JP4835685B2 - ピストン用クーリングチャンネル形成方法及び内燃機関用ピストン - Google Patents
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Description
請求項1に記載のピストン用クーリングチャンネル形成方法は、冷却媒体流通のための冷却流路を形成するピストン冷却流路形成用の環状体であって外部と冷却媒体の給排を行う開口が形成される開口用壁部が前記環状体全体の中心軸に沿った方向に形成された軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲される形状を有した環状体を、前記中心軸に沿った方向において前記冷却流路の内側に向け突出し前記環状体の周方向及び径方向において部分的に形成されたピストンの凸部の頂面に前記開口用壁部が接触するとともに同凸部の側面に前記軸方向壁部が接触する態様で前記ピストンの内部に埋設し、前記ピストンの底面側から前記環状体に向けてドリル刃にて穿孔することで外部と前記冷却流路との間で冷却媒体の給排を行うための連通路を前記ピストンに形成するとともに前記開口用壁部に前記開口を形成して前記冷却流路と前記連通路とを接続することを特徴とする。
請求項2に記載のピストン用クーリングチャンネル形成方法は、冷却媒体流通のための冷却流路を形成するピストン冷却流路形成用の環状体であって外部と冷却媒体の給排を行う開口が形成される開口用壁部が前記環状体全体の中心軸に沿った方向に形成された軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲される形状を有した環状体を、前記中心軸に沿った方向において前記冷却流路の外側に向け窪んで前記環状体の周方向及び径方向において部分的に形成されたピストンの凹部の底面に前記開口用壁部が接触するとともに同凹部の側面に前記軸方向壁部が接触する態様で前記ピストンの内部に埋設し、前記ピストンの底面側から前記環状体に向けてドリル刃にて穿孔することで外部と前記冷却流路との間で冷却媒体の給排を行うための連通路を前記ピストンに形成するとともに前記開口用壁部に前記開口を形成して前記冷却流路と前記連通路とを接続することを特徴とする。
したがってピストン内にクーリングチャンネルが存在していても、上述のごとくクーリングチャンネルが形成されることにより、冷却効率が高く、かつ耐久性の高いピストンにすることができる。
請求項6に記載のピストン用クーリングチャンネル形成方法は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のピストン用クーリングチャンネル形成方法において、ピストンはアルミニウム合金製であり、鉄合金製の前記環状体自身を鋳込むことで同環状体を前記ピストン内に埋設することを特徴とする。
請求項9に記載の内燃機関用ピストンは、内燃機関用ピストンであって、冷却媒体流通のための冷却流路を形成するピストン冷却流路形成用の環状体が内部に埋設され、前記ピストンの底面側から前記環状体に向けて延びるドリル孔によって外部と前記冷却流路との間で冷却媒体の給排を行うための連通路が形成されるとともに前記冷却流路と前記連通路とを接続する開口が前記環状体に形成されてなるピストン用クーリングチャンネルを有し、前記環状体は、前記開口が形成される開口用壁部が前記環状体全体の中心軸に沿った方向に形成された軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲される形状を有してなるとともに、前記中心軸に沿った方向において前記冷却流路の内側に向け突出し前記環状体の周方向及び径方向において部分的に形成された前記ピストンの凸部の頂面に前記開口用壁部が接触するとともに同凸部の側面に前記軸方向壁部が接触する態様で前記ピストンの内部に埋設してなることを特徴とする。
請求項10に記載の内燃機関用ピストンは、内燃機関用ピストンであって、冷却媒体流通のための冷却流路を形成するピストン冷却流路形成用の環状体が内部に埋設され、前記ピストンの底面側から前記環状体に向けて延びるドリル孔によって外部と前記冷却流路との間で冷却媒体の給排を行うための連通路が形成されるとともに前記冷却流路と前記連通路とを接続する開口が前記環状体に形成されてなるピストン用クーリングチャンネルを有し、前記環状体は、前記開口が形成される開口用壁部が前記環状体全体の中心軸に沿った方向に形成された軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲される形状を有してなるとともに、前記中心軸に沿った方向において前記冷却流路の外側に向け窪んで前記環状体の周方向及び径方向において部分的に形成された前記ピストンの凹部の底面に前記開口用壁部が接触するとともに同凹部の側面に前記軸方向壁部が接触する態様で前記ピストンの内部に埋設してなることを特徴とする。
請求項9及び10に係るピストン冷却流路形成用環状体は、開口用壁部が前記軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている。この環状体をピストン内に埋設し、ピストンの底面側から環状体に向けて延びるドリル孔によって同環状体に冷却流路と連通路とを接続する開口が形成された場合にも、開口周りにてピストンとの接合面から剥がれることがある。
したがって、このように開口周りにて壁部が剥がれたピストンが内燃機関等に適用された場合には、ピストンの往復運動により、開口周辺では前述したごとく剥がれた壁部に対してその剥離部分を拡大する力が作用する。したがって軸方向壁部より中央側の壁部については剥離部分は一時的に拡大することになる。
しかし、その剥離が開口形成位置の周りに形成されている軸方向壁部に到達すると、剥がれた壁部の慣性力振動による応力は、軸方向壁部とピストンとの接合面に平行なものとなる。このため前記応力は剥離部分と接合部分との境界部分に集中せず、剥離力は極めて小さくなり、前記応力のほとんどは軸方向壁部とピストンとの接合面全体に対する剪断力に変化する。この剪断力によって接合部を破壊する場合は、剥離力とは比較にならないほど極めて大きな力が必要となる。このため実際には軸方向壁部とピストンとの接合面ではこれ以上剥離が拡大することはない。
このことから請求項9及び10に係る発明によれば、ピストン冷却流路形成用環状体が埋設されたピストンにおいて、ピストン冷却流路形成用環状体の開口加工時に開口周りの接合面に剥離を生じたとしても、その接合面の剥離拡大を阻止することができる。
したがってピストン内にクーリングチャンネルが存在していても、冷却効率が高く、かつ耐久性の高いピストンにすることができる。
また、請求項9に係る発明においては、環状体を、ピストン冷却流路形成用環状体全体の中心軸に沿った方向において冷却流路の内側に向け突出し環状体の周方向及び径方向において部分的に形成されたピストンの凸部の頂面に開口用壁部が接触するとともに同凸部の側面に軸方向壁部が接触する態様でピストンの内部に埋設してなるようにしている。一方、請求項10に係る発明においては、環状体を、ピストン冷却流路形成用環状体全体の中心軸に沿った方向において冷却流路の外側に向け窪んで環状体の周方向及び径方向において部分的に形成されたピストンの凹部の底面に開口用壁部が接触するとともに同凹部の側面に軸方向壁部が接触する態様でピストンの内部に埋設してなるようにしている。これにより、請求項9及び10に係る発明によっては、容易に、開口用壁部が前記軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲される形状をなすものとすることができる。
図1は、上述した発明が適用されたピストン2の縦断面図である。このピストン2は、内燃機関、ここではディーゼルエンジンに用いられるものであり、アルミニウム合金からなるピストン本体4にクーリングチャンネル付耐摩環6を鋳込んである。
耐摩環本体8は図2に示すごとくの鉄合金製の環状体であり、外周面8aにはトップリング溝8bが形成されている。図2の(a)は正面図、(b)は斜視図、(c)は平面図、(d)は底面図である。
このように形成されたピストン冷却流路形成用環状体10を、耐摩環本体8の内周面8cに溶接することによりクーリングチャンネル付耐摩環6が完成する。
このようにして形成されたピストン本体4が内燃機関に適用されると、内燃機関運転時にはピストン本体4に鋳込まれたクーリングチャンネル付耐摩環6はその全体の軸方向(中心軸Xと同じ)において振動する。このことによりピストン冷却流路形成用環状体10の開口形成位置12に対してもピストン冷却流路形成用環状体10全体の中心軸Xに沿った方向での振動が加えられることになる。
(イ).ピストン冷却流路形成用環状体10は、その壁部に形成された開口形成位置12が、ピストン冷却流路形成用環状体10全体の軸(中心軸X)方向に沿った方向に形成された軸方向壁部16を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている。したがって前述したごとく、ピストン本体4内に埋設された状態のピストン冷却流路形成用環状体10に対して、その開口形成位置12に、図7に示したごとく機械加工(ここではドリル加工)にて開口22a,24aを形成した場合に、開口22a,24a周りの壁部は、ピストン本体4との接合面から剥がれることがある。
しかし図8の(b)に示したごとく、その剥がれが周囲の軸方向壁部16に到達すると、振動する慣性力は、軸方向壁部16に対して剥離力を生じない方向、すなわち剪断力となる。このため軸方向壁部16を凸部4aから剥離する力はほとんど無くなり、あるいは全く無くなり、軸方向壁部16とピストン本体4との接合面の剥離はこれ以上拡大しない。
(ハ).ピストン2は、鉄合金製のピストン冷却流路形成用環状体10がアルミニウム合金製のピストン本体4に鋳込まれることで形成されている。このため開口22a,24aを穿孔する際に前述した剥離が生じ易くなるが、このような場合も、開口形成位置12が軸方向壁部16を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている形状であることにより、剥離したとしても前述のごとく剥離拡大を阻止できる。
(a).前記実施の形態1においては、凹部14は、ピストン冷却流路形成用環状体10全体の中心軸Xに沿った方向にて、その壁部全体を内側に窪ませたものであったが、外側に突出させたものであっても良い。このことによっても開口形成位置がピストン冷却流路形成用環状体全体の中心軸に沿った方向に形成された軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている形状を実現することができる。この形状では冷却流路を狭めないので、冷却流路内でのオイルの流れが、より円滑なものとなる。
(b).前記実施の形態1ではピストン冷却流路形成用環状体10は耐摩環本体8と一体化されたクーリングチャンネル付耐摩環6がピストン本体4内に鋳込まれることにより埋設されていたが、冷却流路用空間を内部に有するピストン冷却流路形成用環状体を、ピストン本体内に単独に鋳込んだ構成としても良い。
Claims (10)
- 冷却媒体流通のための冷却流路を形成するピストン冷却流路形成用の環状体であって外部と冷却媒体の給排を行う開口が形成される開口用壁部が前記環状体全体の中心軸に沿った方向に形成された軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲される形状を有した環状体を、前記中心軸に沿った方向において前記冷却流路の内側に向け突出し前記環状体の周方向及び径方向において部分的に形成されたピストンの凸部の頂面に前記開口用壁部が接触するとともに同凸部の側面に前記軸方向壁部が接触する態様で前記ピストンの内部に埋設し、
前記ピストンの底面側から前記環状体に向けてドリル刃にて穿孔することで外部と前記冷却流路との間で冷却媒体の給排を行うための連通路を前記ピストンに形成するとともに前記開口用壁部に前記開口を形成して前記冷却流路と前記連通路とを接続する
ピストン用クーリングチャンネル形成方法。 - 冷却媒体流通のための冷却流路を形成するピストン冷却流路形成用の環状体であって外部と冷却媒体の給排を行う開口が形成される開口用壁部が前記環状体全体の中心軸に沿った方向に形成された軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲される形状を有した環状体を、前記中心軸に沿った方向において前記冷却流路の外側に向け窪んで前記環状体の周方向及び径方向において部分的に形成されたピストンの凹部の底面に前記開口用壁部が接触するとともに同凹部の側面に前記軸方向壁部が接触する態様で前記ピストンの内部に埋設し、
前記ピストンの底面側から前記環状体に向けてドリル刃にて穿孔することで外部と前記冷却流路との間で冷却媒体の給排を行うための連通路を前記ピストンに形成するとともに前記開口用壁部に前記開口を形成して前記冷却流路と前記連通路とを接続する
ピストン用クーリングチャンネル形成方法。 - 請求項1又は2に記載のピストン用クーリングチャンネル形成方法において、前記開口用壁部及び前記軸方向壁部がプレス加工により成型される金属製のものを前記環状体として用いることを特徴とするピストン用クーリングチャンネル形成方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のピストン用クーリングチャンネル形成方法において、前記開口用壁部及び前記軸方向壁部以外の部分が金属板を曲げ加工することにより成型される金属製のものを前記環状体として用いることを特徴とするピストン用クーリングチャンネル形成方法。
- 請求項4に記載のピストン用クーリングチャンネル形成方法において、前記曲げ加工は、プレス加工又はロール加工であることを特徴とするピストン用クーリングチャンネル形成方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のピストン用クーリングチャンネル形成方法において、ピストンはアルミニウム合金製であり、鉄合金製の前記環状体自身を鋳込むことで同環状体を前記ピストン内に埋設することを特徴とするピストン用クーリングチャンネル形成方法。
- 請求項6に記載のピストン用クーリングチャンネル形成方法において、前記環状体自身を、前記ピストンの外周面に一部が露出する耐摩環の背後に一体化させて前記冷却流路を形成した状態にて鋳込むことにより、同環状体を前記ピストン内に埋設することを特徴とするピストン用クーリングチャンネル形成方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のピストン用クーリングチャンネル形成方法にて形成されたピストン用クーリングチャンネルを有することを特徴とする内燃機関用ピストン。
- 内燃機関用ピストンであって、
冷却媒体流通のための冷却流路を形成するピストン冷却流路形成用の環状体が内部に埋設され、
前記ピストンの底面側から前記環状体に向けて延びるドリル孔によって外部と前記冷却流路との間で冷却媒体の給排を行うための連通路が形成されるとともに前記冷却流路と前記連通路とを接続する開口が前記環状体に形成されてなるピストン用クーリングチャンネルを有し、
前記環状体は、前記開口が形成される開口用壁部が前記環状体全体の中心軸に沿った方向に形成された軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲される形状を有してなるとともに、前記中心軸に沿った方向において前記冷却流路の内側に向け突出し前記環状体の周方向及び径方向において部分的に形成された前記ピストンの凸部の頂面に前記開口用壁部が接触するとともに同凸部の側面に前記軸方向壁部が接触する態様で前記ピストンの内部に埋設してなることを特徴とする内燃機関用ピストン。 - 内燃機関用ピストンであって、
冷却媒体流通のための冷却流路を形成するピストン冷却流路形成用の環状体が内部に埋設され、
前記ピストンの底面側から前記環状体に向けて延びるドリル孔によって外部と前記冷却流路との間で冷却媒体の給排を行うための連通路が形成されるとともに前記冷却流路と前記連通路とを接続する開口が前記環状体に形成されてなるピストン用クーリングチャンネルを有し、
前記環状体は、前記開口が形成される開口用壁部が前記環状体全体の中心軸に沿った方向に形成された軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲される形状を有してなるとともに、前記中心軸に沿った方向において前記冷却流路の外側に向け窪んで前記環状体の周方向及び径方向において部分的に形成された前記ピストンの凹部の底面に前記開口用壁部が接触するとともに同凹部の側面に前記軸方向壁部が接触する態様で前記ピストンの内部に埋設してなることを特徴とする内燃機関用ピストン。
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