトグラフィー分析を行った結果、原料のオクタフルオロシクロペンテンはほぼ消失していたが、目的物である1,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンの生成は認められず、オクタフルオロシクロペンテンのトリフェニルホスフィン付加体の段階で、反応が停止していることが示唆された。

Claims (3)

  1. 式(1)で示されるパーフルオロシクロオレフィンと、トリアルキルホスフィンを含水エーテル溶媒存在下に、−10℃〜30℃の温度範囲で接触させて、式(2)で示される含水素フルオロシクロオレフィンを得ることを特徴とする製造方法。
    Figure 0005158366
    ただし、式(1)中、nは0〜3の整数である。
    Figure 0005158366
    ただし、式(2)中、nは0〜3の整数である。
  2. トリアルキルホスフィンがトリ−n−ブチルホスフィンであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 式(2)で表される化合物が1,3,3,4,4−ペンタフルオロシクロブテン又は1,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
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